(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記係合部は、前記移動連結体に軸支されている部分を境に、一端部において前記底面外フラップと係合し、他端部において該一端部より重い錘が設けられており、前記底面外フラップの他端側片部との係合前の状態において、前記係合部の他端部の自重により前記係合部の一端部が上方を向くようにされている
ことを特徴とする請求項4記載の梱包物取り出し装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態においては、梱包箱として上面および底面にフラップを有する段ボール箱を用い、信号機やバッテリー等の単一の梱包物を梱包箱から取り出す梱包物取り出し装置を例にとり説明を行う。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
(装置構成)
先ず、本実施形態に係る梱包物取り出し装置の構成について
図1を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る梱包物取り出し装置の概略斜視図である。なお、
図1においては段ボール箱により隠れる部分を透過させて示してある。
【0013】
図1に示されるように、梱包物取り出し装置1は、段ボール箱2を載置および搬送する2つの搬送コンベヤ12,12と、段ボール箱2の2つの底面外フラップ22,22を開放するための2つのフラップ折り返し部14,14と、段ボール箱2内に収容された図示しない梱包物を上方へ押し上げるための昇降リフタ16と、を備える。ここで示される段ボール箱2は、上面が開放され底面が閉塞された状態、即ち上面内フラップ及び上面外フラップが開けられ、図示しない底面内フラップ上に底面外フラップ22が重なるように閉じられた状態にある。
【0014】
本実施形態における段ボール箱2の底面外フラップ22には、段ボール箱2の側壁との連結部分、即ち底面外フラップ22を開放する際の支点となる辺側に、その長手方向に沿って罫線24が設けられている。以後、この罫線24を境に前記支点となる辺側を一端側片部と称し、その逆側を他端側片部と称する。本実施形態における梱包物取り出し装置1は、フラップ折り返し部14により底面外フラップ22の他端側片部を下方に折り返す(折り曲げる)ようにしている。この罫線24は、底面外フラップ22の他端側片部が折り返される際にその支点となるものであり、当該折り返しを容易にするために設けられている。本実施形態においては、罫線24は切り込みであり、底面外フラップ22の表面または裏面に形成されている。特に、裏面に形成されることで底面外フラップ22の他端側片部の折り返しが容易なものとなる。なお、罫線24は切り込みではなく、孔を線状に連設した破線等、底面外フラップ22の他端側片部の折り返しを容易なものとする加工であればよい。
【0015】
搬送コンベヤ12は、搬送方向Xに延在し、図示しない供給コンベヤから供給された段ボール箱2を協働して所定の位置に搬送すると共に、当該位置にて後述する梱包物取り出し方法により梱包物が取り出された後、空の段ボール箱2を図示しない排出コンベヤへ排出するものである。ここでの所定の位置とは、梱包物または段ボール箱2の略中央が昇降リフタ16の上方に重なる位置である。搬送コンベヤ12の幅は、段ボール箱2の一端側片部の一部のみが当接する程度の長さを有している。
【0016】
また、搬送コンベヤ12は、搬送方向Xに水平に直交する直交方向Yに互いに一定距離離間して配設されている。この離間距離は、段ボール箱2の種類や供給コンベヤ、排出コンベヤの幅等により適宜設定すればよいが、少なくとも昇降リフタ16が搬送コンベヤ12間を通過可能な距離以上とすることが好ましい。なお、上述したように、底面外フラップ22の罫線24を境に底面外フラップ22の他端側片部が折り返されるため、搬送コンベヤ12の離間距離はこの罫線24間の距離以上離す必要がある。
【0017】
フラップ折り返し部14は、底面外フラップ22の他端側片部を下方に折り返すものであり、搬送コンベヤ12の下方に位置して、1つの底面外フラップ22に対して1つのフラップ折り返し部14が対応するように、2つ設けられている。これら2つのフラップ折り返し部14,14は、フラップ折り返し部14,14間の中心を通る鉛直に延びる鉛直面を境に互いに面対称となるように配設されている。フラップ折り返し部14はそれぞれ、1つのリンク機構142と、2つの係合部144とを備えている。
【0018】
リンク機構142は、係合部144を直交方向Yに沿って所定の移動範囲内で揺動させるためのものであり、2つの主回転軸142aと、4つの第1連結板142bと、2つの第2連結板142cと、2つの固定板142dと、4つの回転軸142eとを備える。
【0019】
2つの主回転軸142aは、それぞれ底面外フラップ22の長手方向、換言すれば底面外フラップ22が開放された際の支点となる底面外フラップ22の辺が延在する方向に平行して延びており、少なくとも何れか一方が図示しない駆動装置に連結されて当該駆動装置の駆動により回動する。
【0020】
第1連結板142bは、一端部が1つの主回転軸142a両端部にそれぞれ相対回転不能に連結されると共に、他端部が回転軸142eを軸支しており、これを介して第2連結板142cを相対回転可能に支持している。したがって第1連結板142bは、主回転軸142aの回動に応じた回転運動を行うことができ、当該回転運動により円弧を描くように第2連結板142cを移動、即ち上下方向および直交方向Yに沿って揺動させることができる。
【0021】
第2連結板142cは、第1連結板142bにより揺動するものであり、その上端部において係合部144の回転軸144aを軸支し、これを介して係合部144を相対回転可能に支持している。なお、本実施形態においては、1つの主回転軸142aと、これに連結された2つの第1連結板142bとの組を上下方向に所定距離離間して2つ設けることにより、第2連結板142cを傾動不能に支持するようにしている。
【0022】
固定板142dは、図示しない下方位置で固定されると共に、主回転軸142aをその両端部において回動可能に軸支している。
【0023】
係合部144は、第2連結板142cにより回転軸144aを介して相対回転可能に支持されているため、第2連結板142cと一体となって揺動すると共に、回転軸144aを軸として回動することができる。係合部144は、上方に揺動された際に底面外フラップ22の他端側片部と係合するものであり、したがって、揺動前の基準位置においては搬送コンベヤ12の下方に位置するよう配設されている。本実施形態においては、係合部144は段ボール箱2の底面四隅に位置付けられ、1つの底面外フラップ22に対して2つが対応するように、1つのフラップ折り返し部14に2つ設けられている。なお、段ボール箱2のサイズや材質によっては、係合部144及び第2連結板142cの組を1つ、または3つ以上設けるようにしてもよい。
【0024】
係合部144は、その一端部(
図1では上端部)に底面外フラップ22の他端側片部に吸着可能なサクションカップ144bが設けられている。サクションカップ144bは、底面外フラップ22の他端側片部に当接した際、図示しない真空装置等の吸引装置を駆動させることにより、当該片部に吸着することができ、これにより底面外フラップ22と係合部144との係合がなされる。なお、サクションカップ144bは段ボール箱2のサイズや罫線24の位置等の仕様の変更を考慮して出没自在に構成することが好ましい。
【0025】
また、係合部144は他端部に錘144cが設けられており、この錘144cはサクションカップ144bと比較して重い。上述したように係合部144は、回転軸144aにより回動自在に支持されているため、初期状態において錘144cの自重によりサクションカップ144bを上方に向けることができる。これにより、下方に折り返される底面外フラップ22の他端側片部の角度の変位に応じて係合部144が回動するため、当該片部と係合部144との係合状態を維持ことができ、良好に当該片部を折り返すことが可能となる。なお、錘144cを係合部144の他端部に設けずに、単に当該他端部を延在するようにしてもよい。
【0026】
このような構成の2つのフラップ折り返し部14は、それぞれ搬送コンベヤ12と一体となって互いに離間する方向、即ち直交方向Yに沿って移動可能とすることが好ましい。移動可能とすることにより、様々なサイズの段ボール箱に対応することが可能となる。
【0027】
昇降リフタ16は、搬送コンベヤ12間における略中央の下方に配設され、図示しない駆動装置により搬送コンベヤ12間を通過可能に且つ段ボール箱2内に挿脱可能に上昇および下降するものであり、その先端には支持台162が設けられている。
【0028】
支持台162は、梱包物と当接してこれを支持する平板部材であり、下方に延在するピストンロッドと連結されて昇降可能にされている。支持台162のサイズは、段ボール箱2に挿入可能なサイズとすればよいが、搬送方向Xの長さは、段ボール箱2の2つの底面内フラップがそれぞれ折り込まれ対向した状態にあるため、それらの底面内フラップ先端間の長さ以下とすることが好ましい。また、支持台162の直交方向Yの長さは、罫線24間の長さ以下とすることが好ましい。これは、罫線24を支点にして底面外フラップ22の他端側片部が折り返されるためである。
【0029】
(装置動作)
次に、本実施形態に係る梱包物取り出し装置の動作について、
図2〜
図7を用いて詳細に説明する。
図2はフラップ折り返し部の係合部上方に段ボール箱が配置された状態を説明するための図であり、
図3は係合部が底面外フラップを吸着した状態を説明するための図である。
図4は係合部が底面外フラップの一部を折り返している状態を説明するための図であり、
図5は係合部が底面外フラップの一部を折り返し終えた状態を説明するための図である。
図6は昇降リフタにより梱包物を取り出す前の状態を説明するための図であり、
図7は昇降リフタにより梱包物を取り出している状態を説明するための図である。なお、各図において、底面外フラップ22の一端側片部を参照符号222aで示し、他端側片部を参照符号222bで示している。また、
図6,
図7において梱包物を参照符号3で示している。底面内フラップは図示していない。
【0030】
なお、
図2〜
図5では、2つのうちの一方(
図1に示される左側)の係合部144を、搬送方向Xに沿って見た状態が示されており、説明上、段ボール箱2および搬送コンベヤ12は断面が示されている。これから説明する装置動作は、
図2〜
図5に示される係合部144の動作として説明するが、当然鉛直面に面対称に配置されている側の係合部144においても同様の動作となることは言うまでもない。
【0031】
先ず、
図2に示されるように、搬送コンベヤ12により所定の位置に段ボール箱2が配置されると、搬送コンベヤ12を挟んで係合部144と底面外フラップ22の一端側片部222aとが対向し、係合部144の上方に且つ図示しない対向する係合部144と互いに接近する方向(図面向かって右斜め上方)に、底面外フラップ22の他端側片部222bが位置することとなる。
【0032】
この状態において、フラップ折り返し部14のリンク機構142が有する主回転軸142aが反時計回りに回転され、当該回転に応じて第2連結板142cが回転されて、
図3に示されるように係合部144が円弧を描くように上方に移動する。この時、係合部144は回転軸144aに回動可能に支持され、他端部に錘144cが設けられているため、サクションカップ144bが上方を向いたまま移動することとなり、サクションカップ144bを底面外フラップ22の他端側片部222bに当接させることができる。
【0033】
当接後、吸引装置によりサクションカップ144b内の空気が引かれ、底面外フラップ22の他端側片部222bにサクションカップ144bが吸着する。吸着後、
図2に示される基準位置に係合部144を戻すため、主回転軸142が逆回り(時計回り)に回転され、当該回転に応じて第2連結板142cが回転されて、
図4に示されるように係合部144が円弧を描くように下方へ移動する。上述したように、係合部144は回転軸144aにより回動可能に支持されているため、回転軸144a周りで回動することができる。したがって、係合部144は、底面外フラップ22の他端側片部222bと係合した状態を維持したまま、換言すれば当該他端側片部222bと係合部144とがなす角度(ここでは90°)を維持したまま下方に移動することができる。これにより底面外フラップ22の他端側片部222bを、罫線24を支点として下方に折り返すことが可能となる。
【0034】
なお、底面外フラップ22の他端側片部222bを折り返す際、罫線24が設けられた支点部分に錘144cの負荷が加わることとなる。そのため、錘144cの重さは支点部分が破損せず、サクションカップ144bより重い重さとすることが好ましい。また、底面外フラップ22の他端側片部222bが折り返された際に、当該他端側片部222bとサクションカップ144bとで多少の位置ズレが生じる可能性がある。そのため、吸引装置による吸引力は、位置ズレを許容しつつ吸着を維持できる程度の吸引力とすることが好ましい。
【0035】
次に、
図5に示されるように係合部144を基準位置に戻すことにより、底面外フラップ22の他端側片部222bを略90°下方に折り返すことができ、梱包物の底面中央部を露出させることができる。なお、ここでは底面外フラップ22の他端側片部222bを略90°折り返しているが、これに限定されるものではない。昇降リフタ16の支持台162が段ボール箱2内に挿入可能な空間を画成できる程度に主回転軸142aを回転させて当該他端側片部222bを折り返せばよい。
【0036】
折り返し後、
図6に示されるように、2つの底面外フラップ22の他端側片部222bがそれぞれ折り返されることにより画成される、段ボール箱2内部と外部とを連通する空間に向かって、昇降リフタ16の支持台162を上昇させる。上昇した支持台162は、段ボール箱2内に進入すると共に梱包物3に当接するため、引き続き支持台162を上昇させることにより梱包物を上方に取り出すことが可能となる。
【0037】
梱包物の取り出し後、昇降リフタ16の支持台162を下降させて段ボール箱2内から退去させ、搬送コンベヤ12により排出コンベヤへ空となった段ボール箱2を搬送して本方法は終了となる。なお、引き続き、新たに梱包物取り出しの対象となる段ボール箱2を所定の位置に配置して、以上に説明した動作を繰り返すことにより、連続した梱包物の取り出しが実現できる。
【0038】
なお、
図8に示すように、木板や金属板、硬質のプラスチックシート等のある程度の剛性を有する敷板4を段ボール箱2内に配置しておくことにより、支持台162は敷板4ごと梱包物3を上方へ取り出すことができる。そのため、例えば梱包物3がBIB(バックインボックス)に用いられる液体が充填されたフィルム袋等の安定性が悪いものであっても、極めて安定した取り出しを実現できる。
【0039】
本実施形態によれば、段ボール箱2の2つの底面外フラップ22の他端側片部222bをそれぞれ折り返すことができ、これによって梱包物3の底面中央部を露出させることができるため、昇降リフタ16により梱包物3を上方に押し上げて取り出すことができる。よって、梱包物3に対して余計な押圧力を加えることなく、様々な形態の梱包物3を容易に取り出すことが可能となる。また、底面外フラップ22の他端側片部222bを折り返すフラップ折り返し部14は、リンク機構142と係合部144とによる簡単な機構で実現することができるため、コンパクト且つ低コストで梱包物取り出し装置1を実現することができる。
【0040】
以上に説明した本実施形態においては、梱包箱として段ボール箱2を対象としたが、これに限定されるものではない。プラスチック製の箱等でもよく、少なくとも1つの底面外フラップを有してこれを折り返し可能な箱状のものであれば、本発明により梱包物を取り出すことができる。
【0041】
また、本実施形態では、底面外フラップ22に対してその長手方向に沿って罫線24が設けられていたが、これは底面外フラップ22を開放する際の支点となる辺(段ボール箱2の側壁との連結部分)が延在する方向が長手方向と一致するためである。よって、当該辺が底面外フラップ22の短手方向に沿うような梱包箱にも対応可能なように、フラップ折り返し部14を90°回動可能に構成することが好ましい。また、様々な梱包箱のサイズに対応可能に、フラップ折り返し部14自体を昇降可能とすることが好ましい。
【0042】
また、本実施形態では、段ボール箱2の底面外フラップ22に罫線24を設けたが、梱包箱の底面外フラップの強度に応じて適宜罫線を設けずに底面外フラップの他端側片部を折り返すようにしてもよい。この場合、底面外フラップ22は、搬送コンベヤ12の縁近傍を支点として折り返される。
【0043】
また、本実施形態では、梱包物取り出し装置1が搬送コンベヤ12を有するとしたが、これに限定されるものではなく、単に梱包箱を載置可能なもの、例えば板状部材を搬送コンベヤ12の代わりに設けるようにしてもよい。この場合、梱包箱の搬送は、人手または板状部材に載置された梱包箱を押し出す機構等により行われる。
【0044】
また、本実施形態では、底面外フラップ22と係合するためにサクションカップ144bを用いたがこれに限定されるものではない。例えば底面外フラップ22の他端側片部222bに凹部を設け、当該凹部に係合可能な凸部をサクションカップ144bの代わりに設けるようにしてもよく、他端側片部222bと係合可能なものであれば、どのようなものを用いてもよい。
【0045】
本発明は、その要旨または主要な特徴から逸脱することなく、他の様々な形で実施することができる。そのため、前述の実施形態は、あらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、何ら拘束されない。更に、特許請求の範囲の均等範囲に属する全ての変形、様々な改良、代替および改質は、全て本発明の範囲内のものである。