特許第6871649号(P6871649)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エムピーエスシー オーストラリア プロプライアタリー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6871649-高速リンス溶液適用 図000002
  • 特許6871649-高速リンス溶液適用 図000003
  • 特許6871649-高速リンス溶液適用 図000004
  • 特許6871649-高速リンス溶液適用 図000005
  • 特許6871649-高速リンス溶液適用 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871649
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】高速リンス溶液適用
(51)【国際特許分類】
   A22B 5/00 20060101AFI20210426BHJP
   A22B 5/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A22B5/00
   A22B5/04
【請求項の数】13
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-527777(P2019-527777)
(86)(22)【出願日】2017年8月3日
(65)【公表番号】特表2019-524157(P2019-524157A)
(43)【公表日】2019年9月5日
(86)【国際出願番号】US2017045311
(87)【国際公開番号】WO2018027040
(87)【国際公開日】20180208
【審査請求日】2019年12月12日
(31)【優先権主張番号】62/370,460
(32)【優先日】2016年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/668,103
(32)【優先日】2017年8月3日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519039342
【氏名又は名称】エムピーエスシー オーストラリア プロプライアタリー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】レナー アンドリュー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】トゥーリー アーネスト ドウェイン
(72)【発明者】
【氏名】アーチ ウリセス パルド
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2008−507289(JP,A)
【文献】 特開平10−179016(JP,A)
【文献】 特開昭58−162233(JP,A)
【文献】 米国特許第05931730(US,A)
【文献】 特開2002−142664(JP,A)
【文献】 特表平10−513050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A22B 1/00− 7/00
A22C 5/00−29/04
A61D 1/00
H05C 1/00− 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高速リンス溶液適用のための装置であって、
軌道を有する下部構造と、
前記軌道上で前記下部構造の周りを周回するように構成される複数のキャリッジを含むカテーテル配送システムであって、前記キャリッジのそれぞれは、動物の循環系にリンス溶液を供給するように構成されるそれぞれのカテーテル配送機構を含む、カテーテル配送システムと、
複数の出口であって、前記複数の出口のそれぞれは、ホースによってそれぞれのカテーテル配送機構に接続される、複数の出口とを備え、
オペレータ側及び殺菌側を含み、
前記オペレータ側の前記複数の出口の一部は、前記オペレータ側の前記複数のカテーテル配送機構の一部に前記リンス溶液を供給するように構成される、装置。
【請求項2】
前記複数の出口に接続されるロータリー弁を備える、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記キャリッジは、前記装置に近接して動物を搬送するコンベヤの速度に実質的に一致する特定の速度で周回するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
少なくとも20個のキャリッジを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記カテーテル配送機構は、ホース部に接続される第1の端と、カテーテルに接続される第2の端とを有するシャフト部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ホース部、前記シャフト部、及び前記カテーテルを通してリンス溶液を移送するように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項7】
前記シャフト部は、上方向または下方向に付勢される、請求項に記載の装置。
【請求項8】
前記シャフト部は、前記軌道から離れるようにオペレータによって引張られるように構成される、請求項に記載の装置。
【請求項9】
高速リンス溶液適用のための方法であって、
軌道に結合された複数のキャリッジであって、動物の循環系にリンス溶液を供給するように構成されるそれぞれのカテーテル配送機構をそれぞれ含む複数のキャリッジを設けることと、
前記キャリッジが第1の位置、第2の位置、第3の位置、及び第4の位置を含む複数の外周位置を有する周回路内で前記軌道に沿って移動するように、前記軌道に沿って前記キャリッジを推進することと、
前記第1の位置において第1の動物の循環系内に前記カテーテル配送機構のカテーテルを設置することと、
前記第1の位置と前記第2の位置との間において前記第1の動物の前記循環系内に前記リンス溶液を供給することと、
前記第2の位置において前記第1の動物の前記循環系から前記カテーテルを取外すことと、
前記第3の位置において前記カテーテルを洗浄することと、
前記第4の位置において前記カテーテルを殺菌することと、
前記第1の位置において第2の動物の循環系内に前記カテーテルを設置することとを含む、方法。
【請求項10】
前記第3の位置の周囲温度の水によって前記第3の位置において前記カテーテルを洗浄することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記第4の位置において少なくとも8℃の温度を有する飲用可能なろ過水によって前記カテーテルを殺菌することを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の位置において前記第2の動物の前記循環系内に前記カテーテルを設置する前に、空気によって前記カテーテルを浄化し、前記カテーテルを乾燥させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
移動するコンベヤによって前記第1の動物が前記第1の位置と前記第2の位置との間を搬送されている間に、前記第1の動物の循環系内に前記リンス溶液を供給することを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
食肉処理された動物の循環系内に処置溶液を注入することによる、食肉処理された動物の処置は、改善された肉品質及び改善された収量を可能にする。「リンス処理(rinsing)」とも呼ばれるこうした処理は、動物からの血液の除去及び循環系内への処置溶液の導入を含む。とりわけ、畜牛、馬、豚、家禽、鹿、バッファロー、羊等の動物に処置溶液を投与するための装置の例は、米国特許第5,007,336号に記載され、その内容は参照により本明細書に取込まれる。食肉処理プロセスの例は、米国特許第5,964,656号に記載され、その内容は参照により本明細書に取込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0002】
図1】本開示の一つ又は複数の実施形態による高速リンス溶液適用のための装置を示す図である。
図2】本開示の一つ又は複数の実施形態によるカテーテル配送機構(CDM:catheter delivery mechanism)を示す図である。
図3】本開示の一つ又は複数の実施形態によるホーステーブルを示す図である。
図4】本開示の一つ又は複数の実施形態によるロータリータイミング弁の斜視図である。
図5】本開示の一つ又は複数の実施形態による装置及び関連するゾーンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
食肉処理された動物の処置は、多数の因子によって複雑になる。食肉処理センターは、しばしば、一日に数百頭、又はさらに、数千頭もの動物を処理する生産能力を有する。したがって、高速処理は、このような大きな食肉処理センターの生産能力を満たすために有利であり得る。したがって、食肉処理中に注入溶液の投与を能率化することが望ましい。
【0004】
処置溶液の投与はまた、厳しい条件下で実施されるべきである。例えば、処置溶液の供給は、血管を破裂させることなく、動物全体を通した流通を確保するのに十分に高い一定の圧力で行われるべきである。処置プロセスはまた、動物との接触状態に置かれる装置の衛生を維持すること、及び/又は、処置の間、動物の循環系内に注入ノズルを保持することの望ましさによって複雑になり得る。
【0005】
高速リンス溶液適用のための種々の方法、装置、及びシステムの実施形態が本明細書で説明される。ある実施形態において、高速適用装置は、動物(例えば、羊、豚、牛等)の循環系(例えば、心臓)又は他の適した箇所に対するリンス溶液の安全かつ衛生的な供給のために提供される。
【0006】
一例として、動物は仰臥位で置かれ、溶液は動物の左心室内に送られ得る。ある実施形態において、6.5リットルの溶液が、30秒の時間内で送られ得る。本開示の実施形態は、既存の食肉処理ラインのレートに一致するレートでの溶液の供給を可能にし得る。例えば、手作業では1分当たり8頭より少数の動物が処理され得る一方、本開示の実施形態は、1分当たり8頭より多数の(例えば、1分当たり13頭の)動物に溶液が送られることを可能にし得る。
【0007】
本開示の実施形態は、共通のドライブトレイン(駆動系)によって駆動され、長円形のカルーセル(回転コンベア)軌道の周りを周回する複数のキャリッジを有する装置を含み得る。本明細書で言及される「長円形の」は、楕円形、競技場形等を含み得る。軌道は、2つの主要でかつ実質的に直線状の側、すなわち、オペレータ側と殺菌側(時として、「非オペレータ側」というように本明細書中で呼ばれる)によって規定され得る。例えば、オペレータ側で、1人又は複数人のオペレータが装置と相互作用し得る。逆に、オペレータは、殺菌側に入ることを阻止される場合がある。
【0008】
キャリッジのそれぞれは、そこから下方向に延在するカテーテル配送機構(CDM)を含み得る。リンス溶液は、装置のオペレータ側でそれぞれのCDMのカテーテル内に調量され得る。オペレータは、直近に食肉処理された動物の循環系(例えば、心臓)内へカテーテルを手作業により設置することに続いて、リンスシーケンスを始動させ得る。キャリッジは、主動物コンベヤと同じレートで軌道の周りを移動し、装置のオペレータ側に沿って溶液を供給しながら軌道に沿って動物に追従し得る。
【0009】
装置のオペレータ側の出口端において、カテーテルは動物から取外され得る。カテーテルは、適切な位置内に後退させられ、キャリッジと共に殺菌側に回り込んで、ある期間(例えば、10秒)の間、周囲温度水洗浄ゾーンに入る。カテーテルは、その後、継続して殺菌側の殺菌ゾーンに入り得て、殺菌ゾーンにおいて、カテーテルは、特定の期間の間、特定の温度の(例えば、10秒の間、少なくとも85℃の)高温の飲用可能なろ過水を噴射され得る。殺菌されると、そのそれぞれのキャリッジによって搬送されるカテーテルは、元のようにオペレータ側に到達し得て、オペレータ側で、カテーテルは、別の動物の循環系内に再び設置され得て、プロセスは繰返され得る。
【0010】
以下の詳細な説明において、詳細な説明の一部を形成する添付図面を参照する。図面は、本開示の一つ又は複数の実施形態がどのように実施され得るかを例によって示す。
これらの実施形態は、当業者が本開示の一つ又は複数の実施形態を実施し得る程度に十分に詳細に述べられる。他の実施形態が利用され得ること、及び、プロセスの、電気的な、及び/又は構造的な変更が、本開示の範囲から逸脱することなく行われ得ることが理解される。
【0011】
本明細書の種々の実施形態において示す要素を、追加、交換、組合せ、及び/又は、削除することにより、本開示の複数の更なる実施形態を提供し得ることはよく理解される。図において設けられる要素の割合及び相対的なスケールは、本開示の実施形態を説明することを意図したものであり、限定的な意味で考えられるべきでない。
【0012】
図1は、本開示の一つ又は複数の実施形態による高速リンス溶液適用のための装置を示す。概して、装置100は、下部構造102、カルーセルドライブシステム104、カテーテル配送システム10、ホーステーブル108、及びロータリータイミング弁110を含む。装置100は、機械カバー及び/又はクラッディングを更に含み得るが、これらは本開示の実施形態の不明瞭化を避けるため図1には示されない。更に、装置100は、洗浄及び殺菌システム(図1においては隠れている)を含み得て、洗浄及び殺菌システムは種々の殺菌器、槽、及び/又は乾燥機を含み得る。装置100は、2つの側、すなわち、オペレータ側103−a及び殺菌側103−bを含み得る。
【0013】
下部構造102は支持フレームを含み得て、支持フレーム上には垂直に向けられた金属軌道がカムローラーレールと共に搭載され得る。図1に示すように、下部構造102は、一対の支持脚を含み得るが、本開示の実施形態はそのようには限定されない。下部構造102は、動物が装置100のカテーテル配送システム10の下にて誘導され得るように、地表の上の適切な高さにおいて装置100の残りの構成要素を支持し得る。
【0014】
カルーセルドライブシステム104は複数のキャリッジ105に前進運動を提供し得て、複数のキャリッジ105は、下部構造102によって支持される金属軌道上で周回し得る。図1に示す例において、20個のキャリッジ105が装置100に含まれるが、本明細書の実施形態は特定の数のキャリッジに限定されない。それぞれのCDMは、キャリッジ105(図2との関連により以下で更に論じる)のそれぞれに搭載され得る。
【0015】
カルーセルドライブシステム104は、ガイド内部を走行し得る被駆動チェーンを含み得て、ガイドは、特定の間隔(例えば、940ミリメートル)で、キャリッジ105のそれぞれに取付けられたタグ内に機械加工されたそれぞれのスロット内に着座するドライブピン配置構成を有する。カルーセルドライブシステム104は、適切な減速ギアボックスに結合され得る同期サーボモータを含み得る。ドライブシステム104は、動物を搬送するコンベヤのレート(例えば、速度)に実質的に一致するレートでキャリッジ105を移動させるように動作し得る。
【0016】
カテーテル配送システム10は、キャリッジ105のそれぞれの上にそれぞれのCDM114を含み得る。CDM114は、動物のリンス処理、ノズルの洗浄、及び/又は、ノズルの殺菌のための適切な位置へのカテーテル116の位置決めを可能にし得る。
【0017】
明確性のため図1には示さないが、ロータリータイミング弁110は、それぞれのホースを介してCDM114のそれぞれに接続され得る。流体は、ロータリータイミング弁110を介してホースのそれぞれに供給され得て、その後、オペレータ側103−aに位置するCDM114のそれぞれに供給され得る。装置100の周りのホース及びその進行経路は、図3との関連により更に詳細に述べられる。ロータリータイミング弁110は、図4及び図5との関連により更に詳細に述べられる。
【0018】
図2は、本開示の一つ又は複数の実施形態によるカテーテル配送機構(CDM)114を示す。CDM114は複数のCDMのうちの一つのCDMであり得て、CDMのそれぞれは、例えば、それぞれのキャリッジに搭載され得る。ある実施形態において、装置100は、20個のこうしたキャリッジ105を含み得るが、本開示の実施形態は特定の数に限定されない。
【0019】
図2に示すように、CDM114は、ロック機構118、ばねバランス119、カムローラー組立体124、シャフト部120、ホース部122、及びカテーテル116を含み得る。ある実施形態において、ロック機構118は、慣性ロック機構及び/又はばね負荷式ブレーキを含み得る。シャフト部120は、例えば、ステンレス鋼ロッド等の中空金属ロッドであり得る。ホース部122は、ある長さ(例えば、12インチ)を有する適切な厚さ(例えば、12ミリメートル)の可撓管であり得る。
【0020】
カムローラー組立体124は、「ホーム」位置から「オペレータ」位置(以下で論じる)内へのシャフト部120(及びそれにより、ホース部122及びカテーテル116)の垂直運動を可能にし得る。ロック機構118は、その後、シャフト部120の垂直位置を「オペレータ位置」内で選択的に固定し得て、垂直位置は、オペレータによって下方への力により克服され得る。ある実施形態において、シャフト部120は、ばねバランス119による張力下で保持され得て、ばねバランス119による抵抗に抗してオペレータによって上下に調整され得る。ある実施形態において、シャフト部120は、ホーム位置からオペレータ位置まで又はその逆に移動するように空気圧で作動され得る。換言すれば、ある実施形態において、エアシリンダは、シャフト部をホーム位置からオペレータ位置まで駆動し得る。
【0021】
使用時において、CDM114は、3つの一般的な位置を有し得る。オペレータによる使用中でないときの第1の「アップ」又は「ホーム」、CDM114がオペレータによって操作され得る第2の「オペレータ位置」、及び、切開された胸部に挟まれてリンスを実行中であるときの第3の「心臓内」である。「ホーム」位置において、シャフト部120は、垂直にその最も高い位置まで後退させられ得る。「心臓内」位置において、シャフト部120は、垂直にその最も低い位置まで伸長され得る。「オペレータ位置」において、シャフト部120は、これらの両端点間の垂直位置(例えば、「ホーム」位置の5〜6インチ下)に存在し得る。
【0022】
オペレータは、カテーテル116を、オペレータ位置から手作業で引き下ろすことによって引出し得る。引出されると、カテーテル116は、動物の循環系内に挿入され得て、オペレータは、「リンス開始」ボタンを押下して、リンスを開始し得る。カテーテルは、リンス中に、装置100の部分の周りを動物と共に移動し得て、ついには、オペレータ側103−aの端に達し、そこで、リンスが終了すると、動物から引抜かれ得る。引抜かれると、カテーテル116は、(例えば、カムローラー組立体124が上方に傾斜すると)その「ホーム」位置に自動的に戻り得る。
【0023】
カテーテル116が、装置100のオペレータ側103−aの端に達したときに動物から引抜かれない場合、ドライブシステム104は停止し得る。カテーテル116が後退(例えば、入れ子)位置にある場合、CDM114を搬送するキャリッジ105は、引き続き装置100の殺菌側103−bに位置する洗浄ステーションまで進み得る。
【0024】
図3は、本開示の一つ又は複数の実施形態によるホーステーブル108を示す。種々の実施形態において、ホーステーブル108は固定されているものとすることができ、キャリッジ105がホーステーブル108の周縁の周りでかつその下で周回するものとし得る。その主要な側(例えば、オペレータ側103−a及び非オペレータ(殺菌)側103−b)で、ホーステーブル108は隆起していてもよい。図示するように、持上げられたリップ又はエッジは、オペレータ側103−a及び殺菌側103−bに沿って顕著であってもよい。図1において上記で示したように、また、図4において以下で示すように、ロータリータイミング弁110は、ホーステーブル108のベースの中央部分を貫通して延在し得る。複数のホースは、ロータリータイミング弁110の複数の半径方向位置で接続され得て、そこから外方に延在し得る。
【0025】
以下で更に述べるように、ホースのそれぞれは、キャリッジ105のそれぞれに接続され得る。キャリッジ105がホーステーブル108の周りを周回するにつれて、ロータリータイミング弁110が回転し得る。ホーステーブル108の形状は、ロータリータイミング弁110と接続されたキャリッジとの間のホースの緩み量が、ホーステーブル108の周りの周回路内のキャリッジの位置によらず、実質的に一定のままであるように選択され得る。そのため、ロータリータイミング弁110をキャリッジ105に接続するホースは、キャリッジ105がもつれることなく周回するにつれて、キャリッジ105に追従し得る。ホーステーブル108は、それぞれのホースに対して、そのキャリッジ105が、ホーステーブル108の遠位端にあろうと、ホーステーブル108のいずれの側にあろうと、支持を提供し得る。
【0026】
図4は、本開示の一つ又は複数の実施形態によるロータリータイミング弁110の斜視図を示す。図4に示すように、ロータリータイミング弁110は、ルーフ及びロータリーアクチュエータ搭載ブラケット組立体126、ロータリーアクチュエータ及び結合組立体128、固定弁部130、回転弁部132、支持コラム134、ドライブシャフト136、及びドライブスプロケット138を含み得る。上記で論じたように、ロータリータイミング弁110(例えば、ドライブシャフト136)は、ホーステーブル108を貫通して延在し得る。
【0027】
ある実施形態において、回転弁部132は、CDM114に対するホース接続のための複数の(例えば、20個の)出口ポート140を含み得る。出口ポート140のそれぞれは、ホース(本開示の実施形態の不明瞭化を避けるため図4には示されない)によってそれぞれのキャリッジ105(例えば、それぞれのキャリッジ105のCDM114)に接続され得る。キャリッジが装置100の周りを周回するにつれて、回転弁部132は自由に回転し得て、リンス溶液の流れが装置100のオペレータ側103−aのそれぞれのCDM114に提供されることを可能にし得る。図4に示す実施形態等のある実施形態において、出口ポートのそれぞれは、それぞれのホースを介して、ロータリータイミング弁110のベースにある周辺出口リング141に接続され得る。リンス溶液は、出口ポート140から周辺出口リング141を通して、次に、それぞれのCDM114に流れ得る。
【0028】
固定弁部130は、回転弁部132の内部に位置し得て、複数の入口ポート(例えば、10個の入口ポート)142を含み得る。入口ポート142は、タンク、リザーバ、ポンプ等のような供給源からリンス溶液を受取り得る。
【0029】
リンス溶液は、入口ポート142を通してロータリータイミング弁110に流入し、固定弁部130の開口を通過し得る。固定弁部130はその半分(例えば、約180度)が複数の開口を含むものとしてもよい。したがって、液体は、入口ポート142を通して固定弁部130に入り、開口の一つから出て、その後、回転弁部132の出口ポートの一つが開口の一つと並んだときに当該一つの出口ポートから流出し得る。
【0030】
固定弁部130は、固定弁部130を通る液体流が特定の方向に向けられるように所望に回転され得る。例えば、液体は、装置100のオペレータ側103−a、装置100の非オペレータ側103−b、及び/又は、両方の間の位置に向けられ得る。動物をリンス処理するとき、流れは装置100のオペレータ側103−aに向かって許容され得る。定置洗浄動作の実施中等で装置100を洗浄するとき、流れは装置100の非オペレータ側103−bに向かって許容され得る。
【0031】
固定弁部130を回転させるために、ロータリーアクチュエータ及び結合組立体128は固定弁部130に接続され得て、天井又は適切な固定構造に接続されたルーフ及びロータリーアクチュエータ搭載ブラケット組立体126に対する固定弁部130の回転をもたらし得る。ロータリータイミング弁110は、そのベースにおいて支持コラム134によって固定され得て、支持コラム134は、ホーステーブル108にボルトで留められ、例えば、微生物の成長及び/又は湿気の侵入を防止するために密閉され得る。ロータリーアクチュエータ及び結合組立体128は、例えば、入口/出口ポートを含み得て、入口/出口ポートは、(例えば、最大7バールの)産業用清浄空気の流通のために使用されてもよい。
【0032】
ドライブシャフト136は、支持コラム134を通して延在し得て、ホーステーブル108の下でドライブスプロケット138に接続され得る。ロータリータイミング弁110がそのベースにおいて支持コラム134を介して支持されるため、ロータリータイミング弁110の上部は、固定されない場合があり、可撓性のある弾性ブッシュによって動きが許容されてもよい。ロータリータイミング弁110の噛み合い構成要素の摩耗を最小にするために、ある程度の動きが望ましい場合がある。
【0033】
上記で論じたように、固定弁部130は、固定弁部130を通る液体流が特定の方向に向けられるように所望に回転され得る。例えば、液体は、装置100のオペレータ側103−a又は装置100の非オペレータ側103−bに向けられ得る。動物をリンス処理するとき、流れは装置100のオペレータ側103−aに向かって許容され得る。定置洗浄動作の実施中等で装置100を洗浄するとき、流れは装置100の非オペレータ、殺菌側103−bに向かって許容され得る。
【0034】
図5は、本開示の一つ又は複数の実施形態による装置100及びその周囲のゾーンの平面図である。図5に示すように、装置100のオペレータ側103−aは、動物リンスゾーン144及びカテーテル後退ゾーン146(図5では「カテーテル取外しゾーン」146として示す)を含み得る。1人又は複数人のオペレータは、作業中に装置100と相互作用し得る。動物リンスゾーン144において、第1のオペレータは、心臓を露出させるために動物の心膜をカットし、動物の大静脈をカットし得る。第2のオペレータは、その後、カテーテル116を挿入し、リンスサイクルを開始し得る。キャリッジ105がカテーテル後退ゾーン146まで移動し、リンス処理が完了すると、その後、第3のオペレータは、カテーテル116を取外し得る。カテーテル116は、装置100の殺菌ゾーン103−bに回り込む移動を続けるため、低温洗浄ゾーン148に入り得て、そこで、水中に浴し得て、その後、殺菌のために殺菌ゾーン150に入り得る。
【0035】
カテーテル116は、例えば、10秒等の最小限時間の間、低温洗浄ゾーン148内で洗浄され得る。低温洗浄ゾーン148は、周囲温度の水及び/又は冷水の槽を含み得る。殺菌ゾーン150において、カテーテル116は、最小限時間(例えば、15秒)の間、高温(例えば、85℃)で飲用可能なろ過水を噴霧され得る。ある実施形態において、カテーテル116は、空気の噴出を使用して浄化され得る。ある実施形態において、カテーテル116は、装置100のオペレータ側103−aに再び入る前に乾燥され得る。
【0036】
ある実施形態において、装置100は、装置100がその内部で動作するプラントの残りの部分と同時に洗浄され得る。例えば、定置洗浄(CIP:clean−in−place)プロシージャが装置100によって実施され得る。種々の実施形態において、CIPプロシージャは、装置100の初期リンス、腐食剤の適用、2回目のリンス、及び殺菌剤の適用を含み得る。上記で論じたように、ロータリータイミング弁110の固定部130は、CIP液の流れが装置100のオペレータ側103−aでなく、殺菌側103−bで許容されるように回転され得る。
【0037】
ある実施形態において、動物が装置に到達する前のラインにおけるチェーン空間の利用可能性のため、胸肉の鋸引きが第1のオペレータによって実施されてもよい。ある実施形態において、オペレータの職務は自動化され得る。例えば、カテーテル116の取外しは、ある実施形態において自動化してもよい。
【0038】
特定の実施形態が本明細書で提示され説明されたが、同じ結果を達成するために考えられる配置構成が、提示された特定の実施形態を代替し得ることを当業者は認識するであろう。本開示は、本開示の種々の実施形態の適用又は変形をカバーするものであることが意図される。
【0039】
上記説明が、制限的態様ではなく例証的態様で行われていることが理解される。上記実施形態の組合せ及び本明細書で特に述べられていない他の実施形態は、上記説明の検討により当業者にとって明らかになるであろう。
【0040】
本開示の種々の実施形態の範囲は、上記構造及び方法が使用される他の適用形態を含む。したがって、本開示の種々の実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を参照して、特許請求の範囲に対して与えられる均等物の全範囲と共に判断されるべきである。
【0041】
上記の詳細な説明において、種々の特徴は、本開示を簡素化するために単一実施形態において共にグループ化された。この開示の方法は、本開示の実施形態が、各請求項において明示的に言及されるよりも多くの特徴を使用する必要があるという意図を反映するものとして解釈されるべきではない。
【0042】
むしろ、添付の特許請求の範囲に反映されるように、本発明の主題は、開示される単一の実施形態の全ての特徴より少ない数の特徴に存在する。そのため、添付の特許請求の範囲は、詳細な説明に組込まれ、それぞれの請求項は別個の実施形態として独立する。
図1
図2
図3
図4
図5