特許 6871532 バーナ装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6871532

(24)【登録日】2021年4月20日

(45)【発行日】2021年5月12日

(54)【発明の名称】バーナ装置

(51)【国際特許分類】

   F23D 14/08 20060101AFI20210426BHJP

【ＦＩ】

   F23D14/08 H

【請求項の数】6

【全頁数】12

(21)【出願番号】特願2017-85511(P2017-85511)

(22)【出願日】2017年4月24日

(65)【公開番号】特開2018-185067(P2018-185067A)

(43)【公開日】2018年11月22日

【審査請求日】2020年3月30日

(73)【特許権者】

【識別番号】000004709

【氏名又は名称】株式会社ノーリツ

(74)【代理人】

【識別番号】100120514

【弁理士】

【氏名又は名称】筒井 雅人

(72)【発明者】

【氏名】永井 逸夫

(72)【発明者】

【氏名】唐木 竜也

【審査官】 藤原 弘

(56)【参考文献】

【文献】 特開２０１１−２１４７７１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１３−２３１５５９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１６−１８３８１３（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平１１−２３０５０９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平０９−１４５０２５（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１０−０８５０３９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平０７−１９０３０７（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００８−４５７６０（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１８−１８５０６８（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ｆ２３Ｄ １４／０８

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

上面部が炎孔面とされた複数のバーナ本体を横並び配列で収容するバーナケースと、
前記複数のバーナ本体の配列の最端に位置する最端部バーナ本体と前記バーナケースの側壁部との間に配され、かつ前記側壁部との間に第１の隙間を形成するとともに、前記最端部バーナ本体との間に第２の隙間を形成するサイドプレート部と、
前記バーナケースに取付けられたファンから吐出された空気を前記複数のバーナ本体の設置領域および前記第１の隙間に向けてこれらの下方から上向きに供給可能とする空気流路と、
を備えている、バーナ装置であって、
前記サイドプレート部は、前記空気流路から前記第１の隙間に向けて供給された空気の一部を、前記第２の隙間に流入させることが可能な空気取込み用開口部を形成していることを特徴とする、バーナ装置。

【請求項2】

請求項１に記載のバーナ装置であって、
前記サイドプレート部の上部領域は、前記最端部バーナ本体の上部側面に対して略平行に対面しており、かつ前記サイドプレート部の高さは、前記最端部バーナ本体の高さと略同一、またはそれ以下とされている、バーナ装置。

【請求項3】

請求項１または２に記載のバーナ装置であって、
前記空気取込み用開口部として、上縁部に空気取込みガイド部が設けられている第１の空気取込み用開口部を備えており、
前記空気取込みガイド部は、前記上縁部から前記バーナケースの前記側壁部寄りに突出した下向きまたは斜め下向きの突片状である、バーナ装置。

【請求項4】

請求項３に記載のバーナ装置であって、
前記空気取込みガイド部は、下部側ほど前記バーナケースの前記側壁部に接近するように傾斜している、バーナ装置。

【請求項5】

請求項１ないし４のいずれかに記載のバーナ装置であって、
前記複数のバーナ本体がホルダに保持されて構成され、かつ前記バーナケース内に外部への取り出しが可能に収容されるバーナユニットを備えており、
前記ホルダは、前記複数のバーナ本体が横並び配列で載設され、かつ前記空気流路の一部を構成する複数の通気用孔が設けられた整流板部を有するベース部材と、このベース部材に取付けられ、かつ前記複数のバーナ本体の固定を図るように前記複数のバーナ本体の周囲の少なくとも一部を囲む枠状部材と、を備えており、
前記枠状部材の一部が、前記サイドプレート部である、バーナ装置。

【請求項6】

請求項５に記載のバーナ装置であって、
前記サイドプレート部の下縁部は、前記整流板部からその上方に離間した配置となるように設定されており、
前記空気取込み用開口部として、前記サイドプレート部の前記下縁部と前記整流板部との相互間に開口するように形成された第２の空気取込み用開口部を、備えている、バーナ装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、たとえばガス給湯装置の構成要素などとして用いるのに好適なバーナ装置に関する。

【背景技術】

【0002】

バーナ装置の具体例として、特許文献１，２に記載されたものがある。
これらの文献に記載されたバーナ装置は、複数のバーナ本体（ガス燃焼管）が横並び状に配列されてバーナケース内に収容されている。前記複数のバーナ本体は、その上面が燃料ガスを燃焼させる炎孔面とされたものであり、前記複数のバーナ本体内には、燃料ガスと混合される１次空気がファンから供給されることに加え、複数のバーナ本体の設置領域に対しては、その下方側から上向きに２次空気も供給される。この２次空気は、各バーナ本体における保炎性を良くするのに役立つ。

【0003】

しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。

【0004】

すなわち、複数のバーナ本体が横並び状に配列された領域に、その下方から２次空気を上向きに供給した場合、バーナ本体どうしの相互間においては、２次空気を適度な流速で上向きに進行させることにより、バーナ本体の保炎性を良好にすることは可能である。ところが、複数のバーナ本体のうち、配列の最端部に位置する最端部バーナ本体の外方側においては、前記したような２次空気の流れを適切に生じさせることは難しいものとなっている。その結果、最端部バーナ本体の保炎性が悪化する虞がある。
バーナ本体としては、たとえば濃淡バーナタイプのものがあるが、これは炎孔面の内側に淡炎を発生させ、かつその両側に補助炎として濃炎を発生させることにより、全体の保炎性を良くしつつ、低ＮＯ_X 化を図ろうとするものである。ただし、このようなバーナ本体を用いた場合であっても、最端部バーナ本体については、濃炎の保炎性が悪化する虞がある。濃炎の保炎性が悪化すると、それよりも保炎性が低い淡炎も影響を受けて全体の保炎性が悪化することとなる。このようなことは適切に解消することが望まれる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0005】

【特許文献1】実開平０４−２５９２４号公報

【特許文献2】特許第５５５４０２７号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0006】

本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、簡易な構成により、保炎性を良くすることが可能なバーナ装置を提供することを、その課題としている。

【課題を解決するための手段】

【0007】

前記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。

【0008】

本発明により提供されるバーナ装置は、上面部が炎孔面とされた複数のバーナ本体を横並び配列で収容するバーナケースと、前記複数のバーナ本体の配列の最端に位置する最端部バーナ本体と前記バーナケースの側壁部との間に配され、かつ前記側壁部との間に第１の隙間を形成するとともに、前記最端部バーナ本体との間に第２の隙間を形成するサイドプレート部と、前記バーナケースに取付けられたファンから吐出された空気を前記複数の
バーナ本体の設置領域および前記第１の隙間に向けてこれらの下方から上向きに供給可能とする空気流路と、を備えている、バーナ装置であって、前記サイドプレート部は、前記空気流路から前記第１の隙間に向けて供給された空気の一部を、前記第２の隙間に流入させることが可能な空気取込み用開口部を形成していることを特徴としている。

【0009】

このような構成によれば、次のような効果が得られる。
すなわち、ファンから吐出されて空気流路を通過し、サイドプレート部とバーナケースの側壁部との相互間に形成された第１の隙間に向けて供給される空気の一部は、空気取込み用開口部を通過することにより、最端部バーナ本体とサイドプレート部との相互間の第２の隙間に流入する。その結果、最端部バーナ本体の炎孔面において発生している火炎の外方側（バーナケースの側壁部側）の傍には、適度な空気量および流速をもつ上向きの空気流を的確に生じさせることが可能である。このようなことから、従来よりも最端部バーナ本体の保炎性を良くすることができる。
また、第１および第２の隙間を通過する空気は、サイドプレート部を冷却するため、サイドプレート部が熱損傷することを防止する効果も得られる。
なお、第１の隙間をそのまま上方に通過していく空気も存在し得るが、このような空気は、バーナケースの側壁部の冷却に利用することが可能である。

【0010】

本発明において、好ましくは、前記サイドプレート部の上部領域は、前記最端部バーナ本体の上部側面に対して略平行に対面しており、かつ前記サイドプレート部の高さは、前記最端部バーナ本体の高さと略同一、またはそれ以下とされている。

【0011】

このような構成によれば、最端部バーナ本体の炎孔面の上方の側方に適度な量および流速をもつ空気流を形成する上で、より好ましいものとなる。また、最端部バーナ本体の駆動燃焼時の火炎によってサイドプレート部が熱損傷を受けることも一層確実に防止することが可能である。

【0012】

本発明において、好ましくは、前記空気取込み用開口部として、上縁部に空気取込みガイド部が設けられている第１の空気取込み用開口部を備えており、前記空気取込みガイド部は、前記上縁部から前記バーナケースの前記側壁部寄りに突出した下向きまたは斜め下向きの突片状である。

【0013】

このような構成によれば、空気取込みガイド部の存在により、第１の空気取込み用開口部を通過して第１の隙間から第２の隙間に流れる空気の量を多くする作用が得られる。その結果、第２の隙間および最端部バーナ本体の上方の側方を流れる空気の量に不足を生じないようにすることが確実化される。

【0014】

本発明において、好ましくは、前記空気取込みガイド部は、下部側ほど前記バーナケースの前記側壁部に接近するように傾斜している。

【0015】

このような構成によれば、第１の隙間を上向きに通過する空気が空気取込みガイド部に当たると、この空気は第２の隙間に円滑にガイドされる。したがって、第１の隙間から第２の隙間への空気流入量を多くする上で有利である他、第２の隙間において空気の乱流をできる限り生じないようにし、保炎性を一層良くすることが可能となる。

【0016】

本発明において、好ましくは、前記複数のバーナ本体がホルダに保持されて構成され、かつ前記バーナケース内に外部への取り出しが可能に収容されるバーナユニットを備えており、前記ホルダは、前記複数のバーナ本体が横並び配列で載設され、かつ前記空気流路の一部を構成する複数の通気用孔が設けられた整流板部を有するベース部材と、このベース部材に取付けられ、かつ前記複数のバーナ本体の固定を図るように前記複数のバーナ本
体の周囲の少なくとも一部を囲む枠状部材と、を備えており、前記枠状部材の一部が、前記サイドプレート部である。

【0017】

このような構成によれば、バーナユニットをバーナケースの内外に出し入れすることにより、複数のバーナ本体をバーナケース内に一括して組み込み、あるいは取り出すことが可能となる。したがって、バーナ装置の組み立て作業性や、メンテナンス作業性を良くすることができる。その一方、バーナユニットのホルダを構成する枠状部材の一部を、前記サイドプレート部としているため、その構成は合理的である。サイドプレート部として、それ専用の部材を用いる必要を無くし、製造コストの低減化を図ることが可能である。

【0018】

本発明において、好ましくは、前記サイドプレート部の下縁部は、前記整流板部からその上方に離間した配置となるように設定されており、前記空気取込み用開口部として、前記サイドプレート部の前記下縁部と前記整流板部との相互間に開口するように形成された第２の空気取込み用開口部を、備えている。

【0019】

このような構成によれば、第１の隙間から第２の隙間への空気流入量を多くすることが可能である。

【0020】

本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】本発明に係るバーナ装置の一例を示す斜視図である。

【図2】図１に示すバーナ装置の分解斜視図である。

【図3】図１のIII−III断面図である。

【図4】図１のIV−IV断面図である。

【図5】図４の要部拡大断面図である。

【図6】図２に示すバーナユニットを構成するホルダおよびバーナ本体の分解斜視図である。

【図7】図６に示すホルダの分解斜視図である。

【図8】図７に示すホルダの側面断面図である。

【図9】図８の分解断面図である。

【図10】本発明の他の例を示す要部断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0022】

以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。

【0023】

図１に示すバーナ装置Ｂは、たとえばガス給湯装置の構成要素として用いられ、このバーナ装置Ｂの上側には、湯水が流通する熱交換器（不図示）が載設される。バーナ装置Ｂを駆動燃焼させることにより、前記熱交換器内に送り込まれている湯水を加熱可能である。

【0024】

このバーナ装置Ｂは、バーナケース１、このバーナケース１内に収容されたバーナユニットＵ、およびバーナケース１の前面部に取付けられた補助プレート２を備えている。

【0025】

図２によく表われているように、バーナケース１は、前面開口部１０および上面開口部１１を有する略直方体状である。補助プレート２は、前面開口部１０の上部寄り領域を閉塞するように、複数のビス７ａ，７ｂを用いてバーナケース１およびバーナユニットＵに取付けられている。より具体的には、補助プレート２の上部は、バーナケース１の前面開口部１０の上縁部に相当する上側前壁部１２に対し、ビス７ａ、ビス挿通孔７０、および
ネジ孔７１を利用して取付けられている。一方、補助プレート２の下部は、バーナユニットＵの後述する前壁部４１の上部に対し、ビス７ｂ、ビス挿通孔７１、およびネジ孔７２を利用して取付けられている。図３に示すように、補助プレート２には、バーナ装置Ｂの駆動燃焼用の点火プラグ７８や、炎検出用のフレームロッド７９などが取付けられている。補助プレート２を、バーナケース１およびバーナユニットＵから取り外した状態においては、バーナユニットＵをバーナケース１の内外に前面開口部１０を介してその正面から出し入れ可能である。

【0026】

バーナユニットＵは、複数のバーナ本体３（ガス燃焼管）を並べた状態でホルダＨに組み付けたものである。各バーナ本体３は、たとえば特開２０１３−２４２０８０号公報などに記載された従来既知のものと同様であり、濃淡バーナと称されるタイプである。図６によく表われているように、各バーナ本体３は、全体が比較的偏平状であって、一端部（前端部）に燃料ガス導入口３０ａ，３０ｂを有し、かつ上面部が炎孔面３１とされている。

【0027】

バーナユニットＵのホルダＨの詳細については後述するが、このバーナユニットＵは、バーナケース１内に図３および図４に示すような状態で収容される。図３において、バーナケース１の下部および前部には、ファン５０および燃料ガス噴射ヘッド５１が取付けられる。ファン５０からバーナケース１内に供給された空気のうち、燃焼用の１次空気は、バーナケース１内の下部の主空気流路５９を通過して後述する給気口４４に到達し、燃焼ガス噴出ヘッド５１のノズルから噴射される燃料ガスとともにバーナ本体３の燃料ガス導入口３０ａ，３０ｂに導入される。前記燃料ガスは、炎孔面３１およびその上方において燃焼する。ファン５０から主空気流路５９に供給された空気のうち、１次空気以外の空気は、ホルダＨの後述する整流板部４０の複数の通気孔４０ａを上向きに通過する。このことにより、複数のバーナ本体３の設置領域（後述の第２の隙間８２も含む）に燃焼用の２次空気が供給される。後述の第１の隙間８１にも空気が供給される。
主空気流路５９および複数の通気孔４０ａは、本発明でいう「空気流路」を構成している。

【0028】

バーナユニットＵのホルダＨは、図７に示すように、ベース部材４と、枠状部材６とを組み合わせて構成されている。これらベース部材４および枠状部材６は、いずれも金属板にプレス加工を施すなどして構成されている。
ベース部材４は、複数のバーナ本体３が載設される底壁部としての役割を果たす整流板部４０、この整流板部４０から下向きに突出する複数の脚部４５、および整流板部４０の前部から上向きに起立する前壁部４１を具備している。前壁部４１には、燃料ガス導入口３０ａ，３０ｂに対向する複数の給気口４４、および複数のバーナ本体３のそれぞれの前端部を嵌入させてその位置決め固定を図るための複数の位置決め用凹部４２が形成されている。複数の脚部４５は、バーナケース１の底壁部１９上に載置される部位であり、このことにより、底壁部１９と整流板部４０との間には前記した主空気流路５９が形成される。

【0029】

ホルダＨの枠状部材６は、複数のバーナ本体３の後側および左右両側を囲むための後壁部６０および左右一対のサイドプレート部６１が繋がった平面視略コ字状である。後壁部６０の上端および下端には、複数のバーナ本体３の後端部を嵌入させてその位置決め固定を図るための複数の位置決め用凹部６２ａ，６２ｂが設けられている。

【0030】

一対のサイドプレート部６１は、図８および図９に示すように、ビス７ｃを利用してベース部材４に取付けられている。この取付けを補助し、サイドプレート部６１の固定の確実化を図るための手段として、サイドプレート部６１の後側下部には、ベース部材４に設けられた係合用スリット４６に挿入され、かつこの係合用スリット４６の前縁部に係合可
能な係合用凸部６１ａが設けられている。サイドプレート部６１の前側上部には、ベース部材４に設けられた被係合用凹部４７に係入可能な係合用凹部６１ｂが設けられている（図７の要部拡大斜視図も参照）。

【0031】

図４および図５に示すように、一対のサイドプレート部６１は、複数のバーナ本体３のうち、これらの配列の最端部に位置する左右一対の最端部バーナ本体３（３Ａ）と、バーナケース１の左右一対の側壁部１８との相互間に位置している。サイドプレート部６１と側壁部１８との相互間には、第１の隙間８１が形成されているとともに、サイドプレート部６１と最端部バーナ本体３Ａとの相互間には、第２の隙間８２が形成されている。

【0032】

図５によく表われているように、サイドプレート部６１には、第１の空気取込み用開口部９１、および複数の凸部６１ｃがさらに設けられている。また、サイドプレート部６１は、第２の空気取込み用開口部９２を形成している。

【0033】

複数の凸部６１ｃは、サイドプレート部６１の上部に位置し、かつ水平方向に突出した小サイズの半球状などである。これら複数の凸部６１ｃが最端部バーナ本体３Ａの外面部に当接するように設定されることにより、最端部バーナ本体３Ａとサイドプレート部６１との相互間には、第２の隙間８２が形成されている。この第２の隙間８２の幅Ｗ１は、たとえば他の複数のバーナ本体３の上部の隙間の幅Ｗ２と略同一である。ただし、これに限定されない。

【0034】

第１の空気取込み用開口部９１は、サイドプレート部６１の上部寄り領域に設けられた貫通孔状であり、前後方向に延びた略矩形状である（図８，図９なども参照）。ただし、この第１の空気取込み用開口部９１の上縁部には、空気取込みガイド部９３が連設されている。空気取込みガイド部９３は、前記上縁部から側壁部１８寄りに突出した斜め下向きの突片状であり、好ましくは、図５に示すように、下部側ほど側壁部１８に接近するように傾斜している。この空気取込みガイド部９３は、サイドプレート部６１に絞り加工、あるいは切り起こし加工などを施して形成することが可能である。絞り加工によれば、空気取込みガイド部９３の長手方向（サイドプレート部６１の前後方向）の両端部に閉塞壁部９３ａ（図８，図９など参照）を形成し、空気取込みガイド部９３の長手方向両端部の内側領域が前後方向に開口しないようにすることが可能である。これは、第１の空気取込み用開口部９１を介して第１の隙間８１から第２の隙間８２に流入する空気の量を多くする上で有利である。

【0035】

第２の空気取込み用開口部９２は、サイドプレート部６１の下縁部６１ｄを切欠き状に形成し、この下縁部６１ｄが整流板部４０からその上方に離間した配置となるように設定することにより形成されている。すなわち、下縁部６１ｄと整流板部４０との相互間における開口部が、第２の空気取込み用開口部９２である。

【0036】

サイドプレート部６１の上部領域は、最端部バーナ本体３Ａの上部側面に対して略平行に対面している。また、サイドプレート部６１の高さｈ１は、好ましくは、最端部バーナ本体３Ａの高さｈ２と略同一、または高さｈ２よりも僅かに低い高さとされている。ただし、これに限定されるものではない。

【0037】

次に、前記したバーナ装置Ｂの作用について説明する。

【0038】

まず、ファン５０を駆動させた状態において、各バーナ本体３を燃焼駆動させている際には、ファン５０から主空気流路５９に供給された燃焼用空気の一部が、複数の通気孔４０ａを通過し、２次空気として複数のバーナ本体３の設置領域（第２の隙間８２を含む）に供給される。その際、第１の隙間８１にも空気が供給される。第１の隙間８１に供給さ
れた空気の一部は、そのままバーナケース１の側壁部１８に沿って上昇するが、これは側壁部１８を冷却し、熱損傷を防止する役割を果たす。側壁部１８の熱損傷をより確実に防止するための手段として、側壁部１８に対して空気層を介して対向接近する遮熱板をさらに設けた構成とすることもできる。

【0039】

一方、第１の隙間８１に供給された空気の他の一部は、第１の空気取込み用開口部９１を通過して第２の隙間８２に流入する。この場合、空気取込みガイド部９３は、第１の隙間８１から第２の隙間８２への空気流入を促進する役割を果たす。このようなことから、第２の隙間８２を上向きに流れる空気の量を多くし、最端部バーナ本体３Ａの炎孔面３１において発生する火炎の外方側の傍に、適度なボリュームおよび流速をもつ上向きの空気流ＡＦ（模式的に矢印を用いて図示している）を継続して発生させることが可能となる。その結果、最端部バーナ本体３Ａの火炎形成領域への２次空気の供給量が不足するといったこともなく、その保炎性を良くすることができる。

【0040】

第２の空気取込み用開口部９２は、通気孔４０ａを通過して第１の隙間８１に向かう空気の一部を、第２の隙間８２に流入させる役割を果たす。このことにより、第２の隙間８２への空気流入量を多くし、保炎性を良くすることを一層確実化することが可能である。

【0041】

サイドプレート部６１の上部領域は、既述したように、最端部バーナ本体３Ａの上部側面に対して、適度な間隔（幅Ｗ１）で略平行に対面している。また、サイドプレート部６１の高さｈ１は、最端部バーナ本体３Ａの高さｈ２と略同一、もしくは僅かに低い高さとされている。このため、前記した空気流ＡＦは、最端部バーナ本体３Ａの保炎性を良くする上で一層好ましいものとなる。本実施形態とは異なり、ｈ１＞ｈ２の場合には、サイドプレート部６１が高温に加熱されて熱損傷する虞が生じる。これに対し、本実施形態によれば、そのような虞を適切に解消することが可能である。

【0042】

本実施形態においては、複数のバーナ本体３をホルダＨに保持させたバーナユニットＵを備えており、かつこのバーナユニットＵは、バーナケース１から補助プレート２を取り外した状態において、前面開口部１０を介してバーナケース１の内外に出し入れ可能である。このため、バーナ本体３のメンテナンス作業なども容易である。その一方、最端部バーナ本体３Ａの保炎性を良くするための手段は、バーナユニットＵのホルダＨを構成するサイドプレート部６１を利用して構成されている。したがって、その構成は合理的であり、保炎性を良くするための専用部材を別途用いていないため、製造コストの低減を図ることも可能である。

【0043】

図１０は、本発明の他の実施形態を示している。
同図においては、空気取込みガイド部９３Ａの形状が前記実施形態のものとは相違しており、空気取込みガイド部９３Ａの下端寄り部分は、傾斜することなく、下向きに延びている。ただし、空気取込みガイド部９３Ａは、水平方向において、サイドプレート部６１の他の一般部分よりも側壁部１８寄りに突出している。このため、本実施形態の空気取込みガイド部９３Ａによっても、第１の隙間８１を上向きに進行する空気を第１の空気取込み用開口部９１に効率良く導き、第２の隙間８２への空気流入量を多くする役割を果たす。
本実施形態から理解されるように、空気取込み用開口部の具体的な形状は、種々に変更することが可能である。

【0044】

本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るバーナ装置の各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。

【0045】

上述した実施形態においては、複数のバーナ本体をホルダに保持させたバーナユニット
を構成し、このバーナユニットをバーナケースの内外に出し入れ可能としているが、本発明はこれとは異なる構成とすることもできる。たとえば、特許文献２には、バーナケース内に複数のバーナ本体を個々に組み込んだ構成が開示されているが、このような構成を採用することも可能である。この場合、最端部バーナ本体の外側に位置するプレート材を、本発明でいうサイドプレート部とし、空気取込み用開口部を形成すればよいこととなる。

【0046】

空気取込み用開口部は、空気流路から前記第１の隙間に向けて供給された空気の一部を、前記第２の隙間に流入させることが可能であればよく、その具体的な形状、サイズ、数は限定されない。空気取込み用開口部の上縁部に空気取込みガイド部が設けられていない構成とすることもできる。

【0047】

バーナ本体は、必ずしも濃淡バーナとして構成されたものである必要はなく、これとは異なる種類（たとえば、全一次バーナなど）のものを用いることも可能である。
本発明に係るバーナ装置は、給湯装置用に限定されず、たとえば温風装置用、あるいは焼却装置用など、その具体的な用途も問わない。

【符号の説明】

【0048】

Ｂ バーナ装置
Ｈ ホルダ
Ｕ バーナユニット
１ バーナケース
２ 補助プレート
３ バーナ本体
３Ａ 最端部バーナ本体
４ ベース部材
４０ 整流板部
６ 枠状部材
６１ サイドプレート部
６１ｄ 下縁部（サイドプレート部の）
８１，８２ 第１および第２の隙間
９１，９２ 第１および第２の空気取込み用開口部（空気取込み用開口部）
９３，９３Ａ 空気取込みガイド部

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】