(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記周囲長検出部は、前記物理的作用検出部が前記押圧を検出し、かつ、前記インピーダンス判定部が、前記第二電極とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている前記第一電極ありと判定した場合、前記測定対象部分の周囲長を検出する、請求項1に記載の輪郭形状推定装置。
複数の前記第一電極のうち少なくとも1つと前記第一シールド部とに同相の交流電圧を印加し、前記第二電極と前記第二シールド部とに同相の交流電圧を印加する電圧印加部を備える請求項4に記載の輪郭形状推定装置。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0020】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る輪郭形状推定装置の概略構成例を示す説明図である。同図に示すように輪郭形状推定装置1は、ベルトに集約して(一体化して)実装されている。すなわち、輪郭形状推定装置1の各部がベルト本体10に搭載されている。ベルト本体10は、帯部11と、化粧ケース13とリング14とバックル15とを含んで構成される。バックル15は針部16を有する。
以下、ベルト本体10の長手方向の両端のうちバックル15のある側を頭側と称し、頭側と反対側を尾側と称する。
【0021】
輪郭形状推定装置1は、測定対象物の測定対象部分の周囲長を検出し、輪郭形状を推定する。具体的には、測定対象物にベルト本体10が巻かれると、輪郭形状推定装置1は、ベルト本体10が巻かれた部分の周囲長を検出し、輪郭形状を推定する。
以下では、測定対象物が人であり、測定対象部分が腹部(胴回り)である場合を例に説明する。但し、輪郭形状推定装置1の測定対象物は人に限らず、輪郭形状推定装置1の測定対象部分は腹部に限らない。例えば、輪郭形状推定装置1が動物の腹部の周囲長を検出し、輪郭形状を推定するようにしてもよい。また、例えば、ベルト本体10が人の腕に巻かれ、輪郭形状推定装置1が腕の周囲長を検出し、輪郭形状を推定するようにしてもよい。
【0022】
一方、測定対象物が人であり、測定対象部分が腹部である場合、洋服に用いられる日常用のベルトをベルト本体10として輪郭形状推定装置1を実装することができる。これにより、ユーザは、日常用のベルトを普段通りに使用することで腹部の輪郭形状及び周囲長を検出することができる。従って、ユーザは、検出専用の装置を装着する必要がなく、また、検出のために特別な操作を行う必要がない。ユーザは、腹部の輪郭形状及び周囲長の情報を肥満度の管理など健康管理に用いることができる。
【0023】
帯部11には、帯部11の長手方向に並んで6つの穴が空けられている。帯部11の長手方向はベルト本体10の長手方向でもある。以下、帯部11の穴を尾側から順にベルト穴12a、ベルト穴12b、・・・、ベルト穴12fと表記する。また、ベルト穴12a〜12fを総称してベルト穴12と表記する。ベルト穴12のいずれに針部16を通すかで、ベルトが形成する輪の長さを調節することができる。以下、ベルトが形成する輪の長さをベルトの周長と称する。
また、帯部11にはフレキシブル基板20が設けられている。具体的には、帯部11を構成する2枚の皮がフレキシブル基板20を挟み込んでいる。
なお、ベルト穴12の数は
図1に示す6つに限らず2つ以上であればよい。
【0024】
化粧ケース13は、バックル15の付近に設けられ、バックル15の一部を巻いた帯部11の折り返しを固定する。また、化粧ケース13は、リング14の一部を挟んでリング14を帯部11に固定する。また、化粧ケース13の内部には、回路基板30が設けられている。
リング14は、針部16をベルト穴12に通した後の帯部11の余りの部分を通すために設けられている。帯部11の余りの部分をリング14に通すことで、余りの部分が垂れ下がるなど邪魔になることを防止する。
バックル15は、針部16をベルト穴12に通した状態で保持するための金具である。
【0025】
図2は、フレキシブル基板20におけるセンサの配置例を示す説明図である。なお、輪郭形状推定装置1では、第一電極121及び第二電極131はベルト本体10の周長を求めるセンサの一部として用いられる。このため、第一電極121及び第二電極131をセンサと称する。
図2に示すように、フレキシブル基板20には、フレキシブル基板20の長手方向に並んで6つの第一電極121が設けられている。フレキシブル基板20の長手方向は、フレキシブル基板20をベルト本体10に実装した状態でベルト本体10の長手方向に一致する。
以下、第一電極121を、ベルト本体10の尾側から順に第一電極121a、第一電極121b、・・・、第一電極121fと表記する。なお、フレキシブル基板20の長手方向の両端を、フレキシブル基板20をベルト本体10に実装したときのベルト本体10の頭側及び尾側で区別している。
【0026】
また、フレキシブル基板20には、フレキシブル基板20の長手方向に並んで複数の曲率センサ150が設けられている。ここでいう曲率センサは、曲率センサ自らが曲げられた曲率を測定するセンサである。曲率センサ150が測定する曲率は、曲率センサ150が配置された位置におけるベルト本体10の曲率を示す。
また、フレキシブル基板20には、フレキシブル基板20の長手方向に並んで6つの穴が空けられている。以下、フレキシブル基板20の穴をベルト本体10の尾側から順に基板穴21a、基板穴21b、・・・、基板穴21fと表記する。また、基板穴21a〜12fを総称して基板穴21と表記する。
基板穴21a、基板穴21b、・・・、基板穴21fは、それぞれ、フレキシブル基板20をベルト本体10に実装した状態でベルト穴12a、ベルト穴12b、・・・、ベルト穴12fの位置に一致する位置に空けられている。
なお、
図2におけるセンサの配置は一例であり、これに限らない。例えば、
図2では、第1電極がベルト本体10の尾側に配置され、曲率センサ150がベルト本体10の頭側に配置されており、第1電極121の配置領域と曲率センサ150の配置領域とが分離されている。これに対し、第1電極121の配置領域と、曲率センサ150の配置領域とが帯部11の一部又は全体にわたって重なるように、第1電極121と曲率センサ150とが配置されていてもよい。多層基板技術、又は、基板を複数枚重ねる技術を用いて、かかる配置を実現することができる。
【0027】
図3は、回路基板30におけるセンサの配置例を示す説明図である。同図に示すように、回路基板30には第二電極131が設けられている。
また、回路基板30にはコネクタ31が設けられている。コネクタ31は、フレキシブル基板20と回路基板30とを電気的に接続するためのコネクタである。
【0028】
図4は、回路基板30の配置例を示す説明図である。上述したように、フレキシブル基板20は帯部11の2枚の皮に挟まれて配置されている。また、回路基板30は化粧ケース13内に格納されている。
回路基板30は、コネクタ31をバックル15側に向けて配置されている。そして、フレキシブル基板20のバックル15側の端部が折り曲げられてコネクタ31に接続されている。ベルト本体10の外観を、日常用に用いられるベルトの外観と同様にするためである。
【0029】
図5は、輪郭形状推定装置1の機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、輪郭形状推定装置1は、センサ部100と、処理部200とを備える。センサ部100は、第一シリアル通信部110と、電源部111と、電極切替部112と、第一電極121と、第二電極131と、インピーダンス指標測定部140と、曲率センサ150と、物理的作用検出部160とを備える。処理部200は、第二シリアル通信部210と、開始条件判定部220と、周囲長検出部230と、輪郭形状推定部240とを備える。開始条件判定部220は、インピーダンス判定部221を備える。輪郭形状推定部240は、部分形状推定部241と、部分判定部242と、全周形状推定部243とを備える。
【0030】
以下では、輪郭形状推定装置1の各部が(全て)ベルト本体10に実装されている場合を例に説明する。但し、輪郭形状推定装置1の一部がベルト本体10と別の装置として構成されていてもよい。例えば、処理部200がベルト本体10と別の装置として構成されていてもよい。
一方、輪郭形状推定装置1の各部がベルト本体10に実装されていることで、ユーザは、輪郭形状推定装置1を日常用のベルトと同様に使用することができ、ユーザの利便性が高い。
【0031】
センサ部100は、センサを備えてベルト本体10の状態を測定する。センサ部100の各部のうち、第一シリアル通信部110と、電極切替部112と、第一電極121と、インピーダンス指標測定部140と、曲率センサ150とは、フレキシブル基板20に設けられている。一方、電源部111と、第二電極131と、物理的作用検出部160とは、回路基板30に設けられている。但し、電源部111と、電極切替部112と、インピーダンス指標測定部140と、物理的作用検出部160とは、フレキシブル基板20、回路基板30のいずれの側に設けられていてもよい。
【0032】
第一シリアル通信部110は、センサ部100による各測定値をシリアル通信にて処理部200へ送信する。後述するように、第一シリアル通信部110が複数の通信回路にて構成されていてもよい。
電源部111は、例えばボタン電池などの電源を含んで構成され、輪郭形状推定装置1の各部に電力を供給する。特に、電源部111は、第一電極121及び第二電極131に交流電圧を供給(印加)する。また、電源部111は、曲率センサ150に直流電圧を供給する。電源部111が、例えば周波数が100キロヘルツ(kHz)以上など、比較的高周波の交流電圧を供給するようにする。これにより、第一電極121と第二電極131とが対向してキャパシタとして機能するときの静電誘電効果を高めることができる。
【0033】
電極切替部112は、ベルト本体10の周長の測定(検出)の際、電源部111からの電圧を印加する第一電極121を時分割で切り替える。
第一電極121と第二電極131とには、電源部111からの電圧が印加される。特に、第一電極121a〜121fには、電源部111からの電圧が電極切替部112を介して時分割で印加される。インピーダンス指標測定部140は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定する。
【0034】
図6は、ユーザが輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)を装着した状態での第一電極121と第二電極131との位置関係の例を示す説明図である。
同図に示すように、ユーザが輪郭形状推定装置1を装着した状態では、ベルト本体10は輪を形成している。輪郭形状推定装置1は、この状態でのベルト本体10の周長を測定対象部分の周囲長として検出する。通常、輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)は、ユーザの腹部に巻いて使用される。この状態で、輪郭形状推定装置1は、ユーザの腹部の周囲長(腹囲)を検出する。
【0035】
第一電極121の各々は、ユーザが輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)を装着した状態で、第一電極121のいずれかが第二電極131と対向する(第一電極121の面と第二電極131の面とが向かい合う)位置に配置されている。具体的には、針部16がベルト穴12aに通された場合、第一電極121aと第二電極131とが対向する。同様に、針部16がベルト穴12b、12c、・・・、12fに通された場合、それぞれ、第一電極121b、121c、・・・、121fと第二電極131とが対向する。
図6は、針部16がベルト穴12bに通された場合の例を示しており、第一電極121bと第二電極131とが対向している。
【0036】
図7は、ベルト本体10の周長を求めるセンサの電気回路の構成例を示す説明図である。上記のように、ユーザがベルト本体10を装着した状態で、第一電極121のいずれかが第二電極131と対向する。
図7の低では、第一電極121cと第二電極131とが対向している。
第二電極131と対向している第一電極121と、第二電極131と対向していない第一電極121とでは、交流電圧を印加した場合のインピーダンスが異なる。そこで、電極切替部112が時分割で第一電極121を切り替えて電源部111からの電圧を印加する。
【0037】
具体的には、電極切替部112は、第一スイッチ113a〜113fを含んで構成されている。以下、第一スイッチ113a〜113fを総称して第一スイッチ113と表記する。
第一スイッチ113a、113b、・・・、113fは、それぞれ第一電極121a、121b、・・・、121fと接続されている。電極切替部112は、ONする第一スイッチ113を時分割で切り替えて、いずれか1つの第一スイッチ113をONすることで、電圧を印加する第一電極121を時分割で切り替える。
【0038】
そして、インピーダンス指標測定部140が、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定する。
図7では、インピーダンス指標測定部140が、第一電極121と第二電極131との間の交流電圧を測定する場合の例を示している。第二電極131と対向している第一電極121では、第一電極121と第二電極131とがコンデンサとして機能し、電源部111と第一電極121及びに第二電極131とをつないだ回路に交流電流が流れる。これにより、電源部111の電圧が降下し、インピーダンス指標測定部140が測定する電圧は比較的小さく(低く)なる。
【0039】
一方、第二電極131と対向していない第一電極121では、電源部111と第一電極121及びに第二電極131とをつないだ回路に電流はほとんど流れない。この場合、電源部111の電圧は電源部111の解放端電圧のままであり、インピーダンス指標測定部140が測定する電圧は、第二電極131と対向している第一電極121での電圧よりも大きく(高く)なる。
このように、インピーダンス指標測定部140が測定する電圧により、第一電極121のいずれが第二電極131と対向しているかを判定することができる。
【0040】
但し、インピーダンス指標測定部140が測定する指標値は、電圧に限らずインピーダンスを示すものであればよい。例えば、インピーダンス指標測定部140が、第一電極121と第二電極131とを流れる電流を測定するようにしてもよい。この場合、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスが小さいほど、インピーダンス指標測定部140が測定する電流が大きくなる。これにより、第一電極121のいずれが第二電極131と対向しているかを判定することができる。
【0041】
物理的作用検出部160は、ベルト本体10への所定の物理的作用を検出する。
例えば、物理的作用検出部160は、加速度センサを含んで構成され、輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)の加速度を検出することで輪郭形状推定装置1の動きを検出する。ユーザが輪郭形状推定装置1を動かすことで輪郭形状推定装置1に力が加わって加速度が生じ、物理的作用検出部160は、この加速度を検出する。ここでいう輪郭形状推定装置1の動きは、例えば移動すること、向きが変わること、傾きが変わること、及びこれらの組み合わせなど、物理的な動きである。
【0042】
物理的作用検出部160が所定の物理的作用(加速度センサの例では加速度)を検出することは、輪郭形状推定装置1が測定対象部分の輪郭の推定及び周囲長の検出を開始する条件の1つとして用いられる。具体的には、物理的作用検出部160は、所定の物理的作用を検出したことを契機(トリガ)として動作し、電源部111に第一電極121及び第二電極131への電圧の印加開始を指示する。電源部111が第一電極121及び第二電極131に電圧を印加すると、上記のように電極切替部112が、電圧を印加する第一電極121を切り替える。そしてインピーダンス指標測定部140が、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定する。この指標値に基づいて、開始条件判定部220が、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始するか否かを決定する。
【0043】
あるいは、物理的作用検出部160が、加速度センサに加えて、あるいは代えて、ベルト本体10が動くとONするスイッチを含んで構成され、輪郭形状推定装置1の動きの有無を検出するようにしてもよい。すなわち、物理的作用検出部160が、輪郭形状推定装置1に加速度が生じているか否かを検出するようにしてもよい。
【0044】
図8は、ベルト本体10が動くとONするスイッチの構造の例を示す説明図である。同図に示すように、第二スイッチ161は、第三電極162と、おもり163と、ばね164とを備える。
第三電極162は、おもり163の全周を囲んでいる。なお、図を見易くするため、
図8では、おもり163の全周を囲む第三電極162のうち一部のみを示している。
おもり163は第四電極として機能し、第三電極162とおもり163とが接触することで第二スイッチ161がONになる。
ばね164は、おもり163を支持している。
【0045】
輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)が静止している状態では、第三電極162とおもり163とは接しておらず、第二スイッチ161はOFFになっている。一方、ユーザが輪郭形状推定装置1を動かすと、おもり163は、慣性力によって第三電極162と異なる動きをする。これにより、おもり163は、輪郭形状推定装置1が静止しているときの位置から傾き、第三電極162とおもり163とが接触する。これにより、第二スイッチ161がONになる。
【0046】
例えば、物理的作用検出部160は、第二スイッチ161がONになることを契機として動作し、電源部111に第一電極121及び第二電極131への電圧の印加開始を指示する。電源部111が第一電極121及び第二電極131に電圧を印加すると、上記のように電極切替部112が、電圧を印加する第一電極121を切り替える。そしてインピーダンス指標測定部140が、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定する。この指標値に基づいて、開始条件判定部220が、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始するか否かを決定する。
なお、おもり163の形状は、
図8に示す円筒形状である必要は無く、いろいろな形状とすることができる。また、第三電極162は、おもり163の全周に配置されている必要は無く、おもり163がいずれの向きに傾いても第三電極162と接するように配置されていればよい。
【0047】
あるいは、物理的作用検出部160が、ベルト本体10の動きの検出に加えて、あるいは代えて、ベルト本体10の所定部分への押圧を検出するようにしてもよい。
図9は、ベルト本体10の所定部分への押圧を検出するスイッチの配置例を示す説明図である。同図に示すように、第三スイッチ165は、リング14の内側に位置するように化粧ケース13の外面に配置されている。
【0048】
リング14に帯部11が通されていない状態では、第三スイッチ165はOFFになっている。一方、ユーザが輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)を装着して帯部11をリング14に通すと、第三スイッチ165は帯部11に押されてONになる。第三スイッチ165がONになることで、物理的作用検出部160は、リング14と化粧ケース13とに挟まれた帯部11による化粧ケース13への押圧を検出する。
【0049】
例えば、第二スイッチ161(
図8)の場合と同様、物理的作用検出部160は、第三スイッチ165がONになることを契機として動作し、電源部111に第一電極121及び第二電極131への電圧の印加開始を指示する。
さらに例えば、第三スイッチ165が、電源部111と電極切替部112とを結ぶ配線(電源配線)に設けられていてもよい。これにより、電極切替部112は、ユーザが輪郭形状推定装置1を装着して帯部11とリング14に通した場合に、電源部111からの電圧を第一電極121のいずれかに印加する。電極切替部112が第一電極121のいずれかに電圧を印加すると、インピーダンス指標測定部140が、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定する。この指標値に基づいて、開始条件判定部220が、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始するか否かを決定する。
【0050】
曲率センサ150は、曲率センサ150が配置された位置におけるベルト本体10の曲率を測定する。
図10は、曲率センサ150の構成例を示す説明図である。同図に示すように、曲率センサ150は、抵抗152−1及び152−2と歪ゲージ153−1及び153−2とを組み合わせたブリッジ(ホイートストンブリッジ)151と、アンプ156とを含んで構成される。ブリッジ151は、曲率の測定時に電源部111から直流電圧の印加を受ける。電源部111からの電流は、ブリッジ151を通ってグラウンド(ゼロ電位点)へ流れる。
【0051】
曲率センサ150の出力は、A/D変換器(アナログ−デジタル変換器)157と、シリアル通信回路114とを介して回路基板30に送信される。回路基板30は処理部200の機能を実行しており、シリアル通信回路114は、曲率センサ150の測定結果(センサ値)を処理部200に送信する。
以下、抵抗152−1と152−2とを総称して抵抗152と表記する。また、歪ゲージ153−1と153−2とを総称して歪ゲージ153と表記する。
【0052】
図11は、歪ゲージ153の配置例を示す説明図である。同図は、ベルト本体10を横からみた断面の例を示しており、矢印B11はベルト本体10の長手方向を示している。
歪ゲージ153はいずれも、歪(ひずみ)を検出する方向がベルト本体10の長手方向に一致する向きに配置されている。また、
図11に示すように、歪ゲージ153−1と152−2とはフレキシブル基板20を挟んで配置されている。例えば、歪ゲージ153−1がフレキシブル基板20から見てベルト本体10の表面側に配置され、歪ゲージ153−2がフレキシブル基板20から見てベルト本体10の裏面側に配置されている。
【0053】
この配置により、フレキシブル基板20が曲がった際、歪ゲージ153−1のインピーダンスと歪ゲージ153−2のインピーダンスとに差が生じる。ユーザが輪郭形状推定装置1(ベルト本体10)を装着してフレキシブル基板20がベルト本体10の表面側に凸、裏面側に凹に曲がった場合、ベルト本体10の表面側に配置されている歪ゲージ153−1は伸びてインピーダンスが大きくなる。一方、ベルト本体10の裏面側に配置されている歪ゲージ153−2は縮んでインピーダンスが小さくなる。
【0054】
このインピーダンスの差により、点P11と点P12との間に電圧(電位差)が生じる。点P11と点P12との間の電圧の大きさは、歪ゲージ153の設置位置(曲率センサ150の設置位置)におけるベルト本体10の曲げの大きさを示している。
アンプ156は、点P11と点P12との間の電圧を、歪ゲージ153の設置位置におけるベルト本体10の曲率に変換する。具体的には、点P11と点P12との間の電圧とベルト本体10の曲率との関係を示す較正曲線が予め得られており、アンプ156は、点P11と点P12との間の電圧をこの較正曲線に従って増幅するよう設定されている。
【0055】
なお、ブリッジ151が、歪ゲージ153を1つだけ備えるようにしてもよい。具体的には、ブリッジ151が、歪ゲージ153−1及び153−2のうちいずれか一方に代えて抵抗を備えるようにしてもよい。この場合の抵抗として、歪ゲージ153が曲げられていないときの抵抗値と同じ抵抗値を示すものを用いる。
一方、
図10のようにブリッジ151が1つの歪ゲージ153を備えることで、ブリッジ151が歪ゲージ153を1つだけ備える場合よりも点P11と点P12との間の電圧差が大きくなり、曲率センサ150の精度が向上する。また、ブリッジ151が1つの歪ゲージ153を備えることで、ブリッジ151が歪ゲージ153を1つだけ備える場合よりも温度変化の影響を受けにくい。
【0056】
なお、歪ゲージ153内の配線を細くし、歪ゲージ153に接続する配線を太くしておく。これにより、曲率センサ150の精度を向上させることができる。この点について
図12を参照して説明する。
図12は、歪ゲージ153に接続する線と歪ゲージ153内の線との太さの比較例を示す説明図である。同図では、歪ゲージ153内の配線W11と、歪ゲージ153に接続されている配線W12とが示されている。
【0057】
歪ゲージ153が曲げられると配線W11の長さ又は幅、或いはそれら両方が変化することで、歪ゲージ153のインピーダンスが変化する。歪ゲージ153は、このインピーダンスの変化で曲げの大きさを示す。
歪ゲージ153のインピーダンスが変化し易くするために、配線W11の幅を狭くする(配線W11を細くする)。これにより、歪ゲージ153が曲げられて配線W11の幅が変化したときに、元の幅からの変化の割合が大きくなる。
【0058】
一方、歪ゲージ153のインピーダンスを精度よく測定するためには、歪ゲージ153とインピーダンスを検出する回路(
図10の例ではアンプ156)との間の抵抗が小さいことが好ましい。そこで、配線W12の幅を広くする(配線W12を太くする)。
このように、歪ゲージ153内の配線を細くし、歪ゲージ153に接続する配線を太くすることで、曲率センサ150の精度を向上させることができる。
【0059】
A/D変換器157は、アンプ156が出力するアナログ信号(例えば、曲率に比例した電圧値)をデジタル信号に変換する。
シリアル通信回路114は、A/D変換器157が出力するデジタル信号をシリアル通信にて回路基板30に送信する。これにより、シリアル通信回路114は、A/D変換器157が出力するデジタル信号を処理部200に送信する。シリアル通信回路114は、例えば曲率センサ150毎に設けられており、第一シリアル通信部110は、これらのシリアル通信回路114を含んで構成される。
【0060】
シリアル通信回路114の通信方式として、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)又はI2C(Inter-Integrated Circuit)(I2Cは登録商標)など、いろいろなシリアル通信方式を用いることができる。
シリアル通信回路114がシリアル通信を行うことで、曲率センサ150によるセンサ値を、3〜5本程度の少ない本数の配線で通信することができる。多数の配線が不要なことで、帯部11が幅広または厚くなるなどベルト本体10の大型化を避けることができる。
【0061】
以下、アンプ156と、A/D変換器157と、シリアル通信回路114との組み合わせを信号変換モジュール181と称する。信号変換モジュール181は、ブリッジ151によるアナログ信号(点P11と点P12との間の電圧)を、曲率を示すデジタル信号に変換し、さらに、シリアル通信の規格に応じたデジタル信号に変換する。
ここで、信号変換モジュール181を1つのチップに構成する、あるいは、信号変換モジュール181を1つの基板にて構成するなど、信号変換モジュール181を1つに纏めた構成にする。これにより、曲率センサ150毎(曲率センサ150のブリッジ151)毎に信号変換モジュール181を設計する必要がない。この点で、輪郭形状推定装置1を設計する際、信号変換モジュール181を比較的容易に配置することができる。
【0062】
なお、1つの信号変換モジュール181が、複数のブリッジ151による曲率を送信するようにしてもよい。
図13は、ブリッジ151と信号変換モジュール181とを多対一に接続した接続例を示す説明図である。同図の例では、4つのブリッジ151は、マルチプレクサ182を介して信号変換モジュールに接続されている。
【0063】
マルチプレクサ182は、信号変換モジュール181と接続するブリッジ151を時分割で切り替える。信号変換モジュール181は、マルチプレクサ182を介して接続されているブリッジ151の電圧(
図10の点P11と点P12との間の電圧)を、曲率を示すデジタル信号に変換してシリアル通信にて送信する。これにより、比較的少ない数の信号変換モジュールにて曲率を送信することができる。
【0064】
一方、ブリッジ151と信号変換モジュールとを一対一に配置する場合、信号変換モジュール181をブリッジ151の近くに配置する。これにより、信号変換モジュール181が取得する信号(ブリッジ151における電圧)のS/N比(Signal To Noise Ratio)の低下を防止することができる。この点で、曲率センサ150は高精度に曲率を測定することができる。
【0065】
また、ブリッジ151と信号変換モジュール181とを一対一に配置する場合、ブリッジ151と信号変換モジュール181とのいずれの組み合わせでも、ブリッジ151と信号変換モジュール181との間の配線の長さを同じに揃える。これにより、ブリッジ151と信号変換モジュール181との組み合わせ毎の曲率の測定精度のばらつきを低減させることができる。
【0066】
処理部200は、センサ部100の測定結果を用いて測定対象部分の周囲長を検出し、輪郭形状を推定する。処理部200の各部は回路基板30に設けられている。例えば、第二シリアル通信部210は、センサ部100が有するシリアル通信回路にて実現される。また、開始条件判定部220と、周囲長検出部230と、輪郭形状推定部240とは、回路基板30が有するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)が、回路基板30が有する記憶デバイスからプログラムを読み出して実行することで実現される。
【0067】
第二シリアル通信部210は、第一シリアル通信部110とシリアル通信にて通信を行う。特に、第二シリアル通信部210は、曲率測定値など第一シリアル通信部110が送信する各種データを受信する。
開始条件判定部220は、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始するか否かを決定する。具体的には、開始条件判定部220は、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定の処理の開始条件が成立しているか否かを判定する。この開始条件は、物理的作用検出部160が所定の物理的作用を検出し、かつ、第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121があることである。
【0068】
ここで、上述したように、物理的作用検出部160が所定の物理的作用を検出したことを契機として、インピーダンス指標測定部140が、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定する。そこで、開始条件判定部220は、インピーダンス指標測定部140が測定した指標値を取得し、かつ、この指標値に基づいて、第一電極121のうち第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121ありと判定した場合に、開始条件が成立したと判定する。
開始条件が成立したと判定することで、開始条件判定部220は、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始することに決定する。
【0069】
インピーダンス判定部221は、インピーダンス指標測定部140が測定した指標値に基づいて、第一電極121のうち第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121の有無を判定する。例えば、
図7の例のようにインピーダンス指標測定部140がインピーダンスを示す指標値として第一電極121と第二電極131との間の電圧を測定する場合、インピーダンス判定部221は、所定の電圧以下になっている第一電極121の有無を判定する。
【0070】
周囲長検出部230は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスに基づいて測定対象部分の周囲長を検出する。ここで、バックル15とベルト穴12の各々との距離は予め分かるので、針部16がどのベルト穴12を通っているかが分かれば、ベルト本体10の周長を求めることができる。このベルト本体10の周長は、測定対処部分の周囲長とみなすことができる。
【0071】
図14は、第一電極121と第二電極131と間のインピーダンスと、ベルト本体10の周長との関係の第一例を示す説明図である。同図に示すグラフの横軸は、第1電極、及び、ベルト本体10の周長を示す。縦軸は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスを示す。
図14では、針部16がベルト穴12a、21b、21c、21d、21e、21fを通っているときのベルト本体10の周長を、それぞれ「a」、「b」、「c」、「d」、「e」、「f」で示している。
【0072】
上述したように、針部16がベルト穴12aに通された場合、第一電極121aと第二電極131とが対向する。同様に、針部16がベルト穴12a、12b、・・・、12fに通された場合、それぞれ、第一電極121a、121b、・・・、121fと第二電極131とが対向する。従って、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスに基づいて、針部16が通っているベルト穴12を特定することができる。針部16が通っているベルト穴12を特定することで、ベルト本体10の周長を検出することができる。
【0073】
図14の例では、第一電極121cと第二電極131との間のインピーダンスが小さくなっている。これにより、針部16が通っているベルト穴12をベルト穴12cに特定することができる。針部16が通っているベルト穴12をベルト穴12cに特定することで、ベルト本体10の周長「c」を検出することができる。
【0074】
そこで、周囲長検出部230は、ベルト穴12毎に、針部16が当該ベルト穴12を通っている場合の周長を予め記憶しておく。
そして、周囲長検出部230は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスに基づいて、針部16が通っているベルト穴12を特定する。例えば、
図7の例のようにインピーダンス指標測定部140がインピーダンスを示す指標値として第一電極121と第二電極131との間の電圧を測定する場合、インピーダンス判定部221は、インピーダンス指標測定部140の測定電圧が最も小さくなっているベルト穴12を特定する。
そして、周囲長検出部230は特定したベルト穴12に関して記憶している周長を読み出すことで、測定対象部分の周囲長を検出する。
【0075】
周囲長検出部230は、開始条件判定部220が、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始することに決定した場合に、測定対象部分の周囲長を検出する処理を行う。これにより、周囲長検出部230は、物理的作用検出部160が所定の物理的作用を検出し、かつ、インピーダンス判定部221が、第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121ありと判定した場合に、測定対象部分の周囲長を検出する。
【0076】
なお、ベルト本体10はベルトの穴に針部を通すタイプのベルトに限らない。例えば、ベルト本体10がバックルで帯部を挟んで固定するタイプなど、ベルト本体10の周長を無段階に調整できるタイプのベルトであってもよい。
図15は、第一電極121と第二電極131と間のインピーダンスと、ベルト本体10の周長との関係の第二例を示す説明図である。同図に示すグラフの横軸は、第1電極、及び、ベルト本体10の周長を示す。縦軸は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスを示す。
【0077】
図15では、第二電極131がちょうど第一電極121aと対向しているときのベルト穴12の周長を「a」で示している。同様に、第二電極131がちょうど第一電極121b、121c、121d、121e、121fと対向しているときのベルト穴12の周長を、それぞれ「b」、「c」、「d」、「e」、「f」で示している。
【0078】
図15の例では、第一電極121cと第二電極131との間のインピーダンスと、第一電極121dと第二電極131との間のインピーダンスとが小さくなっている。第一電極121cと第二電極131との間のインピーダンスの大きさと、第一電極121dと第二電極131との間のインピーダンスの大きさとは、ほぼ同じである。この場合、第二電極131が、第一電極121cと第一電極121dとの真ん中に対向する位置にあると考えられる。
そこで、周囲長検出部230は、式(1)のように周長cと周長dとを平均してベルト本体10の周長(
図15の「P21」)を算出し、算出した長さを測定対象部分の周囲長として検出する。
【0080】
図16は、第一電極121と第二電極131と間のインピーダンスと、ベルト本体10の周長との関係の第三例を示す説明図である。同図に示すグラフの横軸は、第1電極、及び、ベルト本体10の周長を示す。縦軸は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスを示す。
【0081】
図15の場合と同様、
図16では、第二電極131がちょうど第一電極121aと対向しているときのベルト穴12の周長を「a」で示している。同様に、第二電極131がちょうど第一電極121b、121c、121d、121e、121fと対向しているときのベルト穴12の周長を、それぞれ「b」、「c」、「d」、「e」、「f」で示している。
【0082】
図16の例では、第一電極121cと第二電極131との間のインピーダンスと、第一電極121dと第二電極131との間のインピーダンスとが小さくなっている。そして、第一電極121cと第二電極131との間のインピーダンスよりも、第一電極121dと第二電極131との間のインピーダンスのほうが小さくなっている。この場合、第二電極131が、第一電極121cよりも第一電極121dに近い位置にあると考えられる。
そこで、周囲長検出部230は、式(2)のように周長cと周長dとを重み付け平均してベルト本体10の周長(
図16の「P22」)を算出し、算出した長さを測定対象部分の周囲長として検出する。
【0084】
ここで、
図16に示すように「α
1」は、第二電極131が第一電極121から十分に離れている場合の第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスから、第一電極121cと第二電極131と間のインピーダンスを減算した差(α
1≧0)である。また、「α
2」は、第二電極131が第一電極121から十分に離れている場合の第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスから、第一電極121dと第二電極131と間のインピーダンスを減算した差(α
2≧0)である。
【0085】
輪郭形状推定部240は、物理的作用検出部160が所定の物理的作用を検出し、かつ、インピーダンス判定部221が、第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121ありと判定した場合、曲率センサ150のセンサ値に基づいて測定対象部分の輪郭形状を推定する。具体的には、輪郭形状推定部240は、開始条件判定部220が、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始することに決定した場合に、曲率センサ150のセンサ値に基づいて測定対象部分の輪郭形状を推定する。
【0086】
部分形状推定部241は、測定対象部分の全周の輪郭のうち一部の形状である部分形状を曲率センサ150のセンサ値(曲率センサ150が検出した曲率)に基づいて推定する。
ここで、
図17〜
図19を参照して部分形状推定部241が行う形状推定処理について説明する。
【0087】
図17は、ベルト本体10の部分の形状の例を示す説明図である。同図は、フレキシブル基板20及びフレキシブル基板20に設けられた複数の曲率センサ150が曲がった状態を示す。フレキシブル基板20の部分形状は、ベルト本体10の部分形状(帯部11の部分形状)と見做すことができる。ここでは、曲率センサ150を曲率センサ150−1、曲率センサ150−2、曲率センサ150−3、・・・と表記して区別する。
【0088】
図17の例では、曲率センサ150が等間隔(距離dの間隔)で配置されている。曲率センサ150の各々を中心として距離dの範囲を想定し、これらの範囲の端を点P
0、P
1、P
2、P
3、・・・で示している。部分形状推定部241は、これらの範囲の各々を、曲率センサ150が示す曲率の円弧で近似して部分形状を求める。
また、曲率センサ150−1の曲率がC
1、曲率センサ150−2の曲率がC
2、曲率センサ150−3の曲率がC
3であるとする。
【0089】
図18は、部分形状推定部241が行う部分形状推定処理を説明する第一の図である。
図18は原点Oを基準とする座標系において、曲率センサ150−1と、曲率センサ150−1を中心とする距離dの範囲の一方の端(点P
0)、他方の端(点P
1)を示している。距離dの値は既知の値であり、部分形状推定部241は、曲率センサ150aが測定する曲率C
1を取得する。部分形状推定部241は式(3)に基づいて曲率C
1より曲率半径R
1を算出する。
【0091】
ここで、Cは曲率を示し、Rは曲率半径を示す。
曲率半径R
1と、曲率C
1とに基づいて、部分形状推定部241は、曲率センサ150−1を中心とする距離dの範囲を近似する円弧の中心角(この円弧を有する扇形状の中心角)θ
1を式(4)により算出する。
【0093】
ここで、θは中心角を示し、Cは曲率を示す。また、距離dは円弧の長さを示している。
当該扇形状の中心点をO
1と呼ぶ。部分形状推定部241は、扇形状の中心点O
1の座標と、点P
0の座標と、中心角θ
1とを用いて式(5)により曲率センサ150−1を中心とする距離dの範囲の点P
0と異なる方の端の点P
1の座標を算出する。
【0095】
ここで、P
0、P
1、O
1は、それぞれ点P
0、点P
1、中心点O
1の座標を縦ベクトルで示す。
なお扇形状の中心点O
1の座標は、座標系の原点Oと点P
0と、曲率半径R
1の値とから算出することができる。また曲率センサ150−i(iはi≧0の整数)に隣接する曲率センサ150−(i+1)を中心とする距離dの範囲を近似する円弧の中心点(この円弧を有する扇形状の中心点)O
i+1の座標は、式(6)により算出することができる。
【0097】
ここで、O
i+1、P
i、O
iは、それぞれ中心点O
i+1、点P
i、中心点O
iの座標を縦ベクトルで示す。また、R
i、R
i+1は、それぞれ曲率C
i、C
i+1から式(3)で求まる曲率半径である。
曲率センサ150−iを中心とする距離dの範囲を近似する円弧の一端の点をP
iとした場合、この円弧の他端の点P
i+1は式(7)により算出することができる。
【0099】
ここで、P
i−1は、点P
i−1の座標を縦ベクトルで示す。また、θ
iは、曲率センサ150−iを中心とする距離dの範囲を近似する円弧の中心角(この円弧を有する扇形状の中心角)を示す。
【0100】
図19は、部分形状推定部241が行う部分形状推定処理を説明する第二の図である。
図19は
図18で示す処理を繰り返した場合の例を示している。上述したように、部分形状推定部241は、曲率センサ150−iが測定した曲率C
i及び距離d(円弧の長さ)に基づいて、点P
i−1の座標から点P
iの座標を算出することができる。なお部分形状推定の最初の処理において点P
0は座標系において任意に設定した座標であってよい。部分形状推定部241は、点P
1、P
2、P
3、・・・の座標を順に算出する。これにより、部分形状推定部241はベルト本体10のうち曲率センサ150が配置された部分(曲率センサ150と曲率センサ150との間の部分も含む)の形状を連続する円弧で近似して推定することができる。
【0101】
部分判定部242は、部分形状推定部241が推定した部分形状が測定対象部分の全周の輪郭のうちどの部分の形状かを、周囲長検出部230が検出した周囲長に基づいて判定する。特に、部分判定部242は、部分形状推定部241が推定した部分形状に対し、腹部側の中央の位置と背中側の中央の位置とを推定する。
部分判定部242が腹部側の中央の位置と背中側の中央の位置とを推定する方法として、幾つかの方法を用いることができる。
【0102】
例えば、部分判定部242は、バックル15の所定の位置(例えば、バックル15と化粧ケース13との境界の位置を腹部側の中央の位置と推定する。そして、部分判定部242は、腹部側の中央の位置と推定した位置から周囲長の半分だけ進んだ位置(すなわち、腹部側の中央の位置と推定した位置と反対の位置)を背中側の中央の位置と推定する。
【0103】
図20は、部分判定部242が推定する位置の例を示す説明図である。同図では、部分形状推定部241が推定した部分形状を実線にて示し、測定対象部分の全周のうち残りの部分(部分形状推定部241が形状を推定した部分以外の部分)を破線にて示している。また、部分判定部242が背中側の中央の位置と推定した位置を点P31で示し、腹部側の中央の位置と推定した位置を点P32で示している。
【0104】
図20の例では、ベルト本体10のうち化粧ケース13がある部分には曲率センサ150が設けられていない。このため、点P32(腹部側の中央の位置)の近傍については、部分形状推定部241は形状を推定していない。但し、バックル15と化粧ケース13との境界の位置から曲率センサ150までの距離は既知なので、バックル15は、点P31(背中側の中央の位置)を推定することができる。
図20の例では、ベルト本体10の長さの半分以上にわたって曲率センサ150が配置されており、部分形状推定部241は、測定対象部分の輪郭の半分以上の範囲について部分形状を推定している。これにより部分判定部242は、点P31は部分形状推定部241が部分形状を推定している範囲内の位置に推定している。
【0105】
あるいは、部分判定部242が、曲率が極小になっている範囲内で背中側の中央の位置を推定するようにしてもよい。例えば、部分判定部242は、曲率センサ150が測定した曲率のうち、所定の閾値以下の曲率を抽出する。そして、部分判定部242は、部分形状推定部241が部分形状を推定した範囲のうち、抽出した曲率に対応する範囲(当該曲率に基づいて部分形状推定部241が輪郭形状の近似を行った範囲)を背中の範囲と推定する。そして、部分判定部242は、推定した背中の範囲の中央の位置を、背中側の中央の位置(
図20の点P31)と推定する。
部分判定部242は、推定した背中側の中央の位置から周囲長の半分だけ進んだ位置を腹部側の中央の位置と推定する。
【0106】
全周形状推定部243は、部分判定部242の判定結果と、対象部分の全周の輪郭形状が線対称であるとの仮定とに基づいて、部分形状から測定対象部分の全周の輪郭形状を推定する。
具体的には、全周形状推定部243は、部分形状推定部241が推定した部分形状を、部分判定部242が推定した背中側の中央の位置で2つに分割し、範囲が広い方を複製対象の部分形状として抽出する。
図2の例では、全周形状推定部243は、太線の範囲の部分形状を複製対象の部分形状をして抽出する。
そして、全周形状推定部243は抽出した部分形状を左右反転して(すなわち、線対称にして)複製する。
【0107】
図21は、全周形状推定部243が複製した部分形状の例を示す説明図である。同図の例では、全周形状推定部243は、複製対象の部分形状として抽出した点P31から点P32までの範囲の部分形状を、左右対称に複製して、点P33から点P34までの範囲の部分形状を取得している。
全周形状推定部243は複製して得られた部分形状と元の部分形状とをつなぎ合わせる。その際、バックル15に相当する部分(
図21の例では、領域A11の部分及び領域A12の部分)の形状が不明であることから、つなぎ合わせ方に自由度がある。そこで、全周形状推定部243は、点P31と点P33とをつなぎ合わせ、つなぎ合わせた部分が滑らか(局部における角度が180度)になるように、複製元の部分形状と複製にて得られた部分形状とをつなぎ合わせる。
【0108】
図22は、複製元の部分形状と複製にて得られた部分形状とをつなぎ合わせた例を示す説明図である。同図では、点P31と点P33とをつなぎ合わせられている。また、つなぎ合わせられた部分が滑らかになっている。具体的には、接線L41が一意に定まるように、つなぎ合わせた局部における角度が180度になっている。
全周形状推定部243は、バックル15に相当する部分の形状を補完して測定対象部分全体の輪郭形状を推定する。
全周形状推定部243が、バックル15に相当する部分を直線で近似して補間するようにしてもよい。あるいは、全周形状推定部243が、バックル15に相当する部分を円弧で近似するなど、直線以外の図形で近似して補間するようにしてもよい。
【0109】
あるいは、全周形状推定部243がバックル15に相当する部分の形状を推定して点P31に対する点P32の位置、及び点P33に対する点P34の位置を決定するようにしてもよい。この場合、全周形状推定部243は、点P31と点P33とをつなぎ合わせ、点P32と点P34とをつなぎ合わせて、複製元の部分形状と複製にて得られた部分形状とをつなぎ合わせる。
【0110】
次に、
図23〜24を参照して輪郭形状推定装置1の動作について説明する。
図23は、輪郭形状推定装置1が測定対象部分の周囲長を検出し輪郭形状を推定する処理手順の例を示す説明図である。
同図の処理にて、物理的作用検出部160は、所定の物理的作用を検出すると(シーケンスS101)、検出した旨の通知をインピーダンス指標測定部140へ出力する(シーケンスS102)。
物理的作用検出部160からの通知を受けたインピーダンス指標測定部140は、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定し(シーケンスS103)、得られた指標値を開始条件判定部220へ出力する(シーケンスS104)。
【0111】
開始条件判定部220は、インピーダンス指標測定部140から取得した指標値に基づいて、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定の開始条件が成立するか否かを判定する(シーケンスS111)。これにより、開始条件判定部220は、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始するか否かを決定する。
図23の例では、開始条件判定部220は、測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始することに決定している。
なお、開始条件判定部220が、測定対象の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始しないことに決定した場合は、
図23の処理を終了する。
【0112】
測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始することに決定した開始条件判定部220は、シーケンスS104で取得した指標値を周囲長検出部230に出力(転送)する(シーケンスS112)。
周囲長検出部230は、取得した指標値に基づいて、測定対象部分の周囲長を検出する(シーケンスS121)。そして、周囲長検出部230は、検出した周囲長を輪郭形状推定部240へ出力する(シーケンスS122)。
【0113】
また、シーケンスS111で測定対象部分の周囲長の検出及び輪郭形状の推定を開始することに決定した開始条件判定部220は、センサ部100を制御して、曲率センサ150に曲率の測定を行わせる(シーケンスS113)。特に、開始条件判定部220は、電源部111を制御して、曲率センサ150の各々に電力を供給させる。
【0114】
曲率センサ150の各々は、曲率を測定し(シーケンスS131)。得られた曲率を輪郭形状推定部240へ出力する(シーケンスS132)。
輪郭形状推定部240は、シーケンスS122で得られた周囲長とシーケンスS132で得られた曲率とに基づいて測定対象部分の輪郭形状を推定する(シーケンスS141)。
【0115】
図24は、輪郭形状推定部240が測定対象部分の輪郭形状を推定する処理手順の例を示すフローチャートである。輪郭形状推定部240は
図23のシーケンスS141で
図24の処理を行う。
図24の処理で、輪郭形状推定部240の部分形状推定部241が、測定対処部分の部分形状を推定する(ステップS201)。
次に、部分判定部242が、ステップS201で部分形状推定部241が推定した部分形状のうち、全体の輪郭形状の推定に用いる部分を決定する(ステップS202)。
【0116】
次に、全周形状推定部243は、部分形状推定部241が推定した部分形状のうち部分判定部242が決定した部分を左右反転して複製する(ステップS203)。
そして、全周形状推定部243は、複製元の部分形状と複製にて得られた部分形状とをつなぎ合わせる(ステップS204)。
そして、全周形状推定部243は、ステップS204で得られた輪郭形状に対して不足している部分を補間する(ステップS205)。これにより、全周形状推定部243は、測定対象部分の輪郭の全体形状を推定する。
【0117】
以上のように、物理的作用検出部160は、ベルト本体10への所定の物理的作用を検出する。
また、インピーダンス判定部221は、第一電極121のうち第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121の有無を判定する。
そして、輪郭形状推定部240は、物理的作用検出部160が所定の物理的作用を検出し、かつ、インピーダンス判定部221が、第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121ありと判定した場合、曲率センサ150のセンサ値に基づいて測定対象部分の輪郭形状を推定する。
これにより輪郭形状推定装置1は、ベルト本体10が巻かれているか否か(針部16がいずれかのベルト穴12を通っている状態にあるか否か)を判定し、ベルト本体10が巻かれていないと判定した場合には以後の処理を抑制することができる。これにより、輪郭形状推定装置1の電力消費を抑制することができる。
【0118】
また、物理的作用検出部160は、ベルト本体10の動きを検出する。これにより、輪郭形状推定装置1は、ユーザがベルトを装着するために動かしたことを契機として、測定対象部分の周囲長の輪郭形状の推定を行うか否かを決定することができる。ユーザがベルトを動かしていないときは輪郭形状推定装置1の処理が抑制され、この点で輪郭形状推定装置1の電力消費を抑制することができる。
【0119】
あるいは、物理的作用検出部160は、ベルト本体10の所定部分への押圧を検出する。これにより、輪郭形状推定装置1は、ユーザがバックル15に帯を通したなど、ユーザがベルト本体10を装着することで所定部分が押圧された状態を検出することができる。所定部分への押圧を検出していないときは輪郭形状推定装置1の処理が抑制され、この点で輪郭形状推定装置1の電力消費を抑制することができる。
【0120】
また、周囲長検出部230は、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスに基づいて測定対象部分の周囲長を検出する。
これにより、輪郭形状推定装置1では、周囲長検出用の第一電極121及び第二電極131を用いて、測定対象部分の周囲長の輪郭形状の推定を行うか否かを決定することができる。測定対象部分の周囲長の輪郭形状の推定を行うか否かを決定するために別途電極を設ける必要がない点で、輪郭形状推定装置1の構成を簡単にすることができる。
【0121】
また、周囲長検出部230は、物理的作用検出部160が所定の物理的作用を検出し、かつ、インピーダンス判定部221が、第二電極131とのインピーダンスが所定のインピーダンス以下になっている第一電極121ありと判定した場合、測定対象部分の周囲長を検出する。
これにより、輪郭形状推定装置1は、ベルト本体10が巻かれているか否か(針部16がいずれかのベルト穴12を通っている状態にあるか否か)を判定し、ベルト本体10が巻かれていないと判定した場合には、測定対象部分の輪郭形状の推定に加えて、測定対象部分の周囲長の検出も抑制することができる。これにより、輪郭形状推定装置1の電力消費をさらに抑制することができる。
【0122】
また、部分形状推定部241は、測定対象部分の全周の輪郭のうち一部の形状である部分形状を曲率センサ150のセンサ値に基づいて推定する。
部分判定部242は、部分形状推定部241が推定した部分形状が測定対象部分の全周の輪郭のうちどの部分の形状かを周囲長に基づいて判定する。
そして、全周形状推定部243は、部分判定部242の判定結果と、対象部分の全周の輪郭形状が線対称であるとの仮定とに基づいて、部分形状から測定対象部分の全周の輪郭形状を推定する。
これにより、輪郭形状推定装置1は、曲率センサ150が帯部11全体に配置されていなくても、測定対象部分の全周の輪郭形状を推定することができる。この点で、曲率センサ150の数を低減させることができ、輪郭形状推定装置1の構成を比較的簡単にすることができる。
【0123】
<第2の実施形態>
図25は、本発明の第2の実施形態に係る輪郭形状推定装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図に示すように、輪郭形状推定装置2は、センサ部101と、処理部200とを備える。センサ部101は、第一シリアル通信部110と、電源部111と、電極切替部112と、第一電極121と、第一シールド部122と、第二電極131と、第二シールド部132と、インピーダンス指標測定部140と、曲率センサ150と、物理的作用検出部160とを備える。処理部200は、第二シリアル通信部210と、開始条件判定部220と、周囲長検出部230と、輪郭形状推定部240とを備える。開始条件判定部220は、インピーダンス判定部221を備える。輪郭形状推定部240は、部分形状推定部241と、部分判定部242と、全周形状推定部243とを備える。
【0124】
図25の各部のうち
図5の各部に対応して同様の機能を有する部分には同一の符号(110、121、131、140、150、160、200、210、220、221、230、240〜243)を付して説明を省略する。
輪郭形状推定装置2は、第一シールド部122と第二シールド部132とを備える点で輪郭形状推定装置1と異なる。
輪郭形状推定装置2におけるベルト本体10の構成、ベルト本体10におけるフレキシブル基板20と回路基板30との配置、第一電極121と第二電極131と曲率センサ150とコネクタ31との配置は、
図1〜4を参照して説明したのと同様であり、ここでは図示及び説明を省略する。
【0125】
図26は、第一シールド部122及び第二シールド部132の配置例を示す説明図である。同図は、ユーザが輪郭形状推定装置2(ベルト本体10)を装着した状態でベルト本体10を上(ユーザの顔の側)から見た場合の、第一電極121と第一シールド部122との位置関係、及び第二電極131と第二シールド部132との位置関係の例を示している。
【0126】
図26に示すように、第一シールド部122は、ベルト本体10の表裏面側のうち、ベルト本体10を基準にして複数の第一電極121の各々の一方側に配置されている。また、第二シールド部132は、ベルト本体10を基準にして第二電極131の他方側に配置されている。
具体的には、
図26に示すように、第一電極121と第二電極131とが対向している場合に、第一シールド部122と第二シールド部132とで第一電極121および第二電極131を挟み込む位置に配置されている。
図26のようにユーザから見て第一電極121の内側に第二電極131が位置する場合、各第一電極121の外側に第一電極121と対向して第一シールド部122が配置され、第二電極131の内側に第二電極131と対向して第二シールド部132が配置されている。
なお、ユーザから見て第一電極121の外側に第二電極131が位置する場合は、各第一電極121の内側に第一電極121と対向して第一シールド部122を配置し、第二電極131の外側に第二電極131と対向して第二シールド部132を配置する。
【0127】
図27は、第一シールド部122及び第二シールド部132に電圧を付加する回路構成の例を示す説明図である。
図27の例では、
図7の場合と同様、電源部111からの交流電圧が第一電極121および第二電極131に印加されており、インピーダンス指標測定部140が、第一電極121の各々と第二電極131との間のインピーダンスを示す指標値を測定している。
【0128】
また、
図27では、
図7の構成に加えて、第一電極121、第二電極131のそれぞれに印加される電圧が、オペアンプ183にも印加されている。第一電極121側のオペアンプ183には、第一シールド部122が接続され、第二電極131の側のオペアンプ183には、第二シールド部132が接続されている。オペアンプ183は、電源部111から供給される電圧の位相を保ったまま、電圧の大きさを調整する。
なお、
図27では、複数の第一電極121のうち、第二電極131と対向している第一電極121が示されている。他の第一電極121についても、
図27に示すのと同様に、オペアンプ183と第一シールド部122とが設けられている。
【0129】
図27に示す構成により、第一シールド部122には第一電極121と同じ位相の電圧が印加される。また、第二シールド部132には第二電極131と同じ位相の電圧が印加される。これらの電圧を印加する電源部111は、電圧印加部の例に該当する。
第一シールド部122に第一電極121と同じ位相の電圧が印加されることで、第一シールド部122は第一電極121からの電磁場の流れを制限するアクティブシールドとして動作する。これにより、第一電極121からの電磁場は、第二電極131側(第一シールド部122と反対側)に流れるようになる。同様に、第二シールド部132に第二電極131と同じ位相の電圧が印加されることで、第二シールド部132は第二電極131からの電磁場の流れを制限するアクティブシールドとして動作する。これにより、第二電極131からの電磁場は、第一電極121側(第二シールド部132と反対側)に流れるようになる。
【0130】
第一電極121からの電磁場が第二電極131側に流れ、第二電極131からの電磁場が第一電極121側に流れることで、第一電極121と第二電極131との間のインピーダンスが小さくなる。これにより、インピーダンス判定部221の判定精度の向上が期待される。また、周囲長検出部230による周囲長の検出精度の向上も期待される。特に、電源の電圧が比較的低い場合でも、インピーダンス判定部221は高精度に判定を行うことができる。また、電源の電圧が比較的低い場合でも、周囲長検出部230は、高精度に周囲長を検出することができる。
【0131】
以上のように、第一シールド部122は、ベルト本体10の表裏面側のうち、ベルト本体10を基準にして複数の第一電極121の各々の一方側に配置されて電磁波の流れを制限する。また、第二シールド部132は、ベルト本体10を基準にして第二電極131の他方側に配置されて電磁波の流れを制限する。
これにより、第一電極121及び第二電極131へのノイズの混入を低減させることができ、インピーダンス判定部221の判定精度の向上が期待される。また、周囲長検出部230による周囲長の検出精度の向上も期待される。
【0132】
また、電源部111は、複数の第一電極121のうち少なくとも1つと第一シールド部122とに同相の交流電圧を印加し、第二電極131と第二シールド部132とに同相の交流電圧を印加する。
これにより、インピーダンス判定部221の判定精度の向上が期待される。また、周囲長検出部230による周囲長の検出精度の向上も期待される。特に、電源の電圧が比較的低い場合でも、インピーダンス判定部221は高精度に判定を行うことができる。また、電源の電圧が比較的低い場合でも、周囲長検出部230は、高精度に周囲長を検出することができる。
【0133】
なお、第1の実施形態、第2の実施形態の何れにおいても、曲率センサ150の較正を行うようにしてもよい。例えば、
図10の歪ゲージ153に代えて高精度な電気抵抗(抵抗器)を配置する。この電気抵抗として、曲げられていない状態での歪ゲージ153の抵抗値として想定している抵抗値の電気抵抗を用いる。歪ゲージ153と電気抵抗とを切り替えるために、予め歪ゲージ153と並行に電気抵抗を配置しておき、スイッチで歪ゲージ153と電気抵抗との何れかを選択するようにしてもよい。
【0134】
このように、歪ゲージを電気抵抗に置き換えることで、歪ゲージに想定している抵抗値と実際の抵抗値との相違による検出電圧の変化を把握することができる。ここでいう検出電圧は、
図10の点P11と点P12との間の電圧である。
把握した検出電圧の変化をアンプ156にオフセットとして加えておくことで、曲率センサ150がより高精度に曲率を測定することができる。
【0135】
あるいは、高精度な定電圧電源を用意して置き、検出電圧と定電圧電源からの電源とを切り替えるようにしてもよい。この場合、定電圧電源として、歪ゲージ153が曲げられていない状態で検出電圧として想定している電圧値を示す定電圧電源を用いる。
これにより、想定している検出電圧と実際の検出電圧との相違を把握することができる。把握した検出電圧の変化をアンプ156にオフセットとして加えておくことで、曲率センサ150がより高精度に曲率を測定することができる。
【0136】
あるいは、ベルト本体10を曲率が既知の型にはめ込むなどにより、曲率センサ150を既知の曲率に曲げるようにしてもよい。この場合の曲率センサ150の出力が既知の曲率に一致するように、アンプ156による増幅(較正曲線)を調整する。これにより、曲率センサ150がより高精度に曲率を測定することができる。
【0137】
なお、第1の実施形態で、針部16を第二電極131として用いるようにしてもよい。
図28は、針部16を第二電極131として用いる場合の電極の配置の例を示す説明図である。
図1〜
図4を参照して説明したのと同様、
図28の例でも、ベルト本体10は、帯部11と、化粧ケース13とリング14とバックル15とを含んで構成され、バックル15は針部16を有する。また、ベルト穴12の配置、フレキシブル基板20の配置、回路基板30の配置、及び、曲率センサ150の配置も、
図1〜
図4の場合と同様である。
【0138】
一方、
図28の例では、第一電極121と第二電極131との配置が、
図1〜
図4の場合と異なる。
図28の例では、第二電極131が針部16に設けられている。具体的には、針部16が第二電極131として用いられている。また、第一電極121がベルト穴12毎にベルト穴12の周りに設けられている。
図28の構成によれば、針部16を第二電極131として用いるので、第二電極131を別途設ける必要がない。
図28の構成でも、第1の実施形態で上述したのと同様の効果を得られる。具体的には、上述したのと同様、針部16がベルト穴12を通っているか否かを判定することができる。また、針部16がベルト穴12のいずれかを通っている場合は、上述したのと同様、針部16がどのベルト穴12を通っているかを検出することができる。
【0139】
なお、処理部200の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することで各部の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0140】
以上、本発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。