(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
設置基準面上に置かれたベースと、該ベース上に設置した複数の除振ユニットと、該除振ユニットにより水平に弾性支持して精密機器の搭載を可能としたテーブルと、前記ベースとテーブルとの間で前記除振ユニットと並列に設けたテーブル変位抑制機構とを備えた精密機器搭載用除振装置であって、
前記テーブル変位抑制機構が、金属と弾性体の薄板を交互に積層する積層方向を水平方向になるように取り付けられた積層ゴムを構成部品として含み、
前記積層ゴムの一端側が、前記テーブルまたは前記ベースの一方に対して取付部材を介して固着され、
前記積層ゴムの他端側が、前記テーブルまたは前記ベースの他方に対して支持部材を介して固着されたギャップ調整機構の球面状の先端部と所定のギャップを介して対向し、
前記ギャップ調整機構が、前記支持部材に螺合するボルト部材と該ボルト部材を前記支持部材に締め付けるナットから構成されていることを特徴とする精密機器搭載用除振装置。
【背景技術】
【0002】
近年、高精度な装置として、たとえば、精密加工機、半導体や液晶表示器や液晶テレビの製造・検査装置、電子顕微鏡、光学顕微鏡、走査型トンネル顕微鏡(STM)・原子間力顕微鏡(AFM)、光学実験装置などの精密機器が多く使われている。
これらの高精度な装置は、通常の地盤や建物に存在する微弱振動、あるいは、周辺機器からの微弱振動にも影響を受けるため、高精度な装置本体の精度が得られないことがある。
ここでいう微弱振動とは、地震のような体で感じる揺れよりも小さく、おおむね、0.001〜1cm/s
2程度の加速度を有する振動のことをいう。
【0003】
そのため、これらの精密機器を搭載して床や地盤の振動が高精度な装置、すなわち、精密機器に伝わらないようにする除振装置が使用されている。
除振装置は、一般的には精密機器を搭載するテーブルを、空気ばねやコイルばねや防振ゴムのようなばね要素で支持する構造を取っている。
そして、振動を減衰させるために、オリフィスやオイルダンパなどが並設されることが多い。
また、特許文献1に開示されているように、センサで振動を検出してアクチュエータで制御を行うアクティブ除振装置も近年多く使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
除振装置の性能は、一般的に振動伝達率Trで表される。
振動伝達率Trは、床振動の振幅A
0が搭載する精密機器の振幅Aとして、何倍もしくは何分の1倍になって伝わるのかの割合を示し、搭載する精密機器に働く振動周波数f[Hz]と振動系の固有振動数fn[Hz]との関数として式1で表される。
【数1】
【0006】
また、除振装置の固有振動数fn[Hz]は、除振装置が、ばね剛性K[N/m]、ばね上の質量M[kg]を有する場合、次式2で表される。
【数2】
【0007】
式1から、除振あるいは防振効果を得るためには、振動伝達率Trが、1以下である必要があり、このためには、固有振動数fnに対する振動周波数fの比である振動数比λ(=f/fn)が√2以上である必要がある。
通常は、振動数比λの値は、2〜3が選ばれ、振動周波数fが大きくなるほど振動伝達率Trは小さくなる。
したがって、固有振動数fnが小さいほど、除振する振動周波数領域は
、広くなり、除振性能が良くなる。
【0008】
一方、近年の上記のような精密機器の高精度化に伴い、除振装置に要求される除振性能は、ますます上昇する傾向にある。
同時に、
除振装置のステージの高速化・高加速度化も進み、可動質量も増大する傾向にある。
【0009】
除振装置の固有振動数fnを小さくするためには、除振装置のばね剛性Kを小さくする必要がある。
しかしながら、除振性能を良くするために、ばね剛性Kを小さくするほど、テーブル上の可動物体やステージが動くときの反力によりテーブルが揺れやすくなるというジレンマが存在する。
すなわち、テーブル上に設置した精密機器類の走行による重心移動によって、テーブル自体が変位したり振動したりすることが防止できなくなる。
【0010】
テーブルが大きく揺れると、その振動変位や加速度が大きい間は、搭載する精密機器が振動の影響を受ける。
また、静止状態への収束(セトリング)に時間がかかるため、搭載する精密機器がその間は、待機状態となる。
その結果、搭載する精密機器の実働時間(タクトタイム)が減少し、除振装置の稼働率が下がる。
テーブルの変位がさらに増えると、ストッパに当たる衝撃振動により搭載する精密機器への悪影響が生じたり、可動範囲を超えて除振装置自体が破損したりすることもある。
【0011】
この問題に対処するため、従来は、主として
、ばね剛性Kを高くする方法が採用されてきた。
具体的には、ばね要素(コイルばね、防振ゴム、空気ばね)の剛性を上げるために、ゴムストッパや皿ばねをばね要素に並列に付加するなどの方法である。
空気ばねの場合、ばね容積を小さくする場合もある。
また、比較的剛性の高い防振ゴムと圧電素子を直列に用いたアクティブ除振装置もこの方法の1つと言える。
【0012】
しかしながら、上記のように除振装置の剛性を高くすると固有振動数が高くなり、除振性能は
、悪くなる。
また、圧電素子を用いたアクティブ除振装置は、高額であり、かつ
、維持費用も、高額となる。
【0013】
本発明は、これらの実情に鑑みてなされたものであり、金属と弾性体の薄板を交互に積層させた積層ゴムを利用することにより、シンプルな構造で低コスト化を実現した除振装置を提供することをその目的とする。
すなわち、本発明の目的は、設置基準面上のベースに設置した除振ユニットにより水平に弾性支持して精密機器を搭載可能なテーブルに対する除振ユニットのばね剛性を大きくすることなく、テーブルの水平変位を抑制するとともに、シンプルな構造で低コスト化を実現した精密機器搭載用除振装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、設置基準面上に置かれたベースと、該ベース上に設置した複数の除振ユニットと、該除振ユニットにより水平に弾性支持して精密機器の搭載を可能としたテーブルと、前記ベースとテーブルとの間で前記除振ユニットと並列に設けたテーブル変位抑制機構とを備えた精密機器搭載用除振装置であって、
前記テーブル変位抑制機構が、金属と弾性体の薄板を交互に積層する積層方向を水平方向になるように取り付けられた積層ゴムを構成部品として含み、
前記積層ゴムの一端側が、前記テーブルまたは前記ベースの一方に対して取付部材を介して固着され、
前記積層ゴムの他端側が、前記テーブルまたは前記ベースの他方に対して支持部材を介して固着されたギャップ調整機構の球面状の先端部と所定のギャップを介して対向し、
前記ギャップ調整機構が、前記支持部材に螺合するボルト部材と該ボルト部材を前記支持部材に締め付けるナットから構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記除振ユニットが、空気ばね式、コイルばね式、防振ゴム式のいずれかであることを特徴とするものである。
【0016】
(削除)
【0017】
請求項3に係る発明は、
請求項1または請求項2に係る発明において、前記積層ゴムの他端側が、平坦な底面に形成された窪みを設けたフランジ部材を備え、該フランジ部材の窪みが前記ギャップ調整機構の球面状の先端部に対向していることを特徴とするものである。
【0018】
請求項4に係る発明は、
請求項3に係る発明において、前記積層ゴムが、前記テーブルまたは前記ベースの前記一方に設けた前記取付部材の水平方向両側にそれぞれ設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、精密機器搭載用除振装置の静止状態では、積層ゴムをベース側の部材に対して非接触の状態で取り付けることができるため、精密機器搭載用除振装置のばね剛性を大きくすることがなく、除振性能を悪化させることがない。
そして、テーブル変位抑制機構として、シンプルな構造で低コスト化を実現することができる。
また、ギャップ調整機構の先端部が球形状に形成されて積層ゴムの他端側と対向しているため、精密機器搭載用除振装置のテーブルがY軸を中心とした回転運動をしても積層ゴムに対してねじれの力を加えることがなく、Z軸を中心とした回転運動にも対応可能である。しかも、ギャップ調整後にギャップ調整機構のボルト部材に設けたナットを締め付けることにより、ボルト部材が振動等によって回動しないようにすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の精密機器搭載用除振装置に係る好適な実施形態について説明する。
以下の説明において、異なる図面においても同じ符号を付した構成は、同様のものであるとして、その説明を省略する場合がある。
なお、本発明は、これらの実施形態での例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内及び均等の範囲内におけるすべての変更を含む。
また、複数の実施形態について組み合わせが可能である限り、本発明は、任意の実施形態を組み合わせたものを含む。
【0022】
[第1の実施形態]
図1Aは、本発明に係る精密機器搭載用除振装置の一例を示す平面図であり、
図1Bは、
図1AのA−A矢視断面図である。
また、
図2は、
図1Aに示す精密機器搭載用除振装置に用いられるテーブル変位抑制機構の一例を示す断面図である。
【0023】
精密機器搭載用除振装置100は、テーブル変位抑制機構10、除振ユニット20、ベース30、テーブル40、ガイド41、及び、ステージ50を備えている。
ベース30は、設置基準面Gとなる床の上に設置されており、精密機器の搭載を可能にしたテーブル40が、ベース30上に設置された4つの除振ユニット20により水平に支持されている。
除振ユニット20は、空気ばね式(空気圧制御式アクティブ精密機器搭載用除振装置を含む)、コイルばね式、防振ゴム式のいずれのものが用いられてもよい。
図1A、
図1Bでは、除振ユニット20として、空気ばね式のものを示している。
テーブル40の上には、ガイド41が設けられており、精密機器を搭載したステージ50が、ガイド41上を、例えば、
図1A、
図1Bに示すX軸方向(水平左右方向)に移動可能に設けられている。
【0024】
精密機器搭載用除振装置100には、ベース30とテーブル40との間に、除振ユニット20と並列にテーブル変位抑制機構10が4個設けられている。
また、精密機器搭載用除振装置100には、ベース30とテーブル40との間に、除振ユニット20と並列に振動減衰要素として図示しないオイルダンパが設けられていてもよい。
【0025】
テーブル変位抑制機構10は、
図2に示すように、ステージ50の移動方向と同じ水平方向であるX軸方向に積層された積層ゴム15を2個有している。
積層ゴム15は、金属と弾性体の薄板を交互に積層させて接着したものである。
積層ゴム15は、積層方向には剛性が高く、それと直交するせん断方向にはきわめて低い剛性を有する。
通常、積層ゴム15は、積層方向を鉛直にして、建物や搭載装置を支持し、主として免震を目的として使われるが、本実施形態の精密機器搭載用除振装置100では、積層ゴム15は、積層方向が水平方向になるようにして用いる。
より詳しくは、一対の積層ゴム15の一端側が、テーブル取付部材17に固着された積層ゴム取付部材16の水平方向両側である両面に固着されており、テーブル取付部材17が、テーブル40にボルト19によって固定されている。
【0026】
これにより、テーブル40がX軸方向に移動した際には、積層ゴム15もテーブル40と同じX軸方向に移動する。
積層ゴム取付部材16の両面に設けられた一対の積層ゴム15の他端側には、それぞれフランジ部材14が設けられており、このフランジ部材14の中央外側には、それぞれ円形の窪み14aが設けられている。
窪み14aの底面は、平坦に形成されている。
なお、積層ゴム取付部材16とテーブル取付部材17との固着強度を増すために、両者の間にリブを設けてもよい。
【0027】
窪み14aの底面と所定のギャップを介して対向するように、ギャップ調整機構13が設けられている。
ギャップ調整機構13は、支持部材12を介してベース取付部材11に対して固定されており、ベース取付部材11は、ボルト18によってベース30に固着されている。
ベース30は、設置基準面G上に設置されているため、テーブル40が移動したとしても、ギャップ調整機構13は、移動することがない。
また、支持部材12は、ギャップ調整機構13をベース取付部材11に対して固定するための部材であり、ギャップ調整機構13の取付強度を増すために、例えば、Z軸方向の上面視で、四角形状に形成しているが、ベース取付部材11との間にリブを設けてもよい。
【0028】
ギャップ調整機構13は、先端部13aを球形状に形成したボルト部材を支持部材12に設けたネジ孔に螺合することによって、X軸方向に移動調整が可能になっている。
ギャップ調整機構13の先端部13aとフランジ部材14の窪み14aとのギャップの調整は、精密機器搭載用除振装置100が浮上した状態で行い、ギャップ調整機構13のボルト部材を回すことにより、フランジ部材14の窪み14aとのギャップが500μm程度となるように調整する。
調整後は、ギャップ調整機構13のボルト部材に設けたナットを締め付けることにより、ボルト部材が振動等によって回動しないようにする。
【0029】
本実施形態では、ギャップ調整機構13の先端部13aが球形状に形成されているため、精密機器搭載用除振装置100のテーブル40がY軸を中心とした回転運動をしても、それに対応して積層ゴム15に対してねじれの力を加えることがない。
Z軸を中心とした回転運動にも対応可能である。
また、窪み14aの直径は、ギャップ調整機構13のボルト部材の径より大きい。
このため、垂直方向(Z軸方向)や積層ゴム15の積層方向と直交する水平方向(Y軸方向)の変位が生じても、積層ゴム15にせん断変形をさせることなく、テーブル変位抑制機構10が機能する。
【0030】
図1Aにおいて、ステージ50が左右方向(X軸方向)に往復運動すると、テーブル40は、除振ユニット20により弾性支持されているので、ステージ50の移動の反力によりテーブル40は、X軸方向に変位する。
例えば、ステージ50が右方向(X軸プラス方向)に動き出す加速運動時に、ステージ50の反力は、左方向(X軸マイナス方向)にテーブル40に働くため、テーブル40は、左方向(X軸マイナス方向)に変位する。
同様に、ステージ50が右方向(X軸プラス方向)に止まり始める減速運動時には、ステージ反力は、右方向(X軸プラス方向)にテーブル40に働くため、テーブル40は、右方向(X軸プラス方向)に変位する。
この変位の大きさが設定したギャップ以上になると、左右いずれかの積層ゴム15に設けたフランジ部材14が、ギャップ調整機構13に接触し始め、積層ゴム15の積層方向の高いばね剛性により、そのギャップ以上の変位は、テーブル変位抑制機構10が無いときに比べて大幅に小さくなる。
【0031】
そして、ステージ50の移動の反力により、テーブル40にギャップ以上の変位が生じようとしたときは、積層ゴム15の積層方向の高いばね剛性により、テーブル40がそのギャップ以上に大きく変位することが抑止される。
ここで、積層ゴム15の軸方向は、大きくない弾性を有するため、接触開始と接触終了の離合時の衝撃が、完全な剛体で抑える場合に比べて小さくできる。
また、積層ゴム15が接触中に装置が積層方向以外に変位するときも、その変位に応じて、積層ゴム15は容易にせん断変形するため、接触中も接触から離れるときも、変位抑制機構10は、積層方向以外に大きな力をテーブル40及びそれに搭載される機器に加えることがない。
【0032】
本実施形態の精密機器搭載用除振装置では、テーブル変位抑制機構10は、2つの積層ゴム15と2つのギャップ調整機構13を有しており、積層ゴム15の積層方向(X軸方向)に対して、テーブル40の両方向の変位に対応することができる。
このため、本実施形態は、両効きモデルとなっている。
【0033】
図5Aは、
図1Aに示す精密機器搭載用除振装置において、テーブル変位抑制機構を設けない場合に、所定条件でステージを移動させた際のテーブルの水平変位の実測結果を示すグラフである。
また、
図5Bは、
図1Aに示す精密機器搭載用除振装置において、テーブル変位抑制機構を設けた場合に、
図5Aの場合と同じ条件でステージを移動させた際のテーブルの水平変位の実測結果を示すグラフである。
図5A、
図5Bとも、
図1Aに示すステージ50をX軸方向に零を中心に左右方向(プラス・マイナス方向)に高速でランダムに移動させた場合のX軸方向の変位の時間的変化を示している。
【0034】
図5Aに示すように、テーブル変位抑制機構10を設けない場合は、テーブル40は、最大値3025μm、最小値−5409μmで、ピークピーク値で8434μmの変位が生じたが、
図5Bに示すように、テーブル変位抑制機構10を設けた場合は、テーブル40は、最大値816μm、最小値−633μmで、ピークピーク値で1448μmの変位に止まった。
このように、テーブル変位抑制機構10を設けた場合は、設けない場合に比べて、変位の大きさをピークピーク値で約6分の1に抑えられた。
なお、ギャップ調整機構13の先端部13aと積層ゴム15に設けたフランジ部材14の窪み14aとのギャップは、500μmである。
【0035】
[第2の実施形態]
図3は、本発明に係る精密機器搭載用除振装置100に用いたテーブル変位抑制機構の他の例を示す断面図である。
また、
図4Aは、本発明に係る精密機器搭載用除振装置の他の例を示す平面図であり、
図4Bは、
図4AのB−B矢視断面図である。
【0036】
図4A、
図4Bに示すように、本実施形態の精密機器搭載用除振装置100’は、第1の実施形態と同様に、テーブル変位抑制機構10’、除振ユニット20、ベース30、テーブル40、ガイド41、及び、ステージ50を備えている。
本実施形態の精密機器搭載用除振装置100’は、テーブル変位抑制機構10’の構成が第1の実施形態と異なるが、除振ユニット20、ベース30、テーブル40、ガイド41、及び、ステージ50等の他の構成については、第1の実施形態で示した精密機器搭載用除振装置100の構成と同様であるので、その説明は、省略する。
【0037】
本実施形態におけるテーブル変位抑制機構10’は、ベース30とテーブル40との間に、除振ユニット20と並列に2個設けられている。
図3に示すように、テーブル変位抑制機構10’は、ステージ50の移動方向と同じ水平方向であるX軸方向に積層された積層ゴム15を有している、積層ゴム15の一端側は、テーブル取付部材17に固着された積層ゴム取付部材16に固着されており、テーブル取付部材17がテーブル40にボルト19によって固定されている。
【0038】
積層ゴム15の他端側には、それぞれフランジ部材14が設けられており、このフランジ部材14の中央外側には、窪み14aが設けられている。
窪み14aの底面は、平坦に形成されている。
また、支持部材12を介してベース取付部材11に対して固定されたギャップ調整機構13が、窪み14aの底面と所定のギャップを際して対向するように設けられている。
支持部材12は、ギャップ調整機構13をベース取付部材11に対して固定するための部材であり、ギャップ調整機構13の取付強度を増すために、例えば、Z軸方向の上面視で、コの字形状に形成しているが、四角形状であってもよい。
【0039】
第1の実施形態におけるテーブル変位抑制機構10では、
図2に示すように、積層ゴム取付部材16の水平方向両側にそれぞれ積層ゴム15が設けられていたが、本実施形態におけるテーブル変位抑制機構10’は、積層ゴム取付部材16の片側に1個の積層ゴム15が設けられており、片効きモデルとなっている。
【0040】
すなわち、本実施形態では、テーブル40が、
図3に示すX軸方向マイナス側(紙面左側)に移動した際は、積層ゴム15がギャップ調整機構13に接触し始め、積層ゴム15の積層方向の高いばね剛性により、そのギャップ以上の変位は、ギャップ調整機構13が無いときに比べて大幅に小さくなる。
一方、テーブル40が、
図3に示すX軸方向プラス側(紙面右側)に移動した際は、テーブル変位抑制機構10’は、ステージ50の変位を抑制することができない。
このため、本実施形態の精密機器搭載用除振装置100’では、
図4A、
図4Bで示すように、一対のテーブル変位抑制機構10’が用いられ、ステージ50の移動方向に対して互いに反対方向で向き合うように取り付けられる。
これによって、テーブル40が、X軸方向(紙面左右方向)のいずれの方向に変位しても、いずれか一方のテーブル変位抑制機構10’が機能するように構成されている。
【0041】
上記の第1の実施形態及び第2の実施形態では、積層ゴム15の一端側をテーブル40対して積層ゴム取付部材16を介して固着し、積層ゴム15の他端側を、ベース30に対して固着されたギャップ調整機構13の球面状の先端と所定のギャップを介して対向するように構成したが、積層ゴム15をベース30側に取り付けるようにしてもよい。
この場合、積層ゴム15の一端側をベース30に対して取付部材を介して固着し、積層ゴム15の他端側を、テーブル40に対して固着されたギャップ調整機構13の球面状の先端と所定のギャップを介して対向するように構成される。
すなわち、例えば、
図2に示すテーブル変位抑制機構10が、Z軸方向(紙面上下方向)で逆になるように、ベース30とテーブル40との間に固着される。
【0042】
以上のように、本発明は、精密機器搭載用除振装置100,100’のテーブル40上で質量の大きいステージ50が高速で動くときも、除振性能を損なうことなく、大きな変位抑制効果を得ることができる。
また、既存の除振ユニット20と並列に本発明におけるテーブル変位抑制機構10,10’を追加で具備することにより、有効に変位を抑制することができる。
【解決手段】除振装置に設けられる変位抑制機構10は、機器の搭載を可能としたテーブル40を設置基準面上に置かれたベース30に対して支持する除振装置に並列に設けられ、積層方向が水平方向になるように取り付けられた積層ゴム15を構成部品として含む。積層ゴム15の一端側が、テーブル40に対して取付部材16を介して固着され、積層ゴム15の他端側が、ベース30に固着されたギャップ調整機構13の球面状の先端と所定のギャップを介して対向している。