特許第6871629号(P6871629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6871629-X線分析装置及びその光軸調整方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871629
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】X線分析装置及びその光軸調整方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/207 20180101AFI20210426BHJP
   G01N 23/20008 20180101ALI20210426BHJP
【FI】
   G01N23/207
   G01N23/20008
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-125106(P2018-125106)
(22)【出願日】2018年6月29日
(65)【公開番号】特開2020-3415(P2020-3415A)
(43)【公開日】2020年1月9日
【審査請求日】2020年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250339
【氏名又は名称】株式会社リガク
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 信太郎
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 克彦
(72)【発明者】
【氏名】光永 徹
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2003/0043965(US,A1)
【文献】 特開2015−102432(JP,A)
【文献】 特開平09−049811(JP,A)
【文献】 特表2002−529699(JP,A)
【文献】 米国特許第9412481(US,B1)
【文献】 特開2015−230238(JP,A)
【文献】 特開2006−317305(JP,A)
【文献】 特開2009−008449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
KAKEN
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を支持するための試料台と、
N次元検出器(Nは1又は2の整数)と、
1又は複数のアナライザ結晶を備えるアナライザと、
を備え、
前記N次元検出器の検出面は、第1検出領域と、前記第1検出領域とは隔たって配置されるとともに前記第1検出領域と区別して検出される第2検出領域と、を有し、
前記試料より発生する回折X線が進行する複数の光路は、前記第1検出領域に直接到達する第1光路と、前記1又は複数のアナライザ結晶を介して到達する第2光路と、を含み、
前記N次元検出器は、前記第1検出領域のX線検出により前記第1光路の測定を行い、前記第2検出領域のX線検出により前記第2光路の測定を行う、
ことを特徴とする、X線分析装置。
【請求項2】
前記第2光路は、前記1又は複数のアナライザ結晶において偶数回反射している、
ことを特徴とする、請求項1に記載のX線分析装置。
【請求項3】
前記N次元検出器と前記アナライザとの相対的位置は固定される、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のX線分析装置。
【請求項4】
X線源と、
試料を支持するための試料台と、
N次元検出器(Nは1又は2の整数)と、
1又は複数のアナライザ結晶を備えるアナライザと、
を備える、X線分析装置のX線光軸調整方法であって、
前記N次元検出器の検出面は、第1検出領域と、前記第1検出領域とは隔たって配置されるとともに前記第1検出領域と区別して検出される第2検出領域と、を有し、
前記試料より発生する回折X線が進行する複数の光路は、前記第1検出領域に直接到達する第1光路と、前記1又は複数のアナライザ結晶を介して到達する第2光路と、を含み、
基準となる角度配置において、前記1又は複数のアナライザ結晶の配置及び/又は向きを調整する工程、を含む、
ことを特徴とする、X線分析装置の光軸調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線分析装置及びその光軸調整方法に関し、特に、アナライザを用いる測定に有用な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
受光側での分解能を向上させることを目的として、X線回折装置などのX線分析装置に備えられるX線受光光学系部品として、アナライザ結晶を用いるアナライザが用いられている。
【0003】
特許文献1にX線回折装置が開示されている。そこでは、位置1に配置される試料と位置2に配置される検出器との間に、1個又は2個のアナライザ結晶を配置することにより、試料から発生する回折X線が、検出器へ直接入射する光路と、該1個又は2個のアナライザ結晶を介して検出器へ入射する光路と、2個の光路を実現している。
【0004】
特許文献2にX線回折装置が開示されている。そこでは、対向する2つの平行な反射表面(すなわち、2個のアナライザ結晶)をそれぞれ備える、2個のチャネルカット結晶(4結晶)が配置されており、4つの反射表面それぞれを回転させることにより、2個の光路を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6665372号
【特許文献2】特開平9−49811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アナライザ結晶を使用することで高分解能での測定が可能となるため、高分解能での測定を行う時に、試料と検出器との間の光路上にアナライザが設置されていることが望ましい。しかしながら、測定の前に行う結晶方位の調整時にアナライザが設置されていると、回折角度(2θ)の高すぎる分解能がゆえ、方位の決定が困難となる。このため、方位の調整時においては一般にアナライザを光路上から外し、分解能を低下させた状態で行われるのが一般的である。アナライザの取り付けや取り外しをするための工程がかかる上に、アナライザの取り付け毎に、光軸調整を行う必要が生じてしまい、測定時間の増大や測定コストの増大を招くことになる。
【0007】
取り付け工程を防ぐために、特許文献2に開示されるX線回折装置では、チャネルカット結晶の反射表面を回転させて反射表面に回折X線を照射させているが、この場合であっても、チャネルカット結晶の反射表面を回転させて反射表面に回折X線を照射させる度に、X線の光軸調整を行う必要が生じてしまう。X線の光軸調整の工程は非常に手間がかかるので、測定の自由度を妨げ、測定時間の増大や測定コストの増大を招くこととなる。
【0008】
また、特許文献1に開示されるX線回折装置では2個の光路のいずれかを選択するためにシャッターを用いる必要がある。
【0009】
本発明はかかる課題を鑑みてなされたものであり、アナライザを用いる測定をする毎に光軸調整をすることなく、測定時間の短縮や測定コストの低減がされる、X線分析装置及びその調整方法の提供を、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係るX線分析装置は、試料を支持するための試料台と、N次元検出器(Nは1又は2の整数)と、1又は複数のアナライザ結晶を備えるアナライザと、を備え、前記N次元検出器の検出面は、第1検出領域と、前記第1検出領域とは隔たって配置されるとともに前記第1検出領域と区別して検出される第2検出領域と、を有し、前記試料より発生する回折X線が進行する複数の光路は、前記第1検出領域に直接到達する第1光路と、前記1又は複数のアナライザ結晶を介して到達する第2光路と、を含み、前記N次元検出器は、前記第1検出領域のX線検出により前記第1光路の測定を行い、前記第2検出領域のX線検出により前記第2光路の測定を行う、ことを特徴とする。
【0011】
(2)上記(1)に記載のX線分析装置であって、前記第2光路は、前記1又は複数のアナライザ結晶において偶数回反射していてもよい。
【0012】
(3)上記(1)又は(2)に記載のX線分析装置であって、前記N次元検出器と前記アナライザとの相対的位置は固定されていてもよい。
【0013】
(4)本発明に係るX線分析装置の光軸調整方法は、X線源と、試料を支持するための試料台と、N次元検出器(Nは1又は2の整数)と、1又は複数のアナライザ結晶を備えるアナライザと、を備える、X線分析装置のX線光軸調整方法であって、前記N次元検出器の検出面は、第1検出領域と、前記第1検出領域とは隔たって配置されるとともに前記第1検出領域と区別して検出される第2検出領域と、を有し、前記試料より発生する回折X線が進行する複数の光路は、前記第1検出領域に直接到達する第1光路と、前記1又は複数のアナライザ結晶を介して到達する第2光路と、を含み、基準となる角度配置において、前記1又は複数のアナライザ結晶の配置及び/又は向きを調整する工程、を含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、アナライザを用いる測定をする毎に光軸調整をすることなく、測定時間の短縮や測定コストの低減がされる、X線分析装置及びその光軸調整方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るX線分析装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係るX線発生装置主要部の構成を示す概略図である。
図3】本発明の実施形態に係るX線分析装置の測定結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、寸法、形状等について模式的に表す場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係るX線分析装置1の構成を示す概略図である。ここで、当該実施形態に係るX線分析装置1はX線回折測定装置(XRD)であるが、これに限定されることはなく、他のX線分析装置であってもよい。当該実施形態に係るX線分析装置1は、X線源部11と、光学ユニット12と、試料100を支持する試料台13と、アナライザユニット14と、2次元検出器15と、ゴニオメータ16と、を備える。X線源部11は、図1の紙面を垂直に貫く方向に延伸する線X線源を有する。光学ユニット12は、1又は複数の光学部品を含み、X線源部11から発生するX線を、平行化又は集束化などをして、試料100へ入射させるために配置される。ゴニオメータ16は、X線源部11に対して、試料100(及び試料台13)をθ回転させ、受信側光学ユニット14及び2次元検出器15を2θ回転させる。ゴニオメータ16は、試料水平配置型のθ−θ型ゴニオメータであってもよいし、θ−2θ型ゴニオメータであってもよい。なお、試料100は、GaN系半導体からなる多重量子井戸半導体層を含む半導体基板であるが、これに限定されることはない。
【0018】
図2は、当該実施形態に係るX線分析装置1主要部の構成を示す概略図である。アナライザユニット14は、スリット21とアナライザ22とを備えており、アナライザ22は2結晶アナライザからなる。アナライザ22は、互いに対向する2個のアナライザ結晶(第1アナライザ結晶22A及び第2アナライザ結晶22B)を含んでいる。第1アナライザ結晶22Aと第2アナライザ結晶22Bは、望ましくは互いに平行となる反射面をそれぞれ有している。ここで、各アナライザ結晶は220反射を利用したGe(ゲルマニウム)単結晶を用いているが、これに限定されることはなく、適切な他のアナライザ結晶を用いてもよい。
【0019】
2次元検出器15は検出面を有している。そして、検出面は、第1検出領域D1と第2検出領域D2とを有し、第1検出領域D1と第2検出領域D2とは隔たって配置される。第1検出領域D1と第2検出領域D2それぞれは、1又は複数の画素からなり、第1検出領域D1に入射するX線と、第2検出領域D2に入射するX線とは、区別されて検出される。
【0020】
試料100より発生する回折X線(なお、本明細書において回折X線は散乱X線を含むものとする)が進行する光路は複数あり、ここでは2個の光路が含まれる。第1光路P1は、試料100より発生する回折X線が直進するよう進行し、第1検出領域D1に直接到達する光路である。第2光路P2は、試料100より発生する回折X線が、第1に第1アナライザ結晶22Aで反射され、第2に第2アナライザ結晶22Bで反射され、第2検出領域D2に到達する光路である。すなわち、第2光路P2では、1又は複数(ここでは、2個)のアナライザ結晶において偶数回(ここでは、2回)反射している。
【0021】
当該実施形態に係るX線分析装置1の主な特徴は、2個のアナライザ結晶を備えるアナライザ22と、2次元検出器15とを備え、2次元検出器15が、第1光路P1を進行するX線を検出する第1検出領域D1と、第2光路P2を進行するX線を検出する第2検出領域D2と、を有する検出面を備えていることにある。従来、高分解能測定を実施するために受光側光学系にアナライザを配置させる必要があり、その都度、X線の光軸調整を行う必要が生じていた。また、低分解能測定に切り替える際には、アナライザを取り外す必要があり、作業の増大を生じていた。これに対して、当該実施形態に係るX線分析装置1では、高分解能測定(アナライザを用いる測定)と低分解能測定(アナライザを用いない測定)とをアナライザを配置(又は取り除く)作業を行うことなく切り替えすることが出来ている。さらに、当該実施形態に係るX線分析装置1では、高分解能測定と低分解能測定とのいずれかに切り替える際に、X線の光軸調整を新たに行う必要性は不具合が生じない限りない。これにより、測定時間の短縮と測定コストの低減を実現することが出来る。
【0022】
アナライザユニット14の光軸調整、及び測定において、スリット21は解放され、第1光路P1及び第2光路P2を進行するX線はともにスリット21を通過する。後述されるアナライザユニット14の光軸調整を行うことにより、第1光路P1と第2光路P2のオフセット角と、第1検出領域D1と第2検出領域D2それぞれの検出面における位置と、が決定される。アナライザユニット14の光軸調整が終了すると、アナライザ22と2次元検出器15との相対的位置を固定しておくのが望ましい。アナライザ22と2次元検出器15との相対的位置が固定されることにより、アナライザを用いない測定からアナライザを用いる測定に切り替えても、第2検出領域D2(及び第1検出領域D1)の位置が変動することが抑制され、不具合が発生する可能性が抑制され、X線の光軸調整を新たに行う必要性が低減される。
【0023】
当該実施形態に係るX線分析装置1は、以下に説明する複数のモードの測定をすることができる。第1は0次元モードであり、第1検出領域D1で検出されるX線強度をすべて積算することにより、簡便に試料100の結晶方位の調整などをすることが出来る。第2は1次元モードである。第1検出領域D1又は/及び第2検出領域D2において、2次元検出器15の検出面とゴニオメータ16の回転面との交線(これを2θ方向と称す)に直交する方向に沿って並ぶ画素(ピクセル)を積算することで、2θ方向に対して位置分解能を有する測定ができる。第3は2次元モードである。第1検出領域D1又は/及び第2検出領域D2におけるすべての画素(ピクセル)それぞれでX線強度を検出することにより、検出面の面方向に位置分解能を有する測定ができる。なお、1次元モードでは、2θ方向に垂直に直交する方向に沿って画素を積算する際に、積算する各画素群において、2θ方向に沿って1個のみの画素を対象とすることに限定されることはなく、局所的な位置分解能となる複数個の画素を対象してもよい。同様に2次元モードでは、各画素のX線強度を検出することに限定されることはなく、局所的な位置分解等となる複数個(例えば、2×2=4個)の画素を1単位として、各単位に属する複数個の画素が検出するX線強度を積算してもよい。これら複数のモード間の切替についても、アナライザ22を取り外したりすることなく実行することができる。1次元モードでは、粉末試料や薄膜試料の高速測定が実現される。
【0024】
以下、アナライザユニット14の光軸調整方法について説明する。かかる光軸調整を行うことにより、第1光路P1と第2光路P2のオフセット角を同定するとともに、第1検出領域D1と第2検出領域D2それぞれの検出面における位置を決定する。かかる位置の決定とは、第1検出領域D1(の中心)に対する第2検出領域D2(の中心)の位置ずれ(オフセット)を決定するとしてもよい。従来、0次元検出器を用いる場合には、第1光路P1を進行するX線の測定と、第2光路P2を進行するX線の測定とを切り替えて行う場合、アナライザユニットと0次元検出器の間にスリットを配置して、一方の測定を行う場合、他方のX線を遮断する必要がある。これに対して、当該実施形態に係るX線分析装置1では、検出領域の位置の違いにより、両者の測定を区別することができるので、かかるスリットは必要としていない。言い換えれば、2次元検出器15は、スリットの機能を備えており、仮想スリットが備えれれていると考えてもよい。具体的な光軸調整の工程は以下の通りである。
【0025】
第1の工程は、光軸調整用の試験X線を用意する工程(X線準備工程)である。具体的には、試料台13の上に試料100が配置されていない状態にして、X線源部11がX線を発生する。
【0026】
第2の工程は、第1光路P1測定の基準となる角度配置を決定する工程(第1光路調整工程)である。ゴニオメータ16の角度を回転させて、基準となる角度配置に設定し、かかる角度配置における第1光路P1を進行するX線が入射する領域を第1検出領域D1とする。ここで、第1光路P1測定の基準となる角度配置は、光学ユニット12からの試料台13への入射X線が、試料台13からの反射X線と1直線上に並ぶ状態が望ましく、かかる角度配置を2θ=0とすればよい。また、第1検出領域D1は2次元検出器15の検出面の中心付近に設定されるのが望ましい。また、2θ=0となる角度配置において2次元検出器の検出面の原点(中心)にX線が入射するように設定される場合は、本工程を実行しなくてもよい。
【0027】
第3の工程は、第2光路P2測定の基準となる角度配置において2次元検出器15が検出するX線強度がより高くなるよう、アナライザ22の2個のアナライザ結晶(第1アナライザ結晶22A及び第2アナライザ結晶22B)の配置及び/又は向きを調整する工程(第2光路調整工程)である。かかる工程では、まず、第2光路P2を進行するX線が2次元検出器15の検出面に入射するように、第2の工程で決定した第1光路P1測定の基準となる角度配置(2θ=0)からゴニオメータ16の角度をあらかじめ計算された角度分だけ回転させる(例えば2θ=3°)。かかる角度配置で、アナライザ22を回転させ、2次元検出器15が検出するX線強度がより高くなるようアナライザ22の配置及び/又は向きを調整し、第2光路P2を進行するX線が入射する領域を第2検出領域D2とする。この際に、第2検出領域D2が検出面に含まれるとともに、第2検出領域D2を第1検出領域D1とは離間させる。この状態でゴニオメータ16の角度を回転させて、2次元検出器15が検出するX線強度がより高くなる角度配置へ2次元検出器15をさらに移動させる。かかる角度配置を第2光路P2測定の基準となる角度配置であり、第2光路P2測定の基準となる角度配置2θと、第1光路調整工程における基準となる角度配置2θ=0との差を、オフセット角度とする。第2光路P2測定を行う際には、第2光路測定の基準となる角度配置を新たに2θ=0と定義して、2θ=0から走査すればよい。第1光路P1測定に切り替える場合は、オフセット角度分のシフトをせずに、第1光路P1測定の基準となる角度配置を改めて2θ=0と定義すればよい。以上が、アナライザユニット14の光軸調整方法である。
【0028】
図3は、当該実施形態に係るX線分析装置1の測定結果を示す図である。図の横軸は2θ(°)であり、縦軸はX線強度(cps)である。図に示す測定結果は、試料100に対するロッキングカーブ測定の結果である。図には、第1光路P1(アナライザ22なし)による測定の結果と、第2光路P2(アナライザ22あり)による測定の結果とが、それぞれ示されている。図に示す通り、第1光路P1は低分解能測定の結果であり、X線強度には振動が観測されている。第2光路P2は高分解能測定の結果であり、第1光路P1の測定結果と比較して、さらに微細な振動が観測されている。このように、低分解能測定(アナライザなし)により、測定系がきちんと設定されていることを確認し、高分解能測定(アナライザあり)により、試料100の微細構造を観測することが出来る。
【0029】
当該実施形態に係るX線分析装置1は、図3に示す通りロッキングカーブ測定に最適である。また、X線反射率(XRR)測定や逆格子マッピング(RSM)測定にも最適であるが、これに限定されることはなく、低分解能測定(アナライザなし)と高分解能あり(アナライザあり)とを切り替えて測定を実施する場合に望ましい。
【0030】
以上、本発明の実施形態に係るX線分析装置について説明した。上記実施形態では、線X線源を用いているが、これに限定されることはなく、点X線源でもかまわない。また、多次元検出器として2次元検出器を用いているが、これに限定されることはなく、1次元検出器であってもよく、すなわち、N次元検出器(Nは1又は2の整数)であればよい。また、アナライザ22に備えられる1又は複数のアナライザ結晶を2個のアナライザ結晶とし、第2光路P2は、2個のアナライザ結晶において2回反射しているが、これに限定されることはなく、さらに高分解能測定をする場合には4結晶アナライザ(4個のアナライザ結晶)を用いるのが望ましく、1又は複数のアナライザ結晶は偶数個のアナライザ結晶であるのが望ましい。この場合、第2光路P2は、4個のアナライザ結晶において4階反射している。第2光路P2は、1又は複数のアナライザ結晶において偶数回反射していることにより、N次元検出器の検出面に入射するX線を検出面により収束するようにすることができる。
【0031】
上記実施形態に係るアナライザユニット14は、第2光路P2上にアナライザ22が配置されているが、第1光路P1に対して反対側に、さらにアナライザ23(図示せず)を備えていてもよい。アナライザユニット14がアナライザ23を備えることにより、さらに第3光路P3の測定が可能となる。この場合、2次元検出器15の検出面は、第3検出領域D3(図示せず)を有する。第2検出領域D3は第1検出領域D1と離間している。第3光路P3は、試料100より発生する散乱X線が、アナライザ23で反射され、第3検出領域D3に到達する光路である。第3光路P3は、第1光路P1に対して、第2光路P2と線対称であり、第3検出領域D3は、第1光路P1に対して、第2検出領域D2と線対称である。
【符号の説明】
【0032】
1 X線分析装置、11 X線源部、12 光学ユニット、13 試料台、14 アナライザユニット、15 2次元検出器、16 ゴニオメータ、21 スリット、22,23 アナライザ、22A 第1アナライザ結晶、22B 第2アナライザ結晶、100 試料。
図1
図2
図3