(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示すようなジャンパー線を使用した場合、ジャンパー線をスルーホールに通す必要があることや、基板両面に同電位の回路パターンが必要なことから、プリント回路装置の設計が制約されたり、基板サイズが大きくなる場合がある。また、電流容量を増加させる場所ごとに、回路パターンの形状に応じたジャンパー線を作成しなければならない。さらに、ジャンパー線を実装する回路パターンに設計変更があった場合には、対応するジャンパー線の作成もやり直す必要があり、面倒であるとともにコストの増加につながる。
【0006】
前述のとおり、回路パターンの全部を厚銅箔とする方法もあるが、パターンに応じた深さのエッチングが必要であるため、線幅の細い回路パターンを形成することが難しく、プリント回路基板の面積増加につながる場合がある。また、回路パターンの一部を厚銅箔で形成する場合、基板の製造工程が増加することにより作業の手間が増加したり、コストが増加する場合があり望ましくない。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、上記課題を解決し、電流容量が確保されたプリント回路基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1態様では、プリント回路基板は、2つの端子間を接続する回路パターンが形成されたプリント配線基板と、前記回路パターン上における前記2つの端子間の電流路方向に沿って互いに隙間をあけて並んで列をなすように配置され、該回路パターンに導電性の接続部材により接続固定された複数の主電流補強部材とを備えていることを特徴とする。
【0009】
上記態様に係るプリント回路基板では、電流路方向に沿って主電流補強部材を並べて配置しているので、回路パターン及び主電流補強部材を含む導体領域の断面積を増やすことができ、2つの端子間における電流容量を確保することができる。さらに、導体領域の断面積の増加により、大電流を流した場合における放熱効果を高めることができる。
【0010】
また、本態様では、電流補強部材が電流路に沿って互いに隙間をあけて並んでいる、すなわち、電流路の長さに対して複数に分割された長さの電流補強部材により電流容量を補強している。これにより、例えば、異なる長さの回路パターンに対しても、共通の電流補強部材を用いることができる。具体的には、電流路方向に沿って並べる電流補強部材の数を異ならせればよい。また、回路パターンが、曲がっているような場合(例えばL字状になっている場合)でも、電流補強部材の列を電流路方向に沿わせることができる。すなわち、互いに異なる形状及び長さを有する回路パターンに対して、共通の電流補強部材を使用することができるようになる。これにより、例えば、回路パターン毎にカスタマイズされたジャンパー線を使用する場合と比較して、コストや作業の手間を削減することができる。
【0011】
さらに、設計変更等により電流容量の補強対象となる回路パターンの長さ等の形状が変わるような場合においても、回路パターンの形状にあわせて配置する電流補強部材の数や配置(例えば、角度等)を変更することにより、電流補強部材の列の長さや形状の調整ができるため、電流補強部材を作りなおす必要がない。
【0012】
前記複数の主電流補強部材の列の一側または両側に配置された側方電流補強部材を備え、前記側方電流補強部材は、隣接する前記主電流補強部材間に設けられた各隙間の電流路方向と直交する流路直交方向から見たときに、該隙間全体に重なるように前記回路パターンに接続固定されている、としてもよい。
【0013】
この構成によると、側方電流補強部材により、隣接する主電流補強部材間に設けられた隙間部分の電流容量を側方電流補強部材により補強することができる。これにより、仮に、電流路方向に隣接する主電流補強部材間の隙間において、他の部分と比較して相対的に電流容量が低くなるような場所が生じる場合においても、側方電流補強部材により配線全体として見た場合における電流容量を補完することができる。
【0014】
側方電流補強部材は、主電流補強部材の列のいずれか一側に設けられていてもよいし、主電流補強部材の列の両側に設けられていてもよい。ただし、主電流補強部材の列の両側に設けることにより、電流容量の補強の効果をより高めることができる。
【0015】
前記電流補強部材は、電流路方向の長さが流路直交方向より長くかつ4隅が切り欠かれた矩形状、または、電流路方向の長さが流路直交方向より長い長円形状若しくは楕円形状である、としてもよい。
【0016】
ここで、上記電流補強部材には、主電流補強部材及び側方電流補強部材の両方が含まれ得る。以下の説明においても、単に「電流補強部材」と記載した場合には、主電流補強部材及び側方電流補強部材の両方が含まれ得る。また、隣接する電流補強部材とは、電流路方向または流路直交方向において隣接する電流補強部材のいずれか一方であってもよく、その両方を包含するものであってもよい。
【0017】
この構成によると、例えば、回路パターンの形状が曲がっているときに、電流補強部材の間に不要な隙間が発生しないように電流補強部材を近接させて並べることができるようになる。
【0018】
前記電流補強部材は、長手方向両端に接続部材としての半田を接続するための半田接続部が設けられており、前記半田接続部の長手方向中央側には、板厚方向に貫通する貫通孔が形成されている、としてもよい。
【0019】
この構成によると、半田接続部に半田付けする際の熱が貫通孔よりも長手方向中央側に伝わりにくくすることができる。これにより、半田接続部が温度上昇しやすくなるとともに、温度上昇した後も冷めにくくすることができる。すなわち、半田付けの作業性を高めることができる。
【0020】
前記電流補強部材は、長手方向両端に接続部材としての半田を接続するための半田接続部が設けられており、前記半田接続部以外は、絶縁層で覆われている、としてもよい。
【0021】
この構成によると、半田接続部以外が絶縁層で覆われていて、半田が付かないようになっているため、例えば、フロー半田付け方式で半田付けをする場合に、半田の使用量を削減することができる。
【0022】
本発明の第2態様では、プリント回路装置は、第1態様に記載されたプリント回路基板に複数の電子部品が実装されたものであり、前記プリント回路基板の2つの端子は、前記回路パターン上において、それぞれ、互いに異なる前記電子部品の部品端子に接続されていることを特徴とする。
【0023】
この構成によると、第1態様と同様に、入出力端子間における電流容量を十分に確保することができる。さらに、互いに異なる形状及び長さを有する回路パターンに対して、共通の電流補強部材を使用することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、入出力端子間において主電流補強部材を電流路方向に沿って並べて配置し、そちらにも電流が流れるようにしたので、入出力端子間(電子部品の部品端子間)における電流容量を十分に確保することができる。さらに、互いに異なる形状及び長さを有する回路パターンに対して、共通の電流補強部材を使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0027】
図1は実施形態に係るプリント回路装置Aを基板の裏面側から見た概略構成図である。また、
図2は、
図1のII−II線における概略断面図であり、
図3は同III−III線における概略断面図、
図4は同IV−IV線における概略断面図である。なお、
図1において、後述する電流補強板50や端子13cと回路パターン11との間を接続する半田42は図示しないものとする。他のプリント回路装置Aを基板の表裏面から見た概略構成図についても同様である。また、断面図(
図2〜
図4)では、回路パターン11について具体的な図示を省略し、回路パターン11が形成されている領域(配線層部分)に対してハッチングを付している。
【0028】
図1及び
図2に示すように、プリント回路装置Aは、プリント回路基板1と、プリント回路基板1に実装されたICや受動素子等の電子部品30とを備えている。なお、電子部品30は、プリント回路基板1の片方の表面に実装されていてもよいし、両表面に実装されていてもよい。本開示において、プリント回路装置Aとは、プリント回路基板1に電子部品30等が実装された状態のものを指すものとする。
【0029】
プリント回路基板1は、少なくとも一方の表面に回路パターン11が形成されたプリント配線基板10を備えている。なお、以下の説明では、プリント配線基板10は、表裏面に回路パターン11が形成されているものとして説明する。
【0030】
プリント配線基板10は、配線層10aと絶縁層10bとが交互に積層された積層構造を有する。
図2では、4層構造のプリント配線基板10の例を示している。配線層10aは、例えば銅箔で形成されており、各配線層10aでは、エッチング等により回路パターン11が形成されている。なお、プリント配線基板10の層数、絶縁層や配線層の材質は、特に限定されない。
【0031】
プリント配線基板10には、異なる配線層10aの回路パターン11同士を互いに接続するための複数のスルーホール12が貫通形成されている。また、プリント配線基板10の表裏面における回路パターン11上及びスルーホール12の内壁には、メッキ皮膜10cが連続一体的に形成されている。このメッキ皮膜10cにより、異なる配線層10aの回路パターン11同士が接続されている。
図2及び
図6では、メッキ皮膜10cにより基板表面の回路パターン11と基板裏面の回路パターン11とがメッキ皮膜10cにより接続されている例を示している。銅箔及びメッキ皮膜10cの厚さは、特に限定されず、従来技術と同程度の厚さを有していればよい。具体的には、例えば15〜40μm程度である。なお、説明の便宜上、
図1では紙面直交方向の手前側の面を裏面とし、図示されてない紙面直交方向の奥側の面を表面とする。同様に、
図2及び
図6では、図面上側の面を表面とし、図面下側の面を裏面とする。ただし、本開示において、プリント配線基板10及びプリント回路基板1の表裏面における実装の態様は、特に限定されるものではないため、表裏が反対であってもよく、同様の効果が得られる。
【0032】
上記複数のスルーホール12の中から選択された所望のスルーホール12には、電流容量を補強する観点から、導電性の電流補強部材20が取り付けられている。
図5に示すように、電流補強部材20は、スルーホール12に間隙を空けて遊嵌された中空円筒状の本体部21と、本体部21の長手方向(基板厚さ方向)の一方の端部から周方向外側に向かって一体的に突設された係止部22とを備えている。本明細書において「遊嵌される」とは、スルーホール12と電流補強部材20の本体部21との間に遊び(間隔)がある状態で嵌められることである。なお、スルーホール12と本体部21との間の間隙の大きさは特に限定されず、回路パターン11と本体部21とが半田付けできる大きさに設定されていればよい。
【0033】
より具体的には、電流補強部材20の本体部21は、中空円筒状であり、平面視に係る外径がスルーホール12の孔径よりも若干小さくなっている。これにより、電流補強部材20は、スルーホール12に間隙を空けて遊嵌される。また、汎用の装置で作成したプリント配線基板10に対しても、後付けで電流補強部材20を取り付けることができる。すなわち、所望のスルーホール12の電流容量を事後的に補強することができる。21aは、本体部21の中空部を示している。
【0034】
なお、本体部21には、長手方向の全体にわたって延びるスリット21bが形成されている。このようなスリット21bを形成することにより、半田42がスルーホール12内に導かれやすくなり、電流補強部材20とスルーホール12の内壁に形成されたメッキ皮膜10cとの接触面積を増やすことができる。具体的には、例えば、電流補強部材20をスルーホールに取り付けた後に、プリント配線基板10の裏面側からフロー半田付け方式で半田付けをする場合に、半田42がスルーホール内に導かれやすくなる。これにより、スルーホール12の電流容量の補強効果を高めるとともに、接続安定性を高めることができる。
【0035】
電流補強部材20の係止部22は、例えば、電流補強部材20をプリント配線基板10の表面側から取付けした際に、プリント配線基板10の表面と接触する。これにより、電流補強部材20と回路パターン11との半田付けの際に電流補強部材20がプリント配線基板10から抜け落ちないようにしている。上記の接触状態にした後、係止部22は、回路パターン11に半田付けされる。すなわち、係止部22は、プリント配線基板10に係止でき、かつ回路パターン11との接続固定できるように構成されていればよく、その具体的な形状は特に限定されない。ただし、係止部22は、回路パターン11との接触面積を確保して接続安定性を高める観点、及び汎用の吸着方式の部品実装装置での実装を可能にする観点から、平板であるのが望ましい。係止部22が平板であれば、汎用の部品実装装置で係止部を吸着し、電流補強部材20をスルーホール12に取り付けることができる。
【0036】
プリント配線基板10の裏面には、回路パターン11のうちの大きな電流を流すための回路パターン11(以下、説明の便宜上、大電流パターン13と称する)が形成されている。大電流パターン13は、
図1の上下方向及び左右方向に延びる略L字状の配線である。具体的には、大電流パターン13は、プリント配線基板10の裏面において、互いに直交する方向に延びる2つの主配線13aと、2つの主配線13aの間を接続する接続配線13bとによって構成されている。接続配線13bは、主配線13aの延びる方向に対して両主配線13aの先端部から内側に向かって傾斜する斜め方向(
図1では斜め右上がりの方向)の配線である。
【0037】
図1では、大電流パターン13の両端部には、メッキ皮膜10cが施されたスルーホール12が形成されており、それぞれが端子13cを構成している。大電流パターン13の一方の端子13c(
図1の左斜め下側の端子13c)には、電子部品30(
図2参照)の一方の部品端子31が接続されている。電子部品30の他方の部品端子31は、スルーホール12を介して大電流パターン13とは異なる回路パターン(例えば、大きな電流が流れる回路パターン)11に接続されている。同様に、大電流パターン13の他方の端子13c(
図1の右斜め上側の端子13c)には、上記電子部品30と異なる電子部品(図示省略)の部品端子31が接続されている。なお、大電流パターン13に接続される電子部品の機能や種別は特に限定されない。例えば、電子部品として、抵抗素子や容量素子等に代表される受動素子、フリップフロップ等の能動素子、IC、端子台、コネクタ等がある。
【0038】
上記2つの端子13cの間には、電流補強板50が電流路方向に沿って並んで3列の列をなすように配置されている。具体的には、電流補強板50は、それぞれの列において、電流路方向において互いに所定の隙間をあけて並べて配置されている。同様に、各列間で隣接する電流補強板50の間にも、所定の隙間が設けられている。電流路方向及び流路直交方向に隣接する電流補強板50間における所定の隙間の大きさは、特に限定されないが、例えば、各電流補強板50のプリント配線基板10への実装に際して相互間に必要なクリアランスや、電流補強板50を大電流パターン13に半田付けするために必要なクリアランスに基づいて設定するのが望ましい。例えば、接続部材が半田の場合において、電流補強板の厚さが数百μm〜2mm程度の場合、半田付けを行うためにクリアランスとして1mm以上確保するのが望ましい。
【0039】
なお、本開示では、大電流パターン13に設けられた2つの端子13c間において電流が流れる方向を電流路方向と呼ぶものとする。例えば、
図1において、プリント回路装置Aに通電された場合において2つの端子13cの間で電流が流れるときには、大電流パターン13の配線に沿う方向が電流路方向である。なお、電流路方向とは、厳密に電流の流れる方向である必要はなく、大電流パターン13において電流が流れる方向に沿っている方向を指すものとする。したがって、電流補強板50が電流路方向に沿って並べて配置されているとは、例えば、並べられた電流補強板50の一部が、列を構成する他の電流補強板50との間で、電流路方向と直交する流路直交方向に少しずれて配置されているものや、並べられた電流補強板の一部が電流の流れる方向から少し傾いて配置されているもの等を含む概念である(変形例で説明する
図7〜
図9参照)。
【0040】
また、電流路方向及び流路直交方向に隣接する電流補強板50間における所定の隙間の大きさは、特に限定されないが、電流容量を確保する観点から、必要なクリアランスを確保しつつ、隣接する電流補強板50間の隙間が小さくなるように近接して配置されるのが好ましい。さらに、上記の隣接する電流補強板50間の隙間が、隣接する電流補強板50の側壁間を半田42により接続できるような大きさであってもよい。
【0041】
例えば、
図3及び
図4では、流路直交方向に隣接する電流補強板50間を半田42により接続した例(電流補強板50間に半田を充填させた例)を一点鎖線で示している。これにより、半田42の分の電流容量を増やすことができる。フロー半田付け方式により半田付けした場合に、このような半田状態になる場合がある。なお、上記のように隣接する前記電流補強板50間を半田で接続する場合、特定の隣接する電流補強板間が導電性の接続部材で接続されているというのであってもよく、同様の効果が得られる。
【0042】
電流補強板50の具体的な形状は特に限定されないが、電流補強板50を配置したときに、隣接する電流補強板50間に上記クリアランスとして必要な隙間を大きく超えるような隙間が生じにくい形状であるのが望ましい。
【0043】
例えば、大電流パターン13が
図1のように曲がっている部分を含む形状の場合、電流補強板50は、電流路方向の長さが流路直交方向よりも長くかつ角が取れた多角形状や、電流路方向の長さが流路直交方向よりも長い長円形状や楕円形状であるのが好ましい。そうすることで、電流補強板50、接続部材(例えば半田)及び大電流パターン13を加えた配線部全体として見た場合の断面積を効率的に高めることができる。なお、
図1では、電流補強板50が、長方形の矩形板状の4隅を三角形状に切り欠いた八角形の平板であり、幅方向と長手方向との比が概ね1:3程度である場合の例を示している。
【0044】
なお、電流補強板50の幅方向と長手方向との比は、図示したサイズ比に限定されず、任意に設定することができる。例えば、電流補強板50の幅方向に対する長手方向の長さの比率を
図1程度にすることにより、同じ形状の電流補強板50を並べる場合における対応可能な回路パターンの形状のバリエーションが増えるメリットがある。すなわち、電流補強板50の汎用性が高まり、部品の共通化ができるのでコストが削減できるメリットがある。例えば、
図1では同一形状の電流補強板50を配置している例を示している。
【0045】
一方で、詳細は後述する変形例で説明するが、電流補強板50の幅方向に対する長手方向の長さの比率を
図1より大きくすることにより、必要な電流補強板50の数を削減することができるメリットがある。
【0046】
また、電流補強板50の大きさや板厚についても特に限定されるものではなく、例えば、大電流パターン13の幅や、必要な電流容量の大きさに応じて適宜設定すればよい。また、例えば、電流補強板50の幅及び長さを、汎用の実装装置で実装できるようなサイズに基づいて設定してもよいし、他の電子部品のサイズに応じた値に設定してもよい。
【0047】
次に、
図6を参照してプリント回路装置Aの製造方法について詳細に説明する。
【0048】
まず、
図6(b)に示すような4層の配線層10aが形成されたプリント配線基板10を用意する。プリント配線基板10は、
図6(a)で示すように、4層の配線層10aが形成された基板に、ドリルやレーザー加工等によりスルーホール12を形成し、プリント配線基板10の表裏面における回路パターン11上及びスルーホール12の内壁にメッキ皮膜10cを形成することにより得られる。
【0049】
次に、大電流パターン13に形成されたスルーホール12に対して、表側または裏側から電流補強部材20を挿入し、挿入方向手前側の面に形成された回路パターン11と係止部22とを半田付けする。
図6(c)では、プリント配線基板10の表側から電流補強部材20を挿入し、係止部22をプリント配線基板10の表面の回路パターン11に半田付けしている例を示している。半田付けの方法は、特に限定されないが、例えば、導電性の接続部材としてのクリーム半田41を用いて、リフロー半田付け方式により回路パターン11に接続固定することができる。なお、導電性の接続部材は、半田に限定されず、他の接続部材を用いてもよい、実施形態内の他の説明においても同様である。
【0050】
次に、
図1及び
図6(d)に示すように、大電流パターン13に電流補強板50を実装する。具体的には、耐熱性の接着剤等を用いて大電流パターン13上の所定の位置に電流補強板50を並べて貼り付ける。また、プリント配線基板10の表側から、電流補強部材20の本体部21の中空部21aを介して電子部品30の部品端子31を挿入し、プリント配線基板10の裏側から半田付けする。半田付けの方法は、特に限定されないが、例えば、半田42を溶融して収容した加熱槽40を用いたフロー半田付け方式により回路パターン11に接続固定することができる。このようにして、プリント回路装置Aを得ることができる。
【0051】
以上のように、本実施形態に係るプリント回路基板1及びプリント回路装置Aは、電流路方向に沿って電流補強板50を並べて配置することにより、大電流パターン13、電流補強板50及び半田42を含む導体領域(断面積)を増やすことができ、2つの端子13c間における電流容量を確保することができる。また、電流補強板50を3列に並べているので、1列の場合と比較して上記導体領域を増やすことができる。このように、必要な電流容量に応じて電流補強板50の列数を増減することができる。
【0052】
さらに、3列に並んで配置された電流補強板50のうちの1列の電流補強板50と、その側方に隣接する電流補強板50との関係において、流路直交方向から見たときに、一方の列に属する電流補強板50間の隙間全体に重なるように他方の列に属する電流補強板50を配置している。このように、それぞれの列における電流補強板50の隙間を他の列の電流補強板50で補完することにより、電流路方向の全体にわたって上記導体領域のばらつきを減らすことができるようになる。すなわち、電流路方向の全体にわたってより安定的に電流容量を高めることができる。
【0053】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、以下の変形例及びその他の実施形態に示すような種々の改変が可能である。なお、各変形例及びその他の実施形態では、主に上記の実施形態との相違点について詳細に説明する。
【0054】
−変形例1−
図7は、変形例1に係るプリント回路装置Bを基板の表面側から見た概略構成図である。本変形例1では、プリント配線基板10の表面に大電流パターン13が形成されると共に、電子部品30が実装されている。具体的には、大電流パターン13は、L字状であり、互いに直交する方向に延びる2つの主配線13aによって構成されている。
【0055】
図1(実施形態)と同様に、大電流パターン13の両端部には、端子13cが設けられている。一方の端子(
図7の左斜め下側の端子13c)には、表面実装型の電子部品30の一方の部品端子31が接続されている。電子部品30の他方の部品端子31は、大電流パターン13とは異なる回路パターン11に接続されている。同様に、大電流パターン13の他方の端子13c(
図7の右斜め上側の端子13c)には、電子部品30としての端子台(以下、端子台30という)が接続されている。端子台30には、4つの部品端子31が設けられており、この4つの部品端子31が大電流パターン13と接続され、その接続部分により端子13cが構成されている。このように、本開示における端子13cとは、大電流パターン13における電流の出入口を指しており、1つの点である必要はない。他の説明においても同様である。
【0056】
また、本変形例に係る電流補強板51は、長方形の矩形板状の4隅を矩形状に切り欠いた形状である。換言すると、電流補強板51は、矩形状の平板の幅方向中央部分から矩形状の突起が凸字状に突設された形状である。この突設部分を、半田付けするための半田接続部51aとしてもよい。例えば、リフロー半田方式で表面側の半田付けをする場合には、半田接続部51a(突設部)にのみが半田付けされるようにしてもよい。具体的には、後述する
図9及び
図10のように、半田接続部51a以外を絶縁皮膜で覆うことで実現できる。これにより、半田の使用量を削減しつつ、半田と基板との接続長を確保することができる。
【0057】
図7では、電流補強板51が、電流路方向に沿って並んで2列の列をなすように配置されている例を示している(
図7の実線参照)。また、流路直交方向から見たときに、隣の列と半田接続部51a同士が重なるように配置している。これにより、電流路方向の全体にわたって導体領域の断面積のばらつきを減らすことができるようになる。なお、
図7の実線で示された電流補強板51を1列とみなしてもよい。すなわち、
図7の実線で示された電流補強板51も、電流路方向に沿って互いに隙間をあけて並んで列をなしている。なお、
図7では、仮想線により、電流補強板51の列に加えて、一列(電流補強板52の列)増やした例を示している。
図7において、52aは半田接続部を示している。
【0058】
本開示に係る技術は、本変形例のように表面実装型の回路構成においても適用が可能である点に特徴がある。すなわち、大電流パターン13と同じ面のみで電流容量の補強ができるため、特許文献1に係る技術と比較して、大電流パターン13の形成面と対向する面(
図7では裏面)における回路設計の自由度が増す。具体的には、特許文献1のような技術では、両面に大電流パターン13と同電位の回路パターンを用意する必要があるが、本変形例1及び次の変形例2ではその必要がない。
【0059】
−変形例2−
図8は、変形例2に係るプリント回路装置Cを基板の表面側から見た概略構成図である。本変形例では、形状の異なる電流補強板53,54が実装されている例を示している。なお、本変形例2では、
図7(変形例1)と同様に、プリント配線基板10の表面に大電流パターン13及び電子部品30が実装されている。また、大電流パターン13の形状は、
図1(実施形態)と同様である。
【0060】
具体的には、
図8では、2つの主配線13a及び接続配線13bの辺の長さと同じような長さを有する電流補強板53(以下、主電流補強板53ともいう)が、電流路方向に沿って並んで列をなすように配置されている。また、隣接する主電流補強板53の間に設けられた各隙間の内側には、それぞれ、流路直交方向から見たときに、主電流補強板53間の隙間全体に重なるように、電流補強板54(以下、側方電流補強板54ともいう)が配置されている。本変形例では、主電流補強板53と比較して側方電流補強板54が短い例を示している。このように、プリント回路基板1を構成する電流補強板53,54の長さがそれぞれに異なっていてもかまわない。同じ列を構成する電流補強板53についても同様であり、長さの異なる電流補強板で一列を構成してもよい。ただし、共通サイズの電流補強板を用いる場所を増やすことで、作業性が向上して製造コストが削減できるとともに、部品コストを削減することができる。
【0061】
さらに、本変形例2に係る電流補強板53,54には、変形例1と同様に、長手方向の両端部に半田付けするための半田接続部53a,54aが設けられるとともに、半田接続部53a,54aの長手方向中央側に板厚方向に貫通する熱拡散防止孔53b,54bが形成されている。これにより、半田接続部53a,54aに半田付けする際の熱が熱拡散防止孔53b,54bにより遮断され、熱が熱拡散防止孔53b,54bよりも長手方向中央側に伝わりにくくなっている。これによりに、半田接続部53a,54aが温度上昇しやすくなる一方で温度上昇した後は冷めにくくなるため、半田付けの作業性を高めることができる。
【0062】
−変形例3−
図9は、変形例3に係るプリント回路装置Dを基板の裏面側から見た概略構成図である。なお、本変形例3では、
図1(実施形態)と同様に、プリント配線基板10の表面に電子部品が実装され、プリント配線基板10の裏面に大電流パターン13が形成されている。また、
図7(変形例1)と同様に、大電流パターン13の形状がL字状であり、その大電流パターン13に電流補強板55,56が実装されている。
【0063】
具体的には、
図9では、大電流パターン13の各主配線13a上における外側寄りの部分には、それぞれの主配線13aに沿って延びる電流補強板55(以下、主電流補強板55ともいう)が実装されている。また、電流路方向において直交する主電流補強板55の間の隙間部分には、主電流補強板55よりも長手方向の長さが短い電流補強板56(以下、側方電流補強板56ともいう)が複数個配置されている。この複数の側方電流補強板56は、電流路方向に沿って主電流補強板55間に設けられた隙間に対して、流路直交方向から見たときに、その隙間全体に重なるように配置されている。
【0064】
さらに、本変形例3に係る電流補強板55,56には、半田量を削減する観点から、長手方向の両端部に設けられた半田付けのための半田接続部55a,56a以外の中間部55b、56b(
図9の斜線参照)が絶縁性の皮膜で覆われている。
【0065】
なお、
図9に示すように、電流補強部材55,56は、すべて大電流パターン13上に重なっている必要はなく、電流補強部材55,56の一部が大電流パターン13の外側に突き出していてもかまわない。
【0066】
また、図示を省略するが、主電流補強板55と側方電流補強板56との厚さが異なっていてもよいし、複数枚を重ねた積層体としてもよい。例えば、同じ厚さの主電流補強板55を複数枚重ねて積層体としてもよい。主電流補強板55を積層する場合、例えば、各層をなす主電流補強板55の中間部55b、56b間(絶縁性皮膜間)を耐熱性の接着剤等で貼り付けした後、すべての層を構成する主電流補強板55の半田接続部55a間を一括して半田付けすればよい。
【0067】
−その他の実施形態−
なお、上記に説明した実施形態及び各変形例は組み合わせることが可能である。例えば、
図1に記載した電流補強板50に代えて、
図7、
図8及び
図9に図示した形状、形態の電流補強板を適用してもよく、同様の効果が得られる。また、
図10に示すように、
図1に記載した電流補強板50の台形状の先端部を半田付けするための半田接続部50aとし、それ以外の長手方向の中間部50bを絶縁性の皮膜で覆うようにしてもよい。また、図示を省略するが、半田接続部50aの近傍(長手方向の中央側)に、熱拡散を防止するための熱拡散防止孔を貫通形成してもよい。
【0068】
また、これまでの説明では、電流補強板が、電流路の略全体にわたって配置されている例を示しているが、電流補強板が電流路方向に沿って電流路の一部分にのみ配置され、その部分の電流容量を補強するような構成であってもよい。詳細は、図示しないが、例えば、大電流パターン13が、幅広の配線と、他の素子との関係で幅狭となる配線との組み合わせである場合に、幅狭の配線部分にのみ電流補強板を配置するようにしてもよい。
【0069】
また、これまでの説明では、大電流パターン13の端子13cが大電流パターン13の両端部に設けられている例について説明したが、大電流パターン13の中間位置に端子13cが設けられていてもよく、端子13cが3つ以上であってもよい。この場合においても、端子13c間の電流路方向に沿って電流補強板を配置することで、同様の効果を得ることができる。