特許第6871652号(P6871652)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871652事故等判断方法、通信端末、コンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871652
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】事故等判断方法、通信端末、コンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/04 20060101AFI20210426BHJP
   G08B 25/10 20060101ALI20210426BHJP
   G08B 21/00 20060101ALI20210426BHJP
   B60R 21/00 20060101ALI20210426BHJP
   B60R 21/0136 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   G08B25/04 C
   G08B25/10 D
   G08B21/00 U
   B60R21/00 340
   B60R21/0136 310
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2020-37499(P2020-37499)
(22)【出願日】2020年3月5日
(62)【分割の表示】特願2019-237100(P2019-237100)の分割
【原出願日】2016年11月24日
(65)【公開番号】特開2020-109682(P2020-109682A)
(43)【公開日】2020年7月16日
【審査請求日】2020年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】594013044
【氏名又は名称】株式会社データ・テック
(74)【代理人】
【識別番号】100099324
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 正剛
(72)【発明者】
【氏名】横山 厚宏
(72)【発明者】
【氏名】和田 宙也
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 重雄
(72)【発明者】
【氏名】田野 通保
(72)【発明者】
【氏名】東城 浩平
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 悠里
【審査官】 白川 瑞樹
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−543810(JP,A)
【文献】 特開2016−163340(JP,A)
【文献】 特開2011−227701(JP,A)
【文献】 特開2014−038628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R21/00−21/13
21/34−21/38
G08B19/00−31/00
G08G1/00−99/00
H04B7/24−7/26
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に存在する、情報処理機能を有する装置が、
前記車両に生じた複数次元の加速度情報を取得する取得処理と、
取得したこれらの加速度情報を合成する合成処理と、
合成された加速度情報から所定の周波数成分を表す衝撃波を抽出するとともに、抽出された衝撃波の中に所定の閾値を超えるものがあるかどうかを判定する第1判定処理と、
前記閾値を超えるものがあると判定された前記衝撃波に基づいて、事故又は危険挙動が発生したかどうかを判定する第2判定処理と、
前記事故が発生したと判定される場合は保険会社又はロードアシスタンスに向けた通報を前記車両の位置情報と共に出力し、前記危険挙動が発生したと判定される場合は、前記通報に代えて、その後の安全運転に関するアドバイスを前記車両の運転者に向けて出力する支援処理と、
を実行することを特徴とする事故等判断方法。
【請求項2】
ディスプレイへの表示機能および情報処理機能を有する通信端末であって、
車両に生じた複数次元の加速度情報を取得する取得手段と、
取得したこれらの加速度情報を合成する合成手段と、
合成された加速度情報から所定の周波数成分を表す衝撃波を抽出するとともに、抽出された衝撃波の中に所定の閾値を超えるものがあるかどうかを判定する第1判定手段と、
前記閾値を超えるものがあると判定された前記衝撃波に基づいて、事故又は危険挙動が発生したかどうかを判定する第2判定手段と、
前記事故が発生したと判定される場合に事故対応支援を開始することの確認画面を前記ディスプレイに表示し、前記確認画面に対する指示が入力されたときは保険会社又はロードアシスタンスに対する前記車両の位置情報を伴う通信を可能にする支援手段と、
を有することを特徴とする通信端末。
【請求項3】
前記支援手段は、前記危険挙動が発生したと判定される場合は、前記保険会社又はロードアシスタンスに対する通信に代えて、その後の安全運転に関するアドバイスを前記ディスプレイに表示する表示処理を実行することを特徴とする、
請求項2に記載の通信端末。
【請求項4】
コンピュータに請求項1に記載された事故等判断方法を実行させるためのコンピュータプログラム。
【請求項5】
コンピュータを請求項2又は3に記載された通信端末として動作させるためのコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故等判断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両事故の発生を検知する車両事故検知手段として、加速度センサを用いた開発および実用化が進められている。特許文献1には、車両から送信された加速度を通信端末で受信し、加速度が閾値に達した場合には、事故と判断する通信システムが開示されている。また、スマートフォンなどの通信端末に搭載される事故検知用のアプリケーション(アプリ)の開発も進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-176566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、事故を判断する上で加速度の閾値を用いる場合、実際には事故でなくても、閾値を超えれば、事故と判断してしまうおそれがある。また、車両から送信された加速度が通信端末により正確に受信できない場合がある。また、事故判断の精度を上げようとした場合、センサを多く搭載する必要が生じ、システムが複雑になってしまう。また、事故検知手段を起動させる上で、例えば運転者が手動によりアプリを起動させなければならないとする。この場合、アプリ起動の手間がかかるため、運転者は煩わしいと感じる。このため、事故検知手段を起動し忘れることが誘発される。
【0005】
このような課題に鑑み、本発明は、単純な構成であり、車両への後付けを容易に行え、かつ精度の高い事故等の判断を可能にすると共に運転者の煩わしさを回避するシステムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、ディスプレイへの表示機能および情報処理機能を有する通信端末であって、車両に生じた複数次元の加速度情報を取得する取得手段と、取得したこれらの加速度情報を合成する合成手段と、合成された加速度情報から所定の周波数成分を表す衝撃波を抽出するとともに、抽出された衝撃波の中に所定の閾値を超えるものがあるかどうかを判定する第1判定手段と、前記閾値を超えるものがあると判定された前記衝撃波に基づいて、事故又は危険挙動が発生したかどうかを判定する第2判定手段と、前記事故が発生したと判定される場合に事故対応支援を開始することの確認画面を前記ディスプレイに表示し、前記確認画面に対する指示が入力されたときは保険会社又はロードアシスタンスに対する前記車両の位置情報を伴う通信を可能にする処理手段と、を有することを特徴とする通信端末が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、単純な構成であり、車両への後付けを容易に行え、かつ精度の高い事故等の判断を可能にするとともに運転者の煩わしさを回避するシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る事故判断システムのハードウェアの構成を示す図。
図2】事故判断システムにおける処理フロー図。
図3】事故判断処理の起動処理のフロー図。
図4】ユーザインターフェースの例示図。
図5】ユーザインターフェースの他の例示図。
図6】ユーザインターフェースの他の例示図。
図7】ユーザインターフェースの他の例示図。
図8】ユーザインターフェースの他の例示図。
図9】ユーザインターフェースの他の例示図。
図10】事故判断処理のフロー図。
図11】ID付き加速度情報正誤判定のフロー図。
図12】加速度情報計算、判定のフロー図。
図13】通信端末において受信された加速度情報。
図14】通信端末において合成された加速度情報。
図15】通信端末において抽出された低周波データ。
図16】通信端末において演算された積分データ。
図17】通信端末において実行される通報支援処理のフロー図。
図18】通信端末におけるユーザインターフェースの例示図。
図19】通信端末におけるユーザインターフェースの他の例示図。
図20】通信端末におけるユーザインターフェースの他の例示図。
図21】通信端末におけるユーザインターフェースの他の例示図。
図22】事故判断システムの機能ブロック構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面等を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に例示する実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。図面は説明をより明確にするため、模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、各要素に対する「第1」、「第2」と付記された文字は、各要素を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限りそれ以上の意味を有さない。
【0010】
その他、本発明の属する分野における通常に知識を有する者であれば認識できるものである場合、特段の説明を行わないものとする。
【0011】
<1-1.事故判断システム10のハードウェア構成>
本発明の実施形態に係る、事故判断システム10のハードウェア構成について、図面を用いて説明する。
【0012】
図1に、事故判断システム10のハードウェアの構成図を示す。図1に示すように、事故判断システム10は、車両500において、検知装置100および通信端末200により構成される。例えば、検知装置100には、ビーコンが用いられる。また、通信端末200は、携帯型通信端末である。例えば、通信端末200には、スマートフォンが用いられる。検知装置100および通信端末200は、無線通信180(Bluetooth(登録商標)通信、Bluetooth Low Energy(登録商標)通信(BLE通信)またはWi-fi(登録商標)通信)により接続される。通信端末200は、インターネットなどのネットワーク400を用いて適宜サーバ300と接続されてもよい。
【0013】
検知装置100は、計測部110、制御部120、記憶部130、通信部140、電源部150、操作部160および表示部170を有する。検知装置100は、車両500に固定して設置される。検知装置100は、運転者の手に収まる程度に小さくてもよいし、薄くてもよいし、軽くてもよい。例えば、検知装置100の重量は18グラム未満であって、長さ50ミリメートルであって、幅37ミリメートルであって、高さ13ミリメートル程度であってもよい。上記形状を有することにより、検知装置100は、センターコンソール付近、ハンドル付近、トランク内、社内のルームランプ付近など、車両500の任意の位置に後付けで設置される。検知装置100は、ねじ留めにより設置されてもよいし、粘着剤を用いて設置されてもよい。また、検知装置100は、事故時に開くエアバッグと干渉しないように、ダッシュボード上に設置されてもよい。
【0014】
計測部110は、加速度センサを用いて、車両500の加速度情報(加速度値)を計測する機能を有する。当該加速度センサは、3軸加速度センサであってもよいし、6軸加速度センサであってもよい。
【0015】
制御部120は、メモリなどの記憶部130に記憶されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)またはRAM(Random Access Memory)を用いて実行することによって、プログラムに対応した機能を第1通信端末100において実現させる。または、当該プログラムは、記録媒体を介して取得したものであってもよい。または、当該プログラムは、通信端末200から受信されて取得されたものであってもよい。例えば、検知装置100としてビーコンが用いられた場合、MPUを用いてファームウェア(プログラム)が実行される。
【0016】
記憶部130は、加速度情報を記憶する機能を有する。
【0017】
通信部140は、通信端末200と送受信する機能を有する。通信部140には、Bluetooth(登録商標)通信、Bluetooth Low Energy(登録商標)通信(BLE通信)またはWi-fi(登録商標)通信の送受信機などが設けられる。
【0018】
検知装置100は、電源部150による動力を用いて駆動する。電源部150には、例えばボタン型のリチウムイオン電池が用いられる。なお、検知装置100は、加速度情報を取得することおよび送信することに特化してもよい。このとき、検知装置100は、情
報処理量が少なく抑えられる。これにより、検知装置100の消費電力も抑えられる。また、検知装置100は、通信状況に応じて電力消費モードが変更される。
例えば、検知装置100をビーコン、通信端末200をスマートフォンとした場合、計測部110(加速度センサ)が車の動きを検知すると、ビーコンはスマートフォンと接続する信号を送る状態となる(このモードをアドバイタイズモードと呼ぶことができる)。または、ビーコンは、運転診断・衝撃感知など、ビーコンとスマートフォンとが接続され、Bluetooth Low Energy(登録商標)通信が行われる状態となる(このモードをドライブモードと呼ぶことができる)。
または、ビーコンは、スマートフォンのアプリケーションと連動しドライブモードへ移行することができる待機状態となる(このモードをスタンバイモードと呼ぶことができる)。または、ビーコンは、内蔵された加速度センサが動きを検知しなくなると、機能を停止する状態となる(このモードをスリープモードと呼ぶことができる)。上記に示すように、通信状況に合わせて電力消費量を最低限に減らすことができるため、検知装置100は、きわめて省電力に優れているといえる。例えば、検知装置100は、120分/日の運転を行うと仮定した場合、約500日間以上、走行距離ではおよそ20000km以上分の加速度情報の検出および加速度情報の送信が可能である。
【0019】
なお、電源部150に設けられる電池に接続される両側(正極側および負極側)の端子は、弾性力を有する。例えば、両側の端子はバネ状の形態を有する。これにより、衝突事故時に電源(例えば電池-端子間)の瞬断が起きることが防止される。また、電源部150は、幼児等が電池を誤飲しないようにネジ止めされたり、粘着材により接着されたり、嵌合されたりしてもよい。
【0020】
また、検知装置100には、操作部160が適宜設けられてもよい。操作部160は、検知装置100が故障などにより正常に機能しない場合、再度正常動作させるための機能を有する。例えば、操作部160には、運転者が一本の指(例えば人差し指)で押下しやすいように指先より大きいボタンが配置され、かつボタンが目立つようにオレンジの枠が印刷されている。これにより、運転者は、操作部160を容易に操作できる。また、操作部160を誤って押してしまうことが防止される。
【0021】
表示部170には、複数の色(例えば、赤および緑)のLEDインジケータが用いられる。これにより、低消費電力でありながら、運転者が確認しやすい輝度が得られる。
【0022】
通信端末200は、表示部210、制御部220、記憶部230、操作部240および通信部250を含む。
【0023】
表示部210は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイなどの表示デバイスであって、制御部220から入力される信号により表示内容が制御される。なお、タッチセンサを有する表示装置(タッチパネル)であれば、表示部210において操作部240の機能を発揮させることができる。
【0024】
制御部220は、メモリなどの記憶部230にあらかじめ記憶されたプログラムをCPU、RAMを用いて実行する。これにより、プログラムに対応した機能が通信端末200において実現される。また、当該プログラムは、記録媒体を介して取得したものであってもよい。制御部220におけるプログラムの実行によって、事故判断サービスを実現するためのユーザインターフェースが表示部210に提供される。
【0025】
また、記憶部230は、検知装置100から受信された加速度情報を記憶する機能を有する。
【0026】
通信部250は、検知装置100およびサーバ300と送受信する機能を有する。通信部250には、Bluetooth(登録商標)通信、Bluetooth Low Energy(登録商標)通信(BLE通信)またはWi-fi(登録商標)通信を行うための送受信機が用いられる。
【0027】
また、通信端末200は、さらに計測部260を含んでもよい。計測部260には、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)、ジャイロセンサ、加速度センサが含まれてもよい。計測部260で得られた情報は、検知装置100の通信部140で得られた情報を補完するために用いられてもよい。
【0028】
サーバ300は、通信部310、記憶部320および制御部330を有する。通信部310は、ネットワーク400を介して、通信端末200と情報通信を行う機能を有する。記憶部320は、ハードディスク、およびSSDを用いることで、通報された事故情報を記憶するデータベースとしての機能を有する。制御部330は、CPU、RAMを用いて事故情報処理を行う機能を有する。
【0029】
サーバ300は、通信端末200から送信される情報をもとに、事故が行った時の対応を行う機能を有する。
【0030】
<1-2.事故判断システム10のシステム構成>
図2に事故判断システム10における処理フローを示す。事故判断システム10は、運転者が車両500に乗ることにより事故判断システムを起動させる処理、運転者が車を運転中に運転診断を行い、事故であるか否かを判定する処理、事故が起きた時に事故通報を行い、運転者を支援する処理を実行する。それぞれの処理について、以下に説明する。
【0031】
(1-2-1.事故判断システム起動処理)
図3に事故判断処理の起動処理(S100)のフローを示す。
まず、検知装置100は、駆動を開始する(S101)。検知装置100の駆動開始の方法を以下に示す。
【0032】
まず、通信端末200を持った運転者が、車両500に乗る。検知装置100は、運転者が乗り込んだ時の車両500の揺れを検出する。この揺れを検出することにより、検知装置100は、駆動を開始する。上記駆動方法を用いると、検知装置100は、車両が運転される場合のみ駆動することができるため、消費電力を抑えることができる。なお、運転者が通信端末200を持ちこんでいないときは、接続できないことを確認し、上述したスタンバイモードになる。また、検知装置100と通信端末200の接続が解除された場合においても、スタンバイモードになる。
【0033】
次に、検知装置100は、通信端末200に対して、検知通知を行う(S103)。次に、検知通知を受けた通信端末200が、事故判断システム10専用のアプリケーション(事故判断アプリと呼ぶことができる)の起動を開始する(S105)。続いて、事故判断アプリが起動された通信端末200は、検知装置100に接続要求を行う(S107)。次に、検知装置100と、通信端末200との接続が完了すると、検知装置100は、通信端末200に対して接続完了を通知する(S109)。通信端末200が接続完了通知を受けると、図4に示すユーザインターフェース510が表示される。ユーザインターフェース510には、「検知装置と接続しました。安全で快適な運転をお楽しみください。」というコメント520がプッシュ通知として表示される。以上により、事故判断アプリが自動で起動する。
なお、事故判断アプリは通信端末200内部で起動する。これにより、画面に表示される(フォアグラウンドと呼ぶことができる)アプリ起動に比べて通信端末200の消費電力が抑えられる。したがって、上記処理により、きわめて簡単な構成でありながら、運転者に煩わしい思いをさせず且つ事故判断アプリの起動忘れもなく、容易に事故判断システムを提供することができる。
【0034】
なお、車両内に複数の通信端末200が存在する場合、通信端末200のいずれか1つは、検知装置100と接続しない状態に設定を変更してもよい。例えば、通信端末200に事故判断アプリがインストールされている人が2名以上車両に乗り込んだ場合、検知装置100は最初に受信した人の通信端末200と接続する場合がある。この場合、接続確認がなされた人に対して図5に示すユーザインターフェース540が表示される。ユーザインターフェース540には、検知装置100と接続されている旨表示される。このとき、接続確認がなされた人は、ボタン560を押すことにより、検知装置100と、通信端末200との接続が解除される。
【0035】
なお、事故判断アプリを起動したい人(運転者)が通信端末200と検知装置100との接続を開始したい場合は、手動で接続させることができる。例えば、図6に示す検知装置100と接続するためのユーザインターフェース570が表示される。この時点では、まだ検知装置100と接続されていないことを伝えるコメント580が表示される。このため、運転者は、ボタン590を押すことにより、通信端末200は検知装置100と接続するための接続要求通知を送信することができる。検知装置100と、通信端末200との接続が完了すると、接続完了通知が通信端末200に対して行われる。このとき、図7に示すユーザインターフェース600が表示される。ユーザインターフェース600には、「検知装置と接続しました。安全で快適な運転をお楽しみください。」というコメント610が表示される。
【0036】
なお、事故判断システムが起動される上で、検知装置100が、電池残量が低下している場合には、図8に示すユーザインターフェース640が表示されてもよい。ユーザインターフェース640には、「検知装置の残量が低下しています。」というコメント650が表示される。また、自動で事故判断システムが起動される場合には、図9に示すユーザインターフェース660が表示されてもよい。ユーザインターフェース660には、「検知装置の残量が低下しています。」というコメント670が表示される。
【0037】
(1-2-2.事故判断処理)
(1-2-2-1.ID付き加速度情報正誤判定)
図10に事故判断処理(S200)のフローを示す。事故判断処理においては、ID付き加速度情報正誤判定(S210)および加速度情報計算、判定(S230)が行われる。
【0038】
図11に、ID付き加速度情報正誤判定(S210)のフローを示す。まず、検知装置100において、加速度情報が取得される(S211)。加速度情報において、X方向、Y方向、Z方向それぞれの加速度情報が取得される。また、加速度情報を個別判断行えるように、識別情報(ID)が生成され(S213)、加速度情報に付与される。
【0039】
次に、IDが付与された加速度情報は通信端末200に送信される(S215)。通信端末200が、ID付き加速度情報を受信すると(S216)、データの正誤判定が行われる(S217)。ここでいう正誤判定とは、データが欠損しているかどうか(整合性のあるデータかどうか)判定するものである。例えば、データは10byteのブロックデータとして10Hz周期で送信される。このとき、加速度情報が欠損している場合は、一部に「0」が表記される。なお、加速度情報が欠損する場合としては、他のBluetooth(登録商標)機器と通信端末200が同時接続した場合、または通信端末200が、Bluetooth Low Energy(登録商標)通信の電波が届きにくい場所にある場合(ジュラルミンスーツケースの中にある)などが挙げられる。
【0040】
上記のように、データの正誤判定を行い、データが正常(S217;OK)の場合は、加速度情報計算、判定(S230)の処理フローに進む。一方で、データが異常(S217;NG)の場合には、通信端末200から検知装置100に再送信要求通知が送信される(S219)。検知装置100が再送信要求通知を受信すると(S221)、検知装置100内で再送信指示がなされる(S223)。上記指示に基づきIDが再度生成される(S213)。上記処理は、データが正常に送信されるまで(ブロックデータが整列されていることを確認するまで)繰り返し行われる。上記処理を行うことにより、事故判断する上での情報は、すべて正常なデータであるということができる。
【0041】
(1-2-2-2.事故判断)
図12に加速度情報計算、判定(S230)のフローを示す。
まず、通信端末200において、受信された加速度情報を記憶する(S231)。図13に車両500の加速度情報を示す。例えば、通信端末200は、X方向の加速度情報AccX、Y方向の加速度情報AccYおよびZ軸方向の加速度情報AccZを0秒から3秒間記憶する。なお、図13は、3秒間ごとの加速度情報を300秒まで連続的に表記したものである。
【0042】
続いて、加速度情報を合成する(S233)。上記加速度情報を合成するとは、例えば3軸加速度情報を合成することをいう。具体的には、数1に示すようにX方向の加速度情報の2乗、Y方向の加速度情報の2乗およびZ方向の加速度情報の2乗を加算し、平方根をとることをいう。合成加速度は、図14に示すように3次元のベクトルデータとして表現される。なお、合成加速度情報は、第1情報とする。
【0043】
[数1]
合成加速度=Sqrt(AccX+AccY+AccZ
【0044】
次に、図15に示すように、合成された加速度情報(第1情報)から、特定の周波数のデータのみを抽出する(S235)。例えば、特定の周波数は、7Hz以上25Hz未満であることが好ましい。7Hz未満の場合、車両の操作による影響が出てしまうため、好ましくない。また、25Hzを超える周波数は、加速度センサによる計測が難しい。したがって、上記周波数を用いることにより、事故特有の情報が得られる。なお、合成加速度情報から特定の周波数のみを抽出する場合、バンドパスフィルタ(例えばハイパスフィルタ)が用いられる。なお、抽出されたデータは、第2情報とする。第2情報は、抽出衝撃波ということもできる。
【0045】
ここで、第2情報の中に閾値を超えるものがないと判定された場合(S237;No)には、無事故判定となる。一方、第2情報の中に閾値を超えるものがあると判定された場合(S237;Yes)には、次のステップに移る。
【0046】
次に、第2情報の一定時間の蓄積処理、すなわち積分処理を行う(S239)。図16に第2情報に対して積分処理された積分データを示す。なお、抽出された第2情報(抽出衝撃波)において、0.5秒から3.0秒の時間幅にかけて事故波形が収束する。そのため、積分処理を行う際に、0.5秒から3.0秒までの時間の範囲内で行うことが好ましい。なお、積分データは、第3情報とする。
【0047】
次に、得られた積分データ(第3情報)をもとに第2判定処理を行う(S241)。第2判定処理は、設定された第2閾値を超えるかどうかで判断される。例えば、閾値には、0.7G以上4G未満が用いられる。なお、Gは、重力加速度である。
【0048】
ここで、閾値が0.7G以上である理由について、以下に記載する。例えば、乾いた路面などで50km/h(13.9m/sec)で走行をした場合、その制動距離は14.1mとなる。この時にかかる重力加速度Gは、およそ0.7Gとなる。したがって、事故と判断される際には0.7G以上の重力加速度がかかる。なお、閾値が4G以上の場合、4Gと見做して判定する。
【0049】
ここで、積分データが閾値を超えないと判定された場合(S241;No)には、無事故判定となる(S245)。一方、積分データが閾値を超えると判定された場合(S241;Yes)には、事故であると判定される(S243)。
【0050】
以上に述べた事故判断処理を行うことで、事故以外の要因を切り分けることができる。例えば、事故以外の要因には、駐車場での車輪止めへの乗り上げ、段差乗り上げ、高速道路などでの継ぎ目ノイズなどが挙げられる。したがって、上記処理により、事故の検出精度が飛躍的に向上する。また、上記処理に用いているのは、検知装置100および通信端末200のみである。そのため、事故を検出するシステムとしては、簡単な構成でありながら、高精度の事故検出能力を有する。
【0051】
なお、事故判定に用いられる閾値の範囲は、段階的に設けられてもよい。例えば、事故にならなかったが事故になる可能性があった危険挙動(ヒヤリハット)が判断できるように閾値が設けられてもよい。これにより、危険挙動が察知され、その後の安全運転に対するアドバイスが通信端末200に表示される。
【0052】
(1-2-3.事故通報処理)
次に、事故が起きた時の事故通報処理について説明する。図17に通報支援処理のフローを示す。まず、上記事故判断処理により通信端末200において、事故検知する(S301)。このとき、図18に示すように通信端末200にはユーザインターフェース900が表示される。ユーザインターフェース900には、「事故を検知しました。」というコメント910がプッシュ通知として表示される。このとき、ユーザインターフェース900には、事故対応支援開始のボタン920が設けられる。運転者は、ボタン920を押すことにより、保険会社やロードアシスタンスなどのサービサーに容易に連絡することができる。また、図示していないが、ユーザー側で、緊急時要請だけでなく、「対応保留(ケガ人の救護をしているので)」「キャンセル(誤検知なので)」などのボタンを選択し、保険会社へ送信することもできる。また、運転者による反応がない場合には、プッシュ通知、ショートメッセージサービス(SMS)、電話連絡により保険会社は積極的にコミュニケーションをとることができる。
【0053】
ボタン920が押されることにより、通信端末200は、事故対応支援処理を開始する(S303)。このとき、通信端末200は、サーバ300に対しても、支援要求通知を行ってもよい(S305)。通知を受けたサーバ300は、事故対応処理を開始する(S307)。なお、図19に示すように通信端末200には、ユーザインターフェース930が表示される。ユーザインターフェース930には、「まずは、落ち着いてください。」というコメント940が表示される。また、ユーザインターフェース900には、保険会社と連絡を取るためのボタン950が設けられる。
【0054】
ボタン950を押すことにより、図20に示すようにユーザインターフェース960が表示される。ユーザインターフェース960には、電話連絡を取るかどうかの確認コメント970が表示される。また、ユーザインターフェース960には、ボタン980が設けられる。ボタン980を押すことにより、運転者は、保険会社の担当者(例えば事故受付の担当者)と連絡を取ることができる。
【0055】
上記処理により、事故が起きた時にも迅速に事故の対応を行うことができる。また、事故が起きた時にも運転者は落ち着いて対応することができる。
なお、事故通報は、事故と検知されない事故または故障および車両走行時のトラブルの場合にも用いられてもよい。たとえば、車両の故障時、運転者は、通信端末200にユーザインターフェース1000を表示する。この時、事故であれば、ボタン1010を押してもよいし、故障またはトラブルであれば1020を押してもよい。これにより、保険会社と即時連絡を取ることができる。また、トラブルの場合は、ロードアシスタンスのサービサーに直接要請することができる。
【0056】
また、事故通報は、運転者以外の人が行うことができる。例えば、車両の故障が起こった時に、検知装置100に搭載された操作部160(ボタン)を押す。このとき、運転者以外の人の通信端末200にインストールされた事故判断アプリが起動する。このとき、図21に示したユーザインターフェース1000が表示される。運転者以外の人は、ボタン1020を押すことにより、保険会社と連絡を取ることができる。
【0057】
以上により、事故時が起きた際に、運転者が怪我などにより連絡を取れない時または混乱した状況あっても、運転者または運転者以外の人は、アプリを通して保険証券やドライバーズカードを確認することができる。
したがって、運転者または運転者以外の人は、煩わしさを感じずに事故対応することができる。なお、ロードアシスタンス(故障・トラブル)の発生は事故よりも多くあるため、事故検知しない場合であっても、操作部160(ボタン)を押下するだけでアプリを起動しすぐに要請できる環境を整えることできる。
【0058】
<1-3.事故判断システムの機能ブロック図>
次に、上記の処理フローに関連した事故判断システム10の機能ブロックを用いた構成図を図22に示す。事故判断システム10は、第1計測部1100、第1送信部1110、第1受信部2100、記憶部2130、合成部2150、抽出部2160、第1判定部2170、計算部2180および第2判定部2190を備える。
なお、第1計測部1100及び第1送信部1110は、検知装置100に含まれる。また、第1受信部2100、記憶部2130、合成部2150、抽出部2160、第1判定部2170、計算部2180および第2判定部2190は、通信端末200に含まれる。
【0059】
第1計測部1100は、検知装置100において、加速度情報を計測する機能を有する。第1計測部1100は、車両のX方向、Y方向、Z方向の加速度を計測する。
なお、第1計測部1100において、加速度情報とともに識別情報(ID)が生成される。したがって、第1計測部1100は、上記の事故判断処理におけるS211およびS213の処理を実現する機能である。
【0060】
第1送信部1110は、検知装置100からの指示に基づいて、計測されたIDが付与された加速度情報を通信端末200に送信する機能を有する。したがって、第1送信部1110は、上記の事故判断処理におけるS215の処理を実現する機能である。
【0061】
第1受信部2100は、第1送信部から送信された加速度情報を受信する機能を有する。したがって、第1受信部2100は、上記の事故判断処理におけるS216の処理を実現する機能である。
【0062】
記憶部2130は、第1受信部によって受信された加速度情報記憶する機能を有する。したがって、記憶部2130は、上記の事故判断処理におけるS231の処理を実現する機能である。
【0063】
合成部2150は、記憶された加速度情報を用いて、第1情報を合成する機能を有する。したがって、合成部2150は、上記の事故判断処理におけるS233の処理を実現する機能である。
【0064】
抽出部2160は、合成された第1情報から第2情報を抽出する機能を有する。したがって、抽出部2160は、上記の事故判断処理におけるS235の処理を実現する機能である。
【0065】
第1判定部2170は、第2情報をもとに事故であるか否かを判定する機能を有する。したがって、第1判定部2170は、上記の事故判断処理におけるS237の処理を実現する機能である。
【0066】
計算部2180は、第2情報を計算して第3情報を取得する機能を有する。したがって、計算部2180は、上記の事故判断処理におけるS239の処理を実現する機能である。
【0067】
第2判定部2190は、第3情報をもとに事故であるか否かを判定する機能を有する。したがって、第1判定部2190は、上記の事故判断処理におけるS241の処理を実現する機能である。
【0068】
なお、事故判断システム10において、第3判定部2110は、必ずしも設けなくてもよい。第3判定部2110は、通信端末200に含まれる。第3判定部2110は、受信された識別情報が含まれた加速度情報の判定を行う機能を有する。したがって、第3判定部2110は、上記の事故判断処理におけるS217の処理を実現する機能である。
【0069】
また、事故判断システム10において、第2送信部2120は、必ずしも設けなくてもよい。第2送信部2120は、通信端末200に含まれる。第2送信部2120は、受信された加速度情報が不正の場合(S217;NG)には、第2送信部2120は識別情報が含まれた加速度情報を再度送信するように要求指示を送信する。したがって、第2送信部2120は、上記の事故判断処理におけるS219の処理を実現する機能である。
【0070】
また、事故判断システム10において、第2受信部1120は、必ずしも設けなくてもよい。第2受信部1120は、検知装置100に含まれる。第2受信部1120は加速度情報の再送信要求指示を受信し、再送信を指示する機能を有する。したがって、第2受信部1120は、上記の事故判断処理におけるS221およびS223の処理を実現する機能である。
【0071】
また、事故判断システム10において、支援部2200および第3送信部2210は、必ずしも設けなくてもよい。支援部2200は、通信端末200に含まれる。支援部2200は、事故であると判定されたときに事故対応を支援する機能を有する。したがって、支援部2200は、上記の事故判断処理におけるS303の処理を実現する機能である。第3送信部2210は、通信端末200に含まれる。第3送信部2210は、事故である
と判定されたときに事故情報を送信する機能を有する。したがって、第3送信部2210は、上記の事故判断処理におけるS305の処理を実現する機能である。
したがって、事故判断システム10を用いることにより、単純な構成であり、車両への後付けを容易に行え、かつ精度の高い事故判断システムを提供することができる。
【0072】
(変形例)
なお、本発明の実施形態では説明していないが、車両500の位置情報を適宜取得してもよい。位置情報は、通信端末200に搭載されたGPSなどにより計測してもよい。位置情報を知ることにより、事故が起きた時の場所を正確に知ることができる。これにより、事故発生箇所に保険会社を通じて、救急車を派遣することができる。また、保険会社を通じて、ロードアシスタンスを派遣したり、警備員を派遣することができる。
【符号の説明】
【0073】
10・・・事故判断システム、100・・・検知装置、110・・・計測部、120・・・制御部、130・・・記憶部、140・・・通信部、150・・・電源部、160・・・操作部、170・・・表示部、180・・・無線通信、200・・・通信端末、210・・・表示部、220・・・制御部、230・・・記憶部、240・・・操作部、250・・・通信部、260・・・計測部、300・・・サーバ、310・・・通信部、320・・・記憶部、330・・・制御部、400・・・ネットワーク、500・・・車両、1100・・・第1計測部、1110・・・第1送信部、1120・・・第2受信部、2100・・・第1受信部、2110・・・第3判定部、2120・・・第2送信部、2130・・・記憶部、2150・・・合成部、2160・・・抽出部、2170・・・第1判定部、2180・・・計算部、2190・・・第2判定部、2200・・・支援部、2210・・・第3送信部
図1
図2
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