(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第1実施形態)
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付すものとし、適宜重複した説明は省略する。
図1(a)は、本実施形態における太陽光発電パネル10の構造例を示す模式断面図であり、
図1(b)は光発電モジュール13の構造例を示す模式断面図であり、
図1(c)は表面保護層16の構造例を示す模式断面図である。
【0021】
図1(a)に示すように、太陽光発電パネル10は、硬質舗装体11上に、接着剤層12と、光発電モジュール13と、接着剤層14と、透光性支持部材15と、表面保護層16が積層された構造を有している。以下の説明において、透光性とは全ての波長範囲の光を透過することを意味せず、発電に必要な光の波長を良好に透過することを意味している。例えば、可視光の一部を遮り着色されたように視認されるが、赤外光や赤色光を良好に透過するようなものであってもよい。
【0022】
硬質舗装体11は、道路の路面に用いられる材料で構成された舗装体であり、略平坦な面上に光発電モジュール13を保持する部材である。硬質舗装体11を構成する材料としては、歩行者や車両の通行が可能な硬度と耐久性を有するものであればよく、例えばアスファルト舗装体やコンクリート舗装体が挙げられる。また、舗装体の上面に遮熱性樹脂の塗布や遮熱モルタルの充填などを施工して遮熱性舗装とすることが好ましい。硬質舗装体11を遮熱性舗装とすることで、硬質舗装体11の蓄熱量を低減して光発電モジュール13の温度上昇を抑制でき、発電効率維持や長寿命化を図ることができる。硬質舗装体11の厚みは、歩行者や車両の通行に耐えられる必要がある。50mm以上の厚みを有することが好ましい。
【0023】
接着剤層12は、硬質舗装体11の表面上に塗布された接着剤の層であり、光発電モジュール13を硬質舗装体11上に固定するための部材である。接着剤層12を構成する材料としては、電気的絶縁性を有し施工が容易な樹脂製材料を用いることが好ましく、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。接着剤層12の厚みは、硬質舗装体11と光発電モジュール13を強固に接着して機械的強度を確保する必要があり、1〜20mm程度の厚みを有することが好ましい。
【0024】
光発電モジュール13は、光入射面と裏面を有して光入射面側に入射した光を電気エネルギーに変換する部材であり、裏面側が接着剤層12により硬質舗装体11に固定される。また、光発電モジュール13は発電により生じた電流を外部に取り出す電気配線を備えており(図示省略)、電気配線は太陽光発電パネル10の外部にまで延長されている。光発電モジュール13は、
図1(b)に示すように発電セル13aの両面を封止材13b,13cで被覆した構造を有している。
【0025】
発電セル13aは、光を電気に変換する半導体材料と配線層により構成された部材であり、複数領域に形成された半導体材料を配線層で直列および/または並列に接続した構造を有している。発電セル13aの具体的な材料は限定されず、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコン、ペロブスカイト結晶、化合物半導体、有機半導体等を用いることができる。また、発電セル13aの構造として、多接合型(タンデム型)や量子ドット型等の構造を用いてもよい。
【0026】
封止材13b,13cは、透光性と電気的絶縁性を有し、発電セル13aの表裏面および側面を封止して発電セル13aへの水分や空気の侵入を防止する部材である。封止材13b,13cを構成する材料としては、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂を用いることができる。
【0027】
接着剤層14は、光発電モジュール13の光入射面上に塗布された接着剤の層であり、
光発電モジュール13と透光性支持部材15を接着するための部材である。接着剤層14を構成する材料としては、光を透過し電気的絶縁性を有するものであれば特に限定されず、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。接着剤層14の厚みは、光発電モジュール13と透光性支持部材15を強固に接着して機械的強度を確保する必要があり、数nm〜5mm程度の厚みを有することが好ましい。
【0028】
透光性支持部材15は、透光性を有する略平板状の部材であり、裏面側が接着剤層14により光発電モジュール13の光入射面に固定され、光発電モジュール13を支持して剛性を確保する。透光性支持部材15を構成する材料は限定されず、公知の樹脂やガラスを用いることができ、エポキシ樹脂やアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
【0029】
表面保護層16は、透光性支持部材15の表面側に形成された透光性を有する層であり、太陽光発電パネル10の最表面で光入射面を構成する層である。表面保護層16は、
図1(c)に示すように母材樹脂16aに微粒子16bが混入された構造を有しており、微粒子16bの少なくとも一部は母材樹脂16aの表面に露出されている。
【0030】
母材樹脂16aを構成する材料としては、透光性、耐久性、耐候性、耐油性が良好なものが好ましく、例えばエポキシ樹脂を用いることができる。微粒子16bは、光を散乱する材料と粒径で構成されており、公知のガラスやセラミック等を用いることができる。道路の路面として必要な摩擦を生じるとともに光を良好に散乱するためには、微粒子16bとしてAl
2O
3とSiO
2を含むことが好ましく、平均粒径が0.2〜4.0mmとすることが好ましい。微粒子16bにおけるAl
2O
3とSiO
2の含有比率としては、体積百分率でAl
2O
3を70〜80%程度含み、SiO
2を20〜30%程度含むことが好ましい。
【0031】
図1(a)では、光発電モジュール13と接着剤層12,14が同じ面積で形成された例を示しているが、光発電モジュール13の面積を硬質舗装体11よりも小さくし、光発電モジュール13の側面を含む周縁部を接着剤層12,14で覆うとしてもよい。光発電モジュール13の側面部を接着剤層12,14で覆うことで、太陽光発電パネル10全体の接着をより強固にすることができ、光発電モジュール13を密封して水分の侵入を防止することもできる。
【0032】
太陽光発電パネル10を道路の路面を構成する舗装構造体として用いる場合には、熱による硬質舗装体11の変形や、大型車両が通行する際の大荷重、走行車両のブレーキ使用時の摩擦荷重による衝撃等、機械的な応力が太陽光発電パネル10に加わる。これらの機械的な応力に耐えるためには、光発電モジュール13は柔軟性や可撓性を有することが好ましい。また、曇天時の微弱な光量でも発電できることが好ましい。これらの要求を満たすためには、光発電モジュール13の発電セル13aにアモルファスシリコン薄膜を用いることが好ましく、封止材13b,13cとしてシリコーン樹脂を用いることが好ましい。
【0033】
また、光発電モジュール13を良好に保護して支持するためには、透光性支持部材15として耐久性と耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂を用いることが好ましい。透光性支持部材15の厚みは、機械的強度を確保するために0.5〜10mm程度の厚みを有することが好ましく、1〜8mm程度の厚みを有することがさらに好ましい。
【0034】
図2は、太陽光発電パネル10の製造方法を模式的に示す工程図である。はじめに
図2(a)に示すように光発電モジュール13を用意する。次に
図2(b)に示すように、接着剤層14を光発電モジュール13の光入射面側に塗布し、透光性支持部材15の裏面に貼り付ける。次に
図2(c)に示すように透光性支持部材15の表面に表面保護層16を形成する。表面保護層16の形成方法としては、予め母材樹脂16aに微粒子16bを混練して透光性支持部材15上に塗布して硬化するとしてもよく、母材樹脂16aを透光性支持部材15上に塗布して硬化前に微粒子16bを表面上に散布し、その後に硬化するとしてもよい。最後に
図2(d)に示すように硬質舗装体11上に接着剤層12を塗布し、光発電モジュール13の裏面側を硬質舗装体11に貼り付ける。
【0035】
本実施形態では、硬質舗装体11を太陽光発電パネル10に含めているが、硬質舗装体11に貼り付ける前段階のものだけを太陽光発電パネル10としてよい。その場合には、
図2(c)に示した光発電モジュール13、接着剤層14、透光性支持部材15、表面保護層16の積層構造が太陽光発電パネル10として機能する。
【0036】
本実施形態の太陽光発電パネル10では、表面保護層16に入射した光は微粒子16bで一部が散乱されながら母材樹脂16a、透光性支持部材15、接着剤層14を透過して光発電モジュール13に入射する。光発電モジュール13では、入射した光を電気エネルギーに変換して、電気配線を介して外部に電力を供給する。太陽光発電パネル10の外部には、公知の二次電池や電圧変換回路等の外部回路が設けられており、電気配線に接続された外部回路によって太陽光発電パネル10で発電された電気が利用される。
【0037】
<実施例>
光発電モジュール13として、発電セル13aがアモルファスシリコン薄膜で、封止材13b,13cがシリコーン樹脂のフレキシブルなものを用意し、透光性支持部材15として300×300×5mmのポリカーボネート樹脂板を用意し、硬質舗装体11として300×300×40mmのアスファルト舗装体を用意した。
【0038】
次に、接着剤層14としてエポキシ樹脂を光発電モジュール13の光入射面に約1mm塗布し、透光性支持部材15の裏面に光発電モジュール13を貼り付けた。次に、透光性支持部材15の表面に母材樹脂16aとしてアクリル樹脂を約1mm程度塗布し、微粒子16bとしてAl
2O
3とSiO
2の含有比率が8:2で平均粒径が1mmの骨材を母材樹脂16a上に散布して硬化させて表面保護層16を形成した。最後に、硬質舗装体11の表面に接着剤層12としてエポキシ樹脂を約2mm厚で形成し、光発電モジュール13の裏面を貼り付けて硬化し、太陽光発電パネル10の試供体を得た。
【0039】
<接着力試験>
得られた試供体の太陽光発電パネル10を用いてホイールトラッキング試験(WT試験)を行ったところ、接着剤層12,14や表面保護層16の破損や剥離は見られなかった。WT試験は、試験輪の載荷重量は5トン輪荷重相当とし、300mm角の試供体のほぼ全面に試験輪が通過するようにトラバース設定で行った。
【0040】
<すべり抵抗試験>
ゴムのついた振り子式すべり抵抗器を用いてBPN方式(ASTM E303に準ずる)で表面保護層16のすべり抵抗値を測定したところ、BPNは60以上であった。
【0041】
<耐久性試験>
夏場の温度上昇や雨天時などの天候条件に耐えうるか、路面の温度上昇を再現するためにハロゲンの120Wビームランプを1mの距離から6時間照射したところ、試供体は発電を継続して劣化は見られなかった。
【0042】
また、乾燥状態および完全水浸状態でWT試験を行ったところ、試供体が発電を継続することを確認した。
図3は、水浸状態での太陽光発電パネル10の耐荷重性試験を示す模式図である。試供体である太陽光発電パネル10を容器20内に載置し、太陽光発電パネル10の全体が水30に浸されるように容器20内に水を貯め、試験輪40を図中X軸方向(左右方向)とY軸方向(紙面に垂直方向)に移動させる。太陽光発電パネル10の表面保護層16に対しては光を照射し続け、図示しない電気配線を介して太陽光発電パネル10の電圧を測定する。
【0043】
ここでWT試験は、試験輪の載荷重量は5トン輪荷重相当とし、300mm角の試供体のほぼ全面に試験輪が通過するようにトラバース設定で行った。また、温度は20℃および60℃であり、載荷時間は6時間で試験輪を約7500回往復させた。
【0044】
<動的安定性試験>
温度60℃の乾燥状態でWT試験を行い、試験開始から45分後と60分後の路面変形沈下量(変位量)を測定し、変位量から1mm変位するのに必要な試験輪の通過輪数を評価したところ、重交通道路に求められる3000回/mm以上をクリアした。WT試験は、試験輪の荷重(大型車相当5トン輪荷重)とし、トラバースなしで1軌線往復の設定で行った。
【0045】
<角度依存性試験>
図4は、太陽光発電パネル10の発電量測定試験を模式的に示す図である。太陽光発電パネル10の角度を変更できる台座上に載置して、太陽光発電パネル10の中央から1mの距離に1000Wのキセノンライトを配置し、表面保護層16に対して光を照射した。測定には日清紡製のソーラーシミュレーター(Sun 1040i)を用い、上述した試供体と同様構造のものを3つ(As1,As2,As3)と、比較例として光発電モジュール13のみのものを3つ(Nm1,Nm2,Nm3)で測定を行った。測定結果を表1に示す。
【0047】
図5は、太陽光発電パネル10に対する光の入射角度と発電電圧の関係を示すグラフである。表1および
図5に示したように、試供体As1,As2,As3でも、比較例Nm1,Nm2,Nm3と同程度の平均電圧を得られている。したがって、光発電モジュール13上に接着剤層14、透光性支持部材15、表面保護層16を形成した太陽光発電パネル10であっても、光発電モジュール13と同程度の良好な発電効率を得られることがわかる。
【0048】
また、入射角度が45度以下の領域では、比較例Nm1,Nm2,Nm3よりも試供体As1,As2,As3のほうが大きな平均電圧を得られている。これは、試供体As1,As2,As3では表面保護層16の表面に微粒子16bが露出しているため、小さい入射角で到達した光が散乱され、光発電モジュール13に光を効率よく取り込むことができていること示している。
【0049】
上述したように本実施形態の太陽光発電パネル10は、表面保護層16の表面には光を散乱する微粒子16bが露出しているため、外部からの光は良好に16bによって散乱され、入射角度が小さい光も光発電モジュール13で効率的に電力に変換することができる。また、表面保護層16の表面に露出した微粒子16bによって表面保護層16の摩擦係数が増加し、太陽光発電パネル10を路面に利用した場合にも、走行車両や歩行者がスリップすることを防止することができる。
【0050】
また、表面保護層16と透光性支持部材15よりも下層に接着剤層14を介して光発電モジュール13を配置しているため、外部からの応力が光発電モジュール13に加わり破損することを抑制できる。また、光発電モジュール13自体に柔軟性や可撓性をもたせることで、外部からの応力による光発電モジュール13の破損をさらに抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態の太陽光発電パネル10は、接着力、対候性、すべり抵抗、耐荷重性、動的安定性、および発光量の角度依存性が良好であるため、実使用環境においても良好な発電性能と走行性能を確保することができる。
【0052】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図6は、本実施形態における舗装構造体100の製造方法を示す工程図である。
【0053】
はじめに、
図6(a)に示したように舗装構造体100を施工する既設舗装体110を用意する。既設舗装体110は既に供用されている舗装道路であってもよく、新たに舗装道路を施工したものであってもよい。既設舗装体110の表面には区画線111等が形成されていてもよい。区画線111同士の中心間距離W1は車線幅員であり、例えば3000mm程度である。
【0054】
次に
図6(b)に示すように、既設舗装体110の表面を区画線111からマージンW2だけ残して幅W3にわたって深さt1だけ切削し、切削溝112を形成する(舗装切削工程)。マージンW2としては例えば50mm程度であり、幅W3としては例えば2750m程度である。切削溝112の深さt1としては、例えば37mm程度である。
【0055】
次に
図6(c)に示すように、切削溝112内部に硬質舗装体として表面が平坦なアスファルト113を構築し、硬質舗装体両側に配線用溝114を形成する(硬質舗装体形成工程)。アスファルト113の表面と既設舗装体110の表面とには、段差115が生じている。アスファルト113の厚さt2としては例えば30mm程度であり、段差115の高さt3としては例えば7mm程度である。また配線用溝114の幅W4としては例えば100mm程度であり、アスファルト113の幅としては例えば2650mm程度である。
【0056】
次に
図6(d)に示すように、アスファルト113上に道路用エポキシ樹脂等の接着剤層116を塗布し、太陽光発電パネル117の裏面側を貼り付ける(発電パネル配置工程)。太陽光発電パネル117の構造としては、
図2(c)で示した光発電モジュール13、接着剤層14、透光性支持部材15、表面保護層16の積層構造を用いることができる。同時に、光発電モジュール13から延長された電気配線118を配線用溝114内で引き回し、隣接して配置した他の太陽光発電パネル117や外部回路、二次電池等と電気的に接続する。ここで、太陽光発電パネル117を2枚並列に配置し、両者の間に幅W6で目地を空けておく。目地の幅6としては例えば10mm程度である。
【0057】
最後に
図6(e)に示すように、目地と配線用溝114にエポキシ樹脂モルタル等を充填し、間詰部119,120を形成し、既設舗装体110と太陽光発電パネル117と間詰部119,120の表面が略面一となるようにする(間詰工程)。これにより、本実施形態の舗装構造体100が得られる。
【0058】
道路は上方に光を遮る構造物が存在しない場合が多く、陽当たりが比較的に良好である。したがって、舗装構造体100に太陽光発電パネル117を埋め込み、既存の道路路面を太陽光発電に用いることで、発電用の敷地を容易に確保することができる。また、送電設備等が整っていない遠隔地や離島、山岳地などにおいても、既存の道路路面を利用することで新たな用地開発が不要となり、環境負荷をより一層低減することができる。
【0059】
また本実施形態の舗装構造体100は、光発電モジュール13、接着剤層14、透光性支持部材15、表面保護層16の積層構造を有する太陽光発電パネル117を硬質舗装体上に接着剤層116で固定している。これにより第1実施形態で述べたように、舗装構造体100の路面は接着力、対候性、すべり抵抗、耐荷重性、動的安定性、および発光量の角度依存性が良好であるため、実使用環境においても良好な発電性能と走行性能を確保することができる。
【0060】
舗装構造体100は、概ね地平に水平に形成されているため、路面に対して垂直に近く太陽光が入射することは極めて稀であり、低緯度地域の真夏の正午近辺に限定される。日照時刻から日没時刻までを太陽光が照射されて発電可能な時間帯であるとすると、地球上の多くの領域では、発電可能時間の大部分は四季を通じて路面に対して45度よりも小さい入射角で光が照射される時間であるといえる。また、舗装構造体100に入射する光は、太陽から直接入射する光だけではなく、道路の近傍に存在する建築物や植物、ガードレール、防音壁、走行車両の側面等によって反射された環境反射光が含まれる。このような環境反射光は、低い位置で反射して小さい入射角度で舗装構造体100に入射する。
【0061】
本実施形態の舗装構造体100では、第1実施形態で述べたように太陽光発電パネル117の最表面が表面保護層16であり、微粒子16bが表面に露出していることで光が散乱される。これにより、表1および
図5に示したように、45度以下の小さい入射角度であっても発電量の低下が抑制され、良好な発電効率を維持することができ、道路の路面を利用した太陽光発電としては好適である。
【0062】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。第1実施形態と重複する内容は説明を省略する。
図7(a)は、本実施形態における壁面構造体200の構造例を示す斜視図である。
図1(a)に示すように本実施形態の壁面構造体200は、太陽光発電パネル210と、支柱220と、壁面230を有している。
図7(b)は太陽光発電パネル210の構造例を示す模式断面図である。本実施形態の太陽光発電パネル210は、光発電モジュール213、接着剤層214、透光性支持部材215、表面保護層216の積層構造を有している。
【0063】
支柱220は、地面に対して略鉛直に立設された柱状の部材であり、壁面230を支持する部材である。壁面230は支柱220に取り付けられた略板状の部材であり、図示しない固定部材によって太陽光発電パネル210が固定される。固定部材の材料や構造は特に限定されず、壁面230と太陽光発電パネル210との間に接着剤層を介在させて固定するとしてもよく、ボルトとナット等の機械的な締結構造を用いるとしてもよい。支柱220および壁面230の具体的構造は限定されず、例えば道路の近傍に設置された防音壁やガードレール、建築物の壁面などを利用することもできる。
【0064】
本実施形態の壁面構造体200でも、第1実施形態で述べたように太陽光発電パネル210の最表面が表面保護層216であり、微粒子16bが表面に露出していることで光が散乱される。これにより、表1および
図5に示したように、45度以下の小さい入射角度であっても発電量の低下が抑制され、良好な発電効率を維持することができ、壁面を利用した太陽光発電としては好適である。
【0065】
また、表面保護層216と透光性支持部材215よりも下層に接着剤層214を介して光発電モジュール213を配置しているため、壁面230に対して外部からの応力が加わっても、光発電モジュール13の破損を抑制できる。また、光発電モジュール213自体に柔軟性や可撓性をもたせることで、外部からの応力による光発電モジュール213の破損をさらに抑制することができる。
【0066】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。