特許第6871589号(P6871589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871589アスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871589
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】アスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 95/00 20060101AFI20210426BHJP
   C08L 91/00 20060101ALI20210426BHJP
   C08L 21/02 20060101ALI20210426BHJP
   C08K 5/101 20060101ALI20210426BHJP
   C08K 5/20 20060101ALI20210426BHJP
   C08K 5/42 20060101ALI20210426BHJP
   C08K 5/13 20060101ALI20210426BHJP
   C10C 3/00 20060101ALN20210426BHJP
【FI】
   C08L95/00
   C08L91/00
   C08L21/02
   C08K5/101
   C08K5/20
   C08K5/42
   C08K5/13
   !C10C3/00
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-191078(P2016-191078)
(22)【出願日】2016年9月29日
(65)【公開番号】特開2018-53116(P2018-53116A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】510021764
【氏名又は名称】株式会社共創
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(72)【発明者】
【氏名】永澤 利明
(72)【発明者】
【氏名】竹中 繁夫
(72)【発明者】
【氏名】田島 英俊
【審査官】 藤本 保
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−054865(JP,A)
【文献】 特開2001−081280(JP,A)
【文献】 特開2005−082615(JP,A)
【文献】 特開昭61−243860(JP,A)
【文献】 特開平06−016946(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L95/00
C08L91/00
C08L21/02
C08K3/00−13/08
C10C3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)中東系原油および/またはナフテン系原油の減圧蒸留油を溶剤精製または水素化精製して得られる、60℃における動粘度10〜600mm/sの石油系鉱油、を基材として
(B)合成エステル化合物および/または植物油から得られる脂肪酸エステル30〜90質量%、
(C)両性界面活性剤、非イオン界面活性剤または、油溶性の金属スルフォネート、フェネート、サリシレート、もしくは、コハク酸イミドおよびその誘導体から選ばれる界面活性剤1〜10質量%、
(D)合成ゴムの乳化物および/または天然に採取されるゴム乳化物1〜10質量%、
を混合して得られるアスファルト再生添加剤であって、
多環芳香族分3質量%以下、引火点250℃以上、60℃における動粘度80〜500mm/s、芳香族分15質量%以下、アニリン点85℃以下、流動点−15以下の性状を有することを特徴とするアスファルト再生添加剤。
【請求項2】
前記(B)成分が、
(b−1)60℃動粘度18mm/sまたは21.0mm/sの合成エステル油、
(b−2)60℃動粘度46.2mm/sの大豆油とパーム油との混合物、および
(b−3)食品加工用として使用される大豆油を濾過、白土処理して得られた60℃動粘度22mm/sの再生大豆油、
からなる群から選ばれる少なくとも1つである、
請求項1に記載のアスファルト再生添加剤。
【請求項3】
請求項1または2に記載のアスファルト再生添加剤を含有することを特徴とするアスファルト組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスファルト類の瀝青材料は道路舗装材として広く使用されている。舗装材料としては骨材や各種充填材にアスファルトを適量加熱混合したアスファルト混合物が使用される。舗装材料は経時的に紫外線、酸素、温度によって劣化した結果、アスファルト混合物中のアスファルトの針入度低下、軟化点上昇、粘度上昇が起こる。これはアスファルト混合物中のアスファルトの組成・性状が変化することによるものであり、これにより道路舗装面の亀裂、砕石の飛散等の現象が発生してしまう。
【0003】
このような現象が発生すると、新たなアスファルト混合物を用いて舗装面の改修、敷き直しが必要になり、大量の廃アスファルト混合物が発生する。発生した廃アスファルト混合物は、例えば、洗浄、破砕、粒度調整し、新たなアスファルト混合物と混合し舗装材として使用されており、例えば、特許文献1〜5に示すように、劣化アスファルトの組成・性状を回復させるために再生添加剤が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−154466号公報
【特許文献2】特開2005−155469号公報
【特許文献3】特開2006−233130号公報
【特許文献4】特開2009−221381号公報
【特許文献5】特開2013−155345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、劣化が軽度な廃アスファルトについては、例えば、5〜10質量%程度の再生添加剤を添加することにより、その組成・性状を回復(再生)させることは可能である。しかし、極度に劣化した廃アスファルトについては、例えば、15質量%以上のように多量の再生添加剤を添加することが必要となる。針入度、軟化点回復のために多量の再生添加剤を添加されたアスファルトで製造されたアスファルト混合物は、動的安定度の低下等、道路舗装材としての性能に影響を及ぼすことが懸念され、また、アスファルト混合物のコストアップに繋がる。これらの問題を解決するためには針入度、軟化点に対して再生効果の高い再生添加剤の開発が必要になる。
【0006】
さらに、アスファルト混合物の性能としては、圧裂強度と荷重変位量から求められる圧裂係数の標準化が注目されている。このような状況を総合的に解決するためには、従来の再生添加剤としての性能にとらわれることなく、劣化したアスファルト成分の樹脂分と硬化および粗粒化したアスファルテンの分散性の高い添加剤による針入度、軟化点などの再生効果に加え、圧裂係数の改善効果に優れた再生添加剤の開発が求められている。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、従来のものと比較し、貯蔵・取扱い安全性、環境安全性はもとより、改質アスファルトが混入した劣化アスファルトや極度に劣化したアスファルトに対しての再生効果を向上させることにより、アスファルト舗装廃材の活用を推進し、省資源化を可能にするアスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者等はこのような状況下で、前記目標を達成するため鋭意研究を重ねた結果、社団法人日本道路協会による「再生用添加剤の標準的性状」の60℃動粘度、引火点、薄膜加熱試験後の粘度比、質量変化率が範囲内であることはもとより、冬季・寒冷地での取り扱いを考慮して60℃動粘度については「再生用添加剤の標準的性状」の範囲内で低いレベルにあること、且つ、芳香族分特に、多環芳香族分が3.0質量%以下であり、作業環境安全性に優れたことを特徴とした再生添加剤を見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点にかかるアスファルト再生添加剤は、
(A)中東系原油および/またはナフテン系原油の減圧蒸留油を溶剤精製または水素化精製して得られる、60℃における動粘度10〜600mm/sの石油系鉱油、を基材として
(B)合成エステル化合物および/または植物油から得られる脂肪酸エステル30〜90質量%、
(C)両性界面活性剤、非イオン界面活性剤または、油溶性の金属スルフォネート、フェネート、サリシレート、もしくは、コハク酸イミドおよびその誘導体から選ばれる界面活性剤1〜10質量%、
(D)合成ゴムの乳化物および/または天然に採取されるゴム乳化物1〜10質量%、
を混合して得られるアスファルト再生添加剤であって、
多環芳香族分3質量%以下、引火点250℃以上、60℃における動粘度80〜500mm/s、芳香族分15質量%以下、アニリン点85℃以下、流動点−15以下の性状を有することを特徴とする。
前記(B)成分が、
(b−1)60℃動粘度18mm/sまたは21.0mm/sの合成エステル油、
(b−2)60℃動粘度46.2mm/sの大豆油とパーム油との混合物、および
(b−3)食品加工用として使用される大豆油を濾過、白土処理して得られた60℃動粘度22mm/sの再生大豆油、
からなる群から選ばれる少なくとも1つである、と好ましい。
【0010】
本発明の第2の観点にかかるアスファルト組成物は、
本発明の第1の観点にかかるアスファルト再生添加剤を含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、従来のものと比較し、貯蔵・取扱い安全性、環境安全性はもとより、改質アスファルトが混入した劣化アスファルトや極度に劣化したアスファルトに対しての再生効果を向上させることにより、アスファルト舗装廃材の活用を推進し、省資源化を可能にするアスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のアスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物について詳述する。
【0013】
本発明のアスファルト再生添加剤は、
(A)中東系原油および/またはナフテン系原油の減圧蒸留油を溶剤精製または水素化精製して得られる、60℃における動粘度10〜600mm/sの石油系鉱油10〜70質量%、
(B)合成エステル化合物および/または植物油から得られる脂肪酸エステル30〜90質量%、
(C)両性界面活性剤、非イオン界面活性剤または、油溶性の金属スルフォネート、フェネート、サリシレート、もしくは、コハク酸イミドおよびその誘導体から選ばれる界面活性剤1〜10質量%、
(D)合成ゴムの乳化物および/または天然に採取されるゴム乳化物1〜10質量%、
を混合して得られ、
多環芳香族分3質量%以下、引火点250℃以上、60℃における動粘度80〜500mm/s、芳香族分15質量%以下、アニリン点85℃以下、流動点−15以下である。
【0014】
本発明のアスファルト再生添加剤における(A)成分は、中東系原油および/またはナフテン系原油の減圧蒸留留出油を溶剤精製または水素化精製して得られる、60℃における動粘度(以下、60℃動粘度という。)が10〜600mm/sの留分を混合した石油系鉱油である。
【0015】
(A)成分の石油系鉱油は、中東系原油および/またはナフテン系原油を常圧蒸留して得られる残渣油を減圧蒸留して留出する潤滑油留分を溶剤精製または水素化精製して得られる石油系鉱油である。
溶剤精製は、上記潤滑油留分を、ケトン類、フルフラール等の芳香族抽出溶剤に接触させることにより行われる。
水素化精製は、上記潤滑油留分を、水素化触媒の存在下、水素化処理条件下で水素と接触させることにより行われる。水素化精製触媒としては、コバルト、モリブデン、ニッケル、クロム、タングステン、白金、パラジウム等の酸化物および/または硫化物、あるいはさらに還元ニッケル等の水素化活性成分をアルミナ、シリカ−アルミナ等の無機酸化物に担持したものが用いられる。
【0016】
(A)成分の石油系鉱油の60℃動粘度は10〜600mm/sである。
【0017】
本発明のアスファルト再生添加剤における(A)成分の配合割合は、添加剤全量基準で10〜70質量%であり、好ましくは10〜50質量%であり、より好ましくは10〜40質量%である。
【0018】
本発明のアスファルト再生添加剤における(B)成分は、合成エステル化合物および/または植物油から得られる脂肪酸エステルである。
【0019】
(B)成分の合成エステル化合物としては、ラウリン酸メチル、ステアリン酸メチル、オレイン酸メチル、ラウリン酸ブチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸オクチル、オレイン酸オクチル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミスチリン酸セシル、ステアリン酸ステアリル等から選ばれるものが挙げられる。
【0020】
また、(B)成分の植物油から得られる脂肪酸エステルとしては、菜種油、綿実油、大豆油、ゴマ油、パーム油等のオレイン酸、リノール酸、リノレン酸を含有する成分から得られる脂肪酸エステルなどが挙げられる。
【0021】
このように、(A)成分の特殊精製鉱油と(B)成分の合成および/または天然の脂肪酸エステルとを混合することにより、極度に劣化した廃アスファルトや改質アスファルトが混入した廃アスファルトとの相互溶解性を向上させ、再生性能を高めることができる。再生効果の向上により、添加剤の削減が図れ、経済的に優位なばかりではなく、製造したアスファルト合材の性能回復に効果がある。
【0022】
一般に石油系鉱油は粘度が低下すると引火点も低下する傾向があるが、本発明においては低引火点成分である軽質分を除去した分子量分布の狭い精製鉱油((A)成分)を基材とするとともに、低粘度で高引火点の合成および/または天然の脂肪酸エステル((B)成分)を基材とすることにより粘度および引火点の低下を防止した。
【0023】
本発明のアスファルト再生添加剤における(B)成分の配合割合は、添加剤全量基準で30〜90質量%であり、好ましくは50〜90質量%であり、より好ましくは70〜90質量%である。(B)成分の配合割合が30質量%未満の場合は廃アスファルトとの相互溶解性が低下するおそれがあるためである。一方、90質量%より多い場合は(C)成分の界面活性剤の混合安定性が低下するおそれがあるためである。
【0024】
本発明のアスファルト再生添加剤における(C)成分は、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤または、油溶性の金属スルフォネート、フェネート、サリシレート、もしくは、コハク酸イミドおよびその誘導体から選ばれる界面活性剤である。
【0025】
(C)成分の両性界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン等が挙げられる。
【0026】
(C)成分の非イオン界面活性剤としては、ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド 、ステアリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸グリセリン 、モノステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0027】
このように、(C)成分の界面活性剤を加えることにより、アスファルト混合物中の砕石とアスファルトの剥離防止性能を向上させ、且つ、(D)成分のゴム乳化物を(A)成分の特殊精製鉱油に十分に分散させることができる。
【0028】
本発明のアスファルト再生添加剤における(C)成分の配合割合は、添加剤全量基準で1〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。(C)成分の配合割合が1質量%未満の場合は砕石とアスファルトの剥離防止性能が低下するおそれがあるためである。また、(D)成分のゴム乳化物の分散性が低下するおそれがあるためである。
【0029】
本発明のアスファルト再生添加剤における(D)成分は、合成ゴムの乳化物および/または天然に採取されるゴム乳化物である。
【0030】
(D)成分の合成ゴムの乳化物としては、クロロプレンゴム、ポリサルファイドゴム、スチレン−ブタジェンゴム、ブタジェンゴム等の乳化物が挙げられる。天然に採取されるゴム乳化物は、その固形分が30〜50質量%のものを使用することが好ましい。
【0031】
本発明のアスファルト再生添加剤における(D)成分の配合割合は、添加剤全量基準で1〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。
【0032】
本発明のアスファルト再生添加剤は、前記(A)〜(D)成分を混合することによって得られ、多環芳香族分3質量%以下、引火点250℃以上、60℃動粘度80〜500mm/s、芳香族分15質量%以下、アニリン点85℃以下、流動点−15以下の性状を有するものである。
【0033】
本発明のアスファルト再生添加剤の多環芳香族分は3質量%以下である。多環芳香族分は3質量%を超えると作業環境安全性の観点から好ましくないためである。
【0034】
本発明のアスファルト再生添加剤の引火点は250℃以上であり、好ましくは255℃以上であり、より好ましくは260℃以上である。一般に石油系鉱油は粘度が低下すると引火点も低下する傾向であるが、本発明においては、(A)成分を基材とし、さらに低粘度で高引火点の(B)成分、脂肪酸エステルを最適に配合することにより、引火点を250℃以上にすることを実現させたものである。
【0035】
本発明のアスファルト再生添加剤の60℃動粘度は80〜500mm/sであり、好ましくは80〜400mm/sであり、より好ましくは80〜300mm/sである。
【0036】
本発明のアスファルト再生添加剤の芳香族分は15質量%以下である。芳香族分が15質量%を超えると多環芳香族分を3質量%以下にすることが困難であり、環境安全性の問題が生じるおそれがあるためである。
【0037】
本発明のアスファルト再生添加剤のアニリン点は85℃以下である。一般にアニリン点を低下させるためには、芳香族分含量が20質量%を超えることになり、多環芳香族分を3質量%以下にすることが困難であり、環境安全性の問題が生じるおそれがあるためである。この問題を解決するため、本発明においては、(A)成分を基材とし、低粘度で高引火点の(B)成分、脂肪酸エステルを最適に配合することにより、多環芳香族分を3質量%以下であるにもかかわらず、アニリン点85℃以下とすることを実現したものである。このように、アニリン点を85℃以下にすることにより、極度に劣化した廃アスファルトや改質アスファルトが混入した廃アスファルトとの相互溶解性を向上させ、再生性能を高めることができ、再生効果の向上により、添加剤の削減が図れ、経済的に優位なばかりではなく、製造したアスファルト合材の動的安定度の低下を防止することができる。
【0038】
このようなアスファルト再生添加剤を廃アスファルト混合物に添加することにより、劣化した廃アスファルト混合物中のアスファルトの針入度、軟化点を回復させ、且つ、アスファルト混合物の圧裂係数を改善する。本発明の添加剤は、舗装材から回収された廃アスファルトおよび廃アスファルト混合物の再生に供される。この廃アスファルト舗装材中のアスファルトは、近年、極度に劣化した再生材や再再生材を使用したものであり、廃ポリマー改質アスファルト混合物が混入しているため、新アスファルトと比較し大幅に針入度が低下し、軟化点が上昇している。その結果として圧裂係数が上昇し、舗装剤の脆性低下に繋がっている。従来の再生添加剤は、一般に、廃アスファルトの針入度が20以上に適しており、20以下では、廃アスファルトに対しての添加量10質量%以上となり、アスファルト混合物としての性能が低下することになる。しかし、本発明の添加剤は、針入度20以上はもとより、針入度20以下の廃アスファルトの再生を可能とし、更に、圧裂係数の低減を図り、アスファルト混合物の総合的性能の回復を可能とする。
【0039】
なお、動粘度、引火点、芳香族分(組成)、多環芳香族分、針入度、軟化点、アニリン点、流動点、薄膜加熱試験については、それぞれJISK-2283、JISK-2265、JPI-5S-22-83、IP346/92、JISK-2207、JISK-2207、JISK-2256、JISK-2269、およびJISK-2207に準拠し測定したものである。
【実施例】
【0040】
以下、本発明の具体的な実施例、比較例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。また、本例では、以下のような実施例1〜5、比較例1及び比較例2のアスファルト再生添加剤を用い、60℃動粘度、引火点、針入度、軟化点、圧裂強度、変位量を測定した。また、測定した圧裂強度、変位量を用いて圧裂係数を算出した。
【0041】
(実施例1)
(a−1)中東系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに30〜100mmHgの減圧下で減圧蒸留し、水素化精製した鉱油が5質量%、(a−2)ナフテン系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、残渣油をフルフラール処理した鉱油が15質量%、(b−1)60℃動粘度21.0mm/sの合成エステル油が74質量%、(c−1)非イオン界面活性剤が3質量%、(d−1)スチレン−ブタジエンゴムの乳化物が3質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は220mm/s、引火点は266℃であった。なお、実施例1〜5では、多環芳香族分は3質量%以下、芳香族分は15質量%以下、アニリン点は85℃以下、流動点は−15以下であった。
【0042】
(実施例2)
(a−2)ナフテン系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、残渣油をフルフラール処理した鉱油が20質量%、(b−2)60℃動粘度46.2mm/sの大豆油とパーム油との混合物が75質量%、(c−3)カルシウム(Ca)スルフォネートが2.5質量%、(d−2)天然に得られたゴム乳化物が2.5質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は290mm/s、引火点は271℃であった。
【0043】
(実施例3)
(a−1)中東系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに30〜100mmHgの減圧下で減圧蒸留し、水素化精製された鉱油が5質量%、(a−2)ナフテン系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、残渣油をフルフラール処理した鉱油が20質量%、(b−1)60℃動粘度18mm/sの合成エステル油が62質量%、(c−1)非イオン界面活性剤が3質量%、(d−3)ブタジェンゴムの乳化物が10質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は180mm/s、引火点は255℃であった。
【0044】
(実施例4)
(a−2)ナフテン系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、残渣油をフルフラール処理した鉱油が19質量%、(b−3)食品加工用として使用される大豆油を濾過、白土処理して得られた60℃動粘度22mm/sの再生大豆油が73質量%、(c−2)両性界面活性剤が3質量%、(d−3)ブタジエンゴムの乳化物が5質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は180mm/s、引火点は265℃であった。
【0045】
(実施例5)
(a−1)中東系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに30〜100mmHgの減圧下で減圧蒸留し、水素化精製した鉱油が44質量%、(a−2)ナフテン系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、残渣油をフルフラール処理した鉱油が21質量%、(b−1)60℃動粘度18mm/sの合成エステル油が30質量%、(c−2)両性界面活性剤が2.5質量%、(d−2)天然に得られたゴム乳化物が2.5質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は230mm/s、引火点は268℃であった。
【0046】
このように製造された実施例1〜5のアスファルト再生添加剤について、社団法人日本道路協会が定めた「再生用添加剤の標準的性状」に合致しているか否かを確認したところ、社団法人日本道路協会が定めた「再生用添加剤の標準的性状」に合致していることを確認した。
【0047】
(比較例1)
(a−1)中東系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに30〜100mmHgの減圧下で減圧蒸留し、水素化精製した鉱油が68.0質量%、(a−2)ナフテン系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、残渣油をフルフラール処理した鉱油が32.0質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は215mm/s、引火点は265℃であった。
【0048】
(比較例2)
(a−1)中東系原油を常圧蒸留して得られた沸点350℃以上の常圧残渣油をさらに50〜150mmHgの減圧下で減圧蒸留し、水素化精製処理した鉱油が20.0質量%、(b−3)食品加工用として使用された大豆油を濾過、白土処理して得られた60℃動粘度22mm/sの再生大豆油が80.0質量%となるように混合した。混合した製造物の60℃動粘度は180mm/s、引火点は270℃であった。
【0049】
実施例1〜5および比較例1〜2で製造したアスファルト再生添加剤を、廃アスファルト混合物を溶剤回収して得られた針入度18、軟化点68℃のアスファルトに7質量%添加した場合の針入度、軟化点を測定した。その結果を表1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
実施例1〜5および比較例1〜2で製造したアスファルト再生添加剤を、廃アスファルト混合物を溶剤回収して得られた、針入度18、軟化点68℃のアスファルトに7質量%添加したアスファルト50質量%と、60−80ストレートアスファルト50質量%とを混合し、密粒度アスファルト混合物を製造した。なお、製造した密粒度アスファルト混合物中のアスファルト含有量は5.6質量%であった。このアスファルト混合物によりマーシャル供試体を作成し、圧裂強度、変位量を測定して圧裂係数を算出した。結果を表2に示す。
【0052】
【表2】
【0053】
実施例1〜5および比較例1〜2で製造したアスファルト再生添加剤を、廃アスファルト混合物を溶剤回収して得られた、針入度18、軟化点68℃のアスファルトに10質量%添加したアスファルト70質量%と、60−80ストレートアスファルト30質量%とを混合し、密粒度アスファルト混合物を製造した。なお、製造した密粒度アスファルト混合物中のアスファルト含有量は5.6質量%であった。このアスファルト混合物によりマーシャル供試体を作成し、圧裂強度、変位量を測定して圧裂係数を算出した。結果を表3に示す。
【0054】
【表3】
【0055】
表1に示すように、比較例1〜2のアスファルト再生添加剤と比較して、針入度および軟化点の回復効果が大きく、再生能力が優れていることが確認できた。さらに、表2及び表3に示すように、マーシャル供試体による圧裂係数の測定結果では、実施例1〜5のアスファルト再生添加剤の場合、圧裂係数が0.77〜0.88MPa/mmであるのに対して、比較例1、2のアスファルト再生添加剤の場合、圧裂係数が添加量1.05〜1.22MPa/mm%であり、圧裂係数についての改善効果が大きいことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、アスファルト再生添加剤及びこれを含有するアスファルト組成物に有用である。