(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6871487
(24)【登録日】2021年4月19日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】光硬化型樹脂フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
B29C 35/10 20060101AFI20210426BHJP
B29C 35/08 20060101ALI20210426BHJP
B29C 39/14 20060101ALI20210426BHJP
B29C 41/24 20060101ALI20210426BHJP
B29L 7/00 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
B29C35/10
B29C35/08
B29C39/14
B29C41/24
B29L7:00
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2021-510481(P2021-510481)
(86)(22)【出願日】2020年9月30日
(86)【国際出願番号】JP2020037298
【審査請求日】2021年3月5日
(31)【優先権主張番号】特願2019-186616(P2019-186616)
(32)【優先日】2019年10月10日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000206473
【氏名又は名称】大倉工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】西 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】矢野 隆久
【審査官】
北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−250516(JP,A)
【文献】
特開2006−306081(JP,A)
【文献】
特開2007−290364(JP,A)
【文献】
特開2014−076557(JP,A)
【文献】
特開2017−024227(JP,A)
【文献】
特表2019−507206(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 41/00−41/36
B29C 41/46−41/52
B29C 35/00−35/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルムの一方の表面に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、積層体とした後、前記積層体の、前記ベースフィルム側及び前記光硬化型樹脂組成物層側の少なくとも一方の面から、前記光硬化型樹脂組成物層に紫外線を照射することで、前記光硬化型樹脂組成物層を硬化させる、光硬化型樹脂フィルムの製造方法であって、前記紫外線の少なくとも一つが、前記光重合開始剤の紫外線吸収波長帯のみに発光ピークを有し、波長が380nm〜410nmの範囲に単一の発光ピークを有する光源により照射され、前記ベースフィルムの透過中間波長をλBF(nm)、前記紫外線吸収剤のうち透過中間波長の値が最も大きい紫外線吸収剤の透過中間波長をλA(nm)、前記ベースフィルム側の光源の発光ピークの波長をλBL(nm)、前記光硬化型樹脂組成物層側の光源の発光ピークの波長をλRL(nm)としたとき、λBF<λA<λBL及び/又はλA<λRLであることを特徴とする光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【請求項2】
ベースフィルム及びカバーフィルムの間に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、積層体とした後、前記積層体の、前記ベースフィルム側及び前記カバーフィルム側の少なくとも一方の面から、前記光硬化型樹脂組成物層に紫外線を照射することで、前記光硬化型樹脂組成物層を硬化させる、光硬化型樹脂フィルムの製造方法であって、前記紫外線の少なくとも一つが、前記光重合開始剤の紫外線吸収波長帯のみに発光ピークを有し、波長が380nm〜410nmの範囲に単一の発光ピークを有する光源により照射され、前記ベースフィルムの透過中間波長をλBF(nm)、前記カバーフィルムの透過中間波長をλCF(nm)、前記紫外線吸収剤のうち透過中間波長の値が最も大きい紫外線吸収剤の透過中間波長をλA(nm)、前記ベースフィルム側の光源の発光ピークの波長をλBL(nm)、前記カバーフィルム側の光源の発光ピークの波長をλCL(nm)としたとき、λBF<λA<λBL及び/又はλCF<λA<λCLであることを特徴とする光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【請求項3】
前記積層体が、前記ベースフィルム上に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物を、フィルム状に流延することで、少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、前記光硬化型樹脂組成物層の上に前記カバーフィルムを積層して形成されることを特徴とする請求項2に記載の光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【請求項4】
前記カバーフィルムを前記光硬化型樹脂組成物層の上に積層する前に、あらかじめ、前記カバーフィルムの前記光硬化型樹脂組成物層側の表面に、少なくとも一層の、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる層を形成することを特徴とする請求項3に記載の光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【請求項5】
前記ベースフィルム及び/又は前記カバーフィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする、請求項2乃至4の何れかに記載の光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【請求項6】
前記光源が発光ダイオードからなることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【請求項7】
前記紫外線吸収剤の透過中間波長λAが350nm以上であることを特徴とする、請求項1乃至6の何れかに記載の光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の光硬化型樹脂組成物を主に紫外線領域の光の照射により硬化させ硬質フィルムを形成する光硬化型樹脂フィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アクリル系などの光硬化型樹脂フィルムは、ガラスに比べ割れにくいという特性を有している。このため、近年、従来ガラスが使用されていた分野にも広く使用されるようになってきている。また、光硬化型樹脂フィルムは熱可塑性樹脂フィルムに比べると耐熱性と硬度が高く、耐熱性と硬度が必要とされる新たな利用分野での使用が期待されている。例えば、加飾成型用として、フィルム表面に絵柄を印刷後、加熱により軟化させた状態で3次元成形を行うインサートフィルムが挙げられる。加飾成型用途で使用される光硬化型樹脂フィルムには紫外線遮断性が求められ、多くの場合に紫外線吸収剤が添加されている。
【0003】
これまで、光硬化型樹脂からなるフィルムの製造について、いくつかの方法が提案されている。例えば、特開2006−306081(文献1)には、液状の光硬化型樹脂を平滑なベースフィルム上にフィルム状に流延して光硬化性樹脂層を形成し、光硬化性樹脂層の上に平滑な紫外線透過カバーフィルムを積層して積層体としたのち、積層体に紫外線を照射することで光硬化型樹脂フィルムを製造する方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、紫外線吸収剤を含有する光硬化型樹脂フィルムを、上述の製造方法により製造する場合、紫外線吸収剤を含有していることに起因する特有の課題が発生する。すなわち、紫外線吸収剤を含有する光硬化型樹脂組成物を、紫外線を照射することにより硬化させる場合、通常の光硬化反応熱に、紫外線吸収剤が紫外線を吸収する際に発する熱が加算されるため、紫外線吸収剤を含有しない光硬化型樹脂組成物を紫外線の照射により硬化させる場合に比べ、積層体の温度が高くなる。さらに、硬化反応に寄与する紫外線の一部が紫外線吸収剤に吸収されるため、紫外線が重合開始剤に到達しにくくなる。硬化反応を進め反応率を高めるためには、光硬化型樹脂組成物に照射する光の総量(積算光量)を多くする必要があるが、光硬化型樹脂組成物に照射する光の総量を多くすると積層体の温度上昇を引き起こす。積層体の温度上昇は、光硬化後の光硬化型樹脂フィルムとベースフィルム及び/またはカバーフィルムとの剥離不良をもたらし、光硬化型樹脂フィルムの安定した巻取りを阻害する。
【0005】
積層体の温度上昇による剥離不良を解決するために、文献1には、積層体を冷却し、ベースフィルム及びカバーフィルムのガラス転移温度より低い温度で硬化させることが開示され、紫外線照射の際の積層体の冷却は、ピンチロール間でピンチされた平滑な状態で、ベースフィルム側から冷風を吹き付ける空冷により行われている。しかしながら、空冷は冷却効率が悪く、十分な冷却効果を得るために冷風の風量を上げると、積層体がバタつき、得られる光硬化型樹脂フィルムに皺や変形といった外観不良を生じさせる。
【0006】
一方、紫外線照射装置が冷却ロールの外周に沿って配置された冷却ロールによる冷却方法は、冷却効率が良いため、光学フィルム表面へのハードコート層形成等の比較的薄い厚さの樹脂層の硬化の際に使用されている。しかしながら、冷却ロールによる冷却方法は、積層体が曲率を持った状態で光硬化反応が進むため、フィルムのような比較的厚さのあるものの光硬化に適用する場合には、硬化過程で光硬化型樹脂フィルムのロール接触面と非接触面との間に歪や応力差が発生し、平滑なフィルムが得られにくいという問題があり適用できない。
【0007】
以上の如く、紫外線吸収剤を含有する光硬化型樹脂フィルムにおける光硬化後の光硬化型樹脂フィルムとベースフィルム及び/またはカバーフィルムとの剥離不良を抑制する新たな光硬化型樹脂フィルムの製造方法が求められている。
【0008】
なお、本発明における紫外線という文言には、波長が410nm以下の可視光を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−306081公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、紫外線吸収剤を含有する光硬化型樹脂フィルムの製造方法において発生する光硬化後の光硬化型樹脂フィルムとベースフィルム及び/またはカバーフィルムとの剥離不良を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明によると、上記課題を解決するために、ベースフィルムの一方の表面に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、積層体とした後、前記積層体の、前記ベースフィルム側及び前記光硬化型樹脂組成物層側の少なくとも一方の面から、前記光硬化型樹脂組成物層に紫外線を照射することで、前記光硬化型樹脂組成物層を硬化させる、光硬化型樹脂フィルムの製造方法であって、前記紫外線の少なくとも一つが、前記光重合開始剤の紫外線吸収波長帯のみに発光ピークを有する光源により照射され、前記ベースフィルムの透過中間波長をλ
BF(nm)、前記紫外線吸収剤のうち透過中間波長の値が最も大きい紫外線吸収剤の透過中間波長をλ
A(nm)、前記ベースフィルム側の光源の発光ピークの波長をλ
BL(nm)、前記光硬化型樹脂組成物層側の光源の発光ピークの波長をλ
RL(nm)としたとき、λ
BF<λ
A<λ
BL及び/又はλ
A<λ
RLであることを特徴とする光硬化型樹脂フィルムの製造方法が提供される。
【0012】
また、ベースフィルム及びカバーフィルムの間に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、積層体とした後、前記積層体の、前記ベースフィルム側及び前記カバーフィルム側の少なくとも一方の面から、前記光硬化型樹脂組成物層に紫外線を照射することで、前記光硬化型樹脂組成物層を硬化させる、光硬化型樹脂フィルムの製造方法であって、前記紫外線の少なくとも一つが、前記光重合開始剤の紫外線吸収波長帯のみに発光ピークを有する光源により照射され、前記ベースフィルムの透過中間波長をλ
BF(nm)、前記カバーフィルムの透過中間波長をλ
CF(nm)、前記紫外線吸収剤のうち透過中間波長の値が最も大きい紫外線吸収剤の透過中間波長をλ
A(nm)、前記ベースフィルム側の光源の発光ピークの波長をλ
BL(nm)、前記カバーフィルム側の光源の発光ピークの波長をλ
CL(nm)としたとき、λ
BF<λ
A<λ
BL及び/又はλ
CF<λ
A<λ
CLであることを特徴とする光硬化型樹脂フィルムの製造方法が提供される。
【0013】
また、前記積層体が、前記ベースフィルム上に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物を、フィルム状に流延することで、少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、前記光硬化型樹脂組成物層の上に前記カバーフィルムを積層して形成されることを特徴とする前記光硬化型樹脂フィルムの製造方法が提供される。
【0014】
また、前記カバーフィルムを前記光硬化型樹脂組成物層の上に積層する前に、あらかじめ、前記カバーフィルムの前記光硬化型樹脂組成物層側の表面に、少なくとも一層の、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる層を形成することを特徴とする前記光硬化型樹脂フィルム製造方法が提供される。
【0015】
また、前記ベースフィルム及び/又は前記カバーフィルムがポリエステルフィルムであることを特徴とする前記光硬化型樹脂フィルムの製造方法が提供される。
【0016】
さらに、前記紫外線吸収剤の透過中間波長A
λが350nm以上であることを特徴とする前記光硬化型樹脂フィルムの製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明の光硬化型樹脂フィルムの製造方法によれば、紫外線照射による硬化の際の発熱を抑え、積層体の温度上昇を抑制することができるため、光硬化後の光硬化型樹脂フィルムとベースフィルム及び/またはカバーフィルムとの剥離不良を無くし、安定的にロールフィルムを連続して製造することができる。したがって、このような光硬化型樹脂フィルムを安定的に製造できる本発明は、その産業上の利用価値が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る光硬化型樹脂フィルムの製造方法の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る光硬化型樹脂フィルムの製造方法の概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る光硬化型樹脂フィルムの製造方法の概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る光硬化型樹脂フィルムの製造方法の概略図である。
【
図5】本発明における透過中間波長の定義の説明図である。
【
図6】実施例1の製造方法における、光重合開始剤の紫外線吸収スペクトル、紫外線吸収剤の紫外線透過スペクトル及び405nmを発光ピークとする発光ダイオード(以下、LEDと記す)の発光スペクトルの関係を示した図である。
【
図7】比較例1の製造方法における、光重合開始剤の紫外線吸収スペクトル、紫外線吸収剤の紫外線透過スペクトル及び無電極紫外線ランプ(ヘレウス株式会社製、Hバルブ)の発光スペクトルの関係を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、必要に応じて図面を参照しながら本発明の光硬化型樹脂フィルムの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の光硬化型樹脂フィルムの製造方法の一実施形態に係る概略図である。
図1に示すように、本発明は、光硬化型樹脂フィルムの原料となる液状の光硬化型樹脂組成物がベースフィルム11上にフィルム状に流延され、ベースフィルム11上に光硬化型樹脂組成物層が積層される。光硬化型樹脂組成物は、塗工ヘッド12よりベースフィルム11上に一定量ずつ供給される。ベースフィルム11は、ポリエステルフィルム等で、ロール状に巻き取られたものから、光硬化型樹脂組成物の供給量に合わせた一定速度で連続的に引き出される。光硬化型樹脂組成物は、例えば、厚みが20〜300μmとなるようにベースフィルム11上に供給される。
【0021】
本発明においては、ベースフィルム11上に複数の光硬化型樹脂組成物をフィルム状に積層して流延し、複数の光硬化型樹脂組成物層を有する光硬化型樹脂フィルムを形成してもよい。この場合、塗工ヘッドを複数設置するか、多層塗工ヘッドを使用すればよい。複数の光硬化型樹脂組成物層を有する光硬化型樹脂フィルムを製造する場合には、それぞれの層の厚みを20μm以上とすることが好ましい。
【0022】
また、本発明においては、
図2に示すように、カバーフィルム13を積層して積層体14とする前に、予め、カバーフィルム13の光硬化型樹脂組成物層側の表面に、塗工ヘッド122を用いて光硬化型樹脂組成物からなる層を少なくとも一層形成してもよい。カバーフィルム13上に光硬化型樹脂組成物からなる層を複数形成する場合には、塗工ヘッド122を複数設置するか、多層塗工ヘッドを使用すればよい。
【0023】
本発明に用いられる光硬化型樹脂組成物は、光硬化型樹脂と光重合開始剤と紫外線吸収剤とを含む。本発明に用いられる光硬化型樹脂は、その反応機構から、例えばラジカル重合型の光硬化型樹脂とカチオン重合型の光硬化型樹脂に分類され、どちらも使用することができる。ラジカル重合型の光硬化型樹脂としては、例えばアクリレートモノマー等の重合性モノマーや、例えばウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、アクリルアクリレート等の重合性オリゴマーを原料として含むものである。ラジカル重合型の光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン系、アセトフェノン系、チオキサントン系の化合物が挙げられる。カチオン重合型の光硬化型樹脂としては、例えばビニルエーテルモノマー等の重合性モノマーや、ビニルエーテルオリゴマー、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエーテルエポキシ等の重合性オリゴマーを原料として含むものである。カチオン重合型の光重合開始剤として例えばスルホニウム系、ヨードニウム系の化合物が挙げられる。光硬化型樹脂組成物は、粘度が例えば1000〜20000Pa・sに調整されてベースフィルム11上に供給される。
【0024】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、光硬化型樹脂組成物が硬化してフィルムとなったのちも変化せず、フィルム中にそのまま存在する。そして、紫外線吸収剤は、本発明により製造される光硬化型樹脂フィルムの原料組成物の成分のうち、最も長波長の領域まで紫外線を遮断する。すなわち、本発明により製造される光硬化型樹脂フィルムの紫外線透過スペクトルは紫外線吸収剤の紫外線透過スペクトルと同じとなる。このため、本発明では、紫外線吸収剤の透過中間波長λ
Aを硬化後の光硬化型樹脂フィルムの紫外線透過スペクトルから後述の方法に従い決定する。
【0025】
図5は、本発明における紫外線吸収剤の透過中間波長λ
A(nm)を決定する方法を説明するための一例として、後述の実施例1で得られた紫外線吸収剤を含有した光硬化型樹脂フィルムの200nm〜500nmの範囲で測定された透過スペクトル(横軸:波長、縦軸:透過率)である。
図5に示すように、本発明における透過中間波長とは、透過率が上昇する部分に直線(上昇部分補助線21)をフィッテイングし、それが短波長側のベースラインの延長線22及び長波長側のベースラインの延長線23と交わるところを、それぞれ透過開始点24及びの透過終了点25としたときに、それらの波長の中間の波長をいう。
【0026】
本発明に用いられる紫外線吸収剤は、透過中間波長がベースフィルム11及び/またはカバーフィルム13の透過中間波長より長波長側にあるものであればよい。紫外線吸収剤の透過中間波長は、より広範囲の紫外光波長領域をカットするため、350nm以上であることが好ましく、370nm以上であることがより好ましい。
【0027】
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、透過中間波長がベースフィルム11及び/またはカバーフィルム13の透過中間波長より長波長側にあるものであれば特に制限するものではないが、例えば、トリアジン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ベンゾオキサジン系化合物、及びオキサジアゾール系化合等の有機化合物系紫外線吸収剤、あるいは或いは酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化セリウムの微粒子からなる無機系紫外線吸収剤が挙げられる。これらは、単独または2種以上を併用して用いることができる。
【0028】
本発明に用いられる紫外線吸収剤の種類や含有量は、フィルムの用途、光硬化型樹脂組成物の種類、あるいはフィルムの厚みなどにより適宜選択されるが、透明性やコストの点から、有機化合物系紫外線吸収剤が好ましい。具体的には、トリアジン系化合物、ベンゾトリゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物等を単独または2種以上を併用して用いることができる。有機化合物系紫外線吸収剤の含有量はラジカル重合型の光硬化型樹脂に対して、0.1〜2.0重量部含有することが好ましい。市販品としてはアデカスタブLA−24、アデカスタブLA−46、アデカスタブ1413(ADEKA社製)などが挙げられる。
【0029】
また、本発明に用いられる光硬化型樹脂組成物には、特定の波長の紫外線の照射により重合を開始する光重合開始剤が配合される。本発明に用いられる光重合開始剤は、紫外線の照射でラジカルを生じ、そのラジカルが重合反応のきっかけとなるものである。本発明に用いられる光重合開始剤としては、汎用の光重合開始剤から、使用される紫外線吸収剤の透過中間波長より長波長側に重合を開始する紫外線吸収波長帯の一部を有するものが適宜選択される。
【0030】
具体的には2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン等を単独または2種以上を併用したものから選択できる。光重合開始剤の含有量はラジカル重合型の光硬化型樹脂に対して、0.5〜15重量部含有することが好ましい。市販品としてはIrgacure127、184、369、651、500、819、907、2959、1173、TPO、MBF、(以上、IGM Resins社製)あるいは、OXE01、OXE02、OXE04(以上、IBASF社製)などが挙げられる。
【0031】
また、本発明に用いられる光硬化型樹脂組成物には、光重合開始剤に加えて増感剤を添加することができる。具体的には、アントラセン、チオキサントン、ベンゾフェノン等を単独または2種以上を併用したものから選択できる。増感剤の含有量はラジカル重合型の光硬化型樹脂に対して、0.5〜15重量部含有することが好ましい。市販品としてはアントラキュアーUVS−581、UVS−1331(川崎化成工業社製)などが挙げられる。
【0032】
なお、本発明においては、適当な溶媒を希釈剤として用い、光硬化型樹脂組成物の粘度調整等を行ってもよい。ただし、その場合、溶媒の揮発除去工程を考慮すると時間を要し生産効率が低下すること、光硬化型樹脂フィルム内部に残留溶媒等が存在してフィルムの特性低下につながること等から、光硬化型樹脂組成物に含まれる溶媒の含有量は5%以下にとどめておくことがよく、実質的には溶媒が含有されていないものを使用することが好ましい。
【0033】
ベースフィルム11としては、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリカーボネート、ポリアミド、ノルボルネン樹脂系等のフィルムを使用できる。ベースフィルム11は、剥離性などの観点から表面に離型などの処理やコーティング層が設けられてもよい。ベースフィルム11としては、耐熱性と透明性に優れ他の諸特性のバランスのとれた二軸延伸ポリエステルフィルムが好ましい。
【0034】
ベースフィルム側の光源の発光ピークの波長λ
BLにおけるベースフィルム11の紫外線の透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。ベースフィルム11の厚さは特に限定されないが、10〜400μmのものが好ましく、50〜300μmのものがより好ましい。表面形状についても平坦性を有するものであっても、表面に凹凸加工が施されているものでもよい。ただし、透明性を阻害しない表面形状が好ましい。ベースフィルム11の厚みが10μmに満たないと、本発明の製造方法において、張力に耐えられず破損する恐れがあり、また、製造工程で生ずる積層体のたわみやゆがみが大きくなってしまう可能性が高い。また、ベースフィルム11の厚みが400μmを超えると、透過率が低下するため光硬化型樹脂組成物に与える紫外線の積算光量が不足し、光硬化型樹脂組成物の硬化が不十分となる恐れがある。なお、ベースフィルム11の透過中間波長λ
BFは、上述の紫外線吸収剤の透過中間波長λ
Aを決定する方法と同様の方法により決定する。
【0035】
ベースフィルム11上の光硬化型樹脂組成物層の厚みは、特に限定されないが、0.01mmに満たないとベースフィルム11及び/またはカバーフィルム13の剥離やその後のハンドリングにおいて破損等が生じやすくなる恐れがある。また、光硬化型樹脂組成物層の厚みが厚すぎると、硬化に必要とされる紫外線照射量が多くなり紫外線照射設備の対応が難しくなると共に、得られた光硬化型樹脂フィルムのロール巻き取り時にフィルムの破損等が発生する恐れがあるため、0.3mm以下が好ましい。
【0036】
光硬化型樹脂組成物の塗工装置12としては、例えばダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、リバースコーター、ナイフコーター、リップコーター、ドクターコーター、ワイヤーバーコーター、カーテンコーター等が挙げられ、光硬化型樹脂組成物を均一の厚みで供給する観点から、ダイコーターが好ましい。
【0037】
本発明においては、ベースフィルム11上に光硬化型樹脂組成物を所定の厚みに流延した後、紫外線照射前に、光硬化型樹脂組成物層上にカバーフィルム13を積層し積層体14とすることができる。使用できるカバーフィルム13としては、カバーフィルム側の光源の発光ピーク波長λ
CLにおける紫外光の透過率が80%以上のものが好ましく、85%以上にすることがより好ましく、ベースフィルム11と同じものを使用することができる。なお、カバーフィルム13の透過中間波長λ
CFは、上述の紫外線吸収剤の透過中間波長λ
Aを決定する方法と同様の方法により決定する。
【0038】
本発明においては、
図3に示すように、ベースフィルム11上に光硬化型樹脂組成物を所定の厚みに流延した後、紫外線照射前に、光硬化型樹脂組成物層上にカバーフィルム13を積層せずに積層体14とすることもできる。
【0039】
また、本発明においては、
図4に示すように、一対の積層ロール18でベースフィルム11及びカバーフィルム13を積層する際に、ベースフィルム11及びカバーフィルム13の間に定量供給ヘッド123より光硬化型樹脂組成物を定量供給して積層体14を形成することもできる。このとき、一対の積層ロール18の隙間を調整することにより光硬化型樹脂組成物層の厚みを調整することができる。
【0040】
以上の工程により、ベースフィルム11、光硬化型樹脂組成物層及び、必要に応じてカバーフィルム13が順次積層された積層体14が形成される。そして、本発明においては、引き続き、光硬化型樹脂組成物層に、積層体14の少なくとも一方の面から紫外線が照射される。積層体に照射される紫外線の少なくとも一つは、光重合開始剤の紫外線吸収波長帯のみに発光ピークを有する紫外線光源15から照射される紫外線であり、且つ光硬化型樹脂組成物層が含有する紫外線吸収剤のうち透過中間波長の値が最も大きい紫外線吸収剤の透過中間波長をλ
A(nm)としたとき、ベースフィルム側の紫外線光源の発光ピークの波長λ
BL(nm)、カバーフィルム側の紫外線光源の発光ピークの波長λ
CL(nm)、光硬化型樹脂組成物層側の紫外線光源の発光ピークの波長λ
RL(nm)のいずれかの発光ピーク波長が紫外線吸収剤の透過中間波長より長波長側の紫外線である。さらに、ベースフィルム側の紫外線光源の発光ピークの波長λ
BL(nm)、カバーフィルム側の紫外線光源の発光ピークの波長λ
CL(nm)、光硬化型樹脂組成物層側の紫外線光源の発光ピークの波長λ
RL(nm)のいずれかの発光ピークの半値幅の短波長側の波長も、紫外線吸収剤の透過中間波長より長波長側であることが好ましい。
【0041】
本発明における紫外線としては、波長が100nm〜410nmの紫外線を使用することができるが、波長が380nm〜410nmの範囲に単一の発光ピークを有する光源から照射される紫外線であることが好ましく、LEDを使用する光源が好ましい。LEDは使用されるダイオードの種類により発光ピーク波長が異なるため、最適な発光ピーク波長を簡単に得ることができる。また、本発明においては、二種類以上の光源を組み合わせて使用することもできるが、全ての光源の発光ピーク波長は紫外線吸収剤の透過中間波長より長波長側に位置することが好ましい。また、従来から紫外線光源として用いられている、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、パルス型キセノンランプ、キセノン/水銀混合ランプ、低圧殺菌ランプ、無電極ランプなども、波長フィルターを使用して波長が380nm〜410nmの範囲に単一の発光ピークを有する発光スペクトルに整形して使用することができる。
【0042】
なお、本発明では、本発明の課題解決に影響を与えない範囲で、紫外線光源15から照射される光以外の光を併せて照射することができる。
【0043】
本発明における紫外線の照射条件としては、光硬化型樹脂組成物層の厚さなどによって異なるため、特に制限するものではないが、例えば、積算光量が20〜10000mJ/cm
2となるよう照射すればよく、好ましくは100〜5000mJ/cm
2である。
【0044】
本発明における紫外線の照射箇所には、冷却装置16を有していることが好ましい。冷却装置16により積層体14を冷却し、紫外線照射によって光硬化型樹脂組成物層を硬化させる温度(T)を制御することにより、ベースフィルム11等の熱変形を抑制することができる。冷却方式としては、空冷方式、水冷方式等の公知の方法を挙げることができる。
図3に示すように、ベースフィルム11上に光硬化型樹脂組成物を所定の厚みに流延した後、紫外線照射前に、光硬化型樹脂組成物層上にカバーフィルム13を積層せずに積層体14とする場合には、冷却を光硬化型樹脂組成物層側から行うと光硬化型樹脂組成物層の表面の平滑性が損なわれるため、冷却装置16はベースフィルム側に設置することが好ましい。
【0045】
本発明においては、積層体14に紫外線を照射して光硬化型樹脂組成物層を硬化させた後、積層体14からカバーフィルム13及び/またはベースフィルム11を剥離させることで光硬化型樹脂フィルム17が得られる。そして、光硬化型樹脂フィルム17は、公知の巻取装置により、ロール状に巻き取ることができる。剥離したカバーフィルム13及び/またはベースフィルム14は、公知の巻取装置により、ロール状に巻き取っても良い。なお、光硬化型樹脂フィルム17は、カバーフィルム13又はベースフィルム14のどちらかの一方を剥離することなく、カバーフィルム13又はベースフィルム14のどちらかの一方と一体となった状態でロール状に巻き取ることもできる。また、光硬化樹脂フィルム17と一体となってロール状に巻き取られたカバーフィルム13又はベースフィルム11は、光硬化樹脂フィルム17を使用する際に剥離することが通常であるが、例えば、光硬化樹脂フィルム17との接着強度が十分な強度となるように材料設計することで、光硬化樹脂フィルムと一体とし、光硬化型樹脂フィルムの一部として使用することもできる。
【実施例】
【0046】
以下、実施例により本発明の一例を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
光硬化型樹脂組成物Aとして以下の成分の混合物を使用した。
・6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(根上工業社製UN−3320HA):80重量部
・3官能アクリルモノマー(トリメチロールプロパントリアクリレート)(共栄社化学社製TMP−A):20重量部
・紫外線吸収剤(2−[2−ヒドロキシ−5−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール)(ADEKA社製アデカスタブLA−29):0.5重量部
・光重合開始剤(2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド)(IGM Resins B.V.社製TPO):2重量部
【0047】
ベースフィルム及びカバーフィルムとして使用したポリエチレンテレフタレートフィルムについて、紫外可視分光光度計(株式会社島津製作所製、紫外可視分光光度計UV−2450)を用いて200nm〜500nmの範囲の透過スペクトルを測定し、上述の紫外線吸収剤の透過中間波長を決定する方法と同様の方法により透過中間波長を求めたところ、316nmであった。また、光硬化型樹脂組成物Aを硬化してなる光硬化型樹脂フィルムについて、200nm〜500nmの範囲の透過スペクトルを測定し、上述の紫外線吸収剤の透過中間波長を決定する方法により紫外線吸収剤の透過中間波長を求めたところ、375nmであった。積算光量は、紫外線測定器(ウシオ電機社製、UIT−θLED)で測定した。
【0048】
図6に、実施例1における、紫外線吸収剤の紫外線透過スペクトル31光硬化型樹脂フィルムの紫外線透過スペクトルに相当)、光重合開始剤(TPO)の紫外線吸収スペクトル32及びLED光源の発光スペクトル33の関係を示した。また、表1に、実施例1における、λ
CF値、λ
A値、及びλ
CL値を示した。
図6及び表1から明らかなように、実施例1では、紫外線光源は405nmに唯一の発光ピークを有し、405nmには光重合開始剤の紫外線吸収波長帯が存在するとともに、λ
CF<λ
A<λ
CLの関係を充足する。
【0049】
厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるベースフィルム上に、塗工装置としてダイコーターを用いて厚みが70μmとなるように光硬化型樹脂組成物Aを流延して光硬化型樹脂組成物層を形成し、光硬化型樹脂組成物層表面に厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなるカバーフィルムを積層して積層体とした。次いで、単一の発光ピークを有し、そのピーク波長λ
CLが405nmの発光ダイオード光源(アイテックシステム社製)を用いて、表1に示した照射条件で紫外線を照射し、光硬化型樹脂フィルムを作製した。
【0050】
(実施例2)
光源をピーク波長λ
CLが395nmの発光ダイオード光源(ウシオ電機社製)に変更し、照射条件を表1に示した照射条件に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で光硬化型樹脂フィルムを作製した。
【0051】
(実施例3)
光源をピーク波長λ
CLが385nmの発光ダイオード光源(アイテックシステム社製)に変更し、照射条件を表1に示した照射条件に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で光硬化型樹脂フィルムを作製した。
【0052】
(比較例1)
光源をLEDから無電極紫外線ランプ(ヘレウス株式会社製、Hバルブ)に変更し、照射条件を表1に示した照射条件に変更したこと以外は実施例1と同じ条件で、光硬化型樹脂フィルムを作製した。
【0053】
図7に、比較例1における、紫外線吸収剤の紫外線透過スペクトル31、光重合開始剤の紫外線吸収スペクトル32及び無電極紫外線ランプ(ヘレウス株式会社製、Hバルブ)の発光スペクトル34の関係を示した。比較例1の光源である無電極紫外線ランプは、紫外線吸収剤の透過中間波長より長波長側で、且つ光重合開始剤の紫外線吸収波長帯に発光があるものの、それ以外の波長においても幅広く発光している。このため、無電極紫外線ランプの発光ピークの波長は存在しない。
【0054】
得られた光硬化型樹脂フィルムの反応率は以下の方法で決定した。まず、赤外イメージングシステム(株式会社パーキンエルマー製、SpectrumSpotlight300)を用い、紫外線照射前の光硬化型樹脂組成物及び作製した光硬化型樹脂フィルムについて、それぞれIRスペクトルを測定し、ビニル基のCH面外変角振動の吸収ピーク(810cm
−1付近)の高さを求めた。そして、比較例及び実施例ともに紫外線照射前の光硬化型樹脂組成物の吸収ピークの高さを基準値として、光硬化型樹脂フィルムにおける吸収ピークの高さについて、基準値からの差を基準値で除して100を乗じた値を、各光硬化型樹脂フィルムの反応率(%)として算出した。反応率が50%以上となった状態を飽和硬化状態(表1では○と表記)と判断した。
【0055】
得られた光硬化型樹脂フィルムとポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離性は、手で剥がした際の状況から以下の基準で評価した。◎:ほとんど抵抗なく剥離できる、〇:軽く剥離できる、△:剥離できるが抵抗がある、×:剥離しにくい 、××:剥離できない。
【0056】
得られた光硬化型樹脂フィルムの反応率及び剥離性を表1に示した。すべての実施例及び比較例は飽和硬化状態に到達していた。剥離性については、実施例1〜3がほとんど抵抗なく剥離できる、もしくは軽く剥離できる状態であったが、比較例1はカバーフィルム及びベースフィルムとの融着により剥離できない状態であった。これは、比較例1では重合開始に寄与する波長の光量を担保するために必然的に寄与しない波長の光も多量に照射されるため、積層体の温度上昇をもたらしたためと考えられる。
【0057】
【表1】
【符号の説明】
【0058】
11 ベースフィルム
12 塗工ヘッド
122 塗工ヘッド
123 定量供給ヘッド
13 カバーフィルム
14 積層体
15 紫外線光源
16 冷却装置
17 光硬化型樹脂フィルム
18 積層ロール
21 上昇部分補助線
22 短波長側のベースラインの延長線
23 長波長側のベースラインの延長線
24 透過開始点
25 透過終了点
31 紫外線吸収剤の紫外線透過スペクトル(透過率)
32 光重合開始剤の紫外線吸収スペクトル(吸光度)
33 LED光源の発光スペクトル(光強度)
34 無電極紫外線ランプの発光スペクトル(光強度)
【要約】
【課題】 本発明は、紫外線吸収剤を含有する光硬化型樹脂フィルムの製造方法における光硬化後の光硬化型樹脂フィルムとベースフィルム及び/またはカバーフィルムとの剥離不良を抑制することを目的とする。
【解決手段】 ベースフィルムの一方の表面に、紫外線吸収剤及び光重合開始剤を含む液状の光硬化型樹脂組成物からなる少なくとも一層の光硬化型樹脂組成物層を形成し、積層体とした後、積層体の、ベースフィルム側及び光硬化型樹脂組成物層側の少なくとも一方の面から、光硬化型樹脂組成物層に紫外線を照射することで、光硬化型樹脂組成物層を硬化させる、光硬化型樹脂フィルムの製造方法であって、紫外線の少なくとも一つが、光重合開始剤の紫外線吸収波長帯のみに発光ピークを有する光源により紫外線を照射し、ベースフィルムの透過中間波長をλ
BF(nm)、紫外線吸収剤のうち透過中間波長の値が最も大きい紫外線吸収剤の透過中間波長をλ
A(nm)、ベースフィルム側の光源の発光ピークの波長をλ
BL(nm)、光硬化型樹脂組成物層側の光源の発光ピークの波長をλ
RL(nm)としたとき、λ
BF<λ
A<λ
BL及び/又はλ
A<λ
RLであることを特徴とする光硬化型樹脂フィルムの製造方法。
【選択図】
図1