【文献】
XIA Y et al.,Dually Stimuli-Responsive Hyperbranched Polyethylenimine with LCST Transition based on Hydrophilic-Hydrophobic Balance,Journal of Applied Polymer Science ,2013年 2月15日,Vol.127 No.4,P.3249-3255
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の無機物成形体およびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0016】
[無機物成形体]
本実施形態の無機物成形体は、無機物粒子と、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体と、多官能アクリレートと、を含む混合物からなる無機物成形体であって、多官能アクリレートを構成する二重結合に対して、会合体を構成するポリエチレンイミンのアミノ基がマイケル付加反応することによって形成された結合を有する。
【0017】
より詳細には、本実施形態の無機物成形体は、無機物粒子の表面をポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体が修飾し、その会合体を構成するポリエチレンイミンのアミノ基が、多官能アクリレートを構成する二重結合に対してマイケル付加反応することによって形成された結合を有するものである。
なお、無機物粒子の表面をポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体が修飾するとは、無機物粒子の表面の少なくとも一部にポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体が付着することを言う。
【0018】
本実施形態の無機物成形体としては、例えば、ゴム等のように弾性変形可能な成形体、塑性変形する成形体等が挙げられる。
【0019】
本実施形態の無機物成形体における、多官能アクリレートを構成する二重結合に対して、会合体を構成するポリエチレンイミンのアミノ基がマイケル付加反応することによって形成された結合は、下記の式(1)で示すような化学反応によって形成される。
【0021】
すなわち、上記の式(1)において、(a)ポリエチレンイミンのアミノ基が、(b)多官能アクリレートを構成する二重結合に対してマイケル付加反応して、(c)や(d)の結合を形成する。
【0022】
このようなマイケル付加反応によって形成された結合は、例えば、赤外分光法(Infrared Spectroscopy、IR)で赤外吸収スペクトルを測定することによって確認することができる。赤外吸収スペクトルの測定には、フーリエ変換赤外分光光度計(Fourier Transform Infrared Spectrometer、FT−IR)が用いられる。
【0023】
ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)は、300〜30000であることが好ましく、600〜10000であることがより好ましい。
ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)が300以上であれば、ポリエチレンイミンとオレイン酸が会合して会合体を形成することができる。一方、ポリエチレンイミンの重量平均分子量(Mw)が30000以下であれば、無機物成形体において、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体で修飾された無機物粒子が非水系溶媒に均一かつ安定に分散する。
【0024】
ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体は、ポリエチレンイミンの全エチレンイミン単位に対して、オレイン酸が2mol%〜60mol%会合したものであることが好ましく、オレイン酸が10mol%〜30mol%会合したものであることがより好ましい。
会合体は、オレイン酸が2mol%以上会合したものであれば、無機物粒子の表面を修飾することができる。一方、会合体は、オレイン酸が60mol%以下会合したものであれば、無機物成形体において、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体で修飾された無機物粒子が非水系溶媒に均一かつ安定に分散する。
【0025】
本実施形態において、ポリエチレンイミンの全エチレンイミン単位に対するオレイン酸の会合量は、例えば、有機元素分析装置によるCHN分析によって確認することができる。
【0026】
本実施形態の無機物成形体において、会合体の含有量は、無機物粒子の表面積を基準として、0.6mg/m
2〜3.0mg/m
2であることが好ましく、0.8mg/m
2〜2.0mg/m
2であることがより好ましい。
会合体の含有量が0.6mg/m
2以上であれば、無機物粒子の表面のほぼ全域を修飾することができる。一方、会合体の含有量が0.8mg/m
2〜3.0mg/m
2の範囲内であれば、無機物成形体において、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体で修飾された無機物粒子が非水系溶媒に均一かつ安定に分散する。
【0027】
本実施形態の無機物成形体において、無機物粒子の含有量は、80質量%〜98質量%であることが好ましく、90質量%〜98質量%であることがより好ましい。
無機物粒子の含有量が80質量%以上であれば、焼結体の製造に活用する際の脱脂操作の困難性が低い。一方、無機物粒子の含有量が98質量%以下であれば、複雑形状を付与した成形体の著しい強度低下を抑制できる。
【0028】
本実施形態の無機物成形体において、無機物粒子としては、特に限定されないが、例えば、酸化ケイ素(SiO
2)、窒化ケイ素(Si
3N
4)、水酸化アパタイト(Ca
10(PO
4)
6(OH)
2)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ホウ素(BN)、酸化イットリウム(Y
2O
3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化チタン(TiO
2)、炭酸カルシウム(CaCO
3)、チタン酸バリウム(BaTiO
3)等の無機化合物の粒子、ニッケル(Ni)、ケイ素(Si)等の粒子が挙げられる。
【0029】
無機物粒子の比表面積径は、10nm〜10μmであることが好ましく、30nm〜5μmであることがより好ましい。
無機物粒子の比表面積径が10nm以上であれば、上記の会合体により、表面修飾することができる。一方、無機物粒子の平均一次粒子径が10μm以下であれば、形状が崩壊することなく、複雑形状部材の成形が可能である。
【0030】
なお、本実施形態の無機物成形体における「比表面積径」とは、以下の方法で求められる数値である。すなわち、本実施形態の無機物成形体における無機物粒子を、ガス吸着法により、その比表面積を求め、粒子の形状を球形とみなした場合に比表面積から幾何学的に算出される直径を比表面積径とする。
【0031】
本実施形態の無機物成形体において、多官能アクリレートの含有量は、0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましい。
多官能アクリレートの含有量が0.5質量%以上であれば、無機物粒子が均一かつ安定に分散したスラリーを固化させて、複雑形状を成形できる。一方、多官能アクリレートの含有量が20質量%以下であれば、複雑形状を成形する際のスラリーの固化速度の低下を抑制できる。
【0032】
本実施形態の無機物成形体において、多官能アクリレートは、アクリロイル基(CH
2=CH−C(=O)−)を2個以上有するものであることが好ましく、4個〜6個有するものであることがより好ましい。
【0033】
多官能アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジアクリレート(下記式(2))、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジアクリレート(下記式(3))、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレート(下記式(4))、ポリプロピレングリコールジアクリレート(下記式(5))、ポリエチレングリコールジアクリレート(下記式(6))、トリメチロールプロパンアクリレート(下記式(7))、トリメチロールプロパンプロピレンオキシド変性トリアクリレート(下記式(8))、トリメチロールプロパンエチレンオキシド変性トリアクリレート(下記式(9))、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジアクリレートまたはイソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリアクリレート(下記式(10))、ペンタエリスリトールトリアクリレートおよびペンタエリスリトールテトラアクリレート(下記式(11))、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(下記式(12))、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(下記式(13))、ジグリセリンエチレンオキシド変性アクリレート(下記式(14))、下記式(15)で表わされる化合物、下記式(16)で表わされる化合物、下記式(17)で表わされる化合物等が挙げられる。これらの多官能アクリレートは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの多官能アクリレートの中でも、非水系溶媒に対する溶解性および1分子当たりのアクリロイル基密度の高さの点から、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(下記式(13))が好ましい。
【0043】
【化11】
(但し、R=HまたはCOCH=CH
2である。)
【0045】
【化13】
(但し、R=HまたはCH
2=CHCOである。)
【0048】
【化16】
(但し、Aはアクリル酸、Mは二価アルコール、Nは二塩基酸である。)
【0049】
【化17】
(但し、Aはアクリル酸、Mは二価アルコール、Nは二塩基酸である。)
【0050】
本実施形態の無機物成形体によれば、無機物粒子が均一かつ安定に分散しているため、複雑形状部材(成形体)の成形を可能とすることができる。また、本実施形態の無機物成形体を焼結することにより、無機物成形体の複雑形状が維持された焼結体を得ることができる。
【0051】
[無機物成形体の製造方法]
本実施形態の無機物成形体の製造方法は、非水系溶媒中にて、ポリエチレンイミンとオレイン酸を攪拌、混合して、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体を含む非水系溶液を調製する工程(以下、「工程A」と言う。)と、非水系溶液に、無機物粒子を分散させて、無機物粒子のスラリーを調製する工程(以下、「工程B」と言う。)と、スラリーに、多官能アクリレートを添加する工程(以下、「工程C」と言う。)と、を有する。
【0052】
工程Aでは、非水系溶媒に、ポリエチレンイミンとオレイン酸を添加し、これらを攪拌、混合する。これにより、非水系溶媒中にて、ポリエチレンイミンとオレイン酸を会合させて、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体を生成する。工程Aでは、得られた会合体は、非水系溶媒に溶解しているため、会合体を含む非水系溶液が調製される。
【0053】
非水系溶媒としては、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体が溶解可能であれば特に限定されないが、α−テルピネオール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
【0054】
非水系溶媒中にて、ポリエチレンイミンとオレイン酸を攪拌する時間は、特に限定されないが、例えば、1時間〜24時間であることが好ましい。
【0055】
工程Aにおいて、ポリエチレンイミンに対するオレイン酸の配合量は、ポリエチレンイミンの全エチレンイミン単位に対して、オレイン酸が2mol%〜60mol%であることが好ましく、オレイン酸が10mol%〜30mol%であることがより好ましい。
オレイン酸の配合量が2mol%以上であれば、後段の工程Bにて、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体により無機物粒子の表面を修飾することができる。一方、オレイン酸の配合量が60mol%以下であれば、後段の工程Bにて、スラリー中において、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体で修飾された無機物粒子が非水系溶媒に均一かつ安定に分散する。
【0056】
工程Aでは、ポリエチレンイミンとオレイン酸としては、上述の本実施形態の無機物成形体で用いられたポリエチレンイミンとオレイン酸と同様のものが用いられる。
【0057】
工程Bでは、工程Aで得られた非水系溶液に、無機物粒子を分散させて、無機物粒子のスラリーを調製する。
【0058】
工程Bにおいて、非水系溶液に無機物粒子を分散させる方法は特に限定されないが、例えば、無機物粒子を含む非水系溶液を攪拌翼やマグネチックスターラーを用いて攪拌する方法、無機物粒子を含む非水系溶液に超音波を印加する方法等が挙げられる。
【0059】
工程Bにおいて、無機物粒子に対するポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体の配合量は、無機物粒子の表面積を基準として、0.6mg/m
2〜3.0mg/m
2であることが好ましく、0.8mg/m
2〜2.0mg/m
2であることがより好ましい。
会合体の配合量が0.6mg/m
2以上であれば、無機物粒子の表面のほぼ全域を修飾することができる。一方、会合体の配合量が0.8mg/m
2〜3.0mg/m
2の範囲内であれば、工程Bによって得られる無機物粒子のスラリーにおいて、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体で修飾された無機物粒子が非水系溶媒に均一かつ安定に分散する。
【0060】
工程Bにおいて、非水系溶液に分散させる無機物粒子の量、すなわち、工程Bによって得られる無機物粒子のスラリーにおける無機物粒子の含有量は、30体積%〜60体積%であることが好ましく、35体積%〜55体積%であることがより好ましい。
無機物粒子の含有量が30体積%以上であれば、無機物粒子が均一かつ安定に分散したスラリーを固化させて複雑形状を成形できる。一方、無機物粒子の含有量が60体積%以下であれば、スラリーを鋳型(成形型)に流し込む際の粘度の著しい上昇を抑制できる。
【0061】
工程Bでは、無機物粒子としては、上述の本実施形態の無機物成形体で用いられた無機物粒子と同様のものが用いられる。
【0062】
工程Cでは、工程Bで得られたスラリーに、多官能アクリレートを添加する。これにより、多官能アクリレートを構成する二重結合に対する、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体を構成するポリエチレンイミンのアミノ基のマイケル付加反応が生じて、スラリーが固化または凝集する。これにより、上述の本実施形態の無機物成形体が得られる。
なお、工程Cでは、目的とする形状に応じた成形型にスラリーを投入し、その状態でスラリーを固化または凝集させることにより、その成形型による外形を有する無機物成形体が得られる。また、成形型を複雑形状にすることにより、無機物成形体の外形を複雑形状にすることができる。
【0063】
なお、スラリーの固化速度(固化時間)は、固化させる温度(以下、「固化温度」と言う。)によって異なるため、固化温度を調整することにより、固化速度(固化時間)を制御することができる。したがって、スラリーの固化温度は、特に限定されず、無機物成形体の成形方法に応じて適宜調整される。工程Cにおける固化とは、上記のマイケル付加反応を生じさせることと、スラリーに含まれる非水系溶媒を蒸発させて、無機物成形体を乾燥させることとを含む。
【0064】
工程Cにおいて、スラリーに添加する多官能アクリレートの量は、スラリーに含まれる無機物粒子全量に対して0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましい。
多官能アクリレートの量が0.5質量%以上であれば、無機物粒子が均一かつ安定に分散したスラリーを固化させて複雑形状を成形できる。一方、多官能アクリレートの量が20質量%以下であれば、複雑形状を成形する際のスラリーの固化不良を抑制できる。
【0065】
このようにして得られた無機物成形体を脱脂、焼結することにより、無機物成形体の複雑形状が維持された焼結体を得ることができる。
【0066】
本実施形態の無機物成形体の製造方法によれば、無機物粒子が均一かつ安定に分散した無機物成形体が得られるため、複雑形状部材(成形体)の成形を可能とすることができる。また、本実施形態の無機物成形体の製造方法によって得られた無機物成形体を焼結することにより、無機物成形体の複雑形状が維持された焼結体を得ることができる。
【実施例】
【0067】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【0068】
[実験例]
α−テルピネオールに、ポリエチレンイミン(重量平均分子量(Mw)=1800)とオレイン酸を添加し、これらを室温にて、24時間、攪拌、混合して、ポリエチレンイミンとオレイン酸を会合させ、ポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体を得た。ここで、ポリエチレンイミンに対するオレイン酸の配合量を、ポリエチレンイミンの全エチレンイミン単位に対して、オレイン酸が15mol%となるようにした。
次いで、上記の会合体を含むα−テルピネオールに、窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子(比表面積径200nm)を分散させて、窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子のスラリーを調製した。ここで、窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子に対するポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体の配合量を、窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子の表面積を基準として、1.4mg/m
2とした。得られたスラリーにおける窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子の含有量は37体積%であった。
次いで、上記のスラリーに、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールペンタアクリレートおよびジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:M−400、東亞合成社製)を添加し、これらの混合物を25℃、40℃、60℃または80℃にて固化し、無機物成形体を得た。
【0069】
[評価]
(1)粘度の変化
上記のスラリーに多官能アクリレートを添加し、これらの混合物を25℃、40℃、60℃または80℃にて固化した場合の相対粘度の経時変化を測定した。相対粘度は、コンプレート型粘度計(商品名:TV−20L、東機産業社製)で測定したスラリー粘度を溶媒粘度で除した値とした。結果を
図1に示す。
図1の結果から、固化温度が25℃では、多官能アクリレートの添加後、相対粘度の上昇は、添加から2時間後も僅かであった。また、スラリーの流動状態が保たれたままであった。固化温度が40℃では、多官能アクリレートの添加から15分後に相対粘度が上昇し始め、多官能アクリレートの添加から30分後には、測定範囲外(>19.5Pa・s)まで相対粘度が上昇することが確認された。固化温度が60℃以上では、多官能アクリレートの添加後、瞬時に相対粘度が上昇することが確認された。
【0070】
(2)赤外吸収スペクトルの測定
上記のスラリーに多官能アクリレートを添加し、40℃にて30分間静置した。
次いで、静置後の上記のスラリーと多官能アクリレートの混合物を遠心分離した。
その後、フーリエ変換赤外分光光度計(商品名:FT/IR−6000、日本分光社製)を用いて、遠心分離によって回収された粒子の赤外吸収スペクトルを測定した。また、比較として、上記のスラリーの赤外吸収スペクトルを測定した。結果を
図2に示す。
図2の結果から、上記の混合物から回収された粒子の赤外吸収スペクトルにおいて、多官能アクリレートを添加する前のスラリーと比べて、顕著なC=O伸縮振動のピークが増加していることが確認された。この結果により、窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子の表面に付着したポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体と、多官能アクリレートとが架橋したと考えられる。また、上記(1)の粘度の変化の評価結果を考慮すると、窒化ケイ素(Si
3N
4)粒子の表面に付着したポリエチレンイミンとオレイン酸の会合体と、多官能アクリレートとが架橋した(マイケル付加反応した)ことにより、上記の混合物の粘度が上昇したものと考えられる。
【0071】
(3)成形性の評価
上記のスラリーと多官能アクリレートの混合物を、シリコーン製の鋳型に流し込み、40℃にて60分間静置し、成形体を形成した。
その後、鋳型から成形体を離型し、成形体の外形を観察した。結果を
図3に示す。
図3の結果から、複雑形状を有する成形体を形成できることが確認された。