特許第6871502号(P6871502)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871502杭基礎の設計システム、設計方法及び設計プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871502
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】杭基礎の設計システム、設計方法及び設計プログラム
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/12 20060101AFI20210426BHJP
   E02D 1/00 20060101ALI20210426BHJP
   G06F 30/13 20200101ALN20210426BHJP
【FI】
   E02D27/12 Z
   E02D1/00
   !G06F17/50 680B
【請求項の数】23
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-227211(P2016-227211)
(22)【出願日】2016年11月22日
(65)【公開番号】特開2018-84071(P2018-84071A)
(43)【公開日】2018年5月31日
【審査請求日】2019年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】515277300
【氏名又は名称】ジャパンパイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100193286
【弁理士】
【氏名又は名称】圷 正夫
(72)【発明者】
【氏名】細田 光美
【審査官】 東 芳隆
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−097632(JP,A)
【文献】 特開平01−192910(JP,A)
【文献】 特開2004−346573(JP,A)
【文献】 特開2009−057707(JP,A)
【文献】 特開2003−050911(JP,A)
【文献】 特開平02−178416(JP,A)
【文献】 米国特許第05099696(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00−27/52、1/00−3/115
G06F 17/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
杭基礎の施工現場の杭基礎設計用地盤調査結果を用意するように構成された杭基礎設計用地盤調査結果用意部と、
複数の位置情報及び当該複数の位置情報の各々と対応付けられた地盤調査結果の情報を含むデータベースを格納している記録部と、
前記データベースを検索し、前記施工現場又は前記施工現場の周辺の位置情報と対応付けられた地盤調査結果を比較用地盤調査結果として用意するように構成された比較用地盤調査結果用意部と、
前記杭基礎設計用地盤調査結果と前記比較用地盤調査結果を比較し、前記杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定するように構成された地盤調査結果判定部と、
前記地盤調査結果判定部の判定結果に応じて、杭基礎を設計するように構成された杭基礎設計部と、
を備え
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記地盤調査結果判定部は、前記指標の測定結果の情報を考慮するように構成されている
ことを特徴とする杭基礎の設計システム。
【請求項2】
前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記指標の測定結果に付された重みを考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項3】
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記地盤調査結果に付された重みを考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項4】
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記地盤調査結果補正値生成部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項5】
前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、前記一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記地盤調査結果整合部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項6】
前記杭基礎設計用地盤調査結果用意部は、前記データベースに含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、前記施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するように構成された杭基礎設計用地盤調査内容決定部を含む
ことを特徴とする請求項1乃至の何れか一項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項7】
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記指標の測定結果を考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項8】
前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記指標の測定結果に付された重みを考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項9】
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記地盤調査結果に付された重みを考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項又はに記載の杭基礎の設計システム。
【請求項10】
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記地盤調査結果補正値生成部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項乃至の何れか一項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項11】
前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記地盤調査結果整合部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている
ことを特徴とする請求項乃至10の何れか一項に記載の杭基礎の設計システム。
【請求項12】
杭基礎の施工現場の杭基礎設計用地盤調査結果をコンピュータが利用可能に用意する杭基礎設計用地盤調査結果用意工程と、
複数の位置情報及び当該複数の位置情報の各々と対応付けられた地盤調査結果の情報を含む、記録部に格納されたデータベースを用意するデータベース用意工程と、
前記コンピュータによって前記記録部に格納された前記データベースを検索し、前記施工現場又は前記施工現場の周辺の位置情報と対応付けられた地盤調査結果を比較用地盤調査結果として用意する比較用地盤調査結果用意工程と、
前記コンピュータによって前記杭基礎設計用地盤調査結果と前記比較用地盤調査結果を比較し、前記杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定する地盤調査結果判定工程と、
前記地盤調査結果判定工程の判定結果に応じて杭基礎を設計する設計工程と、
を備え
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記地盤調査結果判定工程において、前記指標の測定結果の情報を考慮する
ことを特徴とする杭基礎の設計方法。
【請求項13】
前記コンピュータによって、前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記指標の測定結果に付された重みを考慮する
ことを特徴とする請求項12に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項14】
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記比較用地盤調査結果に付された重みを考慮する
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項15】
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記地盤調査結果補正値生成工程によって生成された前記補正値を考慮する
ことを特徴とする請求項12乃至14の何れか一項に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項16】
前記コンピュータによって、前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記地盤調査結果整合工程によって生成された前記補正値を考慮する
ことを特徴とする請求項12乃至15の何れか一項に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項17】
前記杭基礎設計用地盤調査結果用意工程は、
前記コンピュータによって、前記データベースに含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、前記施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定する杭基礎設計用地盤調査内容決定工程と、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において決定された杭基礎設計用地盤調査の内容に従って、前記施工現場で杭基礎設計用地盤調査を実施する地盤調査工程と、
を含む
ことを特徴とする請求項12乃至16の何れか一項に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項18】
記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記指標の測定結果を考慮する
ことを特徴とする請求項17に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項19】
前記コンピュータによって、前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記指標の測定結果に付された重みを考慮する
ことを特徴とする請求項18に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項20】
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記地盤調査結果に付された重みを考慮する
ことを特徴とする請求項18又は19に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項21】
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記地盤調査結果補正値生成工程によって生成された前記補正値を考慮する
ことを特徴とする請求項18乃至20の何れか一項に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項22】
前記コンピュータによって、前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記地盤調査結果整合工程によって生成された前記補正値を考慮する
ことを特徴とする請求項18乃至21の何れか一項に記載の杭基礎の設計方法。
【請求項23】
請求項12乃22の何れか一項に記載の杭基礎の設計方法の少なくとも一部の工程を電子計算機に実行させるように構成されていることを特徴とする杭基礎の設計プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は杭基礎の設計システム、設計方法及び設計プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、杭基礎設計支援システムを開示している。当該杭基礎設計支援システムは、地質データやN値(貫入試験データ)に基づいて、杭基礎を設計可能である。杭基礎設計支援システムは、当該システムの利用者が入力した地質データやN値を利用することができるが、地質データベースに登録された地質データやN値も利用可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−351941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1が開示しているように、地質データやN値は、杭基礎の設計に必須であって、杭基礎の設計に大きな影響を及ぼす。このため、杭基礎の設計に用いられる地質データ(土質区分)やN値は、可及的に正確であるのが望ましい。
しかしながら、地質データやN値を得るための地盤調査は完全に自動化されておらず、地質データやN値の確度が低くなり易いという問題がある。例えば、土質区分でいえば、砂混じりシルトやシルト質細砂等があるが、土質を常に正確に判別することは容易ではない。一方、N値を計測する際には、錘を一定高さまで繰り返し引き上げる必要があるが、引き上げる高さにばらつきが生じることがある。また、そもそも地盤の性状、例えば支持層の不陸等に起因して、地質データやN値がばらつき易く、確度が低くなり易いこともある。
【0005】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態の目的は、より正確な地盤情報に基づいて杭基礎を設計可能な杭基礎の設計システム、設計方法及び設計プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭基礎の設計システムは、
杭基礎の施工現場の杭基礎設計用地盤調査結果を用意するように構成された杭基礎設計用地盤調査結果用意部と、
複数の位置情報及び当該複数の位置情報の各々と対応付けられた地盤調査結果の情報を含むデータベースを格納している記録部と、
前記データベースを検索し、前記施工現場又は前記施工現場の周辺の位置情報と対応付けられた地盤調査結果を比較用地盤調査結果として用意するように構成された比較用地盤調査結果用意部と、
前記杭基礎設計用地盤調査結果と前記比較用地盤調査結果を比較し、前記杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定するように構成された地盤調査結果判定部と、
前記地盤調査結果判定部の判定結果に応じて、杭基礎を設計するように構成された杭基礎設計部と、
を備え
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記地盤調査結果判定部は、前記指標の測定結果の情報を考慮するように構成されている。
【0007】
上記構成(1)によれば、杭基礎設計用地盤調査結果と比較用地盤調査結果とを比較することで、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0009】
また、上記構成()によれば、指標の測定結果の情報を考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0010】
)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、
前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記指標の測定結果に付された重みを考慮するように構成されている。
【0011】
上記構成()によれば、指標の測定結果に付された重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0012】
)幾つかの実施形態では、上記構成(1)又は(2)において、
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記地盤調査結果に付された重みを考慮するように構成されている。
【0013】
上記構成()によれば、比較用地盤調査結果に付された重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0014】
)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至()の何れか1つにおいて、
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記地盤調査結果補正値生成部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている。
【0015】
上記構成()によれば、地盤調査結果補正値生成部が指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、地盤調査結果判定部が、地盤調査結果補正値生成部によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0016】
)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至()の何れか1つにおいて、
前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、前記一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合部を更に備え、
前記地盤調査結果判定部は、前記地盤調査結果整合部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている。
【0017】
上記構成()によれば、地盤調査結果整合部がデータベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、地盤調査結果判定部が、地盤調査結果整合部によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0018】
)幾つかの実施形態では、上記構成(1)乃至()の何れか1つにおいて、
前記杭基礎設計用地盤調査結果用意部は、前記データベースに含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、前記施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するように構成された杭基礎設計用地盤調査内容決定部を含む。
【0019】
上記構成()によれば、データベースに含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0020】
)幾つかの実施形態では、上記構成()において、
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記指標の測定結果を考慮するように構成されている。
【0021】
上記構成()によれば、指標の測定結果を考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0022】
)幾つかの実施形態では、上記構成()において、
前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記指標の測定結果に付された重みを考慮するように構成されている。
【0023】
上記構成()によれば、指標の測定結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0024】
)幾つかの実施形態では、上記構成()又は()において、
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記地盤調査結果に付された重みを考慮するように構成されている。
【0025】
上記構成()によれば、地盤調査結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成()によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0026】
10)幾つかの実施形態では、上記構成()乃至()の何れか1つにおいて、
前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記地盤調査結果補正値生成部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている。
【0027】
上記構成(10)によれば、地盤調査結果補正値生成部が指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定部が、地盤調査結果補正値生成部によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0028】
11)幾つかの実施形態では、上記構成()乃至(10)の何れか1つにおいて、
前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合部を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定部は、前記地盤調査結果整合部によって生成された前記補正値を考慮するように構成されている。
【0029】
上記構成(11)によれば、地盤調査結果整合部がデータベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定部が、地盤調査結果整合部によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0030】
12)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭基礎の設計方法は、
杭基礎の施工現場の杭基礎設計用地盤調査結果をコンピュータが利用可能に用意する杭基礎設計用地盤調査結果用意工程と、
複数の位置情報及び当該複数の位置情報の各々と対応付けられた地盤調査結果の情報を含む、記録部に格納されたデータベースを用意するデータベース用意工程と、
前記コンピュータによって前記記録部に格納された前記データベースを検索し、前記施工現場又は前記施工現場の周辺の位置情報と対応付けられた地盤調査結果を比較用地盤調査結果として用意する比較用地盤調査結果用意工程と、
前記コンピュータによって前記杭基礎設計用地盤調査結果と前記比較用地盤調査結果を比較し、前記杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定する地盤調査結果判定工程と、
前記地盤調査結果判定工程の判定結果に応じて杭基礎を設計する設計工程と、
を備え
前記データベースは、更に、前記複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含み、
前記地盤調査結果判定工程において、前記指標の測定結果の情報を考慮する。
【0031】
上記構成(12)によれば、杭基礎設計用地盤調査結果と比較用地盤調査結果とを比較することで、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0033】
また、上記構成(12)によれば、指標の測定結果の情報を考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記構成(12)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0034】
13)幾つかの実施形態では、上記構成(12)において、
前記コンピュータによって、前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記指標の測定結果に付された重みを考慮する。
【0035】
上記構成(13)によれば、指標の測定結果に付けられた重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記構成(13)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0036】
14)幾つかの実施形態では、上記構成(12)又は(13)において、
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記比較用地盤調査結果に付された重みを考慮する。
【0037】
上記構成(14)によれば、地盤調査結果に付された重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記構成(14)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0038】
15)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(14)の何れか1つにおいて、
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記地盤調査結果補正値生成工程によって生成された前記補正値を考慮する。
【0039】
上記構成(15)によれば、地盤調査結果補正値生成工程において指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、地盤調査結果判定工程において地盤調査結果補正値生成工程によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0040】
16)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(15)の何れか1つにおいて、
前記コンピュータによって、前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合工程を更に備え、
前記地盤調査結果判定工程において、前記地盤調査結果整合工程によって生成された前記補正値を考慮する。
【0041】
上記構成(16)によれば、地盤調査結果整合工程においてデータベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、地盤調査結果判定工程において、地盤調査結果整合工程によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0042】
17)幾つかの実施形態では、上記構成(12)乃至(16)の何れか1つにおいて、
前記杭基礎設計用地盤調査結果用意工程は、
前記コンピュータによって、前記データベースに含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、前記施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定する杭基礎設計用地盤調査内容決定工程と、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において決定された杭基礎設計用地盤調査の内容に従って、前記施工現場で杭基礎設計用地盤調査を実施する地盤調査工程と、
を含む。
【0043】
上記構成(17)によれば、地盤調査結果の情報に基づいて、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成(17)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0044】
18)幾つかの実施形態では、上記構成(17)において、
記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記指標の測定結果を考慮する。
【0045】
上記構成(18)によれば、指標の測定結果を考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成(18)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0046】
19)幾つかの実施形態では、上記構成(18)において、
前記コンピュータによって、前記杭孔掘削の条件に応じて前記指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記指標の測定結果に付された重みを考慮する。
【0047】
上記構成(19)によれば、指標の測定結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成(19)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0048】
20)幾つかの実施形態では、上記構成(18)又は(19)において、
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記地盤調査結果に付された重みを考慮する。
【0049】
上記構成(20)によれば、地盤調査結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記構成(20)によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0050】
21)幾つかの実施形態では、上記構成(18)乃至(20)の何れか1つにおいて、
前記コンピュータによって、前記位置情報が対応する前記指標の測定結果に基づいて、前記地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記地盤調査結果補正値生成工程によって生成された前記補正値を考慮する。
【0051】
上記構成(21)によれば、地盤調査結果補正値生成工程において指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、地盤調査結果補正値生成工程によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0052】
22)幾つかの実施形態では、上記構成(18)乃至(21)の何れか1つにおいて、
前記コンピュータによって、前記データベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合工程を更に備え、
前記杭基礎設計用地盤調査内容決定工程において、前記地盤調査結果整合工程によって生成された前記補正値を考慮する。
【0053】
上記構成(22)によれば、地盤調査結果整合工程においてデータベースに含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定において、地盤調査結果整合工程によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、
杭基礎を設計可能である。
【0056】
23)本発明の少なくとも一実施形態に係る杭基礎の設計プログラムは、
上記構成(12)乃至(22)の何れか1つに記載の杭基礎の設計方法の少なくとも一部の工程を電子計算機に実行させるように構成されている。
【0057】
上記構成(24)によれば、上記構成(12)乃至(22)の何れか1つに記載の杭基礎の設計方法の少なくとも一部の工程を電子計算機に実行させるので、大量の情報を活用可能であり、より正確な地盤情報に基づいて、杭基礎を容易に設計可能である。
【発明の効果】
【0058】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、より正確な地盤情報に基づいて杭基礎を設計可能な杭基礎の設計システム、設計方法及び設計プログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0059】
図1】本発明の一実施形態に係る杭基礎の設計システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図2】本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計システムの概略的な構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る杭基礎の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図5】本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図6】本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計方法の概略的な手順を示すフローチャートである。
図7図6に示した杭基礎の設計方法を杭基礎施工業者が実行した場合の概略的なタイミングチャートの一例を示す図である。
図8図4に示した杭基礎の設計方法を杭基礎施工業者が実行した場合の概略的なタイミングチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0061】
図1は、本発明の一実施形態に係る杭基礎の設計システム(以下、単に設計システムとも称する)の概略的な構成を示すブロック図である。
設計システムは、杭基礎設計用地盤調査結果用意部10と、記録部12と、比較用地盤調査結果用意部14と、地盤調査結果判定部16と、杭基礎設計部18とを備えている。杭基礎設計用地盤調査結果用意部10、比較用地盤調査結果用意部14、地盤調査結果判定部16及び杭基礎設計部18は、例えば、CPU(中央演算処理装置)、内部メモリ及び入出力部等を有するコンピュータ(電子計算機)によって構成される。記録部12は、例えば、ハードディスク等の外部記憶装置によって構成される。
【0062】
杭基礎設計用地盤調査結果用意部10は、これから構築しようとしている杭基礎の施工現場の地盤調査結果(杭基礎設計用地盤調査結果)を用意するように構成されている。例えば、杭基礎設計用地盤調査結果用意部10は、電子メール等によって送られてきた杭基礎設計用地盤調査結果を受け取るように構成されている。また例えば、杭基礎設計用地盤調査結果用意部10は、杭基礎設計用地盤調査結果が作業者によって直接入力されるように構成されていてもよい。
【0063】
記録部12は、データベース20を格納している。データベース20は、複数の位置情報及び当該複数の位置情報の各々と対応付けられた地盤調査結果の情報を含んでいる。
位置情報は、住所であってもよいし、緯度及び経度であってもよい。
地盤調査結果は、例えばボーリング調査によって得られるものであり、少なくとも、地質(土質区分)の深さ方向での分布を表す地質データと、標準貫入試験で得られるN値の深さ方向での分布を表すN値データとを含んでいればよい。地盤調査結果は、更に支持層の深さや、地下水位を含んでいてもよい。
【0064】
比較用地盤調査結果用意部14は、データベース20を検索し、施工現場又は施工現場の周辺の位置情報と対応付けられた地盤調査結果を比較用地盤調査結果として用意するように構成されている。
【0065】
地盤調査結果判定部16は、杭基礎設計用地盤調査結果用意部10によって用意された杭基礎設計用地盤調査結果と比較用地盤調査結果用意部14によって用意された比較用地盤調査結果を比較し、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定するように構成されている。
判定結果としては、例えば、比較用地盤調査結果との比較から、杭基礎設計用地盤調査結果に含まれる地質データ及びN値データの確度がいずれも高いと判定される場合がある。
また例えば、比較用地盤調査結果との比較から、杭基礎設計用地盤調査結果に含まれる地質データ及びN値の確度が低いと判定される場合がある。
【0066】
杭基礎設計部18は、地盤調査結果判定部16による判定結果に基づいて、杭基礎を設計するように構成されている。
例えば、杭基礎設計用地盤調査結果の確度が高いと判定された場合、杭基礎設計部18は、杭基礎設計用地盤調査結果をそのまま利用して、杭基礎を設計する。杭基礎を設計するとは、杭基礎によって支持される上部構造体に応じて杭基礎が所定の許容支持力を有するように杭基礎全体の構成を決定することであり、例えば、使用する杭の仕様、杭の本数、杭孔の数、杭孔の深さ、杭孔の位置等を決定することである。
一方、杭基礎設計用地盤調査結果の確度が低いと判定された場合、杭基礎設計部18は、杭基礎設計用地盤調査結果をそのまま利用するのではなく、安全を見込んで、杭基礎を設計する。例えば、杭基礎設計用地盤調査結果のN値データが高めに出ていると判定された場合、杭基礎設計部18は、N値データを低めに見積もって、杭基礎を設計する。また例えば、杭基礎設計用地盤調査結果の確度が低いと判定された場合、確度が高くなるように杭基礎設計用地盤調査結果を補正してもよい。そして、補正に用いた補正係数や補正後の杭基礎設計用地盤調査結果の値を、データベース20に位置情報と関連付けて登録してもよい。
あるいは、杭基礎設計用地盤調査結果の確度が低いと判定された場合、杭基礎設計部18は、追加の地盤調査結果を要求するように構成されていてもよい。例えば、杭基礎設計用地盤調査を行った地点間を指定して、再び調査をするように要求したり、比較用地盤調査結果を参照して不陸等が生じていると推測される施工現場の特定の位置を指定して調査をするように要求するように構成されていてもよい。
【0067】
上記実施形態によれば、杭基礎設計用地盤調査結果と比較用地盤調査結果とを比較することで、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0068】
幾つかの実施形態では、データベース20は、更に、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、地盤調査結果判定部16は、指標の測定結果を考慮するように構成されている。
指標としては、例えば、掘削ドリルを回転させるモータが電動モータである場合には電動モータに供給される電流値、電流値の時間積分値、油圧モータである場合には油圧モータに供給される油圧値、油圧値の時間積分値、或いは、掘削ドリルに作用するトルク値、トルク値の時間積分値等を用いることができる。なお、指標の測定結果は、指標の測定結果の深さ方向の分布を表すものである。
【0069】
指標の測定結果の情報を考慮する一例として、複数の比較用地盤調査結果の中から、信頼性の高い比較用地盤調査結果を抽出するために、指標の測定結果を用いることがあげられる。比較用地盤調査結果の中には、土質区分やN値データの確度が低く、信頼性が低いものが含まれている可能性がある。信頼性の低い比較用地盤調査結果と基礎設計用地盤調査結果とを比較した場合、基礎設計用地盤調査結果の確度が実際には高かったとしても、誤って確度が低いと判定されてしまう虞がある。
そこで、比較用地盤調査結果の中から信頼性の高いものを抽出し、高い信頼性を有する比較用地盤調査結果と基礎設計用地盤調査結果を比較することが大切になるが、如何にして比較用地盤調査結果の信頼性を確認するかが問題となる。
ここで、指標の測定結果は、土質区分やN値データとある程度の相関を有し、場合によっては高い相関を有する。このため、指標の測定結果と相関が高い比較用地盤調査結果を抽出すれば、土質区分やN値データの確度が高い、信頼性の高い比較用地盤調査結果を抽出することができる。
かくして、位置が対応する指標の測定結果との相関が高い比較用地盤調査結果のみを抽出し、抽出した比較用地盤調査結果と基礎設計用地盤調査結果とを比較すれば、信頼性の高い比較用地盤調査結果と基礎設計用地盤調査結果とを比較することが可能となり、基礎設計用地盤調査結果の確度を正確に判定することができる。
また指標の測定結果の情報を考慮する一例として、指標の測定結果と、杭基礎設計用地盤調査結果とを直接比較し、確度を判定してもよい。指標の測定結果は、土質区分やN値データとある程度の相関を有し、場合によっては高い相関を有する。このため、指標の測定結果と杭基礎設計用地盤調査結果を比較して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定することは可能である。
一方、杭基礎の施工現場では、地盤調査の調査箇所の数よりも、杭孔の数の方が多く、指標の測定結果は多量に存在する。各指標の測定結果は、比較用地盤調査結果ほどは、土質区分やN値データを具体的に表してはいないものの、多量の指標の測定結果を用いれば、土質区分やN値データをある程度正確に推定することができる。
このため、指標の測定結果と杭基礎設計用地盤調査結果を直接比較しても、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定することは可能である。
【0070】
かくして上記実施形態によれば、指標の測定結果の情報を考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0071】
幾つかの実施形態では、設計システムは、更に、杭孔掘削の条件に応じて指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け部22を更に備えている。指標測定結果重み付け部22は、例えばコンピュータによって構成することができる。そして、地盤調査結果判定部16は、指標の測定結果に付された重みの情報を考慮するように構成されている。
【0072】
指標の測定結果は、杭孔掘削の条件に応じて変化する。このため、現状では、全ての指標の測定結果が、地盤調査結果と比較可能であるわけではない。そこで、地盤調査結果と比較可能な所定の杭孔掘削条件で杭孔が掘削されたときに測定された指標の測定結果には大きな重みを付けておき、大きな重みが付けられた指標の測定結果と比較用地盤調査結果とを比較することで、より信頼性の高い比較用地盤調査結果を抽出することができる。或いは、より大きな重みが付された指標の測定結果と、杭基礎設計用地盤調査結果とを直接比較してもよい。
【0073】
かくして上記実施形態によれば、指標の測定結果に付けられた重みの情報を考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
なお、指標の測定結果に付される重みは、段階的に変化するものであっても、連続的に変化するものであってもよく、例えば、0と1のみであってもよい。
【0074】
幾つかの実施形態では、データベース20は、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を更に含む。そして、設計システムは、位置情報が対応する指標の測定結果との相関の程度に基づいて、地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け部24を更に備える。地盤調査結果重み付け部24は、例えばコンピュータによって構成することができる。地盤調査結果判定部16は、地盤調査結果に付された重みを考慮するように構成されている。
【0075】
地盤調査結果には、信頼性が高いもののみではなく、相対的に信頼性が低いものも含まれている可能性がある。そこで、上記実施形態によれば、指標の測定結果との相関の程度に基づいて、地盤調査結果に重みを付けることで、この重みを地盤調査結果の信頼性の目安とすることができる。例えば、指標の測定結果との相関が高いほど、大きな重みを地盤調査結果に付けておき、比較用地盤調査結果を用意する際、大きな重みが付された地盤調査結果のみ検索するようにすればよい。
【0076】
かくして上記実施形態によれば、比較用地盤調査結果に付された重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0077】
幾つかの実施形態では、データベースは20、更に、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、設計システムは、位置情報が対応する指標の測定結果に基づいて、地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成部26を更に備える。地盤調査結果補正値生成部26は、例えばコンピュータによって構成することができる。地盤調査結果判定部16は、地盤調査結果補正値生成部26によって生成された補正値を考慮して杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定するように構成されている。
【0078】
上記実施形態によれば、地盤調査結果補正値生成部26が指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、地盤調査結果判定部16が、地盤調査結果補正値生成部26によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0079】
幾つかの実施形態では、設計システムは、データベースに含まれる任意の一つの地盤調査結果の情報の補正値を、同じくデータベースに含まれる、当該一つの地盤調査結果が得られた位置の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合部28を更に備える。
補正値とは、例えば、一つの地盤調査結果の情報に含まれる土質区分を他の土質区分へと変更するものであったり、一つの地盤調査結果の情報に含まれるN値のデータを補正するものである。
地盤調査結果整合部28は、例えばコンピュータによって構成することができる。そして、地盤調査結果判定部16は、地盤調査結果整合部28によって生成された補正値を考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定するように構成されている。
地盤の地層は、ある程度の範囲に渡って水平方向に連続的に変化することが多いため、特定の位置の地盤調査結果が、周辺の位置の地盤調査結果と顕著に異なる場合、当該特定位置の地盤調査結果の信頼性が低いことが考えられる。
【0080】
そこで上記実施形態では、地盤調査結果整合部28がデータベース20に含まれる任意の一つの地盤調査結果の情報の補正値を、同じくデータベースに含まれる、当該一つの地盤調査結果が得られた位置の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成している。地盤調査結果判定部16が、地盤調査結果整合部28によって生成された補正値を考慮することにより、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0081】
図2は、本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計システム(以下、単に設計システムとも称する)の概略的な構成を示すブロック図である。なお、図1の設計システムと同一または類似の構成については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0082】
幾つかの実施形態では、図2に示したように、杭基礎設計用地盤調査結果用意部10は、データベース20に含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するように構成された杭基礎設計用地盤調査内容決定部30を含む。杭基礎設計用地盤調査の内容とは、例えば、ボーリング調査を実施する位置(ボーリング位置)、ボーリング調査を実施する深さ(ボーリング深度)、及び、必要に応じて他の調査(コーン貫入試験や比抵抗試験等)の実施の有無等である。
【0083】
例えば支持層に傾斜、不陸、しゅう曲等がある場合、ボーリング調査の位置を適切に設定しなければ、施工現場の各位置で支持層の深さを的確に把握することができない。支持層の深さを的確に把握することができなければ、杭孔の深さを的確に決定することも困難である。
【0084】
この点、上記実施形態によれば、データベース20に含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。例えば、支持層に傾斜、不陸、しゅう曲等があるか否かは、施工現場周辺の過去の地盤調査結果から知ることができるので、それに応じて杭基礎設計用地盤調査の内容を決定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0085】
幾つかの実施形態では、データベース20は、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30は、指標の測定結果を考慮するように構成されている。
【0086】
上記実施形態によれば、指標の測定結果を考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0087】
幾つかの実施形態では、設計システムは、杭孔掘削の条件に応じて指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け部22を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30は、指標の測定結果に付された重みを考慮するように構成されている。
【0088】
上記実施形態によれば、指標の測定結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0089】
幾つかの実施形態では、位置情報が対応する指標の測定結果との相関の程度に基づいて、前記地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け部24を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30は、比較用地盤調査結果に付された重みを考慮する。
【0090】
上記実施形態によれば、比較用地盤調査結果の情報に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0091】
幾つかの実施形態では、設計システムは、位置情報が対応する指標の測定結果に基づいて、地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成部26を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30は、地盤調査結果補正値生成部26によって生成された補正値を考慮するように構成されている。
【0092】
上記実施形態によれば、地盤調査結果補正値生成部26が指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30が、地盤調査結果補正値生成部26によって生成された補正値を考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0093】
幾つかの実施形態では、データベース20に含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合部28を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30は、地盤調査結果整合部28によって生成された補正値を考慮するように構成されている。
【0094】
上記実施形態によれば、地盤調査結果整合部28がデータベース20に含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定部30が、地盤調査結果整合部28によって生成された補正値を考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0095】
図3は、本発明の一実施形態に係る杭基礎の設計方法(以下単に設計方法とも称する)の概略的な手順を示すフローチャートである。
図3に示した設計方法は、例えば図1図2に示した設計システムによって実行可能である。設計方法は、杭基礎の施工現場の杭基礎設計用地盤調査結果を用意する杭基礎設計用地盤調査結果用意工程S1と、複数の位置情報及び当該複数の位置情報の各々と対応付けられた地盤調査結果の情報を含むデータベース20を用意するデータベース用意工程S3と、データベース20を検索し、施工現場又は施工現場の周辺の位置情報と対応付けられた地盤調査結果を比較用地盤調査結果として用意する比較用地盤調査結果用意工程S5と、杭基礎設計用地盤調査結果と比較用地盤調査結果を比較し、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定する地盤調査結果判定工程S7と、地盤調査結果判定工程の判定結果に応じて杭基礎を設計する設計工程S9と、を備える。
【0096】
上記実施形態によれば、杭基礎設計用地盤調査結果と比較用地盤調査結果とを比較することで、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0097】
幾つかの実施形態では、データベース20は、更に、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、地盤調査結果判定工程S7において、指標の測定結果の情報を考慮する。
【0098】
上記実施形態によれば、指標の測定結果の情報を考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0099】
図4は、本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計方法(以下単に設計方法とも称する)の概略的な手順を示すフローチャートである。なお、図3の設計方法と同一又は類似の工程については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
幾つかの実施形態では、設計方法は、杭孔掘削の条件に応じて指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け工程S11を更に備える。そして、地盤調査結果判定工程S7において、指標の測定結果に付された重みを考慮する。指標測定結果重み付け工程S11で測定結果に付された重みは、データベース20に登録可能である。
【0100】
上記実施形態によれば、指標の測定結果に付けられた重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0101】
幾つかの実施形態では、データベース20は、更に、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、設計方法は、位置情報が対応する指標の測定結果との相関の程度に基づいて、地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け工程S13を更に備え、地盤調査結果判定工程S7において、比較用地盤調査結果に付された重みを考慮する。地盤調査結果重み付け工程S13で地盤調査結果に付された重みは、データベース20に登録可能である。
【0102】
上記実施形態によれば、地盤調査結果に付された重みを考慮して、杭基礎設計用地盤調査結果の確度を判定しているので、杭基礎設計用地盤調査結果の確度をより正確に判定することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0103】
幾つかの実施形態では、データベース20は、更に、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、設計方法は、位置情報が対応する指標の測定結果に基づいて、地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成工程S15を更に備え、地盤調査結果判定工程S7において、地盤調査結果補正値生成工程S15によって生成された補正値を考慮する。
【0104】
上記実施形態によれば、地盤調査結果補正値生成工程S15において指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、地盤調査結果判定工程S7において地盤調査結果補正値生成工程S15によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0105】
幾つかの実施形態では、データベース20に含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合工程S17を更に備える。そして、地盤調査結果判定工程S7において、地盤調査結果整合工程S17によって生成された補正値を考慮する。
【0106】
上記実施形態によれば、地盤調査結果整合工程S17においてデータベース20に含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、地盤調査結果判定工程S7において、地盤調査結果整合工程S17によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0107】
図5は、本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計方法(以下単に設計方法とも称する)の概略的な手順を示すフローチャートである。図5の設計方法は、例えば、図2の設計システムを用いて実施可能である。なお、図3又は図4の設計方法と同一又は類似の工程については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
【0108】
幾つかの実施形態では、杭基礎設計用地盤調査結果用意工程S1は、データベース20に含まれる地盤調査結果の情報に基づいて、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定する杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19と、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において決定された杭基礎設計用地盤調査の内容に従って、施工現場で杭基礎設計用地盤調査を実施する地盤調査工程S21と、を含む。
【0109】
上記実施形態によれば、地盤調査結果の情報に基づいて、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0110】
幾つかの実施形態では、データベース20は、更に、複数の位置情報の各々と対応付けられた、杭孔掘削の際に地盤から掘削ドリルに作用した抵抗に対応する指標の測定結果の情報を含む。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、指標の測定結果を考慮する。
【0111】
上記実施形態によれば、指標の測定結果を考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0112】
図6は、本発明の他の一実施形態に係る杭基礎の設計方法(以下単に設計方法とも称する)の概略的な手順を示すフローチャートである。図6の設計方法は、例えば、図2の設計システムを用いて実施可能である。なお、図3乃至図5の設計方法と同一又は類似の工程については、同一の符号を付して説明を省略又は簡略化する。
幾つかの実施形態では、設計方法は、杭孔掘削の条件に応じて指標の測定結果に重みを付ける指標測定結果重み付け工程S11を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、指標の測定結果に付された重みを考慮する。
【0113】
上記実施形態によれば、指標の測定結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0114】
幾つかの実施形態では、設計方法は、位置情報が対応する指標の測定結果との相関の程度に基づいて、地盤調査結果に重みを付ける地盤調査結果重み付け工程S13を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、地盤調査結果に付された重みを考慮する。
【0115】
上記実施形態によれば、地盤調査結果に付された重みを考慮して、施工現場にて実施する杭基礎設計用地盤調査の内容を決定するので、杭基礎設計用地盤調査を的確に実施することができる。この結果として、上記実施形態によれば、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0116】
幾つかの実施形態では、設計方法は、位置情報が対応する指標の測定結果に基づいて、地盤調査結果の補正値を生成する地盤調査結果補正値生成工程S15を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、地盤調査結果補正値生成工程S15によって生成された補正値を考慮する。
【0117】
上記実施形態によれば、地盤調査結果補正値生成工程S15において指標の測定結果に基づいて地盤調査結果の補正値を生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、地盤調査結果補正値生成工程S15によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0118】
幾つかの実施形態において、設計方法は、データベース20に含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成する地盤調査結果整合工程S17を更に備える。そして、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、地盤調査結果整合工程S17によって生成された補正値を考慮する。
【0119】
上記実施形態によれば、地盤調査結果整合工程S17においてデータベース20に含まれる一の地盤調査結果の情報の補正値を、一の地盤調査結果の周辺の地盤調査結果の情報に基づいて生成し、杭基礎設計用地盤調査内容決定工程S19において、地盤調査結果整合工程S17によって生成された補正値を考慮しているので、より正確な杭基礎設計用地盤調査結果に基づいて、杭基礎を設計可能である。
【0120】
幾つかの実施形態では、設計方法は、地盤調査工程S21を実施して得られた地盤調査結果を、位置情報と対応付けてデータベース20に登録するデータベース更新工程S23を更に備えている。
【0121】
図7は、図6に示した杭基礎の設計方法を杭基礎施工業者が実行した場合の概略的なタイミングチャートの一例を示している。
図7に示したように、顧客(施主又は設計事務所)は、建造物構築計画を立てると、施工現場の位置情報とともに、杭基礎の施工を杭基礎施工業者に依頼する。依頼を受けた杭基礎施工業者は、データベースを検索し、施工現場又はその周辺の過去の地盤調査結果(比較用地盤調査結果)を用意するとともに、過去の指標測定結果を用意する。そして、杭基礎施工業者は、用意した比較地盤調査結果に基づいて、用意した指標測定結果を考慮して、地盤調査内容(杭基礎設計用地盤調査内容)を決定する。それから、杭基礎施工業者は、地盤調査内容を顧客に提示する。
顧客は、提示された地盤調査内容を確認してから、杭基礎施工業者に地盤調査を指示する。指示を受けた杭基礎施工業者は、地盤調査を実施し、得られた地盤調査結果の確度を判定する。そして、判定結果に基づいて杭基礎を設計する。それから、杭基礎施工業者は、杭基礎設計内容を顧客に提示する。
顧客は、提示された杭基礎設計内容を確認してから、杭基礎施工業者に杭基礎構築を指示する。指示を受けた杭基礎施工業者は、杭基礎を構築し、顧客に引き渡す。最後に、杭基礎施工業者は、地盤調査結果と、杭基礎構築時に得られた指標測定結果をデータベースに登録して、一連の作業が終了する。
【0122】
図8は、図4に示した杭基礎の設計方法を杭基礎施工業者が実行した場合の概略的なタイミングチャートの一例を示している。
図8に示したように、顧客(施主又は設計事務所)は、建造物構築計画を立てると、施工現場の位置情報とともに、地盤調査を地盤調査業者に依頼する。依頼を受けた地盤調査業者は、地盤調査内容(杭基礎設計用地盤調査内容)を決定する。それから、地盤調査業者は、地盤調査内容を顧客に提示する。
顧客は、提示された地盤調査内容を確認してから、地盤調査業者に地盤調査を指示する。指示を受けた地盤調査業者は、地盤調査を実施し、得られた地盤調査結果を顧客に報告する。
顧客は、地盤調査結果を受け取ると、地盤調査結果及び施工現場の位置情報とともに、杭基礎の施工を杭基礎施工業者に依頼する。
依頼を受けた杭基礎施工業者は、データベースを検索し、施工現場又はその周辺の過去の地盤調査結果(比較用地盤調査結果)を用意するとともに、過去の指標測定結果を用意する。そして、杭基礎施工業者は、用意した比較地盤調査結果に基づいて、用意した指標測定結果を考慮して、地盤調査結果の確度を判定する。それから、杭基礎施工業者は、地盤調査結果の確度に応じて、例えば、追加の地盤調査内容を顧客に提示する。顧客は、追加の地盤調査内容を確認し、追加の地盤調査内容を杭基礎施工業者に指示する。
杭基礎施工業者は、追加地盤調査を実施し、得られた地盤調査結果に基づいて杭基礎を設計する。それから、杭基礎施工業者は、杭基礎設計内容を顧客に提示する。
顧客は、提示された杭基礎設計内容を確認してから、杭基礎施工業者に杭基礎構築を指示する。指示を受けた杭基礎施工業者は、杭基礎を構築し、顧客に引き渡す。最後に、杭基礎施工業者は、地盤調査結果と、杭基礎構築時に得られた指標測定結果をデータベースに登録して、一連の作業が終了する。
【0123】
本発明の一実施形態に係る杭基礎の施工方法は、上述した何れかの実施形態に係る杭基礎の設計方法によって作成された杭基礎の設計図に基づいて杭基礎を構築する杭基礎構築工程S22を備える。
【0124】
上記構成の杭基礎の施工方法によれば、上記した何れかの実施形態に係る杭基礎の設計方法によって杭基礎の設計図を作成することにより、正確な地盤情報を基礎として杭基礎の設計図が作成される。この結果、構築された杭基礎が所期の支持力を確実に発揮する。
なお、杭基礎構築工程S22を実施した場合、杭基礎構築工程S22を実施して得られた、掘削ドリルに地盤から作用した抵抗に対応する指標の測定値を、指標の測定条件や指標の測定担当者等の情報とともに、位置情報と対応付けて、データベース更新工程S23においてデータベースに登録してもよい。
【0125】
本発明の一実施形態に係る杭基礎の設計プログラムは、上記した何れかの実施形態に係る杭基礎の設計方法の少なくとも一部の工程を電子計算機に実行させるように構成されている。
【0126】
上記構成の杭基礎の設計プログラムによれば、上記した何れかの実施形態に係る杭基礎の設計方法の少なくとも一部の工程、例えば、比較用地盤調査結果用意工程S5及び地盤調査結果判定工程S7を電子計算機に実行させるので、大量の情報を活用可能であり、より正確な地盤情報に基づいて、杭基礎を容易に設計可能である。
【0127】
最後に本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変更を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0128】
10 杭基礎設計用地盤調査結果用意部
12 記録部
14 比較用地盤調査結果用意部
16 地盤調査結果判定部
18 杭基礎設計部
20 データベース
22 指標測定結果重み付け部
24 地盤調査結果重み付け部
26 地盤調査結果補正値生成部
28 地盤調査結果整合部
30 杭基礎設計用地盤調査内容決定部
S1 杭基礎設計用地盤調査結果用意工程
S3 データベース用意工程
S5 比較用地盤調査結果用意工程
S7 地盤調査結果判定工程
S9 設計工程
S11 指標測定結果重み付け工程
S13 地盤調査結果重み付け工程
S15 地盤調査結果補正値生成工程
S17 地盤調査結果整合工程
S19 杭基礎設計用地盤調査内容決定工程
S21 地盤調査工程
S22 杭基礎構築工程
S23 データベース更新工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8