(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御手段は、前記画面から選択された設定ファイルの設定内容を前記生体情報計測装置に反映させる際、予め定められた項目の設定が変更される場合には、再度ユーザ認証を要求することを特徴とする請求項1記載の生体情報計測装置。
2回目以降の前記ユーザ認証では、1回目の前記ユーザ認証よりも前記ユーザ認証に用いるユーザ固有情報の入力項目の数が少ないことを特徴とする請求項4に記載の生体情報計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明をその例示的な実施形態に基づいて詳細に説明する。以下では、本発明を生体情報計測装置の一例としての生体情報モニタに適用した実施形態について説明する。なお、本発明は、生体情報モニタのように多くの生体情報を並行して計測ならびに表示する生体情報計測装置において特に有用であるが、表示装置を備える任意の生体情報計測装置に適用可能である。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る生体情報モニタ100の外観例を示す斜視図であり、
図2は生体情報モニタ100の機能構成例を示すブロック図である。
生体情報モニタ100は、各種のセンサや計測モジュールを接続可能な入力部110を有し、センサから逐次得られる生体情報データ(信号波形や計測値)を表示したり、異常を検出したりすることにより、患者の状態を常時監視するための装置である。生体情報モニタ100は主に、手術中の患者やICUに入っている患者など、バイタルサインを常時監視する必要がある患者に用いられるため、心電図、呼吸数、心拍数、血圧(観血および非観血、体温、動脈血酸素飽和度(SpO
2)、呼気終末炭酸ガス濃度(EtCO
2)など、複数の生体情報を計測する機能を有する。
【0014】
入力部110は、各種のセンサや計測モジュールを機械的および電気的に接続するコネクタやインターフェースを備える。本実施形態では例示として以下のセンサおよび計測モジュールが接続されているものとする。なお、入力部110に接続される計測モジュールによっては、双方向の通信が可能である。
【0015】
心電電極111は患者の四肢および/または胸部表面の所定部位に装着される複数の電極からなり、装着部位に応じた誘導波形を検出する。心電電極111の数や種類は計測する誘導波形の数や種類により異なる。また、心電電極間に高周波の微弱な電流を通電して胸郭のインピーダンスを計測し、その変化から胸郭の動きを検出するインピーダンス方式により呼吸数を算出することができる。血圧トランスデューサ112は患者の血管内に挿入されたカテーテルの端部に取り付けられ、血圧を電気信号に変換する。
【0016】
脈波・SpO
2センサ113はいわゆるパルスオキシメータであり、動脈血酸素飽和度(SpO
2)及び指尖容積脈波を光学的に検出して入力する。酸素と結びついているかどうかによってヘモグロビンの光の吸収度が異なること、また光の波長によっても吸収度が異なることを利用し、一般には赤色光と赤外光の2波長を用いて動脈血酸素飽和度を計測する。また、透過光又は反射光のAC成分が血液量に応じて変化することから、このAC成分を光学指尖容積脈波(PTG:photoplethysmograph)として検出する。
【0017】
体温センサ114は例えば患者に装着されたサーミスタ温度センサであり、温度に応じた抵抗値を示す。心拍出量センサ115は患者の血管内に留置したサーミスタ温度センサであり、血液温度を計測する。血液温度の時間変化から熱希釈曲線を求め、注入液温度とStewart-Hamilton の公式を応用した式から心拍出量(CO)を得ることができる。また、心拍出量と血圧値とから、血管抵抗(SVR)を求めることができる。なお、心拍出量はインピーダンス法によって非侵襲的に求めてもよい。呼吸ガスセンサ116は例えば赤外光吸光度に基づいて、呼気終末炭酸ガス濃度(EtCO
2)を計測する。なお、
図2に示した、入力部110に接続されるセンサおよびモジュールは単なる例示であって、他のものが含まれていてもよいし、図示したもののいくつかがなくてもよい。
【0018】
非観血血圧計117はカフ、ポンプ、排気弁、圧力センサなどを有する。圧力センサの信号を取得することにより、オシロメトリック法によって非観血的に血圧を計測することができる。非観血血圧は連続的に計測できないため、予め定めた一定周期ごと、あるいは指示がある都度計測を実施する。非観血血圧計117の動作(ポンプおよび排気弁の動作)は入力部110を通じて制御部140が制御する。
【0019】
前処理部120は、入力部110で受信した生体信号や計測値に対し、A/D変換処理や電源ノイズ除去フィルタの適用など、信号に応じて予め定められた前処理を実行し、バッファメモリ130に保存する。前処理部120はDSPやASICなどのハードウェアで構成してもよいし、制御部140によって少なくとも一部の機能をソフトウェアで実現してもよい。バッファメモリ130は信号の一時的な記憶や、制御部140のワークエリアやビデオメモリとして用いる。
【0020】
制御部140は例えば中央処理装置(CPU)などのプログラマブルプロセッサとRAM、ROMを有し、ROMに記憶されたプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することにより、生体情報モニタ100の動作を制御して全体的な機能を実現する。なお、ROMの少なくとも一部は書き換え可能であってよい。
【0021】
外部インターフェース(I/F)150は通信インターフェースであり、装置の筐体に設けられたコネクタで直接、あるいはケーブル195を介して外部装置に接続される。また、外部I/F150は有線および/または無線ネットワークインタフェースを含んでもよく、ネットワーク上の外部装置、例えばセントラルモニタと通信可能であってよい。
【0022】
アラームインジケータ160は制御部140により、機器の動作、生体情報データなどが予め定められた条件(アラーム設定)に規定された条件を満たすと判定された際に、例えば光や音によって警報を出力して報知するための1つ以上の出力デバイスである。アラームインジケータ160は、代表的には発光素子やスピーカであってよい。警報は重要度(レベル)によりレベル分けし、重要度に応じた警報を出力することができる。なお、警報はアラームインジケータ160だけでなく、タッチディスプレイ170に対するメッセージ表示などと組み合わせることもできる。制御部140は、例えば操作部180に対する所定の操作が検出されると警報の出力を停止する。
【0023】
タッチディスプレイ170は、タッチパネルの機能を有する表示装置である。制御部140は計測された生体情報データ、例えば心電波形、心拍数、体温、血圧値、呼吸数、呼吸波形の1つ以上を予め定められた表示様式(レイアウト)によりリアルタイムでタッチディスプレイ170に表示させる。また、制御部140は、操作部180やタッチディスプレイ170を通じた指示に応答して、タッチディスプレイ170に表示する内容および/またはレイアウトを変更する。例えば、レイアウトと表示項目との組み合わせの初期設定が複数定義されており、ユーザは操作部180またはタッチディスプレイ170の操作を通じて画面のレイアウトを切り替えたり、表示中のレイアウトに関して表示項目を追加したり削除したりすることができる。
【0024】
操作部180は電源スイッチやメニュー表示キーをはじめとしたキー、スイッチ群であり、ユーザが生体情報モニタ100に指示や情報の入力を行うことを可能にする。なお、操作部180を構成するスイッチやキーの少なくとも一部は、タッチディスプレイ170に設けられたタッチパネルと、制御部140によるGUI表示とを組み合わせたソフトウェアキーとして実現されてもよい。また、操作部180は外付けのキーやスイッチ(リモコンなど)を含んでもよい。
【0025】
本実施形態において操作部180は、生体認証情報入力部181を有することができる。生体認証情報入力部181は生体情報モニタ100のユーザ認証(特定)に用いるユーザ固有情報として、ユーザの生体情報(例えば指紋、虹彩、声紋、静脈パターン、顔の画像など)を入力するための構成である。従って、生体認証情報入力部181は、入力する生体情報に応じたセンサ類(指紋センサなど)や入力デバイス(マイク、カメラなど)を有する。
【0026】
記憶部190は計測データを保存したり、後述する登録ユーザ情報や設定ファイルを保存したりするための記憶装置である。記憶部190の少なくとも一部は、メモリカードのような着脱可能な記憶媒体を用いる構成であってよい。
【0027】
なお、図示した構成以外にも、プリンタ(レコーダ)などを有してもよい。また、生体情報モニタ100の電源は、電池、商用電源、あるいは外部I/F150に接続された外部装置のいずれによって供給されてもよい。外部I/F150を通じて電源を供給されている場合、生体情報モニタ100は外部I/F150からの電源で動作し、また内蔵電池の充電を行う。
【0028】
このような構成を有する生体情報モニタ100では、例えば操作部180を通じて電源が投入されると、入力部110を通じて受信した生体信号や計測値に対する処理を開始する。具体的には、前処理部120が生体信号や計測値にA/D変換やフィルタ処理などを行って、生体情報データとしてバッファメモリ130に保存し始める。そして、制御部140は、バッファメモリ130に保存された生体情報データに基づく各種パラメータの算出処理、表示処理、評価処理、異常判定処理などを開始する。
【0029】
また、制御部140は、バッファメモリ130から記憶部190に生体情報データを転送したり、予め設定されたイベントの発生時には、予め定められた情報(例えばイベント発生時における生体情報データなど)をイベントと関連付けて記憶部190に保存したりする。制御部140はさらに、操作部180やタッチディスプレイ170を通じたユーザ指示に応じて生体情報データを解析して所定の様式のレポートを生成し、タッチディスプレイ170への表示やレコーダによる印刷を行う。レポートには様々なものがあるが、生体信号の経時変化やイベントの発生などを把握するのに役立つリスト出力やトレンド出力はレポートの代表例である。
【0030】
制御部140は、外部I/F150を監視し、外部I/F150に外部装置が接続されたことを検知すると、外部装置との通信を確立し、外部装置の情報(例えば装置の種類や機能に関する情報)を取得する。制御部140はまた、外部I/F150がネットワークに接続されている場合には、ネットワーク上の管理装置(例えばセントラルモニタ)との通信も確立する。制御部140は管理装置からの要求に応じて、外部I/F150を通じた生体情報データの出力を開始したり、後述するユーザ認証処理の実行を管理装置に要求したり、管理装置にユーザ情報の送信を要求したりすることができる。
【0031】
(カスタマイズ機能)
本実施形態の生体情報モニタ100は、様々な項目に関する設定値をユーザが変更することのできる機能(カスタマイズ機能)を有している。カスタマイズ機能は、例えば操作部180に含まれる特定のキー操作によって呼び出すことができ、制御部140は特定のキー操作が検出されると、各種項目の設定画面をタッチディスプレイ170に表示する。本実施形態の生体情報モニタは階層的なメニュー構成に合わせた階層的な画面構成を有している。各階層のメニュー画面には1つ以上のメニュー項目が含まれており、制御部140は、選択された項目に下位のメニュー項目があれば下位のメニュー画面を表示し、下位のメニュー項目がなければ選択された項目に応じた動作を実行する。
【0032】
図3(a)は、最上位のメニュー画面301において項目「セットアップ」3011を選択する操作が行われ、「セットアップ」に関するメニュー項目を含んだメニュー画面302が表示された状態の画面表示例を示している。
図3(a)の例では、最上位のメニュー画面301に含まれる項目のうち、「患者入退床」以外は、下位層のメニュー項目を含んでいる。下位層のメニュー項目を内包するメニュー項目については、それを示す指標(ここでは一例として右向きの三角形)が付与されている。
【0033】
例えば、メニュー画面302の、項目「画面構成」(下位のメニュー項目を含まない)が選択されると、制御部140は画面構成に関する設定画面を表示する。ユーザは設定画面を通じて、画面構成に関する現在の設定を変更することができる。他の項目についても同様である。設定画面を閉じる操作が検出された際、制御部140は設定内容に変更があったかどうか判定し、変更があったと判定されなければ特になにもせずに設定画面を閉じる。一方、変更があったと判定された場合、制御部140はまず、変更内容を反映するかどうかを、画面を通じてユーザに問い合わせ、反映しないとの指示があれば特になにもせずに設定画面を閉じる。反映するとの指示があれば、制御部140は変更後の設定を現在の設定に反映するとともに、設定変更を反映した設定ファイルを保存するかどうかを画面を通じてユーザに問い合わせる。
【0034】
ユーザから設定ファイルを保存しないとの指示があった場合、制御部140は特に何もしないが、設定ファイルを保存するとの指示があった場合には、設定ファイルの保存画面を表示する。設定ファイルの保存画面はファイル名を指定して保存することが可能な、一般的なOSで表示されるものと同様のものであって良い。ただし、保存先は特定のフォルダに限定してもよい。従ってユーザは、設定ファイルを既存の設定ファイルに上書き保存することも、別の設定ファイルとして保存することもできる。なお、制御部140は設定ファイルの保存指示が入力された場合、ユーザ認証処理を実行して、保存操作の実行を指示したユーザを特定してから、特定されたユーザの固有情報(例えばユーザID)と関連づけて設定ファイルを保存する。あるいは、生体情報モニタ100にログイン中のユーザによる保存操作であると推定し、認証を要求せずに、ログイン中のユーザの固有情報と関連付けて設定ファイルを保存してもよい。
【0035】
設定ファイルには、ユーザが設定可能な全ての項目に関する設定値を含めることができるが、例えば、患者の固有情報のような、装置の動作に直接関係しない項目に関しては除外するなど、ユーザが設定可能な項目の一部だけを含めるようにしてもよい。
【0036】
本実施形態の生体情報モニタ100では、項目「アラーム」の下位メニュー画面を通じて、計測値ごとのアラーム発生条件の設定を変更することができる。また、項目「パラメータ設定」の下位メニュー画面を通じて、心電図の誘導方法や心電図信号に適用するフィルタ設定など、計測に関する項目の設定を変更することができる。また、項目「機能」の下位メニュー画面を通じて、トレンド、リストなどの過去の計測データに関するレビュー機能に関する設定を変更することができる。また、項目「セットアップ」の下位メニュー画面を通じて、画面構成(計測中に画面表示する生体情報の種類やレイアウト)、色(表示色)、輝度、初期設定、音設定などの設定を変更することができる。なお、これらは単なる例示であって、設定可能な項目については特に制限されない。
【0037】
(ユーザの登録および認証)
本実施形態の生体情報モニタ100は、予め定められた機能の実行に関してユーザ認証(本人確認)を要求する。例えば、計測動作や計測結果の監視に影響する設定を変更する指示(項目「アラーム」や「パラメータ」の下位メニュー画面を通じた設定の変更操作)があった場合、あるいは変更するための設定画面の表示指示が行われた場合にユーザ認証を要求することができる。また、ユーザと関連づけて保存されているデータを利用する機能を実行する場合に、ユーザを特定するためにユーザ認証を要求することができる。実行に際してユーザ認証を要求する(必要とする)機能に特に制限は無い。
【0038】
ユーザ認証は生体情報モニタ100で行ってもよいが、外部装置に依頼することもできる。外部装置でユーザ認証を行う場合、生体情報モニタ100はユーザが入力したユーザ認証用の固有情報を外部装置に送信し、認証結果を外部装置から受信する。認証方法に特に制限はなく、ユーザ識別情報(例えばユーザID、ユーザ名など)とパスワードとの組み合わせを用いたり、ユーザ固有の生体情報(例えば指紋、虹彩、声紋、静脈パターン、顔の画像など)を用いたり、特定の入力パターンを用いたりすることができる。ここで、特定の入力パターンとは、例えばタッチディスプレイ170のような接触感知デバイスに対するジェスチャ入力や、特定の順序で特定のキー(ソフトウェアキーを含む)を操作するといったものであってよいが、これらに限定されない。
【0039】
認証用のユーザ固有情報は、生体情報モニタ100もしくは生体情報モニタ100が用いられる医療ネットワークシステムの管理装置(例えばセントラルモニタ)に対するユーザ登録処理においてユーザ情報の一部として登録することができる。なお、認証用のユーザ固有情報は、一人のユーザに対して複数種類登録することができる。ユーザ情報には認証用のユーザ固有情報のほか、氏名、所属、職種(医師、看護師、検査技師など)、連絡先(メールアドレスなど)が含まれてよい。また、ユーザのログインステータス(ログイン中かどうか、どの装置からログインしているかなどの管理情報もユーザごとに保持することができる。
【0040】
ユーザ情報は例えば生体情報モニタ100の記憶部190もしくは制御部140内部の不揮発性メモリに保存することができる。代わりに、あるいはさらに、ユーザ情報は生体情報モニタ100が通信可能な医療ネットワークの管理装置の記憶装置に保存することができる。ユーザ情報は、生体情報モニタ100か、生体情報モニタ100が通信可能な医療ネットワークシステム上の装置の少なくとも一方がアクセス可能な任意の場所に保存することができる。ユーザ登録処理は生体情報モニタ100もしくは医療ネットワーク上の任意の装置において、ユーザ登録画面などを通じた入力など、任意の公知の方法によって実行することができる。
【0041】
なお、ユーザの固有情報として生体情報を保存する場合には保存する生体情報に応じた入力デバイス(例えば生体認証情報入力部181)を用いて生体情報をユーザから取得し、認証方法に適した形式で登録することができる。また、ユーザの固有情報としてジェスチャを登録する場合には、例えば
図4(a)に示すような画面をタッチディスプレイに表示させ、指もしくはスタイラスによってタッチ入力される連続した軌跡をユーザに入力させることにより、ジェスチャを、始点(401)から終点(402)に至る、中間点を特定の順序で通過する軌跡として登録することができる。また、ユーザの固有情報として特定の入力パターンを登録する場合には、例えばタッチディスプレイ上に例えば異なる色や記号、絵、模様などが表示されたソフトウェアキーを複数表示し、ユーザが選択した色や記号などの順序を入力パターンとして登録することができる。ここで説明した登録方法は単なる例示であり、他の任意の方法を用いて生体情報、ジェスチャ、入力パターンなどをユーザ認証用の固有情報として登録することができる。
【0042】
なお、生体情報モニタ100もしくは生体情報モニタ100が接続している医療ネットワークにログインする際のユーザ認証(最初のユーザ認証)と、ログイン中のユーザに対するさらなるユーザ認証(2度目以降のユーザ認証)とを別の方法で実施してもよい。例えば、最初のユーザ認証を2度目以降のユーザ認証よりも厳格に、あるいはなりすましがより困難な方法で実施することができる。あるいは、2度目以降のユーザ認証については最初のユーザ認証よりも入力項目の数が少ないなど、ユーザ固有情報の入力が容易な方法で実施することができる。
【0043】
(権限に応じた制限の設定)
生体情報モニタ100は、設定変更に関してユーザの権限に応じた制限を設けることができる。
図3(b)は、生体情報モニタ100における設定に関する変更制限の設定画面の例を示しており、
図3(a)の「セットアップ」の下位項目である「初期設定」の選択によって表示される。変更制限設定画面310は、
図3(a)と同様、メニュー項目を階層表示し、各項目に関する変更制限の設定および解除を受け付ける。
図3(b)では、最上位のメニュー項目のうち「アラーム」が選択され、「アラーム」の下位項目が表示された状態を示している。各項目の左に隣接して設定/解除キー311,312が選択可能に表示されている。設定/解除キー311,312には南京錠を模したアイコンが表示されており、施錠状態のアイコンは制限が設定されていることを、解錠状態のアイコンは制限が設定されていないことを示している。
【0044】
従って、
図3(b)に示す状態で、生体情報モニタ100は、最上位のメニュー項目の選択に関しては制限がされていないが、アラーム設定はいずれの項目についても制限が設定されている。制限はユーザの権限に応じて、例えば管理者権限と非管理者権限とに応じて設定することができる。設定内容は制御部140内部の不揮発性メモリまたは記憶部190に保存することができる。なお、設定の変更には管理者権限が必要であり、設定/解除キーが選択された場合、制御部140はユーザ認証を要求し、管理者権限を有するユーザの操作であることが確認できた場合のみ設定を変更する。
【0045】
なお、ユーザごとの権限はユーザ情報に含まれてもよいし、例えば医師や検査技師は管理者権限を有し、看護士は非管理者権限を有する(管理者権限を有さない)といったように、ユーザ情報に含まれる職種に応じて判定されてもよい。
【0046】
ユーザ権限に応じた表示制御の例を
図5に示す。
図5(a)および(b)は、生体情報モニタ100のログインユーザが管理者権限を有する場合と有さない場合におけるメニュー表示例をそれぞれ示している。ログインユーザが管理者権限を有さない場合には、
図5(b)に示すように、制限が設定されている項目に施錠状態のアイコン501が付随して表示される。施錠状態のアイコン501が付随した項目が選択された場合、制御部140はユーザ認証を要求し、管理者権限を有するユーザであることが認証できた場合のみ設定画面を表示する。あるいは、ユーザが管理者権限を有さない場合には、制限が設定されている項目は表示しないように構成してもよい。
【0047】
なお、例えばログインユーザが管理者権限を有する場合であっても、ログインユーザが設定操作を行うとは限らない。例えば手術室のように多数の医療関係者が存在する場所では、様々な権限のユーザが生体情報モニタ100を操作しうる。このような環境では、ログインユーザが操作を行っていると仮定して動作すると、制限が十分に機能しないおそれがある。したがって、ログインユーザが管理者権限を有する場合であっても、予め定められた特定の機能の実行に際しては再度(2回目以降の)認証を要求してもよい。
【0048】
(計測中の動作)
次に、
図6に示すフローチャートを用いて、本実施形態における生体情報モニタ100が生体情報の計測処理と並行して実施する処理について説明する。以下に説明する生体情報モニタ100の動作は、制御部140が有する1つ以上のプログラマブルプロセッサによりプログラムを実行し、生体情報モニタ100の各部の動作を制御することにより実現される。なお、処理の少なくとも一部が専用のハードウェアによって実現されてもよい。
【0049】
本実施形態において、生体情報モニタ100の制御部140は、生体情報の計測、保存、表示、監視処理などの通常計測処理を実行しながら、外部I/F150を監視している。そして、外部I/F150の特定の信号線の電位の変化などにより、外部装置が接続されたことが検出されると、制御部140は、通信を確立するための予め定められた手順を実行し、外部I/F150に接続された外部装置との間で通信を確立する。また、制御部140は、外部装置から、外部装置の情報(例えば装置の種類や機能に関する情報)を取得する。この情報に基づいて、制御部140は外部装置がネットワーク管理装置かどうかを知ることができる。以下の説明では、生体情報モニタ100が、外部I/F150を通じて医療機器ネットワークに接続され、ネットワーク管理装置として機能するセントラルモニタとの通信が確立しているものとする。
【0050】
また、制御部140は、タッチディスプレイ170または操作部180に対して何らかの入力(操作)が行われたかどうかについても監視している(S101)。そして、入力が行われたと判定されると、制御部140はS103およびS119で、入力が設定画面の呼び出し指示もしくは設定ファイルの呼び出し指示か、他の指示かを判定する。タッチディスプレイ170または操作部180に対する操作が、設定画面の呼び出し指示および設定ファイルの呼び出し指示のどちらでもなければ、制御部140は処理をS135に進める。S135で制御部140は、タッチディスプレイ170または操作部180に対する操作に応じた処理を実行し、処理をS101に戻す。
【0051】
一方、S103で、タッチディスプレイ170または操作部180に対する操作が、設定画面の呼び出し指示であると判定された場合、制御部140は処理をS105に進め、認証入力を要求する。ここでの認証は、生体情報モニタ100にユーザがログイン中であるか否かに応じて方法を変更することができる。
【0052】
例えば、ユーザがログイン中でない(ログインユーザが存在する)場合、制御部140は例えば
図5(c)のようなログイン画面をタッチディスプレイ170に表示させ、ユーザにIDおよびパスワードの入力を要求する。例えばユーザIDフィールド403やパスワードフィールド405がタップされると、制御部140はタッチディスプレイ170にソフトウェアキーボードを表示させ、ユーザによるユーザIDやパスワードの入力を支援する。そして、OKボタン407が操作されると、制御部140は入力されたユーザIDとパスワードを用いてユーザ認証処理を実行する。
【0053】
また、ユーザがログイン中である(ログインユーザが存在する)場合、制御部140は例えば
図5(b)のようなジェスチャ入力画面をタッチディスプレイ170に表示させ、ユーザにジェスチャの入力を要求する。ジェスチャ入力画面に対するタッチ操作が検出されると、制御部140はタッチ操作が終了するまで、タッチ位置を周期的に検出して記録する。タッチ操作が終了すると、制御部140は記録したタッチ位置の情報(ジェスチャ情報)を用いてユーザ認証処理を実行する。なお、ジェスチャ入力画面において、認証方法変更キー411が操作されたことが検出された場合、制御部140は、他の認証方法で用いる固有情報の入力画面に切り替える。例えば
図4(d)は、指紋認証に変更する場合の画面表示例である。この場合制御部140は、生体認証情報入力部181が有する指紋センサから、指紋情報を取得する。なお、どの認証方法を利用可能とするかは予め設定しておくことができる。
【0054】
ユーザ情報が生体情報モニタ100に存在する場合、制御部140は入力された固有情報(ここではユーザIDとパスワードの組み合わせ、もしくはジェスチャ情報)に合致するユーザ情報が存在するかどうかを、制御部140内の不揮発性メモリまたは記憶部190を参照して判定する。そして、制御部140は認証が成功した場合にはユーザの権限を参照する。
【0055】
ユーザ情報が生体情報モニタ100に存在しない場合、制御部140は入力された固有情報とともに認証要求を、外部I/F150を通じてネットワーク上の管理装置に送信する。管理装置は、生体情報モニタ100から受信した固有情報を用いて、自身の有する記憶部を参照して認証処理を実行する。なお、ネットワーク上に管理装置以外に認証処理を行う装置が存在する場合、生体情報モニタ100もしくは管理装置は認証処理をその装置に依頼してもよい。制御部140は、ネットワーク上の装置に認証処理を依頼した場合、外部I/F150を通じて認証結果を受信する。認証結果には、認証の成功または不成功に加え、成功した場合にはユーザの権限に関する情報が含まれる。
【0056】
S107で制御部140は、ユーザの認証に成功したか否かを判定し、成功したと判定されれば認証用の画面を消去して処理をS109に進め、成功したと判定されなければ、例えば認証に失敗した旨のメッセージを表示させた後、認証用の画面を消去して処理をS101に戻す。認証に失敗した場合、認証用の画面のキャンセルボタンが操作されるか、所定回数連続して認証に失敗するまで繰り返しS105を実行してもよい。
【0057】
S109で制御部140はログインユーザの権限を確認し、S111でログインユーザの権限に応じた設定画面をタッチディスプレイ170に表示する。例えば制御部140は、管理者権限を有するユーザに対しては、アラーム設定の変更が可能な設定画面を表示し、管理者権限を有さないユーザに対しては、アラーム設定の変更ができない設定画面を表示することができる。
【0058】
S113で制御部140は、設定画面に対するユーザ操作に応じた表示処理や設定変更処理を実行する。そして、制御部140は、設定完了の指示(例えば設定の保存指示)が検出されるとS133に、設定完了の指示が検出されなければS117に、それぞれ処理を進める。
【0059】
S117で制御部140は、キャンセル指示(例えば設定を保存せずに設定画面を閉じる指示)が検出されるとS101に、キャンセル指示が検出されなければS113に、それぞれ処理を戻す。
【0060】
S133で制御部140は、設定画面を通じて変更された設定を生体情報モニタ100の現在の設定値に反映させて、処理をS101に戻す。
【0061】
S119で、タッチディスプレイ170または操作部180に対する操作が、設定ファイルの呼び出し指示であると判定された場合、制御部140は処理をS121に進め、認証入力を要求する。S121における認証処理はS105と同様に、ログインユーザの有無に応じて認証方法を変更してもよいし、ログインユーザの有無とは無関係に認証方法を決定することもできる。設定ファイルの呼び出しは、設定画面の呼び出しよりも計測中に実行される頻度が高いと考えられること、また、例えば表示様式のような計測動作に影響しない設定のみに影響する場合も多いと考えられることから、認証用の固有情報の入力の容易性を重視した認証方法を用いることができる。
【0062】
例えば、ユーザIDとパスワードのように、2つの項目のそれぞれをキーボード入力する方法に対し、生体情報、ジェスチャ入力、および特定のキー入力パターンは、入力項目の数が少ない。さらに、生体情報やジェスチャ入力は1回の操作で入力可能であるほか、顔認識であれば入力操作も実質的に不要である。
【0063】
また、顔認識、ジェスチャ入力、特定のキー入力パターンは、手袋をした状態であっても入力が容易である。ジェスチャ入力の場合、キーを探したりする手間が省けるほか、誤ったキーを操作することがなく、画面上をなぞる操作で済むため好適である。また、ユーザの顔を良好に撮影可能な環境であれば、顔認証のようにユーザが固有情報を直接入力する必要の無い方法も好適であろう。
【0064】
S123で制御部140は、ユーザの認証に成功したか否かを判定し、成功したと判定されれば認証用の画面を消去して処理をS125に進め、成功したと判定されなければ、例えば認証に失敗した旨のメッセージを表示させた後、認証用の画面を消去して処理をS101に戻す。認証に失敗した場合、認証用の画面のキャンセルボタンが操作されるか、所定回数連続して認証に失敗するまで繰り返しS121を実行してもよい。
【0065】
S125で制御部140は、制御部140内の不揮発性メモリまたは記憶部190に保存されている設定ファイルのうち、認証されたユーザに関連付けて保存されている設定ファイルを抽出(探索)し、抽出した個々の探索ファイルの識別情報(例えばファイル名)を取得する。
【0066】
S127で制御部140は、S125で取得した識別情報を用いて、設定ファイルの選択画面をタッチディスプレイ170に表示する。
図7は設定ファイル選択画面の一例を示している。ここでは1画面あたり6つの設定ファイルを選択可能なファイル選択画面の例を示しているが、1画面あたりに表示する設定ファイルの数に特に制限は無い。
【0067】
図7に示した例では、認証されたユーザに関連付けて保存された設定ファイルが3つ見つかった場合を示しており、設定ファイルを選択するためのボタン901〜906のうち、901〜903の3つに、設定ファイルの識別情報(ここでは拡張子を除くファイル名)を表示している。ユーザは所望の設定ファイルに対応するボタンを選択操作(例えばタップ)することにより、設定ファイルの選択を指示することができる。
【0068】
S129で制御部140は、設定ファイルの選択指示が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定されればS133へ、入力されたと判定されなければS131へ、それぞれ処理を進める。
【0069】
S131で制御部140は、キャンセル指示(例えば一定時間選択入力がない場合や、操作部180からのキャンセル入力など)が検出されるとS101に、キャンセル指示が検出されなければS129に、それぞれ処理を戻す。
【0070】
S133で制御部140は、選択された設定ファイルに従って生体情報モニタ100の設定を変更し、処理をS101に戻す。
【0071】
なお、S133で設定ファイルの内容を生体情報モニタ100の設定に反映する際、例えばアラーム設定など予め定められた項目の設定が変更される場合には、制御部140は認証ユーザが管理者権限を有することが確認された場合のみ反映を実行することができる。また、設定ファイルの反映によって予め定められた項目の設定が変更される場合、制御部140は再度ユーザ認証を要求してもよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、ユーザがカスタマイズした設定内容を再利用可能な設定ファイルとして保存可能な生体情報計測装置において、保存された設定ファイルの中から、認証されたユーザが保存した設定ファイルを自動的に抽出するようにした。そのため、多数のユーザが共用する生体情報計測装置において多数の設定ファイルが保存されていても、ユーザはそれを意識することなく、認証用の情報を入力するだけで、所望の設定ファイルを容易に見出すことができる。
【0073】
例えばモニタ装置のように、常時監視を必要とする状態の患者の生体情報の計測中において、設定ファイルの呼び出しや変更のために計測中の生体情報の表示が隠されたり医療行為が中断されたりする時間は短い方が好ましい。一方で、設定ファイルの反映は生体情報の計測や監視動作に影響を与える設定変更を伴いうるため、権限のあるユーザだけが実行できるようにすることが好ましい。本実施形態ではユーザ固有の生体情報、ジェスチャ入力、特定の入力パターンなど、入力の手間が少なく、かつセキュリティが考慮された認証用の固有情報を用いてユーザ認証を行うことで、モニタ装置のような生体情報計測装置においても適切な設定ファイルの呼び出し、反映を実現することができる。
【0074】
(変形例)
上述の実施形態では、設定画面の呼び出し指示がなされた場合、まずユーザ認証を行い、ユーザの権限に応じた設定画面を表示する構成であった。しかし、設定画面の呼び出し指示がなされた場合に制限を有する設定画面を表示し、制限が設定された項目の操作がなされた時点でユーザ認証を行ってユーザの権限を確認するように構成してもよい。
【0075】
この場合の生体情報モニタ100の計測中動作について、
図8に示すフローチャートを用いて説明する。
図8において、
図6と同様の動作を行う工程には同じ参照数字を付し、重複する説明は省略する。
【0076】
S103で、タッチディスプレイ170または操作部180に対する操作が、設定画面の呼び出し指示であると判定された場合、制御部140は処理をS141に進め、設定画面を表示する。ここで表示する設定画面は、制限が設定された項目を有し、例えば非管理者向けの設定画面と同じであってよい。
【0077】
S143で制御部140は、表示中の設定画面において、制限が設定された項目を選択する操作が行われたか否かを判定し、行われたと判定されればS145へ、行われたと判定されなければS115へ、それぞれ処理を進める。
【0078】
S145で制御部140は、選択項目に制限が設定されているかどうかを判定し、制限が設定されていると判定されればS105へ、制限が設定されていると判定されなければS113へ、それぞれ処理を進める。
【0079】
S105およびS107で制御部140は上述の実施形態と同様に認証処理を行い、S47で認証ユーザの権限を判定する。制御部140は、認証ユーザが制限項目の設定を行う権限を有すると判定されればS113へ、権限を有すると判定されなければS115へ、それぞれ処理を進める。
S113以降の処理は上述の実施形態と同様のため説明を省略する。
【0080】
本変形例によっても、上述の実施形態と同様の効果が得られる。また、権限の確認を必要としない設定項目に関しては認証処理を必要としないため、ユーザの手間を省くことができる。なお、
図8のフローチャートでは、制限が設定された項目が選択されるごとに認証処理を実行するように記載しているが、2度目以降については認証処理を省略したり、権限があることが確認されてから一定時間内については認証処理を省略したりすることができる。
【0081】
(他の実施形態)
上述の実施形態においては、表示装置としてタッチディスプレイを用いる構成について説明した。そのため、表示画面に含まれるボタンやキーなどのGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)のタッチ操作が可能であった。表示装置がタッチパネル機能を有さない場合には、表示画面に含まれるGUIを、操作部を構成するハードウェアスイッチやボタンに割り当てることによって同様の機能を実現できる。
【0082】
本発明は、上述の実施形態に係る処理を、生体情報計測装置が有する1つ以上のプロセッサによって実施させるプログラムとしても実現可能である。従って、このようなプログラムや、プログラムを記録したコンピュータ可読記録媒体もまた本発明を構成する。また、上述の実施形態に係る処理を、ハードウェア(例えばASICやプログラマブルロジックなど)を用いて実施することもできる。