(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図に従って、本発明の二重ねじ構成体の各実施の形態について説明を行う。
図1は二重ねじ構成体の実施の形態を示し、
図1(a)は正面図、
図1(b)は側面図である。
【0019】
[二重ねじ構成体1]
以下、最初に本発明の二重ねじ構成体の概要を説明する。二重ねじ構成体1は、ねじ軸3の外周に、断面形状が台形のねじ山を有し、本例では、呼び径に対応して規格化された標準的なピッチP(=リードL
1)で、本例では、ねじ山角度が30度のメートル台形ねじである第1ねじ(S1)が形成されている。但し、このねじ山角度は29度でもよい。第1ねじ(S1)のねじ山に、この台形ねじのピッチPの所定の倍数(n)倍のリードL
n(=n*P)を有したねじである第2ねじ(S2)が形成されている。この第2ねじ(S2)は、第1ねじ(S1)のねじ山に連続的に、かつ螺旋状に形成され、ねじ山角度が30度の台形ねじ(ねじ山とねじ溝)である。また、第2ねじ(S2)の螺旋方向は、第1ねじ(S1)のねじ山と同一のねじれ方向であり、かつ、ねじ山のピッチ(P)の倍数(n)のリード(nP)を有する1条のねじ、又は多条のねじである。ただし、正確には、第2ねじ(S2)は、元々の多条ねじの条数より1条以上少ないねじである。即ち、元来の多条ねじから、その多条ねじの条数から1条以上を抜いたねじである(「新多条ねじ」ともいう。)。なお、元来の多条ねじの条数から1条以上を抜いたねじであるが、抜いた条数によっては多条ねじではなく、結果としては1条ねじの場合もある。
【0020】
また、第1ねじ(S1)のリードL
1は、第2ねじ(S2)のリードL
nより小さい。この第1ねじ(S1)の形状、ピッチPは、ねじに関する規格(例えば、国際標準機構(ISO))に定められている、本例では工作機械の親ねじ、測定器の測定軸等に使用されている台形ねじの標準的なものである。ただし、第1ねじ(S1)のピッチPは、標準規格と異なるピッチのねじであっても良い。また、
図1では、二重ねじ構成体1について、二重ねじ部及びその近傍のみを図示しているが、この二重ねじ構成体1は、ねじ軸、ボルト(例えば、六角ボルト、六角穴付ボルト、アイボルト、スタッドボルト、アンカーボルト、止めねじ、蝶ボルト、Uボルト、天井ボルト)等に形成されているものである。
【0021】
この二重ねじ構成体1は、例えば、緩み止めのためのダブルナットとして使用する場合、第1ねじ(S1)(台形ねじ)には、雌ねじである第1ナット82(締結用ナット)がねじ込まれ、第2ねじ(S2)には、雌ねじである第2ナット84(緩み防止用ナット)がねじ込まれる(
図11(a)及び(b)参照)。このように構成することで、大きい締め付け力を、第1ねじ(S1)にねじ込まれる第1ナット82で発生させるとともに、緩み防止ナットである第2ナット84により締め付ける。この2つのナットのリード角が互いに異なることで、緩み止めの効果が生じる。即ち、この二重ねじ構成体1は、二重ねじ部2の第1ねじ(S1)にねじ込まれる第1ねじ用の第1ナット82で、被締結体を締め付けることで、ねじ軸3に大きな予張力を与えることができる。この結果、被締結部材86に、軸方向から外力が作用したときにも締結状態を維持することができる。
【0022】
また、本例の第2ねじ(S2)は、第1ねじ(S1)と同じ台形の断面形状のねじ(ねじ山とねじ溝)からなるものであり、かつ細目ねじを採用していない。従って、この二重ねじ構造体1は、従来の細目ねじを有するボルト等に比べ、ねじ山とナットとの間の接触面積を大きくでき、ねじ山の体積も多くなる。このために第2ねじ用ナットに係合する面積を大きくすることができるため、ねじ山の許容せん断破壊応力、許容耐接触面圧を大きくできるので、ねじ部の強度が不足するようなことが生じない。なお、本実施の形態の第2ねじ(S2)は、第1ねじ(S1)のリードの所定倍数以上のリードを有するものがよいが、ダブルナットとして実際に一般的な金属素材で使用することを考慮すると、4倍リード以下のねじが良い。理由は、第2ねじ(S2)にねじ込まれるナットは、リードを大きくすると、そのねじ山が少なくとも1周以上必要であり、ナットの軸線方向の長さが長くなってしまう。このため、タップでナットを製作するとき、加工が困難となるため4倍リード以下であるものが好ましい。
【0023】
既述したように、本発明の第1ねじ(S1)の実施の形態は、台形ねじである。第2ねじ(S2)は、元々の多条ねじの条数より1条以上少ないねじである。本発明者等は、台形ねじ(第1ねじ(S1))を基本として、これに形成される第2ねじ(S2)(多条ねじ)から、1条以上を抜いて、その条数を少なくした二重ねじ構成体1について、鋭意、研究開発を重ねた。この結果、二重ねじ部2の強度向上と、緩み止め効果の両方を兼ね備えた本発明の二重ねじ構成体を見出したものである。以下、本発明の二重ねじ構成体1について、二重ねじ部2として、好適な第1ねじ(S1)と第2ねじ(S2)の組み合わせ毎に詳細な説明を行う。
【0024】
[実施の形態1]
[台形ねじと「3倍リード2条ねじ」とからなる二重ねじ構成体]
以下、
図2で具体的に説明する。この
図2に示す実施の形態1の二重ねじ構成体は、ねじ軸3の二重ねじ部2に、台形のねじ山とねじ溝からなる第1ねじ(S1)が形成されている。このねじ山は、ISO(the International Organization for Standardization)に規定されている標準の「メートル台形ねじ」であり、ねじ山の断面形状が台形の第1ねじ(S1)が形成されている。第1ねじ(S1)には、通常の台形ねじ用の雌ねじであるナットがねじ込まれる。また、第1ねじ(S1)のねじ山(台形)には、このねじ山を削る(除肉する)かのように、第2ねじ(S2)が形成されている。この第2ねじ(S2)は、特殊なものであり、3条のねじから1条を抜いて、この抜いた条数のねじ(ねじ山とねじ溝)を形成しないものである。即ち、本例では、元々の条数が3条のねじから、1条抜いたものである(以下、「3倍リード2条ねじ」という。)。
【0025】
図2は、実施の形態1の二重ねじ構成体10(「3倍リード2条ねじ」)の構成を説明するために、ねじ軸3の中心線を通る平面で切った断面図であり、
図2(a)は、二重ねじ構成体10の「0°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示し、
図2(b)は、「90°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示している。
図2(a)及び(b)に示す二重ねじ構成体10は、台形ねじである第1ねじ(S1)、及び、同じ台形ねじを基準山形とする第2ねじ(S2)が形成されている。第2ねじ(S2)は、本例では元来の3条ねじから1条抜いた2条のねじである(「3倍リード2条ねじ」と称する。)。第1ねじ(S1)は、本例では規格化されたピッチP(リードL
1=P)の台形ねじである。第2ねじ(S2)は、この台形ねじのピッチPの3倍(整数倍)のリードL
3(=3P)を有する2条のねじである。この2条のねじである第2ねじ(S2)は、元々の3条ねじ(以下、「周知の3条ねじ」と称する。)から1条少なくした(1条抜いた)2条のねじが、第1ねじ(S1)のねじ山に形成されたものである。
【0026】
第1ねじ(S1)である台形ねじは、ピッチPとリードL
1が同一の1条ねじであり、つる巻き線h
1に沿って、ねじ溝g
0、及び、ねじ山r(ハッチング部分)が、一定ピッチで形成されている。第2ねじ(S2)である「3倍リード2条ねじ」(
図2のグレー部分は、これにねじ込まれるナットを意味する。)は、リードL
3(=3P)のねじであり、つる巻き線h
3に沿って、2条のねじ溝g
1、g
2が形成されている。なお、この実施の形態1の説明では、説明の都合上、台形ねじのねじ溝g
0の断面形状と、「3倍リード2条ねじ」のねじ溝g
1、g
2の断面形状とが重なる角度位置を、
図2(a)の「0°角度位置」として説明を行っている。
【0027】
図2(a)及び(b)において、第1ねじ(台形ねじ)S1は、輪郭線(実線)Q1で示されたピッチP(=リードL
1)の第1ねじ山rの断面形状が、台形のねじである。「3倍リード2条ねじ」の第2ねじ(S2)は、周知の3条ねじから1条のねじ山が抜かれたものであり、言い換えると、1条分のねじ(溝)が形成されていない輪郭線(2点鎖線)Q3−1で示されており、本発明でいう「新2条ねじ」である。この新2条ねじは、2条のねじ溝g
1、g
2が、定ピッチで連続して形成されている部位と、ねじ溝g
2(又は、ねじ溝g
1)に、隣設する1条のねじ溝が形成されていない部分deがある。即ち、この部位(ねじ軸部の外周面であり断面視したとき、平坦状の部位)deと、セットとなるねじ溝g
1、g
2が、交互に形成されたリードL
3(=3P)の3条ねじが変則した2条ねじである。既述したように、
図2(a)及び
図2(b)に示すグレー部分は、「3倍リード2条ねじ」である第2ねじ(S2)に、ねじ込まれる第2ナットのねじ山の断面形状を意味する。
【0028】
この
図2(a)の「0°角度位置」では、元来の30度台形ねじの基準山形(台形形状)に形成された第1ねじ山r(ハッチング部分)がある。この第1ねじ山rが、連続して規則的に一定のピッチPの間隔で表れる。しかしながら、
図2(b)の「90°角度位置」では、元来の台形ねじである基準山形の第1ねじ山rの山頂が削られたかのように、この第1ねじ山rより、ねじ山の高さが低い小山状の第2ねじ山r
sが表れている。この角度位置で、第2ねじ山r
sは、連山状に4山が続く輪郭線のねじ形状に形成されている。即ち、台形ねじである基準山形(台形形状)の第1ねじ山rが削られ、第2ねじ山r
sは低くなっており、ねじ山のせん断破壊応力は基準山形(元の台形形状)より低下する。しかしながら、後述するように、実施の形態1の二重ねじ構成体10では、第2ねじ(S2)である「新多条ねじ」は、どの角度位置でも、ねじ(溝)が形成されていない部位が存在し(0°角度、180°角度位置等)、台形ねじのねじ山の元来の台形の山形が残る。
【0029】
図3(a)及び(b)に示す二重ねじ構成体11は、
図2に示した二重ねじ構成体10の変形例であり、二重ねじ構成体(「3倍リード2条ねじ」の変形例)11の断面図である。即ち、二重ねじ構成体11は、二重ねじ構成体10の2条ねじの角度位相を変えたものである。
図3(a)及び(b)は、ねじ軸を通る平面で切った断面図であり、
図3(a)は「0°角度位置」、
図3(b)は「90°角度位置」の二重ねじ部2のそれぞれの断面形状を部分的に示す説明図である。即ち、二重ねじ構成体11の第1ねじ(S1)のねじ山は、標準の「メートル台形ねじ」である。このねじ山に、変則的な第2ねじ(S2)のねじ山が形成されている。
図2(a)及び(b)に示す「3倍リード2条ねじ」は、元々の3条ねじから単純に1条を抜いたものであるから、ねじ山の角度位相が変則的である。そこで、2条ねじの角度位置を変えて、2条のねじの配置を均等にしたものである。
【0030】
この変形例における「3倍リード2条ねじ」(
図3のグレー部分は、これにねじ込まれるナットの断面を意味する。)は、リードL
3(=3P)のねじである。このねじは、リードL
3間に2本のねじ溝g
11、g
12が、等間隔で形成されている点が、
図2(a)及び(b)に示した「3倍リード2条ねじ」とは異なる2条ねじである。即ち、この「3倍リード2条ねじ」の変形例は、輪郭線Q3−1’で示したように、ねじ溝g
11とねじ溝g
12との間にねじ溝が形成されていない部位(ねじ軸の外周面である断面視したとき平坦状の部位)deが形成されている。
【0031】
台形ねじは、ピッチPとリードL
1が同一の一条ネジであり、つる巻き線h
1に沿ってねじ溝g
0(ナットから見れば、ねじ山g
0)が形成されている。
図3に示す「3倍リード2条ねじ溝(変形例)」は、リードL
3の2条ねじであり、所定の間隔毎に、つる巻き線h
3に沿って2条のねじ溝g
11、g
12が形成されている(グレー部分)。この二重ねじ構成体11は、「0°角度位置」の断面形状、「90°角度位置」の断面形状において、基準山形の第1ねじ山r(ハッチング部分)と第1ねじ山rの間に、小山状の第2ねじ山r
s’が連山状に2山形成されており、この第2ねじ山r
s’は、第1ねじ山rより高さが低い。
図2(b)に示した小山状の連山が4山が続くものより、2山であるのでせん断破壊強度が強い。
【0032】
[台形ねじと「3倍リード1条ねじ溝」とからなる二重ねじ構成体]
図4(a)及び
図4(b)に示すものは、実施の形態1の二重ねじ構成体12である。
図4(a)は「0°角度位置」、
図4(b)は「90°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を部分的に示す説明図である。
図2及び
図3に示したものは、第2ねじ(S2)は、元来の3条ねじから1条抜いた2条のねじであったが、
図4(a)及び
図4(b)に示した二重ねじ構成体12は、これを2条抜いて1条ねじとしたものである。このために、どの断面角度においても、台形ねじのねじ山がかなり残っている。
【0033】
即ち、この二重ねじ構成体12は、ピッチP(リードL
1=P)の台形ねじと、この台形ねじのピッチPの3倍(整数倍)のリードL
3(=3P)の1条ねじが形成されている(以下、「3倍リード1条ねじ」と記載する)。
図4(a)及び(b)の断面図において、台形ねじは、輪郭線Q1で示されたピッチPの台形ねじである。この「3倍リード1条ねじ」は、「周知の3条ねじ」のうちの2条のねじが形成されていないもの(抜いたもの)で、輪郭線Q3−2で示された1条ねじである。この特殊な1条ねじは、1条のねじ溝g
21が形成された部位と、ねじ溝g
21(グレー部分)に隣設し2条のねじ溝が形成されていない部位(ねじ軸部の外周面であり、断面視したときの平坦状の部位)deとが、交互に形成されたリードL
3(=3P)の1条ねじである。台形ねじは、ピッチPとリードL
1が同一の1条ねじであり、つる巻き線h
1に沿ってねじ溝g
0、及び、ねじ山rが形成されている。
【0034】
「3倍リード1条ねじ」は、リードL
3(3P)の1条ねじであり、つる巻き線h
3に沿って、1条のねじ溝g
21(グレー部分)が形成されている。
図4(a)の「0°角度位置」では、基準山形に形成された第1ねじ山r(ハッチング部分)が連続する二重ねじの断面形状が形成されている。
図4(b)の「90°角度位置」の断面形状では、基準山形である第1ねじ山rと、連山状の小山である2山の第2ねじ山r
s(ハッチング部分)が続き、この第2ねじ山r
sは、第1ねじ山rよりねじ山の高さが低い。
【0035】
図5は、ねじ軸3の二重ねじ部2のネジ山の各角度位置毎の断面形状を示す断面図の一覧である。台形ねじに1又は2条のねじを形成した場合の、前述した二重ねじ構成体10、11、12のそれぞれについての、ねじ軸線(中心線)を通る平面で切った部分断面図である。
図6は、実施の形態1の二重ねじ構成体11を転造加工するとき、各角度位置毎に、丸転造ダイスの凹部内に、被転造素材が充填される状況を説明するための説明図である。すなわち、実施の形態1の二重ねじ構成体11は、転造加工で円滑に製造が可能である。
【0036】
前述したように、
図2から4に示すこの二重ねじ構成体10、11、12は、第1ねじ(台形ねじ)(S1)と、第2ねじ(S2)である「3倍リード2条ねじ」(
図2、3参照)、又は、「3倍リード1条ねじ」(
図4参照)とで形成される。
図2から4は、この二重ねじ構成体10、11、12の構成をそれぞれ説明するために、「0°角度位置」、「90°角度位置」における、それぞれのねじ山の断面形状を示している。
図5に基づいて、この二重ねじ構成体10、11、12の他の角度位置について説明を行う。
図5は、台形ねじと「周知の3条ねじ」とからなる二重ねじ構成体と、前述した本実施の形態1の台形ねじと、新多条ねじ(「3倍リード1条ねじ」、「3倍リード2条ねじ」、及び「3倍リード2条ねじ」の変形例)とからなる二重ねじ構成体10、11、12とを比較した図でもある。
【0037】
即ち、
図5は、
図1(a)に示す二重ねじ部2が形成されているねじ軸3の軸線の周り方向における30°毎の角度位置と、二重ねじ部2の断面形状との関係を示した図である。この二重ねじ構成体は、
図5に示すように、所定の周期毎に同じ組み合わせの断面形状が繰り返し表れる。例えば、
図2に示す「3倍リード2条ねじ」では、台形ねじのピッチの3倍の周期毎に、2つのリードが組み合わされて同じ形状を繰り返すように表れる。
【0038】
図5に示すように、台形ねじと「周知の3条ねじ」から構成される二重ねじ構成体は、台形ねじと「周知の3条ねじ」の山形の大きさ、ピッチが同一のため、所定の角度位置で山形が干渉し、山形がほとんど残らない角度位置が存在する(
図5の左端部参照)。この二重ねじ構成体は、この山形が残らない角度位置、及びこの近傍からねじ山が変形し、ねじ軸部、ねじ部の強度が不足してしまうおそれがある。例えば、この二重ねじ構成体は、「0°角度位置」、「180°角度位置」以外の角度位置、特に「90°角度位置」において、基準山形のねじ山に比べてねじ山の高さが低い、小山状のねじ山が軸線方向に連続して表れる二重ねじの断面形状となっている。また、「60°角度位置」から「120°角度位置」の間は、ねじ山の体積が小さくなっている。即ち、一般的な台形ねじのねじ山に、「周知の3条ねじ」が刻まれた二重ねじ構成体は、二重ねじ部の強度が不足する角度位置が存在している。
【0039】
これに比べ、実施の形態1の二重ねじ構成体10、11、12は、第2ねじ(S2)である新多条ねじに、ねじ溝が形成されていない部位が存在し(0°角度、180°角度位置等)、ねじ山の体積を増加させ、何れの角度でも標準山形が残らないようなことが生じない。例えば、前述した二重ねじ構成体(台形ねじと「3倍リード2条ねじ」)10は、「90°角度位置」においても、所定の間隔毎に標準山形のねじ山が表れる二重ねじ部2の断面形状となり、面積も大きくなる。また、二重ねじ構成体(台形ねじと「3倍リード1条ねじ」)12は、「90°角度位置」においても、標準山形のねじ山が2山連続して表れる二重ねじ部2の断面形状となり、面積も大きくなる。更に、二重ねじ構成体(台形ねじと「3倍リード2条ねじ」の変形例)11は、連続に、又は所定の間隔毎に、標準山形の形状のねじ山が必ず表れる二重ねじ部2の断面形状となり、面積も全角度位置にわたって安定した大きな数値となる。即ち、二重ねじ構成体10、11、12は、ねじ部の強度が不足しないように形成されている。
【0040】
この二重ねじ構成体の転造加工方法について、二重ねじ構成体(台形ねじと「3倍リード2条ねじ」の変形例)11を例にして説明を行う。
図6は、ねじ転造ダイスDをねじ素材Mに押し込んで、二重ねじ構成体11を転造加工したときの「0°角度位置」、「90°角度位置」、「180°角度位置」における充填結果を示す図である。この角度位置は、二重ねじ構成体11において、二重ねじ部の形状が大きく異なる部位であり、代表例として示すものである。
図6に示すように、各角度位置において、ほぼ同じような充填率で、ねじ転造ダイスDの転造面とねじ素材Mの被転造面との間に形成される空間にねじ素材Mが塑性変形して確実に充填され、二重ねじ部2が転造加工されていく過程が確認された。
【0041】
[実施の形態2]
図7に示す実施の形態2の二重ねじ構成体20は、ねじ軸3に、第1ねじ(S1)(台形ねじ)と、この台形ねじのねじ山に形成されたピッチPの4倍のリードL
4(=4P)の第2ねじ(S2)(2条ねじ)である。この2条ねじは、一般的な4条ねじ(ねじ山とねじ溝)(以下、「周知の4条ねじ」という。)から、2条少なくして(4条の中間位置の2条分)2条のねじが形成された新多条ねじ(以下、「4倍リード2条ねじ」と称する。)であり、二重ねじ部2が形成された二重ねじ構成体20である。
【0042】
図7(a)及び(b)は、実施の形態2の二重ねじ構成体20の構成を説明するための断面図であり、
図7(a)は「0°角度位置」、
図7(b)は「90°角度位置」の二重ねじ部3の断面形状を部分的に示す説明図である。
図8は、実施の形態2の二重ねじ構成体20と、台形ねじと「周知の4条ねじ」(一般的な4条ねじ)のねじ山を有する二重ねじ構成体について、各角度位置毎の二重ねじ部の断面形状を部分的に示す断面図である。
【0043】
図7は、台形ねじと「4倍リード2条ねじ」とから形成される二重ねじ構成体20における「0°角度位置」、「90°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示している。この二重ねじ構成体20は、ピッチP(リードL
1=P)の台形ねじと、この台形ねじのピッチPの4倍(整数倍)のリードL
4(=4P)の2条ねじのねじ山を有する。ただし、この2条ねじは、「周知の4条ねじ」から2条を抜いた「4倍リード2条ねじ」である。台形ねじは、ピッチPとリードL
1が同一の1条ねじであり、つる巻き線h
1に沿ってねじ溝g
0(又は、ねじ山)が形成されている。「4倍リード2条ねじ」は、リードL
4(=4P)のねじであり、つる巻き線h
4に沿って、2条のねじ溝g
31、g
32が形成されている。なお、この実施の形態2の説明では、説明の都合上、台形ねじのねじ溝g
0の断面形状と、「4倍リード2条ねじ」のねじ溝g
31、g
32との断面形状とが重なる角度位置を「0°」として説明を行っている。
【0044】
図7(a)、(b)において、台形ねじの断面形状は、輪郭線Q1で示されたピッチPの台形ねじである。「4倍リード2条ねじ」は、「周知の4条ねじ」のうち2条を抜いたもので、輪郭線Q4−2で示された2条ねじ(グレー部分はこれにねじ込まれるナットを意味する。)である。すなわち、「4倍リード2条ねじ」は、ねじ溝g
31とねじ溝g
32との間に、1条のねじが形成されていない部位(ねじ軸部の外周面であり断面視したときに平坦状の部位)deが設けられたリードL
4(=4P)の変則した2条ねじである。
図7(a)に示す「0°角度位置」では、基準山形に形成された第1ねじ山r、及び、ねじ溝が連続して形成された標準の二重ねじ形状に形成されている。
図7(b)に示す「90°角度位置」では、基準山形である第1ねじ山rと、この第1ねじ山rよりねじ山の高さが低い小山状の第2ねじ山r
sが、1山続く輪郭線の二重ねじ形状に形成されている。
【0045】
図7(a)及び(b)の説明では、二重ねじ構成体20における「0°角度位置」、「90°角度位置」について説明を行ったが、
図8に基づいて、この二重ねじ構成体20について更に説明を行う。
図8は、台形ねじと「周知の4条ねじ」(一般的な4条ねじ)とからなる二重ねじ構成体と、この実施の形態2の台形ねじと「4倍リード2条ねじ」とからなる二重ねじ構成体20とを比較した図である。
図8は、
図1(a)に示す二重ねじ部の軸線の周り方向における30°毎の角度位置と二重ねじ部2の断面形状との関係を示した図である。
【0046】
台形ねじと「周知の4条ねじ」から構成される二重ねじ構成体(
図8の左側)は、台形ねじと「周知の4条ねじ」の山形の大きさ、ピッチが同一のため、所定の角度位置で山形が干渉し、山形がほとんど残らない位置が存在する。この二重ねじ構成体は、この山形が残らない角度位置及びこの近傍からねじ山が変形し、ねじ部の強度が不足してしまうおそれがある。例えば、この二重ねじ構成体は、「60°角度位置」で、高さが低いねじ山が連続するような二重ねじの断面形状となる。従って、この角度位置において、ねじ部の強度が大幅に不足する傾向となっている。
【0047】
これに比べ、この実施の形態2の二重ねじ構成体(台形ねじと「4倍リード2条ねじ」)20は、
図8に示すように、ねじ溝が形成されていない部位が存在し、ねじ山の体積を増加させ、山形が残らないようなことが生じない。例えば、この二重ねじ構成体20は、どの角度位置においても、連続に又は所定の間隔毎に、基準山形の形状のねじ山が必ず表れる二重ねじ部2の断面形状となっている。従って、この二重ねじ構成体20は、連続に又は所定の間隔毎に、基準山形の形状のねじ山が必ず表れる二重ねじ部2の断面形状とし、ねじ部の強度が不足しないように形成されている。
【0048】
なお、この二重ねじ構成体は、台形ねじと、リードが台形ねじのピッチPの4倍であるとともに条数が1条、又は3条少ないねじ溝からなる4倍リード1条ねじ、又は4倍リード3条ねじとからなる二重ねじ構成体であってもよい。
【0049】
[実施の形態3]
図9に示す実施の形態3の二重ねじ構成体30は、ねじ軸3に、台形ねじ(第1ねじ)と、リードL
2が台形ねじのピッチPの2倍であるとともに条数が1条のねじが形成された新多条ねじ(以下、「2倍リード1条ねじ」という。)とからなる二重ねじ部2が形成された二重ねじ構成体30である。即ち、この「2倍リード1条ねじ」は、第1ねじ(S1)は台形ねじであり、第2ねじ(S2)は、台形ねじの2倍のリードを有し、元来の2条のねじから1条抜いた1条ねじである。
【0050】
図9(a)及び
図9(b)は、台形ねじと「2倍リード1条ねじ」(第2ねじ(S2))とから形成される二重ねじ構成体30の「0°角度位置」、「90°角度位置」における二重ねじ部2の断面形状を示している。例えば、二重ねじ構成体30は、ピッチP(リードL
1=P)の台形ねじと、リードL
2(=2P)が台形ねじのピッチPの2倍であるとともに条数が、「周知の2条ねじ」(一般的な2条ねじ)から1条のねじを少なくした1条のねじからなる「2倍リード1条ねじ」とから形成されている。台形ねじは、ピッチPとリードL
1が同一の1条ねじであり、つる巻き線h
1に沿ってねじ溝g
0(又は、ねじ山)が形成されている。「2倍リード1条ねじ」は、リードL
2の1条ねじであり、つる巻き線h
2に沿って1条のねじ溝g
41が形成されている。なお、この実施の形態3の説明では、説明の都合上、台形ねじのねじ溝g
0の断面形状と、「2倍リード1条ねじ」のねじ溝g
41の断面形状とが重なる角度位置を「0°」として説明を行っている。
【0051】
図9(a)及び(b)において、台形ねじは、輪郭線Q1で示されたピッチPのねじである。「2倍リード1条ねじ」は、「周知の2条ねじ」のうち1条のねじが形成されていない輪郭線Q2−1で示された1条ねじ(グレー部分はこれにねじ込まれるナットを意味する。)である。すなわち、「2倍リード1条ねじ」は、ねじ溝g
41とねじ溝g
41との間との間に、一条のねじが形成されていない部位(ねじ軸部の外周面であり断面視したとき平坦状の部位)deが設けられたリードL
2(=2P)の1条ねじである。
図9(a)は、この二重ねじ構成体30の「0°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示し、
図9(b)は二重ねじ構成体30の「90°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示している。「0°角度位置」では、基準山形に形成された第1ねじ山r(又は、ねじ溝)が連続して形成されている。「90°角度位置」では、基準山形である第1ねじ山rと、この第1ねじ山rより山頂と谷底の幅が狭いねじ山に形成されている第2ねじ山r
sが形成されている輪郭線Q2−1の二重ねじ形状に形成されている。
【0052】
この実施の形態3の二重ねじ構成体30について、「0°角度位置」、「90°角度位置」について説明を行ったが、
図10に基づいて、この二重ねじ構成体30について更に説明を行う。
図10は、台形ねじと「周知の2条ねじ」からなる二重ねじ構成体と、本実施の形態3の台形ねじと「2倍リード1条ねじ」とからなる二重ねじ構成体30とを比較した図である。
図10は、ねじ軸3の周り方向における30°毎の角度位置と、二重ねじ部2の断面形状との関係を示した図である。
【0053】
台形ねじと「周知の2条ねじ」から構成される二重ねじ構成体は、台形ねじと「周知の2条ねじ」の山形の大きさ、ピッチが同一のため、所定の角度位置で山形が干渉し、山形がほとんど残らない位置が存在する。この二重ねじ構成体は、この山形が残らない角度位置及びこの近傍からねじ山が変形し、ねじ部の強度が不足してしまうおそれがある。例えば、この二重ねじ構成体は、ねじ山が「180°角度位置」及びその近傍で、低いねじ山が連続するような二重ねじの断面形状となる(
図10の180°参照)。従って、この角度位置において、ねじ部の強度が大幅に低下する傾向となっている。
【0054】
これに比べ、この実施の形態3の二重ねじ構成体30は、「2倍リード1条ねじ溝」に、ねじ溝が形成されていない部位が存在し、ねじ山の体積を増加させ、山形が残らないようなことが生じない。この二重ねじ構成体30は、どの角度位置においても、連続に又は所定の間隔毎に、基準山形の形状のねじ山が必ず表れる二重ねじ部2の断面形状となる。このためにねじ部の強度が不足しない。
【0055】
又、従来のように並目ねじと細目ねじとからなる二重ねじボルトであると、めっき処理を施す上において、特に膜厚の厚いめっき処理は、細目ねじのねじ溝を埋めることになるので、細目ねじを有する二重ねじには適用できなかった。例えば、細目ねじに防食性の高い溶融亜鉛めっきのような厚膜のめっきを施すと、細目ねじ山にめっきが集まりねじ溝を埋めてしまう。しかしながら、この二重ねじ構成体1は、細目ねじを採用していないので、ねじ溝を埋めてしまうことが生じないので、このようなめっきの使用が可能となった。この結果、二重ねじ構成体1を有するボルト、ねじ軸は、めっき処理を施すことにより、価値、機能を高めることができ、従来の機械、電気分野等に加え、耐食性が要求される建築、土木の分野でも使用できることになった。
【0056】
[実施の形態4]
前述した
図5、
図8及び
図10で説明した実施の形態の二重ねじ構成体には、ある特定の角度位置では、面積割合が小さい。このために、面積割合が小さい部分からせん断破壊を起こす。この面積割合が小さい部分があっても、機械設計上の強度は問題ない。しかし、この設計上の許容せん断破壊応力を越えると、面積割合が小さい部分から最初にせん断破壊を起こす。
図13(a)は、二重ねじ構成体に締結ナットがねじ込まれたものの特定角度位置の部分断面図である。
【0057】
本例の第1ナット(締結用ナット)110は台形ねじのナットである。
図13(a)に示した例は、二重ねじ構成体100のある角度の断面(
図2に示した『3倍リード2条ねじ』の90°の断面)と、第1ナット110の断面を示す。第1ナット110を締め付けると、被締結体(図示せず。)からの反力により、二重ねじ構成体100に軸方向荷重Wの負荷がかかる。この角度位置において、せん断破壊を起こすまで締め付けると、小山状のねじ山101の線分(断面形状)103の位置で、最初にせん断破壊される。線分103は、二重ねじ構成体100の中心線109と平行である。線分103は、通常の大きさ(断面積)の台形ねじのねじ山102の線分104より短い。このため、第1ナット110(締結用ナット)からの軸方向荷重Wが各ねじ山に均等に負荷がかかるとき、小山状のねじ山101の線分103の部分から最初にせん断破壊する。
【0058】
仮に、第1ナット110の軸方向の長さを長くしても、小山状のねじ山101の線分103の部分から、部分的にせん断破壊することになる。そこで、本実施の形態4の二重ネジ構成体100は、小山状のねじ山101のせん断破壊を避けるために、軸線方向に並ぶ小山状の二つのねじ山101の空間(谷)を母材金属で充填部(図示ではグレーの部分)105としたものである。この結果、小山状のねじ山101の線分103は、次の小山101と一体になり長くなり、通常の台形ねじのねじ山102の線分104とほぼ同一長さになる。従って、小山状のねじ山101に、二重ねじ構成体100に軸方向荷重Wの負荷がかかっても、この線分103の部分から先にせん断破壊されることはない。
【0059】
図13(b)は、二重ねじ構成体(3倍リード2条ねじ)に緩み防止用ナット120をねじ込んだときの断面形状を示すものである。即ち、緩み防止用ナット120は、二重ねじ構成体100である3倍リード2条ねじにねじ込まれるナットであり、台形ねじのナットである。
図13(a)で図示したように、連山状の二つの小山状のねじ山101は充填部105で埋められている。第2ナット(緩み防止用ナット)120は、この充填部105を配置したことにより、連山状の二つの小山状のねじ山101には係合できなくなるので、直線部(断面)121、即ち螺旋の円孔を設けたものである。本例の二重ねじ構成体100のこの角度位置(
図2に示す90°)では、二重ねじ構成体10と第2ナット(緩み防止用ナット)120は、連山状の二つの小山状のねじ山101と実質的には係合していない。
【0060】
しかしながら、締結力は
図13(a)に示した第1ナット110で分担するので、問題は生じない。第2ナット120の機能は、締結力ではなく、第1ナット110の緩み止め機能を果たすナットであり、第2ナット120がせん断破断されることはない。なお、第1ナット110及び第2ナット120のせん断破断応力の強度が設計上不足すると判断されるときは、そのナットの厚みを大きくすれば良い。
【0061】
[実施の形態5]
図14に示す実施の形態5の二重ねじ構成体40は、ねじ軸3に、丸ねじ(第1ねじ)と、リードL
3が丸ねじのピッチPの3倍であるとともに条数が2条のねじが形成された新多条ねじ(以下、「3倍リード2条ねじ」という。)とからなる二重ねじ部2が形成された二重ねじ構成体40である。即ち、この「3倍リード2条ねじ」は、第1ねじ(S1)は丸ねじであり、第2ねじ(S2)は、丸ねじの3倍のリードを有し、元来の3条のねじから1条抜いた2条ねじである。実施の形態5の丸ねじは、台形の山頂と谷底に円弧が形成され、ねじ山角度が45度の丸ねじである。即ち、この台形の脚は、円弧の接線となる。
【0062】
図14(a)及び
図14(b)は、丸ねじと「3倍リード2条ねじ」(第2ねじ(S2))とから形成される二重ねじ構成体40の「0°角度位置」、「90°角度位置」における二重ねじ部2の断面形状を示している。例えば、二重ねじ構成体40は、ピッチP(リードL
1=P)の丸ねじと、リードL
3(=3P)が丸ねじのピッチPの3倍であるとともに、条数が「周知の3条ねじ」(一般的な3条ねじ)から1条のねじを少なくした2条のねじからなる「3倍リード2条ねじ」とから形成されている。丸ねじは、ピッチPとリードL
1が同一の1条ねじであり、つる巻き線h
1に沿ってねじ溝g
0(又は、ねじ山)が形成されている。「3倍リード2条ねじ」は、リードL
3の2条ねじであり、つる巻き線h
3に沿って2条のねじ溝g
51が形成されている。なお、この実施の形態5の説明では、説明の都合上、丸ねじのねじ溝g
0の断面形状と、「3倍リード2条ねじ」のねじ溝g
51の断面形状とが重なる角度位置を「0°」として説明を行っている。
【0063】
図14(a)及び(b)において、丸ねじは、輪郭線Q1で示されたピッチPのねじである。「3倍リード2条ねじ」は、「周知の3条ねじ」のうち1条のねじが形成されていない輪郭線Q3−1で示された2条のねじが形成されたねじである。また、この「3倍リード2条ねじ」は、ねじ溝g
51とねじ溝g
52との間との間に、一条のねじが形成されていない部位(ねじ軸部の外周面であり断面視したとき平坦状の部位)deが設けられたリードL
3(=3P)の2条ねじである。
図14(a)は、この二重ねじ構成体40の「0°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示し、
図14(b)は二重ねじ構成体400の「90°角度位置」の二重ねじ部2の断面形状を示している。「0°角度位置」では、基準山形に形成された第1ねじ山r(又は、ねじ溝)が連続して形成されている。「90°角度位置」では、基準山形である第1ねじ山rと、この第1ねじ山rよりねじ山の高さが低い小山状の第2ねじ山r
sが表れている。この角度位置で、第2ねじ山r
sは、連山状に4山が続く輪郭線のねじ形状に形成されている。
【0064】
丸ねじと「周知の3条ねじ」から構成される二重ねじ構成体は、丸ねじと「周知の3条ねじ」の山形の大きさ、ピッチが同一のため、所定の角度位置で山形が干渉し、山形がほとんど残らない位置が存在する。この二重ねじ構成体は、この山形が残らない角度位置及びこの近傍からねじ山が変形し、ねじ部の強度が不足してしまうおそれがある。これに比べ、この実施の形態5の二重ねじ構成体40は、「3倍リード2条ねじ溝」に、ねじ溝が形成されていない部位が存在し、ねじ山の体積を増加させ、山形が残らないようなことが生じない。この二重ねじ構成体40は、どの角度位置においても、連続に又は所定の間隔毎に、基準山形の形状のねじ山が必ず表れる二重ねじ部2の断面形状となる。このためにねじ部の強度が不足しない。実施の形態5の二重ねじ構成体40は、丸ねじの「3倍リード2条ねじ」に適用した例について説明したが、上記した台形ねじで説明したように、「3倍リード2条ねじ変形例」、「3倍リード1条ねじ」、「4倍リード2条ねじ」、「2倍リード1条ねじ」に適用してもよい。また、実施の形態5の二重ねじ構成体40は、山頂の丸みと谷底の丸みを接続する直線のフランク部が形成された丸ねじに適用した例について説明したが、山頂の丸みと谷底の丸みが連続して接続され、直線のフランク部が無い丸ねじに適用してもよい。
【0065】
[他の実施の形態]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれら実施の形態に限定されることはない。本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内での変更が可能なことはいうまでもない。公知技術であるので、その説明は省略するが、プレス、ジャクキに用いられており、ねじ山の断面形状が長方形、又は正方形である矩形の角ねじであっても良い。また、例えば、2条ねじ(第1ねじとS1)と4倍リード2条ねじ(第2ねじ(S2))の組み合わせからなる二重ねじ構成体、3倍リード2条ねじ(第1ねじ(S1))と4倍リード2条ねじ(第2ねじ(S2))の組み合わせからなる二重ねじ構成体等であってもよい。言い換えると、この二重ねじ構成体は、ねじ軸部の軸線の周り方向の各角度位置において、連続に又は所定の間隔毎に、基準山形又は基準山形に近い形状のねじ山を形成できるようになっているものであればよい。
【0066】
また、前述した実施の形態では、第1ねじ(S1)、第2ねじ(S2)のリードを、台形ねじの整数倍のリードとして説明を行っているが、整数倍でなくてもよい。例えば、第2ねじのリードが、台形ねじの3.1倍のような倍数のリードのねじであってもよい。また、第1ねじのリードが、台形ねじの1.1倍のような倍数のリードのねじであってもよい。即ち、この二重ねじ構成体は、ねじ軸部の軸線の周り方向の各角度位置において、連続に又は所定の間隔毎に、基準山形又は基準山形に近い形状のねじ山を形成できるようになっているものであればよい。
【0067】
更に、この実施の形態では、二重ねじ構成体を丸転造ダイス、プレートダイスによって転造加工で形成されたものとして説明を行っているが、切削加工、射出成形加工、3Dプリンタ(三次元造形;3D printing)加工、金属粉末射出成形(Metal Injection Molding:MIM)加工、ロストワックス等から選択される1種の加工により形成されているものであってもよい。ただし、転造加工によるねじ山の形成は、転造加工により金属組織の内部の鍛流線が切断されることがないので、マクロ繊維組織がねじ面に沿って連続して流れるので、構造的にねじとしての引張強さ、疲労強度が高いという特徴がある。
【0068】
[適用例1]
図11は、前述した二重ねじ構成体を、緩み止めナット付の締結具に用いた例であり、
図11(a)は一部断面図、
図11(b)はナットと二重ねじ構成体の噛み合いを示す断面図である。緩み止めナット付の締結具80は、被締結部材86をクランプする例である。六角ボルト81の軸部であるねじ部81には、
図2に示した「台形ねじ」と、「3倍リード2条ねじ」(
図2参照)が形成されている。「台形ねじ」には、第1ナット82がねじ込まれている。この第1ナット82のねじ山(つる巻き線h
1)は、ピッチPとリードL
1が同一の1条ねじの台形ねじである。本例では、第1ナット82の一端には円錐面83が第1ナット82と一体に形成されている。また、「3倍リード2条ねじ溝」(つる巻き線h
3)には、第2ナット84がねじ込まれている。第2ナット84のねじ山(つる巻き線h
3)は、ピッチPの3倍(整数倍)のリードL
3(=3P)を有する2条の台形ねじである。第2ナット84は、「3倍リード2条ねじ溝」にねじ込まれているので、第1ナット82のリード(ピッチPと一致する。)より長いので、1回転当たりに進む移動量が大きい。
【0069】
第2ナット84の一端部には、円錐穴85が形成されている。第1ナット82をねじ込むとこの円錐面83が、第2ナット84の円錐穴85に接して、その摩擦力でテーパー接合により強固にクランプする。また、第1ナット82を回してねじ込むだけで、同時に回転駆動できるので、緩み防止ナットである第2ナット84をねじ込む必要がない。何故ならば、第2ナット84のリードは第1ナットのピッチPより長いので、第1ナット82をねじ込むだけでよく、第2ナット84は回転されてクランプされる。
【0070】
[適用例2]
図12は、二重ねじ構成体をリードカム機構90に用いた例を示す正面図である。前述した実施の形態では、六角ボルト81の軸部に台形ねじが形成された例で説明したが、前述したピッチ、リードが異なる2種類のねじ山、ねじ溝を形成した二重ねじ構成体をリードカム91として用いた例である。「台形ねじ」(つる巻き線h
1)には、第1カムフォロワ94が係合している。また、「3倍リード2条ねじ溝」(つる巻き線h
3)には、第2カムフォロワ92がねじ込まれている。第2カムフォロワ92は多条ねじ溝に係合している。リードカム91をサーボモータ93で回転駆動すると、第1カムフォロワ94と第2カムフォロワ92は、1回転当たりに進む移動量が異なるので、これを利用して回転運動を所望の直線運動の移動に変換するものである。所望の移動量は、サーボモータ93の回転数と、「台形ねじ」のピッチと、「3倍リード2条ねじ溝」のリードの大きさで実現する。従って、本発明でいう二重ねじ構成体は、リードカムを意味する。また、このようなリードカム機構90に用いるときは、第2カムフォロワ92が係合する上記の多条ねじ溝から抜いて、1条以上少ないねじ溝にする必要はない。即ち、一般的な形状を有する多条ねじ溝であっても良い。