(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871477
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】コア成分を含むゼラチン製品、および当該ゼラチン製品を製造する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/42 20170101AFI20210426BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20210426BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20210426BHJP
A61K 47/10 20060101ALI20210426BHJP
A61K 9/00 20060101ALI20210426BHJP
A61K 31/616 20060101ALI20210426BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20210426BHJP
A61K 9/40 20060101ALI20210426BHJP
A61K 9/64 20060101ALI20210426BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20210426BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20210426BHJP
A23L 33/18 20160101ALI20210426BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20210426BHJP
A23L 33/16 20160101ALI20210426BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20210426BHJP
A61P 29/00 20060101ALN20210426BHJP
A23G 3/34 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
A61K47/42
A61K47/26
A61K47/36
A61K47/10
A61K9/00
A61K31/616
A61K31/375
A61K9/40
A61K9/64
A61K47/38
A23L29/281
A23L33/18
A23L33/15
A23L33/16
A23L33/105
!A61P29/00
!A23G3/34 101
【請求項の数】21
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2020-505966(P2020-505966)
(86)(22)【出願日】2018年3月19日
(65)【公表番号】特表2020-516687(P2020-516687A)
(43)【公表日】2020年6月11日
(86)【国際出願番号】EP2018056877
(87)【国際公開番号】WO2018188902
(87)【国際公開日】20181018
【審査請求日】2019年12月24日
(31)【優先権主張番号】102017107845.2
(32)【優先日】2017年4月11日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502084056
【氏名又は名称】ゲリタ アクチェンゲゼルシャフト
(73)【特許権者】
【識別番号】519366112
【氏名又は名称】ビンクラー ウント デュンネビアー スースバーレンマシネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(72)【発明者】
【氏名】エーベルハルト ディック
(72)【発明者】
【氏名】ザーラ エンゲルハルト
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンナ シュミットガル
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ブラック
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ バインス
【審査官】
伊藤 幸司
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−009901(JP,A)
【文献】
特表2011−512830(JP,A)
【文献】
特表2014−516995(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/193300(WO,A1)
【文献】
特開2011−234654(JP,A)
【文献】
Food Reviews International,2007年,23(2),pp.159-174
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K
A23L
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア成分を含むゼラチン製品であって、ここで当該コア成分がゼラチンゲルによって部分的または完全に包まれており、ゼラチンゲルは水に溶解した以下の構成要素を含む均質なキャスティング化合物から製造されることを特徴とする、ゼラチン製品:
− ゲルクロマトグラフィーで測定した平均分子量が、少なくとも130kDaであって、ここで100kDaを超える分子量画分の割合は、少なくとも35wt%のゼラチン;
− 乾物含量80wt%、および60℃の温度で測定した粘度が1000mPa・s未満である、15〜60wt%のグルコースシロップ;および
− 15〜60wt%のスクロース、
ここでキャスティング化合物は、少なくとも70wt%の乾物重量を含む。
【請求項2】
前記キャスティング化合物は、一つまたは複数の香味剤、着色剤、および/または酸性化剤も含む、請求項1に記載のゼラチン製品。
【請求項3】
前記ゼラチンは、5〜12wt%の割合でキャスティング化合物中に含まれる、請求項1または2に記載のゼラチン製品。
【請求項4】
前記グルコースシロップおよび/または前記スクロースは、いずれの場合にもキャスティング化合物中に20〜40wt%の割合で含まれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項5】
前記グルコースシロップは、50以上のデキストロース当量を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項6】
前記キャスティング化合物は、80wt%までの割合で一つまたは複数の代替糖も含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項7】
前記一つまたは複数の代替糖は、ポリデキストロース、水素化グルコースシロップ、および難消化性デキストリンから選択され、ならびに/または、前記一つまたは複数の糖アルコールは、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、およびグリセロールから選択される、請求項6に記載のゼラチン製品。
【請求項8】
前記キャスティング化合物は、一つまたは複数のさらなる親水コロイド、具体的にはペクチン、アガー、カラギーナン、またはデンプンも含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項9】
前記コア成分は、固形物質混合物から、圧縮(compression)、圧縮(compaction)、打錠、または造粒により製造される成形体である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項10】
前記成形体は、前記ゼラチン製品を視覚的に認識できるようにする特徴的な形状、表面構造、および/または色を有する、請求項9に記載のゼラチン製品。
【請求項11】
前記コア成分は、一つまたは複数の糖、代替糖、および/または多糖類を基本成分として含む、請求項1〜10のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項12】
前記コア成分の前記一つまたは複数の基本成分は、グルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、デンプン、加工デンプン、セルロース、加工セルロース、およびそれらの混合物から選択される、請求項11に記載のゼラチン製品。
【請求項13】
前記コア成分は、一つまたは複数の医薬活性物質、および/または栄養素も含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項14】
前記コア成分は、吸湿性を有する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項15】
前記ゼラチン製品は、80wt%を超える乾物含量、および/または0.75未満の水分活性(aw値)を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項16】
前記コア成分は、前記ゼラチン製品の総質量の2〜60%の割合を占める、請求項1〜15のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項17】
前記ゼラチン製品の総質量は、1〜10gの範囲にある、請求項1〜16のいずれか一項に記載のゼラチン製品。
【請求項18】
以下の工程を含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載のコア成分を含むゼラチン製品を製造する方法:
− 75℃以上の温度で、第一の量のキャスティング化合物を中空型(hollow mould)に流し込む;
− 必要に応じて、キャスティング化合物を冷却する;
− 中空型内にコア成分を配置する;
− 75℃以上の温度で、第二の量のキャスティング化合物を中空型に流し込む;
− ゼラチン製品を得るために、中空型内のキャスティング化合物を25℃以下の温度に冷却する;および
− 必要に応じて中空型からゼラチン製品を取り出す。
【請求項19】
前記中空型は、中実中空型(solid hollow mould)である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記キャスティング化合物は、60分未満の期間内に前記中空型内で冷却される、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記中空型の能動冷却により、前記中空型内で前記キャスティング化合物を冷却する、請求項18〜20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コア成分を含むゼラチン製品に関し、ここで、コア成分は、ゼラチンゲルによって部分的、または完全に包まれている。
【0002】
本発明は、また、このタイプのゼラチン製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
以下で使用される一般用語「ゼラチン製品」は、一方では、ゼラチンゲルの程度の差はあるが弾力性のある食感によって主に特徴付けられる、人気のある砂糖菓子製品を含む。ゼラチンに加えて、様々な糖の種類、および/または代替糖がこれらの製品の主成分を形成し、これらの製品は最も広い意味でグミ菓子と呼ばれ、具体的にはグミベアまたはフルーツガムの形態で知られている。
【0004】
一方、そのようなゼラチン製品は、さまざまな栄養素(たとえば、ビタミン、ミネラル、またはペプチド)および/または医薬活性物質が基本レシピに追加される、栄養補助食品および医薬品の分野におけるチュアブル錠としても使用される。この場合、糖度を下げることができ、ここで菓子から栄養補助食品への移行はかなり曖昧である。様々な添加剤または活性物質で強化されたグミ菓子またはチュアブル錠は、たとえば「強化グミ」として知られるものとして提供される。
【0005】
コア成分を含む一般的なゼラチン製品の場合、この種の添加剤は外側のゼラチンゲルではなく、コア成分に含まれている。これには様々な利点がある。たとえば、製造に使用するキャスティング化合物を少なくとも75℃に加熱する必要があるため、温度安定性が不十分な医薬活性物質をゼラチンゲルに簡単に追加することはできなかった。キャスティング化合物中の懸濁液の場合、均質な分布および再現性のある投与を引き起こすことは困難であり、そしてこの種の不溶性物質がゼラチンの濁りの原因となるので、ゼラチンゲルへの非水溶性活性物質または栄養素の添加も好ましくない。最後に、この種の活性物質または栄養素の色と味は、嗜好性に非常に悪影響を及ぼす可能性があり、または製造された製品の好ましくない化学的または物理的性質(たとえば、高pH値、加水分解に対する感受性、等)のために不可能でさえありうる。
【0006】
したがって、たとえば固形物質混合物に基づくことができるコア成分は、特に活性物質の熱負荷がはるかに低いため、広範囲の活性物質および/または栄養素をゼラチン製品の形態で投与するための有利な可能性となる。したがって、一般に、それ以外の場合標準である高い過剰投与量は、もはや必要でないか、または特定の活性物質を追加することが可能となり、それは、多くの場合高価である活性物質成分のはるかに経済的な使用につながり、または新製品の開発を可能にする。
【0007】
以前に使用されたゼラチン製品の製造方法は、モーグル技術として知られている。この方法では、約25wt%の含水量を有し、ゼラチン、糖、および水に溶解した他の成分を含む熱いキャスティング化合物を、デンプン成形粉末から形成された中空型に注ぐ。中空型は、乾燥デンプン粉末を充填した平らなトレイの滑らかな表面に押し込み金型を押し込むことによって事前に作成される。中空型が充填されると、デンプン粉末トレイは気候室で24〜72時間保管される。この時間の間に、中空型内のキャスティング化合物が冷却され、それによって注型品が硬化する。これと並行して、乾燥工程が行われるように、いくらかの水がデンプン成形粉末に吸収され、ここで微生物学的安定性を確保するa
wを達成するように、完成ゼラチン製品は一般に、20wt%以下の含水量を有する。粉末と例は空になり、デンプン成形粉末はふるい分けによってゼラチン製品から分離され、そして乾燥後に再利用される。ゼラチン製品は、粘着を防ぐために離型剤または結晶化糖(「潤滑剤」または糖衣)で処理され、包装される。
【0008】
中空型の製造へのデンプン成形粉末の使用は、様々な欠点が伴う。既知のレシピを使用してデンプン成形粉末に流し込まれたゼラチン製品の長い乾燥時間(24〜72時間)のため、1分あたり最大35個の粉末トレイに流し込みをする、好適に高性能のモーグルプラントの場合、大きな乾燥室および非常に多くの成形粉末トレイが必要である。したがって、必要スペース、ならびに気候制御、成形粉末トレイ、デンプン乾燥機、および特にデンプン成形パウダーに必要な投資は相当なものである。
【0009】
モーグル法のさらなる欠点は、以前に製造された製品の汚染が常にデンプンに残り、そしてデンプン成形粉末の継続的な再利用により新しい製品に取り込まれる可能性があるため、製品変更の際の相互汚染のリスクである。この問題は、各製品を変更する前にデンプン成形粉末をすべて廃棄することによってのみ回避できるが、これは完全に不経済である。
【0010】
既知の製造方法の記載された欠点は、特に医薬品の製造にとって非常に重要である。衛生(デンプン粉末による汚染)および純度(相互汚染)に関して、モーグル技術は医薬品基準(GMPガイドライン)の要求を満たしていないため、したがって、グミ菓子やチュアブル錠の医薬剤形としての応用分野は厳しく制限されている。これは、コア成分を含むゼラチン製品についても、より具体的にはゼラチンゲルおよび/またはコア成分に活性物質が含まれているかどうかに関係なく、制限(たとえば熱負荷)にも当てはまる。キャスティング(流し込み)プロセスの範囲内でコア成分をゼラチン製品に導入しなければならないため、デンプン型の基本的な不安定性のために工程の流れの中でさらなる問題が発生する可能性もある。
【0011】
このタイプのゼラチン製品を流し込むための中実の再利用可能な中空型(特にプラスチック材料製)の使用は、以前は経済的および技術的な理由で失敗した。そのような方法は、他の急速に固化する親水コロイド(たとえばペクチン)に基づく糖菓製品の製造で実際に知られており、それによりキャスティング化合物の低粘度が可能になる。しかし、これらの製品の官能特性は大きく異なるため、消費者はゼラチン製品の代替品とは見なしていない。
【0012】
中実の中空型で既知のゼラチンベースのキャスティング化合物を乾燥させることはできない。その場合、水は開いた上側からのみ逃げることができるからである。これは、完全かつ均質な乾燥には不十分である。製品の表面は中心部と比較してより速く乾燥し、そして内側からの水の拡散が抑制されるため(膜の形成)、離型後の後続の乾燥も同様に問題があり実装が困難である。
【0013】
異なる、時には相反する基本条件を観察する必要があるため、レシピの変更は非常に困難である:一方では、キャスティング化合物のレオロジー特性は、キャスティングプロセスに好適でなければならず、他方では、最終製品は消費者が期待するゼラチン製品の典型的な食感を有するべきである。
【発明の概要】
【0014】
したがって、本発明の目的は、コア成分を含むゼラチン製品を提案することであり、その製品は、医薬製品に好適な方法を使用して、特に中実中空型にゼラチンゲルを流し込むことにより製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この目的は、ゼラチンゲルが水に溶解した以下の構成要素を含む均質なキャスティング化合物から製造されるという点で、冒頭(introduction)で述べたタイプのゼラチン製品の場合に、本発明に従って達成される:
− ゲルクロマトグラフィーで測定した平均分子量が、少なくとも130kDa、好ましくは少なくとも145kDaであって、ここで100kDaを超える分子量画分の割合は、少なくとも35wt%、好ましくは少なくとも45wt%である、3〜20wt%のゼラチン;
− 乾物含量80wt%、および60℃の温度で測定した粘度が1000mPa・s未満、好ましくは800mPa・s未満である、60wt%まで、好ましくは15〜60wt%グルコースシロップ;および
− 60wt%まで、好ましくは15〜60wt%のスクロース、
ここでキャスティング化合物は、少なくとも70wt%の乾物重量を含む。
【0016】
驚くべきことに、注いだ後の冷却中に、この組成を有するキャスティング化合物は、この目的のために著しい乾燥、すなわち水分の放出を必要とせず、単にゼラチンを硬化するだけで、ゼラチン製品に典型的な食感および粘稠度を達成できることが見出された。これは、キャスティング化合物が、本発明によるゼラチン製品の、製造されるゼラチンゲルと実質的に同一の低含水量を既に有することで可能になる。
【0017】
先行技術と比較してより高い乾燥物質含有量にも関わらず、キャスティング化合物は、その成分のために、従来法での処理を可能にするレオロジー特性を有する。一方では、熱いキャスティング化合物の十分に低い粘度、および他方では、冷却中の系の急速な凝固が決定的な要因である。この方法でのみ、望ましくない現象、たとえばフィラメントの形成、および/または空気の混入を、良好な成形性とともに回避できる。
【0018】
これらの特性により、本発明によるゼラチン製品の製造の場合、特にプラスチック材料、たとえばシリコーン、ポリカーボネートまたはPETで作られた中実中空型にキャスティング化合物を流し込むことができる。過去に使用されたデンプン成形粉末の省略(omission)から生じる利点に加え、キャスティング化合物は、一般に60分未満で十分に固体であり、過剰付着なく離型することができるために、これは製造方法の大幅な短縮にもつながる。対照的に、デンプン成形粉末の既知のレシピを使用して流し込まれた製品は、乾燥するのに24〜72時間かかる。この場合、離型の速度決定工程は乾燥であり、ゲル形成ではない。ゲル形成の加速は、乾燥の大幅な減速にさえつながり、したがって好都合ではないだろう。
【0019】
したがって、本発明は、単位時間当たりの生産性が同等であるため、ゼラチン製品を冷却するのに必要なスペースを大幅に削減し、それは中空型への投資、およびもはや必要でない乾燥のための保管スペース、および運用コスト(デンプンの乾燥または保管エリアの気候制御なし)を大幅に削減することにつながる。
【0020】
本発明によるゼラチン製品に使用されるキャスティング化合物は、上記の量の範囲内で含まれる成分の共同作用により、表明した目的を達成する。本発明の本質的な特徴は、ゲルクロマトグラフィーにより決定される少なくとも130kDaの平均分子量を有する高分子ゼラチンの選択であり、ここで100kDaを超える分子量画分の割合は少なくとも35wt%である。そのようなゼラチンは、様々なコラーゲン含有材料、特にブタ、ウシ、家禽または魚の結合組織または骨から得ることができる。
【0021】
香味剤、着色剤および/または酸性化剤をキャスティング化合物のさらなる成分として含むことができ、ここでそのような添加剤の典型的な量の割合は従来技術から知られている。従来の食用酸、好ましくはクエン酸が酸性化剤として使用される。
【0022】
ゼラチンは、3〜20wt%の割合でキャスティング化合物に含まれ、ここで5〜12wt%、具体的には6〜10wt%の割合が好ましい。この範囲内で、典型的な食感、特に高い弾力性を有するゼラチン製品が得られる。
【0023】
グルコースシロップ、およびスクロースは、いずれの場合にも60wt%まで、好ましくは(無糖ゼラチン製品の場合を除いて)いずれの場合にも15〜60wt%の割合で、キャスティング化合物中に含まれてもよい。キャスティング化合物は、より好ましくは、いずれの場合にも20〜40wt%のグルコースシロップ、および/またはスクロースを含む。しかし、これらの成分は、無糖製品の生産では省略することもでき、そして対応する割合の代替糖、具体的には糖アルコールに置き換えることができる。
【0024】
グルコースシロップの使用により、これは、乾物含量80wt%、および60℃の温度で測定して、1000mPa・s未満、好ましくは800mPa・s未満の粘度を有する。グルコースシロップは、好都合には、50以上、好ましくは60以上のデキストロース当量を有する、硬度に加水分解されたグルコースシロップである。
【0025】
本発明のさらなる実施形態では、キャスティング化合物はまた、一つまたは複数の代替糖、具体的には糖アルコールを、80wt%まで、好ましくは10〜50wt%の割合で含む。代替糖の使用により、一方ではスクロース、および/またはグルコースシロップの量を減らすことができ(無糖製品の場合はゼロまで)、他方では糖アルコールもキャスティング化合物の好ましいレオロジー特性に寄与する。
【0026】
一つまたは複数の糖アルコールは、好ましくはソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、およびグリセロールから選択される。他の代替糖が使用される場合、これらは、好ましくはポリデキストロース、水素化グルコースシロップ(たとえばリカシン)、および難消化性デキストリン(たとえばニュートリオース)から選択される。
【0027】
本発明の変形によれば、キャスティング化合物は、ゼラチン製品の特性(たとえば、温度安定性、および弾性)を改変するために、一つまたは複数のさらなる親水コロイド、具体的にはペクチン、アガー、カラギーナン、またはデンプンも含む。さらなる親水コロイドの割合は、好ましくは0.1〜10wt%、特に0.2〜5wt%である。
【0028】
キャスティング化合物から製造されたゼラチンゲルは、製造されたゼラチン製品中にコア成分を包み、上記コア成分の組成および特性は以下で議論される。コア成分は、好ましくはゼラチンゲルによって完全に包まれているが、本発明の範囲内で部分的な包み込みも可能である。
【0029】
原則として、コア成分の組成、および外観は広範囲にわたって変化する可能性があり、そして砂糖菓子製品、または医薬製品における使用に原則的に好適な任意の成分をコア成分の製造に使用できる。コア成分は、固形、ゲル状、または液体であってもよい。
【0030】
本発明の好ましい実施形態では、コア成分は、固形物質混合物から、特に圧縮(compression)、圧縮(compaction)、打錠、または造粒により製造される成形体である。この種のコア成分は、本発明のゼラチン製品の医薬用途に特に好都合である。これに関して、コア成分は、特に医薬錠剤の外観を有することができるが、必要に応じて従来の錠剤と比較して寸法がより小さい。
【0031】
あるいは、「従来の」砂糖菓子製品は、コア成分、たとえばハードキャラメルもしくはチョコレート、またはナッツおよび果物(またはその一部)としても使用できる。
【0032】
本発明の特定の実施形態では、成形体は、ゼラチン製品を視覚的に認識できるようにする特徴的な形状、表面構造、および/または色を有する。特徴的な形状は、特に、成形体が単純な幾何学的形状、たとえば球体、楕円体、または円筒から著しく逸脱することを意味する。特徴的な表面構造は、具体的には模様等の印象であり得る。
【0033】
周囲のゼラチンゲルは通常透明であるため、コア成分の特性により、製品全体に非常に簡単に典型的な外観を提供できる。これは、ゼラチン製品の外形とは無関係である。たとえば、ゼラチン製品の外形を決定する中空型を変更する必要なく、製品固有またはブランド固有のマークを非常に簡単かつ経済的に作成できる。
【0034】
コア成分は、基本構成要素として一つまたは複数の糖、代替糖、および/または多糖類を好ましくは含み、ここでこれらの基本構成要素は、好ましくはコア成分の大部分、すなわち50wt%を超える、より好ましくは70wt%を超える割合を形成する。コア成分の基本成分は、コア成分の基本構成要素は、具体的にはグルコース、フルクトース、ラクトース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、デンプン、加工デンプン、セルロース、加工セルロース、およびそれらの混合物から選択することができる。必要に応じて、コア成分は、錠剤化のための少量の添加剤も含んでもよく、これらは先行技術から知られている(たとえば、流動助剤、付着防止剤)。
【0035】
既に上述したように、コア成分は、一つまたは複数の医薬活性物質、および/または栄養素を含む場合、本発明の範囲内で特に好都合である。したがって、本発明によるゼラチン製品は、たとえば、チュアブル錠の形態で、医薬剤形として、または栄養補助食品として使用することができる。コア成分の好ましい栄養素は、ビタミン、ミネラル、植物抽出物、およびペプチド、具体的にはコラーゲンペプチド(コラーゲン加水分解物)から選択される。
【0036】
医薬用途の分野では、他の点では固形剤形にも適しているすべての活性物質を、原則として、本発明によるゼラチン製品のコア成分に使用することができる。ここでは、単なる例として、鎮痛剤、たとえばアセチルサリチル酸、パラセタモール、またはイブプロフェンが引用されている。しかしながら、その投与量は、既知の固形剤形とは対照的に比較的高く、すなわち、この場合のコア成分は、好ましくは、上記の基本構成要素、および純粋な医薬活性物質を少量含む。
【0037】
既にさらに上記で説明したように、医薬活性物質は、基本構成要素の混合物、特に固形物質混合物に特に好都合に添加でき、そして成形体になるよう圧縮(compression)、圧縮(compaction)、打錠、または造粒してコア成分を製造できる。ゼラチンゲルが形成されるキャスティング化合物への添加とは対照的に、医薬活性物質はここでは熱負荷にさらされない。本発明によるゼラチン製品は、上記のキャスティング化合物の使用により中実中空型に注ぎ込むことができるため、モーグル技術とは対照的に、医薬品の分野で適用される衛生基準(GMPガイドライン)が遵守されていることを保証することが可能である。
【0038】
本発明によるゼラチン製品の製造に関するさらなる重要な利点は、コア成分が吸湿性を有するという点で達成することができる。これは、製造プロセス中にキャスティング化合物によって包まれると、コア成分は、キャスティング化合物およびコア成分の含水量の差およびそれらの吸湿性に応じて、そこから水分を除去することを意味する。拡散のフィックの法則に従った水の拡散による濃度勾配の結果として生じるバランスにより、ゼラチンゲルおよびコア成分の含水量を適切に選択して、十分な微生物学的安定性を備えたa
w値を与えるゼラチン製品の総含水量をもたらす。ここで、コア成分は、必要に応じて軟化または液化されてもよい。コア成分の好適な吸湿性構成要素は、具体的には砂糖および代替糖である。
【0039】
本発明による完成ゼラチン製品は、好ましくは、80wt%を超える乾物含量、および/または0.75未満、好ましくは0.7未満の水分活性(a
w値)を有する。既に述べたように、キャスティング化合物のやや高い含水量も、それに応じて低い含水量を有するコア成分によって補うことができる。
【0040】
コア成分は、通常、ゼラチン製品の総質量の2〜60%、好ましくは5〜40%、具体的には10〜30%の割合を占める。下限は、ゼラチン製品に所望の量の医薬活性物質または栄養素を導入するための管理性および必要な質量から実質的に与えられる。上限は、ゼラチンゲルの割合がコア成分の完全な包み込みを確実にするのに十分でなければならないという事実に基づいて実質的に与えられる。
【0041】
本発明によるゼラチン製品は、典型的には1〜10gの範囲の総質量を有することができ、ここでコア成分の質量は、したがって、好ましくは0.02〜6gの範囲にある。
【0042】
冒頭(introduction)で既に述べたように、本発明の範囲内の用語「ゼラチン製品」は、その外形に関係なく、対応する組成を有するすべての甘い菓子製品、栄養補助食品、または医薬製品を含む。そのような製品の典型的な例は、グミ菓子、フルーツガム、強化グミ、チュアブル錠等である。
【0043】
本発明によるゼラチン製品は、好ましくは、少なくとも80wt%の乾物含量、および/または0.75未満の水分活性(a
w値)を有する。キャスティング化合物に関連して既に説明したように、冷却および硬化中の乾物含有量の増加はない、またはほんのわずかである。
【0044】
本発明は、本発明によるコア成分を含むゼラチン製品を製造する方法にも関し、当該方法は以下の工程を含む:
− 75℃以上の温度で、第一の量のキャスティング化合物を中空型(hollow mould)に流し込む;
− 必要に応じて、特に30〜50℃の温度にキャスティング化合物を冷却する;
− 中空型内にコア成分を配置する;
− 75℃以上の温度で、第二の量のキャスティング化合物を中空型に流し込む;
− ゼラチン製品を得るために、中空型内のキャスティング化合物を25℃以下の温度に冷却する;および
− 必要に応じて中空型からゼラチン製品を取り出す。
【0045】
既に上述した使用された(used)キャスティング化合物の利点のために、本発明による方法は、特に中実中空型での注ぎ込みに好適である。それにも関わらず、本発明による方法は、既知のモーグル技術に従ってデンプン成形粉末中の中空型を用いて実施することもできる。
【0046】
原則として、温度安定性があり(約95℃まで)、そして食品との接触に好適な任意の材料、具体的にはプラスチック材料は、中実中空型の製造に使用できる。その柔軟性のためにゼラチン製品の容易な離型を可能にする、シリコーン製の中空型が特に好ましい。
【0047】
好適なプラスチック材料のさらなる例は、たとえば、ポリカーボネート(PC)、またはポリエチレンテレフタレート(PET)であり、そして異なる特性(酸素バリア性、抗接着性等)が組み合わされた複合材料でもある。中空型は、医薬品用の既知のブリスターパックと同様に、熱成形によってこれらのプラスチックの薄膜から製造できる。これらの材料は、シリコーンよりも経済的であり、それにより、たとえばゼラチン製品に刻印された刻印を有する、個別化した中空型を製造する可能性が開かれる。これらの中空型は、比較的少ない製造サイクルの後に廃棄できる。対照的に、シリコーンは確かにより高価であるが、はるかに長く、はるかに頻繁に使用することができる。
【0048】
キャスティング化合物は、好ましくは60分未満、より好ましくは45分未満の期間内に中空型内で冷却される。その後にゼラチン製品を中空型から既に除去できる、この比較的短い期間は、通常、ゼラチン製品が24〜72時間の乾燥時間後にのみ除去できる、モーグル技術、および当該技術で使用されるキャスティング化合物に比べて大きな利点を構成する。
【0049】
キャスティング化合物は、中空型の能動冷却によって中空型内で冷却されることが好ましく、これは同様にモーグル技術の場合には不可能である。
【0050】
ゼラチン製品を中空型から取り出したら、所望の外観に応じて、離型ワックスで処理するか、またはスクロース、および/またはクエン酸を振りかけてもよい。
【0051】
本発明のさらなる実施形態によれば、ゼラチン製品は、キャスティング化合物の冷却後に中空型から取り出されず、そして代わりに消費者によって消費されるまで中空型内に残る。この場合、中空型は通常、ブリスターパックの一部として形成され、たとえばPC、PET、または複合材料で作られている。本発明によるゼラチン製品は、この種のブリスターパックで製造することができ、そして医薬剤形として販売することができる。
【0052】
本発明のこれら、およびさらなる利点は、以下の実施例に基づいてより詳細に説明される。
【実施例】
【0053】
本発明によるゼラチン製品は、以下に記載する方法に従って、二つの異なるキャスティング化合物、および六つの異なるコア成分から製造された(実施例1〜6)。
【0054】
ゼラチン製品の製造
この目的のために、ゼラチンを最初に温水(70〜80℃)に完全に溶解し、次にソルビトールおよびグリセロールを必要に応じて添加し、そして混合物を均一に攪拌し、そして再び70〜80℃に加熱した。
【0055】
並行して、グルコースシロップ、スクロース、および必要に応じてペクチンを水中で圧力下で少なくとも110℃で沸騰させることにより、いわゆる糖スラリーが生成された。以前に調製したゼラチン溶液を、糖スラリーの加熱の前または後に添加した(必要に応じてソルビトールおよびグリセロールを添加した)。後続する添加の場合、糖スラリーを約100℃に冷却し、そしてゼラチン/ソルビトール溶液を合わせた。この混合物を真空下で脱気し、流し込み温度まで冷却した。脱気中、組成物の含水量も、乾物含有量が少なくとも70wt%になる程度まで減少した。
【0056】
次に、酸性化剤としてのクエン酸、ならびに着色剤および香味剤を添加し、キャスティング化合物を二段階でシリコーン製の中空型(実施例1〜5)、またはPETブリスターパックの中空型(実施例6)に充填した。この目的のために、WINKLER und DUENNEBIER Suesswarenmaschinen GmbH(Rengsdorf)のデンプンフリーの流し込み用パイロット設備が使用された。二つの注入工程間のコア成分(以下を参照)の中央配置は、WINKLER und DUENNEBIER社の特別なインストールコンポーネント(「ピックアンドプレース」インサーター)によって同様に実行された。
【0057】
キャスティング化合物の充填量は、いずれの場合にも3〜5gであった。周囲温度12℃未満で最大60分の冷却時間の後、本発明によるゼラチン製品(グミ菓子/チュアブル錠)を離型することができた。製品は、離型ワックスを使用して必要に応じて潤滑するか、または砂糖とクエン酸をふりかけてから包装できる。
【0058】
コア成分は、市販の打錠機を使用して、それぞれの場合に指定された組成を有する固形物質混合物(粉末混合物)から製造された。そうすることで、形状、および重量に関する様々なバリエーションも実現された。もちろん、他の成形方法も、以下で説明する粉末混合物に好適である。
【0059】
キャスティング化合物の組成
それぞれの実施例のキャスティング化合物の組成を以下の表に示す。糖スラリーを加熱する前に、ゼラチン溶液を加えた(必要に応じてソルビトールおよびグリセロールを加えた)。
【0060】
【表1】
【0061】
コア成分の組成
コア成分の組成、形状、および重量は、それぞれの実施例について以下に特定される。
【0062】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【0063】
製造方法および製造されたゼラチン製品のパラメータ
以下の表に、キャスティング化合物、コア成分、製造方法、および製造されたゼラチン製品(最終製品)の関連パラメータを示す。
【0064】
【表3-1】
【表3-2】