(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基材の両面のうち、前記第1の凹凸構造が形成されていない領域に形成され、凹凸の平均周期が可視光波長帯域の最小値未満である第2の凹凸構造をさらに含む、請求項1または2記載の光学体。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
<1.光学体の構成>
次に、
図1〜
図4に基づいて、本実施形態に係る光学体1aの構成について説明する。光学体1aは、基材10と、第1の凹凸構造11と、第2の凹凸構造12とを含む。
【0019】
基材10は、基材10の内部に入射された光、すなわち内部伝播光を基材10の面方向(すなわち、厚さ方向に垂直な方向、
図1では水平方向)に伝播させる。したがって、基材10は、光の伝導性に優れた樹脂、好ましくは熱可塑性樹脂で構成されることが好ましい。このような樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、A−PET、シクロオレフィンコポリマー、シクロオレフィンポリマー等が挙げられる。また、基材10は、光の伝導性に優れた無機材料で構成されてもよい。このような無機材料としては、例えばケイ素系の材料、より具体的にはガラス等が挙げられる。基材10の厚さは特に制限されず、光学体1aの用途等によって適宜調整すればよい。
【0020】
第1の凹凸構造11は、基材10の少なくとも一方の表面10Aに形成される。第1の凹凸構造11は、
図2に示すように、内部伝播光を取出し、外部に出射する。
図2の直線L10は、内部伝播光の光路を示し、直線L11は、外部に取出された光、すなわち、取出し光の光路を示す。つまり、第1の凹凸構造11に到達した内部伝播光は、光の回折現象により、外部に出射される。第1の凹凸構造11は、表面10Aのうち、光を取出したい箇所に形成される。第1の凹凸構造11は、他方の表面10Bにも形成されても良い。
【0021】
ここで、
図1〜
図3に基づいて、第1の凹凸構造11の構成を詳細に説明する。第1の凹凸構造11は、多数の光取出し凸部11aおよび光取出し凹部11bを有する。光取出し凸部11aは、光学体1aの厚さ方向外側に突出した形状を有し、光取出し凹部11bは、光学体1aの厚さ方向内側にへこんだ形状を有する。
【0022】
光取出し凸部11aおよび光取出し凹部11bは、一方の表面10A上にランダムに形成される。すなわち、第1の凹凸構造11の凹凸のピッチがランダムとなっている。より具体的には、
図3に示すように、第1の凹凸構造11は、凹凸がマトリックス状に分散配置されたものであると言える。したがって、凹凸のピッチは、行方向のピッチ(所謂ドットピッチ)P1と、列方向のピッチ(所謂トラックピッチ)P2に区分できる。ドットピッチP1は、より具体的には、行方向に隣接する光取出し凸部11aの頂点間距離であり、トラックピッチP2は、列方向に隣接する光取出し凸部11aの頂点間距離である。
図3に示すように、ドットピッチP1およびトラックピッチP2がランダムとなっている。さらに、凹凸の形状がランダムとなっている。つまり、光取出し凸部11a同士が異なる形状となっており、光取出し凹部11b同士が異なる形状となっている。ここで、光取出し凸部11a同士は連結していてもよい。一方、凹凸の形状は揃っていても良い。
【0023】
さらに、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期は、可視光波長帯域の最小値以上、10μm以下である。ここで、凹凸の平均周期は、ドットピッチP1及びトラックピッチP2の算術平均値として与えられる。例えば、行方向に隣接する光取出し凸部11aの組および列方向に隣接する光取出し凸部11aの組を複数個ピックアップし、これらのドットピッチP1及びトラックピッチP2を算出する。そして、算出されたピッチの算術平均値を凹凸の平均周期とすればよい。
【0024】
そして、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期は、上述したように、可視光波長帯域の最小値以上となる。例えば、凹凸の平均周期は、270nm以上であり、好ましくは280nm以上であり、より好ましくは350nm以上である。凹凸の平均周期は10μm以下である。凹凸の平均周期が上述した範囲内の値となる場合に、より効率的に内部伝播光を外部に取出すことができる。ここで、凹凸のピッチがランダムとなっているので、多様な周波数の光を取出すことができる。このため、内部伝播光が白色光であれば白色光を取出すことができる。一方、内部伝播光が単色光であれば、内部伝播光と同じ周波数の単色光を取出すことができる。
【0025】
また、第1の凹凸構造11の平均高さ(具体的には、光取出し凸部11aの平均高さ)は特に制限されないが、100nm以上であることが好ましい。この場合、より効率よく取出し光を取出すことができる。
【0026】
ここで、第1の凹凸構造11は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)等によって観察可能である。
図10〜
図12に第1の凹凸構造11の平面SEM写真の一例である。
図10、11の倍率は10,000倍、
図12の倍率は2,000倍である。
図12では、領域A内の凹凸が第1の凹凸構造11となる。なお、領域Aの周囲には第2の凹凸構造12が形成されている。
図10および
図11の例では、凹凸のピッチがランダムになっている他、凹凸の形状もランダムになっている。
図12の例では、光取出し凸部11a同士が連結している。第1の凹凸構造11の平均高さは、断面SEMによって測定可能である。断面SEMによっていくつかの光取出し凸部11aの高さを測定して、これらの算術平均値を平均高さとすればよい。
【0027】
第2の凹凸構造12は、基材10の両面のうち、第1の凹凸構造11が形成されていない領域に形成される。本実施形態では、基材10の他方の表面10Bの全域と、一方の表面10Aのうち、第1の凹凸構造11が形成されていない領域とに第2の凹凸構造12が形成される。第2の凹凸構造12は、
図2に示すように、内部伝播光の回折、すなわち外部への漏出を抑制する。すなわち、第2の凹凸構造12に到達した内部伝播光を基材10内で反射させる。このように、光学体1aは、第1の凹凸構造11において内部伝播光を外部に出射することができる。したがって、光学体1aは、導光板の一種と考えることもできる。光学体1aは、少なくとも第1の凹凸構造11を有していればよく、第2の凹凸構造12を有していなくても良い。ただし、第2の凹凸構造12を基材10に形成することで、内部伝播光の外部への漏出を抑制することができ、かつ、外来光の反射を抑制することができる。
【0028】
ここで、
図1〜
図2、
図4に基づいて、第2の凹凸構造12の構成を詳細に説明する。第2の凹凸構造12は、多数の回折抑制凸部12aおよび回折抑制凹部12bを有する。回折抑制凸部12aは、光学体1aの厚さ方向外側に突出した形状を有し、回折抑制凹部12bは、光学体1aの厚さ方向内側にへこんだ形状を有する。
【0029】
回折抑制凸部12aおよび回折抑制凹部12bは、基材10の両面上に周期的に形成される。すなわち、第2の凹凸構造12の凹凸のピッチが周期性を有する。より具体的には、
図4に示すように、第2の凹凸構造12は、凹凸がマトリックス状に分散配置されたものであると言える。したがって、凹凸のピッチは、行方向のピッチ(所謂ドットピッチ)P11と、列方向のピッチ(所謂トラックピッチ)P12に区分できる。ドットピッチP11は、より具体的には、行方向に隣接する回折抑制凸部12aの頂点間距離であり、トラックピッチP12は、列方向に隣接する回折抑制凸部12aの頂点間距離である。
図4に示すように、ドットピッチP11およびトラックピッチP12がいずれも一定値となる。また、回折抑制凸部12aの配置はいわゆる千鳥配置となっている。ドットピッチP11とトラックピッチP12とは同じであっても、異なっていても良い。また、ドットピッチP11およびトラックピッチP12は、一定の周期で変動してもよい。例えば、ドットピッチP11は、行方向に正弦波掃引態様で変動してもよい。この場合、行方向の距離とドットピッチP11との対応関係を示すグラフが正弦波形となる。また、回折抑制凸部12aの形状は全て略同一となっている。基材10の一方の表面10Aに形成される第2の凹凸構造12と他方の表面10Bに形成される第2の凹凸構造12とは同じであっても良いし、異なっていても良い。
【0030】
さらに、第2の凹凸構造12の凹凸の平均周期は、可視光波長帯域の最小値未満である。ここで、凹凸の平均周期は、ドットピッチP11及びトラックピッチP12の算術平均値として与えられる。例えば、行方向に隣接する回折抑制凸部12aの組および列方向に隣接する回折抑制凸部12aの組を複数個ピックアップし、これらのドットピッチP11及びトラックピッチP12を算出する。そして、算出されたピッチの算術平均値を凹凸の平均周期とすればよい。
【0031】
そして、第2の凹凸構造12の凹凸の平均周期は、上述したように、可視光波長帯域の最小値未満となる。例えば、凹凸の平均周期は、350nm未満であり、好ましくは280nm未満であり、より好ましくは270nm未満である。さらに第2の凹凸構造12の凹凸の平均周期は、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期よりも小さい。凹凸の平均周期の下限値は特に制限されないが、第2の凹凸構造12を安定して形成するという観点からは、100nm以上であることが好ましい。凹凸の平均周期が上述した範囲内の値となる場合に、より確実に内部伝播光の漏出を抑制することができる。
【0032】
また、第2の凹凸構造12の平均高さ(具体的には、回折抑制凸部12aの平均高さ)は特に制限されないが、150nm以上であることが好ましい。この場合、より内部伝播光の回折を抑制することができる。
【0033】
ここで、第2の凹凸構造12は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)、あるいは断面透過型電子顕微鏡(断面TEM)等によって観察可能である。
図13に第2の凹凸構造12の平面SEM写真の一例である。
図13の倍率は30,000倍である。
図13の例では、凹凸配列が千鳥配列となっている。もちろん、凹凸配列は千鳥配列に限られない。例えば、凹凸配列は矩形配列などであっても良い。第2の凹凸構造12の平均高さは、断面SEMによって測定可能である。断面SEMによっていくつかの回折抑制凸部12aの高さを測定して、これらの算術平均値を平均高さとすればよい。
【0034】
ここで、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12は、例えば硬化性樹脂の硬化物で構成される。すなわち、詳細は後述するが、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12は、原盤100の表面形状(原盤100の表面形状は第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12の反転形状を有する)を基材10の表面に予め形成された未硬化樹脂層に転写し、その後未硬化樹脂層を硬化することで形成される。このように、1つの原盤100で第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12を基材10のいずれかの表面に形成することができるので、光学体1aを容易に作製することができる。なお、基材10の両面の形状が異なる場合、それぞれの形状に応じた原盤100を用意すれば良い。したがって、本実施形態によれば、マクロ凹凸構造用の原盤およびプレス機等が不要となる。
【0035】
硬化性樹脂の硬化物は、透明性を有することが好ましい。硬化性樹脂は、重合性化合物と硬化開始剤とを含む。重合性化合物は、硬化開始剤によって硬化する樹脂である。重合性化合物としては、例えばエポキシ重合性化合物、及びアクリル重合性化合物等が挙げられる。エポキシ重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のエポキシ基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。エポキシ重合性化合物としては、各種ビスフェノール型エポキシ樹脂(ビスフェノールA型、F型等)、ノボラック型エポキシ樹脂、ゴムおよびウレタン等の各種変性エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びこれらのプレポリマー等が挙げられる。
【0036】
アクリル重合性化合物は、分子内に1つまたは2つ以上のアクリル基を有するモノマー、オリゴマー、またはプレポリマーである。ここで、モノマーは、さらに分子内にアクリル基を1つ有する単官能モノマー、分子内にアクリル基を2つ有する二官能モノマー、分子内にアクリル基を3つ以上有する多官能モノマーに分類される。
【0037】
「単官能モノマー」としては、例えば、カルボン酸類(アクリル酸)、ヒドロキシ類(2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート)、アルキル又は脂環類のモノマー(イソブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート)、その他機能性モノマー(2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、エチルカルビトールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドン、2−(パーフルオロオクチル)エチルアクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピル−アクリレート、2−(パーフルオロデシル)エチル−アクリレート、2−(パーフルオロ−3−メチルブチル)エチルアクリレート)、2,4,6−トリブロモフェノールアクリレート、2,4,6−トリブロモフェノールメタクリレート、2−(2,4,6−トリブロモフェノキシ)エチルアクリレート)、2−エチルヘキシルアクリレートなどが挙げられる。
【0038】
「二官能モノマー」としては、例えば、トリ(プロピレングリコール)ジアクリレート、トリメチロールプロパン−ジアリルエーテル、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。
【0039】
「多官能モノマー」としては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートなどが挙げられる。
【0040】
上記で列挙したアクリル重合性化合物以外の例としては、アクリルモルフォリン、グリセロールアクリレート、ポリエーテル系アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルカプロラクトン、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、脂肪族ウレタンオリゴマー、ポリエステルオリゴマー等が挙げられる。重合性化合物は、光学体1aの透明性の観点からは、アクリル重合性化合物が好ましい。
【0041】
硬化開始剤は、硬化性樹脂を硬化させる材料である。硬化開始剤の例としては、例えば、熱硬化開始剤、光硬化開始剤等が挙げられる。硬化開始剤は、熱、光以外の何らかのエネルギー線(例えば電子線)等によって硬化するものであってもよい。硬化開始剤が熱硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は熱硬化性樹脂となり、硬化開始剤が光硬化開始剤となる場合、硬化性樹脂は光硬化性樹脂となる。
【0042】
ここで、光学体1aの透明性の観点からは、硬化開始剤は、紫外線硬化開始剤であることが好ましい。したがって、硬化性樹脂は、紫外線硬化性アクリル樹脂であることが好ましい。紫外線硬化開始剤は、光硬化開始剤の一種である。紫外線硬化開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0043】
また、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12は、親水性、撥水性、曇り防止等の機能性が付与された樹脂であっても良い。
【0044】
また、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12には、光学体1aの用途に応じた添加剤を添加してもよい。このような添加剤としては、例えば、無機フィラー、有機フィラー、レベリング剤、表面調整剤、消泡剤などが挙げられる。なお、無機フィラーの種類としては、例えば、SiO
2、TiO
2、ZrO
2、SnO
2、Al
2O
3などの金属酸化物微粒子が挙げられる。
【0045】
また、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12は、基材10の両面に直接形成されても良いが、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12が形成された樹脂フィルム(例えば熱可塑性樹脂フィルム)を基材10の両面に接着してもよい。
【0046】
<2.光学体の変形例>
次に、
図5および
図6に基づいて、光学体1aの変形例である光学体1bの構成について説明する。光学体1bでは、第1の凹凸構造11の凹凸が第2の凹凸構造12と同様の周期性を有する。すなわち、ドットピッチP1およびトラックピッチP2がいずれも一定値となる。また、
図6に示すように、光取出し凸部11aの配置は例えば千鳥配置となっていてもよい。もちろん、凹凸配列は千鳥配列に限られない。例えば、凹凸配列は矩形配列などであっても良い。ドットピッチP1とトラックピッチP2とは同じであっても、異なっていても良い。また、ドットピッチP1およびトラックピッチP2は、一定の周期で変動してもよい。例えば、ドットピッチP1は、行方向に正弦波掃引態様で変動してもよい。この場合、行方向の距離とドットピッチP1との対応関係を示すグラフが正弦波形となる。また、光取出し凸部11aの形状は全て略同一となる。ただし、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期は、光学体1aと同様の範囲内、すなわち可視光波長帯域の最小値以上、10μm以下となる。
【0047】
この変形例によれば、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期に応じた周波数の光を光学体1bから取出すことが可能となる。例えば、内部伝播光が白色光となり、凹凸の平均周期が370nmとなる場合、取出し光は青色光となる。また、凹凸の平均周期が400nmとなる場合、取出し光は緑色光となる。また、凹凸の平均周期が500nmとなる場合、取出し光は黄色光となる。また、凹凸の平均周期が600nmとなる場合、取出し光は赤色光となる。また、平均周期が大きいほど、取出し光の輝度が大きくなる傾向がある。また、内部伝播光が単色光となる場合、以下の態様で光が取出される。すなわち、内部伝播光は、第1の凹凸構造11の平均周期に対応する場合に、第1の凹凸構造11から外部に取出される。
【0048】
したがって、光学体1a、1bによれば、第1の凹凸構造11の形状に応じた態様の光を取出すことができる。例えば、光源が白色光となり、第1の凹凸構造11のピッチがランダムとなる場合、白色光を取出すことができる。また、光源が白色光となり、第1の凹凸構造11のピッチが周期性を有する場合、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期に応じた色の光を取出すことができる。以下、光学体1a、1bを総称して光学体1とも称する。
【0049】
なお、
図1および
図5の例では基材10に第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12が直接形成されているが、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12のいずれかまたは両方が形成された樹脂フィルムを基材10に貼り付けても良い。
図1の例では、第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12が形成された樹脂フィルムを基材10の一方の表面10Aに貼り付け、第2の凹凸構造12が形成された樹脂フィルムを基材10の他方の表面10Bに貼り付けても良い。
【0050】
<3.発光装置の構成>
次に、
図1に基づいて、発光装置の構成について説明する。発光装置は、上述した光学体1aと、光源20とを有する。光源20の種類は特に問われず、従来の導光板に適用される光源であればよい。すなわち、光源20は、白色光を出射するものであっても、単色光を出射するものであってもよい。光学体1aの代わりに光学体1bを使用してもよい。この発光装置の動作は概略以下の通りである。まず、光源20から光学体1に光が入射する。光学体1の内部に入射された光、すなわち内部伝播光は、光学体1の両面(すなわち、光学体1の内部と外部との界面)で反射しながら光学体1の内部を伝播する。ここで、光学体1の両面には第2の凹凸構造12が形成されているので、内部伝播光の外部への漏出を抑制することができる。
【0051】
内部伝播光の一部は、第1の凹凸構造11に到達する。第1の凹凸構造11に到達した内部伝播光は、第1の凹凸構造11から外部に取出される。外部に取出された光、すなわち取出し光の態様は、第1の凹凸構造11の形状に応じたものとなる。
【0052】
さらに、第2の凹凸構造12の凹凸の平均周期は、可視光波長帯域の最小値未満となっているので、外来光の反射を抑制することができる。したがって、光学体1は、外来光に対する優れた反射防止機能を有するので、より鮮明な発光パターン(すなわち、取出し光による発光パターン)を視認者に視認させることができる。すなわち、発光部分と非発光部分のコントラストが高くなる。
【0053】
<4.原盤の構成>
第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12は、例えば
図7に示す原盤100を用いて作製される。そこで、次に、原盤100の構成について説明する。原盤100は、例えば、ナノインプリント法で使用される原盤であり、円筒形状となっている。原盤100は円柱形状であっても、他の形状(例えば平板状)であってもよい。ただし、原盤100が円柱または円筒形状である場合、ロールツーロール方式によって原盤100の凹凸構造(すなわち、原盤凹凸構造)120を樹脂基材等にシームレス的に転写することができる。これにより、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された光学体1を高い生産効率で作製することができる。このような観点からは、原盤100の形状は、円筒形状または円柱形状であることが好ましい。
【0054】
原盤100は、原盤基材110と、原盤基材110の周面に形成された原盤凹凸構造120とを備える。原盤基材110は、例えば、ガラス体であり、具体的には、石英ガラスで形成される。ただし、原盤基材110は、SiO
2純度が高いものであれば、特に限定されず、溶融石英ガラスまたは合成石英ガラス等で形成されてもよい。原盤基材110は、金属母材上に上記の材料を積層したものや金属母材であってもよい。原盤基材110の形状は円筒形状であるが、円柱形状、他の形状であってもよい。ただし、上述のように、原盤基材110は円筒形状または円柱形状であることが好ましい。原盤凹凸構造120は、光学体1の表面形状の反転形状(例えば、基材10の一方の表面10Aに形成された第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12の反転形状、あるいは、基材10の他方の表面10Bに形成された第2の凹凸構造12の反転形状)を有する。
【0055】
<5.原盤の製造方法>
つぎに、原盤100の製造方法を説明する。まず、原盤基材110上に、基材レジスト層を形成(成膜)する。ここで、基材レジスト層を構成するレジスト材は特に制限されず、有機レジスト材及び無機レジスト材のいずれであってもよい。有機レジスト材としては、例えば、ノボラック系レジスト、または化学増幅型レジストなどが挙げられる。また、無機レジスト材としては、例えば、タングステン(W)またはモリブデン(Mo)などの1種または2種以上の遷移金属を含む金属酸化物等が挙げられる。ただし、熱反応リソグラフィを行うためには、基材レジスト層は、金属酸化物を含む熱反応型レジストで形成されることが好ましい。
【0056】
有機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スピンコーティング、スリットコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、またはスクリーン印刷等を用いることで原盤基材110上に形成されてもよい。また、基材レジスト層に無機レジスト材を使用する場合、基材レジスト層は、スパッタ法を用いることで形成されてもよい。
【0057】
次に、露光装置200(
図8参照)により基材レジスト層の一部を露光することで、基材レジスト層に潜像を形成する。具体的には、露光装置200は、レーザ光200Aを変調し、レーザ光200Aを基材レジスト層に対して照射する。これにより、レーザ光200Aが照射された基材レジスト層の一部が変性するため、基材レジスト層に原盤凹凸構造120に対応する潜像を形成することができる。
【0058】
続いて、潜像が形成された基材レジスト層上に現像液を滴下することで、基材レジスト層を現像する。これにより、基材レジスト層に凹凸構造が形成される。ついで、基材レジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に原盤凹凸構造120を形成する。なお、エッチングの方法は特に制限されないが、垂直異方性を有するドライエッチングであることが好ましく、例えば、反応性イオンエッチング(Reactive Ion Etching:RIE)であることが好ましい。以上の工程により、原盤100を作製する。なお、アルミニウムを陽極酸化して得られる陽極酸化ポーラスアルミナを原盤として使用してもよい。陽極酸化ポーラスアルミナは、例えば国際公開第2006/059686号公報に開示されている。また、非対称形状のレチクルマスクを用いたステッパーにより原盤100を作製してもよい。
【0059】
<6.露光装置の構成>
次に、
図8に基づいて、露光装置200の構成について説明する。露光装置200は、基材レジスト層を露光する装置である。露光装置200は、レーザ光源201と、第1ミラー203と、フォトダイオード(Photodiode:PD)205と、偏向光学系と、制御機構230と、第2ミラー213と、移動光学テーブル220と、スピンドルモータ225と、ターンテーブル227とを備える。また、原盤基材110は、ターンテーブル227上に載置され、回転することができるようになっている。
【0060】
レーザ光源201は、レーザ光200Aを発する光源であり、例えば、固体レーザまたは半導体レーザなどである。レーザ光源201が発するレーザ光200Aの波長は、特に限定されないが、例えば、400nm〜500nmの青色光帯域の波長であってもよい。また、レーザ光200Aのスポット径(レジスト層に照射されるスポットの直径)は、原盤凹凸構造120の凹部の開口面の直径より小さければよく、例えば200nm程度であればよい。レーザ光源201から発せられるレーザ光200Aは制御機構230によって制御される。
【0061】
レーザ光源201から出射されたレーザ光200Aは、平行ビームのまま直進し、第1ミラー203で反射され、偏向光学系に導かれる。
【0062】
第1ミラー203は、偏光ビームスプリッタで構成されており、偏光成分の一方を反射させ、偏光成分の他方を透過させる機能を有する。第1ミラー203を透過した偏光成分は、フォトダイオード205によって受光され、光電変換される。また、フォトダイオード205によって光電変換された受光信号は、レーザ光源201に入力され、レーザ光源201は、入力された受光信号に基づいてレーザ光200Aの位相変調を行う。
【0063】
また、偏向光学系は、集光レンズ207と、電気光学偏向素子(Electro Optic Deflector:EOD)209と、コリメータレンズ211とを備える。
【0064】
偏向光学系において、レーザ光200Aは、集光レンズ207によって、電気光学偏向素子209に集光される。電気光学偏向素子209は、レーザ光200Aの照射位置を制御することが可能な素子である。露光装置200は、電気光学偏向素子209により、移動光学テーブル220上に導かれるレーザ光200Aの照射位置を変化させることも可能である(いわゆる、Wobble機構)。レーザ光200Aは、電気光学偏向素子209によって照射位置を調整された後、コリメータレンズ211によって、再度、平行ビーム化される。偏向光学系から出射されたレーザ光200Aは、第2ミラー213によって反射され、移動光学テーブル220上に水平かつ平行に導かれる。
【0065】
移動光学テーブル220は、ビームエキスパンダ(Beam expader:BEX)221と、対物レンズ223とを備える。移動光学テーブル220に導かれたレーザ光200Aは、ビームエキスパンダ221により所望のビーム形状に整形された後、対物レンズ223を介して、原盤基材110上に形成された基材レジスト層に照射される。また、移動光学テーブル220は、原盤基材110が1回転する毎に矢印R方向(送りピッチ方向)に1送りピッチ(トラックピッチ)だけ移動する。ターンテーブル227上には、原盤基材110が設置される。スピンドルモータ225はターンテーブル227を回転させることで、原盤基材110を回転させる。これにより、レーザ光200Aを基材レジスト層上で走査させる。ここで、レーザ光200Aの走査方向に沿って、基材レジスト層の潜像が形成される。
【0066】
また、制御機構230は、フォーマッタ231と、ドライバ233とを備え、レーザ光200Aの照射を制御する。フォーマッタ231は、レーザ光200Aの照射を制御する変調信号を生成し、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した変調信号に基づいて、レーザ光源201を制御する。これにより、原盤基材110へのレーザ光200Aの照射が制御される。
【0067】
フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意のパターンが描かれた入力画像に基づいて、基材レジスト層にレーザ光200Aを照射するための制御信号を生成する。具体的には、まず、フォーマッタ231は、基材レジスト層に描画する任意の描画パターンが描かれた入力画像を取得する。入力画像は、軸方向に基材レジスト層の外周面を切り開いて一平面に伸ばした、基材レジスト層の外周面の展開図に相当する画像である。この展開図には、原盤100の周面形状に相当する画像が描かれている。この画像は、光学体1の表面形状の反転形状を示す。
【0068】
次に、フォーマッタ231は、入力画像を所定の大きさの小領域に分割し(例えば、格子状に分割し)、小領域の各々に凹部描画パターン(つまり、原盤100の凹部に相当するパターン)が含まれるか否かを判断する。続いて、フォーマッタ231は、凹部描画パターンが含まれると判断した各小領域にレーザ光200Aを照射するよう制御する制御信号に生成する。この制御信号(すなわち、露光信号)は、スピンドルモータ225の回転と同期されることが好ましいが、同期されていなくてもよい。また、制御信号とスピンドルモータ225の回転との同期は原盤基材110が1回転する毎に取り直されても良い。さらに、ドライバ233は、フォーマッタ231が生成した制御信号に基づいてレーザ光源201の出力を制御する。これにより、基材レジスト層へのレーザ光200Aの照射が制御される。なお、露光装置200は、フォーカスサーボ、レーザ光200Aの照射スポットの位置補正等のような公知の露光制御処理を行ってもよい。フォーカスサーボはレーザ光200Aの波長を用いてもよく、他の波長を参照用に用いても良い。
【0069】
また、レーザ光源201から照射されたレーザ光200Aは、複数系統の光学系に分岐された後に基材レジスト層に照射されても良い。この場合、複数の照射スポットが基材レジスト層に形成される。この場合、一方の光学系から出射されたレーザ光200Aが他方の光学系によって形成された潜像に到達した際に、露光を終了すればよい。
【0070】
したがって、本実施形態によれば、入力画像の描画パターンに応じた潜像をレジスト層に形成することができる。そして、レジスト層を現像し、現像後のレジスト層をマスクとして原盤基材110及び基材レジスト層をエッチングすることで、原盤基材110上に入力画像の描画パターンに応じた原盤凹凸構造120を形成する。すなわち、描画パターンに応じた任意の原盤凹凸構造120を形成することができる。したがって、描画パターンとして、光学体1の反転形状が描かれた描画パターンを準備すれば、光学体1の反転形状を有する原盤凹凸構造120を形成することができる。
【0071】
<7.原盤を用いた光学体の製造方法について>
次に、
図9を参照して、原盤100を用いた光学体1の製造方法の一例について説明する。光学体1は、原盤100を用いたロールツーロール方式の転写装置300によって製造可能である。
図9に示す転写装置300では、光硬化性樹脂を用いて光学体1を作製する。なお、
図9は、第2の凹凸構造12だけが存在するトラック(行)における断面図である。
【0072】
転写装置300は、原盤100と、基材供給ロール301と、巻取りロール302と、ガイドロール303、304と、ニップロール305と、剥離ロール306と、塗布装置307と、光源309とを備える。
【0073】
基材供給ロール301は、長尺な基材10がロール状に巻かれたロールであり、巻取りロール302は、光学体1を巻き取るロールである。また、ガイドロール303、304は、基材10を搬送するロールである。ニップロール305は、未硬化樹脂層310が積層された基材10、すなわち被転写フィルム3aを原盤100に密着させるロールである。剥離ロール306は、光学体1を原盤100から剥離するロールである。
【0074】
塗布装置307は、コーターなどの塗布手段を備え、未硬化の光硬化性樹脂組成物を基材10に塗布し、未硬化樹脂層310を形成する。塗布装置307は、例えば、グラビアコーター、ワイヤーバーコーター、またはダイコーターなどであってもよい。また、光源309は、光硬化性樹脂組成物を硬化可能な波長の光を発する光源であり、例えば、紫外線ランプなどであってもよい。
【0075】
転写装置300では、まず、基材供給ロール301からガイドロール303を介して、基材10が連続的に送出される。なお、送出の途中で基材供給ロール301を別ロットの基材供給ロール301に変更してもよい。送出された基材10に対して、塗布装置307により未硬化の光硬化性樹脂組成物が塗布され、基材10に未硬化樹脂層310が積層される。これにより、被転写フィルム3aが作製される。被転写フィルム3aは、ニップロール305により、原盤100と密着させられる。光源309は、原盤100に密着した未硬化樹脂層310に光を照射することで、未硬化樹脂層310を硬化する。これにより、原盤100の外周面に形成された原盤凹凸構造120が未硬化樹脂層310に転写される。すなわち、原盤凹凸構造120の反転形状を有する凹凸構造が基材10上に形成される。続いて、凹凸構造が形成された基材10、すなわち光学体1は、剥離ロール306により原盤100から剥離される。ついで、光学体1は、ガイドロール304を介して、巻取りロール302によって巻き取られる。なお、原盤100は縦置きであっても横置きであってもよく、原盤100の回転時の角度、偏芯を補正する機構を別途設けても良い。例えば、チャッキング機構に偏芯チルト機構を設けても良い。
【0076】
このように、転写装置300では、被転写フィルム3aをロールツーロールで搬送する一方で、原盤100の周面形状を被転写フィルム3aに転写する。これにより、光学体1が作製される。
【0077】
なお、光学体1を熱可塑性樹脂で作製する場合、塗布装置307及び光源309は不要となる。また、基材10を熱可塑性樹脂フィルムとし、原盤100よりも上流側に加熱装置を配置する。この加熱装置によって基材10を加熱して柔らかくし、その後、基材10を原盤100に押し付ける。これにより、原盤100の周面に形成された原盤凹凸構造120が基材10に転写される。なお、基材10を熱可塑性樹脂以外の樹脂で構成されたフィルムとし、基材10と熱可塑性樹脂フィルムとを積層してもよい。この場合、積層フィルムは、加熱装置で加熱された後、原盤100に押し付けられる。したがって、転写装置300は、原盤100に形成された原盤凹凸構造120が転写された転写物、すなわち光学体1を連続的に作製することができる。
【0078】
また、原盤100の原盤凹凸構造120が転写された転写用フィルムを作製し、この転写用フィルムを転写型として用いて光学体1を作製してもよい。また、電鋳や熱転写などにより原盤100を複製し、この複製品を転写型として用いてもよい。さらに、原盤100の形状はロール形状に限られる必要は無く平面状の原盤でもよく、レーザ光200Aをレジスト照射する方法のほか、マスクを用いた半導体露光、電子線描画、機械加工、陽極酸化等、種々の加工方法を選択することができる。また、上述した製造方法によって第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12のいずれか又は両方が形成された樹脂フィルムを基材10の両面に貼り付けても良い。さらに、上述した第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12としては、凹凸が逆になった構造をそれぞれ用いても良い。
【実施例】
【0079】
<1.実施例1>
(1−1.光学体の作製)
実施例1では、以下の工程により光学体1を作製した。まず、基材10として、厚さ2mmのアクリル樹脂板(三菱レイヨン社製アクリライト)を準備した。ついで、
図9に示す転写装置300を用いて、厚さ60μmのトリアセチルセルロースフィルムの一方の表面に第1の凹凸構造11および第2の凹凸構造12を形成した。ここで、光硬化性樹脂組成物として、東亞合成社製の紫外線硬化性アクリル樹脂組成物を使用した。第1の凹凸構造11は、トラックピッチP1およびドットピッチP2が400nm〜1.5μmの範囲内でランダムに分布した配列とした。したがって、第1の凹凸構造11の凹凸の平均周期は、可視光波長帯域の最小値以上、10μm以下となる。第1の凹凸構造11の平均高さは350nmとした。第2の凹凸構造12の凹凸配列は、ドットピッチP11が230nm、トラックピッチが153nmの千鳥配列とした。したがって、第2の凹凸構造12の凹凸の平均周期は、可視光波長帯域の最小値未満となる。第2の凹凸構造12の平均高さは250nmとした。
【0080】
さらに、同様の方法により、第2の凹凸構造12のみが形成された熱可塑性樹脂フィルムを作製した。第2の凹凸構造12の形状は上記と同様とした。そして、基材10の両面に粘着フィルム(PANAC製 PDS1フィルム)を貼り付けた。ついで、各粘着フィルム上に上記の樹脂フィルムを貼り付けることで、実施例1に係る光学体1を作製した。この光学体1は、
図1に示す光学体1aに相当する。第1の凹凸構造11の表面構造を
図10に示し、第2の凹凸構造12の表面構造を
図13に示す。
【0081】
(1−2.特性評価)
(1−2−1.正反射スペクトル)
次に、実施例1に係る光学体1の特性を評価した。まず、光学体1の分光正反射スペクトルを測定した。正反射スペクトルの測定は、光学体1の第2の凹凸構造12における反射特性を評価するものである。分光正反射スペクトルは、分光光度計(型式V−550、絶対反射率測定ユニット付き、日本分光社製)を使用して測定した。また、入射角及び反射角をいずれも5°とし、波長レンジを350〜800nmとし、波長分解能を1nmとした。また、測定光は基材10の他方の表面10B(第2の凹凸構造12のみが形成されている表面)に照射した。結果を
図14に示す。
図20の横軸は測定波長(nm)を示し、縦軸は正反射率(%)を示す。この結果、正反射率は概ね1%以下に抑えられていることがわかった。
【0082】
(1−2−2.輝度及びxy値測定)
次に、光学体1を発光させた際の輝度及びxy値(Yxy色座標におけるxy値)を測定した。測定は以下の工程で行った。なお、測定は暗所環境下で行った。まず、光学体1の行方向側の端部にLED光源(アイテックシステム社製LPAC1−2430NCW−R4)を設置した。また、一方の表面10A側に輝度計(コニカミノルタ社製CS1000)を設置した。設置位置は一方の表面10Aから50cm離間した位置とし、輝度計の光軸を一方の表面10Aと垂直とした。ついで、LED光源から高輝度白色光を光学体1に入射し、輝度計で輝度(cd/cm
2)及びxy値を測定した。また、光学体1の発光色を目視で確認した。結果を表1に示す。
【0083】
<2.実施例2、3>
第1の凹凸構造11のドットピッチP1およびトラックピッチP2を表1に示す範囲内でランダムに変動させた(すなわち、凹凸配列をランダムにした)他は、実施例1と同様の試験を行った。結果を表1にまとめて示す。なお、実施例2の第1の凹凸構造11の表面構造を
図11に示し、実施例3の第1の凹凸構造11の表面構造を
図12に示す。
【0084】
<3.比較例1>
第1の凹凸構造11を形成しなかった他は実施例1と同様の試験を行った。結果を表1にまとめて示す。
【0085】
<4.実施例4>
第1の凹凸構造11のドットピッチP1およびトラックピッチP2を500〜2000nmの範囲内の正弦波掃引態様で変動させた他は実施例1と同様の試験を行った。結果を表2にまとめて示す。
【0086】
<5.実施例5〜8>
第1の凹凸構造11の凹凸配列を表2に示す平均周期の千鳥配列とした他は、実施例1と同様の試験を行った。結果を表2にまとめて示す。なお、表2には、比較のために、比較例1の結果も併せて示した。
【0087】
<6.実施例9〜13>
実施例9〜13では、第1の凹凸構造11の凹凸配列を平均周期1μmの千鳥配列とし、平均高さを表3に示す値とした他は、実施例1と同様の試験を行った。結果を表3に示す。ここで、光源から出射される光の波長を550nmとした。また、回折効率は、輝度計で測定した強度を光源から出射される光の強度で除算した値とした。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
<7.考察>
実施例1〜3によれば、第1の凹凸構造11のピッチがランダムとなり、かつ、光源から白色光を出射した場合、白色光を効率よく取り出せることが明らかとなった。また、実施例1によれば、第2の凹凸構造12により外来光の反射を抑制できることが明らかとなった。また、実施例4〜8によれば、第1の凹凸構造11のピッチが周期性を有し、かつ、光源から白色光を出射させた場合、第1の凹凸構造11の平均周期に応じた色の光を取り出せることが明らかとなった。また、実施例9〜13によれば、第1の凹凸構造11の平均高さが100nm以上となる場合に、より効率よく光を取り出せることが明らかとなった。
【0092】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。