(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、複数の実施形態による衣類乾燥機について、図面を参照して説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0009】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態について、
図1〜
図6を参照して説明する。
図1及び
図2に示す洗濯乾燥機10は、外箱11、水槽12、回転槽13、モータ14、及び扉15(
図2参照)を備えている。なお、本実施形態において、外箱11に対して扉15側を洗濯乾燥機10の前側とする。また、洗濯乾燥機10の設置面側つまり鉛直下側を、洗濯乾燥機10の下側とし、設置面と反対側つまり鉛直上側を、洗濯乾燥機10の上側とする。
【0010】
洗濯乾燥機10は、洗濯機能及びヒートポンプ方式の乾燥機能を備えており、回転槽13の回転軸が地面に対して傾斜したいわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。外箱11は、鋼板などによって略矩形の箱状に形成されている。水槽12は、外箱11の内部に収容されている。回転槽13は、水槽12の内部に収容されている。水槽12及び回転槽13は、いずれも円筒状に形成されている。
【0011】
図1に示すように、水槽12は、円筒状の一方の端部に開口部121が形成され、他方の端部に水槽端板122が設けられている。開口部121は、傾斜した水槽12において水槽端板122よりも上側に位置している。同様に、回転槽13は、円筒状の一方の端部に開口部131が形成され、他方の端部に回転槽端板132が設けられている。開口部131は、傾斜した回転槽13において回転槽端板132よりも上側に位置している。回転槽13の開口部131は、水槽12の開口部121に周囲を覆われている。水槽12及び回転槽13は、衣類等の乾燥対象物を収容する乾燥室として機能する。
【0012】
水槽12は、排気口16及び給気口17を有している。排気口16は、水槽12の筒状部分を構成する周壁にあって上部前寄り部分に設けられている。給気口17は、水槽端板122にあって、水槽端板122の中心よりやや上寄り部分に設けられている。排気口16及び給気口17は、水槽12の内部と外部とを連通している。
【0013】
水槽12は、重力方向の下方に位置する底部の後端側に排水部18を有している。排水部18は、排気口16及び給気口17の下方に位置している。排水部18は、排水口123、排水弁19、及び排水ホース20から構成されている。排水弁19が開放されることにより、水槽12内の水は、排水口123から排水弁19及び排水ホース20を経由して洗濯乾燥機10の外部へ排出される。
【0014】
回転槽13は、複数の孔21及び複数の連通口22を有している。孔21及び連通口22は、回転槽13の内部と外部とを連通している。孔21は、回転槽13の円筒状の筒状部分を構成する周壁の全域に形成されている。連通口22は、回転槽端板132の全域に形成されている。孔21及び連通口22は、洗濯運転時及び脱水運転時には、主に水が出入りする通水孔として機能し、乾燥運転時には空気が出入りする通風孔として機能する。なお、
図1では、簡単のため複数の孔21及び連通口22のうち一部のみを示している。また、詳細は図示しないが、回転槽13には、筒状部分の内側に複数のバッフルが設けられている。バッフルは、回転槽13の内側に収容された洗濯物を撹拌する。
【0015】
モータ14は、水槽12の外側にあって水槽端板122に設けられている。モータ14は、例えばアウターロータ型のDCブラシレスモータである。モータ14の軸部141は、水槽端板122を貫いて水槽12の内側へ突出し、回転槽端板132の中心部に固定されている。これにより、モータ14は、水槽12に対して回転槽13を相対的に回転させる。この場合、軸部141、回転槽13の回転軸、及び水槽12の中心軸は、それぞれ一致している。
【0016】
扉15は、図示しないヒンジを介して外箱11の外面側に設けられている。扉15は、ヒンジを支点に回動し、外箱11の前面に形成された図示しない開口部を開閉する。この外箱11に形成された開口部は、ベローズ112によって、水槽12の開口部121に接続されている。衣類等の洗濯物は、扉15を開放した状態で、開口部121、131を通して回転槽13内に出し入れされる。
【0017】
洗濯乾燥機10は、制御装置23および操作パネル24を備えている。制御装置23は、マイクロコンピュータなどから構成されており、洗濯乾燥機10の作動全般を制御する。操作パネル24は、
図1に示すように、外箱11の前面にあって扉15の上側に設けられている。操作パネル24は、制御装置23に接続されており、使用者は、操作パネル24を操作することによって運転コースの選択など各種設定を行う。また、洗濯乾燥機10は、図示しない給水装置を備えている。給水装置は、水道等の外部の水源からの水を、水槽12内へ供給するためのものである。
【0018】
洗濯乾燥機10は、
図3にも示すように循環風路30を備えている。循環風路30は、水槽12の外側において、排気口16と給気口17とを繋いでいる。具体的には、循環風路30は、排気ダクト31、フィルタ装置32、接続ダクト33、熱交換部34、及び給気ダクト35から構成されている。
【0019】
排気ダクト31は、
図1にも示すように、水槽12の排気口16とフィルタ装置32とを接続している。排気ダクト31は、例えば蛇腹状のホースで構成されている。フィルタ装置32は、外箱11の内側上部にあって、水槽12及び回転槽13の上方に設けられている。フィルタ装置32内には、
図3に示すようにフィルタ321が設けられている。排気口16から排気された空気に含まれるリント等の異物は、フィルタ装置32のフィルタ321を通過することによって取り除かれる。
【0020】
フィルタ装置32は、接続ダクト33を介して熱交換部34の上流側に接続されている。熱交換部34は、
図1及び
図2に示すように、外箱11の内側下部にあって、フィルタ装置32、水槽12及び回転槽13の下方に設けられている。熱交換部34は、内部を通過する空気を除湿及び加熱することで乾燥した温風を生成する。熱交換部34内には、ヒートポンプユニット40を構成する蒸発器50及び凝縮器60が設けられている。蒸発器50は、乾燥運転時における熱交換部34内の空気の流れに対して、凝縮器60よりも上流側に設けられている。熱交換部34内を通る空気は、蒸発器50によって冷却され、これにより除湿される。蒸発器50によって除湿された空気は、その後、凝縮器60によって加熱されて温風になる。
【0021】
熱交換部34の下流側は、給気ダクト35を介して水槽12の給気口17に接続されている。熱交換部34と給気ダクト35との接続部分には、循環ファン36が設けられている。循環ファン36は、例えばシロッコファンなどで構成されている。循環ファン36は、制御装置23の制御によって回転数が変更可能に構成されている。循環ファン36は、熱交換部34内の空気を吸い込み、給気ダクト35側へ吐出する。これにより、
図1、
図2、及び
図3の矢印Aで示すように、水槽12及び循環風路30を循環する空気の流れが生じる。この場合、循環風路30内の空気の流れについて見ると、排気口16が最上流側となり、給気口17が最下流側となる。
【0022】
この構成において、ヒートポンプユニット40及び循環ファン36を駆動させると、熱交換部34内で除湿及び加熱された温風は、循環ファン36の送風作用により、給気ダクト35を介して給気口17から水槽12内へ供給される。その後、温風は、主に連通口22から回転槽13内へ入り、回転槽13内の洗濯物から湿気を奪った後、主に孔21から回転槽13の外側へ出る。そして、湿気を含んだ空気は、排気口16から循環風路30に吸い込まれる。循環風路30に吸い込まれた空気は、まず排気ダクト31及びフィルタ装置32を通過する。その後、接続ダクト33を介して熱交換部34へ流れる。このように、乾燥運転は、水槽12と循環風路30との間で空気を循環させ、その空気を循環風路30内で除湿及び加熱することによって行われる。
【0023】
また、洗濯乾燥機10は、
図1及び
図2に示すように、ドレンタンク37及びドレンポンプ38を有している。ドレンタンク37は、蒸発器50の下方に設けられており、蒸発器50で生じて落下した結露水を受ける。ドレンポンプ38は、ドレンタンク37に接続されており、ドレンタンク37に貯留された結露水を、排水ホース381を介して洗濯乾燥機10の外部へ排出する。また、洗濯乾燥機10は、振動モータ39を備えている。振動モータ39は、蒸発器50の上部に接して設けられている。振動モータ39は、蒸発器50を振動させることで、蒸発器50に付着した結露水の落下を促進させる
【0024】
次に、ヒートポンプユニット40について説明する。ヒートポンプユニット40は、
図3に示すように、蒸発器50及び凝縮器60の他、圧縮機41及び減圧装置42を有している。圧縮機41及び減圧装置42は、熱交換部34の外側に設けられている。ヒートポンプユニット40は、圧縮機41を基準とした冷媒が流れる方向つまり
図3の矢印Bで示す方向に対して順に、凝縮器60、減圧装置42、及び蒸発器50を環状に接続して構成されている。
【0025】
図4に示すように、蒸発器50及び凝縮器60は、いずれも並行流方式つまりパラレルフロー方式の熱交換器である。本実施形態の場合、蒸発器50及び凝縮器60は、例えばコルゲートフィンタイプの熱交換器である。本実施形態において、パラレルフロー方式とは、熱交換器の内部に、並行に設けられた複数の冷媒の通路を有するものをいう。この場合、熱交換器に流入した冷媒は、熱交換器内で複数の経路に分岐して並行に流れる。また、本実施形態において、コルゲートフィンタイプとは、波板状に形成された熱交換用のフィンを有する熱交換器を意味する。
【0026】
まず、蒸発器50について説明する。蒸発器50は、
図4及び
図5に示すように、流入側ヘッダ部51、流出側ヘッダ部52、複数のチューブプレート53、及び複数のコルゲートフィン54を有している。流入側ヘッダ部51及び流出側ヘッダ部52は、それぞれ断面が円形の管状に形成されて、内部に冷媒が通る流入側冷媒流路511
及び流出側冷媒流路521を有している。流入側ヘッダ部51及び流出側ヘッダ部52は、一方側が開口し、他方側が閉塞している。
【0027】
流入側ヘッダ部51の開口は、蒸発器50内に冷媒を流入させるための蒸発器用流入口512として機能する。流出側ヘッダ部52の開口は、蒸発器50から冷媒を流出させるための蒸発器用流出口522として機能する。ヒートポンプユニット40を循環する冷媒は、蒸発器用流入口512から蒸発器50内に流入し、蒸発器用流出口522から蒸発器50外に流出する。
図3に示すように、蒸発器用流入口512は、減圧装置42の出力側に接続されている。また、蒸発器用流出口522は、圧縮機41の吸い込み側に接続されている。
【0028】
図4及び
図5に示すように、流入側ヘッダ部51と流出側ヘッダ部52とは、所定距離離間した状態で、水平方向へ向かって相互に平行となるように配置されている。蒸発器50の流入側ヘッダ部51は、蒸発器50の流出側ヘッダ部52に対して下方に設けられている。したがって、蒸発器用流入口512は、蒸発器用流出口522に対して下方に設けられている。また、流入側ヘッダ部51と流出側ヘッダ部52とは、それぞれ内部を流れる冷媒の流れ方向が同一方向を向くように配置されている。したがって、循環風路30内における空気が流れる方向つまり
図4の矢印A方向へ向かって蒸発器50を見た場合に、蒸発器用流入口512と蒸発器用流出口522とは、蒸発器50に対して対角の位置に設けられている。すなわち、
図4の紙面左下部から蒸発器50内に流入した冷媒は、紙面右上部から蒸発器50外に流出する。
【0029】
複数のチューブプレート53は、上下に配置された流入側ヘッダ部51と流出側ヘッダ部52とを接続している。各チューブプレート53は、上下方向に長い長方形の板状に構成されている。そして、各チューブプレート53は、流入側ヘッダ部51及び流出側ヘッダ部52の長手方向に沿って一定間隔で配置されている。各チューブプレート53の面は、流入側ヘッダ部51及び流出側ヘッダ部52の長手方向に対して直交している。すなわち、各チューブプレート53の面は、循環風路30内における空気の流れ方向に対して直交している。
【0030】
図5に示すように、チューブプレート53は、チューブプレート53の内部に冷媒を通すための通路531を複数本有している。チューブプレート53の下端部は、流入側ヘッダ部51を貫いて流入側冷媒流路511内に突出している。チューブプレート53の上端部は、流出側ヘッダ部52を貫いて流出側冷媒流路521内に突出している。そして、流入側冷媒流路511の下端部は、流入側ヘッダ部51の流入側冷媒流路511内に連通し、流入側冷媒流路511の上端部は、流出側ヘッダ部52の流出側冷媒流路521内に連通している。これにより、流入側ヘッダ部51の流入側冷媒流路511と、流出側ヘッダ部52の流出側冷媒流路521とは、通路531を介して連通している。
【0031】
コルゲートフィン54は、例えば薄いアルミ板を波状に折り曲げることで、全体として波板状に形成されている。コルゲートフィン54は、隣接するチューブプレート53の間に設けられている。コルゲートフィン54の波板状の両側において、波状の頂辺部は、チューブプレート53に接触して例えばろう接等によって固定されている。コルゲートフィン54は、熱交換用のフィンこの場合吸熱フィンとして機能する。つまり、チューブプレート53の流出側冷媒流路521を流れる冷媒と、コルゲートフィン54の波状の間を通る空気との間で、熱交換が行われる。
【0032】
凝縮器60は、
図4及び
図6に示すように、流入側ヘッダ部61、流出側ヘッダ部62、複数のチューブプレート63、及び複数のコルゲートフィン64を有している。凝縮器60は、基本的構成は蒸発器50と同様であるが、流入側ヘッダ部61及び流出側ヘッダ部62の配置が、蒸発器50と異なる。
【0033】
すなわち、流入側ヘッダ部61及び流出側ヘッダ部62は、蒸発器50の流入側ヘッダ部51及び流出側ヘッダ部52と同様に、それぞれ断面が円形の管状に形成されて、内部に冷媒が通る流入側冷媒流路611
及び流出側冷媒流路621を有している。流入側ヘッダ部61及び流出側ヘッダ部62は、一方側が開口し、他方側が閉塞している。
【0034】
流入側ヘッダ部61の開口は、凝縮器60内に冷媒を流入させるための凝縮器用流入口612として機能する。流出側ヘッダ部62の開口は、凝縮器60から冷媒を流出させるための凝縮器用流出口622として機能する。ヒートポンプユニット40を循環する冷媒は、凝縮器用流入口612から凝縮器60内に流入し、凝縮器用流出口622から凝縮器60外に流出する。
図3に示すように、凝縮器用流入口612は、圧縮機41の吐出側に接続されている。凝縮器用流出口622は、減圧装置42の入力側に接続されている。
【0035】
図4及び
図6に示すように、流入側ヘッダ部61と流出側ヘッダ部62とは、蒸発器50の流入側ヘッダ部51と流出側ヘッダ部52と同様に、所定距離離間した状態で、水平方向へ向かって相互に平行となるように配置されている。凝縮器60の流入側ヘッダ部61は、凝縮器60の流出側ヘッダ部62に対して上方に設けられている。したがって、凝縮器用流入口612は、凝縮器用流出口622に対して上方に設けられている。また、流入側ヘッダ部61と流出側ヘッダ部62とは、それぞれ内部を流れる冷媒の流れ方向が同一方向を向くように配置されている。したがって、循環風路30内における空気が流れる方向つまり
図4の矢印A方向へ向かって凝縮器60を見た場合に、凝縮器用流入口612と凝縮器用流出口622とは、凝縮器60に対して対角の位置に設けられている。すなわち、
図6の紙面右上側から凝縮器60内に流入した冷媒は、紙面左下側から凝縮器60外に流出する
【0036】
複数のチューブプレート63は、蒸発器50のチューブプレート53と同様に、上下に配置された流入側ヘッダ部61と流出側ヘッダ部62とを接続している。各チューブプレート63は、上下方向に長い長方形の板状に構成されている。そして、各チューブプレート63は、流入側ヘッダ部61及び流出側ヘッダ部62の長手方向に沿って一定間隔で配置されている。各チューブプレート63の面は、流入側ヘッダ部61及び流出側ヘッダ部62の長手方向に対して直交している。すなわち、各チューブプレート63の面は、循環風路30内における空気の流れ方向に対して直交している。
【0037】
図6に示すように、チューブプレート63は、チューブプレート63の内部に冷媒を通すための通路631を複数本有している。チューブプレート63の上端部は、流入側ヘッダ部61を貫いて流入側冷媒流路611内に突出している。チューブプレート63の下端部は、流出側ヘッダ部62を貫いて流出側冷媒流路621内に突出している。そして、流入側冷媒流路611の上端部は、流入側ヘッダ部61の流入側冷媒流路611内に連通し、流入側冷媒流路611の下端部は、流出側ヘッダ部62の流出側冷媒流路621内に連通している。これにより、流入側ヘッダ部61の流入側冷媒流路611と、流出側ヘッダ部62の流出側冷媒流路621とは、通路631を介して連通している。なお、コルゲートフィン64は、蒸発器50のコルゲートフィン54と同様の構成であるため、説明を省略する。
【0038】
本実施形態において、蒸発器50及び凝縮器60の外形は、同一形状であって、
図5における蒸発器50の中心及び
図6における凝縮器60の中心を基準とした点対称形に構成されている。また、詳細は図示しないが、減圧装置42は、蒸発器用流入口512及び凝縮器用流出口622の上方に設けられている。
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
【0039】
ヒートポンプユニット40の熱交換器である蒸発器50及び凝縮器60は、パラレルフロー方式でコルゲートフィンタイプの熱交換器である。コルゲートフィンタイプの熱交換器50、60は、コルゲートフィン54、64が波板状に形成されているため、従来用いられているフィンチューブタイプの熱交換器に比べて、熱交換に寄与する面積(以下、熱交換面積と称する)を大きくすることができる。このため、コルゲートフィンタイプの熱交換器50、60は、フィンチューブタイプの熱交換器に比べて、冷媒と空気との熱交換効率を高くすることができる。したがって、熱交換器50、60を大型化することなく、熱交換器50、60の熱交換効率を向上させることができる。
【0040】
ここで、蒸発器50及び凝縮器60は、パラレルフロー方式であるため、
図5及び
図6に示すように、冷媒を並列に流すために複数の通路531、631を有している。なお、以下の説明では、蒸発器50と凝縮器60とを総称する場合には単に熱交換器50、60とする。熱交換器50、60内に、複数の通路531、631が並列で設けられていると、熱交換器50、60内に流入した冷媒は、複数の通路531、631において抵抗がより小さい経路を通ろうとする。
【0041】
この場合、例えば蒸発器50において、蒸発器用流入口512が蒸発器用流出口522よりも上方に設けられていると、次のような問題が生じる。すなわち、蒸発器50には、減圧装置42から流出した低圧で液状の冷媒R1が流入する。その際、蒸発器用流入口512が蒸発器用流出口522よりも上方に設けられていると、蒸発器用流入口512から蒸発器50内に流入した低圧液状の冷媒R1は、重力の作用により、蒸発器用流入口512に近い通路531を通って落下しようとする。これにより、蒸発器50内を通る冷媒の流れは、蒸発器用流入口512に近い通路531に偏り易くなる。このように蒸発器50内を通る冷媒の流れに偏りが生じると、蒸発器50全体で均一に熱交換することができなくなる。したがって、蒸発器用流入口512が蒸発器用流出口522よりも上方に設けられているものでは、蒸発器50の全体を十分に活用することができない。
【0042】
これに対し、本実施形態の蒸発器50において蒸発器用流入口512は、
図5に示すように、蒸発器用流出口522よりも下方に設けられている。これによれば、蒸発器50内に流入した低圧液状の冷媒R1は、まず、流入側ヘッダ部51の流入側冷媒流路511内に貯留される。そして、流入側冷媒流路511内が液状の冷媒で充満されると、蒸発器用流入口512から更に流入しようとする冷媒によって、流入側冷媒流路511内が加圧される。これにより、流入側冷媒流路511内の冷媒R1が押し出されるようにして、各通路531を通って上昇する。そして、低圧液状の冷媒R1は、通路531を通過する際に循環風路30を通る空気と熱交換されて、徐々に低圧ガス状の冷媒R2になる。
【0043】
このように、本実施形態によれば、流入側冷媒流路511内を、蒸発器用流入口512から流入する低圧液状の冷媒R2で満たすことで、流入側冷媒流路511内に充満する低圧液状の冷媒R2は、各通路531を均一に通って流出側冷媒流路521側へ流れる。これにより、蒸発器50内を通る冷媒の流れが、蒸発器用流入口512に近い通路531に偏ることを抑制することができる。したがって、蒸発器50全体で均一に熱交換することができるようになり、その結果、蒸発器50全体を十分に活用して熱交換効率を向上させることができる。
【0044】
また、例えば凝縮器60において、凝縮器用流入口612が凝縮器用流出口622よりも下方に設けられていると、次のような問題が生じる。すなわち、凝縮器60には、圧縮機41から流出した高温高圧のガス状の冷媒R3が流入する。その際、凝縮器用流入口612が凝縮器用流出口622よりも下方に設けられていると、凝縮器用流入口612から凝縮器60内に流入した高圧ガス状の冷媒R3は、凝縮器用流入口612に近い通路631を通って上昇しようとする。これにより、凝縮器60内を通る冷媒の流れは、凝縮器用流入口612に近い通路631に偏り易くなる。このように凝縮器60内を通る冷媒の流れに偏りが生じると、凝縮器60全体で均一に熱交換することができなくなる。したがって、凝縮器用流入口612が凝縮器用流出口622よりも下方に設けられているものでは、凝縮器60の全体を十分に活用することができない。
【0045】
これに対し、本実施形態の凝縮器60において凝縮器用流入口612は、
図6に示すように、凝縮器用流出口622よりも上方に設けられている。これによれば、凝縮器60内に流入した高圧ガス状の冷媒R3は、まず、流入側ヘッダ部61の流入側冷媒流路611内に貯留される。そして、流入側冷媒流路611内がガス状の冷媒R3で充満されると、凝縮器用流入口612から更に流入しようとする冷媒によって、流入側冷媒流路611内が加圧される。これにより、流入側冷媒流路611内の冷媒R3が押し出されるようにして、通路631を通って下降する。そして、高圧ガス状の冷媒R3は、通路631を通過する際に循環風路30を通る空気と熱交換されて、高圧液状の冷媒R4になる。
【0046】
このように、本実施形態によれば、流入側冷媒流路611内を、凝縮器用流入口612から流入する高圧ガス状の冷媒R3で満たすことで、流入側冷媒流路611内に充満する高圧ガス状の冷媒R3は、各通路613を均一に通って流出側冷媒流路621側へ流れる。これにより、凝縮器60内を通る冷媒の流れが、凝縮器用流入口612に近い通路631に偏ることを抑制することができる。したがって、凝縮器60全体で均一に熱交換することができるようになり、その結果、凝縮器60全体を十分に活用して熱交換効率を向上させることができる。
【0047】
更に、
図4及び
図5に示すように、蒸発器用流入口512と蒸発器用流出口522とは、蒸発器50に対して対角の位置に設けられている。これによれば、
図5に示すように、蒸発器用流入口512から蒸発器用流出口522に至る経路について、いずれの通路531を通ったとしても、各経路の距離を均等にすることができる。同様に、
図4及び
図6に示すように、凝縮器用流入口612と凝縮器用流出口622とは、凝縮器60に対して対角の位置に設けられている。これによれば、凝縮器用流入口612から凝縮器用流出口622に至る経路について、いずれの通路631を通ったとしても、各経路の距離を均等にすることができる。
【0048】
このように、蒸発器50及び凝縮器60内を並列に流れる冷媒の経路について、各経路の距離を均等にすることで、各経路の流路抵抗を均等にすることができる。したがって、蒸発器50及び凝縮器60内を流れる冷媒に偏りが生じることを抑制することができ、その結果、蒸発器50及び凝縮器60全体を十分に活用して熱交換効率を更に向上させることができる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。
本実施形態の洗濯乾燥機10は、2つ以上の蒸発器及び2つ以上の凝縮器が空気の流れ方向に向かって重ねて配置されている点で、上記第1実施形態とは異なる。
すなわち、第2実施形態の洗濯乾燥機10は、熱交換部71と、第1蒸発器501及び第2蒸発器502と、第1凝縮器601及び第2凝縮器602と、を備えている。熱交換部71は、基本的な構成は上記第1実施形態の熱交換部34と同様であるが、内部の容積つまり断面積が、上記第1実施形態の熱交換部34の内部容積に比べて小さく設定されている。この場合、本実施形態の熱交換部71の断面積は、第1実施形態の熱交換部34の断面積に対して約半分に設定されている。
【0050】
第1蒸発器501及び第2蒸発器502は、基本的な構成は上記第1実施形態の蒸発器50と同様であるが、熱交換面積が、第1実施形態の蒸発器50の熱交換面積に比べて小さく設定されている。そして、第1蒸発器501及び第2蒸発器502は、各蒸発器501、502の熱交換面積を合算した値が、第1実施形態の蒸発器50の熱交換面積と同等以上になるように設定されている。本実施形態の場合、第1蒸発器501及び第2蒸発器502の熱交換面積は、第1実施形態の蒸発器50の熱交換面積の約半分に設定されている。この場合、第1蒸発器501及び第2蒸発器502は、主にヘッダ部51、61の延伸方向(
図8では左右方向)を短くすることで、熱交換面積を減らしている。
【0051】
第1蒸発器501及び第2蒸発器502は、熱交換部71内において、熱交換部71内を流れる空気の流れ方向へ向かって重ねて配置されている。例えば第1蒸発器501は、第2蒸発器502に対して、空気の流れ方向における上流側に配置されている。第1蒸発器501を通過して除湿及び冷却された空気は、その後、第2蒸発器502を通過することで更に除湿及び冷却される。
【0052】
第1蒸発器501と第2蒸発器502とは、並列に接続されている。すなわち、減圧装置42から流出した冷媒は、第1蒸発器501及び第2蒸発器502の手前で二手に分岐して、各蒸発器501、502の蒸発器用流入口512から各蒸発器501、502内に流入する。そして、各蒸発器501、502内を流れた冷媒は、各蒸発器501、502の蒸発器用流出口522から流出した後、合流して圧縮機41に吸い込まれる。
【0053】
また、第1凝縮器601及び第2凝縮器602は、基本的な構成は上記第1実施形態の凝縮器60と同様であるが、熱交換面積が、第1実施形態の凝縮器60の熱交換面積に比べて小さく設定されている。そして、第1凝縮器601及び第2凝縮器602は、各凝縮器601、602の熱交換面積を合算した値が、第1実施形態の凝縮器60の熱交換面積と同等以上になるように設定されている。本実施形態の場合、第1凝縮器601及び第2凝縮器602の熱交換面積は、第1実施形態の凝縮器60の熱交換面積の約半分に設定されている。
【0054】
第1凝縮器601及び第2凝縮器602は、熱交換部71内において、熱交換部71内を流れる空気の流れ方向へ向かって重ねて配置されている。例えば第1凝縮器601は、第2凝縮器602に対して、空気の流れ方向における上流側に配置されている。第1凝縮器601を通過して加熱された空気は、その後、第2凝縮器602を通過することで更に加熱される。
【0055】
第1凝縮器601と第2凝縮器602とは、並列に接続されている。すなわち、圧縮機41から吐出された冷媒は、第1凝縮器601及び第2凝縮器602の手前で二手に分岐して、各凝縮器601、602の凝縮器用流入口612から各凝縮器601、602内に流入する。そして、各凝縮器601、602内を流れた冷媒は、各凝縮器601、602の凝縮器用流出口622から流出した後、合流して減圧装置42内に流入する。
【0056】
このような第2実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の作用効果が得られる。更に、第2実施形態によれば、蒸発器50に比べて小型化した複数の蒸発器501、502と、凝縮器60に比べて小型化した複数の凝縮器601、602とを、それぞれ重ねて配置している。したがって、各蒸発器501、502及び各凝縮器601、602を収容する熱交換部34の断面積を小さくすることができ、これにより、熱交換部71の小型化を行うことができる。その結果、洗濯乾燥機10全体の小型化や、水槽12の大型化つまり衣類の収容量の大容量化を図ることができる。
【0057】
ちなみに、先に述べた特許文献1の
図1に示される従来技術では、前ダクト(17)の通風面積に対して、前ダクト(17)の下流側に設けられた循環風路(19)の通風面積の方が大きくなっている。このような構成においては、前ダクト(17)から循環風路(19)に吹き込む風に乱れが生じ易く、特に循環風路(19)内の外周部付近において風が乱れ易い。このように、前ダクト(17)と循環風路(19)との通風面積に差があると、エバポレータ(23)を通過する風の風量は、エバポレータ(23)に対する位置によって差が生じ易くなる。例えば風の乱れが小さいエバポレータ(23)の中央部に比べて、風の乱れが大きいエバポレータ(23)の外周部付近は、熱交換効率が低下しがちである。一方、第2実施形態のように、熱交換部34の風路の断面積を小さくすることで、接続ダクト33との断面積の差を減らすことができる。その結果、熱交換部34内を通る風の乱れを低減し、蒸発器501、502、及び凝縮器601、602の外周部付近における熱交換効率を高めることができる。なお、上記の括弧内の数字は、特許文献1における符号を示している。
【0058】
第2実施形態は、蒸発器501、502と凝縮器601、602とを、第1実施形態の蒸発器50や凝縮器60に比べて、主にヘッダ部51、61の延伸方向(
図8では左右方向)を短くすることで、その熱交換面積を減らす構成である。その理由は、先に述べたように、冷媒はヘッダ部51、61の入口に近い位置にある通路531、631から落下或いは上昇しようとする。即ち、この種の蒸発器や凝縮器において、ヘッダ部の入口から遠い位置にある通路は、ヘッダ部の入口から近い位置にある通路に比べて、熱交換効率が劣り易くなる性質がある。よってこの第2実施形態では、ヘッダ部51、61の入口512、612から遠い位置にある効率の悪い通路を削除し、ヘッダ部51、61の入口512、612に近い位置にある効率の良い通路のみを残している。そして、それによって減少した熱交換面積を、2つ以上の蒸発器、或いは2つ以上の凝縮器を、空気の流れ方向に向かって重ねて配置することにより補う構成としている。その結果、この第2実施形態によれば、蒸発器や凝縮器の効率の良い部分だけを利用して性能を一層向上させることができる。
【0059】
(他の実施形態)
次に、他の実施形態について、
図9及び
図10を参照して説明する。なお、
図9及び
図10では、共通の図面を用いて蒸発器50及び凝縮器60を示している。
図9及び
図10に示すように、他の実施形態において、蒸発器50の蒸発器用流入口512及び蒸発器用流出口522は、蒸発器50において同じ側面に設けられている。つまり、蒸発器50において、流入側冷媒流路511内を流れる冷媒の向きは、流出側冷媒流路521内を流れる冷媒の向きに対して逆向きとなる。また、凝縮器60の凝縮器用流入口612及び凝縮器用流出口622は、凝縮器60において同じ側面に設けられている。すなわち、凝縮器60において、流入側冷媒流路611内を流れる冷媒の向きは、流出側冷媒流路621内を流れる冷媒の向きに対して逆向きとなる。
【0060】
そして、
図9に示す蒸発器50及び凝縮器60は、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠くなるほど、隣接するチューブプレート53、63の間隔が狭くなるように設定されている。つまり、蒸発器50及び凝縮器60は、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠くなるほど、チューブプレート53、63の密度が高くなるように設定されている。例えば、本実施形態では、隣接するチューブプレート53、63の間隔は、各流入口512、612及び各流出口522、622に近い方から順に、第1間隔L1、第2間隔L2、及び第3間隔L3となるように3段階に設定されている。この場合、第1間隔L1>第2間隔L2>第3間隔L3である。
【0061】
また、
図10に示す蒸発器50及び凝縮器60は、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠くなるほど、チューブプレート53、63内の通路531、631が太くなるように設定されている。つまり、蒸発器50及び凝縮器60は、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠くなるほど、通路531、631の断面積が大きくなって、通路531、631内の流路抵抗が小さくなる。例えば、本実施形態では、各チューブプレート53、63における通路531、631の直径は、各流入口512、612及び各流出口522、622に近い方から順に、第1直径D1、第2直径D2、及び第3直径D3となるように3段階に設定されている。この場合、第1直径D1<第2直径D2<第3直径D3である。
【0062】
以上のように、
図9の構成によれば、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠くなるほど、チューブプレート53、63の密度が高くなって、チューブプレート53、63内に設けられた通路531、631の本数が増大する。また、
図10の構成によれば、流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠くなるほど、チューブプレート53、63内の通路531、631の断面積が大きくなる。
【0063】
これらによれば、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠い位置において、冷媒が流れる際の抵抗を低減することができる。そのため、各流入口512、612から各流出口522、622へ至る経路のうち、各流入口512、612及び各流出口522、622からの距離が遠い経路でも、冷媒を流れ易くすることができる。したがって、蒸発器50及び凝縮器60内を均等に冷媒が流れるようになり、蒸発器50及び凝縮器60内を流れる冷媒に偏りが生じることを抑制することができる。その結果、蒸発器50及び凝縮器60全体を十分に活用して熱交換効率を更に向上させることができる。
【0064】
なお、上記各実施形態は、水平に対して傾斜した軸を有するいわゆる斜めドラム式の洗濯乾燥機10に限られず、水平方向の回転軸を有するドラム式の洗濯乾燥機であってもよい。
上記第2実施形態において、蒸発器及び凝縮器は、それぞれ3個以上重ねて配置してもよい。
各蒸発器50、501、502、及び凝縮器60、601、602において、チューブプレート53、63内の通路531、631の太さや形状、及びチューブプレート53、63の間隔や個数等は、上記したものに限られない。
上記各実施形態は、洗濯機能を備えたものに限られず、洗濯機能を備えていない乾燥機であってもよい。
【0065】
以上、本発明の複数の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。