(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明において、ゼラチンとはコラーゲンを加温して水で抽出したものを指す。本発明において、原料としてゼラチンまたはコラーゲンが使用され、ゼラチンおよびコラーゲンを組み合わせて使用してもよい。
【0017】
本発明において、使用されるコラーゲンまたはゼラチンは、例えばブタ、ウシ、ヤギ、ヒツジなどの哺乳類由来コラーゲン、ニワトリ、七面鳥、アヒルなどの鳥類由来コラーゲン、ヒラメ、サケ、サメ、タイ、コイ、ピラルク、ティラピアなどの魚類由来コラーゲン、クラゲなどの無脊椎動物由来のコラーゲンなどが挙げられるが、好ましくは魚類由来のものが使用される。これらのコラーゲンまたはゼラチンのいずれか1種を用いてもよいし、複数のコラーゲンまたはゼラチンを組み合わせて用いてもよい。
【0018】
コラーゲンまたはゼラチンが由来する動物の部位は、例えば、鱗、皮、骨、軟骨、ひれ、および臓器等を挙げることができ、これらのいずれか1種を用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
本発明においては、酵素分解コラーゲンまたは発酵コラーゲンを用いる。
本発明において、酵素分解コラーゲンとは酵素反応により少なくとも一部が分解したコラーゲンまたはゼラチンのことを指す。コラーゲンまたはゼラチンを分解して酵素分解コラーゲンを得るための酵素としては、プロテアーゼなどが挙げられる。プロテアーゼとしては、例えば、タンパク質のペプチド結合を加水分解するアスパラギン酸プロテアーゼ、金属プロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、チオールプロテアーゼ等のエンドペプチダーゼや、ペプチド鎖のアミノ末端あるいはカルボキシ末端のペプチド結合を加水分解するエキソペプチダーゼが挙げられる。例えば、動物・植物・微生物に広く存在する産業用酵素剤としてBacillus subtilis、Bacillus licheniformis、Bacillus circulans、Aspergillus oryzae、Aspergillus melleus、Aspergillus niger、Rhizopus niveus、Streptomyces griseus、Bacillus thermoproteolyticus、Aspergillus sojae、Penicillium duponti、Carica papaya、Ananas comosus cannery由来のプロテアーゼが市販されており、Bacillus subtilis由来の中性プロテアーゼまたは植物由来のシステインプロテアーゼであるパパインが好ましい。これらの酵素のいずれか1種を用いてもよいし、複数の酵素を組み合わせて用いてもよい。
【0020】
酵素とコラーゲンまたはゼラチン(基質)との混合比は、酵素の種類、基質濃度、反応温度によって異なるが、反応溶液中のタンパク質に対して、0.01重量%〜10.0重量%の酵素重量であってよく、好ましくは、0.1重量%〜3.0重量%である。
【0021】
また、本発明において、発酵コラーゲンとは発酵により少なくとも一部分が分解したコラーゲンまたはゼラチンのことを指す。コラーゲンまたはゼラチンを発酵して発酵コラーゲンを得るための微生物としては、ラクトバシラス属細菌などが挙げられる。ラクトバシラス属細菌としては、Lactobacillus acetotolerans、Lactobacillus acidifarinae、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus acidipiscis、Lactobacillus alimentarius、Lactobacillus amylophilus、Lactobacillus brevis、Lactobacillus buchneri、Lactobacillus casei、Lactobacillus collinoides、Lactobacillus concavus、Lactobacillus crustorum、Lactobacillus curvatus、Lactobacillus delbrueckii subsp. blugaricus、Lactobacillus diolivorans、Lactobacillus farciminis、Lactobacillus fermentum、Lactobacillus formosensis、Lactobacillus fructivorans、Lactobacillus harbinensis、Lactobacillus helveticus、Lactobacillus kefiri、Lactobacillus malefermentans、Lactobacillus mali、Lactobacillus mindensis、Lactobacillus murinus、Lactobacillus namurensis、Lactobacillus nodensis、Lactobacillus pantheris、Lactobacillus parabrevis、Lactobacillus parakefiri、Lactobacillus paralimentarius、Lactobacillus plantarum、Lactobacillus rapi、Lactobacillus sakei、Lactobacillus senmaizukei、Lactobacillus subsp. lactis、、、、などが挙げられる。中でも、Lactobacillus acidophilus、Lactobacillus casei、Lactobacillus plantarumで発酵させたコラーゲンまたはゼラチンが好ましい。これらのラクトバシラス属細菌のいずれか1種を用いて発酵させてもよいし、複数の細菌を組合せて発酵させてもよい。
【0022】
発酵コラーゲンの原料として用いるコラーゲンまたはゼラチンの由来動物およびその部位は酵素分解コラーゲンにおいて記載したものと同じである。
【0023】
また、細菌と基質の混合比は、細菌の種類、基質濃度、反応温度によって異なるが、反応溶液中のタンパク質に対して、1×10
5cfu/g〜1×10
8cfu/gの細菌量であってよく、好ましくは1×10
6cfu/g〜1×10
7cfu/gである。
【0024】
本発明の化粧料組成物の製造方法は、
コラーゲンまたはゼラチン水溶液において酵素反応を行い酵素分解コラーゲン水溶液を得る酵素処理工程;および
前記酵素処理工程により得られた酵素分解コラーゲン水溶液を蒸留し蒸留液を回収する回収工程;
を含む。
また、本発明の化粧料組成物の製造方法は、
コラーゲンまたはゼラチン水溶液においてラクトバシラス属細菌による発酵を行い発酵コラーゲン液を得る発酵処理工程;および
前記発酵処理工程により得られた発酵コラーゲン水溶液を蒸留し蒸留液を回収する回収工程;
を含む。
例えば
図1に概略的に示した製造方法が利用可能である。
【0025】
酵素分解コラーゲン
[酵素処理工程]
本発明において、原料のゼラチンまたはコラーゲンの水溶液において酵素反応を行い酵素分解コラーゲン水溶液を得る。
【0026】
酵素処理を行うために、原料のゼラチンまたはコラーゲンを3重量%〜40重量%、例えば5重量%〜20重量%になるように水に溶解する。滅菌処理を行う目的で、ゼラチンまたはコラーゲンを水に溶解する時または溶解後に70℃〜100℃、例えば80℃〜95℃で溶液の加熱を行ってもよい。
【0027】
前記の溶解工程により得られたゼラチンまたはコラーゲンの水溶液に酵素を加え酵素反応を行う。使用する酵素の最適温度および最適pHに基づいて、反応温度、反応pHは調節されてよい。酵素反応の反応温度は30℃〜70℃、例えば反応温度45〜65℃であってよい。反応時間は前記温度で30分〜72時間、例えば1時間〜5時間であってよい。反応溶液のpHは2.0〜12.0であってよく、例えば、pHは4.5〜8.5であってよい。pHを調節するために、酵素の活性を阻害しない公知のpH調整剤が使用可能である。
【0028】
酵素反応終了後、反応溶液を加熱することで酵素失活処理を行ってよい。酵素失活処理の反応温度は80℃〜100℃、例えば85℃〜95℃であってよい。酵素失活処理の反応時間は5分〜3時間、例えば15分〜45分であってよい。
【0029】
酵素反応終了時の反応溶液中に存在する酵素分解コラーゲンの分子量は75〜100000Daであってよく、例えば75〜20000Daである。
【0030】
発酵コラーゲン
[発酵処理工程]
本発明において、原料のゼラチンまたはコラーゲンの水溶液において発酵を行い発酵コラーゲン水溶液を得る。
【0031】
発酵処理を行うために、原料のゼラチンまたはコラーゲンを3重量%〜40重量%、例えば5重量%〜20重量%になるように水に溶解する。滅菌処理を行う目的で、ゼラチンまたはコラーゲンを水に溶解する時または溶解後に常圧下または高圧下、70℃〜130℃、例えば100℃にて乾熱滅菌または高圧下、121℃で溶液の湿熱滅菌を行ってもよい。なお、加熱滅菌する場合は、完了後に、つづく発酵工程のために水溶液の温度を発酵温度まで低下させる。
【0032】
前記の溶解工程により得られたゼラチンまたはコラーゲンの水溶液にラクトバシラス属細菌を加え発酵を行う。使用するラクトバシラス属細菌の最適温度および最適pHに基づいて、発酵温度、発酵pHは調節されてよい。発酵の温度は30℃〜70℃、例えば発酵温度35〜50℃であってよい。発酵時間は前記温度で30分〜72時間または4〜7日間、例えば1時間〜5時間または3〜6日であってよい。発酵溶液のpHは2.0〜12.0であってよく、例えば、pHは4.5〜8.5であってよい。pHを調節するために、発酵を阻害しない公知のpH調整剤が使用可能である。
【0033】
発酵終了後、発酵溶液を加熱することで殺菌処理を行ってよい。殺菌処理の温度は80℃〜100℃、例えば85℃〜95℃であってよい。殺菌処理の反応時間は5分〜3時間、例えば15分〜45分であってよい。
【0034】
発酵終了時の反応溶液中に存在する発酵コラーゲンの分子量は75〜100,000Daであってよく、例えば75〜70,000Da、75〜10,000Daである。
[回収工程]
回収工程以降の工程は、酵素分解コラーゲン水溶液または発酵コラーゲン水溶液を用いる場合とも共通し、前記、酵素分解コラーゲン水溶液または発酵コラーゲン水溶液を蒸留し、蒸留液を回収し、各々、本発明の化粧料組成物を得る。
【0035】
蒸留方法としては、例えば常圧蒸留、低圧蒸留、減圧蒸留、分子蒸留、単蒸留、精留、連続蒸留、水蒸気蒸留、回分蒸留等が挙げられるが、なかでも常圧蒸留、低圧蒸留、減圧蒸留が好ましく、特に減圧蒸留が好ましい。
【0036】
回収工程は酵素分解コラーゲン水溶液または発酵コラーゲン水溶液が蒸留前の40重量%以下、例えば15〜30重量%に濃縮されるまで行ってよく、または原料を連続的に投入することで連続的に蒸留を行ってもよい。
【0037】
蒸留を行う前に酵素分解コラーゲン水溶液または発酵コラーゲン水溶液は加水され、固形成分濃度を1重量%〜30重量%、例えば固形成分濃度2.5重量%〜10重量%に調節されてよい。
【0038】
蒸留の条件としては、20℃以上90℃以下であってよく、30℃以上80℃以下の温度で行われることが好ましい。また、蒸留時の圧力は10Torr以上500Torr以下であってよく、30Torr以上400Torr以下の圧力で行われることが好ましい。
【0039】
また、上記製造方法は、適宜、酵素失活処理または殺菌処理の後や蒸留後にフィルターを用いることなどにより濾過する工程を含むことができる。濾過は5〜80℃の温度条件下で行ってもよく、好ましくは5〜40℃の温度条件下で行われる。濾過は一回以上行なわれてよい。
【0040】
[蒸溜液中の成分]
得られた蒸留液の固形成分濃度は得られた蒸留液を常圧下、105℃で水分を蒸発することで得られた固形残分の重量を測定することで決定した。本発明の化粧料組成物の固形成分濃度は0.0001重量%〜0.01重量%の範囲であってよい。好ましくは0.0003重量%〜0.01重量%、さらに好ましくは0.0005重量%〜0.01重量%の範囲である。
【0041】
本発明の化粧料組成物の固形成分は遊離アミノ酸を含有し、遊離アミノ酸は全固形成分に対して0.1重量%〜10重量%、例えば0.1重量%〜5重量%含まれてよく、好ましくは0.1重量%〜1.5重量%含まれる。
【0042】
本発明の化粧料組成物は遊離アミノ酸として、アスパラギン酸、セリン、グリシン、アルギニン、アラニン、チロシン、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、ロイシン、リシン、プロリンおよびタウリンから選択される少なくとも1種を含んでいてよい。グリシン、アルギニン、ロイシンおよびプロリンから選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0043】
本発明の化粧料組成物のpHは6〜8の範囲であってよい。好ましくはpHは6.5〜7.5の範囲である。
【0044】
本発明の化粧料組成物が優れた保湿効果を有するメカニズムは完全に明らかではないが、酵素分解コラーゲン水溶液から気化して蒸留液中に移動した微量の遊離アミノ酸、オリゴペプチド、ポリペプチドなど、またはこれらの組合せによる効果であると推定される。これらの有効成分と考えられる化合物は、従来化粧品に使用されてきたポリペプチド、多価アルコール、水溶性高分子などといった成分と比較して分子量が低いため、浸透性が高く、高い生理活性作用(例えば、細胞賦活作用)を有していると考えられる。その結果、本発明の化粧料組成物を使用することで、細胞活性を促進し、高い保湿効果を実現できると考えられる。
【0045】
本発明の化粧料組成物は、その優れた保湿効果から保湿剤として使用可能である。また、本発明の化粧料組成物は、その優れた細胞賦活効果から細胞賦活剤として利用することも可能である。
【0046】
本発明の化粧料組成物は、その他化粧料、医薬品に配合して提供可能である。例えば、ローション、乳液、クリーム等の形態をとることができ、具体的には乳液、化粧水、養毛剤および育毛剤、シャンプー、洗顔料、リンス、アイシャドウ、香水、化粧油、頭髪用化粧品、染毛料、練香水、パック、クレンジングクリーム、ひげそり用クリーム、ひげそり用ローション、日焼けオイル、日焼け止めオイル、日焼けローション、日焼け止めローション、日焼けクリーム、日焼け止めクリーム、ファンデーション、マスカラ、爪クリーム、洗毛料、浴用化粧品、リップクリーム、デオドラント剤、オーデコロン、などが例示されるが、これらに限定されるものではない。
本発明の化粧料組成物は、これらの商品に水の一部または全部の代替成分として配合することが可能である。
【0047】
本発明の化粧品組成物はコラーゲンや加水分解コラーゲンを用いていることから、人または動物が内服又は外用しても安全なものであり、飲食物や外傷治療などといった用途に応用することも可能である。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例にて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0049】
酵素分解コラーゲン
<製造例>
[酵素処理工程]
200L反応釜に、常温にてゼラチン(新田ゼラチン製イクオスFGL-250TS)4kg、水36Lを仕込み、ジャケット加熱しながら撹拌溶解させた。続いて内温90〜95℃までジャケット加熱して1時間滅菌処理をした。その後、ジャケット水冷して内温を55〜60℃に調整した。温度を維持しながら、プロテアーゼ(エイチビィアイ株式会社製オリエンターゼ90N)20gを反応釜に投入し、3時間加水分解反応を行った。次に、内温を90〜95℃までジャケット加熱して、同温度にて30分撹拌して酵素を失活させた。そして、ジャケット水冷して常温まで冷却後、水36Lを加えた。
【0050】
[回収工程]
酵素処理工程で得られた液体について、引き続き同じ反応釜を用いて、減圧蒸留を行った。この時、発泡を抑えるために激しく撹拌し、内温40〜80℃、圧力60〜230Torr、凝縮器温度20〜60℃とした。得られた蒸留液を受器に回収した。留出量に合わせて、反応釜に水を追加して、連続的に蒸留液を得た。このようにして水360kgを追加し、合計400kgの蒸留液を回収した。
【0051】
[成分分析]
・遊離アミノ酸分析
上記方法により回収した蒸留液を、常圧、105℃で水分を蒸発することで、蒸留液中の固形成分を得た。得られた固形成分の重量から蒸留液中の固形成分濃度を決定した。その結果、蒸留液中の固形成分濃度は、0.0037重量%と非常に低濃度であることがわかった。
得られた固形成分を1mLの0.1N−HClに溶解した。調製した溶液の遊離アミノ酸濃度をアミノ酸自動分析システム(「SIL-30ACを用いた自動OPAプレカラム誘導体化法」)を用いて測定することで、蒸留液の固形成分中の遊離アミノ酸組成を決定した。
表1に結果を示す。また、クロマトグラムを
図2(a)に示す。
【0052】
・総アミノ酸分析
上記方法により回収した蒸留液中の固形成分を、450μg秤量し、6N-HCl存在下、110℃、24時間、酸加水分解することで、蒸留液中の固形成分の酸加水分解物を得た。
得られた酸加水分解物を0.1N-HClで0.09w/v%に調整した溶液の遊離アミノ酸濃度をアミノ酸自動分析システム(「SIL-30ACを用いた自動OPAプレカラム誘導体化法」)を用いて測定することで、蒸留液中の固形成分中に存在するペプチドおよびタンパク質を構成するアミノ酸を含む総アミノ酸組成を決定した。
表1に結果を示す。また、クロマトグラムを
図2(b)に示す。
【0053】
また、同様にして
上記酵素反応により得た酵素分解コラーゲン水溶液およびゼラチン(新田ゼラチン製イクオスFGL-250TS)の、それぞれについても遊離アミノ酸および総アミノ酸組成を決定した。これらの結果も併せて表1に示す。また、それぞれのクロマトグラムを
図2(c)〜(f)に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
<官能評価試験>
20〜50歳代の男女パネラー5名が、A:酵素分解コラーゲン水溶液の蒸留液、B:5重量%グリセリン水溶液およびC:0.0037重量%ヒアルロン酸水溶液、それぞれを皮膚に塗布し、塗布直後および塗布後5分後の使用感を評価する官能評価試験を行った。
評価項目は下記表に示す通りである。
評価基準は1〜3の三段階で評価した。1および3の評価は下記表に示すとおりであり、1および3のどちらとも言えない評価の場合を2とした。
【0056】
【表2】
【0057】
官能評価試験の結果を下記表に示す。
【0058】
【表3】
【0059】
官能評価試験から、酵素分解コラーゲン水溶液の蒸留液は、べたつき感に関する試験項目6.および9.において特に優れた結果が得られた。つまり、本発明の化粧料組成物は使用直後において、また使用後時間が経過しても、さっぱりとした感触を有しており、べたつき感のない優れた使用感を有していることが示された。
また、酵素分解コラーゲン水溶液の蒸留液保湿効果に関する試験項目3.、7.、8.などにおいても優れた結果が得られた。
以上より、本発明の化粧料組成物は、べたつき感のない優れた使用感と5重量%グリセリンと同等以上の保湿効果を併せ持っていることが示された。
【0060】
発酵コラーゲン
<製造例>
[酵素処理工程]
ティラピア由来のフィッシュゼラチン(新田ゼラチン製 イクオスFGL-250TS)の15%(w/w)水溶液を調製し、調製したゼラチン水溶液5mLに対して下記のラクトバシラス属細菌液20μL(10
6cfu)を接種した。
Lactobacillus acidophilus NBRC 13951
Lactobacillus casei NBRC 15883
Lactobacillus plantarum NBRC 15891
(以上、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 NITE Biological Resource Centerからの分譲菌)
Lactobacillus delbrueckii subsp. blugaricus IAM12091
Lactobacillus subsp. lactis IAM1173
(以上、東京大学分子細胞生物学研究所 IAMカルチャーコレクションからの分譲株)
菌液接種したゼラチン水溶液を30℃または37℃の静置培養または振盪培養(250rpm/min)にて5日間培養した。
培養液を遠心分離(15000rpm、5min)し、上清をメンブレンフィルター(ADVANTEC MEMBRANE FILTER PORE SIZE 0.45μm)を用いて濾過滅菌し、その濾液をポリアクリルアミド電気泳動(SDS−PAGE)に付した。泳動後のクーマシーブリリアントブルー染色図を
図4に示す。
図4(a)に示されるように、中でもLactobacillus plantarum、Lactobacillus caseiおよびLactobacillus acidophilusでの培養により出発物質であるゼラチンが低分子化されることが判明した。また、
図4(b)に示されるように、特に培養4日後に低分子化が顕著になることが判明した。
【0061】
[成分分析]
・遊離アミノ酸分析
上記方法により回収した蒸留液を、常圧、105℃で水分を蒸発することで、蒸留液中の固形成分を得た。得られた固形成分の重量から蒸留液中の固形成分濃度を決定した。その結果、蒸留液中の固形成分濃度は、0.0049重量%と非常に低濃度であることがわかった。
酵素分解コラーゲンについて上記したのと同様の方法で蒸留液の固形成分中の遊離アミノ酸組成を決定した。
表4に結果を示す。また、クロマトグラムを
図3(a)に示す。
【0062】
・総アミノ酸分析
蒸留液中の固形成分560μgを酸加水分解し、かつ得られた酸加水分解物を0.1N-HClで0.11w/v%に調整した以外は酵素分解コラーゲンについて上記したのと同様の方法で蒸留液の固形成分中の総アミノ酸組成を決定した。
表4に結果を示す。また、クロマトグラムを
図3(b)に示す。
【0063】
また、同様にして上記発酵により得た発酵コラーゲン水溶液およびゼラチン(新田ゼラチン製イクオスFGL-250TS)の遊離アミノ酸および総アミノ酸組成を決定した。これらの結果も併せて表4に示す。また、それぞれのクロマトグラムを
図3(c)〜(f)に示す。
【0064】
【表4】
【0065】
<官能評価試験>
20〜50歳代の男女パネラー6名が、D:発酵コラーゲン水溶液の蒸留液、E:5重量%グリセリン水溶液およびF:0.0049重量%ヒアルロン酸水溶液、それぞれを皮膚に塗布し、塗布直後および塗布後5分後の使用感を評価する官能評価試験を行った。
評価項目は下記表に示す通りである。
評価基準は1〜3の三段階で評価した。1および3の評価は下記表に示すとおりであり、1および3のどちらとも言えない評価の場合を2とした。
【0066】
【表5】
【0067】
官能評価試験の結果を下記表に示す。
【0068】
【表6】
【0069】
官能評価試験から、発酵コラーゲン水溶液の蒸留液は、潤いに関する試験項目7、べたつきのなさに関する試験項目9において特に優れた結果が得られた。つまり、本発明の化粧料組成物は使用直後において、また使用後時間が経過しても、潤い発揮しており、その反面でべたつき感のない優れた使用感を有していることが示された。
また、発酵コラーゲン水溶液の蒸留液は肌の柔らかさ、塗布後のべたつきのなさ、肌の潤い、肌のハリに関する試験項目5.、6.、8.、10.などにおいても優れた結果が得られた。
以上より、本発明の化粧料組成物は、べたつき感のない優れた潤い感と5重量%グリセリン同濃度のヒアルロン酸水溶液と同等以上の保湿効果を併せ持っていることが示された。
【0070】
<皮膚表面水分測定試験>
官能評価試験と同一のパネラー6名の腕の内側4箇所に発酵コラーゲン水溶液の蒸留液、5重量%グリセリン水溶液および精製水それぞれ塗布し、経時的な皮膚表面の水分量を測定する皮膚表面水分測定試験を行った。
【0071】
【表7】
本発明の発酵コラーゲン水溶液の蒸留液は、5重量%グリセリン水溶液と同等以上の皮膚表面水分量を示すことが判明し、上記した官能評価試験の結果が物性値として裏付けられた。
【0072】
公知の製法に従って以下の処方から種々の化粧料を製造した。
処方例1
化粧水
【0073】
処方例2
美容液
【0074】
処方例3
シャンプー
【0075】
処方例4
クレンジング
【0076】
処方例5
ヘアミスト
【0077】
処方例6
ヘアトリートメント
【0078】
処方例7
化粧水
【0079】
処方例8
美容液
【0080】
処方例9
シャンプー
【0081】
処方例10
クレンジング
【0082】
処方例11
ヘアミスト
【0083】
処方例12
ヘアトリートメント