特許第6871472号(P6871472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6871472
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】アロイ樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08L 27/06 20060101AFI20210426BHJP
   C08L 33/12 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   C08L27/06
   C08L33/12
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2020-191903(P2020-191903)
(22)【出願日】2020年11月18日
【審査請求日】2020年12月8日
(31)【優先権主張番号】特願2019-232827(P2019-232827)
(32)【優先日】2019年12月24日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【弁理士】
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】桜井 宏之
【審査官】 小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−139739(JP,A)
【文献】 特開昭60−240751(JP,A)
【文献】 特開昭62−103601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 27/06
C08L 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ビニル系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂とが質量比40:60〜60:40で配合され、JIS K5600−5−4に準拠して測定される鉛筆硬度がH以上4H以下であり、ベンディングフォーム法による耐溶剤性試験で測定される臨界歪みεが0.45%以上であり、
前記メチルメタクリレート系樹脂のメルトフローレートが2.0g/10分以上6.0g/10分以下であり、
前記塩化ビニル系樹脂の平均重合度が550以上700以下である、アロイ樹脂。
【請求項2】
前記メチルメタクリレート系樹脂の重量平均分子量が90,000以上100,000以下である、請求項1記載のアロイ樹脂。
【請求項3】
前記メチルメタクリレート系樹脂の数平均分子量が50,000以上60,000以下である、請求項1又は2に記載のアロイ樹脂。
【請求項4】
前記アロイ樹脂の引張強度が60MPa以上90MPa以下である、請求項1〜のいずれか一項に記載のアロイ樹脂。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アロイ樹脂に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、射出成形品等の成形樹脂としては、ポリプロピレンやアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂等が用いられている。これら汎用樹脂は成形性やコストの点で優れるが、表面硬度が低く、耐傷付き性が劣る傾向がある。耐傷付き性に優れた樹脂としては、アクリル樹脂や硬質塩化ビニル系樹脂が知られている。
【0003】
樹脂の特性を向上させる方法として、アロイ化が知られている。特許文献1には、塩化ビニル系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂とのアロイ樹脂が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−014246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、メチルメタクリレート系樹脂は耐溶剤性が低いため、十分な耐溶剤性を有するアロイ樹脂を得ることは困難である。
【0006】
本発明は、耐傷付き性及び耐溶剤性に優れた成形品が得られるアロイ樹脂を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]塩化ビニル系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂とが質量比40:60〜70:30で配合され、JIS K5600−5−4に準拠して測定される鉛筆硬度がH以上4H以下であり、ベンディングフォーム法による耐溶剤性試験で測定される臨界歪みεが0.45%以上である、アロイ樹脂。
【0008】
[2]前記塩化ビニル系樹脂が硬質塩化ビニル系樹脂である、[1]に記載のアロイ樹脂。
[3]前記メチルメタクリレート系樹脂の重量平均分子量が10,000以上600,000以下である、[1]又は[2]に記載のアロイ樹脂。
[4]前記メチルメタクリレート系樹脂の数平均分子量が5,000以上300,000以下である、[1]〜[3]のいずれかに記載のアロイ樹脂。
[5]前記メチルメタクリレート系樹脂のメルトフローレートが1.0g/10分以上20g/10分以下である、[1]〜[4]のいずれかに記載のアロイ樹脂。
[6]前記アロイ樹脂の引張強度が60MPa以上90MPa以下である、[1]〜[5]のいずれかに記載のアロイ樹脂。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐傷付き性及び耐溶剤性に優れた成形品が得られるアロイ樹脂を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】耐溶剤性試験に用いる試験片を示した斜視図である。
図2】耐溶剤性試験の様子を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[アロイ樹脂]
本発明のアロイ樹脂は、塩化ビニル系樹脂(以下、「PVC系樹脂」と記す。)とメチルメタクリレート系樹脂(以下、「MMA系樹脂」と記す。)とが質量比40:60〜70:30で配合され、鉛筆硬度がH以上4H以下であり、後述の臨界歪みεが0.45%以上であるアロイ樹脂である。
【0012】
アロイ樹脂の鉛筆硬度は、H以上4H以下であり、2H以上4H以下が好ましい。鉛筆硬度が前記下限値以上であれば、成形品の耐傷付き性に優れる。アロイ樹脂の鉛筆硬度は、PVC系樹脂とMMA系樹脂との質量比等によって調節できる。
なお、アロイ樹脂の鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に準拠して測定される。
【0013】
アロイ樹脂の臨界歪みεは、0.45%以上であり、0.70%以上が好ましく、1.00%以上がさらに好ましい。アロイ樹脂の臨界歪みεが前記下限値以上であれば、耐溶剤性に優れる。臨界歪みεは、大きければ大きいほど良い。
アロイ樹脂の臨界歪みεは、PVC系樹脂とMMA系樹脂との質量比等によって調節できる。
なお、アロイ樹脂の臨界歪みεは、以下に示す耐溶剤性試験によって測定される。
【0014】
(耐溶剤性試験)
ベンディングフォーム法による耐溶剤性試験について以下に説明する。
図1に示すように、射出成形法によって、厚さ1.5mm、幅30mm、長さ125mmの矩形の板状の試験片10を成形して、デシケーター内に1日保存する。
図2に示すように、長径2aが254mm、短径2bが76.2mmの楕円柱が短軸を通る面と長軸を通る面で1/4に切断された形状の治具100を、短軸(b=38.1mm)が鉛直方向、長軸(a=127mm)が水平方向、湾曲面110が上になるように水平面に設置する。
保存後の試験片10の上面における幅方向の中央部に、消毒用エタノール(15℃で76.9〜81.4体積%)を含んだ帯状のガーゼ20を試験片10の長さ方向に延びるように設置し、試験片10上のガーゼ20をフィルム30で覆う。この状態の試験片10の長さ方向の第1の縁10aを治具100の湾曲面110の短軸側の縁110aに合わせ、試験片10の下面が治具100の湾曲面110に密着するように試験片10を湾曲させた状態で、23℃、50%RHの条件下で24時間静置する。静置後の試験片10を治具100から取り外し、試験片10に生じたクラックの最も第1の縁10aに近い側の端と第1の縁10aとの長さ方向の距離をd(mm)とし、下記式(1)から臨界歪みε(%)を算出する。成形した試験片3本に対し、上記測定を行い、臨界歪みεの平均値(%)を求めた。
【0015】
【数1】
【0016】
ただし、式(1)中、tは試験片10の厚さ(mm)である。
【0017】
他の試験治具として、凸曲面を形成した治具を用い、試験片を凸曲面に沿わせて曲げた状態で治具の上に配置し、試験片の両側端部を留め具で固定する。治具の凸曲面の上に試験片を曲げた状態で固定することにより、試験片の表面に0.15%、0.30%、0.45%、0.60%、1.00%の歪をかけ試験する方法もある。
【0018】
アロイ樹脂の引張強度は、60MPa以上90MPa以下が好ましく、62MPa以上80MPa以下がより好ましい。アロイ樹脂の引張強度が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の鉛筆硬度が向上する。アロイ樹脂の引張強度が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の加工性が良好となる。
アロイ樹脂の引張強度は、射出成形加工条件等によって調節できる。
なお、アロイ樹脂の引張強度は、JIS K7127に準拠して測定される。
【0019】
アロイ樹脂の伸びは、8%以上40%以下が好ましく、9%以上30%以下がより好ましい。アロイ樹脂の伸びが前記範囲の下限値以上であれば、成形品の耐溶剤性が向上する。アロイ樹脂の伸びが前記範囲の上限値以下であれば、成形品の加工性が良好となる。
アロイ樹脂の伸びは、射出成形加工条件等によって調節できる。
なお、アロイ樹脂の伸びは、JIS K7127に準拠して測定される。
【0020】
アロイ樹脂の引張弾性率は、2,000MPa以上3,500MPa以下が好ましく、2,500MPa以上3,000MPa以下がより好ましい。アロイ樹脂の引張弾性率が前記範囲の下限値以上であれば、成形品の鉛筆硬度が向上する。アロイ樹脂の引張弾性率が前記範囲の上限値以下であれば、成形品の経済性が良好となる。
アロイ樹脂の引張弾性率は、PVC系樹脂とMMA系樹脂との質量比等によって調節できる。
なお、アロイ樹脂の引張弾性率は、JIS K7127に準拠して測定される。
【0021】
PVC系樹脂は、塩化ビニル由来の繰り返し単位(以下、「塩化ビニル単位」とも記す。)の割合が全繰り返し単位に対して50質量%超の重合体である。PVC系樹脂は、塩化ビニルの単独重合体であってもよく、塩化ビニルと、塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体との共重合体であってもよい。PVC系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
アロイ樹脂に含まれるPVC系樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0022】
PVC系樹脂中の塩化ビニル単位の割合は、全繰り返し単位に対して、75質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、85質量%以上がさらに好ましく、98質量%以上が特に好ましい。
【0023】
塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体としては、特に限定されず、例えば、脂肪酸ビニルエステル、アクリレート、メタクリレート、シアン化ビニル、ビニルエーテル、α−オレフィン、不飽和カルボン酸又はその酸無水物、塩化ビニリデン、臭化ビニル、各種ウレタン等が挙げられる。
【0024】
脂肪酸ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニル等が挙げられる。アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等が挙げられる。メタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等が挙げられる。シアン化ビニルとしては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。ビニルエーテルとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニルオクチルエーテル等が挙げられる。α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。不飽和カルボン酸又はその酸無水物類としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。
塩化ビニルと共重合可能なビニル系単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
PVC系樹脂の平均重合度は、400以上1200以下が好ましく、500以上800以下がより好ましく、550以上700以下がさらに好ましい。PVC系樹脂の平均重合度が前記範囲の下限値以上であれば、鉛筆硬度が向上する。PVC系樹脂の平均重合度が前記範囲の上限値以下であれば、成形加工性が向上する。
なお、平均重合度は、JIS K 6720−2によって測定される。
【0026】
塩化ビニル系樹脂としては、硬質塩化ビニル樹脂であってもよく、軟質塩化ビニル樹脂であってもよいが、成形品の表面硬度が高く、耐傷付き性に優れる点から、硬質塩化ビニル系樹脂が好ましい。
【0027】
MMA系樹脂は、メチルメタクリレート(MMA)由来の繰り返し単位(以下、「MMA単位」とも記す。)の割合が全繰り返し単位に対して80質量%以上の重合体である。MMA系樹脂は、MMAの単独重合体であってもよく、MMAと、MMA以外の(メタ)アクリレートとの共重合体であってもよい。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレートとアクリレートの総称である。
MMA系樹脂が共重合体である場合、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよい。
アロイ樹脂に含まれるMMA系樹脂は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0028】
MMA系樹脂中のMMA単位の割合は、全繰り返し単位に対して、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。MMA単位の割合が前記範囲の下限値以上であれば、成形性が向上する。
【0029】
MMA以外の(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートを例示できる。
MMA系樹脂に用いるMMA以外の(メタ)アクリレートは、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
【0030】
MMA系樹脂の重量平均分子量は、10,000以上600,000以下が好ましく、20,000以上400,000以下がより好ましい。MMA系樹脂の重量平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、鉛筆硬度が向上する。MMA系樹脂の重量平均分子量が前記範囲の上限値以下であれば、強度が向上する。
【0031】
MMA系樹脂の数平均分子量は、5,000以上300,000以下が好ましく、10,000以上200,000以下がより好ましい。MMA系樹脂の数平均分子量が前記範囲の下限値以上であれば、鉛筆硬度が向上する。MMA系樹脂の数平均分子量が前記範囲の上限値以下であれば、強度が向上する。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィを用いて測定されるポリスチレン換算の平均分子量である。
【0032】
MMA系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1.0g/10分以上20g/10分以下が好ましく、2.0g/10分以上15g/10分以下がより好ましい。MMA系樹脂のMFRが前記範囲の下限値以上であれば、加工性が良好となる。MMA系樹脂のMFRが前記範囲の上限値以下であれば、鉛筆硬度が向上する。
なお、MFRは、JIS K 7210に準拠し、荷重37.3N、温度230℃の条件で測定される。
【0033】
PVC系樹脂とMMA系樹脂とが質量比は、40:60〜70:30であり、40:60〜60:40が好ましい。PVC系樹脂の割合が高いほど、耐溶剤性が向上する。MMA系樹脂の割合が高いほど、表面硬度が向上する。
【0034】
アロイ樹脂中のPVC系樹脂とMMA系樹脂の合計の割合は、アロイ樹脂の総質量に対して、80質量%以上が好ましく、85質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
【0035】
本発明のアロイ樹脂は、本発明の効果を損なわない範囲であれば、必要に応じて熱安定剤、光安定剤、滑剤、充填剤等の添加剤を添加することができる。
本発明のアロイ樹脂の形態は、特に限定されず、例えば、ペレット状を例示できる。
【0036】
本発明のアロイ樹脂の製造方法は、特に限定されず、例えば、従来のスクリュを備えた射出成形装置等を用いる方法を例示できる。
【0037】
以上説明した本発明のアロイ樹脂は、PVC系樹脂とMMA系樹脂の質量比が特定の比率に制御され、鉛筆硬度及び臨界歪みεが高く制御されているため、耐傷付き性及び耐溶剤性に優れている。
本発明のアロイ樹脂の用途は、特に限定されず、例えば、車両や建材や家電等に用いられる射出成形品に使用できる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
[鉛筆硬度]
鉛筆硬度は、JIS K5600−5−4に準拠して測定した。
【0039】
[耐溶剤性試験]
各例において、図1に示すように、射出成形法によって、厚さ1.5mm、幅30mm、長さ125mmの矩形の板状の試験片10を成形して、デシケーター内に1日保存した。
図2に示すように、長径2aが254mm、短径2bが76.2mmの楕円柱が短軸を通る面と長軸を通る面で1/4に切断された形状の治具100を、短軸(b=38.1mm)が鉛直方向、長軸(a=127mm)が水平方向、湾曲面110が上になるように水平面に設置した。
保存後の試験片10の上面における幅方向の中央部に、消毒用エタノール(15℃で76.9〜81.4体積%)を含んだ帯状のガーゼ20を試験片10の長さ方向に延びるように設置した。試験片10上のガーゼ20を、フィルム30であるポリマラップ(登録商標)で覆った。この状態の試験片10の長さ方向の第1の縁10aを治具100の湾曲面110の短軸側の縁110aに合わせ、試験片10の下面が治具100の湾曲面110に密着するように試験片10を湾曲させた状態で、23℃、50%RHの条件下で24時間静置した。静置後の試験片10を治具100から取り外し、試験片10に生じたクラックの最も第1の縁10aに近い側の端と第1の縁10aとの長さ方向の距離をd(mm)とし、前記式(1)から臨界歪みε(%)を算出した。成形した試験片3本に対し、上記測定を行い、臨界歪みεの平均値(%)を求めた。
なお、厚み1.5mmでのクラック発生距離dが111mm以上の場合の臨界歪みεは「1.00(%)以上」とした。
【0040】
[実施例1]
PVC系樹脂としてTJZ−1230(商品名、信越ポリマー社製、塩化ビニル単位の割合:87質量%、平均重合度:700)70質量部と、MMA系樹脂としてアクリペット VH(商品名、三菱ケミカル社製、MMA単位の割合:90質量%、重量平均分子量:90,000、数平均分子量:50,000、MFR:2.0g/10分)30質量部とを用い、射出成形によって、アロイ樹脂からなる厚さ1.5mm、幅30mm、長さ125mmの板状の成形品(試験片)を作製した。
【0041】
[実施例2]
PVC系樹脂とMMA系樹脂の質量比を50:50に変更した以外は、実施例1と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0042】
[実施例3]
PVC系樹脂としてTJX−2158(商品名、信越ポリマー社製、塩化ビニル単位の割合:87質量%、平均重合度:550)70質量部と、MMA系樹脂としてデルペット 80N(商品名、旭化成社製、MMA単位の割合:95質量%、重量平均分子量:100,000、数平均分子量:60,000、MFR:6.0g/10分)30質量部を用いる以外は、実施例1と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0043】
[実施例4]
PVC系樹脂とMMA系樹脂の質量比を50:50に変更した以外は、実施例3と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0044】
[実施例5]
PVC系樹脂とMMA系樹脂の質量比を40:60に変更した以外は、実施例1と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0045】
[比較例1]
PVC系樹脂を100質量部とし、MMA系樹脂を用いない以外は、実施例1と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0046】
[比較例2]
MMA系樹脂を100質量部とし、PVC系樹脂を用いない以外は、実施例1と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0047】
[比較例3]
MMA系樹脂を100質量部とし、PVC系樹脂を用いない以外は、実施例3と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0048】
[比較例4]
PVC系樹脂とMMA系樹脂の質量比を30:70に変更した以外は、実施例1と同様にして成形品(試験片)を作製した。
【0049】
各例の製造条件及び評価結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、実施例1〜5のアロイ樹脂は、鉛筆硬度が高く耐傷付き性に優れ、耐溶剤性にも優れていた。
PVC系樹脂単独の比較例1では、鉛筆硬度が低く、耐傷付き性が劣っていた。MMA系樹脂単独の比較例2、3、及びPVC系樹脂の割合が低い比較例4では、耐溶剤性が劣っていた。
なお、実施例1,3は比較例である。
【符号の説明】
【0052】
10…試験片、20…ガーゼ、30…フィルム、100…治具、110…湾曲面。
【要約】
【課題】本発明は、耐傷付き性及び耐溶剤性に優れた成形品が得られるアロイ樹脂を提供することを目的とする。
【解決手段】塩化ビニル系樹脂とメチルメタクリレート系樹脂とが質量比40:60〜70:30で配合され、JIS K5600−5−4に準拠して測定される鉛筆硬度がH以上4H以下であり、長径2aが254mm、短径2bが76.2mmの楕円柱が短軸を通る面と長軸を通る面で1/4に切断された形状の治具100を用いたベンディングフォーム法による耐溶剤性試験で測定される臨界歪みεが0.45%以上である、アロイ樹脂。
【選択図】図2
図1
図2