(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記板状材と相互に応力伝達可能に設けられる前記棒鋼は、前記杭頭部の径方向外方へ向けて折り曲げられた折り曲げ部を有し、上記棒鋼は、上記折り曲げ部で上記板状材に溶接接合されることを特徴とする請求項1に記載の杭頭補強部材。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明にかかる杭頭補強部材及び杭頭補強構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。本実施形態にかかる杭頭補強部材1は
図4にも示すように、杭2と基礎(図示せず)との間に設けられ、杭頭部2aに生じる圧縮力や引き抜き力を分散させるために、当該杭頭部2aに作用する力を杭2と基礎の相互間に伝達するものである。
【0022】
また、本実施形態にかかる杭頭補強構造3は、そのような杭頭補強部材1を組み込んだ杭頭部2a周辺の構造をいう。適用対象となる杭2は、中空筒体状で、少なくとも杭頭部2aに鋼管部分を有するものであって、例えば鋼管杭(S杭)や外殻鋼管付きコンクリート杭(SC杭)等がある。
【0023】
これら中空筒体状の杭2の中空内部には、その杭頭部2aまで達するように、杭コンクリートCPが充填される。杭2内方には、仕切り板(図示せず)を設置していても良い。基礎はよく知られているように、フーチング形態も含めて、杭頭部2a及びその周りの基礎配筋(図示せず)を埋設するように基礎コンクリートCBが打設されて構築される。なお、以下の説明においても、便宜上、杭コンクリートCPと基礎コンクリートCBとを区別して示すが、当然、基礎コンクリートCBを打設した際に当該コンクリートCBをそのまま杭2の中空内部に充填して杭コンクリートCPとしても良く、すなわち、杭コンクリートCPと基礎コンクリートCBとは同一のものでも良い。
【0024】
本発明にかかる杭頭補強部材1の基本構成は、
図12にも示されているように、平板形態の鋼製板状材4と、異形鉄筋や丸鋼などの棒鋼5を主体として、これらが相互に応力伝達可能に設けられる点にある。棒鋼5は、杭頭部2aに対し杭コンクリートCPを介して接合される構成であり、従って、棒鋼5と杭頭部2aとは無溶接で接合される。棒鋼5として異形鉄筋を採用すれば、後述する定着作用を十分に確保することができる。
【0025】
板状材4と棒鋼5とを相互に応力伝達可能に設ける構成は、両者を本溶接で溶接接合したり、仮付け溶接によって係止したり、あるいは純機械的に互いに係止するなどの方法が用いられる。
【0026】
本発明にかかる杭頭補強構造3の基本構成は、
図4にも示されているように、杭頭補強部材1が、杭2の杭頭部2aの上端面2bを跨ぐ設置態様、具体的には、中空筒体状の杭2の中空内部に棒鋼5を、当該杭2(杭頭部2a)の外周面2c側方に板状材4を位置させて、杭頭部2aの肉厚部分に対して、杭2内方から当該杭2外方へ跨ぎ越すように設置される点にある。
【0027】
図1は、本発明にかかる杭頭補強部材1の第1実施形態を説明する説明図であって、
図1(A)は平面図、
図1(B)は側面図、
図2は、
図1に示した杭頭補強部材1の構成部品を説明する説明図であって、
図2(A)は、一対の板状ピース6の一方の平面視及び側面視を示す図、
図2(B)は、当該一方の板状ピース6に設けられる添え板7の平面視及び側面視を示す図、
図2(C)は、一対の板状ピース6の他方の平面視及び側面視を示す図、
図2(D)は、当該他方の板状ピース6に設けられる添え板7の平面視及び側面視を示す図、
図2(E)は、棒鋼5を示す側面図、
図2(F)は、定着プレート8aの平面視及び側面視を示す図、
図3は、
図1に示した杭頭補強部材1の組立の様子を説明する説明図であって、
図3(A)は、
図2(A)の板状ピース6に、
図2(B)の添え板7を接合した段階の平面視及び側面視を示す図、
図3(B)は、
図2(C)の板状ピース6に、
図2(D)の添え板7を接合した段階の平面視及び側面視を示す図、
図3(C)は、
図3(A)の添え板7付き板状ピース6と
図3(B)の添え板7付き板状ピース6とを組み付けた段階の平面視及び側面視を示す図、
図4は、本発明にかかる杭頭補強構造3の第1実施形態を示す、
図1の杭頭補強部材1を用いた場合の側面図である。
【0028】
第1実施形態にかかる杭頭補強部材1は主に、少なくとも杭頭部2aを横断してその両側双方へ迫り出す横方向長さ寸法を有する2枚一対の板状ピース6と、板状ピース6の表裏面に設けられる8本の棒鋼5と、板状ピース6の表裏面に溶接接合される8枚の添え板7と、棒鋼5に設けられる1枚の環状の定着プレート8aとから構成される。
【0029】
板状ピース6は、杭頭部2a上で、その板面が立つ向きに向けられる。板状ピース6は、杭頭部2aの中央から径方向に延出される複数枚の板状材4を杭頭部2a中央で一体化したもので、図示例では、直径方向に配列される2枚の板状材4を1枚のプレートに一体的に形成した場合が示されている。すなわち、板状ピース6は、杭頭部2aの直径方向に並ぶ2枚の板状材4を杭頭部2a中央で接合したものに相当する。
【0030】
図示例では、2枚の板状ピース6それぞれに、それらの長さ方向中央(杭頭部2aの中央)に形成した上向き溝9と下向き溝10とが形成され、これら溝9,10同士が嵌め合わされることにより、板状ピース6相互は、杭頭部2a上で十字形状をなすように組み立てられる。
【0031】
1枚の板状ピース6に形成された2枚の各板状材4は、杭頭部2a上に位置されて棒鋼5が応力伝達可能に設けられる接合部4aと、接合部4aから杭頭部2a外方へ迫り出され、かつ杭頭部2aの外周面2c側方で、接合部4aの下縁よりも杭2の高さ方向下方へ垂下され、これにより接合部4aよりも下方へ向けて幅広に形成されて、杭頭部2aの外周面2c側方に縦向きで設けられる迫り出し部4bとを備える。
【0032】
板状材4、ひいては板状ピース6は、接合部4aの下縁が杭頭部2a直上に載せられることで、杭頭部2aに設けられる。板状材4は、杭頭部2aに対し、単に載せて設置するだけでも良いし、仮付け溶接で係止するだけでも良いし、あるいは本溶接で溶接接合しても良い。
【0033】
迫り出し部4bには、板状材4を横向きに貫通させて、基礎コンクリートCBを板状材4の表裏両面に相互に流通させるための貫通孔11が形成される。貫通孔11は図示例では単一であるが、適宜な間隔を隔てて複数個形成しても良い。
【0034】
また、迫り出し部4bには、基礎コンクリートCBに対する定着性を確保するために、板状材4の板面から貫通孔11周りに突出させて突出部12が設けられる。突出部12は、周知のバーリング加工によって、板状材4に一体的に形成される。複数の板状材4相互の関係において、突出部12の板面からの突出方向は、杭2の外周面2c周りにすべて同じ向きであっても良いし、そうでなくても良い。
【0035】
杭頭部2aの上端面2bの高さ位置に対し、貫通孔11が形成される高さ位置は、貫通孔11が杭頭部2aの上端面2bにかかる位置か、あるいはそれよりも下方であれば、どのような高さ位置であっても良い。
【0036】
すなわち、貫通孔11の高さ位置は、最も高く設定される場合、当該貫通孔11の下縁と杭頭部2aの上端面2bとが面一とされ、低く設定される場合には、当該貫通孔11の上縁が杭頭部2aの上端面2bよりも下方とされ、その結果として、貫通孔11全体が杭頭部2aの上端面2b下方の杭頭部2aの外周面2cの側方に位置づけられる。
【0037】
これにより、杭頭部2a上でその板面が立つ向きに向けられる板状材4、すなわち板状ピース6の杭頭部2aの上端面2bからの突出高さは、貫通孔11位置が最も高く位置づけられるときには高くなり、低く位置づけられる場合には低くなる。
【0038】
本実施形態では、板状材4の接合部4aには、その表裏面に補強用の添え板7が溶接接合して設けられる。図示例では、2枚の板状材4を1枚の板状ピース6で一体化した場合が示されていて、この板状ピース6の表裏面にそれぞれ1枚ずつ、添え板7が設けられている。
【0039】
添え板7には、2枚の板状ピース6相互を十字形状に組み立てる関係上、これら板状ピース6の上向き溝9及び下向き溝10に一致させて、同様の上向き溝9及び下向き溝10が形成されている。そして、これら溝9,10を一致させた上で、板状ピース6に、添え板7が溶接接合される。
【0040】
添え板7は、各板状材4の接合部4aに個別に取り付けるように、板状ピース6の表裏面それぞれに2枚ずつ設けるようにしても良い。この場合には、添え板7に、上向き溝9及び下向き溝10を形成する必要はない。言い換えれば、図示例では、1枚の添え板7が、2枚の板状材4のための一連の添え板7として構成されている。添え板7は、板状材4の接合部4aのほぼ全域から迫り出し部4bの突出部12周辺に亘り、板状材4に重ね合わせて設けられる。
【0041】
貫通孔11及び突出部12を有する板状材4は、基礎を構築する基礎コンクリートCB中に埋設されるようになっている。
【0042】
板状材4の接合部4aには、添え板7を介して、棒鋼5が応力伝達可能に溶接接合して設けられる。図示例では、板状材4、そしてまた板状ピース6の表裏両面に添え板7が設けられていて、各板状材4の表裏に2本一対で棒鋼5が設けられる。また、図示例では、2つの板状材4をそれぞれ含む2枚一対の板状ピース6を備えているので、棒鋼5は8本備えられている。
【0043】
棒鋼5は、板状材4の表裏いずれか一方に1本だけ設けるようにしても良い。この場合、棒鋼5は、4本備えられる。あるいは、棒鋼5は、1枚の板状材4それぞれに対し、3本以上設けるようにしても良い。
【0044】
棒鋼5は、杭頭部2a上に位置される接合部4aから杭頭部2a内方へ向けて挿入される。棒鋼5は、杭頭部2a内方に充填される杭コンクリートCPによって、当該杭頭部2aに定着される。本実施形態では、棒鋼5は、杭頭部2aの内方に挿入されている直棒部5aと、直棒部5aの上端から杭頭部2aの径方向外方へ向けて横向きにほぼ直角に折り曲げられた折り曲げ部5bとを有し、棒鋼5は、横向きの折り曲げ部5bで、添え板7を介して、板状材4の接合部4aに溶接接合されている。
【0045】
このように横向きの折り曲げ部5bで接合することにより、棒鋼5が折り曲げ部5bを有しない直棒形態である場合に比し、同じ溶接長を確保するにあたって、杭頭部2aの上端面2bからの板状材4の突出高さが低く抑えられる。すなわち、棒鋼5を折り曲げ部5bで接合すれば、杭頭部2a上における杭頭補強部材1の設置高さを低く抑えつつ、十分な溶接接合強度が確保される。また、板状材4や添え板7の板厚を薄く抑えることもできる。
【0046】
棒鋼5の直棒部5aを杭頭部2aに定着させる長さは、必要な定着強度が得られるように、適宜に設定すればよい。棒鋼5の折り曲げ部5bは、杭頭部2aと基礎との間に亘って板状材4を補剛するために、そしてまた、板状材4の突出部12と基礎コンクリートCBとの良好な接合を妨げないように、杭頭部2aの外周面2c位置もしくはそのわずか外方の突出部12近傍位置まで達する程度の長さに設定される。
【0047】
棒鋼5には、これを杭コンクリートCPを介して杭頭部2aに定着させるための定着部8が備えられる。定着部8は、杭頭部2a内に挿入される各棒鋼5の直棒部5aに対し個別に、それらの下端部をJ字状やL字状に曲げ加工したり、下端部にコブ状の膨出部を形成するだけでも良いが、本実施形態では、定着部8として、杭2の周方向へ全周に亘る環状形態の1枚の定着プレート8aが例示され、この環状形態の定着プレート8aは、杭2の周方向に沿って複数の棒鋼5の下端部を一連に連結して設けられる。
【0048】
定着部8は、定着プレート8aに代えて、棒鋼5個々に、個別の定着ピース8bを設けて構成しても良いし、あるいは1枚の板状材4の表裏に設けられる2本一対の棒鋼5同士を連結する形態の定着ピース8cで構成するようにしても良い(
図7参照)。また、定着プレート8aは、環状形態に限らず、円板状の形態など、杭2の周方向へ全周に亘るものであれば、どのような形態であっても良い。このような定着部8を備えることにより、棒鋼5の杭頭部2a内方への挿入長さ、すなわち直棒部5aの長さを短くすることができ、軽量化やコストダウンを確保することができると共に、杭コンクリートCPの打設量も少なくできる。
【0049】
定着プレート8aは、杭頭部2a内方に挿入可能な外形寸法で形成される。定着プレート8aと棒鋼5下端部との接合は、溶接接合によっても良いし、定着プレート8aに形成した通孔13に挿通した棒鋼5を、ナット(図示せず)を介して定着プレート8aに締結するようにしても良い。
【0050】
これにより、定着プレート8aには、複数本の棒鋼5が杭2の周方向に適宜間隔を隔てて配設され、その結果、これら棒鋼5を介して、複数枚の板状材4が杭2の周方向に沿わせて配列される。
【0051】
図1に示した杭頭補強部材1の組立は、例えば
図3に示すように、上向き溝9及び下向き溝10を有する各板状ピース6の表裏面に添え板7を溶接接合し、次いで、溝9,10同士を嵌め合わせて板状ピース6を十字形状に組み付ける一方で、図示しないけれども、定着プレート8aに棒鋼5を接合し、その後、各棒鋼5の折り曲げ部5bそれぞれを、添え板7を介して、板状ピース6の表裏、すなわち各板状材4の表裏に接合すればよく、これにより、
図1及び
図4に示した杭頭補強部材1が完成される。
【0052】
第1実施形態にかかる杭頭補強部材1を用いた杭頭補強構造3について説明すると、
図4に示すように、杭頭補強部材1は、定着プレート8aが下端部に設けられた棒鋼5の直棒部5aを杭頭部2a内方に挿入するだけで、板状ピース6、すなわち板状材4の接合部4a下縁が杭頭部2aの上端面2bに載せられ、その際、貫通孔10及び突出部11を有する迫り出し部4bが杭頭部2aの外周面2c側方に縦向きで位置づけられる。
【0053】
杭頭補強部材1は、杭頭部2aに対し、単に載せるだけでよい。もちろん、杭頭補強部材1の接合部4a下縁を、杭頭部2aの上端面2bに対し、仮付け溶接して係止しても良いし、本溶接しても良いが、要は、杭頭部2a上に杭頭補強部材1を置くことができればよい。
【0054】
その後、杭頭部2a内に杭コンクリートCPを充填する。これにより、杭頭補強部材1の棒鋼5は、定着プレート8aも含め、杭コンクリートCPを介して杭頭部2aに定着され、杭頭補強部材1は杭頭部2aに強固に接合固定される。その後、杭頭部2a周囲に配筋される基礎配筋と共に、杭頭部2a及び杭頭補強部材1の板状材4が基礎コンクリートCB中に埋設される。なお、杭コンクリートCPは、基礎コンクリートCBを打設したときに、杭頭部2a内にも流し込んで、充填しても良い。
【0055】
この際、基礎コンクリートCBは、貫通孔11を介して、板状材4の表裏に回り込むと同時に、突出部12に付着することとなり、杭頭補強部材1は、基礎と強固に一体化される。そして、杭コンクリートCPの充填及び基礎コンクリートCBの打設により、杭頭部2aに作用する曲げモーメントやせん断力、軸力は、杭頭補強部材1によって基礎と杭2との間で伝達される。なお、図示はしないが、基礎コンクリートCBを打設する前に、予め貫通孔11に、杭頭部2aの周辺に配設される基礎配筋や、別途用意される補強鉄筋を挿入しておいても良く、これにより、杭頭部2aに作用する曲げモーメントやせん断力に対する曲げ耐力、せん断耐力をさらに向上させることができる。
【0056】
第1実施形態に係る杭頭補強部材1は、杭頭部2aの外周面2c側方に縦向きで設けられ、基礎を構築する基礎コンクリートCB中に埋設するための板状材4と、杭頭部2a内方に挿入され、杭2内方に充填される杭コンクリートCPを介して杭頭部2aに定着させるための棒鋼5と、板状材4に横向きに貫通形成された貫通孔11と、板状材4にその板面から貫通孔11周りに突設された突出部12とを備え、板状材4と棒鋼5とは相互に応力伝達可能に設けられており、そしてまた、第1実施形態にかかる杭頭補強構造3は、棒鋼5が杭頭部2a内方に挿入され且つ板状材4が杭頭部2aの外周面2c側方に設けられて、杭頭部2aの上端面2bを跨いで設置される杭頭補強部材1と、杭2内方に充填されて棒鋼5を杭頭部2aに定着させる杭コンクリートCPと、基礎を構築するために打設され、貫通孔11及び突出部12を有する板状材4を基礎に埋設する基礎コンクリートCBとからなるものであって、上記背景技術とは異なり、棒鋼5により杭頭部2aに対する定着性を十分に確保できると同時に、杭頭補強部材1の板状材4に備えた貫通孔11と突出部12とにより、基礎コンクリートCBの流動性・付着性を確保して、基礎コンクリートCBに対する接合強度も向上することができるので、これらにより杭2と基礎との間における応力伝達作用を適切かつ十分に得ることができる。
【0057】
また、貫通孔11等を有する縦向きの迫り出し部4bを杭頭部2aの外周面2c側方に設けているので、杭頭補強部材1の杭頭部2a上方への突出量を抑えることができ、杭頭補強部材1が基礎中に埋設される基礎配筋と干渉してしまうことを防止できると共に、板状材4の小型化により重量軽減やコストダウン、取り扱い性の向上など、杭2及び基礎の施工にあたり、各種の優れた作用効果を奏することができる。
【0058】
また、杭頭補強部材1は、少なくとも板状材4の接合部4aに棒鋼5の折り曲げ部5bを溶接接合するだけで良く、その溶接接合も、工場や現場で下向きの溶接により行うことができて、短い溶接長でかつ優れた溶接品質を確保でき、従って当該杭頭補強部材1を用いて施工される杭頭補強構造3についても、その施工品質を向上することができる。
【0059】
板状材4の突出部12に鉛直方向の力が作用すると、迫り出し部4bと接合部4aの境界及びその周辺に曲げとせん断が大きく作用するが、棒鋼5の折り曲げ部5bを杭頭部2aの外周面2c周辺まで達するように接合しているので、当該境界周辺を効率的に補剛することができ、杭頭補強部材1の構造強度を適切に向上することができる。
【0060】
定着プレート8aと棒鋼5の接合については、ナット等のネジ接合によれば溶接を用いる必要はなく、溶接を用いたとしても、工場や現場での組み立てによるので、より高い接合品質を確保でき、従って、1枚の定着プレート8aを用いたとしても、杭頭補強部材1及び杭頭補強構造3の品質を高く確保できる。
【0061】
さらに、杭頭補強部材1の杭頭部2aへの設置についても、板状材4の接合部4a下縁を杭頭部2aの上端面2bに載せるだけで、設置作業を終えることができ、設置を終えた後は杭コンクリートCPの充填で杭頭部2aへの接合を完了できて、杭頭補強部材1の設置に対し無溶接化でき、この面から、杭頭補強構造3の施工品質を高めて構造強度を適切に確保できるばかりでなく、施工の省力化も図ることができる。
【0062】
杭頭補強部材1の杭頭部2a上での設置状態の安定を図る観点から、仮付け溶接をしたり、本溶接をしても良いが、この場合であっても、杭頭部2aの上端面2b上に板状材4の下縁を下向きの溶接で接合することができ、高い溶接品質で簡便に接合を行うことができる。
【0063】
突出部12が、貫通孔11をその周りから包囲する形態で形成されるようにしたので、これら突出部12と貫通孔11とを別々に形成する場合に比べて、合理的かつ効率的にこれら両者を備えることができ、狭いスペースであってもこれらを多数設けることができると共に、貫通孔11を介して充填性良く流動される基礎コンクリートCBが、スムーズに突出部12周りに送り込まれて、両者の密実な付着を確保することができる。
【0064】
杭頭補強部材1の板状材4は、杭頭部2aの周りに間隔を隔てて複数枚配列されるので、これら複数枚の板状材4により、広い定着面積を確保して、基礎と杭2との間における応力伝達作用を的確かつ十分に確保することができる。
【0065】
各板状材4の表裏には、棒鋼5が並列的に2本一対設けられるので、棒鋼5に力が作用しても、ねじれによる板状材4の変形を抑制することができる。
【0066】
以上説明したように、第1実施形態にかかる杭頭補強部材1及び杭頭補強構造3にあっては、杭頭補強部材1としても、また杭頭補強構造3としても、応力伝達作用及び定着力を十分に確保することができ、基礎中に埋設される配筋と干渉が生じるおそれを低減できると共に、補強構造としても、それに用いる構成部品としても、溶接工数を削減することで杭頭部2a周りの施工上の品質を向上することができて、構造強度を適切に確保することができる。
【0067】
棒鋼5には、杭コンクリートCPで杭頭部2aに定着させるための定着部8が備えられているので、定着性能をより高く確保することができる。
【0068】
また、杭頭部2aに曲げモーメントが発生した場合には、杭頭部2a周りに配列されている杭頭補強部材1のうち、一方側の杭頭補強部材1が引き抜き力を受け、同時に他方側の杭頭補強部材1が圧縮力を受ける。このとき、
図4に示すように、圧縮力を受ける側の杭頭補強部材1の板状材4と棒鋼5と、引き抜き力を受ける側の杭頭補強部材1の棒鋼5の定着部8との間には、圧縮ストラットFが生じ、これにより、圧縮力を分散させる応力伝達を確保することができて、杭頭部2aの構造健全性を高めることができる。
【0069】
定着部8は、杭2の周方向へ全周に亘る定着プレート8aで形成され、定着プレート8aには、複数本の棒鋼5が杭2の周方向に適宜間隔を隔てて配設されると共に、板状材4が杭2の周方向に沿わせて複数枚配列されるので、すなわち定着作用を高める定着プレート8aを利用して、棒鋼5及び板状材4からなる杭頭補強部材1を複数備えるユニットを形成できるので、杭頭補強部材1個々を個別に杭頭部2aに載せて設置することに比べて、杭頭部2aへの設置安定性が高く、また複数の杭頭補強部材1を一括して設置できることから施工効率を格段に向上することができる。
【0070】
板状材4と相互に応力伝達可能に設けられる棒鋼5は、杭頭部2aの径方向外方へ向けて折り曲げられた折り曲げ部5bを有し、棒鋼5は、折り曲げ部5bで板状材4に溶接接合されるので、棒鋼5が折り曲げ部5bを有しない直棒形態である場合に比し、板状材4、ひいては杭頭補強部材1の杭頭部2aからの突出高さを低く抑えることができ、基礎配筋と干渉するおそれが少なくなって、施工性を向上することができる。
【0071】
板状材4に添え板7を介して棒鋼5を接合するようにしたので、板厚を薄く抑えつつ、接合部4aの強度を効率良く増強することができる。棒鋼5を、板状材4の表裏両面に接合したので、杭頭補強部材1そのものの強度を高めることができる。棒鋼5は、板状材4の表裏いずれかの面のみに設けるようにしても良い。添え板7も、板状材4の表裏いずれかの面のみに設けるようにしても良く、棒鋼5を板状材4の片面に設ける場合、添え板7は、棒鋼5が設置される当該片面のみに設けるようにしても良い。
【0072】
図5には、
図1に示した杭頭補強部材1の第1変形例が示されている。
図5(A)は第1変形例の平面図、
図5(B)はその側面図である。
【0073】
第1変形例は、定着部8としての定着プレート8aを用いない場合である。定着部8は、必ずしも設ける必要はなく、異形鉄筋などの棒鋼5そのものによって、杭頭部2aの杭コンクリートCPに対する付着性・定着性を確保できることはもちろんである。その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、第1変形例に係る杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0074】
図6には、
図1に示した杭頭補強部材1の第2変形例が示されている。
図6は第2変形例の側面図である。第2変形例が第1実施形態と異なる点は、板状材4の直下に、杭頭部2aに作用する圧縮力を負担させるために、杭頭部2aの上端面2bに載せられる載置板14が備えられることにある。
【0075】
載置板14は、杭頭部2a内方への杭コンクリートCPの充填を妨げないように、杭頭部2aの上端面2bにその周方向に沿って載せられるリング形状に形成される。載置板14は、杭頭部2aの径方向に沿う杭頭部2a外側及び杭頭部2a内側に対して、杭頭部2a外側に位置される外側端縁14aが杭頭部2aの外周面2cと一致されるかあるいは外側に張り出すように設定され、杭頭部2a内側に位置される内側端縁14bは、杭頭部2aの肉厚よりも内側に張り出して、すなわち杭頭部2a内方に充填される杭コンクリートCP上方に張り出すように設定される。
【0076】
第1実施形態では、杭頭部2aの上端面2b直上に杭頭補強部材1の板状材4下縁が直接載せられる構造であったが、第2変形例では、これら杭頭部2aの上端面2bと板状材4下縁との間に挟み込むようにして、載置板14が設けられる。
【0077】
載置板14も、杭頭部2aの上端面2bに単に載せることで、無溶接で設置される。仮付け溶接で杭頭部2aに仮止めしても良い。
【0078】
他方、載置板14は、工場や現場で事前に、杭頭補強部材1の接合部4aに対し、仮付け溶接したり、本溶接しても良い。このようにすれば、載置板14を一体に組み込んだ杭頭補強部材1を構成することができ、施工を省力化できると共に、その溶接作業も下向きの溶接となって、高い溶接品質で杭頭補強部材1を構成でき、従ってまた、杭頭補強構造3の施工品質も高く確保することができる。
【0079】
また、載置板14は、杭頭部2aの上端面2bの全周に亘るリング形状に形成することなく、リング形状を分断した複数のピース片に形成して、各板状材4に個別に設けるようにしてもよい。
【0080】
載置板14を杭頭部2aの上端面2bに載せるだけで、上記圧縮ストラットFが生じたときに、当該載置板14でより構造的に杭コンクリートCPを押さえ込むことができて、圧縮力を分散させる応力伝達を確実に確保することができ、杭頭部2aの構造強度をさらに高めることができる。さらに、杭頭補強部材1に杭頭部2aに向かう圧縮力が作用したときには、載置板14はカバーとなって、杭頭部2aの上端面2bに生じ得る局部変形を抑えることもできる。
【0081】
その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、第2変形例に係る杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0082】
図7には、
図1に示した杭頭補強部材1に備えられている定着部8の各種例が示されている。定着プレート8aに代えて、
図7(A)は、1枚の板状材4の表裏に接合される一対2本の棒鋼5を一組のセットとして、当該セット毎に設けられる板状の定着ピース8cとその配列を示す底面図、
図7(B)は、各棒鋼5それぞれに個別に設けられる板状の定着ピース8bとその配列を示す底面図である。
【0083】
このように、定着部8については、上記第1実施形態のように棒鋼5を一括して扱える定着プレート8aのほか、定着作用を確保できれば、どのような態様で棒鋼5に設けても良いことはもちろんである。その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、このような定着部8を備える杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0084】
図8は、
図1に示した杭頭補強部材1を構成する棒鋼5の設置態様の他の例を説明する要部拡大斜視図である。棒鋼5は、板状材4の接合部4aをその上方から跨ぎ越す折り返し部5cを有する下向きU字形状に形成される。そして、棒鋼5は、板状材4に対し、無溶接で応力伝達可能に設けられる。
【0085】
すなわち、杭頭部2aと基礎とが上下方向に相対的に変位する力が作用したとき、板状材4が基礎によって上方へ移動する際には、棒鋼5の折り返し部5cによって応力伝達がなされ、また、棒鋼5が杭2によって下方へ移動する際には、板状材4によって応力伝達を行わせることができる。
【0086】
棒鋼5は、無溶接でなく、仮付け溶接したり、本溶接して、板状材4に設けるようにしても良い。その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、このような形態の棒鋼5と板状材4の接合形態を備える杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0087】
図9は、
図1に示した杭頭補強部材1の第3変形例を説明する要部拡大斜視図である。第3変形例では、板状材4に、杭頭部2aの外周面2cに溶接接合されて板状材4に作用する力を杭頭部2aに伝達するための伝達ピース15が設けられる。
【0088】
伝達ピース15は、杭頭部2aの外周面2cに沿う帯状であって、当該外周面2cに溶接接合される弧状部15aと、板状材4の迫り出し部4bに沿って杭頭部2aの径方向外方へ向けて、弧状部15aから迫り出して形成され、迫り出し部4bを下方から支持する凸部15bとを備えて構成される。凸部15bは、形成しなくても良い。迫り出し部4bは、その下縁が弧状部15a上面や凸部15b上面に下向きの溶接で溶接接合される。
【0089】
弧状部15aに凸部15bを形成する場合には、貫通孔11及び突出部12が奏する作用を妨げないように、杭頭部2aの径方向において、突出部12へは達しない突出長さ、並びに杭頭部2aの周方向において、板状材4の板面を基準として、突出部12の板状材4からの突出量を越えない狭い幅に設定することが好ましい。
【0090】
伝達ピース15は、それ自体基礎との応力伝達作用を果たすと共に、さらに、迫り出し部4bに上下方向の力が作用した場合に、その力を杭頭部2aに伝達する作用も果たすようになっていて、杭頭部2aの外周面2c側方に位置される迫り出し部4b及び杭頭部2aの外周面2c周辺の強度を増強することができる。弧状部15aは、複数の杭頭補強部材1を連結するように、杭頭部2a周りに環状に形成しても良い。
【0091】
その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、第3変形例に係る杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0092】
図10は、
図1に示した杭頭補強部材1を構成する貫通孔11及び突出部12の形成態様の他の例を説明する説明図である。
図10(A)は、金属製薄板材16を迫り出し部4bに重ね合わせて設ける場合の平面断面図、
図10(B)は、金属製リング体17を迫り出し部4bに重ね合わせて設ける場合の平面断面図である。
【0093】
第1実施形態では、貫通孔11及び突出部12は、板状材4にバーリング加工を施すことによって一体成形されるものであった。しかしながら、板状材4の板厚が厚い場合、それはきわめて困難となる。このような場合には、板状材4には貫通孔11を形成するのみとし、突出部12は別部材によって構成することが合理的である。
【0094】
図10(A)では、板状材4に薄板材16を重ね合わせて、接着などの各種接合方法で接合固定することとし、この薄板材16にバーリング加工を施して突出部12を形成するようにしている。また、
図10(B)では、板状材4にリング体17を重ね合わせて、薄板材16の場合と同様に、溶接などの各種接合方法で接合固定するようにし、このリング体17で突出部12を構成するようにしている。
【0095】
このようにしても、第1実施形態の貫通孔11及び突出部12と同様の作用効果を確保できることはもちろんである。殊に、第1実施形態の態様であると、突出部12は板状材4の表裏のいずれか一方にしか形成できないが、別部材を用いる
図10の例では、薄板材16やリング体17を板状材4の表裏に設けることで、当該表裏双方に突出部12を形成できる利点がある。
【0096】
その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、このような形態の貫通孔11や突出部12を備える杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0097】
図11は、本発明にかかる杭頭補強部材1の第2実施形態を説明する説明図である。
図11(A)は、第2実施形態の平面図、
図11(B)はその側面図である。第2実施形態は、本発明の基本構成に相当するものである。第1実施形態では、杭頭部2aの直径方向に並ぶ2枚の板状材4を1枚の板状ピース6で一体化した形態であったが、第2実施形態では、1枚の板状材4に、1本または2本、あるいはそれ以上の複数本の棒鋼5が応力伝達可能に設けられている。
【0098】
第1実施形態と異なり、第2実施形態では、複数枚の板状材4を一体化することなく、個々の板状材4とそれらに備えられる棒鋼5とで杭頭部2aの上端面2bを跨ぐ設置形態であるので、第1実施形態のように杭頭部2a中央から単に四方に向けて杭頭補強部材1が設けられるものに比べて、杭頭補強部材1を杭2の周方向に等間隔で並べて必要個数設けることができ、杭頭補強構造3の必要強度を的確に確保することができる。
【0099】
第2実施形態では、1枚の定着プレート8aで複数の板状材4の複数の棒鋼5を杭2の周方向に順次連結しているので、これにより単体ユニットして取り扱うことができ、施工の省力化も達成することができる。その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、第2実施形態の杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0100】
図12は、本発明にかかる杭頭補強部材1の第3実施形態を説明する説明図である。
図12(A)は、第3実施形態の平面図、
図12(B)はその側面図である。第3実施形態は、第2実施形態に対し、定着部8として、各板状材4の一対2本の棒鋼5をセットとする場合の上述した板状の定着ピース8c(
図7(A)参照)を用いたものである。
【0101】
このように構成することで、板状材4と棒鋼5を備える基本構成の杭頭補強部材1を、杭頭部2aに自在に配設することができる。その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、第3実施形態の杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0102】
図13は、本発明にかかる杭頭補強部材1の第4実施形態を説明する説明図であって、
図13(A)はその平面図、
図13(B)はその側面図であり、
図14は、
図13に示した第4実施形態の杭頭補強部材1を用いた場合の杭頭補強構造3の側面図である。
図13に示した第4実施形態の杭頭補強部材1は、第1実施形態に対し、添え板7を省略した場合であって、具体的には、載置板14を備えた
図6の第2変形例の添え板7がない場合である。
【0103】
添え板7は、棒鋼5と板状材4の接合部4aとの接合を補強するものとして、また、板状材4に対しその板厚を増すようにして補強するもので、必要に応じて設ければ良く、強度的に満足できる場合には省略しても良い。これにより、杭頭補強部材1の組み立て手間を省力化することができる。その他の構成は上記第1実施形態と同様であって、第4実施形態の杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0104】
図15は、本発明にかかる杭頭補強部材1の第5実施形態を説明する説明図であって、
図15(A)はその平面図、
図15(B)はその側面図である。第5実施形態では、第1実施形態と対比して、添え板7が省略され、棒鋼5が各板状材4それぞれの表裏いずれか一方に1本ずつ設けられ、定着部8として、各棒鋼5それぞれに個別に板状の定着ピース8bが設けられている。定着ピース8bは設けなくても良い。
【0105】
第5実施形態は、第1実施形態の板状ピース6を用いながら、必要最小限の構成を備えた杭頭補強部材1であって、このような第5実施形態の杭頭補強部材1及びそれを用いた杭頭補強構造3であっても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。