(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871601
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】V溝直播機
(51)【国際特許分類】
A01C 5/06 20060101AFI20210426BHJP
A01C 7/12 20060101ALI20210426BHJP
A01C 7/20 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
A01C5/06 L
A01C7/12 Z
A01C7/20 A
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-38925(P2017-38925)
(22)【出願日】2017年3月2日
(65)【公開番号】特開2018-143118(P2018-143118A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年8月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183967
【氏名又は名称】鋤柄農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083655
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 哲寛
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 国佐
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 雄也
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−187933(JP,A)
【文献】
特開平04−370004(JP,A)
【文献】
国際公開第2004/004440(WO,A1)
【文献】
特開平10−042627(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0238285(US,A1)
【文献】
実開平06−026413(JP,U)
【文献】
特開2016−165228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 5/06
A01C 7/00 − 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体の進行方向と直交する方向に沿って当該機体に作溝輪取付け軸が支持され、当該作溝輪取付け軸には、外周部が断面V字状をなして、作溝深さが規制された多数の作溝輪が軸方向に沿って一定間隔をおいて取付けられた作溝装置と、
前記機体に前記作溝輪取付け軸の軸心方向に沿って所定間隔をおいて支持された多数の種子ホッパーから、作溝直後のV溝状の各播種溝にそれぞれ播種ホースを介して種子を供給するための播種装置と、
を備えたV溝直播機であって、
前記播種溝の内部に入り込んで、当該播種ホースの下端部が左右に振れるのを防止して播種ホースの姿勢を維持する姿勢維持ロッドが、前記各播種ホースの下端部の外後面に取付手段を介して一体に取付けられることで、各播種ホースの種子放出口は、播種溝の両肩部に対して非接触状態で空間配置され、
前記取付手段は、前記播種ホースの下端部における横断面視で機体の進行方向に対して後半分の内外周面にそれぞれ密着配置される横断面が、機体の進行方向に沿って長軸を有する半楕円状の内側及び外側の各取付け板と、内側取付け板に一体に固着されて、当該播種ホースの肉部及び外側取付け板を貫通する寸切ボルトと、当該外側取付け板の外側において、前記寸切ボルトに螺合されるナットとから成ることを特徴とするV溝直播機。
【請求項2】
前記姿勢維持ロッドは、播種溝の底部に落下収容された種子を移動させないように、その下端部が播種溝の深さ方向の途中に配置されると共に、当該姿勢維持ロッドの幅は、その下端部が、播種溝の対向内側面部に接触して土が切り崩されることで、播種溝の底部に落下収容された種子が少量覆土される構成であることを特徴とする請求項1に記載のV溝直播機。
【請求項3】
前記姿勢維持ロッドは、播種溝の対向内側面部を崩して播種直後の種子を覆土可能な断面円形又は多角形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のV溝直播機。
【請求項4】
前記姿勢維持ロッドは、播種溝の対向内側面部を崩して播種直後の種子を覆土可能な二股ロッド状であることを特徴とする請求項1又は2に記載のV溝直播機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分の多い軟弱な田面に形成されたV溝に稲の種子を直接に播種するのに使用されるV溝直播機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
V溝直播とは、特許文献1に示されるように、均平な田圃において、V溝直播機を使用して、
図7(b)に示されるように、適宜の条間で、〔開口幅(M)×深さ(D)〕=(2×5)cm程度の断面二等辺三角形状のV溝状の播種溝を田面に連続して形成した後に、当該播種溝の底部に、必要に応じて肥料と一緒に稲の種子(籾)を落下させて播種を行い、その後に播種溝の底部に少量の土を落下させて覆土することで、乾田化した田圃を耕起することなく、直接に稲の種子を播種することで、稲を栽培する方法である。
【0003】
V溝直播機は、機体の進行方向と直交する方向に沿って当該機体に作溝輪取付け軸が支持され、当該作溝輪取付け軸には、外周部が断面V字状をなして、作溝深さが規制された多数の作溝輪が軸方向に沿って一定間隔をおいて取付けられた作溝装置と、前記機体に前記作溝輪取付け軸の軸心方向に沿って所定間隔をおいて支持された多数の種子ホッパーから、作溝直後の前記各播種溝にそれぞれ播種ホースを介して種子を供給して播種するため播種装置とを備え、作溝装置の各作溝輪により田面に前記播種溝が形成された直後に、各種子ホッパーから各播種ホースを介して各播種溝に種子が落下されることで播種される。なお、必要に応じて、種子と混合状態で肥料が供給されることもある。
【0004】
上記において、播種ホースの下端が播種溝から離れていると、機体の移動及び振動によって、当該播種ホースの下端の種子放出口が左右に振れ易くなり、これにより、播種ホースの種子放出口から落下排出された種子の一部が播種溝の外に放出されて、全ての種子が播種溝に収容されなくなって、播種ホースから放出された種子が播種溝に収容される割合である種子収容率が低下し、ひいては稲の生産高が下がる。これを防止するため、播種ホースから落下される種子の全てが、確実に播種溝に供給されるようにすべく、当該播種ホースの下端部は、播種溝の両肩部に接触させている。
【0005】
このため、水分が多くて田圃自体が軟弱な場合、或いは乾田化した状態では田面が比較的締まっているが、降雨直後又は降雨後に日が経過していない状態、特に、雨の多い地域では、田圃がなかなか乾かないので、土壌に水分が多い状態で、播種作業をせざるを得ない場合がある。播種ホースの下端部を播種溝に直接に接触させると、上記したように、落下種子が播種溝の外部に放出されなくなるが、V溝の田面が軟らかい状態では、播種ホースの種子放出口に泥が付着したり、内部に入り込んだりし易い。この不具合を避けるために、播種ホースの種子放出口をV溝から離すと、上記したように、落下種子の一部がV溝の外部に放出されてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−187933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、水分の多い軟弱な田圃にV溝直播を行う場合において、播種ホースをV溝から離間させて排出開口に泥が詰らないようにすること、及び播種ホースの種子放出口から放出された種子が播種溝に収容される種子収容率を100%に近い状態に保持することとの互いに相反する関係にある二つの事項を同時に達成することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、機体の進行方向と直交する方向に沿って当該機体に作溝輪取付け軸が支持され、当該作溝輪取付け軸には、外周部が断面V字状をなして、作溝深さが規制された多数の作溝輪が軸方向に沿って一定間隔をおいて取付けられた作溝装置と、
前記機体に前記作溝輪取付け軸の軸心方向に沿って所定間隔をおいて支持された多数の種子ホッパーから、作溝直後のV溝状の各播種溝にそれぞれ播種ホースを介して種子を供給するための播種装置と、
を備えたV溝直播機であって、
前記播種溝の内部に入り込んで、当該播種ホースの下端部が左右に振れるのを防止して播種ホースの姿勢を維持する姿勢維持ロッドが、前記各播種ホースの下端部の外後面に取付手段を介して一体に取付けられることで、各播種ホースの種子放出口は、播種溝の両肩部に対して非接触状態で空間配置さ
れ、
前記取付手段は、前記播種ホースの下端部における横断面視で機体の進行方向に対して後半分の内外周面にそれぞれ密着配置される横断面が、機体の進行方向に沿って長軸を有する半楕円状の内側及び外側の各取付け板と、内側取付け板に一体に固着されて、当該播種ホースの肉部及び外側取付け板を貫通する寸切ボルトと、当該外側取付け板の外側において、前記寸切ボルトに螺合されるナットとから成ることを特徴としている。
【0009】
請求項1の発明によれば、機体の進行により、作溝装置を構成する各作溝輪により開口幅及び深さの双方が定められた多数の播種溝が一定ピッチをおいて田面に形成され、その直後に、播種装置を構成する各播種ホースの種子放出口から、各播種溝の底部に種子が落下されて播種される。ここで、播種ホースの下端部の外後面には、姿勢維持ロッドが播種溝に入り込んだ状態で取付けられて、当該播種ホースの下端の種子放出口は、播種溝の両肩部に対して非接触状態となって空間配置されているため、機体の移動及び振動によって、播種ホースの下端部が左右に大きく振れなくなって、播種ホースの種子放出口は、常に播種溝の開口の直上に位置している。よって、播種ホースの下端部が空間配置されているにもかかわらず、播種溝の直上から全ての種子が当該播種溝に落下されるため、播種溝に対する種子の収容率は、100%又はこれに近い状態を維持できる。また、播種ホースの下端部が播種溝の両肩部に対して非接触状態であるため、軟弱な田圃においても、播種ホースの下端部に泥が付着して堆積するのを防止できて、播種ホースの下端の種子放出口は、常に最大に開口した状態を維持できて、播種溝に対する種子の収容率を最大に近い状態に維持できる。
【0010】
また、
請求項1の発明によれば、播種ホースの下端部における横断面視で機体の進行方向に対して後半部の肉部は、横断面が半楕円状の内側及び外側の各取付け板により挟持された状態で、内側取付け板に一体に設けられた寸切ボルトが、播種ホースの肉部及び外側取付け板にそれぞれ挿通されて、ナットと螺合されることで、当該外側取付け板に姿勢維持ロッドが一体に取付けられているため、長期間の使用によっても、播種ホースの下端部に対して姿勢維持ロッドの配置位置がずれることなく、しっかりした取付状態が維持される。また、内側及び外側の各取付け板の横断面が、機体の進行方向に沿って長軸を有する半楕円状であるため、播種ホースの種子放出口の幅が狭められて、落下種子が播種溝に収容され易くなると共に、播種ホースの種子放出口の形状を長期間に亘って維持できる。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記姿勢維持ロッドは、播種溝の底部に落下収容された種子を移動させないように、その下端部が播種溝の深さ方向の途中に配置されると共に、当該姿勢維持ロッドの幅は、その下端部が、播種溝の対向内側面部に接触して土が切り崩されることで、播種溝の底部に落下収容された種子が少量覆土される構成であることを特徴としている。
【0012】
請求項2の発明によれば、播種溝内に入り込んでいる姿勢維持ロッドの下端部が播種溝の深さ方向の途中に配置されていて、しかも播種溝の対向内側面部に接触して土が切り崩されるため、当該播種溝の底部に落下収容された種子が移動されることがないと共に、播種溝の底部に落下収容された種子が少量覆土される。また、姿勢維持ロッドの下端部が播種溝の対向内側面部に接触しているため、機体の振動により姿勢維持ロッドが左右に振れなくなって、播種溝に対する播種ホースの種子放出口の位置が、前記種子収容率が最大となるように維持される。
【0013】
【0014】
請求項
3の発明は、請求項1
又は2の発明において、前記姿勢維持ロッドは、播種溝の対向内側面部を崩して播種直後の種子を覆土可能な断面円形又は多角形状であることを特徴としている。
【0015】
請求項
3の発明によれば、姿勢維持ロッドが中実体で構成されるため、長期の使用により、土との継続接触により多少磨耗しても、播種ホースの下端部の姿勢維持ロッドとしての機能を果し得る。
【0016】
請求項
4の発明は、請求項1
又は2の発明において、前記姿勢維持ロッドは、播種溝の対向内側面部を崩して播種直後の種子を覆土可能な二股ロッド状であることを特徴としている。
【0017】
請求項
4の発明によれば、姿勢維持ロッドが二股ロッド状であるため、各ロッド部が独立して、播種溝の対向内側面部に接触するため、土が崩され易くなって、播種溝の底部に落下収容された種子に対する覆土作用が高められる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、
播種ホースの下端部における横断面視で機体の進行方向に対して後半部の肉部は、横断面が半楕円状の内側及び外側の各取付け板により挟持された状態で、内側取付け板に一体に設けられた寸切ボルトが、播種ホースの肉部及び外側取付け板にそれぞれ挿通されて、ナットと螺合されることで、当該外側取付け板に姿勢維持ロッドが一体に取付けられているため、長期間の使用によっても、播種ホースの下端部に対して姿勢維持ロッドの配置位置がずれることなく、しっかりした取付状態が維持される。また、内側及び外側の各取付け板の横断面が、機体の進行方向に沿って長軸を有する半楕円状であるため、播種ホースの種子放出口の幅が狭められて、落下種子が播種溝に収容され易くなると共に、播種ホースの種子放出口の形状を長期間に亘って維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係るV溝直播機Aを背面側から見た斜視図である。
【
図3】V溝直播機Aを構成する同じく作溝装置Bの平面図である。
【
図4】(a)は、作溝輪取付け軸3に隣接して取付けられた2つの作溝輪Wの一方を破断した図であり、(b)は、(a)のX−X線断面図である。
【
図5】播種状態の作溝輪W及び播種ホースHの下端部を主体に示す部分斜視図である。
【
図7】(a),(b)は、それぞれ播種溝Vの形成状態、及び播種状態の断面図である。
【
図8】(a)は、播種ホースHの下端部の側面図であり、(b)は、(a)のY矢視図である。
【
図9】播種ホースHの下端部に姿勢維持ロッドR
1 が取付けられる構造の分解斜視図である。
【
図10】(a)は、播種ホースHの下端部に姿勢維持ロッドR
1 が取付けられる構造の分解横断面図であり、(b)は、同じく取付けられた状態の横断面図である。
【
図11】(a)は、播種ホースHの下端部に姿勢維持ロッドR
1 が取付けられた状態の背面図であり、(b)は、姿勢維持ロッドR
1 の種々の断面形状を示す。
【
図12】(a),(b)は、いずれも二股構造の姿勢維持ロッドR
2 ,R
2'の背面図と断面図の組み合せ図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、最適な実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。最初に、
図1〜
図4を参照して、V溝直播機Aの全体構成について簡単に説明し、その後に、本発明に係る播種ホースHの下端部に取付けられた姿勢維持ロッドR
1 の部分について詳細に説明する。
【0021】
水分が多くて軟弱な田圃でV溝直播を行う場合において、V溝直播機の牽引車としてトラクタを使用すると、田面に車輪跡(特に、後輪による車輪跡)による凹部が発生して、播種溝であるV溝の位置と合致すると、当該V溝を形成できない。そこで、軟弱な田圃においては、牽引車として、車輪幅(車輪自体の幅であって、左右一対の車輪の間隔ではない)がV溝の条間に納まる車輪を有する「乗用管理機」と称される牽引車が使用される。
【0022】
直播機Aは、作業機連結ユニットUを介して前記乗用管理機の後部に連結され、当該乗用管理機により牽引されて、田面に断面二等辺三角形状の多数の播種溝Vを形成した直後に、当該播種溝Vの底部に種子Sを播種する農業機械であって、多数の前記播種溝Vを形成するための作溝装置Bと、必要に応じて肥料と一緒に種子Sを供給して、前記播種溝Vに落下させるための播種装置Eとが、機体2に一体に搭載された構成である。作溝装置Bは、作溝輪取付け軸3に一定間隔をおいて多数の作溝輪Wが取付けられた構成であって、乗用管理機のPTO軸(図示せず)から取り出された動力が、動力伝達機構により前記作溝輪取付け軸3に伝達されて、当該作溝輪取付け軸3が駆動回転される。なお、
図1〜
図3において、10は、乗用管理機の後輪を示す。
【0023】
播種装置Eは、作溝輪取付け軸3に取付けられた各作溝輪Wの直上に配置されて、種子と肥料とが分離して収容される作溝輪Wと同数の種子・肥料ホッパー4と、当該ホッパー4の直下に設けられた種子Sと肥料とを混合させて定量供給するための前記ホッパー4と同数の受け器5と、各受け器5の下端の排出口に接続されて、肥料が混合された種子Sを播種溝Vの底部に落下させて供給するための作溝輪Wと同数の播種ホースHとから成る。各受け器5には、繰出軸6が貫通されていて、当該繰出軸6は、機体2の前方であって、作溝輪取付け軸3の軸心方向に沿った一方の端部に配置された接地駆動輪7の回転駆動力が動力伝達機構により伝達されることで、駆動回転される。また、播種ホースHの下半部は、下端の種子放出口31が、直下に対して機体2の進行方向Qを基準にして僅かに斜め後方を向くように傾斜配置され、当該傾斜配置姿勢を維持させるために、機体2の後部に播種ホース支持棹32が横方向に支持され、当該播種ホース支持棹32の前方には、上下の各ホース支持板33a,33bが僅かに下方を向いた状態で取付けられ、各播種ホースHの下端の種子放出口31の上方の部分は、上下一対の各ホース支持板33a,33bで支持されることで、播種ホースHの種子放出口31は、機体2の進行方向Qを基準にして僅かに斜め後方を向くように傾斜配置される。
【0024】
作溝輪Wには、種々の構造があるが、一例として、
図4に示されるものを挙げる。この作溝輪Wは、中心孔を有する大径及び小径の一対のわん曲円板11,12の外周部を小径のわん曲円板12の側で溶接13して、一対のわん曲円板11,12を一体化させて、当該一対のわん曲円板11,12の各中心孔11a,12aに短円筒状の取付円筒体14を嵌め込んで、溶接13により一体化させ、最後に、一対のわん曲円板11,12の外側に、それぞれ分割鍔リング体15を嵌め込んで、溶接13により一体化させている。一対のわん曲円板11,12が溶接13により一体化された形状は、中心孔を有することを含めて、ソロバン玉の形状に近似している。これにより、一対の分割鍔リング体15で構成される深さ規制用の規制鍔リング体16の幅方向の中央部に、横断面が鋭いV字状をした作溝突出板部21が全周に亘って突設された構成の作溝輪Wとなる。規制鍔リング体16の外周面に対する作溝突出板部21の突出長が、播種溝Vの深さDとなる。
【0025】
田面Fには、作溝輪取付け軸3の駆動回転により、当該作溝突出板部21の横断面形状に対応した播種溝Vが形成される。作溝輪Wが一体に設けられた多数の取付円筒体14は、作溝輪取付け軸3の外側に嵌め込まれて、連結ピン17によって両者が一体化されることで、当該作溝輪取付け軸3に、田面Fに形成する多数条の播種溝Vの条間隔(ピッチ)〔P〕〔
図3参照〕に対応した間隔をおいて一体に取付けられて、前記作溝装置Bを構成する。なお、取付円筒体14には、ナット18が溶接により固定され、当該ナット18に螺合されたボルト19の先端部が、取付円筒体14に設けられた貫通孔14aに挿入されて、作溝輪取付け軸3の外周面に当接させることで、作溝輪取付け軸3と取付円筒体14との間のガタツキを防止している。
【0026】
そして、機体2が進行して、作溝装置Bを構成する作溝輪取付け軸3の駆動回転により、多数の作溝輪Wにより一定ピッチPのV字状の播種溝Vが連続して形成され、播種装置Eを構成する各種子・肥料ホッパー4から、繰出軸6の駆動回転により種子・肥料ホッパー4内の種子が肥料と混合された状態で定量供給されて、播種ホースHによって、形成直後の播種溝Vに落下される。
【0027】
次に、
図8〜
図11を参照して、本発明に係る播種ホースHの下端部の外後面(機体2の進行方向Qに沿って後輪の外側面)に取付けられた姿勢維持ロッドR
1 の部分について詳細に説明する。播種ホースHの下端部は、機体2の進行方向Qに対して僅かに後方に傾斜して配置されることで、下端の種子放出口31は、直下に対して僅かに斜後方を向いた状態で、断面V字状の播種溝Vの両肩部に接触することなく空間配置されている。このように配置された播種ホースHの下端部における前記進行方向Qに沿って後側の外周面には、機体2の進行中に播種ホースHの種子放出口31が左右に振れるのを防止して、当該播種ホースHの下端部の配置姿勢を維持させる姿勢維持ロッドR
1 が、内側及び外側の各取付け板41,42を介して一体に取付けられる。内側及び外側の各取付け板41,42は、機体2の進行方向Qに沿って長軸を有する半楕円状の横断面を有していて、内側取付け板41の外面には、寸切ボルト43が垂直となって溶接により一体に固着され、外側取付け板42の外周面における周方向の中央部であって、幅方向の一端部には、断面正方形状の姿勢維持ロッドR
1 の長手方向の一端部に溶接により一体に固着されている。姿勢維持ロッドR
1 は、播種ホースHに取付けられた状態で、外側取付け板42に対して播種ホースHの長手方向に沿うような方向に一体に固着されている。
【0028】
播種ホースHは、補強材が埋設された樹脂製であって、外径及び内径が、それぞれ33mm,25mm程度であるため、4mm程度の肉厚を有する。播種ホースHの下端部の内側及び外側に、それぞれ内側及び外側の各取付け板41,42が内外の各周面に密着して配置され、内側取付け板41に固着された寸切ボルト43は、播種ホースHの肉部を貫通するボルト挿通孔44及び外側取付け板42の周方向及び幅方向の各中央部に形成されたボルト挿通孔45にそれぞれ挿通されて、ナット46に螺合されている。これにより、播種ホースHの下端の種子放出口31に近い部分に、内側及び外側の各取付け板41,42が、播種ホースHの肉部を内側及び外側から挟持することで、播種ホースHの周方向及び長手方向の双方に対してずれない状態で、一体に取付けられる。この結果、外側取付け板42に一体に固着された姿勢維持ロッドR
1 は、播種ホースHに対して周方向及び長手方向の双方に対してずれない状態で、当該播種ホースHに、その長手方向に沿って一体に取付けられる。なお、
図8〜
図10において、47は、座金を示す。
【0029】
このように、内側及び外側の各取付け板41,42は、使用時の播種ホースHに取付けられた状態で、その長軸が機体2の進行方向Qに沿っているため、播種ホースHの下端の種子放出口31は、長軸が機体2の進行方向Qに沿った半楕円状となる。この結果、播種ホースHの種子放出口31は、断面が円形の場合に比較して、幅が狭くなると共に、機体2の進行方向Qに沿った長さが長くなるので、落下する種子Sは、播種溝Vに収容されやすい形状に変形されて、播種溝Vに対する種子Sの収容率が高められる。
【0030】
また、機体2が直進する場合には、各播種溝Vの直上に播種ホースHの各種子放出口31が存在するので、問題はないが、機体2が僅かに蛇行した場合には、各種子放出口31は、各播種溝Vの直上から左右のいずれかに僅かにずれて、種子Sの一部を播種溝Vの外部に放出される恐れがある。しかし、本発明においては、播種溝Vに下端部が入り込んでいる姿勢維持ロッドR
1 により、種子放出口31は、当該播種溝Vの直上に配置された姿勢を維持するので、機体2の蛇行の程度が小さい範囲内では、落下される種子Sは、播種溝V内に落下して収容される。
【0031】
また、播種溝Vに対する姿勢維持ロッドR
1 の配置高さは、
図6及び
図7に示されるように、当該姿勢維持ロッドR
1 により、播種溝Vの底部に落下収容された種子Sが移動されないように、播種溝Vの底部に対して所定長だけ高い位置に配置することが必要である。また、姿勢維持ロッドR
1 は、播種ホースHの強い弾力と相まって、当該姿勢維持ロッドR
1 の下端部により、播種溝Vの対向内側面Vaの土が切り崩されて、当該播種溝Vの底部に落下収容された種子Sが覆土される幅を有することが望ましい。なお、
図6及び
図7において、51は、播種溝Vの対向内側面Vaが切り崩されて、種子Sを覆土する土を示す。
【0032】
ここで、水分の多い田圃における水分を多く含んだ湿った土は、粘着性を有していて、上記した姿勢維持ロッドR
1 によっても、切り崩されにくく、仮に、播種溝Vの対向内側面Vaの土が切り崩されるとした場合でも、その量は僅かであるが、この結果は、種子の発芽の面からは、好ましい状態である。即ち、播種溝Vに落下された種子Sに対して水分の多い土を多量に覆土すると、酸欠状態となって、種子の発芽が阻害されてしまうが、本発明に係る姿勢維持ロッドR
1 による覆土量は僅かであるので、種子の発芽の面からは、むしろ好ましい状態と言える。
【0033】
このように、播種ホースHの下端部における機体2の進行方向Qに対して後側の外周面に、姿勢維持ロッドR
1 が、当該姿勢維持ロッドR
1 の長手方向に沿うようにして一体に取付けられて、当該姿勢維持ロッドR
1 の下端部は、播種溝Vの内部に入り込んでいるため、田面Fに対して播種ホースHの種子放出口31が離間されて空間配置されていても、機体2の移動及び振動によって、播種ホースHの下端の種子放出口31が左右に振れなくなって、播種ホースHの下端の種子放出口31から落下される種子Sは、当該種子放出口31が播種溝Vの両肩部に接触している場合と同様にして、その全てが、播種溝Vに収容される。
【0034】
この結果、田面Fに対して離間して空間配置されている播種ホースHの種子放出口31には、軟弱な田圃、或いは降雨直後の軟弱な田面であっても、泥が付着しないので、時間に対する種子Sの落下量(播種量)を一定に保持できる。なお、田面Fに対する播種ホースHの種子放出口31の離間長Lは、泥が付着しない範囲において可能な限り短いことが望ましい。
【0035】
なお、水分の多い軟弱な田圃では、作溝輪Wの分割鍔リング体15の外周面に水分の多い土が付着し易く、当該土の付着により、形成される播種溝Vの深さDが浅くなってしまうので、播種ホース支持棹32に取付けられたスクレーパ8により、回転中に削ぎ落とされるので、分割鍔リング体15への水分の多い土の付着はない。
【0036】
また、姿勢維持ロッドR
1 の断面形状に関しては、播種溝Vの内部に入り込んで、播種ホースHの種子放出口31の横揺れを防止できること(種子放出口の横揺れ防止機能)が必要不可欠であり、望ましくは、播種溝Vの対向内側面Vaの土を切り崩すことが可能であること(土の切崩し機能)の条件を満たせば、
図11に示されるように、正方形に限定されず、円形、正六角形であってもよい。
【0037】
また、
図12に示されるような二股状の姿勢維持ロッドR
2 ,R
2'であっても、種子放出口31の横揺れ防止機能と土の切崩し機能との双方を果し得る。
【符号の説明】
【0038】
A:直播機
B:作溝装置
D:播種溝の深さ(作溝突出板部の突出長)
E:播種装置
F:田面
H:播種ホース
M:播種溝の開口幅
Q:機体の進行方向
R
1,R
2 :姿勢維持ロッド
S:種子
V:播種溝
Va:播種溝の対向内側面
W:作溝輪
2:機体
3:作溝輪取付け軸
31:種子放出口
41:内側取付け板
42:外側取付け板
43:寸切ボルト
46:ナット