特許第6871689号(P6871689)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871689
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 25/00 20060101AFI20210426BHJP
   F25D 23/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   F25D25/00 Z
   F25D23/04 J
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-104331(P2016-104331)
(22)【出願日】2016年5月25日
(65)【公開番号】特開2017-211138(P2017-211138A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】守谷 雅秀
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第102483298(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0151339(US,A1)
【文献】 米国特許第02769677(US,A)
【文献】 特開2009−270811(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104089457(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0300266(US,A1)
【文献】 米国特許第06565169(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0156494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 25/00
F25D 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵庫本体と、
前記冷蔵庫本体内部に設けられた冷蔵貯蔵室と、
前記冷蔵貯蔵室の下部に設けられ、前方に引き出し可能な貯蔵容器と、
前記貯蔵容器の上部に設けられ、貯蔵物を載置可能な上棚と、
前記貯蔵容器の前面部の上部に設けられた手掛け部と、を備え、
前記上棚は、当該上棚の前端が下方に湾曲して、前記手掛け部に掛ける手を収納する手収納部の一部を形成する凹部を有し、前記凹部は前記手掛け部の後方に位置しており、
前記手掛け部と前記上棚の前端とは、前記貯蔵容器の収納状態において冷蔵庫の前後方向において互いに突き合わされており、
前記貯蔵容器の前面部と前記上棚の前端との隙間は、前記貯蔵容器の前記収納状態において冷蔵庫の前後方向における隙間が、冷蔵庫の上下方向における隙間よりも小さくなっている冷蔵庫。
【請求項2】
前記手掛け部は前記前面部上端から水平に前方に張り出す水平部と、前記水平部の前端から上方に延在する鉛直部とから構成され、
前記手収納部は、前記水平部と前記鉛直部とによって形成される第1収納部と、前記上棚の前方に設けられ前記凹部の上部に形成される第2収納部と、を有している請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵容器の前方に設けられ、前記冷蔵庫本体の前面を開閉可能な冷蔵室扉と、
前記冷蔵室扉の後面に設けられ、貯蔵物を収納可能なポケットと、を備えており、
前記上棚の前方には上方に突出する突出部が設けられていて、前記突出部の後端は前記ポケットの後面の位置よりも後ろ側に設けられている請求項1又は2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記ポケットの後端位置は、前記貯蔵容器の前端位置より後ろに位置している請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記冷蔵室扉の後側に、後ろ方向に突出するようにして設けられたスロート部を備え、前記スロート部の後端部は、前記貯蔵容器の前面部に対向するように設けられている請求項3に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記貯蔵容器の側面に左右方向に突出するガイド部と、
前記ガイド部を上下から挟むようにし、前後方向に延在して設けられた上レール及び下レールと、を備えた請求項1から5のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵庫の下部に設けられた引き出し式の貯蔵容器の前部には、手をかけて引き出すためのハンドル部が、貯蔵容器の前方に大きく突き出すようにして設けられていることが多く、このハンドルを設けるための空間分、貯蔵容器の容積が縮小される場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−113124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、貯蔵容器の容積を縮小させることなく、貯蔵容器を引き出すことができる構成を備えた冷蔵庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態の冷蔵庫は、冷蔵庫本体と、前記冷蔵庫本体内部に設けられた冷蔵貯蔵室と、前記冷蔵貯蔵室の下部に設けられ、前方に引き出し可能な貯蔵容器と、前記貯蔵容器の上部に設けられ、貯蔵物を載置可能な上棚と、前記貯蔵容器の前面部の上部に設けられた手掛け部と、を備え、前記上棚は、当該上棚の前端が下方に湾曲して、前記手掛け部に掛ける手を収納する手収納部の一部を形成する凹部を有し、前記凹部は前記手掛け部の後方に位置しており、前記手掛け部と前記上棚の前端とは、前記貯蔵容器の収納状態において冷蔵庫の前後方向において互いに突き合わされており、前記貯蔵容器の前面部と前記上棚の前端との隙間は、前記貯蔵容器の前記収納状態において冷蔵庫の前後方向における隙間が、冷蔵庫の上下方向における隙間よりも小さくなっている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る冷蔵庫の概略構成を示す側面縦断面図
図2】実施形態に係る冷蔵庫の貯蔵容器周辺の概略構成を示す側面縦断面図
図3】貯蔵容器の概略構成を示す斜視図
図4図3のA−A線における貯蔵容器の断面構造を示す縦断面図
図5】変形例を示す図であり、図4相当図
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係る冷蔵庫について図1から図5を参照して説明する。なお、実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。以下の説明において、冷蔵庫10の冷凍室扉14a及び16a側を前側、前面側とし、その反対方向を後側、背面側、又は奥側とする。
【0008】
図1は実施形態に係る冷蔵庫10の概略構成を示す側面縦断面図である。図2は実施形態に係る冷蔵庫10の貯蔵容器50周辺の概略構成を示す側面縦断面図である。図3は、貯蔵容器50の概略構成を示す斜視図である。図4は、図3のA−A線における貯蔵容器50の断面構造を示す縦断面図である。
【0009】
実施形態に係る冷蔵庫10は、外郭を形成する外箱と貯蔵空間を形成する内箱との間に例えば発泡断熱材を充填した断熱箱体からなる冷蔵庫本体11を備える。冷蔵庫本体11の内部に形成される貯蔵空間は、仕切壁12によって上方の冷凍貯蔵室14と下方の冷蔵貯蔵室16とに区画されている。冷蔵庫本体11の前面開口部は、冷凍室扉14a及び冷蔵室扉16aにより開閉可能に構成されている。
【0010】
仕切壁12は、冷蔵庫本体11の内部に形成される貯蔵空間を上下に断熱区画しており、仕切壁12の上面が冷凍貯蔵室14の底面12aを構成し、仕切壁12の下面が冷蔵貯蔵室16の天井面12bを構成している。
【0011】
冷凍貯蔵室14の前面開口部は、冷蔵庫10前面に配置された冷凍室扉14aによって開閉可能に構成されている。冷凍貯蔵室14は、例えば−18℃以下の冷凍温度に冷却される空間である。冷凍貯蔵室14内は、載置棚14bによって上下に区画されている。冷凍貯蔵室14の背部には、冷却器18を収納する冷却器室20が設けられている。
【0012】
冷却器室20の内部には、冷却器18と送風ファン24とが収納されている。冷凍貯蔵室14の後部には、冷蔵庫本体11との間で冷却器室20を形成する背面板26が設けられている。背面版26は冷凍貯蔵室14の背面を構成している。冷却器カバー19は冷却器18の前面側に配置され、背面板26に対向している。
【0013】
冷却器カバー19と、冷凍貯蔵室14の背面板26の間には冷凍ダクト32が形成されている。冷凍ダクト32は冷蔵貯蔵室16の背面に設けられた冷蔵ダクト30に接続されている。風力発生手段である送風ファン24から吹出した空気は、冷凍ダクト32から、冷蔵貯蔵室16の背面に設けられた冷蔵ダクト30に流れ込み、更に冷蔵ダクト30から冷蔵貯蔵室16に流れ込むように構成されている。
【0014】
冷却器室20に設けられた冷却器18は、冷蔵庫10の下部に設けられた圧縮機34、及び、図示しない凝縮器やキャピラリーチューブ等と共に冷凍サイクルを構成している。圧縮機34は冷蔵庫10後方下部に設けられた機械室36内に配置されている。圧縮機34から吐出される冷媒が凝縮器及びキャピラリーチューブを介して冷却器18に導入される。これにより、冷却器18は冷却器室20内の空気を冷却する。
【0015】
冷蔵貯蔵室16は、例えば、0〜3℃の冷蔵温度に冷却される空間である。冷蔵貯蔵室16の前面開口部は、冷蔵庫10前面に配置された冷蔵室扉16aによって開閉可能に構成されている。冷蔵貯蔵室16の内部は、仕切板28及び上棚40によって上下に区画されている。図1に例示する冷蔵庫10では、仕切板28及び上棚40の間には複数段の載置棚16bが設けられている。
【0016】
上棚40の下方には、冷蔵庫本体11に対して前後方向に摺動可能に設けられた引き出し式の貯蔵容器50が設けられている。貯蔵容器50は上部に開口を有しており、上棚40は貯蔵容器50の上部に位置している。上棚40は、貯蔵容器50上部の開口を覆う覆い部でもあり、貯蔵室16cに貯蔵される貯蔵物の載置棚もしくは底板でもある。上棚40は、冷蔵庫本体11の側面内壁に設けられた上棚載置部52上に脱着可能に載置されている。
【0017】
冷蔵室扉16aの裏面すなわち内面には、ポケット17が設けられている。ポケット17は冷蔵室扉16aの裏面に固定され、上方が開放した略矩形箱形状の容器であり、内部に貯蔵物を貯蔵することができる。ポケット17は貯蔵容器50の前部上方に位置し、冷蔵室扉16aの後方すなわち冷蔵貯蔵室16内部方向に突出するように設けられている。
【0018】
冷蔵室扉16aの下方において、冷蔵室扉16aの裏面に下スロート16f(スロート部)が設けられている。下スロート16fは、後方すなわち貯蔵容器50の方向を指向して突出するように設けられている。
【0019】
冷蔵貯蔵室16の最下部の貯蔵室16cの下面には上棚40及び内壁底部38が配置される。内壁底部38は機械室36の上部に相当する冷蔵庫本体11の段部構造の平面部でもある。上棚40と内壁底部38は略面一に構成された一つの平面を構成しており、上棚40と内壁底部38は貯蔵室16cの底部を構成している。
【0020】
図2図3に示されるように、貯蔵容器50の左右側面には、ガイド部60が一体的に設けられている。冷蔵庫本体11には、ガイド部60を上下から挟むようにして、前後方向に延在する上レール62と下レール64が設けられている。貯蔵容器50を出し入れする際には、ガイド部60と上レール62及び下レール64が摺動することにより貯蔵容器50が前後に移動する。また、上レール62は下レール64よりも短く構成されおり、上レール62の前端部62aは、下レール64の前端部64aよりも後方に位置している。
【0021】
上棚40の前部には、左右方向に延在し、上方に山なりに突出するようにして突出部42が設けられている。突出部42は、上棚40上の貯蔵物が、突出部42よりも前方向に移動することを抑制するストッパ部、及び、貯蔵物の位置を突出部42よりも後ろの位置に規制する位置規制部としての機能を備えている。冷蔵室扉16aが閉鎖状態で、貯蔵容器50とポケット17は、上下方向にずれて重なり、前後方向にオーバーラップした位置関係にあり、ポケット後端17aの位置は、少なくとも突出部42の後端である突出部後端42aの位置よりも前に位置している。
【0022】
貯蔵容器50の前部の上方には手掛け部44が設けられている。図4にも示されるように、手掛け部44は、貯蔵容器50の前面部50aの上部に位置して配置されており、前面部50a上端から水平に前方に張り出す水平部44aと、水平部44aの前端から上方に延在する鉛直部44bとから構成されている。上棚40の前端であって、手掛け部44の後部には、手掛け部44に手を引っかけるために手を入れる空間である手収納部46が設けられている。突出部42の前方には、下方に湾曲する凹部が形成されており、湾曲部40aは当該凹部により構成されている。水平部44aの後端部と、湾曲部40aの前端部は、突き合わせ部40cにおいて面一に突き合わせられている。
【0023】
手掛け部44の後方にあって、水平部44aと鉛直部44bによって作り出される空間は第1収納部46aとなり、湾曲部40aの上部に作り出される空間は第2収納部46bとなる。手収納部46は、第1収納部46aと第2収納部46bにより構成されている。また、手掛け部44の上端の高さは、水平部44aの後端部と、湾曲部40aの前端部との突き合わせ部40cよりも高い位置に配置されている。
【0024】
冷蔵室扉16aの下方の冷蔵室扉裏面16hに設けられた下スロート16fは、図2に示されるように、冷蔵室扉裏面16hから後方すなわち貯蔵容器50の方向に向いて突出する突出部である。下スロート16fの後端である後端部16gは、貯蔵容器50の前面部50a下部に対向している。冷蔵室扉裏面16hから下スロート16fの後端部16gまでの長さすなわち下スロート16fの突出量はX1である。冷蔵室扉16aの閉鎖状態で、下スロート16fの後端部16gと貯蔵容器50の前面部50aの間には隙間が存在しており、後端部16gから前面部50aまでの距離はX2である。
【0025】
また、上述のように、冷蔵室扉裏面16hには、冷蔵室扉16aの下部であって貯蔵容器50の上方前側の位置にポケット17が設けられている。上スロート16kは、冷蔵室扉裏面16hから後方に向けて突出する突出部であり、上記ポケット17を下方から支持している。冷蔵室扉裏面16hから上スロート16kの後端部16mまでの長さすなわち上スロート16kの突出量はX3である。上スロート16kの上スロート16kの先端は、冷蔵室扉16aの閉鎖状態で貯蔵容器50の前面部50aの位置を後方に向けて超えるものであり、X3>X1の関係を有する。冷蔵室扉16aの閉鎖時において、冷蔵室扉裏面16hから上スロート16kの後端部16mの位置は、突き合わせ部40cの位置を後方に向けて超えることが好ましい。
【0026】
図5は、実施形態の変形例を示す図であり、図3のA−A線における貯蔵容器50の断面構造を示す縦断面図に相当する図である。手掛け部45は、貯蔵容器50の前面部50aの上部に位置して配置されており、前面部50aがそのまま上方に直線的に延在して構成されている。手掛け部45の後部には、手掛け部45に手を引っかけるために手を入れる空間である手収納部47が設けられている。突出部42の前方には、下方に湾曲する凹部が設けられており、湾曲部40bは当該凹部により構成されている。湾曲部40bの前端部は、前面部50aの手掛け部45裏面の側面に対向している。手掛け部45の裏面と湾曲部40bの上部で規制される空間は手収納部47を構成する。
【0027】
上記実施形態に係る冷蔵庫10によれば、以下の効果を奏することができる。
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、冷蔵貯蔵室16の最下部の貯蔵室16cの下面には上棚40及び内壁底部38が配置され、上棚40と内壁底部38は略面一に構成された一つの平面を構成して貯蔵室16cの底部を構成している。これにより、上棚40だけでなく内壁底部38の上部にも貯蔵物を載置することが可能となるため、貯蔵室16cに多くの貯蔵物を貯蔵することが可能となる。
【0028】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、貯蔵容器50の左右側面には、ガイド部60が一体的に設けられており、冷蔵庫本体11の側面には、ガイド部60を上下から挟むようにして、前後方向に延在する上レール62と下レール64が設けられ、ガイド部60が前後に摺動可能に設置される。これにより、貯蔵容器50を手前に引き出す際に、上レール62と下レール64によって挟まれたガイド部60により貯蔵容器50の上下方向の動きが規制され、手掛け部44に手をかけて貯蔵容器50を前方に引き出す際に、貯蔵容器50の後方が上方への持ち上がることを抑制することができるため、操作性が向上する。
【0029】
また、上レール62は下レール64よりも短く構成されおり、上レール62の前端部62aは、下レール64の前端部64aよりも後方に位置している。これにより、貯蔵容器50がある程度前方に引き出された状態では、貯蔵容器50の前部が上方に持ち上がることを許容して貯蔵容器50の動作に自由度を付与できるため、貯蔵容器50の挿抜を容易にすることができる。
【0030】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、貯蔵容器50の前部の上方には手掛け部44が設けられ、手掛け部44の後部には、手掛け部44に手を引っかけるために手を入れる空間である手収納部46が設けられている。これにより、手掛け部44の前方に手収納部を設ける必要がないため、手掛け部44を大きな構造物とする必要がない。従って、その分、貯蔵容器50を前側に大きく設けることが可能となり、貯蔵容器50の容量を大きくすることが可能となる。
【0031】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、手掛け部44の水平部44aの後端部と、上棚40の湾曲部40aの前端部は、面一に突き合わせられている。これにより、美観に優れた手掛け部44を提供することができるとともに、手収納部46に手を収納した際に手収納部46の底部で引っ掛かりがなくなるため、操作性に優れた手掛け部44を提供することができる。
【0032】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、手収納部46は、手掛け部44の後方に設けられる第1収納部46aと、上棚40前方に設けられる第2収納部46bにより構成されている。これにより、手収納部46の一部が上棚40側に設けられることにより、手収納部46を全体として後方に位置させることができる。このため、手掛け部44を貯蔵容器50の前側に張り出して設ける必要がなくなるため、その分、貯蔵容器50を前側に大きく設けることが可能となり、貯蔵容器50の容量を大きくすることが可能となる。
【0033】
また、上記構成により、手掛け部44に手をかけるための手収納部46が貯蔵容器50の内部領域に設けられるため、貯蔵容器50の上部に位置する構造物に手が干渉することなく手を手収納部46に入れて手掛け部44に手をかけることが可能となる。
【0034】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、手掛け部44の高さは、水平部44aの後端部と、湾曲部40aの前端部との突き合わせ部40cよりも高い位置に配置されている。これにより、使用者から突き合わせ部40cを視認することが困難となるため、美観に優れた手掛け部44を提供することができる。
【0035】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、上棚40の前部には、突出部42が、左右方向に延在し、上方に山なりに突出するようにして設けられている。更に、冷蔵室扉16aが閉鎖状態で、貯蔵容器50とポケット17は前後方向にオーバーラップした位置関係にあり、ポケット後端17aの位置は、少なくとも突出部42の後端である突出部後端42aの位置よりも前に位置している。これにより、突出部42は、上棚40上の貯蔵物が突出部42よりも前方向に移動することを抑制するストッパ部、及び貯蔵物の位置を規制する位置規制部として機能し、貯蔵室16c内の貯蔵物が貯蔵容器50上部に位置するポケット17に接触、干渉することを抑制することができるため、貯蔵物が傷むことを抑制することができる。また、上棚40に液体がこぼれた場合であっても、突出部42を超えて当該液体が前方に落下することを防止することができる。
【0036】
実施形態に係る冷蔵庫10によれば、冷蔵室扉16aの下方の冷蔵室扉裏面16hに設けられた下スロート16fは、後方に突出して設けられ、下スロート16fの後端である後端部16gは、貯蔵容器50の前面部50aに対向している。下スロート16fの突出量をX1とし、冷蔵室扉16aの閉鎖状態で、下スロート16fの後端部16gと貯蔵容器50の前面部50aの間には隙間の距離をX2とし、上スロート16kの突出量をX3とすると、上スロート16kの上スロート16kの先端は、冷蔵室扉16aの閉鎖状態で貯蔵容器50の前面部50aの位置を後方に向けて超えるものであり、X3>X1の関係を有する。
【0037】
このように、下スロート16fの突出量X1は、上スロート16kの突出量X3よりも小さく構成されることにより、冷蔵室扉16aを閉じた場合には貯蔵容器50の前面部50aと下スロート16fの後端部16gとの間は距離X2の隙間が設けられ、下スロート16fと貯蔵容器50が干渉することがない。
【0038】
また、下スロート16fの突出量X1を所定の長さ(例えばX2)より長くして、貯蔵容器50の前面部50aより庫内側すなわち後方側に突出するようにした。このため、冷蔵室扉16aの閉鎖動作時に、貯蔵容器50が引き出されていた場合であっても、下スロート16fが貯蔵容器50を押すことができるため、貯蔵容器50が引き出されたままの状態を解消することができる。また、貯蔵容器50が閉まりきらなかった場合にあっても、冷気の流れをポケット17やそのポケットを支持する上スロート16kによって遮蔽することができるため、冷気が突き合わせ部40cから貯蔵容器50内に浸入することを極力防止することができる。
【0039】
実施形態の変形例に係る冷蔵庫10によれば、手掛け部45は、貯蔵容器50の前面部50aがそのまま上方に直線的に延在して構成され、手掛け部45の後部には手収納部47が設けられている。これにより、手掛け部44を更に後方に位置させることが可能となるため、その分、貯蔵容器50を前側に大きく設けることが可能となり、貯蔵容器50の容量を大きくすることが可能となる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
図面中、10は冷蔵庫、11は冷蔵庫本体、16は冷蔵貯蔵室、16aは冷蔵室扉、16fは下スロート(スロート部)、16gは後端部、16hは冷蔵室扉裏面、17はポケット、17aはポケット後端、40は上棚、40a、40bは湾曲部(凹部)、40cは突き合わせ部、42は突出部、42aは突出部後端、44、45は手掛け部、46、47は手収納部、46aは第1収納部、46bは第2収納部、50は貯蔵容器、50aは前面部、60はガイド部、62は上レール、64は下レールを示す。
図1
図2
図3
図4
図5