特許第6871566号(P6871566)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871566
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 49/02 20060101AFI20210426BHJP
   A01B 33/08 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A01B49/02
   A01B33/08 P
   A01B33/08 L
【請求項の数】8
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-2827(P2017-2827)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-42544(P2018-42544A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年11月6日
(31)【優先権主張番号】特願2016-178801(P2016-178801)
(32)【優先日】2016年9月13日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】池田 俊朗
(72)【発明者】
【氏名】黒田 将仁
(72)【発明者】
【氏名】岩松 淳司
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 大輔
(72)【発明者】
【氏名】石丸 雅邦
【審査官】 大澤 元成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−049146(JP,A)
【文献】 特開2002−360004(JP,A)
【文献】 特開平10−295105(JP,A)
【文献】 実開昭54−039303(JP,U)
【文献】 実開昭58−103809(JP,U)
【文献】 実開昭53−079203(JP,U)
【文献】 実開昭61−136808(JP,U)
【文献】 実開昭63−036204(JP,U)
【文献】 実開昭61−197802(JP,U)
【文献】 実開昭62−122501(JP,U)
【文献】 実開昭61−092213(JP,U)
【文献】 実開昭54−160611(JP,U)
【文献】 韓国登録特許第10−1119858(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 27/00−49/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
耕耘作業をする耕耘体と、
この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、
前記耕耘体側に土を寄せる土寄せ手段とを備え、
前記土寄せ手段は、
前後方向長手状の支持体と、
この支持体によって支持され、前記支持体に対して前後方向の回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能な土寄せ体とを有し、
前記土寄せ体は、前記前後方向の回動中心軸線を中心とする回動により、作業面によって前記耕耘体側に土を寄せる作業状態と、前記作業面が斜め上方を向くように鉛直方向に対して農作業機の中央側である内側に傾いた傾斜状の非作業状態とに切換可能となっている
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
土寄せ体を作業状態および非作業状態のいずれか一方からいずれか他方へ切り換える際には、土寄せ体を180度とは異なる角度をもって前後方向の回動中心軸線を中心として回動させる
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
土寄せ体は、位置決め係合部を有し、
支持体は、
前記土寄せ体の作業状態時に前記位置決め係合部と係合する作業用係合部と、
前記土寄せ体の非作業状態時に前記位置決め係合部と係合する非作業用係合部とを有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の農作業機。
【請求項4】
位置決め係合部は、上下1対の位置決めピンにて構成され、
作業用係合部は、上下1対の作業用孔部分にて構成され、
非作業用係合部は、上下1対の非作業用孔部分にて構成されている
ことを特徴とする請求項3記載の農作業機。
【請求項5】
土寄せ体および支持体の各々は、作業用固定孔部および非作業用固定孔部を有し、
前記土寄せ体の作業状態時には、固定ピンが前記土寄せ体の前記作業用固定孔部および前記支持体の前記作業用固定孔部に挿入され、
前記土寄せ体の非作業状態時には、前記固定ピンが前記土寄せ体の前記非作業用固定孔部および前記支持体の前記非作業用固定孔部に挿入される
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。
【請求項6】
土寄せ体は、土を切削しながら耕耘体側に寄せるサイドディスクを有する
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機。
【請求項7】
耕耘体は、
左右方向に延びる軸状の軸本体部と、
この軸本体部に突設され、耕耘爪を保持する複数の爪ホルダー部とを有し、
平面視で、土寄せ体の作用ラインと前記軸本体部との交点が、最外端の前記爪ホルダー部よりも内側に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の農作業機。
【請求項8】
耕耘体は、巻付防止線状部材を有し、
平面視で、土寄せ体の作用ラインと最前端に位置した状態の前記巻付防止線状部材との交点が、当該巻付防止線状部材の端縁よりも内側に位置する
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか一記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土寄せ手段を備える農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された農作業機が知られている。
【0003】
この従来の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、耕耘体側に土を寄せる土寄せ手段とを備え、この土寄せ手段は、支持体とこの支持体によって支持された土寄せ体とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−49146号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして、このような農作業機においては、安全性の確保が重要な課題であり、安全性の向上が求められている。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安全性の向上を図ることができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の農作業機は、耕耘作業をする耕耘体と、この耕耘体の後方で整地作業をする整地体と、前記耕耘体側に土を寄せる土寄せ手段とを備え、前記土寄せ手段は、前後方向長手状の支持体と、この支持体によって支持され、前記支持体に対して前後方向の回動中心軸線を中心として上下方向に回動可能な土寄せ体とを有し、前記土寄せ体は、前記前後方向の回動中心軸線を中心とする回動により、作業面によって前記耕耘体側に土を寄せる作業状態と、前記作業面が斜め上方を向くように鉛直方向に対して農作業機の中央側である内側に傾いた傾斜状の非作業状態とに切換可能となっているものである。
【0008】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、土寄せ体を作業状態および非作業状態のいずれか一方からいずれか他方へ切り換える際には、土寄せ体を180度とは異なる角度をもって前後方向の回動中心軸線を中心として回動させるものである。
【0009】
請求項3記載の農作業機は、請求項1または2記載の農作業機において、土寄せ体は、位置決め係合部を有し、支持体は、前記土寄せ体の作業状態時に前記位置決め係合部と係合する作業用係合部と、前記土寄せ体の非作業状態時に前記位置決め係合部と係合する非作業用係合部とを有するものである。
【0010】
請求項4記載の農作業機は、請求項3記載の農作業機において、位置決め係合部は、上下1対の位置決めピンにて構成され、作業用係合部は、上下1対の作業用孔部分にて構成され、非作業用係合部は、上下1対の非作業用孔部分にて構成されているものである。
【0011】
請求項5記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、土寄せ体および支持体の各々は、作業用固定孔部および非作業用固定孔部を有し、前記土寄せ体の作業状態時には、固定ピンが前記土寄せ体の前記作業用固定孔部および前記支持体の前記作業用固定孔部に挿入され、前記土寄せ体の非作業状態時には、前記固定ピンが前記土寄せ体の前記非作業用固定孔部および前記支持体の前記非作業用固定孔部に挿入されるものである。
【0012】
請求項6記載の農作業機は、請求項1ないし5のいずれか一記載の農作業機において、土寄せ体は、土を切削しながら耕耘体側に寄せるサイドディスクを有するものである。
【0013】
請求項7記載の農作業機は、請求項1ないし6のいずれか一記載の農作業機において、耕耘体は、左右方向に延びる軸状の軸本体部と、この軸本体部に突設され、耕耘爪を保持する複数の爪ホルダー部とを有し、平面視で、土寄せ体の作用ラインと前記軸本体部との交点が、最外端の前記爪ホルダー部よりも内側に位置するものである。
【0014】
請求項8記載の農作業機は、請求項1ないし7のいずれか一記載の農作業機において、耕耘体は、巻付防止線状部材を有し、平面視で、土寄せ体の作用ラインと最前端に位置した状態の前記巻付防止線状部材との交点が、当該巻付防止線状部材の端縁よりも内側に位置するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、土寄せ手段の土寄せ体は、耕耘体側に土を寄せる作業状態と、作業面が上方側を向くように内側に傾いた非作業状態とに切換可能となっているため、安全性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る農作業機の側面図である。
図2】同上農作業機の正面図である。
図3】同上農作業機の側面図である。
図4】同上農作業機の正面図である。
図5】同上農作業機の土寄せ手段の分解斜視図である。
図6】同上土寄せ手段の部分断面図である。
図7】同上土寄せ手段の斜視図で、(a)は非作業状態の図であり、(b)は作業状態の図である。
図8】本発明の第2の実施の形態に係る農作業機の土寄せ手段の分解斜視図である。
図9】同上農作業機の正面図である。
図10】本発明の第3の実施の形態に係る農作業機の土寄せ手段の斜視図で、(a)は非作業状態の図であり、(b)は作業状態の図である。
図11】同上土寄せ手段の側面図で、(a)は非作業状態の図であり、(b)は作業状態の図である。
図12】本発明の第4の実施の形態に係る農作業機の土寄せ手段の斜視図で、(a)は非作業状態の図であり、(b)は作業状態の図である。
図13】同上土寄せ手段の側面図で、(a)は非作業状態の図であり、(b)は作業状態の図である。
図14】本発明の第5の実施の形態に係る農作業機の土寄せ手段の分解斜視図である。
図15】同上土寄せ手段の斜視図で、(a)は非作業状態の図であり、(b)は作業状態の図である。
図16】本発明の第6の実施の形態に係る農作業機の部分正面図である。
図17】同上農作業機の部分平面図である。
図18】同上農作業機の耕耘体の軸方向端部を示す斜視図である。
図19】同上農作業機の巻付防止線状部材およびその取付手段を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1の実施の形態について図1ないし図7を参照して説明する。
【0018】
図中の1は農作業機で、この農作業機1は、例えば走行車であるトラクタ(図示せず)の後部に連結され、そのトラクタの走行により圃場を前方(進行方向)に移動しながら耕耘整地作業(農作業)を行うものである。
【0019】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部(農作業機昇降部)に脱着可能に連結される機体2と、この機体2に回転可能に設けられ所定方向に回転しながら耕耘作業をする耕耘体(ロータリー)3と、機体2に左右方向の軸(回動支点)5を中心として上下方向に回動可能に設けられ耕耘体3の後方で整地作業する板状の整地体(均平板)4とを備えている。
【0020】
また、農作業機1は、この農作業機1の側端部である左側端部に位置して耕耘体3側(例えば耕耘体3の軸方向端部である左端部の前方側)に圃場の土を寄せる土寄せ手段6とを備えている。
【0021】
機体2は、図1等に示すように、トラクタの後部の3点リンク部に脱着可能に連結される3点連結部(走行車連結部)11を有している。3点連結部11は、1本のトップマスト12および左右1対で2本のロワーアーム13を有している。なお、トップマスト12にはトップピン14が取り付けられ、ロワーアーム13にはロワーピン15が取り付けられている。
【0022】
また、機体2は、入力軸16を回転可能に保持する軸保持部であるミッションケース部17を有し、このミッションケース部17の左右両側にはフレーム部であるフレームパイプ部18の内端部が取り付けられている。なお、入力軸16は、トラクタのPTO軸にジョイント(図示せず)を介して接続される。
【0023】
そして、左側のフレームパイプ部18の外端部には、箱状の耕耘体支持部であるチェーンケース部19が取り付けられている。一方、右側のフレームパイプ部18の外端部には、板状の耕耘体支持部であるブラケット部20が取り付けられている。これら互いに離間対向するチェーンケース部19およびブラケット部20によって耕耘体3が回転可能に支持されている。なお、チェーンケース部19およびブラケット部20の各々には、側板部であるサイドカバー板10が固着されている。
【0024】
さらに、機体2は、耕耘体3の上方部を覆う耕耘カバー部21を有している。この耕耘カバー部21は、上方に凸の湾曲板状をなすカバー本体板22と、このカバー本体板22の左右方向両端部に固着されたカバー側板23とを有している。そして、カバー本体板22の後端部には、整地体4が軸5を中心として上下方向に回動可能に取り付けられている。
【0025】
耕耘体3は、チェーンケース部19の下部およびブラケット部20の下部間に回転可能に架設された左右方向の耕耘軸26を有している。つまり、耕耘軸26の軸方向一端部である左端部がチェーンケース部19の下部にて回転可能に支持されかつ耕耘軸26の軸方向他端部である右端部がブラケット部20の下部にて回転可能に支持されている。この耕耘軸26は、入力軸16側からの動力を耕耘体3まで伝達する動力伝達手段(図示せず)によって所定方向に駆動回転する。この動力伝達手段は、例えばミッションケース部17内のギヤ、フレームパイプ部18内のシャフトおよびチェーンケース部19内のチェーン等によって構成されている。
【0026】
また、耕耘軸26が有する各爪ホルダー部27には、耕耘軸26と一体となって回転して耕耘作業をする耕耘爪28が脱着可能に取り付けられている。
【0027】
整地体4は、耕耘カバー部21のカバー本体板22に軸5を介して回動可能に取り付けられた整地本体板31を有し、この整地本体板31の左右方向両端部には整地側板32が固着されている。また、整地本体板31の背面には突出板33が固着され、この突出板33と機体2の突出板34との間には接地圧調整手段35が架設されている。
【0028】
土寄せ手段6は、図5ないし図7にも示すように、機体2の耕耘カバー部21の左側のカバー側板23に取り付けられた支持体41と、この支持体41に取付具である固定ピン43で脱着可能に取り付けられこの支持体41によって支持された土寄せ体42とを有している。
【0029】
なお、固定ピン43を取り外すと、土寄せ体42は、支持体41に対して前後方向の回動中心軸線Xを中心として上下方向に回動可能となり、かつ、支持体41に対して前後方向に摺動可能となる。つまり、固定ピン43を抜いた状態では、土寄せ体42は、支持体41によって回動可能でかつ前後移動可能に支持されている。
【0030】
そして、土寄せ作業をする土寄せ体42は、前方側を向いた表面である作業面(土寄せ面)42aによって耕耘体3側に圃場の土を寄せる下方側の作業状態と、作業面42aが上方側を向くように内側に傾いた上方側の非作業状態(格納状態)とに、選択的に切換可能となっている。
【0031】
ここで、支持体41は、土寄せ体42を支持する前後方向長手状の円筒状部51を有している。円筒状部51の前端部には、第1板53および第2板54を有するL字状の板部52が固設されている。円筒状部51の後端部には、左右方向の四角筒状の角筒状部56が直交状に固設され、この角筒状部56の先端部に取付板部57が固設されている。そして、板部52の第2板54と取付板部57とが、機体2の耕耘カバー部21の左側のカバー側板23の外面に取り付けられている。
【0032】
また、円筒状部51の長手方向中間部には、1つの作業用固定孔部61および1つの非作業用固定孔部62が上下に貫通して形成されている。なお、作業用固定孔部61は、非作業用固定孔部62の後方に位置している。
【0033】
さらに、屈曲板部である板部52の第1板53には、土寄せ体42の作業状態時に土寄せ体42の位置決め係合部である位置決め係合突部80と係合する作業用係合部である作業用係合孔部63が形成され、かつ、土寄せ体42の非作業状態時に位置決め係合突部80と係合する非作業用係合部である非作業用係合孔部64が形成されている。
【0034】
作業用係合孔部63は、回動中心軸線Xを中心として対称に位置する上下1対で2個の作業用孔部分63aにて構成されている。なお、下の作業用孔部分63aは、上の作業用孔部分63aの真下に位置している。
【0035】
非作業用係合孔部64は、作業用孔部分63aの近傍において回動中心軸線Xを中心として対称に位置する上下1対で2個の非作業用孔部分64aにて構成されている。なお、上の非作業用孔部分64aは上の作業用孔部分63aの一方側近傍に位置し、下の非作業用孔部分64aは下の作業用孔部分63aの他方側近傍に位置している。
【0036】
土寄せ体42は、支持体41に固定ピン43で脱着可能に取り付けられた第1取付部材71と、この第1取付部材に脱着ピン74によって上下調整可能に取り付けられた第2取付部材72と、この第2取付部材72の下端部に回転可能に設けられ圃場から受ける力で従動回転しつつ圃場の土を切削しながら耕耘体3側に寄せる皿形状(略皿形状を含む)の土寄せ部材であるサイドディスク73とを有している。
【0037】
そして、第1取付部材71は、支持体41の円筒状部51内に一部が嵌入された前後方向長手状の円筒状部76を有している。円筒状部76の前端部には、上下方向の四角筒状の角筒状部77が直交状に固設され、この角筒状部77には複数の上下調整用孔78が形成されている。なお、角筒状部77の上端部77aは、円筒状部76の上端部76aよりも上方に位置している。
【0038】
また、円筒状部76の長手方向中間部における上側および下側には突出板部79が固設され、この各突出板部79には位置決めピン80aが固着されている。つまり、第1取付部材71は、支持体41の孔部63,64に係脱可能に挿入係合して第1取付部材71を支持体41に対して所望位置に位置決めする位置決め係合突部(位置決め係合部)80を有し、この位置決め係合突部80が上下1対で2本の位置決めピン80aにて構成されている。
【0039】
さらに、円筒状部76の後端部には、1つの作業用固定孔部81および1つの非作業用固定孔部82が形成されている。なお、作業用固定孔部81は、非作業用固定孔部82よりも後方で周方向に少しずれた位置に位置している。
【0040】
第2取付部材72は、第1取付部材71の角筒状部77内に一部が嵌入された上下方向の四角筒状の角筒状部84を有し、この角筒状部84には複数の上下調整用孔85が形成されている。そして、選択した両上下調整用孔78,85に脱着ピン74を挿入することによって、第2取付部材72が第1取付部材71に取り付けられている。
【0041】
また、図6に示すように、角筒状部84の下端部にはプレート部86の上端部が固着され、このプレート部86の下端部にはディスク支持部87が設けられ、このディスク支持部87によってサイドディスク73が回転可能に支持されている。
【0042】
なお、ディスク支持部87は、例えばボス88、ベアリング89、止め輪90、シール91、支軸92、カバー93およびグリスニップル94を有している。また、プレート部86にはコ字枠95が取り付けられ、このコ字枠95にはグリスニップル94と対向するグリスガン用孔96が形成されている。
【0043】
サイドディスク73は、第2取付部材72のディスク支持部87のボス88にボルト97によって脱着可能に取り付けられている。サイドディスク73の外周部には、圃場の土を切削する切削刃部99が形成されている。
【0044】
また、サイドディスク73のうち、プレート部86と対向する側とは反対側の表面が作業面42aであり、この作業面42aによって圃場の土が耕耘体3側へ誘導案内される。なお、図1に示すように、作業時において、側面視でサイドディスク73は耕耘体3よりも前方に位置している。
【0045】
次に、農作業機1の作用等を説明する。
【0046】
耕耘整地作業を行う作業時には、図1および図2に示すように、土寄せ体42を作業状態に設定する。
【0047】
すなわち、作業者は、まず、土寄せ体42の位置決め係合突部80の2本の位置決めピン80aを、支持体41の作業用係合孔部63の2個の作業用孔部分63aに挿入する。すると、土寄せ体42が支持体41に対して回動不能となって作業状態に位置決めされ、土寄せ体42の作業用固定孔部81と支持体41の作業用固定孔部61とが互いに一致する。このため、作業者は、両孔部61,81の位置合わせをする必要がない。
【0048】
次いで、作業者は、互いに一致した両作業用固定孔部61,81に固定ピン43を挿入する。すると、土寄せ体42が支持体41に対して作業状態に固定される。
【0049】
そして、この状態でトラクタを走行させると、耕耘体3が耕耘作業をし、その後方で整地体4が整地作業をする。
【0050】
また、農作業機1の左側端位置における耕耘体3の前方側では、作業状態の土寄せ体42のサイドディスク73が土寄せ作業をする。つまり、サイドディスク73が圃場から受ける力で所定方向に回転しながら圃場の土を切削し、この切削土が耕耘体3側へ案内されて耕耘爪28で耕耘砕土される。
【0051】
この作業時において、固定ピン43は、位置決め係合突部80と協同して、第1取付部材71の円筒状部76が支持体41の円筒状部51に対してサイドディスク73が圃場から受ける力に基づいて回転することを規制している。また、固定ピン43は、第1取付部材71の円筒状部76が支持体41の円筒状部51内から抜け出ないように、円筒状部51に対する円筒状部76の前後位置を固定している。
【0052】
なお、固定ピン43を抜いた場合には、第1取付部材71の円筒状部76を支持体41の円筒状部51内から全体を抜き出すことなく、円筒状部76を円筒状部51によって支持した状態のまま、土寄せ体42を作業状態および非作業状態に選択的に切り換えることができる。
【0053】
そして、作業終了後、農作業機1を運搬する場合や倉庫内へ格納する場合等の非作業時(格納時)には、図3および図4に示すように、土寄せ体42を作業状態から非作業状態に切り換える。
【0054】
すなわち、作業者は、固定ピン43を取り外してから、2本の位置決めピン80aを2個の作業用孔部分63aから抜いた後、土寄せ体42の円筒状部76が支持体41の円筒状部51内に挿入されて支持された状態のまま、土寄せ体42を回動中心軸線Xを中心として180度を超える角度(180度とは異なる、例えば215度)をもって外回りの方向(図4では反時計回り)へ回動させる。なお、内回りが可能な場合には、180度未満の回動角度となる。
【0055】
続いて、作業者は、今度は、2本の位置決めピン80aを支持体41の非作業用係合孔部64の2個の非作業用孔部分64aに挿入する。すると、土寄せ体42が支持体41に対して回動不能となって非作業状態に位置決めされ、土寄せ体42の非作業用固定孔部82と支持体41の非作業用固定孔部62とが互いに一致する。このため、作業者は、両孔部62,82の位置合わせをする必要がない。
【0056】
次いで、作業者は、互いに一致した両非作業用固定孔部62,82に固定ピン43を挿入する。すると、土寄せ体42が支持体41に対して非作業状態に固定される。
【0057】
そして、この非作業状態の土寄せ体42は、図4から明らかなとおり、その作業面42aが上方側、すなわち例えば左斜め上方を向くように、鉛直方向に対して農作業機1の中央側である内側に傾いた傾斜状(上向き傾斜状態)となっている。
【0058】
この際、土寄せ体42のサイドディスク73の上端部73aは、例えば機体2の耕耘カバー部21の左側のカバー側板23よりも内側に位置している。
【0059】
そして、上記農作業機1によれば、土寄せ手段6の土寄せ体42は、耕耘体3側に土を寄せる作業状態と、作業面42aが上方側を向くように内側に傾いた傾斜状の非作業状態とに切換可能となっているため、例えば運搬時等の非作業時において、土寄せ体42を内側に傾けた傾斜状の非作業状態にすることで、安全性の向上を図ることができ、また、コンパクト化も図ることができ、トラクタからの後方視界も良好となる。
【0060】
また、土寄せ体42が位置決め係合突部80を有し、支持体41がその位置決め係合突部80と係合可能な作業用係合孔部63および非作業用係合孔部64を有するため、土寄せ体42を容易に位置決めでき、土寄せ体42の状態を容易に切り換えることができる。
【0061】
さらに、固定ピン43を土寄せ体42の作業用固定孔部81および支持体41の作業用固定孔部81に挿入することによって土寄せ体42を作業状態に容易に固定でき、また、固定ピン43を土寄せ体42の非作業用固定孔部82および支持体41の非作業用固定孔部82に挿入することによって土寄せ体42を非作業状態に容易に固定できる。
【0062】
次に、本発明の第2の実施の形態について図8および図9を参照して説明する。
【0063】
図8および図9に示すように、第1取付部材71の角筒状部77の上端部77aが円筒状部76の上端部76aと同じ高さ(略同じ高さを含む)に位置する構成でもよい。
【0064】
そして、この構成では、土寄せ体42の非作業状態時には、角筒状部77の全体が支持体41の前方に位置した状態となり、土寄せ体42の外側方への突出量が減少するため、第1の実施の形態に比べて、安全性の向上およびコンパクト化をより一層図ることができる。
【0065】
次に、本発明の第3の実施の形態について図10および図11を参照して説明する。
【0066】
図10および図11に示すように、作業状態と非作業状態とで土寄せ体42の支持体41に対する前後位置が異なる構成でもよい。すなわち例えば、非作業状態の土寄せ体42が、作業状態の土寄せ体42よりも後方に位置する構成でもよい。
【0067】
また、この支持体41は、それぞれ別個の2つの固定孔部61,62を有しておらず、作業用および非作業用を兼ねた1つの固定孔部101を有している。さらに、この支持体41の作業用係合孔部63は、2つの作業用孔部分63aからなるものではなく、1つの作業用孔部分63aのみからなるものである。同様に、支持体41の非作業用係合孔部64は、2つの非作業用孔部分64aからなるものではなく、1つの非作業用孔部分64aのみからなるものである。
【0068】
さらに、第1取付部材71の上下2つの突出板部79は、前後に位置が異なっており、これら前後に位置が異なる各突出板部79に位置決めピン80aが固着されている。つまり、土寄せ体42は、前後2本の位置決めピン80aを有している。また、支持体41の円筒状部51の上部には、後側の位置決めピン80aを逃して土寄せ体42を作業状態よりも後方の非作業状態に設定可能にするための切欠部100が形成されている。
【0069】
そして、この構成では、土寄せ体42の非作業状態時には、土寄せ体42の作業状態時に比べて土寄せ体42の前方への突出量が減少するため、第1の実施の形態に比べて、安全性の向上およびコンパクト化をより一層図ることができる。
【0070】
次に、本発明の第4の実施の形態について図12および図13を参照して説明する。
【0071】
この第4の実施の形態に係る農作業機1は、上述した第3の実施の形態において、位置決め係合突部80を1本の位置決めピン80aにて構成したものである。このため、支持体41の円筒状部51には板部52とは別の突出板部102が固設され、この突出板部102に1つの非作業用孔部分64aのみからなる非作業用係合孔部64が形成されている。
【0072】
そして、この構成でも、第3の実施の形態と同様、安全性の向上およびコンパクト化をより一層図ることができる。
【0073】
次に、本発明の第5の実施の形態について図14および図15を参照して説明する。
【0074】
図14および図15に示すように、位置決め用の係合突部80および係合孔部63,64に代えて、多角形状、例えば正八角形状の位置決め用板部106および位置決め用孔部107を有する構成でもよい。
【0075】
すなわち、土寄せ体42の第1取付部材71の円筒状部76の外周には、環状で正八角形状の位置決め用板部(一方の多角形嵌合部)106が固設されている。また、支持体41の板部52の第1板53には、位置決め用板部106と嵌脱可能に嵌合する正八角形状の位置決め用孔部(他方の多角形嵌合部)107が形成されている。この位置決め用孔部107は、円筒状部51の前端部に臨んでおり、その中心点Pが回動中心軸線X上に位置している。
【0076】
そして、この構成でも、第1の実施の形態と同様、非作業時に土寄せ体42を内側に傾けた傾斜状の非作業状態に設定できるため、安全性の向上およびコンパクト化を図ることができる。
【0077】
次に、本発明の第6の実施の形態について図16ないし図19を参照して説明する。
【0078】
第6の実施の形態に係る農作業機1は、耕耘体3の耕耘軸26への夾雑物(稈や草等)の巻き付きを防止する左右方向長手状の線状手段である巻付防止線状部材111を備えている。
【0079】
具体的には、この農作業機1では、耕耘体3の耕耘軸26は、左右方向に延びる中空状で丸軸状の軸本体部(パイプ部)26aと、この軸本体部26aの外周面に突設され耕耘爪28を保持する複数の爪ホルダー部26b(27)と、軸本体部26aの左右方向両端部の外周面に突設された対をなす突出板部26cとを有している。複数の爪ホルダー部26bは、軸本体部26aの外周面において、軸本体部26aの一端側から他端側にわたって軸本体部26aを中心とする螺旋方向に互いに間隔をおいて並んでおり、この各爪ホルダー部26bに耕耘爪28がボルト112およびナット113によって脱着可能に取り付けられている。なお、耕耘軸26の軸方向一端部である左端部のスプライン軸部24がチェーンケース部19にボス部25を介して回転可能に取り付けられ、かつ、耕耘軸26の軸方向他端部である右端部の右軸部がブラケット部20にボス部25を介して回転可能に取り付けられている。
【0080】
そして、巻付防止線状部材111は、各耕耘爪28を避けながら耕耘軸26の軸方向(左右方向)に沿って位置(耕耘軸26の軸方向に略沿って位置する場合を含む)するように配設されている。なお、本実施の形態では、巻付防止線状部材111は、複数本、例えば2本だけ、耕耘軸26に設けられているが、2本には限定されず、3本以上でもよく、或いは1本でもよい。また、巻付防止線状部材111は、例えば耕耘軸26よりも少し長い、可撓性を有する金属製の線材からなるものである。
【0081】
各巻付防止線状部材111は、線状部材取付手段115を介して、耕耘体3の耕耘軸26に脱着可能に取り付けられている。この線状部材取付手段115は、図19に示すように、線状部材用孔116およびボルト用孔117が形成された取付板118と、線状部材用孔119およびボルト用孔120が形成された振止板121と、取付板118を耕耘軸26の突出板部26cに取り付けるための板取付ボルト122およびナット部材123と、巻付防止線状部材111を取付板118に取り付けるためのナット124(図19上、左から右へ順に124a,124b,124c,124d,124e)とを有している。なお、振止板121は、ボルト112およびナット113によって耕耘爪28とともに爪ホルダー部26bに取り付けられている。
【0082】
また、ナット部材123は、図18に示すように、板取付ボルト122が螺合された2個のねじ孔126を有する板状のナット部127と、このナット部127に固設された夾雑物切断用の刃部128とにて構成されている。なお、この刃部128は、耕耘軸26とともに回転して夾雑物を切断することによって、ボス部25の周囲に草等の夾雑物が絡み付くのを防止する。
【0083】
そして、耕耘軸26の突出板部26cには板取付ボルト122およびナット部材123によって取付板118が取り付けられ、この取付板118には巻付防止線状部材111の端部がナット124によって取り付けられている。なお、巻付防止線状部材111の端部の外周面にはねじ溝129が形成され、このねじ溝129にナット124が螺合されている。複数個のナット124のうちナット124bのみが巻付防止線状部材111に溶接によって固着されている(図19参照)。なお、ねじ溝129の部分およびナット124bに代えて、ボルトを巻付防止線状部材111の端部に溶接等で固着するようにしてもよい。
【0084】
ここで、図17に示すように、平面視で、土寄せ体42のサイドディスク73の作用ライン(ディスク作用ライン)Lと、耕耘軸26の軸本体部26aの前端との交点P1が、最外端の爪ホルダー部26bよりも内側に位置している。また、平面視で、土寄せ体42のサイドディスク73の作用ラインLと、最前端に位置した状態の巻付防止線状部材111の前端との交点P2が、当該巻付防止線状部材111の端縁111aよりも内側に位置している。
【0085】
なお、作用ラインLは、作業状態の土寄せ体42のサイドディスク73の外周端と圃場面(地面)Hとの2つの交点A、Bを結んで延長した線であり、平面視で後端ほど内側に位置するように前後方向に対して所定傾斜α(例えば25度)をもって傾斜している。
【0086】
そして、この農作業機1によれば、安全性の向上およびコンパクト化を図ることができるばかりでなく、平面視でサイドディスク73の作用ラインLと軸本体部26aとの交点P1が最外端の爪ホルダー部26bよりも内側に位置するため、サイドディスク73によって移動した土を耕耘爪28で確実に耕耘でき、また、平面視でサイドディスク73の作用ラインLと最前端に位置した状態の巻付防止線状部材111との交点P2が当該巻付防止線状部材111の端縁111aよりも内側に位置するため、サイドディスク73によって夾雑物が内側に移動しても巻付防止線状部材111で夾雑物の巻き付きを確実に防止できる。
【0087】
なお、上記したいずれの実施の形態においても、農作業機1は、左側端部のみに土寄せ手段6を有する構成には限定されず、例えば右側端部のみに土寄せ手段6を有する構成や、左右の両側端部に土寄せ手段6を有する構成でもよい。
【0088】
また、例えば回り止め用の位置決めピンを支持体41に設け、その位置決めピンと係合する位置決め用の係合孔部(作業用係合孔部および非作業用係合孔部)を土寄せ体42を設けた構成等でもよい。
【0089】
なお、本発明のいくつかの実施の形態およびその変形例について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、前記各実施の形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0090】
1 農作業機
3 耕耘体
4 整地体
6 土寄せ手段
26a 軸本体部
26b 爪ホルダー部
28 耕耘爪
41 支持体
42 土寄せ体
42a 作業面
43 固定ピン
61,81 作業用固定孔部
62,82 非作業用固定孔部
63 作業用係合部である作業用係合孔部
63a 作業用孔部分
64 非作業用係合部である非作業用係合孔部
64a 非作業用孔部分
73 サイドディスク
80 位置決め係合部である位置決め係合突部
80a 位置決めピン
111 巻付防止線状部材
L 作用ライン
P1,P2 交点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
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図19