特許第6871488号(P6871488)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6871488-タイヤへの高圧気体充填装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871488
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】タイヤへの高圧気体充填装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 5/04 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   B60S5/04
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-248971(P2018-248971)
(22)【出願日】2018年12月26日
(65)【公開番号】特開2020-83293(P2020-83293A)
(43)【公開日】2020年6月4日
【審査請求日】2020年4月16日
(31)【優先権主張番号】特願2018-228552(P2018-228552)
(32)【優先日】2018年11月18日
(33)【優先権主張国】JP
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508078949
【氏名又は名称】秋岡 芳彦
(73)【特許権者】
【識別番号】518433400
【氏名又は名称】室▲崎▼ 泰夫
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 芳彦
(72)【発明者】
【氏名】室▲崎▼ 泰夫
【審査官】 鈴木 貴晴
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−175808(JP,A)
【文献】 特開2009−132301(JP,A)
【文献】 特開2018−039398(JP,A)
【文献】 特開2002−104143(JP,A)
【文献】 米国特許第05857481(US,A)
【文献】 実開平07−005724(JP,U)
【文献】 特開2015−137639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも高圧気体の高圧ボンベが装着される供給用ポートと第1及び第2の排出用ポートが設けられるとともに、上記第1の排出用ポートと上記供給用ポートが連通する第1のポジションと上記第1の排出用ポートと上記第2の排出用ポートと上記供給用ポートの3者がいずれとも連通していない第2のポジションと上記第1および上記第2の排出用ポートが連通する第3のポジションに切り替え可能な上記気体の切換弁と、この切換弁の上記第1の排出ポートに装着された上記気体を複数分岐する分岐用カプラーと、この分岐用カプラーと上記第1の排出ポートとの間に装着された圧力計と、上記第2の排出ポートに装着された排出量を抑制するサイレンサーと、上記分岐用カプラーにより複数分岐接続されたホースの他端に夫々接続された複数のタイヤのバルブに装着されるクローズタイプで且つクリップオンタイプのエアーチャックとで構成されるタイヤへの高圧気体充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や単車や自転車等の各種車両に使用される複数本のタイヤに空気等の気体を均一に充填する高圧気体充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、空気等の気体をタイヤに充填する方法としては、図4に示すようにコンプレッサー1によって高圧にした空気等の気体を高圧ボンベ1aを介してタイヤ2の空気入れ口2aから入れる時、片手で空気入れ器具のタイヤエアーチャック3を押さえてエアーを所定のタイヤ圧に達したかを圧力計4で確認しつつ行うのが一般的であった。
【0003】
なお、上述の従来の方法を改善するものとして、タイヤの気体圧を測定するセンサを用いることで、このセンサでタイヤの気体圧を測定し、所定の気体圧までのタイヤへの気体の充填をコンピューター制御により迅速に行うものも例えば特許文献1の記載のもののように考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−303004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のようなタイヤへの空気等の高圧気体充填装置は、タイヤ1本ずつに、気体を充填するものであり、自動車のように前後輪の4本のタイヤに気体を充填する場合、4本のタイヤの気体圧を均一にすることは容易ではなかった。なお、車両によっては、前輪又は後輪の夫々2本のタイヤの気体圧を均一にすることを要求するものもあるが、1本ずつタイヤに高圧気体を充填する従来の方法では、充填効率も悪く、タイヤ相互の気体圧を均一にすることも容易ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のタイヤへの高圧気体充填装置では、少なくとも高圧気体の高圧ボンベが装着される供給用ポートと第1及び第2の排出用ポートが設けられるとともに、上記第1の排出用ポートと上記供給用ポートが連通する第1のポジションと上記第1の排出用ポートと上記第2の排出用ポートと上記供給用ポートの3者がいずれとも連通していない第2のポジションと上記第1および上記第2の排出用ポートが連通する第3のポジションに切り替え可能な上記気体の切換弁と、この切換弁の上記第1の排出ポートに装着された上記気体を複数分岐する分岐用カプラーと、この分岐用カプラーと上記第1の排出ポートとの間に装着された圧力計と、上記第2の排出ポートに装着された排出量を抑制するサイレンサーと、上記分岐用カプラーにより複数分岐接続されたホースの他端に夫々接続された複数のタイヤのバルブに装着されるクローズタイプで且つクリップオンタイプのエアーチャックとでタイヤへの高圧気体充填装置を構成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の高圧気体充填装置は、上記分岐用カプラーにより複数分岐接続されたホースの他端に夫々接続された複数のタイヤのバルブに装着されるクローズタイプで且つクリップオンタイプエアーチャックを設けて構成したので、複数のタイヤへの高圧の空気等の気体の充填を同時に行って充填作業の効率化を図ったものである。
【0008】
更に、第2の排出ポートに排出量を抑制するサイレンサーを装着して、排出量スピードを抑制してタイヤ圧が過大であった時の減圧スピードを抑制して所定のタイヤ圧への調整を容易に行うとともに、排出時の騒音の抑制も図れるものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明のタイヤの高圧気体充填装置の一実施の形態の空圧回路の説明図。
図2】同他の実施の形態の高圧気体充填装置の空圧回路の説明図。
図3】同他の実施の形態の高圧気体充填装置の空圧回路の説明図。
図4】従来の高圧気体充填装置の空圧回路の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の高圧気体充填装置の実施の形態を図1図3により説明する。
なお、高圧気体としては、窒素ガス等が燃費向上のために使われることもあるが、本いずれの実施の形態においても、空気を充填する場合について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は本発明装置の実施例1の空圧回路の説明図であり、10は高圧空気をタイヤへ充填する高圧気体充填装置であり、11は5ポート3ポジションを有する電磁式の切換弁(電磁弁)である。
この5ポートの中で3つのポートが、エアーコンプレッサ等の空気圧縮装置12で圧縮された高圧空気の高圧ボンベ12aが接続される供給用ポート11aと第1及び第2の排出用ポート11b、11cに設定されている。
【0012】
更に、この切換弁11は、上記第1の排出用ポート11bと上記供給用ポート11aが連通する第1のポジションAと上記第1の排出用ポート11bと上記第2の排出用ポート11cと上記供給用ポート11aの3者がいずれとも連通していない第2のポジションBと上記第1および上記第2の排出用ポート11b、11cが連通する第3のポジションCに切り替えできるようになっている。
【0013】
13は、上記切換弁11の上記第1の排出ポート11bに装着された上記気体を複数分岐する分岐用カプラーであり、14は、この分岐用カプラー13と上記第1の排出ポート11bとの間に装着された圧力計である。
【0014】
15は、一端が上記分岐用カプラー13に複数分岐接続されたホースであり、16はこのホース15の他端に夫々接続されたクローズタイプで且つクリップオンタイプのエアーチャックであり、このエアーチャック16は夫々複数のタイヤ17のタイヤバルブ17aに装脱着されるものである。
【0015】
更に、18は上記切換弁11の第2の排出ポート11cに接続されたサイレンサーである。
【0016】
次に、以上の構成の高圧気体充填装置の動作について説明する。
まず、切換弁11を第2のポジションBとし、第1の排出用ポート11bと第2の排出用ポート11cと上記供給用ポート11aの3者がいずれとも連通していない状態とする。
次に、複数のタイヤ17のタイヤバルブ17a夫々にエアーチャック16を装着する。
【0017】
次に、上記切換弁11を第1のポジションAに切換え、上記第1の排出用ポート11bと上記供給用ポート11aを連通し、高圧ボンベ12aからの高圧空気を分岐用カプラー13を介して複数のタイヤ17に充填し、圧力計14で目的の空気圧に達したことを確認した時に上記切換弁11を第2のポジションBに切換え、タイヤバルブ17aから夫々エアーチャック16を脱着し、同時に複数のタイヤ17への高圧空気の充填を終了するものである。
【0018】
なお、タイヤ17への高圧空気の充填が目的の空気圧より過大となった時は、上記切換弁11を第3のポジションCに切換え、上記第1および上記第2の排出用ポート11b、11cを連通して、タイヤ17の空気を上記第2排出用ポート11cから排出し、目的の空気圧まで減圧した後に、上記切換弁11を第2のポジションBに切り替えて、同時に複数のタイヤ17への高圧空気の充填を終了するものである。
【0019】
以上のように、少なくとも3ポート3ポジションを有する切換弁11を用い、この切換弁11の第1の排出の排出用ポート11bに分岐用カプラー13を接続してさらにこれに複数分岐接続されたホース15を用いることで複数本のタイヤに同時に高圧気体の充填をばらつきなく効率よく行えるものである。
【0020】
なお、本実施例の高圧気体充填装置においては、更に、上記切換弁11の第2の排出ポート11cにサイレンサー18を装着している。
このサイレンサー18は、上述したタイヤの空気圧の減圧時に、切換弁11をポジション3Cに切換えてタイヤ内の気体を上記第2の排出用ポート11cを介して放出して減圧するが、この時、このサイレンサー18を用いることで排出音の抑制とともに、排出量も抑制して減圧調整がより容易にできるようにしたものである。
【実施例2】
【0021】
また、図2は本発明装置の他の実施例である実施例2の空圧回路の説明図であり、実施例1の高圧気体充填装置を発展させたものであり、上述の実施例1と同一部分には同一番号を付して説明を省略して説明すると、10aは高圧空気をタイヤへ充填する高圧気体充填装置であり、19は第2の排出用ポート11cに装着された2系統の排出ポートへの切換可能な切換バルブであり、この切換バルブ19の上記一方の系統の排出ポート19aには排出量と排出音を抑制するサイレンサー18を装着し、上記他方の排出ポート19bには真空ポンプ20を装着するようにしたものである。
【0022】
以上の構成の実施例2の高圧気体充填装置においては、実施例1の高圧気体充填装置の効果に加え、タイヤに充填されている気体を他のものに変更する場合(例えば、空気を窒素等に変換)において、排出ポート19a側に切換バルブ19を切換えてタイヤを大気圧迄減圧した後、排出ポート19b側に切換バルブ19を切換えて真空ポンプによりタイヤ内を更に減圧することを容易とするという効果を有するものである。
【0023】
また、上述の減圧終了後は、実施例1の高圧気体充填装置と同様に、切換弁11をポジションAに切換えて供給用ポート11aから窒素等の高圧気体をタイヤに所定の圧力までタイヤ内の残存する気体を極力少なくして充填を完了させることができる。
【実施例3】
【0024】
また、図3は本発明装置の他の実施例である実施例3の空圧回路の説明図であり、実施例2の高圧気体充填装置を更に発展させたものであり、上述の図1図2の実施例の高圧気体充填装置と同一部分には同一番号を付して説明を省略して説明する。
10cは高圧空気をタイヤへ充填する高圧気体充填装置であり、21は、分岐用カプラー13により複数分岐接続されたホース15夫々に挿入装着されたエアーチャック16からタイヤ17への高圧気体の充填を開閉するハンドバルブである。
【0025】
以上の構成の実施例3の高圧気体充填装置においては、実施例1及び実施例2の高圧気体充填装置の効果に加えて次のような効果を有している。
即ち、エアーチャック16はクローズタイプであるので脱着後は、ホース15からの空気がエアーチャック16から抜けることはないが、脱着操作中に発生する若干の空気漏れを完全に防止することは困難である。
従って未だエアーチャック16が装着されているままの残ったタイヤの空気圧がエアーチャック16の脱着操作毎に若干減圧する可能性がある。
【0026】
しかしながら、本実施例においては、空気の充填時には、まずハンドバルブ21を閉としてタイヤ17のタイヤバルブ17aにエアーチャック15装着し、次に、このハンドバルブ21を開として所定の空気圧をタイヤ17に充填する。
この充填後、まずハンドバルブ21を閉じてからエアーチャック16を脱着することで、ホース15からのエアーチャック16の脱着操作時に多少の操作のまごつきがあっても空気漏れを防止し、複数のタイヤ17への高圧空気の充填をより均一に行えることができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0027】
以上の本発明の高圧気体充填装置は、複数本のタイヤへの高圧気体の充填を同時に均一に行えるので、乗用車や単車や自転車だけでなく、トラック等のタイヤの本数の多い車両においても、分岐カプラー以降の分岐本数をより多くするだけで、多くの車両のタイヤの気体圧を同時に効率よく均一に充填することができるものである。
【符号の説明】
【0028】
10 高圧気体充填装置
10a 高圧気体充填装置
10b 高圧気体充填装置
11 切換弁
11a 供給用ポート
11b 第1の排出用ポート
11c 第2の排出用ポート
12a 高圧ボンベ
13 分岐用カプラー
14 圧力計
15 ホース
16 エアーチャック
17 タイヤ
17a タイヤバルブ
18 サイレンサー
19 切換バルブ
20 真空ポンプ
21 ハンドバルブ
図1
図2
図3
図4