(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記少なくとも1つのアクチュエータは、前記複数のプレート上部に配置された少なくとも1つの第2のアクチュエータを備え、前記少なくとも1つの係合部材は、少なくとも1つのナッジ部材を備え、前記第2のアクチュエータは、前記少なくとも1つのナッジ部材を前記複数のロッドの前記回転軸に対して平行に移動させるように構成されており、
前記少なくとも1つのナッジ部材は、前記水平方向に互いにオフセットした第1のアームおよび第2のアームを含み、前記第1のアームおよび前記第2のアームは、それぞれのアームに取り付けられたローラを有し、前記ローラは垂直方向に対して平行な回転軸周囲に回転可能であることを特徴とする請求項4に記載のシステム。
少なくとも1つの第3のアクチュエータをさらに備え、前記少なくとも1つの第3のアクチュエータは、前記ナッジ部材を前記複数のプレートから離れるように上方に選択的に移動させるように構成されることを特徴とする請求項5に記載のシステム。
前記少なくとも1つのナッジ部材は複数のナッジ部材を備え、前記複数のナッジ部材の各ナッジ部材は、水平方向に沿って、前記複数のロッドのうちの隣接するロッドに沿ってに配置されることを特徴とする請求項6に記載のシステム。
前記複数のロッドは、水平方向に対して垂直な垂直方向、および長手方向に沿って互いにオフセットされた複数セットのロッドを含み、前記システムは、前記ロッドのセットの間を移動するように構成された昇降機をさらに備え、
前記昇降機は、一対の昇降機ロッド、および、前記一対の昇降機ロッドを回転するように構成された少なくとも1つの昇降機モータをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のシステム。
前記保管場所P(i、j、k)に配置されるとともに、前記リフトアクチュエータA(i、j、k)上部でオフセットした水平アクチュエータH(i、j、k)を提供するステップであって、各アクチュエータH(i、j、k)は所定の保管場所P(i−i1、j=j1、k=k1)のタイヤを、保管場所P(i1−1、j1、k1)およびP(i1+1、j1、k1)のうち少なくとも1つの場所に持ち上げるように構成された、ステップと、
前記制御器によって、保管場所P(a、b、c)と前記三次元の保管アレイの前記前縁の間に配置された少なくとも1つのタイヤを、水平方向位置i=aから水平方向位置i=a1に移動させるために有効に、前記水平アクチュエータH(i、j、k=c)の少なくとも一部を起動するステップであって、a1がa+1およびa−1のうちの1つと等しく、それにより前記タイヤT(a、b、c)を前記三次元の保管アレイの前記縁部へと転がすことを可能にする、ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
前記保管場所P(i、j、k)に配置されるとともに、前記リフトアクチュエータA(i、j、k)上部でオフセットした水平アクチュエータH(i、j、k)を提供するステップであって、各アクチュエータH(i、j、k)は所定の保管場所P(i−i1、j=j1、k=k1)のタイヤを、保管場所P(i1−1、j1、k1)およびP(i1+1、j1、k1)のうち少なくとも1つの場所に持ち上げるように構成された、ステップと、
前記制御器によって、前記保管場所P(a、b、c)と前記保管アレイの前記前縁との間に別のタイヤが配置されるとの決定に応答して、前記タイヤT(a、b、c)を水平方向位置i= から水平方向位置i=a1に移動させるために有効に水平アクチュエータH(i=a、j=b、k=c)を起動するステップであって、a1がa+1およびa−1のいずれかに等しい、ステップと、をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
前記水平アクチュエータH(i、j、k)は、前記リフトアクチュエータA(i、j、k)に向かって下方向に突出する第1のアームおよび第2のアームをそれぞれ含み、前記第1のアームおよび前記第2のアームは、場所P(i、j、k)のうちの1つに保管されたタイヤの両側に位置する寸法で形成されており、
ピボットアクチュエータV(i、j、k)が、前記制御器に接続された前記水平アクチュエータH(i、j、k)の前記第1のアームおよび前記第2のアームに連結され、前記方法は、前記制御器によって前記水平アクチュエータH(i=a、j=b、k=c)を起動する前に、前記制御器によってピボットアクチュエータV(i=a1、j=b、k=c)を上方に旋回させるように起動するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
前記制御器によって、対応するタイヤの記述に対して、前記位置P(i、j、k)のそれぞれをマッピングするマップを保存するようにさらにプログラムされ、前記方法は、任意の前記リフトアクチュエータA(i、j、k)および前記水平アクチュエータH(i、j、k)による各タイヤの各動作に応答して、前記各動作によって前記各タイヤが移動された先の新たな位置P(i、j、k)に、各タイヤの記述子をマッピングするステップをさらに含み、
前記制御器は、
各タイヤ記述子に関する時期的なアクセス頻度を評価し、
現シーズンに、前記三次元の保管アレイのさらに前記前縁の近辺で、より低頻度でアクセスされたタイヤ記述子に対応するタイヤよりも、現シーズンに、より頻繁にアクセスされたタイヤ記述子に対応するタイヤを移動するために有効に、少なくとも一部の前記リフトアクチュエータA(i、j、k)および前記水平アクチュエータH(i、j、k)を起動するようにさらにプログラムされていることを特徴とする請求項11に記載の方法。
前記三次元の保管アレイは、前記水平方向位置iおよび前記垂直位置kのそれぞれに配置された1または複数のセンサS(i、k)をさらに備え、各センサS(i、k)は長手方向位置j=1および水平方向位置iのタイヤ内の電子チップを検知するように配置され、j=1は、他のすべての長手方向位置j>1よりも前記前縁に最も近い長手方向位置であり、前記制御器は1または複数のセンサに接続されており、
前記方法は、
前記制御器によって前記センサS(i=i2、k=k2)のうち1つの出力を検知するステップであって、i2はLよりも小さい整数であり、k2はNよりも小さい整数である、ステップと、
タイヤ記述子を確定するために前記出力をデコードするステップと、
前記タイヤ記述子を、位置P(i=i2、j=1、k=k2)と対応するように前記マップに保存するステップと、をさらに含み、
前記センサは電子チップリーダであることを特徴とする請求項13に記載の方法。
前記制御器に接続された昇降機をさらに備え、前記方法は、前記タイヤT(a、b、c)を取り出すとの指示に応答して、前記制御器によって前記昇降機の垂直位置k=cへの移動を起動するステップをさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここに開示されるシステムおよび方法は、背景技術の項目で列挙されたすべての問題を解決する。当該システムおよび方法は、はしごに上る要員を使わずに、配送車からタイヤを荷下ろしするのとほぼ同じくらいの速さで、タイヤを在庫棚に配置することが可能である。タイヤは互いに近接して、三次元の保管アレイに保管されるため、従来のラックが占領する空間のほんのわずかな空間でタイヤを保管する自動保管アレイが開示されている。自動保管アレイは、オンデマンドで瞬時に在庫からタイヤを取り出し、配送する。保管アレイに接続された制御器は、保管アレイが使用される毎に店舗コンピュータデータベースのタイヤ在庫データを更新し、結果として、オンデマンドでいつでも物理的な棚卸を行うことができる。
【0039】
さらに、自動保管アレイは、個々のタイヤ在庫の「在庫回転(turns)」を分析し、効率的な取り出しのために、保管アレイのどこに個々のタイヤを保管すべきかを決定することができる、洗練されたコンピュータプログラムの使用を可能にする。
【0040】
図1A、1Bおよび1Cは、保管アレイの動作の原則を概略的に表している。保管アレイのより詳細な実施が以下に説明される。
【0041】
垂直方向に位置するタイヤ101は、2つの小口径のスピンローラ102(タイヤの直径よりも大幅に小さい直径、例えば、タイヤ101の直径の10%以下、または15%以下の直径を有する)で支持されており、その回転軸(および対称軸)はタイヤ101の回転軸と平行である。ローラ102がスピンし、タイヤ101をスピンさせると、タイヤ101は極めて小さな力103で左右に(例えば、水平方向に)移動されてもよく、付加される水平方向の力、すなわち「ナッジ(nudge)」103が大きすぎなければ、タイヤ101の回転の慣性のため、左右の動作中には実質的に垂直状態を保つであろう。
【0042】
図1Aから1Cで明確にされているように、ローラ102は回転方向104を画定し、タイヤ101は回転方向106とは反対方向となる回転方向106を画定する。重力の方向と一致する垂直方向108、垂直方向108に対して直角であるとともにタイヤ101およびローラ102の回転軸に対して直角な長手方向110、ならびに、タイヤ101およびローラ102の回転軸に対して平行な横方向112に関連して、当該動作はさらに理解されるであろう。
図1Aおよび1Cから明らかなように、ローラ102はタイヤの直径よりも短い距離で、長手方向に互いにずれて配置されている。
【0043】
図2Aを参照すると、様々なタイヤ202−206が、同一の長手方向の離隔距離による同一のローラ102を用いて使用されてもよい。結果的に、長手方向110におけるローラ102の離隔距離は、保管されている最小の車輪の直径よりも実質的に小さくなるように、例えばその直径が、ローラ102上に保管される最小の車輪の直径の80パーセントから50パーセントの間であるように選択することができる。
【0044】
図2Bおよび2Cを参照すると、さらにある実施形態では、ローラ102は、それ自体に形成された刻み目201を備えてもよい。図示されている実施形態では、刻み目201は、幅広で極めて浅いローラ102に機械加工された「V字部」201である。例えば、「V字部」201の幅は、その深さの20倍から40倍の間であってもよい。各「V字部」201は、2つの円錐部として具現化されてもよく、左側の円錐部は、中心点に向かってより小さな直径にテーパ状となり、右側の円錐部は、中心点からより大きな直径に広がり、ちょうど、円錐部の幅狭端部が中心点で結合するような形状となる。ローラ102上の各「V字部」201は、隣接するローラ102において、対向し、同様の形状およびサイズの「V字部」201を有する。
【0045】
使用時、一対の「V字部」201内に押しやられる任意のスピンするタイヤ101は、隣接する一対の「V字部」201に向かって横方向に押しやられることがなければ/押しやられるまで、その一対の「V字部」201に収まり、その中にとどまるであろう。「V字部」201の角度は、スピンするタイヤが浅い「V字部」201の側部を上り、すぐ隣の一対の「V字部」201内に移動し、押し込まれるとそこに収まり、一方でスピンするタイヤは実質的に垂直状態を保ち、スピンローラに対して直角となる程度に極めて浅くてもよい。
【0046】
タイヤのトレッド幅が「V字部」201の幅よりも狭く、タイヤ直径が、ローラ102によって押し込まれずに、スピンローラ102によって支持されるのに十分な大きさである場合に、ローラ102の浅い「V字部」201は、任意の形状およびサイズのタイヤ202−206を収容することができる。より幅広でより平坦なトレッドを有するタイヤは、「V字部」201のより高い位置に載ることができ、一方で、より幅狭で丸みのあるトレッド設計のタイヤは「V字部」201のより低い位置に載ることができる。「V字部」201は、同程度の大きさのタイヤがローラ102の各対に保管されるように、保管アレイのすべてのローラ102が均一な寸法であってもよい。
【0047】
モータ208が各ローラ102に接続されてもよい。または単一のモータが複数のローラ102に接続されてもよい。好適には、モータ208は、ローラが両方向に回転できるように、両方向性モータである。モータ208は電気モータ、油圧モータ、空気モータ、または回転動作を誘発可能な任意の他のタイプの装置であってもよい。
【0048】
図3Aおよび3Bを参照すると、ある実施形態では、固定された水平表面301がローラ102およびタイヤ101の外側に、長手方向110に沿って、且つ、タイヤのトレッドの中心線と一致して配置される。水平表面301は、回転するローラ102の頂部、例えば、刻み目201を含むスピンローラ102の最大直径部分に対して垂直方向108に一直線になってもよい。
【0049】
垂直方向に可動な表面302が、2つのローラ102の間で吊り下がっているスピンするタイヤ101の中心部分の下部の第1の位置(
図3A)から持ち上げられる。可動表面302は、好適には第1の位置ではスピンするタイヤ101に接触しない。可動表面302は、その上面が、固定された水平表面301と少なくとも同一平面上、例えば同一の高さになるように、第2の位置(
図3B)に持ち上げられる。第2の位置では、可動表面302の上面は、長手方向108、水平方向112および固定された水平表面301に対して平行であってもよい。
【0050】
タイヤのトレッドと可動表面302との間の摩擦は、タイヤ101を転がすとともに、固定された水平表面301の比較的まっすぐな線上で回転を持続させる。タイヤの回転エネルギーのすべてが表面302との摩擦により放散されない程度に、または、当該回転エネルギーのすべてが並進運動エネルギーに変換されない程度に高速で、タイヤ101が初期時にスピンする場合、タイヤはタイヤ101の回転の慣性により垂直状態を保つ。
【0051】
図示されている実施形態では、反時計回りに回転するローラ102は、タイヤ101を時計回りに回転させる。結果として、可動表面302が第2の位置に持ち上げられると、タイヤ101は右方向に転がる。可動表面302を持ち上げる前に、ローラ102を時計回りにスピンさせることで、左方向への移動が達成されよう。
【0052】
図4Aおよび4Bを参照すると、保管用層401は、保管アレイの他の部分を支持し、他の部品が取り付けられる、簡単な構造の骨組みおよびプラットフォームである。当該保管アレイの典型的な実施形態は、2、3または4またはそれ以上の保管用層401a−401cを有し、それらは上下に積み重ねられ、それぞれが同一の機能を有する。保管用層(階層)401は、それぞれが一対のローラ102を含む、複数のローラ対402a−402fを含んでもよい。各ローラ対402a−402fは、長手方向の保管場所を確定する。これ以降、「ローラ対402a−402f」は「長手方向の保管場所402a−402f」と同義で使用される。図のとおり、開口部404a−404fは、垂直方向に可動な表面302を受けるために、層401の上面403で、各ローラ対402a−402fのローラ102の間に画定される。また、
図4Aおよび4Bから明らかなように、層401の上面403は、ローラ102のローラ対402a−402fの間に延在するとともに、最初のローラ対402aと最後のローラ対402fの域を超えた箇所にも延在する。このように、上面403は、垂直方向に可動な表面302が持ち上がることによりタイヤが転がる場合に、タイヤがその上で転がることが可能な表面を提供している。
【0053】
各ローラ対402a−402fのローラ102は、複数の保管場所406a−406jを画定する。各保管場所は上述の刻み目(インデンテーション)201を含んでもよい。各保管場所406a−406jは、それぞれのローラ対402a−402fのローラ102の間に、保管場所406a−406jに配置された対応する可動表面302を含んでもよい。この場合、個々の場所406a−406jのタイヤは、同一のローラ対402a−402f上に置かれている他のタイヤとは独立して上昇し、転がるようになされてもよい。
【0054】
従って、
図4Aおよび4Bから明らかなように、保管用層401a−401c、ローラ対402a−402f、および保管場所406a−406jの配置が、保管場所の三次元的な配列(アレイ)またはグリッドを提供する。図示される実施形態では、各層401a−401cの垂直方向の場所は垂直座標k(k=1〜3)と画定されてもよい。図示される実施形態では、各ローラ対402a−402fの長手方向位置は長手方向座標j(j=1〜6)と一致する。図示される実施形態では、各保管場所406a−406jの水平方向場所は水平座標i(i=1〜10)と一致する。したがって、保管場所P(i、j、k)の三次元配列は座標i、j、kの各組み合わせによって画定される。
【0055】
各ローラ対402a−402fのローラ102は、ローラデッキの幅とほぼ同様の大きさの水平方向112の幅を有してもよい(例えば80パーセント以内、好適には90パーセント以内)。ローラ対402a−402fの回転軸は、上面403の下部に、平行関係にあってもよく、長手方向110に均等に空間が空けられている。ローラ対402a−402fのローラ102は、ローラ対に含まれるローラの最大直径の頂部が上面403と同一高さになるように、垂直方向108に沿って配置されてもよい。ただし、ある実施形態では、ローラ対402a−402fのローラ102の最高点は上面403よりもわずかに高いか、またはわずかに低くでもよく、その状態においても適切に機能する。
【0056】
保管用層401の各ローラ対402a−402fの個々のローラ102の間の距離は、保管される種々のタイヤの最小直径および最大直径に依存する。様々に異なる直径のタイヤが同時に保管可能であり、また、あらゆるサイズのタイヤがあらゆる保管位置に保管可能である。各ローラ対402a−402fの個々のローラ102間の距離は、好適には、最大直径のタイヤが、スピンしていないときにぐらついて倒れることなく十分に支持される程度に長く、さらに最小直径のタイヤがローラを通って落下したり、ローラによってねじ込まれたりしない程度に短い。保管用層401上のローラ対402a−402fの間の距離は、ローラ対402a−402fに長手方向に隣り合って保管される最大直径のタイヤが接触しない程度に大きいことが好ましい。各ローラ対402a−402fの個々のローラ102の間の空間、および、ローラ対402a−402f自体の間の空間は、保管アレイ全体において、例えばすべての層401a−401cを通じて、すべてのタイヤが保管アレイ内のすべてのタイヤ位置に移動できるように、好適には均一である。ただし、別の実施形態では、あるローラ対402a−402fが、より大きなタイヤ、またはより小さなタイヤにのみ適しているように、ローラ102の非均一な空間およびローラ対402a−402fの非均一な空間が使用されてもよい。
【0057】
ローラ対402a−402fに電力が印加されると、両方のローラが同じ方向にスピンする。ローラ対402a−402f上に置かれたタイヤも(ローラとは反対方向に)スピンし、推進力および回転の慣性を発生させ、タイヤを垂直方向に配向させ、ぐらつきに抵抗する。ある実施形態では、単一のモータが所定の層401a−401cのすべてのローラ対402a−402fを駆動する。別の実施形態では、個々のモータまたは一対のモータが、すべてのローラ対402a−402fを駆動する。
【0058】
層401は在庫管理を促進するための複数の電子要素をさらに含んでいてもよい。水平方向の各保管場所406a−406jにおいて、センサ408a−408jが、第1のローラ対402a上に置かれたスピンするタイヤに近接するが接触しないような形で、第1のローラ対402aのローラ102に隣接する上面403の面上、いずれかの箇所、またはその下部に取り付けられてもよい。具体的には、センサ408a−408jは、スピンするタイヤの電子チップを検知できる程度に、ただし、保管アレイに保管されうる最大または最小サイズのタイヤの影響を受けない程度に近接して配置される。センサ408a−408jは、RFID(無線自動識別)リーダ、電子チップリーダまたは他の検知装置であってもよい。センサ408a−408jは、視覚的符号を読み取るカメラ、バーコードスキャナ、他の光コードスキャナ(例えばQR(クイックレスポンス)コードスキャナ)などの任意の他のタイプの検知装置であってもよい。このように、タイヤは、使用されているセンサ408a−408jのタイプに準じた、タイヤ自体に固定されたRFIDタグ、光コード、または他の検知可能な機構を有してもよい。このように、各タイヤが層401上を転がる際、センサ408a−408jはタイヤを検知し、タイヤの識別子を抽出し、それによって以下に詳述される在庫管理を目的としたタイヤの自動識別を可能にする。層401は、各保管場所406a−406jの前面に、標識ライト410a−410jをさらに含んでもよい。標識ライト410a−410jの機能は以下に詳述される。
【0059】
特に
図4Bを参照すると、タイヤを垂直方向108に沿って層401a−401cを往復して移動させるために、昇降デッキ412が備えられてもよい。昇降デッキ412は、昇降面414および2つのローラ102を含むローラ対416を含んでいる。開口部418がローラ102の間に画定され、開口部408は、層401a−401cと同様に、各水平方向の保管場所406a−406jで垂直昇降面を含んでいる。表面414に対するローラ対416およびローラ102の構成は、上面403に対するローラ対402a−402fの構成と同一であってもよい。
図4Bで明らかなように、昇降面414はローラ対416の周囲に延在し、層401a−401cと昇降面414の間をタイヤが往復して転がることができるように、上面403と同一平面またはほぼ同一平面(例えば0.5〜1cm以内の段差)に配置されてもよい。昇降デッキ412が、ローラ対402a−402fの1つに保管されうるのと同じ数のタイヤ、すなわち、水平方向の保管場所406a−406jの数と同じ数のタイヤを保持してもよいことは明らかである。
【0060】
昇降デッキ412は、制御された状態で、昇降デッキ412を昇降するための当業者に知られた任意の機構に連結されてもよい。図示されている実施形態では、昇降デッキ412は、昇降デッキ412を昇降するのに有効なケーブル420またはチェーン420を巻き上げ且つ巻き下す動作が可能な1または複数のアクチュエータ422に連結されたケーブル420またはチェーン420に連結されている。別の実施形態では、空気式または機械式の昇降システムが使用されてもよい。
【0061】
昇降デッキ412は、各層401a−401cにおける第1の長手方向位置402aに隣接して配置可能であり、層401a−401cの間を垂直方向に移動し、結果としてタイヤ(または複数のタイヤ)を任意の層401a−401cに移動するとともに、タイヤ(または複数のタイヤ)を任意の層401a−401cから受け取ることが可能である。ある実施形態では、昇降デッキ412は、水平アクチュエータ424をさらに含んでおり、この場合、制御器800によって指示されて、水平方向場所406a−406jの間で移動される。例えば、ある実施形態では、昇降デッキ412のローラ対416は、2つの水平方向の保存場所(例えばV字部201)のみを画定する。ある実施形態では、アクチュエータ422が水平アクチュエータ424に取り付けられる。図示されている実施形態では、水平アクチュエータ424はアクチュエータ422によって昇降されている。水平アクチュエータ424は、本分野では知られている、並進運動を実施するための任意の電動式アクチュエータ、機械式アクチュエータ、油圧式アクチュエータ、または空気式アクチュエータとして具現化されてもよい。
【0062】
図4Cを参照すると、使用時にタイヤ101は保管場所P(i、j、k)のいくつか、またはすべての場所に保管されている。ある実施形態では、最後のローラ対402f以外のローラ対は、水平方向の保管場所406a−406jのうち、少なくとも1つの空の水平方向の保管場所を有している。このように、正面部から遠い場所に配置されたタイヤが、層401の前端部に向かって転がって移動できるように、水平方向112に移動されてもよい。または、当該タイヤと層401の前端部の間に配置された別のタイヤを避けるように、タイヤが水平方向112に移動されてもよい。
【0063】
図5Aおよび5Bを参照すると、垂直方向の可動表面302はプレート501の上面であってもよい。
図5Aおよび5Bから明らかなように、長手方向110のプレート501の長さは、プレート501がローラ102の間を障害物がない状態で上昇できるように、ローラ対402a−402fの間の、開口部404a−404fの長手方向の長さよりも小さい。ただし、長手方向の長さは、スピンするタイヤ101にかみ合う表面を提供するのに充分である。(例えば
図5Aおよび5Bのページの)水平方向の長さは、各プレート501が、隣接するプレート501に邪魔されずに上下に移動できるように、保管場所406a−406jの幅よりもわずかに小さい(例えば90から95パーセントの間の幅)。
【0064】
図3Aおよび3Bに関して説明された機能を実現することを目的として、各プレート501およびそれに対応する垂直方向の可動表面302を選択的に上下動させるために、様々な作動手段が使用される。例えば、図示されている実施形態では、プレート501は枢動ロッド502、すなわちプレート502に取り付けられている。空気式または油圧式アクチュエータ504が層401およびロッド502に連結されている。このように、アクチュエータ504は、プレート501を上下動するように選択的に起動されてもよい。機械式アクチュエータ、電気式アクチュエータなどの他のアクチュエータも使用されてもよい。さらに、アクチュエータ504は、枢動動作ではなく、プレート501の正確な垂直動作を発動させてもよい。
【0065】
図5Aに示されているように、プレート501が下方に下がっているとき、タイヤ101はローラ102の回転104により、方向106に向かって制限されることなくスピンする。プレート501が上昇すると、プレート501とタイヤ101との間の摩擦により、タイヤが長手方向110に向かって前方(右方向)に転がる。プレート501の垂直可動表面302は、プレート自体とタイヤ101との間の摩擦を増加するために、凹凸がつけられてもよく、または処理が施されてもよい。当然、ローラ102が反対方向(時計回り)にスピンされた場合、タイヤ101はプレート501の上昇に応答して後方(左方向)に転がるであろう。
【0066】
図5Bを参照すると、個別の水平方向場所406a−406jのためのセンサ408a−408jが、第1の長手方向位置(すなわち、層401の前端部に最も近い位置)のローラ102の間に配置されてもよい。センサ408a−408jは、スピンするタイヤからの影響を受けないで、ローラ102間に配置されたタイヤにできるだけ近接して取り付けられることが好ましい。例えば、センサ408a−408jは、ローラ102に保管される可能性のある最小または最大のタイヤから影響を受けないであろう位置に取り付けられてもよい。
図5Bで明らかなように、センサ408a−408jは、一方のローラ102に対して、ローラ対の他方よりも近接して配置される。このように、ロッド102間の距離の中間地点が、ローラ102に置かれているタイヤの最下点となり、当該距離はタイヤのサイズで大幅に変化するため、センサ408a−408jは広範なサイズのタイヤを検知するように位置している。センサ408a−408jはローラ対のうち、前方ローラ102または後方ローラ102に近接して配置されてもよい。
【0067】
図5Cを参照すると、プレート501は、プレート501が配置されている水平方向の保管場所406a−406jに対応するセンサ408a−408jのための隙間を提供するようなサイズおよび位置の切り込み(ノッチ)409を含んでもよい。図示される実施形態では、切り込み409はプレート501の後縁に配置されている。別の実施形態では、切り込み409は前縁に配置されている。さらに別の実施形態では、センサ408a−408jは、例えばプレート501によって画定されたくぼみで、プレート501に直接取り付けられている。
【0068】
図6A−6Fを参照すると、タイヤ101の水平方向112の動きは、ナッジャ(押出部材、nudger)600によって促進されてもよい。ナッジャ600は枢動ロッド602から下方に延伸するアーム601を含んでもよい。アーム601は、スピンするタイヤ101との接触に応答して回転するローラ604を含んでいる。ローラ604は、単純に、アーム601に回転可能に固定されたスリーブであってもよく、または、回転を促進するための軸受を含んでもよい。ロッド602は、ロッドを水平方向に左右に選択的にスライドする水平アクチュエータ606に取り付けられてもよい。水平アクチュエータは、該当分野で知られている任意の空気式、油圧式、電気式または機械式アクチュエータであってもよい。水平アクチュエータ606の水平方向の動きの範囲は、個々の保管場所406a−406jの左右の幅であってもよい(または、水平方向の動きの範囲は、左端または右端に配置されたナッジャ600に対して、それぞれ、単に右側または単に左側であってもよい)。
【0069】
ロッド602は、枢動アクチュエータ608に取り付けられてもよい。枢動アクチュエータ608は、長手方向に平行な回転軸周囲でロッド602を枢動する。枢動アクチュエータ608は、当該技術分野で知られている任意の空気式、油圧式、電気式または機械式アクチュエータであってもよい。
【0070】
図示されているナッジャ600の一例は、各層401a−401cに対して、各保管場所P(i、j、k)の上部に取り付けられてもよい。例えば、アーム601およびローラ604が下方に下げられ、且つ、動作の水平方向範囲において中心部に位置するとき、それらはローラ対402a−402fにおける対となるローラ間に、長手方向に中心に位置し(ローラ間の中間点から、ローラ102の分離距離の15%以内の位置)、および、保管場所406a−506jの水平方向距離内に、水平方向に配置されてもよい。アーム601とローラ604との分離距離、例えば、ローラ604の内部の大部分の対向する部位は、保管場所406a−406jの幅と等しいか、それよりも小さくてもよい。特に、ローラ604の分離距離および幅は、ナッジャ600のローラ604間に位置するタイヤ101に干渉しないように、ならびに、ナッジャ600に隣接して位置する別のタイヤ101に干渉しないように設定されてもよい。スピンするタイヤ101に干渉する可能性のあるアーム601以外にも、ロッド602、アクチュエータ606、608、およびナッジャ600の他の任意の構造体が、層の上面403の上部に、機械に保管される最大サイズのタイヤの直径よりも高い場所に配置される。
【0071】
タイヤを長手方向位置j=j
1から隣接する場所j=j
2に、水平方向12に向かって移動させるために、場所P(i、j
2、k)用の枢動アクチュエータ608は、アーム601を上方に、道を空けるように(out of the way)枢動する(
図6A参照)。または、水平アクチュエータ608はアーム601を水平方向に、道を空けるように枢動する。場所P(i、j
1、k)用の水平アクチュエータ606は、次に、アーム601を位置j
2に向かって水平方向に移動する(左方向の動作は
図6Cおよび6Dを、右方向の動作は
図6Eおよび6Fを参照のこと)。場所P(i、j
1、k)用の枢動アクチュエータ608は、次に、アーム601を上方に、道を空けるように移動し、アーム601をスライドさせて長手方向位置j
1に戻す。場所P(i、j
1、k)およびP(i、j
2、k)用の枢動アクチュエータ608は、次に、その場所に置かれたタイヤがアーム601の間に配置されるように、アーム601を下方に枢動してもよい(
図6B参照)。
【0072】
各ナッジャ600は、以下の機能のいずれか、または両方を実施することができる。(a)上述のように、ナッジャ直下の保管位置から、隣接する保管位置へと横方向にスピンするタイヤを移動させる。(2)タイヤの移動中、且つ、タイヤの静止中、タイヤ101の位置状態を安定させる。トレッドの形状により、タイヤによっては、保管位置の間を移動する際にぐらついたり、スピンが停止した際に片方に傾く傾向にある。
【0073】
上記のように、各層401は、センサ408a−408jのセットを各水平方向の保管場所406a−406jに含んでもよい。
図7A−7Fは電子チップをタイヤ101のトレッドに注入するための機械700および使用方法を図示している。
【0074】
機械700は、鋭い先端を形成する1または複数の傾斜面704を含むプローブ702を含んでもよい。好適には、プローブ702は、標準的な自動車用タイヤのトレッドを貫通するのに十分な強度を有し、傾斜面704は、標準的な自動車用タイヤのトレッドを貫通するのに十分に鋭い先端を画定する。電子チップを受けるために、レセプタクル706がプローブ702に画定される。図示される実施例では、レセプタクル706は、傾斜面704のうちの1つに対して垂直に内側方向に延在するポケットである。溝708は、プローブ702を通じて延伸し、レセプタクル706に流体連結する。
【0075】
プローブ702は、シリンダ712内に位置するピストン710に取り付けられてもよい。注入口714は、圧縮ガスまたは液体をシリンダ712に供給するために、シリンダ712と流体連結している。ポスト(棒状体)716が、ピストン710からシリンダ712の端部キャップ718を通って延伸してもよい。溝708はポスト716を通って注入口720へと延伸する。
【0076】
使用時、電子チップ722はレセプタクル706内部に配置される(
図7B参照)。そして、機械700がタイヤ101上に降下する(
図7C参照)。圧縮ガスまたは液体724が注入口714を通ってシリンダ712に注入され、それによりピストン710がプローブ702をタイヤ101のトレッドに押し込む(
図7D参照)。圧縮気体または液体726が注入口720に注入され、電子チップ722をレセプタクル706から押し出す(
図7E参照)。電子チップ722をタイヤ101のトレッド内に残して、プローブ702が引き抜かれる(
図7F参照)。好適には、電子チップは、外に飛び出してこない程度に、ただし、タイヤ101の完全性または強度を阻害しない程度に、タイヤ101のトレッド内部に十分に深く配置される。
【0077】
図8を参照すると、汎用コンピュータ、プログラマブル論理制御装置(PLC)、それら2つの組合せ、または任意の他のプログラマブル論理回路によって具現化される制御器800は、保管アレイのタイヤの保管および取り出しを制御し、および、他の在庫管理機能を実行するために、上述のいくつかのアクチュエータ、またはすべてのアクチュエータに接続されてもよい。全体的な、または部分的な制御器として、汎用コンピュータ800を含む実施形態では、汎用コンピュータ800は、1または複数の処理装置、および、当該1または複数の処理装置に接続された1または複数のメモリ装置を含んでもよく、当該1または複数のメモリ装置は、この場合、制御器800に帰する保管、取り出し、および在庫管理機能のすべてまたは一部を実施するのに有効な実行コードを記憶している。
【0078】
例えば、制御器800は、モータ208、昇降機アクチュエータ422、424、リフトアクチュエータ504、水平アクチュエータ606、および、枢動アクチュエータ608に動作可能に接続されてもよい。制御器800は、アクチュエータのタイプ(電気式、機械式、油圧式、空気式)に従った任意の既知の方法によって、これらのアクチュエータを始動、停止するように動作可能であってもよい。制御器800は、上記のように保管アレイへのタイヤの投入が検知及び処理されるように、センサ408a−408jにさらに接続されてもよい。制御器800に接続されて表示されている例示の構成要素は、PLCを通じて、図示されている構成要素を汎用コンピュータに接続することによって実行されてもよい。
【0079】
制御器800は、さらに、タイヤ101が保管されている各保管場所P(i、j、k)にタイヤ記述子をマッピングする保管マップ802を保存し、または、該保管マップ802にアクセスしてもよい。制御器800は、どのタイヤが年間を通じた所定の時期にもっとも取り出されたか、すなわち、1週間、1か月または他の期間毎のアクセスにおいて測定されたアクセス頻度の季節的変動を断定するために、タイヤが保管アレイから取り出され、および/または保管アレイに投入された時を記録するアクセス履歴804を保存し、または、該アクセス履歴804にアクセスしてもよい。保管アレイに関して、制御器800によって実施されうる様々な保管および取り出し方法および在庫管理技術が以下に説明される。
【0080】
一般的なタイヤ在庫アプリケーションが、上記の保管アレイに固有の1または複数のプログラムとともに、制御器800によって実施されてもよい。具体的には、これらのプログラムは、各タイヤの正確な保管場所P(i、j、k)が分かるように、保管マップ802を維持してもよい。具体的には、制御器800が、第1の場所P(i1、j1、k1)から第2の場所P(i2、j2、k2)へのタイヤの移動を発生させるときはいつでも、保管マップは、タイヤの識別子または他の記述子を第2の場所にマッピングするために更新されてもよい。このように、保管マップ802は、機械の作動中にタイヤが何度移動されても、または機械にタイヤがどれだけ長期にわたり保管されていても、保管アレイ内の個々のタイヤの正確な場所を常に記録する。
【0081】
保管アレイは、機械の望ましい総タイヤ保管容量、機械が保管される建物の天井高さ(および、層401a−401cの可能な層数)、層401a−401cにおけるローラ対402a−402fの数および長さ、および、その専有面積の長さと幅の変動、センサ408a−408jの配置および個数などによって、数多くの実施形態または構成を有することが可能である。ただし、基本的な動作は変更される必要がない。
【0082】
図9Aを参照すると、保管アレイの作動は、行軍隊列で用いられるランクアンドファイル(rank and file)の概念を使用すると理解されてもよい。人が、密集した陣形の正面に対面して立っている場合、肩を並べて立っている兵士の第1の行(row)が第1のランクであり、第2の行が第2のランクであり、以下、最後の行(ランク)まで同様に続く。前から後ろに向かって、第1のランクの各兵士の後ろに並んでいる兵士の個々の列(line)がファイルである。ファイルは左から右に番号が振られる。各兵士がどのランクおよびファイルにいるかを知ることによって、個々の兵士の正確な場所を指摘することができる。
【0083】
図9Aに示されるように、図示されている例では、保管アレイは水平方向位置i=1〜L(L=4)としてファイルを画定してもよい。各水平方向場所Iは、水平方向場所406a−406jと一致する。また、各水平方向場所Iは、ここに説明される水平方向保管場所のすべての属性を有し、当該属性は、
図5および6に関して記載されているように、プレート501および対応するアクチュエータ504、ならびに、対応するアクチュエータ606および608を備えたナッジャ600を含んでいる。
【0084】
図示されている例では、
図9Aで位置j=1〜M(M=4)として示されているように、保管アレイは、ランクを長手方向位置402a−402fとして画定してもよい。
図2Aから2Cに関して上記で説明されているように、各長手方向位置は、一対のローラ102、および、制御器800によって方向づけられたいずれかの方向にローラ102を回転するための1または複数のモータ208を含んでいる。図示されている実施形態では、各層401a−401cは、垂直位置k=1〜N(N=3)である。L、MおよびNの値は場所の専有面積および高さ制限、ならびに場所の保管ニーズに応じた任意の整数であってもよい。
【0085】
第1の長手方向位置j=1の正面で、表示ライト410a−410jおよびセンサ408a−408jが各水平方向保管場所406a−406jに配置されている。簡略化のために、
図9Aで、各表示ライトは「G」とラベルされた行に記載されており、各センサは「S」とラベルされた行に記載されている。ある実施形態では、各表示ライトG=1からLは緑色または赤色ライトを発光するように作動されてもよい。保管マップを使用して、制御器800が保管アレイのそれぞれの空の場所P(i、j、k)を特定してもよい。これに応じて、制御器800は、その水平方向場所iの長手方向位置のどこかで、少なくとも1つの空き位置が存在する場合には、表示ライトG=iを緑色発光させる。制御器800は、特定の水平方向場所iに空き位置が存在しない場合には、特定の水平方向位置iの表示ライトG=iを赤色発光させる。
【0086】
空の位置P(i、j、k)に対応する、層kの前端部の長手方向位置j=1の水平方向場所にタイヤが積み込まれる。機械への積み込み時、長手方向位置j=1のローラ102は制御器800によって回転させられ(保管アレイの中央部から離れた最上位部分)、これにより、ローラ上に置かれたタイヤ101を保管アレイの後方に向かって後方方向にスピンさせる(j=M)。この地点で、センサS=iは当該タイヤ101の識別情報を読み取り、その情報を、第1の長手方向位置jのタイヤの正確な水平方向場所iと共に、制御器800に送信する。制御器800は在庫および保管マップの更新にこの情報を使用する。
【0087】
特に
図9Aを参照すると、保管マップ802は、層k=1の水平方向場所i=2の、長手方向位置jの1つが空いていることを示している。したがって、表示ライトG=2が緑色発光する。タイヤAが垂直場所k=1の水平方向位置i=2に積み込まれる。垂直場所k=2のセンサS=2によって読み出されたデータに対応するタイヤAの記述が、保管マップ802の場所P(2、1、1)にマッピングされる。タイヤ101と一致するタイヤモデルのもう1つのユニットが保管アレイ内で利用可能であることを表示するために、在庫記録が更新されてもよい。
【0088】
図9Bを参照すると、タイヤAは、ナッジャ600を使用して、タイヤAの現在の場所P(i、j、k)(図示されている例ではP(2、1、1))で、その現在の長手方向位置の任意の位置へ横方向にナッジ(押し出す)することによって、積み込まれた初期位置から、保管アレイの任意の位置に移動することができる。タイヤAは、現在の場所のローラ102が前方にスピンしている(保管アレイの前端部に向かって上面が移動している)場合、その現在の場所P(2、1、1)でプレート501を持ち上げることにより、第2の、すなわち他の長手方向位置402bから402fに向かって後方に移動されてもよい。
【0089】
例えば、場所P(2、1、1)のタイヤA下部のプレート501のみを持ち上げることにより、スピンするタイヤAを第2の長手方向位置j=2(位置P(2、2、1))に送り、ここでタイヤAは長手方向位置j=2のローラ102の間に収まる(
図9BのA1を参照のこと)。最後の長手方向位置j=Mを除く、すべての長手方向保管場所jの特定の水平方向場所iですべてのプレート501を持ち上げることにより、
図9Bに示されるように、最後の長手方向位置P(2、4、1)にタイヤAが転がって送られる(A2参照)。当然のことながら、2つ、3つ、または他の数の隣接するプレート501を持ち上げることにより、タイヤAは長手方向位置jの対応する2つ、3つ、または他の数の長手方向位置jによって後方または前方に移動されうる。場所P(2、1、1)で左右にナッジャ600を動かすことにより、タイヤAはP(3、1、1)またはP(1、1、1)に移動されてもよい(A3およびA4参照)。
【0090】
隣接する水平方向または長手方向場所が、現在のところ、別のタイヤで占有されていない場合、該当するプレート501を持ち上げ、ナッジャ600を始動することにより、任意の位置P(i1、j1、k1)の個々のタイヤが、任意の別の位置(i2、j2、k2)に送られることが可能である。
【0091】
例えば、長手方向保管場所j=1からMのローラ102が機械の後部に向かって後方に回転している場合、ローラに置かれたタイヤは第1の長手方向位置j=1に向かって前方に回転する。1または複数の場所P(i、j、k)でプレート501を持ち上げることにより、タイヤは保管アレイの前端部に向かって、対応する1または複数の場所の前方に転がる。よって、保管アレイ内のタイヤは、積み下ろしのために、第1の長手方向位置j=1のどの位置にも移動可能である。
【0092】
図9Cを参照すると、保管アレイの任意の方向にタイヤを移動させることは、タイヤを移動することが可能な空の位置があることを明確に想定している。理論上、層k内の少なくとも1つの位置がタイヤによって占有されていない場合、特定の層k内の任意の位置の任意のタイヤは、ローラ102、ナッジャ600およびプレート501の適切な動作によって、層k内の任意の別の位置に移動されることが可能である。実際面では、各層kは、各長手方向位置jの少なくとも1つの空の水平方向場所iが存在するように、荷積みされてもよい。このように、ナッジャ600に、タイヤ101の現在位置と所望位置との間の全てのタイヤを、そのタイヤの水平方向場所406a−406jの外部に移動させることで、層kの任意の場所の任意のタイヤは、層k内の任意の長手方向位置j>1と、第1の長手方向位置j=1における任意の位置の間を行き来できる「クリアショット(障害物なく進行できる経路)」を備えていてもよい。このように、長手方向位置402a−402fの間のタイヤ101の動作は、タイヤ101が荷積みまたは荷下ろしされるときにのみ必要とされる。
【0093】
例えば、
図9Cの例では、タイヤAを位置P(2、4、1)から位置P(2、1、1)に移動するために、制御器はナッジャ600に、タイヤBを位置P(2、3、1)から位置P(3、3、1)に移動させる(B1参照)とともに、タイヤCを位置P(2、2、1)から位置P(3、2、1)に移動させる(C1参照)。場所P(2、4、1)、P(2、3、1)およびP(2、2、1)でのプレート501は、長手方向位置j=2から4のローラ102が後方に向かってスピンしている間、持ち上げられてもよい。その後、タイヤAは場所(2、1、1)に向かって前方に転がされ、ここでタイヤAは昇降機412に荷下ろしまたは荷積みされてもよい。
【0094】
上記のとおり、保管マップ802は、各タイヤA、B、Cの現在場所P(i、j、k)に格納するための各タイヤA、B、Cの各動作に応答して、保管アレイ内の各タイヤA、B、Cの場所が常時把握可能であるように、制御器800によって更新される。
【0095】
制御器800は、第1の長手方向位置j=1のセンサS=1からLによって取得された情報に応答して、保管アレイからタイヤを出し入れする毎に在庫データベースを更新してもよい。タイヤが機械から取り出されるタイミングでのタイヤデータの読み取りは、二重の安全機能である。これは、制御器800が保管アレイからのタイヤの取り出し動作を発生させるため、センサS=1からLの1つによる出力を伴うことなく、その取り出しを検出するためである。
【0096】
保管マップ802のデータが喪失した場合、制御器800は、
図9CのタイヤAに関する上記方法を使用して、各タイヤを少なくとも一時的に、水平方向保管場所i=1からL、第1の長手方向位置j=1に移動してもよい。このように、センサS=1からLは、タイヤに備えられた電子チップを検知し、それに従って保管マップ802を更新してもよい。上記は時間のかかる方法ではあるが、完全に自動化されており、実施形態によってはこの手順の実行開始を行う以外は、人間の行為を必要としない。喪失した保管マップ802を回復するために使用される同一手順が、定期的に物理的な棚卸を行う賃貸人(lender)および経理担当者の要件を満たすために、保管アレイの内容を検証するのに使用されてもよい。
【0097】
例えば、長期にわたる、各タイヤサイズの売上および「在庫回転(例えば、販売されて取り出され、同じタイプのタイヤの新しい実例と置き換えられたケース)」の数を分析し、最も速く売れた(一定期間に最も多くの「在庫回転」が実現された)タイヤを機械の前方ラックに配置し、結果として、それらのタイヤを在庫回転の頻度が少ないサイズのタイヤよりも素早く取り出しできるように、制御器800が実行するプログラムの変更およびプログラムへの追加が行われてもよい。
【0098】
さらに、保管アレイの機械部品と制御器800との組合せは、動作を改善するために様々な修正を可能にする。例えば、上記のように、一定のタイヤサイズおよびトレッドの外形は、各長手方向位置jのローラ102の浅い「V字部」201でぐらついたり、および/または左右に動きやすい。しかしこのぐらつきは、ある回転速度では発生しない。制御器800は、特定の保管場所P(i、j、k)のナッジャ600のアームに付加される力を検知するなどして、タイヤのぐらつきを検知してもよい。よって、制御器800は、(例えば、速度を調節したり、付随するぐらつきを測定することにより)各位置の各タイヤに許容可能な回転速度の範囲を画定してもよい。このように、特定のタイヤが長手方向位置j=j1から長手方向位置j2へ、または水平方向場所i=i1から別の水平方向場所i=i2へと移動されたとき、制御器800はローラ102に特定のタイヤを係合させ、当該タイヤに許容可能な回転速度の範囲で回転させてもよい。同様に、スピンするタイヤが前方または後方に向かって長手方向位置jに1ランクのみの範囲で移動される場合、タイヤは、例えば7つ分のランクを移動した場合ほどの初期回転速度を必要としない。制御器800は、ローラ102に係合するタイヤに、長手方向位置402a−402fの所望の数を移動させるのに十分な運動エネルギーを付加するに足る速度で、タイヤをスピンさせ、運動エネルギーの大きさは、タイヤが移動する長手方向位置の数に応じて増加する。
【0099】
図9Dを参照すると、制御器800は、機械の積み込みのために、表示装置のインタフェースの表示「新しいタイヤの在庫の積み込み」を呼び出してもよい。制御器800は、層k=1(最下層)の第1の長手方向位置j=1のローラ102の回転を起動して、前方方向の回転を開始する(その結果、第1のランクのローラ対上のタイヤは後方にスピンする)。層k=1のすべてのプレートは、その下方位置に移動されるか、そのままの位置に残される(
図5B参照)。
【0100】
図9の例では、操作者はその後、緑色表示ライトG=Iを有する第1の長手方向位置j=1の任意の水平場所i、位置P(3、1、1)に新たなタイヤAを転がす。次いで、制御器800は、人間によるさらなる入力を必要とせず、新たな1つのタイヤ(または複数のタイヤ)の後続の動作を自動的に実行する。新たに積み込まれたタイヤAは、第1の長手方向位置j=1のローラ102の回転により、即座に後方にスピンし始め、新たに積み込まれたタイヤの水平方向場所iのセンサS=iはタイヤ内の電子チップからタイヤ識別データを読み出し、その情報を制御器800に送信する(図示されている例では、センサS=3)。
【0101】
次いで、制御器800は新たに積み込まれたタイヤAを現在位置P(3、1、1)に置いたままにするか、もしくは、当該新たに積み込まれたタイヤに新たな保管場所を定めてもよい。例えば、制御器800は、積み込まれたタイヤを長手方向に移動させ、ただし先に積み込まれた水平場所iと同じ場所に保管させてもよい。例えば、
図9Dの例では、タイヤAは位置P(3、4、1)に移動されてもよい(A1参照)。ある事例では、制御器800は、1または複数の位置P(i、j、k)の該当するナッジャ600およびプレート501、ならびに該当する長手方向位置jのローラ102に、新たに保管されたタイヤを新たな場所に移動するように命令してもよく、さらに、新たに積み込まれたタイヤ用に、第1の長手方向場所402aから新しい長手方向および/または水平方向場所に、障害物のない経路を開くために、介在するタイヤを長手方向または横方向に移動するように命令してもよい。
【0102】
例えば、
図9Dに示されているように、タイヤAを位置P(2、4、1)に移動するために、位置j=1のローラが、制御器800によって前方にスピンされてもよい。制御器800は、位置P(3、1、1)のナッジャ600に、タイヤAを位置P(2、1、1)に移動させる(A2参照)。制御器800は長手方向位置j=3および2のロッド102を前方方向にスピンさせる。制御器800は、位置P(2、2、1)およびP(2、3、1)のナッジャ600に、タイヤBおよびCを、位置P(3、2、1)およびP(3、3、1)にそれぞれ強く押し出させる(C1およびB1参照)。位置P(2、1、1)、P(2、2、1)およびP(2、3、1)のプレート501は持ち上げられ、それによって、タイヤAを位置P(2、4、1)に転がし、そこに収める(A3参照)。
【0103】
上記のように、各タイヤの各動作は制御器によって記録され、積み込みの際にタイヤAを検知したセンサS=3の出力に付随して、新たに積み込まれたタイヤに対応する情報を含む保管マップ802を更新するために使用される。例えば、新たに積み込まれたタイヤAの識別子または他の記述子が、センサS=3で検知されたデータを使用して読み出され、新たに積み込まれたタイヤの保管場所に対応するように、保管マップに保存されてもよい。
【0104】
在庫からタイヤを取り出すために、操作者はタイヤの識別子を入力するか、または制御器800によって表示装置に表示されるインタフェースの「在庫からタイヤを取り出し」のタイヤ識別子を選択してもよい。例えば、操作者は、取り出すタイヤの数量および種類を入力してもよい。制御器800は、保管マップ802を使用して、各記述子を保管場所にマッピングし、その保管場所にあるタイヤを第1の長手方向位置402aに移動させる動作を起動する。
【0105】
例えば、位置P(i1、j1、k1)から取り出されるタイヤ(「所望のタイヤ」)に関して、制御器800は、第1の長手方向位置j=1、または、同じ水平方向場所i1にある、介在する長手方向位置1<j<j1に配置されたタイヤの水平方向の動作を起動してもよい。それによって、所望のタイヤが第1の長手方向位置j=1に到着するための障害物のない経路が開かれ、場合によっては、第1の長手方向位置402aから、昇降デッキ412上に移動する。したがって、制御器800は、垂直方向位置k1および水平方向位置i1に配置されるべき昇降デッキ412の水平方向および/または垂直動作を起動してもよい。所望のタイヤ、および、介在するタイヤのこれらの動作のそれぞれに応答して、制御器800は、所望のタイヤの取り出し、および、移動された介在するタイヤの新たな場所を反映するように、保管マップ802を更新する。制御器800は、所望のタイヤの取り出しを反映するように、在庫データベースをさらに更新してもよい。また、在庫情報から取り出された1または複数の所望のタイヤの請求書、在庫補充の注文、および、在庫管理タスクの記録または指示に関する他の書式といった文書の作成を起動してもよい。
【0106】
一般的な設定では、床面積を節約するために、3または4の層であるk=1から3、またはk=1から4が互いに最上部に配置されているが、高さ制限に応じて他の数量の層が使用されてもよい。したがって、複数層の実施形態では、保管マップ802は、層k内の個々のタイヤの位置、および、タイヤがその上に配置される層kの両方を記録する。よって、タイヤを取り出すという指示に応答して、タイヤが配置される層kが保管マップ802から決定され、その層kのナッジャ600、プレート501、およびロッド102が上記方法で始動され、そのタイヤを当該層kの第1の長手方向位置j=1に持って行き、場合によっては第1の長手方向j=1から昇降デッキ412上に持って行く。同様に、当該層kと長手方向および垂直方向に整列する昇降デッキ412の動作は、制御器によって起動され、昇降デッキ412を下降してタイヤの取り出しを可能にする。
【0107】
在庫取り出しの例が
図9Eに示されており、所望のタイヤは位置P(2、4、3)のタイヤAである。よって、制御器は、昇降デッキ412の保管場所の1つが、層k=3の水平方向場所i=2に水平方向および垂直方向に整列するように、昇降デッキ412の動作を起動する。次いで、制御器800は、層k=3の長手方向位置1から4を通して、ローラ102の後方方向のスピンを起動する。その後、制御器800は位置P(2、3、3)およびP(2、2、3)のナッジャ600に、タイヤBおよびCを位置P(3、3、3)およびP(3、2、3)にそれぞれ移動させる(C1およびB1参照)。次いで、制御器800は位置P(2、4、3)、P(2、3、3)、P(2、2、3)およびP(2、1、3)のプレート501を持ち上げさせ、それによって、タイヤAを昇降機412上に転がす(A2参照)。最下層のタイヤに関しては、制御器800は昇降機412ではなく、単に第1の長手方向位置j=1に所望のタイヤを転がす。タイヤAが層k=1以外の層にある場合、昇降機412は、昇降デッキ412にタイヤAを転がした後の取り出しのために、タイヤAを層k=1の垂直高さ、またはその高さ付近にまで降下してもよい。
【0108】
ある例示的実施形態では、保管アレイは12フィート(約3.66メートル)の天井高さの建物内に収容され、この状況は、例えば、機械の層数を3層k=1から3に制限する。各層kは上記の層401の特性のいくつか、またはすべてを有している。ある例では、層kは8の長手方向位置j=1から8を画定し、それぞれが上記の長手方向保管場所420a−402fと同じ特性を有している。各層kは10の水平方向保管場所i=1から10をさらに画定してもよい。したがって、各層k=1から3は80のタイヤ保管場所を有する。したがって、3の層k=1から3と併せて、合計240のタイヤ保管スペースを提供する。動作の効率性のために、タイヤの保管アレイの事実上の合計収容可能数を約210に減少して、各長手方向場所jには1の空のスペースが残されるべきである。
【0109】
保管アレイが、最大直径31インチ、最大幅10インチのタイヤ用に設計され、各層kの端部周囲に、追加的な機械部品や枠体が取り付け可能であると仮定すると、各層kおよび、結果として、210個のタイヤを保管するための保管アレイの専有面積は、約12フィート×22フィート、すなわち、244平方フィートである。これは、タイヤの保管、迅速な備蓄、取り出し、在庫管理を行う保管アレイのためのタイヤ毎の床面積が、驚異的に小さい1.25平方フィートであることを意味する。
【0110】
この実施形態では、保管アレイは、タイヤの第1の長手方向場所j=0に隣接した前端部から積み込みおよび積み下ろしされる。この側面からのみアクセスが必要である。他の三方は壁や他の機械、他の保管用部品と対面していてもよい。ある実施形態では、制御器800は、可撓ケーブルで保管アレイの様々なアクチュエータに接続されたディスプレイやキーボードを含む独立型コンソールによるコンピュータ画面を含んでもよい。ある実施形態では、識別用電子チップ722をタイヤに挿入するための装置700(
図7A参照)も独立型機械である。ただし、これらの部品(画面、キーボード、および/または電子チップ挿入機)の1つまたは両方が、それらの部品または保管アレイの機能を変更することなく、保管アレイ本体に組み込まれるか、もしくは分離したデスクか作業台の上に置かれてもよい。
【0111】
図9Fを参照すると、昇降デッキ412は、タイヤ積荷を受領すると、前方を向いた状態の(上面が保管アレイの後方に向いている)昇降デッキ412上のローラ対416の、水平方向保管場所(例えば一対の「V字部」201)の上に1または複数のタイヤA、Bを転がすことで積載される。次に、1または複数のタイヤA、Bは保管アレイの後端部に向かってスピンし始める。次いで、制御器800によって制御された昇降デッキ412は、1または複数のタイヤA、Bを受ける層kまで上昇する。図示されている例では、タイヤA、Bは、層k=1の高さで昇降デッキ412に積み込まれ、その後、昇降デッキ412はタイヤA、Bを層k=3に移動する(A1、B1参照)。制御器800は、昇降デッキ412に、所望の層(この例ではk=3)と同じ高さで昇降デッキを停止させ、タイヤを受ける予定の第1の長手方向位置の目標の水平場所に昇降デッキを移動するのに必要な水平方向動作を起動する。例えば、
図9Fでは、昇降機は、層k=1の水平方向場所i=1および2に整列した状態から、層k=3の水平方向場所i=3および4に整列した状態に移動する。制御器800は、昇降デッキ412のプレート501の片方または両方を持ち上げる動作を起動し、プレート501は、第1の長手方向位置j=1の選択された水平方向場所(この例ではi=3および4、A2およびB2参照)に対して、スピンするタイヤA、Bの片方または両方を蹴り出す。昇降デッキ412上に複数のタイヤが存在する可能性がある限り、このプロセスが各タイヤに対して繰り返されてもよい。すなわち、昇降機が各タイヤのために水平方向および垂直方向位置に移動されてもよい。例えば、タイヤAはタイヤBの水平方向場所i=4のすぐ隣に接するように配置されるのではなく、水平方向場所i=1または2で蹴り出されてもよい。
【0112】
制御器800は、新たに積み込まれたタイヤ位置と、その最終位置との間の長手方向位置jのロッド102をスピンさせる。さらに制御器800は、前部長手方向位置から最終保管位置に向かって「クリアショット」を提供するために、ナッジャ600の一部に、タイヤの最終保管位置に配置されているタイヤ、および、介在しているタイヤを移動させる。または、新たに積み込まれたタイヤは、別の長手方向位置j>1に「クリアショット」を設けるために、異なる水平方向位置iに移されてもよい。例えば、タイヤCおよびDは、タイヤAが位置P(3、1、3)から位置P(3、4、3)に移動できるように、位置P(3、2、3)およびP(3、3、3)から移動されてもよい(A3参照)。前部長手方向位置と最終保管位置(図示されている例ではP(3、2、3)とP(3、3、3))に位置する、最終保管場所の水平方向位置i(図示されている例ではi=3)に配置されているすべてのプレート501は、最終保管位置のプレート501(図示されている例ではP(3、4、3))を除いて、制御器800によって上昇される。最終保管位置(図示されている例ではj=4)の長手方向位置のローラ102は、スピンするタイヤが最終保管位置に収容されるように、最終保管位置のタイヤの到着よりも前に制御器800によってスピンされる。
【0113】
長手方向位置jに対して1つの空の水平方向場所iが存在する可能性がある限り、このプロセスは、同時に1つの「クリアショット」が創出されるように、昇降機412によって同時に移動される各タイヤA、Bに対して連続して繰り返されてもよい。よって、タイヤAの位置P(3、2、3)への移動に続き、1または複数のタイヤが、図示されている例では、位置P(4、4、3)に到着するために、タイヤBにクリアショットを提供するように、邪魔にならないように移動されてもよい(B3参照)。
【0114】
在庫からのタイヤの取り出しは、
図9Fのプロセスを逆にしたものである。例えば、操作者は、制御器800によって表示装置上に表示されるインタフェースの「在庫からのタイヤを取り出し」を選択してもよい。次いで、インタフェースは「取り出すタイヤを選択」と表示する。次いで、操作者は保管されたタイヤのリストをスクロールダウンし、1または複数の所望のタイヤを選択することができる。また、操作者は、個々のタイヤの識別子を選択するのではなく、タイヤのサイズ、型番および数量を入力してもよい。いずれのケースでも、保管アレイは、ローラ102、ナッジャ600、プレート501および昇降機の操作を通じて、命令を受けたタイヤを、最下層k=1の第1の長手方向位置j=1に、もしくは、命令を受けたタイヤが層k>1に保管されている場合には、所望のタイヤと共に床面高さに降下した昇降デッキ412に供給する。
【0115】
その後、所望のタイヤがその上に配置された最下層k=1上の各水平方向位置i=1からLの表示ライトG=1からLは、制御器800によって、第1の長手方向位置に配置されたタイヤが取り出し可能となったことを示す緑色点滅の状態となる。次に、操作者は、最下層k=1の第1の長手方向位置j=1から手動でタイヤを取り出すか、もしくは、昇降機または選択されたタイヤの下部のプレート501が上昇し、保管アレイの前部エリアに当該タイヤを蹴り出す。最下層k=1および昇降デッキ412のセンサS=1からLはタイヤが取り出されたこと、すなわち、タイヤを検知していないことを検証し、制御器800は保管マップ802およびその在庫記録をそのように整備する。
【0116】
タイヤAの在庫からの取り出しは、
図9Fの例の逆の手順を使用することで理解されるであろう。昇降機412は、制御器800がそのローラ対416に保管アレイの後部に向かってスピンさせること、および、そのプレート501に移動させるか、もしくは下方に維持させることによって積み込まれる。制御器800は、取り出されるタイヤを含む層kの水平方向場所iの前部に昇降機412が配置されるように、昇降機412を水平方向および/または垂直方向に移動させる(図示されている例では、層k=3および水平方向場所i=2)。制御器800は、層kの長手方向位置jにあり、取り出されるタイヤを含んでおり(タイヤAおよびBに関してj=4(A3、B3参照))、また、そこから第1の長手方向位置j=1までの、および第1の長手方向位置j=1を含む、すべての長手方向位置の(
図9Fの例では長手方向位置j=1から4)ローラ102に、保管アレイの後部に向かって回転を開始させ、したがって、これらのローラ対上のタイヤは、保管アレイの前部に向かってスピンを開始する。
【0117】
上記のとおり、ナッジャ600は、取り出されるタイヤから昇降デッキ412までの「クリーンショット」を創出する。さらに、もしくは代替的に、取り出されるタイヤは、昇降デッキ412へのクリーンショットを有する別の水平方向位置Iに向かって水平方向に移動されてもよい。例えば、タイヤCおよびDが、図示されているように位置P(3、2、3)およびP(3、3、3)に配置された場合、それらはタイヤAを長手方向位置j=1に向かって前方に転がすように、位置P(2、2、3)およびP(2、3、3)へと移動されてもよい(D1およびC1参照)。制御器800は、取り出されるタイヤの下部で、および、タイヤと昇降デッキ412との間の各長手方向位置の同一の水平方向位置で、プレート501を動作させる。タイヤAを位置P(3、4、3)(A3)、からP(3、1、3)(A2)に移動する実施形態において、プレート501はP(3、4、3)、P(3、3、3)、P(3、2、3)およびP(3、1、3)で上昇されてもよい。これにより、タイヤは、昇降機のスピンするローラ対416の一対の「V字部」にタイヤを収容する昇降デッキ412上に蹴り出される。昇降デッキ412は、タイヤAを層k=1の高さに運搬するために、垂直方向に移動してもよく、場合によっては水平方向に移動してもよい。上記のとおり、保管マップ802は、取り出しを含む各タイヤの動作に応答して更新される。
【0118】
制御器800は、過去の貯蔵および取り出し作業に基づく「貯蔵/取り出し優先順位リスト」を維持する在庫管理アプリケーションを保存またはアクセスしてもよい。このリストは、通年で、最大頻度または最小頻度で機械に出し入れおよび貯蔵された、ランクが付けられた各タイヤサイズおよび型番を有する。したがって、年間の決まった時期に、それぞれの具体的なタイヤの型版および種類へのアクセス頻度が計算され、各タイヤは、そのアクセス頻度に応じて優先順位が付けられ、その中でもより高いアクセス頻度を有するタイヤには、より高い優先順位が付けられてもよい。例えば、スノータイヤおよびスタッドタイヤは、冬期にはより高いアクセス頻度を有するであろう。娯楽用の自動車およびトレーラ向けタイヤは、夏期により高いアクセス頻度を有するであろう。したがって、年間の特定の時期により高いアクセス頻度を伴うタイヤは、該当する時期になると、制御器800により、その時期にそれほどのアクセス頻度を有さないタイヤよりも保管配置の前方に移動される。
【0119】
別の例では、タイヤ積荷が受領され、各タイヤはタイヤを識別する埋め込み式電子チップを有する。同様に、電子記録は、各タイヤの記述子を含むとともに、タイヤに埋め込まれた電子チップの識別子に対する記述子をマッピングして存在している。電子記録は、積み込まれたタイヤ積荷の数量および仕様をさらに含んでいてもよい。電子記録は、当該積荷に添付されたコンピュータ可読メディアに記録されるか、もしくは別の方法で受領されてもよい。
【0120】
次いで、制御器800は、例えば電子記録を制御器800のメモリに読み込むなどして、電子記録にアクセスしてもよい。制御器は、「貯蔵/取り出し優先順位リスト」に基づいて優先順位を付けてもよい。このように、制御器800は、その優先順位に基づいて、積荷内の各タイヤ用に、保管アレイの空の保管場所の中から目的の場所を選択してもよく、その際、優先順位の低いタイヤは、優先順位の高いタイヤよりも、保管アレイの後方付近の場所に配置される。より高い優先順位のタイヤを、より優先順位の低いタイヤよりも前部付近に配置するという所望の配置を行うために、積荷到着前に保管アレイに存在するタイヤが積荷に応じて移動されてもよい。次に制御器800は、人間の操作者に対して、積荷のタイヤを積み込むための命令を表示する荷積み命令(loading directions)を出力する。
【0121】
端的に言うと、制御器800によって計算される荷積み命令の原則は、最下位のローラデッキの前部ランクでタイヤを荷積み、荷下ろしすることが、最も少ない電力および時間で済み、機械の損耗や破損を最小限に抑えるという事実に基づいている。反対に、最上層401cの後部長手方向位置でタイヤを荷積み、荷下ろしする場合に、最も電力と時間を費やし、損耗や破損を発生させる。したがって、最大頻度の「在庫回転」を有すると予測されるタイヤはより低いローラデッキに積み込まれ、最小頻度の「在庫回転」を有するであろうタイヤは最上位のローラデッキ上の最後部ランクに持って行かれる。
【0122】
図10Aを参照すると、積み込みプロセスを開始するために、操作者はインタフェース要素「新しいタイヤ在庫を積み込む」を、制御器800に接続されたディスプレイ上で選択する。この時点で、空の水平方向場所を有するすべての層k=1から3のすべての長手方向位置で、制御器800によってすべてのローラ102が前方方向にスピンされ、上記によりそれらの上に乗せられたタイヤが保管アレイの後部に向かってスピンする。プレート501の操作を介して、すべての層401a−401cに現状で保管されているすべてのタイヤが、制御器800によって、最後部の空の保管位置へと移動され、一方で、各長手方向位置j<Mのために、少なくとも1つの空の水平方向場所iが残され、また、前部保管位置は開放されたままとなっている。例えば、
図10Aでは、タイヤA、B、CおよびDは長手方向位置j=1および2から長手方向位置j=2および3へと戻される(A1、B1、C1およびD1参照)。
【0123】
図10Bを参照すると、その後、ディスプレイ上のインタフェースは「タイヤの積み込みを開始」と指示する。次いで、緑色表示ライトG=1からLが、各水平方向位置i=1からLで点灯する。当該水平方向位置i=1からLは、床面高さの層401aの第1の長手方向位置の後方の任意の長手方向位置に、1または複数の空の保管位置を有する。例えば、層k=1に関して、すべてのライトG=1から4が緑色点灯する。次に操作者は、対応する緑色表示ライトGが点いた任意の第1の長手方向位置の保管位置に積荷のタイヤを転がす。
図10Bの例では、操作者はタイヤEを位置P(2、1、1)に配置している。次いで、その水平方向位置のセンサSはタイヤ内の電子チップからタイヤ識別情報を読み出し、その情報を制御器800に送信する。当該制御器800は、プレート501の操作を通じて、当該タイヤは層k=1に保管されることになっていると制御器が判断した場合に配置される水平方向場所の最後部の空の保管位置に、タイヤを送る。次に、制御器はタイヤの最終位置を保管マップ802に記録する。図示されている例では、センサS=2がタイヤEの電子チップを検知し、制御器800が、タイヤの長手方向位置の最後部j、水平方向位置i、つまり位置P(2、2、1)へのタイヤEの移動を起動する(E1参照)。上記のとおり、タイヤが配置されるべき層kは、より頻繁に取り出されるタイヤが、取り出される頻度のより低いタイヤよりも下層に配置されるようなタイヤの特性(例えば、タイヤの種類、型番およびブランドのうち、いくつかまたはすべての特性)を有するタイヤの取り出し頻度に従って決定されてもよい。
【0124】
制御器800によって、タイヤの目的位置が2層目、3層目、またはそれよりも高い層k>1と決定された場合、積み込まれたばかりのタイヤの水平方向場所の表示ライトGは緑色から赤色点灯へと変化する。図示されている例では、例えば制御器800が層k=2にタイヤEを配置する予定だと判断した場合、ライトG=2が赤色点灯する。その後、操作者は最下層k=1の第1の長手方向位置j=1からタイヤを取り出し、昇降デッキ412のスピンするローラ対416上に当該タイヤを設置する(図示されている例のE2参照)。
【0125】
(例えばセンサ410a−410jの配置および特性と同様の)昇降機のセンサはタイヤの電子チップを読み取り、識別情報を制御器800に送信する。制御器800は、その特定のタイヤが昇降デッキ412の特定の一対の「V字部」にあることを記録する。第2のタイヤが第1のローラ層から「拒否」された場合、操作者はそのタイヤを昇降デッキ412上に配置し、この場合、第2のタイヤのチップが昇降デッキ412上の別のセンサによって読み取られる。
図10Bの例では、タイヤFは最初に層k=1に配置され、次いでタイヤEと同様に昇降デッキ12上に配置されてもよい。
【0126】
次いで、制御器800は、予測される「在庫回転」の頻度、例えば「貯蔵/取り出し優先順位リスト」における順位に基づいて、昇降機アクチュエータ422、424に、制御器が選択した任意の層kの任意の水平方向場所iにタイヤを持って行くように命令する。図示されている実施形態では、昇降デッキ412はタイヤEおよびFを層k=2、水平方向場所k=2および1にそれぞれ持って行く。タイヤEおよびFは、
図9Fに関して説明された方法で、昇降デッキ412から荷下ろしされてもよい。このように、比較的短時間で、トラック1台の新しいタイヤの積載可能量すべてが貯蔵され、保管アレイの保管マップに追加される。
【0127】
保管アレイの様々な修正が実施されうる。例えば、モジュール変更がなされ、その後に様々な構成に組み立てられてもよい。容量および専有面積は、大型または小型、幅広または幅狭であってもよく、前方および後方の両方からの積荷および荷下ろしが可能であってもよく、2つの層または8つの層を有していてもよい。ローラ対402a−402fは終端間に配置されてもよく、昇降デッキ412は1度に2つのタイヤまたは10のタイヤを保持してもよい。コンピュータ運転プログラムは単純または複雑であってもよく、機械的機能は空気圧式、油圧式、電子機器またはロボット制御式で作動されてもよい。ある事例では、タイヤ工場または物流倉庫は、流通されるタイヤ積荷の積み込みの直前に、ネットワーク接続を介して制御器800と通信することが可能であり、積荷内の個々のタイヤは「最下層」や「昇降機」を目的地とするように物理的にラベルが張られていてもよく、これにより流通時にタイヤの二重の取扱いを省くことができる。
【0128】
本発明の好適な実施形態が図示および説明されてきたが、本発明の趣旨および特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされてもよい。したがって、本発明の特許請求の範囲は好適な実施形態による開示によって限定されない。その代りに、本発明は以下に続く請求項の参照により完全に特定される。
【0129】
独占的所有権または独占権が請求される本発明の実施形態は以下のように画定される。