(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
運動者の所定の部位における動作状態に関するデータを測定する1以上の測定装置と、コンピュータ装置とによって実現される、代償運動が生じる原因となる部位を特定する代償運動の原因部位特定システムであって、
第1の動作における、運動者の第1測定部位群の動作状態に関する第1測定データが、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定手段、及び/又は、
第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の動作状態に関する第2測定データが、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定手段と、
第1測定データが第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、及び/又は、第2測定データが第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測する原因部位推測手段と、
第2の動作より複雑性が低い第3の動作のうち、原因部位推測手段において代償運動が生じる原因となると推測された部位に応じて第3の動作を決定する第3の動作決定手段と、
第1判定手段及び/又は第2判定手段によって代償運動が有ると判定された場合に、第3の動作決定手段において決定された第3の動作における、運動者の第3測定部位群の動作状態に関する第3測定データが、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する、原因部位特定手段と
を備え、
第1判定基準が、第1測定データが第1の動作における正常な動作のパターンから逸脱していないかを判定する基準であり、
第2判定基準が、第2測定データが第2の動作における正常な動作のパターンから逸脱していないかを判定する基準であり、
第3判定基準が、第3測定データが第3の動作における正常な動作のパターンから逸脱していないかを判定する基準である、代償運動の原因部位特定システム。
請求項6〜9のいずれかに記載の代償運動の原因部位特定システムを用いて代償運動が生じる原因となる部位を特定し、特定された部位に応じた所定の運動を運動者に実施させることで代償運動を解消する、代償運動解消システム。
1以上の測定装置によって測定される運動者の所定の部位における動作状態に関するデータを用いて代償運動が生じる原因となる部位の特定をコンピュータ装置に実行させるプログラムであって、
コンピュータ装置を、
第1の動作における、運動者の第1測定部位群の動作状態に関する第1測定データが、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定手段、及び/又は、
第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の動作状態に関する第2測定データが、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定手段、並びに、
第1測定データが第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、及び/又は、第2測定データが第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測する原因部位推測手段、
第2の動作より複雑性が低い第3の動作のうち、原因部位推測手段において代償運動が生じる原因となると推測された部位に応じて第3の動作を決定する第3の動作決定手段、
第1判定手段及び/又は第2判定手段によって代償運動が有ると判定された場合に、第3の動作決定手段において決定された第3の動作における、運動者の第3測定部位群の動作状態に関する第3測定データが、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する、原因部位特定手段
として機能させ、
第1判定基準が、第1測定データが第1の動作における正常な動作のパターンから逸脱していないかを判定する基準であり、
第2判定基準が、第2測定データが第2の動作における正常な動作のパターンから逸脱していないかを判定する基準であり、
第3判定基準が、第3測定データが第3の動作における正常な動作のパターンから逸脱していないかを判定する基準である、プログラム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載されているシステムは、体幹筋の収縮の有無のみを判定するものであり、体幹やその他の筋肉を適切に使って運動をしているかを判定できるものではなかった。動きの質の向上や健康維持のためには、ただ体幹を使うだけでは不十分であり、体幹やその他の筋肉を適切に使って運動することが重要である。例えば、本来使うべき筋肉の代わりに、使うべきではない筋肉による運動、又は、ある関節や関節周囲の軟部組織に過剰なストレス(負荷)がかかる運動(以下、「代償運動」又は「代償動作」ともいう)を続けると、動きの質は向上しにくく、また、故障や不定愁訴の問題も生じてしまう。
【0007】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の課題は、体幹を適切に使っているか否か、又は、代償運動が生じていないか否かについて、一貫性のある評価方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、以下の通りである。
【0009】
[1]1以上の測定装置によって測定される運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関するデータを用いて代償運動が生じる原因となる部位を特定する代償運動の原因部位特定方法であって、第1の動作における、運動者の第1測定部位群の静止状態または動作状態に関する第1測定データが、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定ステップ、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態に関する第2測定データが、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定ステップと、第1判定ステップ及び/又は第2判定ステップにおいて代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作における、運動者の第3測定部位群の静止状態または動作状態に関する第3測定データが、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する、原因部位特定ステップとを備えた、代償運動の原因部位特定方法。
【0010】
[2]原因部位特定ステップが、さらに、代償運動の特徴と、各原因部位における代償運動の発生に寄与する割合とを特定する、上記[1]に記載の代償運動の原因部位特定方法。
【0011】
[3]さらに、第1測定データが第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、及び/又は、第2測定データが第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測する原因部位推測ステップを有する、上記[1]又は[2]に記載の代償運動の原因部位特定方法。
【0012】
[4]第3の動作の種類が、原因部位推測ステップにおいて代償運動が生じる原因であると推測された部位に応じて決定される、上記[3]に記載の代償運動の原因部位特定方法。
【0013】
[5]第1判定ステップにおいて代償運動が有ると判定された場合に、第2判定ステップを実行する、上記[1]〜[4]のいずれかにに記載の代償運動の原因部位特定方法。
【0014】
[6]測定装置が、モーションキャプチャ、圧力センサ、筋電図測定器、超音波測定器、及び関節角度計からなる群より選ばれる1種以上である、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の代償運動の原因部位特定方法。
【0015】
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載の代償運動の原因部位特定方法を用いて代償運動が生じる原因となる部位を特定し、特定された部位に応じた所定の運動を運動者に実施させることで代償運動を解消する、代償運動解消方法。
【0016】
[8]運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関するデータを測定する1以上の測定装置と、コンピュータ装置とによって実現される、代償運動が生じる原因となる部位を特定する代償運動の原因部位特定システムであって、第1の動作における、運動者の第1測定部位群の静止状態または動作状態に関する第1測定データが、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定手段、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態に関する第2測定データが、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定手段と、第1判定手段及び/又は第2判定手段によって代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作における、運動者の第3測定部位群の静止状態または動作状態に関する第3測定データが、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する原因部位特定手段とを備えた、代償運動の原因部位特定システム。
【0017】
[9]原因部位特定手段が、さらに、代償運動の特徴と、各原因部位における代償運動の発生に寄与する割合とを特定する、上記[8]に記載の代償運動の原因部位特定システム。
【0018】
[10]さらに、第1測定データが第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、及び/又は、第2測定データが第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測する原因部位推測手段を有する、上記[8]又は[9]に記載の代償運動の原因部位特定システム。
【0019】
[11]第3の動作の種類が、原因部位推測手段によって代償運動が生じる原因であると推測された部位に応じて決定される、上記[10]に記載の代償運動の原因部位特定システム。
【0020】
[12]第1判定手段によって代償運動が有ると判定された場合に、第2判定手段によって第2の動作における代償運動の有無を判定する、上記[8]〜[11]のいずれかに記載の代償運動の原因部位特定システム。
【0021】
[13]測定装置が、モーションキャプチャ、圧力センサ、筋電図測定器、超音波測定器、及び関節角度計からなる群より選ばれる1種以上である、上記[8]〜[12]のいずれかに記載の代償運動の原因部位特定システム。
【0022】
[14]上記[8]〜[13]のいずれかに記載の代償運動の原因部位特定システムを用いて代償運動が生じる原因となる部位を特定し、特定された部位に応じた所定の運動を運動者に実施させることで代償運動を解消する、代償運動解消システム。
【0023】
[15]1以上の測定装置によって測定される運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関するデータを用いて代償運動が生じる原因となる部位の特定をコンピュータ装置に実行させるプログラムであって、第1の動作における、運動者の第1測定部位群の静止状態または動作状態に関する第1測定データが、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定手段、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態に関する第2測定データが、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定手段、並びに、第1判定手段及び/又は第2判定手段によって代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作における、運動者の第3測定部位群の静止状態または動作状態に関する第3測定データが、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する原因部位特定手段、として機能させるプログラム。
【0024】
[16]1以上の測定装置によって測定される運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関するデータを用いて代償運動が生じる原因となる部位を特定するコンピュータ装置であって、第1の動作における、運動者の第1測定部位群の静止状態または動作状態に関する第1測定データが、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定手段、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態に関する第2測定データが、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定手段と、第1判定手段及び/又は第2判定手段によって代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作における、運動者の第3測定部位群の静止状態または動作状態に関する第3測定データが、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる部位を特定する原因部位特定手段とを備えた、コンピュータ装置。
【0025】
[17]運動者の所定の部位における静止状態または動作状態をもとに、代償運動が生じる原因となる部位を特定する代償運動の原因部位特定方法であって、第1の動作における、運動者の第1測定部位群の静止状態または動作状態が、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定ステップ、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態が、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定ステップと、第1判定ステップ及び/又は第2判定ステップにおいて代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作における、運動者の第3測定部位群の静止状態または動作状態が、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する原因部位特定ステップとを有する、代償運動の原因部位特定方法。
【0026】
[18]運動者の所定の部位における静止状態または動作状態をもとに、代償運動が生じる原因となる部位を特定する代償運動の原因部位特定方法を実行するための原因部位特定システムであって、代償運動の原因部位特定方法が、第1の動作における、運動者の第1測定部位群の静止状態または動作状態が、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定ステップ、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態が、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定ステップと、第1判定ステップ及び/又は第2判定ステップにおいて代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作における、運動者の第3測定部位群の静止状態または動作状態が、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を特定する、原因部位特定ステップとを有するものであり、運動者の第1測定部位群ごとに、第1の動作における代償運動の有無を判定するための第1判定基準を記録した第1記録媒体、及び/又は、運動者の第2測定部位群ごとに、第2の動作における代償運動の有無を判定するための第2判定基準を記録した第2記録媒体と、運動者の第3測定部位群における静止状態または動作状態をもとに、代償運動が生じる原因となる部位を特定するための第3判定基準を記録した第3記録媒体とを備える、原因部位特定システム。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、アスリートのパフォーマンスが停滞する前、不調を訴える前に、パフォーマンス動作をモニタリングすることで、動作の維持向上のために、フォーカスすべき点(例えば、コーチングのポイント、コンディショニングの手法、トレーニング部位、トリートメント部位など)を明確にし、勝つための戦略を立てられようになる。また、スポーツ愛好家や運動習慣のない一般人に対して、日常生活動作をモニタリングすることで、不定愁訴の問題が顕在化する前に、動作や姿勢の改善を図ることが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面等を用いて本発明の実施の形態について説明をするが、本発明の趣旨に反しない限り、本発明は以下の実施の形態に限定されない。図面において、人体の各部位に付された符号番号は、同一の部位であっても、異なる符合番号を付していることがある。また、以下で説明するフローチャートを構成する各処理の順序は、処理内容に矛盾や不整合が生じない範囲で順不同である。
【0030】
[第一の実施の形態]
まず、本発明の第一の実施の形態の概要について説明をする。以下では、第一の実施の形態として、運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関するデータを測定(以下、「モニタリング」ともいう)する1以上の測定装置と、コンピュータ装置とによって実現される、代償運動が生じる原因となる部位を特定する代償運動の原因部位特定システムを例示して説明をする。
【0031】
なお、本明細書において、「第1の動作」、「第2の動作」、「第3の動作」とは、身体を動かす運動だけではなく、所定の姿勢をとり静止状態を維持することも含む。「代償運動の有無を判定する」とは、運動者が、本来使うべき筋肉の代わりに、使うべきではない筋肉による運動、又は、ある関節や関節周囲の軟部組織に過剰なストレス(負荷)がかかる運動をしているか否かを判定することであり、言い換えると、運動者の行っている運動が、その運動者にとって理想的(正常)な動作・運動のパターンから逸脱しているか否かを判定することである。
【0032】
(測定装置)
測定装置としては、運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関するデータを測定できるものであれば特に制限はなく、運動者に実施させる動作に応じて、例えば、モーションキャプチャ、圧力センサ、筋電図測定器、超音波測定器、又は関節角度計などを適宜使用することができる。コーチ及びトレーナーがいなくても測定データが得られる、又は正確な測定データが得られるという観点からは、例えば、モーションキャプチャ、圧力センサ、筋電図測定器、又は超音波測定器が好ましい。なお、1種類以上の複数の測定装置を組み合わせて用いても良い。
【0033】
モーションキャプチャとしては、例えば、慣性センサ式、光学式、機械式、磁気式、又はビデオ式などの方式を適宜採用することができる。センサやマーカー(以下、「センサ等」ともいう)を運動者に取り付ける場合、その取り付け位置などは、運動者に実施させる運動の種類やモニタリングする部位に応じて、適宜決定すれば良い。例えば、頭部の動きをモニタリングする場合は両耳又は眉間など、肩甲上腕関節の動きをモニタリングする場合は両側それぞれの肩峰外縁、又は上腕骨外側上顆外縁など、肩甲骨の動きをモニタリングする場合は胸椎2番棘突起、胸椎7番棘突起、両側それぞれの肩峰上縁、肩甲棘、肩甲骨上角、肩甲骨下角、又は肩甲骨内側縁など、胸郭部の動きをモニタリングする場合は胸骨柄頚切痕、剣状突起、頚椎7番棘突起、又は胸椎1〜10番棘突起など、骨盤部の動きをモニタリングする場合は両側それぞれの上前腸骨棘、上後腸骨棘、恥骨結節、又は坐骨など、股関節部の動きをモニタリングする場合は骨盤部の動きをモニタリングする場合の部位に加え、両側それぞれの大腿骨の位置を把握するための大転子外側部、及び大腿骨外側顆下縁など、膝関節部の動きをモニタリングする場合は両側それぞれの大腿骨の位置を把握するための大転子外側部、若しくは大腿骨外側顆下縁、並びに、脛骨・腓骨を把握するための脛骨粗面、腓骨頭外側縁、内果内側縁、若しくは外果外側縁など、足部の動きをモニタリングする場合は両側それぞれの第一〜第五中足骨遠位部の甲側、踵骨後方突起部、内果内側縁、又は外果外側縁などに、センサ等を取り付ければ良い。センサ等は、上記に挙げた少なくとも1以上の箇所に取り付ければ良いが、モニタリングの精度を上げるという観点からは、複数の箇所に取り付けることが好ましい。なお、センサ等の取り付けは、上記に挙げた箇所に限定されるわけではなく、その他の箇所に取り付けても良い。
【0034】
モニタリングによって得られたデータは、有線又は無線によって、測定装置からコンピュータ装置へと送信されることが好ましい。なお、コーチやトレーナー、又は運動者などによって、得られたデータをコンピュータ装置に直接入力できるように構成しても良い。
【0035】
(コンピュータ装置)
コンピュータ装置としては、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末、携帯型端末、PDA、ウェアラブル端末、サーバ装置などが挙げられるが、測定装置が測定したデータに基づいて、代償運動の原因部位を特定できる処理能力を有するものであれば、これに限定されない。
【0036】
図1は、第一の実施の形態の少なくとも1つに対応する、コンピュータ装置の構成を示すブロック図である。コンピュータ装置1は、制御部11、RAM(Random Access Memory)12、ストレージ部13、表示部14、入力部15、及び通信インタフェース16を少なくとも備え、それぞれ内部バスにより接続されている。
【0037】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)から構成され、ストレージ部13に格納されたプログラムを実行し、コンピュータ装置1の制御を行う。また、制御部11は時間を計時する内部タイマを備えている。RAM12は、制御部11のワークエリアである。ストレージ部13は、プログラムやデータを保存するための記憶領域である。
【0038】
通信インタフェース16は、無線又は有線により通信ネットワーク2に接続が可能であり、通信ネットワーク2を介して、測定装置からデータを受信することが可能である。通信インタフェース16を介して受信したデータは、RAM12にロードされ、制御部11により演算処理が行われる。
【0039】
表示部14は、画像を表示するための表示画面を有し、制御部11から出力されるビデオ信号に基づいて、表示画面上に画像を表示する。入力部15は、例えば、マウス、キーボード、又はタッチパネルなどで構成される。入力部15としてタッチパネルを採用する場合は、表示部14の表示画面の役割を兼ねることが可能である。入力部15に入力された入力情報は、RAM12に格納され、制御部11は入力情報をもとに各種の演算処理を実行する。
【0040】
なお、コンピュータ装置1は、上記の構成の他に、例えば、サウンド出力装置(例えば、スピーカ)に接続されたサウンド出力部を備えていても良い。制御部11がサウンド出力の指示をサウンド処理部に出力すると、サウンド処理部はサウンド出力装置にサウンド信号を出力する。サウンド出力装置からは、例えば、運動内容の指示や運動についてのフィードバックなどが、音声で出力されることが好ましい。
【0041】
次に、コンピュータ装置1の機能について説明をする。コンピュータ装置1は、例えば、特異的運動等指示機能、モニタリング情報受信機能、特異的運動等データ判定機能、コーチング機能、基礎的運動指示機能、基礎的運動データ判定機能、原因部位推測機能、分離運動等決定機能、分離運動等指示機能、原因部位特定機能、及び機能改善運動指示機能を有する。
【0042】
特異的運動等指示機能は、第1の動作として、運動者が実施すべき特異的運動または日常的運動(以下、「特異的運動等」ともいう)の種類を、表示画面や音声等を介して、運動者に対して指示する機能を有する。ここで、「特異的運動」とは、各種スポーツなどにそれぞれ特有の運動であって、力強さやスピードを伴う運動をいう。例えば、ハンマー投であればスイング動作、野球であれば投球動作やバッティング動作などが挙げられる。また、「特異的運動」としては、例えば、立ち幅跳びや垂直跳び、シングルレッグ・スリー・ステップ・テストなど、運動能力を測定するために用いられるような運動であっても、力強さとスピードを伴う動きを要求される運動であれば含まれる。「日常的運動」とは、日常生活において繰り返される基本的な日常生活動作などをいい、例えば、歩行動作、仰臥位や座位から立位へと移行する動作などをいう。
【0043】
運動者に実施させる特異的運動等の種類は、入力部15を介して入力された運動者の情報に基づいてコンピュータ装置が決定しても良いし、表示画面に選択肢を表示する等によって運動者自身に決定させても良いし、また、予め特定の運動(例えば、歩行動作など)を指示するように構成しても良い。
【0044】
モニタリング情報受信機能は、運動者の特異的運動等、後述する基礎的運動、並びに、分離運動または静的姿勢維持(以下、「分離運動等」ともいう)に関して、測定装置によってモニタリングされた運動者の所定の部位における静止状態または動作状態に関する第1測定データを、測定装置から受信する機能を有する。
【0045】
特異的運動等データ判定機能は、モニタリング情報受信機能によって受信した特異的運動等に関する第1測定データが第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、特異的運動等における代償運動の有無を判定する機能を有する。第1判定基準については、後の段落にて詳述する。
【0046】
コーチング機能は、特異的運動等や後述の基礎的運動において代償運動が有る場合に、その代償運動を解消するためのコーチングプログラムを提示する機能を有する。コーチングプログラムとは、運動者が実施した特異的運動等または基礎的運動が、理想とされる動作とはどのように異なっていたのかを提示したり、理想とされる運動に近づくための助言または練習課題を与えてくれたりするものをいう。具体的には、例えば、理想的な運動のビジュアル化による共有、サウンド出力部から出力される音声やコーチ等の言葉がけによる指導、意識するポイントの提示、及び特異的運動等や基礎的運動を構成する動作の部分練習などの少なくとも1つ以上がパッケージ化されたものが挙げられる。
【0047】
コーチングプログラムの内容は、例えば、モニタリングによって得られたデータが所定の判定基準を満たさない程度や、代償運動パターンなどによって決定することが好ましい。コーチングプログラムは、表示画面上に表示しても良いし、通信インタフェース16を介して接続されたプリンタ等から出力しても良い。
【0048】
基礎的運動指示機能は、第2の動作として、運動者が実施すべき基礎的運動の種類を、表示画面や音声等を介して、運動者に対して指示する機能を有する。ここで、「基礎的運動」とは、特異的運動等より複雑性が低く、支持基底面が移動しない多関節運動のこと等をいい、例えば、スクワット動作(オーバーヘッド・スクワットなど)、片足立ち動作(片足スクワット)、ランジ動作(ランジスタンス・ローテショナルスローなど)、前屈動作、伸展動作、側屈動作、回旋動作、上肢モビリティ・テストなどが挙げられる。
【0049】
運動者に実施させる基礎的運動の種類は、入力部15を介して入力された運動者の情報や、特異的運動等に関する第1測定データ等に基づいてコンピュータ装置が決定しても良いし、表示画面に選択肢を表示する等によって運動者自身に決定させても良いし、また、予め特定の運動(例えば、オーバーヘッド・スクワットなど)を指示するように構成しても良い。
【0050】
基礎的運動データ判定機能は、モニタリング情報受信機能によって受信した基礎的運動に関する第2測定データが第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、基礎的運動における代償運動の有無を判定する機能を有する。第2判定基準については、後の段落にて詳述する。
【0051】
原因部位推測機能は、第1測定データが第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、及び/又は、第2測定データが第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測する機能を有する。原因部位推測機能を有することによって、第1測定データが第1判定基準を満たしていない場合や、第2測定データが第2判定基準を満たしていない場合に、原因部位の特定に至っていない段階においても、より適切なコーチングプログラムや機能改善運動プログラムを提供することが可能になる。
【0052】
分離運動等決定機能は、特異的運動等や基礎的運動に関するデータ等、又は原因部位推測機能による推測結果に基づいて、第3の動作として、運動者が実施すべき分離運動または静的姿勢の種類を決定する機能を有する。ここで、「分離運動」及び「静的姿勢」とは、基礎的運動よりも複雑性の低く、単独の関節の可動性や安定性を評価するための運動や姿勢維持のことをいう。また、分離運動は運動者のみで実施されるものに限定されずに、コーチまたはトレーナーが運動者の部位を持ち他動的にその部位を動かす関節可動域の評価や、筋力測定を含んでも良い。分離運動等指示機能は、分離運動等決定機能によって決定された分離運動等の実施を、表示画面等を介して、運動者に対して指示する機能を有する。
【0053】
原因部位特定機能は、モニタリング情報受信機能によって受信した分離運動等に関する第3測定データが第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、特異的運動等及び/又は基礎的運動において代償運動を生じさせた原因となる少なくとも1以上の部位を特定する機能を有する。第3判定基準については、後の段落にて詳述する。
【0054】
また、原因部位特定機能は、第3測定データが第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動の特徴や、各原因部位における代償運動の発生に寄与する割合を特定する機能を有することが好ましい。代償運動の特徴や、各原因部位における代償運動の発生に寄与する割合を特定することで、後述の機能改善運動プログラムにおいて、改善が必要な各部位に対する優先付けが可能となり、適切な機能改善運動プログラムを提供することが可能になる。
【0055】
機能改善運動指示機能は、コーチング機能によって代償運動が解消された場合、原因部位推測機能によって代償運動が生じる原因となる部位や特徴が推測された場合、又は、原因部位特定機能によって代償運動が生じる原因となった部位が特定された場合に、代償運動を解消し、又は、代償運動が解消された状態を維持するための機能改善運動プログラムの実施を指示する機能を有する。機能改善運動プログラムの内容は、特異的運動等や基礎的運動に関するデータが所定の判定基準を満たさない程度や、代償運動パターンによって、又は、推測もしくは特定された代償運動の原因部位に応じて、適宜決定することができる。代償運動の解消により効果的な運動プログラムを提供するという観点からは、代償運動の原因部位だけではなく、代償運動の特徴や、各原因部位における代償運動の発生に寄与する割合を加味したうえで、機能改善運動プログラムの内容を決定することが好ましい。機能改善運動プログラムは、表示画面上に表示しても良いし、通信インタフェース16を介して接続されたプリンタ等から出力しても良い。
【0056】
次に、第一の実施の形態の少なくとも一つに対応する、代償運動の原因部位を特定するためのプログラム実行処理について説明する。
図2は、第一の実施の形態の少なくとも1つに対応する、プログラム実行処理のフロ−チャートである。
【0057】
まず、コンピュータ装置1が、特異的運動等の実施を運動者に指示する(ステップS1)。次に、運動者が実施する特異的運動等を測定装置によってモニタリングし(ステップS2)、該モニタリングによって得られた特異的運動等に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS3)。
【0058】
コンピュータ装置1は、特異的運動等に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS4)、該測定データが第1判定基準を満たすか否かを判定する(ステップS5)。該測定データが第1判定基準を満たす場合(ステップS5においてYes)は、例えば、特異的運動等において代償運動がない理想的な動作(第1判定基準を満たすと判定された運動者の動作であっても良い)を可視化して表示装置に表示し、運動者の目的や動因に合わせて、日常生活における運動量の増加や競技力向上のためのプログラムを提示し、定期的なモニタリングの実施などのアドバイスを表示し、終了する。
【0059】
ここで、第1判定基準について、説明をする。第1判定基準では、例えば、以下の4つの観点から、特異的運動等における代償運動の有無を判定する。1つ目の観点は、体幹の中心軸(脊柱)の動きが正常か否かである。脊柱に関しては、例えば、動作の中でどのような体勢をとっても、骨盤、又は左右の股関節を結んだ直線に対して脊柱が垂直か否かの評価、動作の中で脊柱の不必要で過度な側屈、回旋、屈曲、又は伸展がないか否かの評価等をする。2つ目の観点は、運動連鎖が正常か否かである。運動連鎖に関しては、例えば、5つの回旋軸の一つ一つがきちんと回旋しているか否かの評価、回旋軸が同時に動かずにつながるように連動して動いているか否かの評価、その動作における適切な回旋軸から回旋が始まっているか否かの評価等をおこなう。
【0060】
3つ目の観点は、重心の移動が適切にされているか否かである。重心の移動に関しては、例えば、全身の重心点、上半身の重心点、及び頭部の重心点の三つの重心点の相関関係が適切か否かの評価、支持基底面と重心ラインとの関係性が適切か否かの評価、その動作における重心の移動(どこからどこへ移動しているか)が適切か否かの評価等をおこなう。4つ目の観点は、上肢や下肢の連動性が適切か否かである。上肢の連動性に関しては、例えば、動作における手首、肘、肩のそれぞれの動きのタイミング及び関節トルクの割合(どこの関節トルクが高いか)が適切か否かを評価、上肢と骨盤又は胸郭・肩甲帯との位置関係が適切か否かの評価等をする。下肢の連動性に関しては、例えば、動作における足関節、膝関節、股関節のそれぞれの動きのタイミングと関節トルクの割合(どこの関節トルクが高いか)が適切か否かの評価等をする。
【0061】
特異的運動等をモニタリングする場合は、上記の4つの観点に基づく評価が可能な測定装置を用いることが好ましく、例えば、上記の4つの観点に基づく評価が可能な位置に、センサ等を取り付けることが好ましい。
【0062】
ここで、ステップS1〜S5について、特異的運動等として歩行動作を実施させ、測定装置としてモーションキャプチャを用いる場合を例に挙げて、さらに詳しく説明する。まず、運動者は、センサ等を自身の身体に直接、又は着用している衣服の上に装着する。
【0063】
センサ等の装着位置としては、以下に示す部位情報を得られる位置が好ましい。足部及び足関節周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、両足それぞれの第二趾、第三趾、及び踵骨の部位情報を得られることが好ましい。また、膝関節周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、大腿骨長軸の前額面、脛骨長軸の前額面、大腿骨長軸の矢状面、及び脛骨長軸の矢状面の部位情報を得られることが好ましい。また、股関節周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、胴体垂直線、骨盤部、及び大腿骨長軸の部位情報を得られることが好ましい。骨盤及び腰部周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、左右の上前腸骨棘、及び左右の上後腸骨棘の部位情報を得られることが好ましい。また、胸部、肩部、首部、及び頭部周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、左右の肩鎖関節、左右の外耳孔近傍、及び頭頂部の部位情報を得られることが好ましい。
【0064】
センサ等の具体的な装着位置としては、以下に示す位置が好ましい。足部及び足関節周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、両側それぞれの第一〜第五中足骨遠位部の甲側、踵骨後方突起部、内果内側縁、又は外果外側縁などが好ましい。膝関節周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、両側それぞれの大腿骨の位置を把握するための大転子外側部、若しくは大腿骨外側顆下縁、並びに、脛骨・腓骨を把握するための脛骨粗面、腓骨頭外側縁、内果内側縁、若しくは外果外側縁などが好ましい。股関節周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、骨盤部の動きを把握するための両側それぞれの上前腸骨棘、上後腸骨棘、恥骨結節、又は坐骨に加え、両側それぞれの大腿骨の位置を把握するための大転子外側部、又は大腿骨外側顆下縁などが好ましい。骨盤及び腰部周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、両側それぞれの上前腸骨棘、上後腸骨棘、恥骨結節、又は坐骨などが好ましい。肩甲帯、首部、及び頭部周辺で起こる代償運動を検出するためには、例えば、両側それぞれの肩峰外縁、上腕骨外側上顆外縁、胸椎2番棘突起、胸椎7番棘突起、両側それぞれの肩峰上縁、肩甲棘、肩甲骨上角、肩甲骨下角、肩甲骨内側縁、胸骨柄頚切痕、両耳、又は眉間などが好ましい。センサ等は、上記に挙げた少なくとも1以上の箇所に取り付ければ良いが、モニタリングの精度を上げるという観点からは、複数の箇所に取り付けることが好ましい。なお、センサ等の取り付けは、上記に挙げた箇所に限定されるわけではなく、その他の箇所に取り付けても良い。
【0065】
特異的運動等が歩行動作の場合の第1判定基準の一例を、表1に示すが、第1判定基準は、表1に示すものに限定されるわけではない。なお、本明細書中において、「垂直線」とは、床面に対して垂直な線をいう。また、「水平面」とは、床面に対して水平な面をいう。また、「判定箇所」とは、代償運動の有無を判定する際に着目する箇所であり、センサ等は、判定箇所の判定が可能な位置に取り付ける。
【0067】
表1に示す第1判定基準によって歩行動作を評価した際に、例えば、「警告」又は「要注意」に該等する項目が1つ以上ある場合は、代償運動があると判定することができる。なお、「要注意」や「警告」の度合い(正常範囲から逸脱している程度)や、各部位における「要注意」又は「警告」に該等する項目の数などによって、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測することができる。
【0068】
図2のフローチャートの説明に戻る。該測定データが第1判定基準を満たさない場合(ステップS5においてNo)は、特異的運動等における代償運動を解消するためのコーチングプログラムを表示画面等に表示し、コーチングによって運動者に特異的運動の修正を試みさせる(ステップS6)。次に、ステップS1にて指示した特異的運動等の再実施を運動者に指示する(ステップS7)。次に、運動者が実施する特異的運動等を測定装置によって再度モニタリングし(ステップS8)、該モニタリングによって得られた特異的運動等に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS9)。なお、ステップS6におけるコーチングは、特異的運動を実施させながら行ってもよく、この場合、ステップS7は省略される。
【0069】
コンピュータ装置1は、特異的運動等に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS10)、該測定データが第1判定基準を満たすか否かを判定する(ステップS11)。該測定データが第1判定基準を満たす場合(ステップS11においてYes)は、代償運動が解消された状態を維持するための機能改善運動プログラムを表示画面に表示する(ステップS12)等した後に、終了する。なお、ステップS12における機能改善プログラムの内容は、ステップS6において提示したコーチングプログラムと同一であっても良い。
【0070】
該測定データが第1判定基準を満たさない場合(ステップS11においてNo)、コンピュータ装置1は、基礎的運動の実施を運動者に指示する(ステップS13)。実施させる基礎的運動の種類は、特異的運動等に関する測定データが第1判定基準を満たさない程度や、代償運動パターンなどに基づいて、決定しても良い。例えば、代償運動パターンが見られた部位周辺の関節を用いる運動をさせることで、代償運動の原因部位の特定をより正確におこなうことが可能になる。次に、運動者が実施する基礎的運動を測定装置によってモニタリングし(ステップS14)、該モニタリングによって得られた基礎的運動に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS15)。
【0071】
コンピュータ装置1は、基礎的運動に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS16)、該測定データが第2判定基準を満たすか否かを判定する(ステップS17)。該測定データが第2判定基準を満たす場合(ステップS17においてYes)は、再度、ステップS1に戻り、特異的運動等において代償運動がないかを再度検証する。
【0072】
ここで、第2判定基準について、説明をする。第2判定基準では、基礎的運動を実施する際に用いる関節周辺の代償運動の有無を判定する。基礎的運動の種類に応じて、用いる関節は異なるため、基礎的運動をモニタリングする場合は、実施させる基礎的運動に用いる関節やその周辺部位の動き等をモニタリングすることが可能な測定装置を用いることが好ましい。例えば、測定装置としてモーションキャプチャを用いる場合、センサ等の装着位置は、上述した特異的運動等のモニタリングにおける装着位置を、必要な範囲で採用することができる。
【0073】
基礎的運動としてオーバーヘッド・スクワットを実施させる場合は、例えば、以下の4つの観点から、代償運動の有無を判定する。1つ目の観点は、足と足関節の動きが正常か否かである。2つ目の観点は、膝の動きが正常か否かである。3つ目の観点は、腰・骨盤・股関節複合体の動きが正常か否かである。4つ目の観点は、肩と頭部・頚椎の動きが正常か否かである。
【0074】
基礎的運動がオーバーヘッド・スクワットである場合の第2判定基準の一例を、表2に示すが、第2判定基準は、表2に示すものに限定されるわけではない。
【0076】
表2に示す第2判定基準によってオーバーヘッド・スクワットを評価した際に、例えば、「警告」又は「要注意」に該等する項目が1つ以上ある場合は、代償運動があると判定することができる。なお、「要注意」や「警告」の度合い(正常範囲から逸脱している程度)や、各部位における「要注意」又は「警告」に該等する項目の数などによって、代償運動が生じる原因となる少なくとも1以上の部位を推測することができる。
【0077】
なお、表2に示す代償運動パターンの他にも、例えば、腰椎・骨盤・股関節に非対称な重心移動(臀部が左右のどちらかに移動する)、腹部の突出、肘が曲がる、肩甲骨の上方回旋、肩甲骨の外転(肩甲骨の間が広がる)、肩の挙上、翼状肩甲骨、頭が前方に出る等の代償運動パターンもあり、これらの代償運動パターンについても検出できるように、モニタリングすることが好ましい。
【0078】
オーバーヘッド・スクワットによって検出される代償運動パターンのぞれぞれについて、筋緊張、及び筋弱化を起こしている可能性のある筋、並びに、機能改善運動プログラムの一例を、表3に示す。なお、機能改善運動プログラムとしては、表3に記載したものの他に、筋緊張を起こしている可能性のある筋に対するマッサージやストレッチングなど、筋の過緊張を軽減する手段も含むことが好ましい。
【0080】
図2のフローチャートの説明に戻る。該測定データが第2判定基準を満たさない場合(ステップS17においてNo)は、基礎的運動における代償運動を解消するためのコーチングプログラムを表示画面等に表示し、コーチングによって運動者に基礎的運動の修正を試みさせる(ステップS18)。次に、ステップS13にて指示した基礎的運動の再実施を運動者に指示する(ステップS19)。次に、運動者が実施する基礎的運動を測定装置によって再度モニタリングし(ステップS20)、該モニタリングによって得られた基礎的運動に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS21)。なお、ステップS18におけるコーチングは、基礎的運動を実施させながら行ってもよく、この場合、ステップS19は省略される。
【0081】
コンピュータ装置1は、基礎的運動に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS22)、該測定データが第2判定基準を満たすか否かを判定する(ステップS23)。該測定データが第2判定基準を満たす場合(ステップS23においてYes)は、代償運動が解消された状態を維持するための機能改善運動プログラムを表示画面に表示する(ステップS24)等した後に、終了する。なお、ステップS24における機能改善プログラムの内容は、ステップS18において提示したコーチングプログラムと同一であっても良い。
【0082】
該測定データが第2判定基準を満たさない場合(ステップS23においてNo)は、基礎的運動に関する測定データが第2判定基準を満たさない程度や、代償運動パターンなどに基づいて、運動者が実施すべき分離運動等の種類を決定する(ステップS25)。例えば、ステップS23において、足部に代償運動パターンが見られた場合は、足部の可動性や安定性を評価する分離運動などが選択される。なお、分離運動等の種類または優先順位の決定は、特異的運動等に関する測定データが第1判定基準を満たさない程度や、代償運動パターンなどに基づいておこなっても良く、特異的運動等に関する測定データと基礎的運動に関する測定データの両者に基づいておこなっても良い。
【0083】
なお、ステップS25を実施する前に、例えば、基礎的運動に関する測定データにより代償運動の原因部位と特徴を推測することによって、代償運動を解消することを目的にした機能改善運動プログラムを決定し、該機能改善運動プログラムを表示画面に表示することが好ましい。該機能改善運動プログラムを運動者に実施させることにより、基礎的運動における代償動作に改善が見られた場合には、該機能改善運動プログラムを、例えば、3〜12週間程度実施させた後に、再度、基礎的運動のモニタリングをすることが望ましい。また、改善が見られない場合は、分離運動等の評価を実施し、原因部位を特定した上で、個別の運動プログラムを実施させることが好ましい。
【0084】
次に、決定表示画面等を介して、ステップS25において決定した分離運動等の実施を運動者に対して指示する(ステップS26)。次に、運動者が実施する分離運動等を測定装置によってモニタリングし(ステップS27)、該モニタリングによって得られた分離運動等に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS28)。
【0085】
コンピュータ装置1は、分離運動等に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS29)、該測定データが第3判定基準を満たすか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる部位を特定する(ステップS30)。次に、代償運動が生じる原因となる部位等に応じて、代償運動を解消するための機能改善運動プログラムを表示画面に表示する(ステップS31)等して、終了する。
【0086】
なお、上述した
図2のフローチャートにおけるステップS1〜ステップS12で示される特異的運動等に関するステップ群と、ステップS13〜ステップS24で示される基礎的運動に関するステップ群とは、どちらか一方のステップ群のみを実施しても良く、そのような態様についても、本発明の実施の形態に含まれる。
【0087】
ここで、分離運動及び静的姿勢、並びに第3判定基準について、説明をする。分離運動は、下肢評価のための運動、体幹評価のための運動、上肢評価のための運動に大別される。
【0088】
下肢評価のための運動としては、例えば、母趾の中足趾節関節の屈曲と伸展(足部の評価)、距腿関節の底屈と背屈(足関節の評価)、膝の屈曲と伸展(膝関節の評価)、股関節の内旋・外旋(股関節の評価)、大腿骨の捻転(股関節の評価)、トーマステスト(股関節の評価)、四つ這いロックバック(股関節・骨盤の評価)、仰臥位にて両手を挙げて両脚または片脚を床面から離して動かす運動などが挙げられる。
【0089】
膝の屈曲と伸展では、膝の関節可動域を測定する。膝の屈曲と伸展は、仰臥位にておこなっても良いし、腹臥位にて測定しても良い。測定装置としては、特に制限なく用いることができるが、関節角度計を用いる場合、例えば、関節角度計の軸(中心)は大腿骨外側上顆に合わせ、固定アームは大転子を通る大腿骨の中心線に合わせ、移動アームは外果を通る腓骨の中心線に合わせて、膝の関節可動域を測定する。
【0090】
仰臥位にて両手を挙げて両脚または片脚を床面から離して動かす運動では、例えば、骨盤前傾や腰部の反りがないか、肋骨下部の挙上がないか、などを判定基準とする。
【0091】
体幹評価のための運動としては、例えば、仰臥位にて呼吸を繰り返す、運動補助具の上で仰臥位になり軸回旋をおこなう、運動補助具の上で仰臥位または腹臥位になり手足の挙上をおこなう、四つ這いから対角にある手と脚を床から持ち上げる、などが挙げられる。なお、運動補助具としては、例えば、略円柱状または略半円柱状のものを用いるのが好ましく、例えば、株式会社LPN製のストレッチポール(登録商標)や、ストレッチポール(登録商標)ハーフカットなどが挙げられる。
【0092】
仰臥位にて呼吸を繰り返す運動では、吸気時に腹部などを全体的に使えているか、呼気時に自然な腹部の収縮があるか、肩の挙上がないか、骨盤の動きはないか、肋骨下部への横への広がりがみられるか、などを判定基準とする。
【0093】
運動補助具の上で仰臥位になり手足の挙上をおこなう運動では、頭部・胸郭・骨盤のズレがないか、不必要な力みがなく安定しているか、などを判定基準とする。なお、運動補助具の上で腹臥位にておこなう手足の挙上についても、同様の判定基準を用いることができる。
【0094】
四つ這いから対角にある手と脚を床から持ち上げる運動では、骨盤・腰部を安定させて手足の挙上ができるか、骨盤や胸郭の回旋はないか、肩甲骨の翼状はないか、などを判定基準とする。
【0095】
上肢評価のための運動としては、例えば、ショルダー・フレクション(肩・肩甲骨の評価)、ショルダー・アブダクション(肩・肩甲骨の評価)、ショルダー・ローテーション(肩・肩甲骨の評価)、頚椎屈曲(首部の評価)、頚椎伸展(首部の評価)、頚椎側屈と頚椎回旋(首部の評価)、仰臥位にて両脚を床から離した状態で両手を挙上して動かす運動などが挙げられる。
【0096】
仰臥位にて両脚を床から離した状態で両手を挙上して動かす運動では、骨盤前傾や腰部の反りがないか、肋骨下部の挙上なく上肢を170度以上屈曲可能か、などを判定基準とする。
【0097】
下肢評価のための運動、体幹評価のための運動、及び上肢評価のための運動に関しての判定基準は、上述したものの他にも、従来から用いられている評価基準を採用することができる。また、実施させる運動は複数であっても良く、どのような分離運動を実施させるかは、基礎的運動に関する測定データが第2判定基準を満たさない程度や、代償運動パターンなどに基づいて決定することができる。さらに、上述の運動に限定されることなく、コーチまたはトレーナーが必要と思われる部位の運動を追加しても良い。
【0098】
静的姿勢の評価は、例えば、運動者に立位、座位、膝立ちなどの姿勢をとらせ、その静止状態における運動者の所定の部位の位置をモニタリングすることでおこなう。静的姿勢の評価によれば、代償運動の原因部位と成り得る部位の情報を得ることが可能であるため、分離運動等及び/又は基礎的運動の測定データから代償運動の原因部位の候補を特定できない場合などは、静的姿勢の評価をおこなうことで、代償運動の起因要素を抽出できる。また、分離運動等及び/又は基礎的運動の測定データから原因部位の候補を特定できた場合においても、最終的な原因部位の特定の精度を高め、又は代償運動の特徴や性質を捉えて、運動者に適した機能改善運動プログラムを提供するという観点から、分離運動の測定をおこなう前に実施しても良い。なお、静的姿勢の評価によって代償運動の起因要素を抽出した後は、原因部位の状態を正確に把握し、より的確な機能改善プログラムを提供するために、分離運動のモニタリングもおこなうことが好ましい。
【0099】
ここで、第一の実施の形態の少なくとも一つに対応する、静的姿勢の評価から代償運動の起因要素を抽出するためのプログラム実行処理について説明する。
図3は、第一の実施の形態の少なくとも一つに対応する、プログラム実行処理のフロ−チャートである。
【0100】
以下では、運動者に静的姿勢として立位をとらせ、運動者の身体を正面側から観察する場合を例に挙げて説明するが、静的姿勢としては立位に限らず、また、運動者の身体を側面側または背面側から観察しても良い。
【0101】
まず、運動者やトレーナーの操作入力等を受け付けて、コンピュータ装置1が測定処理を開始する(ステップS41)。次に、運動者に立位をとらせ、運動者の所定の部位の位置をモニタリングし(ステップS42)、該モニタリングによって得られた立位に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS43)。
【0102】
コンピュータ装置1は、立位に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS43)、該測定データを第2判定基準に基づいて評価することで、運動者の歪み部位を検出する(ステップS45)。
【0103】
ここで、ステップS42〜S45について、さらに詳しく説明をする。静的姿勢の評価は、例えば、両足の第2趾のそれぞれが正面を向き平行になるように、運動者を所定の位置に直立させ、目線の高さにある指定物を直視させた状態にて、運動者の所定の部位の位置を結んで、頭部ブロック、胸郭ブロック、骨盤ブロック、及び足部ブロックという4つのブロックを作り、4つのブロックの状態または位置関係を評価することでおこなうことができる。
【0104】
図4は、運動者3に立位をとらせた場合のブロック作成方法の一例を示す模式図である。頭部ブロック21は、左右の外耳孔22a、及び22bを結んだラインlを横の基準ラインとし、眉間23と鼻溝24を結んだ顔面正中ラインmを縦の基準ラインとし、上記それぞれの基準ラインを頭蓋骨外輪に合うように平行移動させて作成する。胸郭ブロック31は、左右の肩峰32a及び32bを結ぶラインnと、左右の肋骨弓33a及び33bを結ぶラインoとをそれぞれ横のラインとする。次に、胸骨柄頚切痕34と剣状突起35を結ぶラインpを縦の基準ラインとして、縦の基準ラインを肋骨外輪に合わせて平行移動させて作成する。
【0105】
骨盤ブロック41は、左右の腸骨稜42a及び42bを結ぶラインを横の基準ラインqとし、恥骨結合43とお臍44を結んだラインを縦の基準ラインrとして、上記それぞれの基準ラインを骨盤外輪に合うように平行移動させて作成する。左右の足部ブロック51a及び51bは、足部外輪全体をみて作成することができ、例えば、足趾の先端を通る水平ラインs、内果を通る水平ラインt、内果を通る垂直ラインu、及び中足趾節関節の外側縁を通る垂直ラインvにより作成することができる。また、足部ブロック51a及び51bのそれぞれの中心点を結んだ線分の中点wを通り、床面に垂直なラインを重心ラインgとする。なお、図示はしないが、上記の4つのブロックのほかに、左右の膝関節(膝蓋骨の中心)を結んだ横のラインを作成し、静的姿勢の評価に用いることもできる。
【0106】
センサ等を取り付けてモニタリングをする場合、その取り付け位置は、上述したような縦と横のライン、又は基準ラインを作成する際の起点となる箇所(例えば、外耳孔22a及び22b、左右の肩峰32a及び32bなど)に取り付けることが好ましい。
【0107】
各ブロックの評価は、各ブロックを構成する横のラインが床面と平行か(ブロックが左右どちらかに傾斜していないか)、各ブロックに対応する基準点と重心ラインまでの距離、などに基づいておこなう。ブロックを構成する横のラインが床面と平行ではない場合を異常とし、該ブロック(ブロックに対応する部位)は歪みがあると判定する。なお、左右の膝関節(膝蓋骨の中心)を結んだ横のラインについても、床面と平行でない場合を異常とし、その場合、膝部に歪みがあると判定する。
【0108】
また、ブロックに対応する基準点と重心ラインまでの距離は、例えば、7mm以上の場合を異常とし、該ブロックは歪みがあると判定する。なお、例えば、7mm以上12mm未満であれば異常レベル1とし、12mm以上17mm未満であれば異常レベル2とし、17mm以上22mm未満であれば異常レベル3として異常レベルを判定し、その異常レベルに応じて、最も歪みのあるブロックはどこであるかを特定することもできる。「基準点」の例としては、頭部ブロックであれば眉間、胸郭ブロックであれば胸骨柄頚切痕や剣状突起、骨盤ブロックであれば恥骨結合、膝部であれば左右の膝関節の中間点、足部であれば左右の距骨の中間点などが挙げられる。
【0109】
なお、
図4では、頭部ブロック21が右に傾斜し、胸郭ブロック31が右に傾斜し、骨盤ブロック41が左に傾斜していることが観察される。
【0110】
なお、あるブロックにおいて傾斜等が見られた場合でも、代償運動の原因と成り得る姿勢の歪みの部位の特定には至らないため、ステップS46以降において、ステップS45において直立姿勢の歪みを引き起こしていた起因となる部位の絞り込みをしていく。
【0111】
図3のフローチャートの説明に戻る。コンピュータ装置1は、ステップS45で検出された歪み部位に応じて、表示画面等を介して運動者に姿勢の変更を指示する(ステップS46)。姿勢の変更としては、例えば、骨盤をニュートラルにして代償運動の原因となる部位が上半身か下半身かを特定するため、座位をとらせることが好ましい。以下では、姿勢を座位に変更させる場合を説明する。
【0112】
運動者に座位をとらせ、運動者の所定の部位の位置をモニタリングし(ステップS47)、該モニタリングによって得られた座位に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS48)。コンピュータ装置1は、座位に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS49)、ステップS45と同様の方法により各ブロックの状態または位置関係を評価することで、運動者の歪み部位を検出する(ステップS50)。次に、ステップS45において直立姿勢の歪みを引き起こしていた起因となる部位の絞り込みをするため、検出された歪み部位に応じて、又は歪みが消失したか否かに応じて、表示画面等を介して運動者に姿勢の変更を指示する(ステップS51)。姿勢の変更としては、例えば、膝立ちをさせることや、座位のまま目を閉じさせ、『右肩をやや引き下げてください』などの音声案内、または、コーチやトレーナーの誘導などを通じて、胸郭ブロックが骨盤ブロックと同方向を向くように胸郭をニュートラルにさせることなどが挙げられる。
【0113】
運動者に姿勢を変更させ、運動者の所定の部位の位置をモニタリングし(ステップS52)、該モニタリングによって得られた変更後の姿勢に関する測定データが、測定装置からコンピュータ装置1へと送信される(ステップS53)。コンピュータ装置1は、変更後の姿勢に関する測定データを測定装置から受信し(ステップS54)、ステップS45と同様の方法により各ブロックの状態または位置関係を評価することで、運動者の歪み部位を検出する(ステップS55)。次に、検出された歪み部位に応じて、又は歪みが消失したか否かに応じて、代償運動の起因要素を抽出し(ステップS56)、終了する。
【0114】
ここで、ステップS50〜S56について、具体的な例を挙げて説明をする。例えば、立位の測定にて胸郭に歪みがあり、座位の測定においても胸郭に歪みがある場合、代償運動の原因部位は、頸部または腰・腹部にある。この場合、例えば、座位のまま目を閉じさせ、『右肩をやや引き下げてください』などの音声案内、または、コーチやトレーナーの誘導などを通じて、胸郭ブロックが骨盤ブロックと同方向を向くように胸郭をニュートラルにさせるような姿勢変更の指示をおこなう。該姿勢にて測定をして全てのブロックの歪みが消失する場合、腰部・腹部が、代償運動の起因要素として抽出される。また、該姿勢にて測定をして頭部に歪みが検出される場合、頸部が、代償運動の起因要素として抽出される。
【0115】
また、立位の測定にて胸郭に歪みがあり、座位の測定では胸郭の歪みがない場合、足部または股関節部が、代償運動の起因要素として抽出される。この場合、例えば、膝立ちをするように姿勢変更の指示をおこなう。該姿勢にて測定をして胸郭の歪みが検出されない場合、足部が、代償運動の起因要素として抽出される。また、該姿勢にて測定をして胸郭に歪みが検出される場合、股関節部が、代償運動の起因要素として抽出される。
【0116】
[その他の実施の形態]
上の実施の形態では、主に、測定装置と接続されたコンピュータ装置において、第1の動作における代償運動の有無を判定するステップ、第2の動作における代償運動の有無を判定するステップ、第3の動作の種類を決定するステップ、代償運動が生じる原因となる部位を特定するステップなどの各種ステップを実行する場合について記載をしたが、これらのステップは、測定装置と接続されたコンピュータ装置ではなく、該コンピュータ装置と通信により接続されたサーバ装置において、実行されるような構成としてもよい。この場合、運動者の静止状態または動作状態に関する測定データや、特定された代償運動が生じる原因となる部位等を、運動者と関連付けて、サーバ装置に記憶させることができる。これらの測定データや代償運動が生じる原因となる部位等を記憶しておくことで、代償運動を解消するための機能改善運動プログラムの実施により、運動者の代償運動が経時的に抑制されていく経過を確認することができる。
【0117】
また、上の実施の形態では、運動者の静止状態または動作状態を、測定装置をもとに測定する構成としていたが、例えば、測定装置を用いずに、トレーナーが目視により、運動者の静止状態または動作状態を測定してもよい。さらには、第1の動作における代償運動の有無を判定するステップ、第2の動作における代償運動の有無を判定するステップ、第3の動作の種類を決定するステップ、代償運動が生じる原因となる部位を特定するステップなどの各種ステップをコンピュータ装置やサーバ装置を用いずに、トレーナーが実行することも可能である。
【0118】
つまり、本発明の実施の形態には、第1の動作を運動者に実施させながら、運動者の第1測定部位群における静止状態または動作状態が、第1判定基準を満たしているか否かに基づいて、第1の動作における代償運動の有無を判定する第1判定ステップ、及び/又は、第1の動作より複雑性が低い第2の動作における、運動者の第2測定部位群の静止状態または動作状態が、第2判定基準を満たしているか否かに基づいて、第2の動作における代償運動の有無を判定する第2判定ステップと、第1判定ステップ及び/又は第2判定ステップにおいて代償運動が有ると判定された場合に、第2の動作より複雑性が低い第3の動作を運動者に実施させながら、運動者の第3測定部位群における静止状態または動作状態が、第3判定基準を満たしているか否かに基づいて、代償運動が生じる原因となる部位を特定する原因部位特定ステップとからなる、代償運動の原因部位特定方法も含まれる。この代償運動の原因部位特定方法を実行するにあたっては、例えば、運動者の第1測定部位群ごとに(身体部位ごとに)、第1の動作における代償運動の有無を判定するための第1判定基準を記録した第1記録媒体、及び/又は、運動者の第2測定部位群ごとに、第2の動作における代償運動の有無を判定するための第2判定基準を記録した第2記録媒体と、運動者の第2測定部位群における静止状態または動作状態をもとに、代償運動が生じる原因となる部位を特定するための第3判定基準を記録した第3記録媒体とを備える、原因部位特定システムを利用することができる。
【0119】
第1記録媒体としては、情報を記録でき、トレーナーがその情報を取得できるものであれば、その形態は特に限定されず、例えば、紙や、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの表示装置を備えた端末であってもよい。また、音声等により情報を取得可能な音声再生装置等であってもよい。第2記録媒体及び第3記録媒体も同様に、情報を記録でき、トレーナーがその情報を取得できるものであれば、その形態は特に限定されず、例えば、紙や、パーソナルコンピュータやスマートフォンなどの表示装置を備えた端末、音再生装置等であってもよい。
【0120】
第1記録媒体には、例えば、身体部位ごとに、代償運動のパターン、該パターンに対応した判定箇所、及び、代償運動の有無を判定するための判定基準(例えば、表1等に示すような基準)が記録されている。トレーナーは、運動者に第1の動作を実施させながら、第1記録媒体に記録された、これらの情報を参照することで、代償運動の有無を判定することができる。
【0121】
また、第2記録媒体には、例えば、身体部位ごとに、代償運動のパターン、該パターンに対応した判定箇所、及び、代償運動の有無を判定するための判定基準(例えば、表2等に示すような基準)が記録されている。トレーナーは、運動者に第2の動作を実施させながら、第2記録媒体に記録された、これらの情報を参照することで、代償運動の有無を判定することができる。
【0122】
また、第3記録媒体には、代償運動の原因部位となる部位ごとに、運動者に第3の動作を実施させた際の第3測定部位群における静止状態または動作状態をもとに、代償運動が生じる原因となる部位を特定するための判定基準が記録されている。トレーナーは、運動者に第3の動作を実施させながら、第3記録媒体に記録された、これらの情報を参照することで、代償運動の原因となる部位を特定することができる。