【実施例】
【0016】
図1はスライド式教具2を示し、この明細書では、
図1の左下に示すように上下左右の方向を定める。またスライド式教具2は、
図1に現れる面(上面)を上にして使用する。図において、4は左右に長い横長のケースで、中央の溝10を四方の縁5〜8が囲っている。ケース4の材質は任意であるが、好ましくはプラスチック製である。溝10の上側の縁5は下側の縁6よりも幅広で、縁5の表面にプラスチック等のシール9(目盛)が着脱自在に貼られ、例えば1から10の数字を表示している。なお下側の縁6にシール9を貼っても、あるいは上下の縁5,6の双方にシール9貼っても良い。またシール9を貼る側の縁は、貼らない側の縁よりも上下の幅が大きいことが好ましい。
【0017】
なお実施例では、一例として、目盛に着脱自在に貼り付けるシール9を用いているが、それ以外に、目盛全体を着脱自在なプラスチック板などとしても良い。このとき、例えば溝10に面した縁5全体を取り換える、あるいは数のある部分を取り換え可能としても良い。
【0018】
溝10には、平面視で長方形〜正方形のスライド式タイル11が10個収容され、溝10内をスライド自在である。また溝10の左右方向の長さは、タイル11の10個分の長さよりも長く、実施例ではタイル11の長さで3〜6個分だけ長い。ただしどの程度長くするかは任意である。シール9は溝10の左端から中央を越えて貼られ、シール9に面していないタイル11は溝10の右側にある。なおシール9を溝10の右端から中央を越えて配置し、シール9の右端で1、シール9の左端で10と表示しても良い。
【0019】
目盛の有る部分のタイルに目盛のない部分のタイルを一緒にして、足し算する。また目盛のある部分のタイルから一部を取り出し右側へ移すことにより、引き算する。例えばタイル3個とタイル2個で、 3+2=5 であり、タイル5個からタイル1個を除くと、 5−1=4 である。 2個ずつのタイルが2組で、 2+2=4 あるいは
2×2=4 である。
【0020】
タイル11は例えばプラスチック製で、タイル11は溝10に対し例えば着脱自在でかつスライド自在である。ストッパ12は縁7に着脱自在に係合し、ストッパ12をセットするとタイル11は溝10から抜け落ちず、ストッパ12を外すと、タイル11を溝10から取り出すことができる。なお、縁5にシール9を貼る場合、シール9の表示を見やすくするため、タイル11の上面に対し、シール9の上面が同じかやや高い位置にあることが好ましい。
【0021】
なお縁7を2個連結できるようにしても良い。例えばストッパ12を縁7の左右両端に設け、かつ縁7の左下部と右下部を着脱自在にする。すると縁7を2個連結できる。そして1から溝10のタイル11の収容能力までの目盛りを表すシール9と、収容能力+1から20までの目盛りを表すシール9’を用意する。すると縁7を2個連結することにより、20個のタイル11を用い、 7+5 等の繰り上がり、 12−5 等の繰り下がりを学習できる。
【0022】
図2は、シール9の表示とタイル11への表示の例を示す。
図2A)ではタイル11に具体的な物(ここではカブト虫)を表示し、虫の数など具体的な物の数を数える。B)ではタイル11に数10を表示し、シール9には10,20,30,…,100のように表示し、10の倍数に慣れるようにする。C)では、シール9もタイル11も、表示は3が単位で、3の倍数に慣れ、九九の三の段に慣れるようにする。D)ではタイル11に5円玉を表示し、シール9にも5円単位での数を表示する。
【0023】
なお、目盛に着脱可能なプラスチック板などを用いる場合も同様に、タイル11と対応するようにプラスチック板にシール9を貼り付けるようにする。あるいは、予め数字を印字した複数の種類のプラスチック板を用意しておき、使用するタイル11の種類に応じて着脱するようにしても良い。
【0024】
タイル11に色々な表示をし、タイル11を溝10から着脱自在にし、かつタイル11の表示を変更可能にすることが好ましい。このため
図3に示すように、タイル11の上面にプラスチックのシール21を粘着層22により着脱自在に貼り付ける。またシール9の表示を変更可能にするため、シール9を粘着層30により縁5に着脱自在にする(
図3の左上参照)。なおこのような粘着層自体は公知である。
【0025】
溝10内にタイル11を置いたままで、シール21を交換することは難しい。そこでストッパ12を外し、タイル11を溝10から取り出す。そしてシール21を交換した後溝10に戻し、ストッパ12を縁7に固定する。このようにすると、1個のケース4と1組10個のタイル11を用い、表示を多様に変更できる。なおタイル11の表示を変更不能にし、複数組のタイル11を用いても良い。
【0026】
スライド式教具2では、タイル11を左右に滑らかにスライドさせることが重要である。子供達は物を弾くことが好きである。この発明では、タイル11を弾きながら、数の感覚を養う。このため、タイル11を滑らかにスライドさせる機構が必要である。なお特許文献2では、タイルに磁石を、ケースに鉄板を埋め込み、タイルを動きにくくする。この発明では、このような考え方は採らない。
【0027】
図3に示すように、溝10の上下(
図1の方向での上下)に一対の長溝25を設け、タイル11の上下(
図1の方向での上下)にも一対の突起24を設け、突起24の底部を長溝25の底部のガイド面26(レール)により支持する。また溝10の底面28はタイル11の底面よりも低い位置に配置し、この間に隙間を設け、埃、砂などが侵入しても、タイル11がスライドできるようにする。タイル11の両側を幅の狭いガイド面26により支持するため、タイル11は滑らかにスライドする。そして一対の突起24によりタイル11の脱落を防止する。なお
図3とは溝と突起の配置を逆にし、タイル11の上下(
図1の方向での上下)に溝を設け、溝10の上下に長い突起(レール)を設け、この突起によりタイル11の溝の底部を支持しても良い。
【0028】
図4は変形例のスライド機構を示し、特に指摘する点以外は実施例と同様である。42は新たなスライド式教具、44はケース、45はタイルである。ケース44の底面中央部からレール46を起立させ、タイル45の底部の溝47を支持する。この例では、溝25と突起24の他に、レール46と溝47が必要である。
【0029】
図5は第2の変形例でのスライド機構を示し、特に指摘する点以外は実施例と同様である。52は新たなスライド式教具で、下部ケース54と上部ケース55を備え、これらの間の隙間にローラ56の軸を配置する。ローラ56は溝10の全長に沿って配置し、軸の向きは溝10の長手方向に直角で、ローラウェイを構成し、タイル11をスライドさせる。ローラ56の直径により教具52は肉厚になりやすいので、タイル58をタイル11よりも薄くする。タイル58は、
図3,
図4の摺動ではなく、ローラ56の回転によりスライドする。このためタイル58は滑らかにスライドするが、ローラ56のため教具52の構造が複雑になる。
【0030】
図1〜
図5の実施例と変形例は、1から10までの数、あるいはその倍数に習熟することを目的としている。
図6の変形例のスライド式教具62では、
図1のスライド式教具2を上下10段に配置する。これにより1〜100の数を扱えるが、教具62の持ち運びが不便になる。なお
図1〜
図5のスライド式教具と、
図6のスライド式教具62の折衷案として、
図1のスライド式教具2を上下2段に配置し、1〜20の数を扱えるようにしても良い。