特許第6871669号(P6871669)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871669
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】建設機械における走行制御装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20210426BHJP
   F02D 29/00 20060101ALI20210426BHJP
   F02D 29/02 20060101ALI20210426BHJP
   F02D 29/04 20060101ALI20210426BHJP
   B62D 11/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   E02F9/22 A
   F02D29/00 B
   F02D29/02 301A
   F02D29/04 F
   B62D11/04 B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-19361(P2017-19361)
(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-127771(P2018-127771A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】505236469
【氏名又は名称】キャタピラー エス エー アール エル
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】方尺 翔太
(72)【発明者】
【氏名】室田 功
(72)【発明者】
【氏名】中本 洋造
(72)【発明者】
【氏名】船引 直人
(72)【発明者】
【氏名】立岩 忠伸
(72)【発明者】
【氏名】柴田 雅史
【審査官】 深田 高義
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−014837(JP,A)
【文献】 特開2015−017452(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第03101182(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/22
B62D 11/04
F02D 29/00
F02D 29/02
F02D 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の走行部をそれぞれ走行させるべく駆動する左右の走行用モータと、これら左右の走行用モータをそれぞれ駆動せしめる左右のモータ駆動手段と、左右の走行部をそれぞれ走行させるべく操作される左右の走行用操作具とを備えて構成される建設機械の走行用制御装置において、機体を直進走行させるために操作される直進用操作具と、該直進用操作具の操作に基づく直進走行中に機体を左右にステアリングさせるために操作されるステアリング用操作具と、前記左右の走行用操作具、直進用操作具、ステアリング用操作具からの操作信号を入力する制御装置とを設けるとともに、該制御装置は、直進用操作具からの操作信号に基づいて直進制御モードを設定するモード設定と、直進制御モードが設定されていない場合に左右の走行用操作具の操作量に応じた速度で左右の走行用モータをそれぞれ駆動させる通常走行制御と、直進制御モードが設定されている場合に左右の走行用モータを一定速度で駆動させる定速直進制御と、定速直進制御の実行中にステアリング用操作具が操作された場合に該操作されたステアリング方向の走行用モータを前記一定速度からステアリング用操作具の操作量に応じて減速させる一方、逆ステアリング方向の走行用モータを前記一定速度に維持する直進制御モード時ステアリング制御とを行う構成にするとともに、定速直進制御における走行速度を可変に設定する直進速度設定手段を設けたことを特徴とする建設機械における走行制御装置。
【請求項2】
請求項1において、左右の走行用モータは、エンジンにより駆動される油圧ポンプを油圧源とするとともに、エンジンを制御するエンジン制御部は、制御装置による直進制御モード時ステアリング制御の実行中にエンジン回転数を低下させるエンジン回転数低下制御を行うことを特徴とする建設機械における走行制御装置。
【請求項3】
請求項1または2において、左右の走行用操作具を、直進制御モード設定中にステアリング用操作具として用いたことを特徴とする建設機械における走行制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか一項において、直進用操作具または左右の走行用操作具を、定速直進制御および直進制御モード時ステアリング制御の実行中に走行停止させるための操作具として用いたことを特徴とする建設機械における走行制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の建設機械における走行制御装置の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設機械のなかには、例えばクローラ式油圧ショベルのように、左右の走行用モータによりそれぞれ駆動される左右の走行部を備えるとともに、これら左右の走行部の前後進を、対応する左右の走行用操作具(走行用操作ペダルや走行用操作レバー)の操作に基づいてそれぞれ行うように構成したものがある。このものにおいて、機体を前方または後方に直進走行させる場合には、左右両方の走行用操作具を同方向に同じ操作量だけ操作する必要があるが、長い距離を直進走行するような場合には、走行中常に左右の操作具の操作量が等しくなるように注意を払わなければならず、運転者の負担になる場合がある。
そこで従来、定速走行用の切換スイッチを設け、該切換スイッチのスイッチ操作だけで機体を自動的に前方または後方に定速で直進走行させることができるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。さらにこのものには、スイッチ操作による定速直進走行中に機体を左右にステアリング(操向)させたい場合に、左右の走行用操作具のうち少なくとも何れか一方を操作すると、前記定速直進走行が解除されるとともに左右の走行用操作具のそれぞれの操作量に応じた速度で左右の走行部が走行し、これにより定速直進走行中でも左右の走行用操作具を操作すれば機体を左右にステアリングさせることができる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−131530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のものでは、スイッチ操作による定速直進走行中に機体を左右にステアリングさせるべく左右の走行用操作具のうち少なくとも一方を操作した場合、走行速度が定速直進走行中の速度から、左右の走行用操作具の操作量に対応した速度に急に切換わるため、走行用操作具の操作量によっては走行速度に大幅な変化が生じてしまう惧れがある。しかも、特許文献1のものでは、スイッチ操作による定速直進走行中は、パイロット油圧源から出力される圧力がそのまま定速直進走行用の指令信号として走行用の方向切換弁に供給される構成になっているから、方向切換弁はフルストロークで切換わっていて、走行用モータへは最大流量が流れている。つまり、スイッチ操作による定速直進走行中は最大速度で走行しており、この状態から走行用操作具を操作すると急に該走行用操作具の操作量に対応した速度になるが、走行用操作具は定速直進走行中は操作されていないから中立位置に位置しており、ステアリングさせる場合には該中立位置から操作されることになるため、ステアリング操作開始時に急激に減速して走行が不安定になってしまう惧れがあり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、左右の走行部をそれぞれ走行させるべく駆動する左右の走行用モータと、これら左右の走行用モータをそれぞれ駆動せしめる左右のモータ駆動手段と、左右の走行部をそれぞれ走行させるべく操作される左右の走行用操作具とを備えて構成される建設機械の走行用制御装置において、機体を直進走行させるために操作される直進用操作具と、該直進用操作具の操作に基づく直進走行中に機体を左右にステアリングさせるために操作されるステアリング用操作具と、前記左右の走行用操作具、直進用操作具、ステアリング用操作具からの操作信号を入力する制御装置とを設けるとともに、該制御装置は、直進用操作具からの操作信号に基づいて直進制御モードを設定するモード設定と、直進制御モードが設定されていない場合に左右の走行用操作具の操作量に応じた速度で左右の走行用モータをそれぞれ駆動させる通常走行制御と、直進制御モードが設定されている場合に左右の走行用モータを一定速度で駆動させる定速直進制御と、定速直進制御の実行中にステアリング用操作具が操作された場合に該操作されたステアリング方向の走行用モータを前記一定速度からステアリング用操作具の操作量に応じて減速させる一方、逆ステアリング方向の走行用モータを前記一定速度に維持する直進制御モード時ステアリング制御とを行う構成にするとともに、定速直進制御における走行速度を可変に設定する直進速度設定手段を設けたことを特徴とする建設機械における走行制御装置である。
請求項2の発明は、請求項1において、左右の走行用モータは、エンジンにより駆動される油圧ポンプを油圧源とするとともに、エンジンを制御するエンジン制御部は、制御装置による直進制御モード時ステアリング制御の実行中にエンジン回転数を低下させるエンジン回転数低下制御を行うことを特徴とする建設機械における走行制御装置である。
請求項の発明は、請求項1または2において、左右の走行用操作具を、直進制御モード設定中にステアリング用操作具として用いたことを特徴とする建設機械における走行制御装置である。
請求項の発明は、請求項1乃至の何れか一項において、直進用操作具または左右の走行用操作具を、定速直進制御および直進制御モード時ステアリング制御の実行中に走行停止させるための操作具として用いたことを特徴とする建設機械における走行制御装置である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、左右の走行用モータを一定速度で駆動させている定速直進制御の実行中であっても、大きく走行速度を変化させることなくスムーズに左右にステアリングさせることができることになって、定速直進走行からのステアリング操作を安定性良く行うことができる。しかも、定速直進走行させる場合の走行速度を、運転者や作業現場の状況等に応じて任意に設定することができる。
請求項2の発明とすることにより、直進制御モード時ステアリング制御時には定速直進制御よりも走行速度が遅くなり、より安定したステアリングを行うことができる。
請求項の発明とすることにより、ステアリング用操作具を別途設ける必要がなく、部材の兼用化が図れる。
請求項の発明とすることにより、定速直進制御および直進制御モード時ステアリング制御の実行中に走行停止させるための操作具を別途設ける必要がなく、部材の兼用化が図れることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】油圧ショベルの斜視図である。
図2】運転室内を示す斜視図である。
図3】制御装置の入出力と走行用モータの油圧回路を示す図である。
図4】制御装置の制御手順を示すフローチャート図である。
図5】定速直進制御における左右の走行用操作具の操作信号と左右の前進側電磁比例弁の出力パイロット圧とを示す図である。
図6】直進制御モード時ステアリング制御におけるステアリング用スライドスイッチの操作量と左右の前進側電磁比例弁の出力パイロット圧とを示す図であって、(A)は左方向、(B)は右方向にステアリングする場合を示す。
図7】第二の実施の形態の直進制御モード時ステアリング制御における左右の走行用操作具の操作信号と左右の前進側電磁比例弁の出力パイロット圧とを示す図であって、(A)は右方向、(B)は左方向にステアリングする場合を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建設機械の一例である油圧ショベルであって、該油圧ショベル1は、下部走行体2、該下部走行体2の上方に旋回自在に支持される上部旋回体3、該上部旋回体3に装着される作業装置4等の各部から構成されていること等の基本的構成は従来通りである。
【0009】
前記下部走行体2は、左右一対のクローラ式の走行部5L、5Rを備えており、これら左右の走行部5L、5Rは、該走行部5L、5Rにそれぞれ設けられる左右の走行用モータ6L、6Rの駆動に基づいて前進、後進、停止するように構成されている。
【0010】
一方、7は上部旋回体3に搭載される運転室であって、該運転室7には、運転席8、該運転席8の左右両側に配されるジョイスティク型の左右の作業用操作レバー9L、9Rや運転席8の前方に配設される左右の走行用操作具10L、10R等の各種操作具、機体状況やカメラ映像が表示されるとともに各種設定を行うために用いられるモニタ装置11等が配設されている。
尚、前記左右の走行用操作具10L、10Rとしては、運転状況等に応じて運転者が手で操作するレバーと足で操作するペダルとの何れか一方を任意に選択できるように、左右の走行用操作レバー10aL、10aRと左右の走行用操作ペダル10bL、10bRとが設けられている。
【0011】
前記左右の作業用操作レバー9L、9Rは、上部旋回体3の旋回や作業装置4を駆動させるために揺動操作されるものであるが、さらに、左右の作業用操作レバー9L、9Rのうち何れか一方の作業用操作レバー(本実施の形態では右側の作業用操作レバー)9Rのグリップ部には、該グリップ部を把持する手の親指で操作できる後述の前進ボタン12、後進ボタン13、ステアリング用スライドスイッチ14が設けられている。尚、本実施の形態において、上記前進ボタン12および後進ボタン13は、自動復帰型の押しボタンスイッチであって、発明の直進用操作具に相当する。また、ステアリング用スライドスイッチ14は、中立位置から左右両方向にスライド操作されるスライドスイッチであって、本発明のステアリング用操作具に相当する。
【0012】
ここで、前記左右の走行用操作具10L、10R(左右の走行用操作レバー10aL、10aRおよび左右の走行用操作ペダル10bL、10bR)および左右の作業用操作レバー9L、9Rは、その操作信号(操作方向および操作量)が電気信号として後述する制御装置15に入力される電気式のものが採用されている。さらに、作業用操作レバー9Rのグリップ部に設けられる前進ボタン12、後進ボタン13、ステアリング用スライドスイッチ14の操作信号も上記制御装置15に入力されるように構成されているとともに、該制御装置15と前記モニタ装置11とは、相方向に入出力可能に接続されている。
【0013】
次いで、前記左右の走行用モータ6L、6Rの油圧回路を図3に示すと、該図3において、16は左右の走行用モータ6L、6Rの油圧源となる油圧ポンプ、17はパイロット圧の油圧源となるパイロットポンプであって、これら油圧ポンプ16、パイロットポンプ17は、上部旋回体3に搭載されるエンジン(図示せず)により駆動されるようになっている。また、18は油タンクである。
【0014】
さらに、前記図3において、19L、19Rは前記左右の走行用モータ6L、6Rに対する油給排制御をそれぞれ行う左右の走行用コントロールバルブであって、該左右の走行用コントロールバルブ19L、19Rは、前進側および後進側のパイロットポート19aL、19bL、19aR、19bRを備えている。そして、これら前進側および後進側のパイロットポート19aL、19bL、19aR、19bRにパイロット圧が供給されていない状態では、左右の走行用コントロールバルブ19L、19Rは、左右の走行用モータ6L、6Rに対する油供給を行なわない中立位置Nに位置しているが、前進側パイロットポート19aL、19aRにパイロット圧が供給されることにより前進側作動位置Xに切換わって走行用モータ6L、6Rを前進側に駆動せしめるための油給排制御を行ない、また、後進側パイロットポート19bL、19bRにパイロット圧が供給されることにより後進側作動位置Yに切換わって走行用モータ6L、6Rを後進側に駆動せしめるための油給排制御を行なうように構成されている。この場合に、前進側作動位置X、後進側作動位置Yにおける左右の走行用コントロールバルブ19L、19Rのスプール移動量は、前進側パイロットポート19aL、19aR、後進側パイロットポート19bL、19bRに入力されるパイロット圧の高低に応じて増減するとともに、該スプール移動量の増減に応じて左右の走行用モータ6L、6Rへの供給流量が増減し、これにより左右の走行用モータ6L、6Rの駆動速度が増減制御されるようになっている。そして、左右の走行用モータ6L、6Rの前進側駆動速度が同じであれば機体は前方へ直進走行し、また、後進側駆動速度が同じであれば後方に直進走行する。一方、左右の走行用モータ6L、6Rの前進側駆動速度、後進側駆動速度が異なれば、機体は左または右にステアリングしながら前進、後進することになるが、この場合に、左走行用モータ6Lの駆動速度が右走行用モータ6Rの駆動速度よりも速ければ右にステアリングし、また、右走行用モータ6Rの駆動速度が左走行用モータ6Lの駆動速度よりも速ければ左にステアリングするとともに、左右の走行用モータ6L、6Rの駆動速度の差異が大きいほど急角度でステアリングする。
【0015】
さらに図3において、20FL、20BL、20FR、20BRは左右の前進側、後進側の電磁比例弁であって、これら電磁比例弁20FL、20BL、20FR、20BRは、前記制御装置15からの制御指令に基づいて、前記左右の走行用コントロールバルブ19L、19Rの前進側、後進側パイロットポート19aL、19bL,19aR、19bRにそれぞれパイロット圧を出力する。而して、これら左右の前進側、後進側電磁比例弁20FL、20BL、20FR、20BRからそれぞれ出力されるパイロット圧を制御することによって、左右の走行用モータ6L、6Rの駆動制御を行える構成になっている。尚、前記左右の走行用コントロールバルブ19L、19Rおよび左右の前進側、後進側の電磁比例弁20FL、20BL、20FR、20BRは、本発明の左右のモータ駆動手段に相当する。
【0016】
一方、前記制御装置15は、前記図3に示す如く、左右の走行用操作具10L、10R(左右の走行用操作レバー10aL、10aRおよび左右の走行用操作ペダル10bL、10bR)、前進ボタン12、後進ボタン13、ステアリング用スライドスイッチ14からの操作信号、およびモニタ装置11からの信号を入力し、これら入力信号に基づいて、前記左右の前進側、後進側の電磁比例弁20FL、20BL、20FR、20BRに制御指令を出力する。
ここで、本実施の形態では、モニタ装置11を用いて、運転者が後述する『直進制御モード』の設定を有効にするか無効にするかの選択と、『定速直進制御』における走行速度の設定とを行えるようになっている。尚、上記『定速直進制御』における走行速度の設定は、最大走行速度を100%とした場合に、例えば80%〜100%の範囲で任意の走行速度を設定できるようになっているが、本実施の形態では、『定速直進制御』における走行速度が100%、つまり最大走行速度に設定されているとして説明する。また、モニタ装置11は、本発明の直進速度設定手段に相当する。
【0017】
次いで、前記制御装置15の行う制御について説明すると、制御装置15は、後述する『直進制御モード』が設定されていない場合には、『通常走行制御』を行う。該『通常走行制御』では、左右の走行用操作具10L、10R(左右の走行用操作レバー10aL、10aRおよび左右の走行用操作ペダル10bL、10bR)からの操作信号(操作方向および操作量)に基づいて左右の走行用モータ6L、6Rを制御するべく、左右の前進側、後進側の電磁比例弁20FL、20BL、20FR、20BRに制御指令が出力される。つまり、左走行用操作具10Lが前進側に操作された場合には、左前進用電磁比例弁20FLにパイロット圧出力の制御指令を出力して左走行用モータ6Lを前進側に駆動せしめ、また、左走行用操作具10Lが後進側に操作された場合には、左後進側電磁比例弁20BLにパイロット圧出力の制御指令を出力して左走行用モータ6Lを後進側に駆動せしめ、また、右走行用操作具10Rが前進側に操作された場合には、右前進用電磁比例弁20FRにパイロット圧出力の制御指令を出力して右走行用モータ6Rを前進側に駆動せしめ、また、右走行用操作具10Rが後進側に操作された場合には、右後進側電磁比例弁20BRにパイロット圧出力の制御指令を出力して右走行用モータ6Rを後進側に駆動せしめる。この場合の左右の走行用モータ6L、6Rの駆動速度は左右の走行用操作具10L、10Rの操作量に応じて増減制御(走行用操作具10L、10Rの操作量が大きくなるほど走行用モータ6L、6Rの駆動速度が増加するように制御)される。而して『通常走行制御』においては、左右の走行用操作具10L、10Rの操作方向および操作量に応じた速度で、左右の走行用モータ6L、6Rがそれぞれ独立して前進側、後進側に駆動されるようになっている。
【0018】
さらに制御装置15は、前記前進ボタン12、後進ボタン13、ステアリング用スライドスイッチ14の操作に基づいて、『直進制御モード』の設定、『定速直進制御』、『直進制御モード時ステアリング制御』を行うが、これらの制御について、図4のフローチャート図に基づいて説明すると、まず、制御装置15は、『直進制御モード』の設定が有効であるか否かを判断する(ステップS1)。
【0019】
前記ステップS1の判断は、モニタ装置11からの入力信号に基づいて行われる。つまり、前述したように、運転者はモニタ装置11を用いて『直進制御モード』の設定が有効か無効かを選択できるようになっており、運転者が『直進制御モード』の設定の有効を選択した場合に、該有効の信号が制御装置15に入力される。そして制御装置15は、有効の信号が入力されている場合に、前記ステップ1の判断で「YES」、つまり『直進制御モード』の設定が有効であると判断して、以降のステップに進む。尚、ステップS1の判断で「NO」、つまり『直進制御モード』の設定が無効であると判断された場合には、以降のステップに進むことなく、ステップS1の判断に戻るようになっている。
【0020】
前記ステップ1の判断で「YES」と判断された場合、制御装置15は、続けて、前進ボタン12が操作されたか否かを判断する(ステップS2)。そして、該ステップS2の判断で「YES」、つまり前進ボタン12が操作されたと判断された場合には、準備フラグをONにセットする(ステップS3)。尚、ステップS2の判断で「NO」、つまり前進ボタン12が操作されていないと判断された場合には、以降のステップに進むことなく、ステップS2の判断に戻るようになっている。
【0021】
前記ステップS3の処理で準備フラグをONにセットした後、制御装置15は、続けて、準備フラグをONにセットから予め設定される設定時間(例えば、5秒〜10秒)が経過したか否かを判断する(ステップS4)。そして、該ステップS4の判断で「NO」、つまり設定時間が経過していないと判断された場合には、再び、前進ボタン12が操作されたか否かを判断する(ステップS5)。
【0022】
そして、前記ステップS5の判断で「YES」、つまり前進ボタン12が操作されたと判断された場合には、『直進制御モード』を設定する(ステップS6)とともに、準備フラグをOFFにセットする(ステップS7)。つまり、前記ステップS1により『直進制御モード』の設定が有効であると判断され、且つ、前記ステップS2、S4、S5により設定時間内に前進ボタン12が二回操作されたと判断された場合に、『直進制御モード』が設定されるようになっている。
【0023】
これに対し、前記ステップS4の判断で「YES」、つまり準備フラグをONにセットから設定時間が経過した判断された場合には、準備フラグをOFFにセットして(ステップS9)、前記ステップS2の判断に戻る。また、前記ステップS5の判断で「NO」、つまり前進ボタン12の二回目の操作がなされていないと判断された場合には、続けて、後進ボタン13が操作されたか否かを判断する(ステップS8)。そして、該ステップS8の判断で「YES」、つまり後進ボタン13が操作されたと判断された場合には、準備フラグをOFFにセットして(ステップS9)、前記ステップS2の判断に戻る。一方、ステップS8の判断で「NO」、つまり後進ボタン13が操作されていないと判断された場合には、前記ステップS4の判断に戻る。つまり、ステップS2、S4、S5により最初に前進ボタン12が操作されてから設定時間内に再び前進ボタン12が操作されなかったと判断された場合、また、最初に前進ボタン12が操作されてから設定時間内に後進ボタン13が操作されたと判断された場合には、『直進制御モード』は設定されないようになっている。さらに、ステップS1により『直進制御モード』の設定が無効であると判断された場合も、『直進制御モード』は設定されないようになっており、これにより、運転者が意図しない誤操作等で『直進制御モード』が設定されてしまうことを確実に防止できるようになっている。
【0024】
一方、前記ステップS6の処理で『直進制御モード』が設定された場合、制御装置15は、『定速直進制御』を実行する(ステップS10)。該『定速直進制御』において、制御装置15は、機体を一定速度で前方に直進走行させるべく、左右の前進側電磁比例弁20FL、20FRに対して、同圧力のパイロット圧を出力するように制御指令を出力する。これにより、左右の走行用コントロールバルブ19L、19Rが同スプール移動量で前進側作動位置Xに切換わって、左右の走行用モータ6R、6Lが同速度で前進側に駆動し、これにより機体は一定速度で前方に直進走行するようになっている。つまり、この『定速直進制御』においては、図5に示す如く、左右の走行用操作具10L、10Rが操作されておらず、該走行用操作具10L、10Rから入力される操作信号が0%であっても、制御装置15は、左右の前進側電磁比例弁20FL、20FRに対して100%のパイロット圧を出力するように制御指令を出力し、これにより、走行用モータ6R、6Lが最大速度で前進側に駆動されるようになっている。尚、図5における操作信号の%は、走行用操作具10L、10Rが操作されていないときを0%、フル操作したときを100%としており、また、出力パイロット圧の%は、前進側電磁比例弁20FL、20FRからパイロット圧が出力されていないときを0%、出力パイロット圧が最大のときを100%としている。また、本実施の形態では、前述したように、モニタ装置11により『定速直進制御』における走行速度が100%(最大走行速度)に設定されているため、制御装置15からパイロット圧100%出力の制御指令が出力されるが、100%未満の走行速度が設定されている場合には、該設定された走行速度にするためのパイロット圧が前進側電磁比例弁20FL、20FRから出力されるように制御される。
【0025】
さらに、前記『定速直進制御』の実行中において、制御装置15は、停止操作が行われたか否かを判断する(ステップS11)。該停止操作としては、本実施の形態では、前進ボタン12の操作、後進ボタン13の操作、または左右の走行用操作具10L,10Rの少なくとも一方の後進側操作が設定されており、このうちの何れかの操作が行われた場合に、制御装置15は停止操作が行われたと判断する。
【0026】
そして、前記ステップS11の判断で「YES」、つまり停止操作(前進ボタン12の操作、後進ボタン13の操作、または左右の走行用操作具10L,10Rの少なくとも一方の後進側操作のうちの何れかの操作)が行われたと判断された場合、制御装置15は、左右の前進側電磁比例弁20FL、20FRに対して、パイロット圧の出力を停止するように制御指令を出力する(ステップS12)とともに、『直進制御モード』を解除する(ステップS13)。これにより、左右の走行用コントロールバルブ9L、9Rが中立位置Nに切換わって、走行用モータ6L、6Rへの圧油供給が停止され、機体が停止するとともに、『定速直進制御』は終了する。
【0027】
一方、前記ステップS11の判断で「NO」、つまり停止操作が行われていないと判断された場合、制御装置15は、続けて、ステアリング用スライドスイッチ14が操作されたか否かを判断する(ステップS14)。
【0028】
前記ステップS14の判断で「NO」、つまりステアリング用スライドスイッチ14が操作されていないと判断された場合には、前記ステップS10の制御に戻る。つまり、『定速直進制御』の実行中に、停止操作もステアリング用スライドスイッチ14の操作も行われない場合には、『定速直進制御』が続行される。
【0029】
これに対し、前記ステップS14の判断で「YES」、つまりステアリング用スライドスイッチ14が操作された判断された場合には、制御装置15は、『直進制御モード時ステアリング制御』を実行する(ステップS15)。該『直進制御モード時ステアリング制御』は、『直進制御モード』の実行中においてステアリング操作が行われた場合に機体を左右にステアリングさせるための制御であって、制御装置15は、機体を左にステアリングさせるべくステアリング用スライドスイッチ14が中立位置から左方向にスライド操作された場合には、左前進側電磁比例弁20FLに対して、『定速直進制御』実行中の出力パイロット圧からステアリング用スライドスイッチ14の操作量(スライド量)に応じて低圧となる(操作量が大きいほど低圧となる)パイロット圧まで減圧させるように制御指令を出力する一方、右前進側電磁比例弁20FRに対して、『定速直進制御』の実行中の出力パイロット圧を保持するように制御指令を出力する。これにより、左走行用モータ6Lは『定速直進制御』実行中の駆動速度からステアリング用スライドスイッチ14の操作量に応じた速度(操作量が大きくなるほど減速された速度)まで減速する一方、右走行用モータ6Rは『定速直進制御』実行中と同速度で駆動し、これにより機体は、『定速直進制御』実行中から大きく走行速度が変化することなくスムーズに左方向にステアリングするようになっている。この場合に、左走行用モータ6Lはステアリング用スライドスイッチ14の操作量に応じて減速するから、ステアリング用スライドスイッチ14をゆっくりスライドさせて徐々に操作量が大きくなるようにすれば、左走行用モータ6Lは徐々に減速することになる。また、機体を右にステアリングさせるべくステアリング用スライドスイッチ14を中立位置から右方向にスライド操作した場合にも、左右は異なるが同様に、右走行用モータ6Rは『定速直進制御』実行中の駆動速度からステアリング用スライドスイッチ14の操作量に応じた速度(操作量が大きくなるほど減速された速度)まで減速する一方、左走行用モータ6Lは『定速直進制御』実行中と同速度で駆動するように制御され、これにより機体は、『定速直進制御』実行中から大きく走行速度が変化することなくスムーズに右方向にステアリングするようになっている。尚、左方向にステアリング操作された場合には、左走行用モータ6Lが本発明のステアリング方向の走行用モータに相当し、右走行用モータ6Rが本発明の逆ステアリング方向の走行用モータに相当する。同様に、右方向にステアリング操作された場合には、右走行用モータ6Rが本発明のステアリング方向の走行用モータに相当し、左走行用モータ6Lが本発明の逆ステアリング方向の走行用モータに相当する。また、図6(A)に、ステアリング用スライドスイッチ14を左方向に操作した場合の操作量(スライド量)と、左前進側電磁比例弁20FL、右前進側電磁比例弁20FRからの出力パイロット圧とを示し、図6(B)に、ステアリング用スライドスイッチ14を右方向に操作した場合の操作量と、左前進側電磁比例弁20FL、右前進側電磁比例弁20FRからの出力パイロット圧とを示すが、図6における操作量の%は、ステアリング用スライドスイッチ14が操作されていないとき(中立位置のとき)を0%、フル操作したときを100%としており、また、パイロット圧の%は、前進側電磁比例弁20FL、20FRからパイロット圧が出力されていないときを0%、『定速直進制御』実行中における出力パイロット圧(本実施の形態では最大パイロット圧)を100%としている。
【0030】
さらに、制御装置15は、『直進制御モード時ステアリング制御』の実行中においても、ステップS11の判断、つまり、停止操作(前進ボタン12の操作、後進ボタン13の操作、または左右の走行用操作具10L,10Rの少なくとも一方の後進側操作のうちの何れかの操作)が行われたか否かの判断を行う。そして、停止操作が行われたと判断された場合には、前述したステップS12、S13の処理を実行し、これにより、機体が停止するとともに、『直進制御モード時ステアリング制御』は終了する。一方、『直進制御モード時ステアリング制御』の実行中において、ステップS11により停止操作が行われていないと判断された場合には、『直進制御モード時ステアリング制御』が続行される。
【0031】
尚、前述した『直進制御モード』の設定、『定速直進制御』、『直進制御モード時ステアリング制御』の制御は、機体を前進させる場合の制御であり、機体を後進させる場合には、前進スイッチ12に替えて後進スイッチ14が操作され、また、左右の前進側電磁比例弁20FL、20FRに替えて左右の後進側電磁比例弁20BL、20BRに制御装置15から制御指令が出力されることになるが、後進側も前進側と同様の制御手順で行われるため、説明は省略する。
因みに、本実施の形態において、『直進制御モード』設定中における停止操作としては、機体の前進時では前述したように、前進ボタン12の操作、後進ボタン13の操作、または左右の走行用操作具10L,10Rの少なくとも一方の後進側操作が設定されているが、機体の後進時には、前進ボタン12の操作、後進ボタン13の操作、または左右の走行用操作具10L,10Rの少なくとも一方の前進側操作が設定されている。
【0032】
叙述の如く構成された本形態において、油圧ショベル1は、左右の走行部5L、5Rと、これら左右の走行部5L、5Rをそれぞれ走行させるべく駆動する左右の走行用モータ6L、6Rと、左右の走行用モータ6L、6Rをそれぞれ駆動せしめる左右のモータ駆動手段(左右の走行用コントロールバルブ19L、19R、左右の前進側、後進側の電磁比例弁20FL、20BL、20FR、20BR)と、左右の走行部5L、5Rをそれぞれ走行させるべく操作される左右の走行用操作具10L、10Rとを備えているが、さらに、機体を直進走行させるために操作される直進用操作具(前進ボタン12、後進ボタン13)と、これら前進ボタン12、後進ボタン13の操作に基づく直進走行中に機体を左右にステアリングさせるために操作されるステアリング用操作具(ステアリング用スライドスイッチ14)と、左右の走行用操作具10L、10R、前進ボタン12、後進ボタン13、ステアリング用スライドスイッチ14からの操作信号を入力する制御装置15とが設けられているとともに、該制御装置15は、前進ボタン12、後進ボタン13の操作信号に基づいて『直進制御モード』を設定するモード設定と、『直進制御モード』が設定されていない場合に左右の走行用操作具10L、10Rの操作量に応じた速度で左右の走行用モータ6L、6Rをそれぞれ駆動させる『通常走行制御』と、『直進制御モード』が設定されている場合に左右の走行用モータ6L、6Rを一定速度で駆動させる『定速直進制御』と、該『定速直進制御』の実行中にステアリング用スライドスイッチ14が操作された場合に該操作されたステアリング方向の走行用モータ6Lまたは6Rを前記一定速度からステアリング用スライドスイッチ14の操作量に応じて減速させる一方、逆ステアリング方向の走行用モータ6Rまたは6Lを前記一定速度に維持する『直進制御モード時ステアリング制御』とを行うことになる。
【0033】
この様に本実施の形態においては、前進ボタン12、後進ボタン13の操作に基づいて『直進制御モード』が設定されるとともに、該『直進制御モード』が設定されている場合には左右の走行用モータ6L、6Rを一定速度で駆動させる『定速直進制御』が実行されることになり、これにより、前進ボタン12、後進ボタン13の操作に基づいて機体を一体速度で直進走行させることができることになって、直進走行中に運転者が常に左右の走行用操作具10L、10Rの操作量が等しくなるように注意を払う必要がなくなり、運転者の負担を大幅に軽減できることになるが、さらにこのものにおいて、前記『定速直進制御』の実行中に機体を左右にステアリングしたい場合には、ステアリング用スライドスイッチ14を操作すると、該操作されたステアリング方向の走行用モータ6Lまたは6Rが定速直進走行中の速度からステアリング用スライドスイッチ14の操作量に応じて減速される一方、逆ステアリング方向の走行用モータ6Rまたは6Lは定速直進走行中の速度が維持される『直進制御モード時ステアリング制御』が実行されることになる。この結果、『定速直進制御』の実行中であっても、大きく走行速度を変化させることなくスムーズに左右にステアリングさせることができることになって、定速直進走行からのステアリング操作を安定性良く行うことができる。
【0034】
さらにこのものにおいて、前記『定速直進制御』における走行速度は、モニタ装置11により可変に設定できるようになっており、これにより、定速直進走行させる場合の走行速度を、運転者や作業現場の状況等に応じて任意に設定することができる。尚、本実施の形態では、直進速度設定手段としてモニタ装置11を用いたが、これに限定されることなく、直進速度設定手段としてダイヤル等の操作具を別途設けることもできる。
【0035】
さらに本実施の形態では、『直進制御モード』設定中に走行停止させるための操作具として、直進用操作具(前進スイッチ12、後進スイッチ13)または左右の走行用操作具10L、10Rが用いられている。これにより、走行停止用の操作具を別途設ける必要がなくなって、部材の兼用化が図れることになる。しかも本実施の形態では、左右の走行用操作具10L、10Rを走行停止用の操作具として用いるにあたり、機体の前進時には走行用操作具10L、10Rを後進側に、後進時には前進側に操作することで走行停止させることができるようになっており、而して、左右の走行用操作具10L、10Rを『通常走行制御』時とは異なる仕様で用いても、運転者が違和感なく走行停止用の操作具として用いることができる。
【0036】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されないことは勿論であって、上記実施の形態では、作業用操作レバーのグリップ部に、直進用操作具(前進スイッチ12、後進スイッチ13)およびステアリング用操作具(ステアリング用スライドスイッチ14)が設けられているが、これに限定されることなく、これら直進用操作具、ステアリング用操作具を、運転室内の適宜位置に配置することもできる。
【0037】
さらに、上記実施の形態では、『定速直進制御』中に機体を左右にステアリングさせるためのステアリング用操作具としてステアリング用スライドスイッチ14が設けられているが、左右の走行用操作具10L、10R(左右の走行用操作レバー10aL、10aR、左右の走行用操作ペダル10bL、10bR)を上記ステアリング用操作具としてを用いることもできる。この場合、左走行用操作具10Lは右方向にステアリングするためのステアリング用操作具として、また、右走行用操作具10Rは左方向にステアリングするためのステアリング用操作具として用いるように設定されるとともに、制御装置15は、『定速直進制御』の実行中にこれら左右何れかの走行用操作具10L、10Rが操作された場合に、『直進制御モード時ステアリング制御』を実行する。この場合の『直進制御モード時ステアリング制御』を、第二の実施の形態として図7に示すと、図7(A)に示す制御は機体を前進側に定速直進走行させている場合に左走行用操作具10Lを操作した場合、つまり機体を右方向にステアリングさせる場合であって、この場合に制御装置15には、左走行用操作具10Lからは該左走行用操作具10Lの操作量に応じた操作信号(操作量が大きくなるほど増加する操作信号)が入力され、また、左走行用操作具10Lからは0%の操作信号が入力される。そして制御装置15は、左走行用操作具10Lから操作信号が入力されると、左前進側電磁比例弁20FLに対して、『定速直進制御』の実行中の出力パイロット圧を維持するように制御指令を出力する一方、右前進側電磁比例弁20FLに対して、『定速直進制御』実行中の出力パイロット圧から左走行用操作具10Lの操作量に応じて低圧(操作量が大きくなるほど低圧)となるパイロット圧まで減圧させるように制御指令を出力する。これにより、左走行用モータ6L(逆ステアリング方向の走行モータ)は『定速直進制御』実行中と同速度で駆動する一方、右走行用モータ6R(ステアリング方向の走行モータ)は『定速直進制御』実行中の駆動速度から左走行用操作具10Lの操作量に応じた速度(操作量が大きくなるほど減速された速度)まで減速し、これにより機体は、『定速直進制御』実行中から大きく走行速度が変化することなくスムーズに右方向にステアリングすることになる。また、図7(B)に示す制御は機体を前進側に定速直進走行させている場合に右走行用操作具10Rを操作した場合、つまり機体を左方向にステアリングさせる場合であって、この場合は、前記右方向にステアリングさせる場合と左右逆の制御が行われて、右走行用モータ6R(逆ステアリング方向の走行モータ)は『定速直進制御』実行中と同速度で駆動する一方、左走行用モータ6L(ステアリング方向の走行モータ)は『定速直進制御』実行中の駆動速度から右走行用操作具10Rの操作量に応じた速度(操作量が大きくなるほど減速された速度)まで減速し、これにより機体は、『定速直進制御』実行中から大きく走行速度が変化することなくスムーズに左方向にステアリングすることになる。
而して、前記第二の実施の形態のように、左右の走行用操作具10L、10R(左右の走行用操作レバー10aL、10aR、左右の走行用操作ペダル10bL、10bR)をステアリング用操作具として用いても、本発明を実施できることになるが、この場合には、ステアリング用操作具を別途設ける必要がなく、部材の兼用化が図れる。因みに、第二の実施の形態では、左走行用操作具10Lは右方向にステアリングするためのステアリング用操作具として、また、右走行用操作具10Rは左方向にステアリングするためのステアリング用操作具として用いられているが、これは、『通常走行制御』において、右方向にステアリングする場合には、左走行用操作具10Lの操作量を右走行用操作具10Rの操作量よりも大きくし、また、左方向にステアリングする場合には、右走行用操作具10Rの操作量を左走行用操作具10Lの操作量よりも大きくすることに対応させたものであり、このようにすることにより、運転者は違和感なく左右の走行用操作具10L、10Rをステアリング用操作具として用いることができる。
【0038】
また、ステアリング用操作具として、左右の作業用操作レバーを用いることもできる。この場合、左右の作業用操作レバーは、『定速直進制御』および『直進制御モード時ステアリング制御』の実行中は、上部旋回体3の旋回や作業装置4を駆動させるための操作具として用いられることなく、ステアリング用操作具として用いられることになる。
【0039】
さらに、前記制御装置を、エンジンを制御するエンジン制御部に接続するとともに、制御装置が『直進制御モード時ステアリング制御』を実行する場合に、制御装置からエンジン制御部に制御指令を出力して、『定速直進制御』の実行中よりもエンジン回転数を低下させるエンジン回転数低下制御を行う構成にすることもできる。このように構成することにより、『直進制御モード時ステアリング制御』時には『定速直進制御』よりも走行速度が遅くなり、より安定したステアリングを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、左右の走行部を備えた油圧ショベル等の建設機械の走行制御装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
5L、5R 左右の走行部
6L、6R 左右の走行用モータ
10L、10R 左右の走行用操作具
11 モニタ装置
12 前進ボタン
13 後進ボタン
14 ステアリング用スライドスイッチ
15 制御装置
16 油圧ポンプ
19L、19R 左右の走行用コントロールバルブ
20FL、20BL、20FR、20BR 左右の前進側、後進側電磁比例弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7