(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シーソー部材の可動領域内に上下方向および左右方向の限界値を規定し、当該限界値を超える前記ロボットアームの動作を規制するように構成された第1の動作規制部材を更に備える、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート駆動装置。
前記シーソー部材の可動領域内に前後方向の限界値を規定し、当該限界値を超える前記ロボットアームの動作を規制するように構成された第2の動作規制部材を更に備える、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート駆動装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の構成では、ロボット用に閉鎖式走行軌道を備えているため、装置が大掛かりになる。また、ロボットハンドで乗客運搬器を保持するため、大きなロボットが必要である。このため、生産コストが増大し、実用的ではない。このような課題はシートを駆動するシート駆動装置に共通する。
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、小規模且つ簡単な構成で実現可能なシート駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のある形態に係るシート駆動装置は、複数の関節を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に連結された乗客用シートと、前記乗客用シートの荷重を支える支持機構と、を備える。
【0007】
上記構成によれば、ロボットアームの先端のシートに乗客を乗せ、ロボットアームを動作させることにより、様々な方向の動きをシートに加えることができる。また、支持機構により、シートの荷重を支えることにより、動作時にアームの先端に加わる荷重を小さくすることができ、比較的小さなロボットアームを使用することができる。
【0008】
前記支持機構は、一方の端に前記ロボットアームの先端が連結され、且つ、他方の端に前記乗客用シートが連結されたシーソー部材と、前記シーソー部材を支持する支持部材と、を備え、前記支持部材は、ボールジョイント又は二軸の回転ジョイントを有し、前記シーソー部材の支点を中心に当該シーソー部材を回動可能に支持してもよい。
【0009】
上記構成によれば、シーソー部材の一端にロボットアームの先端が連結され、他端にシートが連結されているので、ロボットアームの先端の上下の動作に連動して、シーソー部材は支点を中心に回動しながら揺動することができる。
【0010】
前記シーソー部材は、前記支点と前記シートの位置との間の距離を変更可能に構成されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、シーソー部材の支点とシートの位置との間の距離を変更することにより、ロボットアームの先端に加わる荷重を調整することができる。例えばシーソー部材の支点から近いところに作用点(シートの先端の位置)を配置することにより、小さなロボットアームを使用することができる。
【0012】
前記支持機構は、前記シーソー部材と前記シートとの間に連結された平行リンク機構を更に備え、前記支持部材は、前記平行リンク機構の支点を中心に当該シーソー部材を回動可能に支持してもよい。
【0013】
上記構成によれば、平行リンク機構を備えているので、シートが連結されたシーソー部材の揺動及び回動に加え、上下動作が可能になる。
【0014】
前記支持機構は、所定の位置に設けられ、前記支持部材を前記所定の位置に対して前後方向および左右方向にスライド可能に構成されたスライド機構を更に備えてもよい。
【0015】
上記構成によれば、スライド機構により、ロボットアームの先端の前後左右の動作に連動して、シートが連結されたシーソー部材の支点を支える支持部材が前後左右に移動する。また、ロボットアームの先端の左右の動作に連動して、シートが連結されたシーソー部材の支点を支える支持部材が左右に移動するので、シートの動作範囲が拡大することができる。
【0016】
上記シート駆動装置は、前記シーソー部材の可動領域内に上下方向および左右方向の限界値を規定し、当該限界値を超える前記ロボットアームの動作を規制するように構成された第1の動作規制部材を更に備えてもよい。
【0017】
また、上記シート駆動装置は、前記シーソー部材の可動領域内に前後方向の限界値を規定し、当該限界値を超える前記ロボットアームの動作を規制するように構成された第2の動作規制部材を更に備えてもよい。
【0018】
上記構成によれば、動作規制部材により、シーソー部材の可動領域内に規定された限界値を超えるロボットアームの動作を規制することができる。尚、ロボット制御によってもシーソー部材(レバー)の可動領域に制限を設けることが可能であるが、動作規制部材によってもこの制限を担保することができる。第1の動作規制部材として、例えば門型のフレームを構成することにより、シーソー部材の可動領域内に上下方向および左右方向の限界値を規定してもよい。
【0019】
また、第2の動作規制部材として、例えば、上記スライド機構に前後方向の動きを規制する規制部材(ストッパー等)を設けることにより、シーソー部材の可動領域内に前後方向の限界値を規定してもよい。
【0020】
前記支持機構は、所定の位置に固定して配置されたプレート部材と、前記プレート部材に対して前記シートを弾性支持するように構成された弾性部材と、を備えてもよい。
【0021】
上記構成によれば、弾性部材(例えばバネまたはガススプリング)により、シートが弾性支持されているので、ロボットアームの動作に連動して、シートはプレート部材に対して前後左右および上下に移動する。ロボットアームの動作に必要な力は、弾性部材を変形させる僅かな力でよい。また、プレート部材は所定の位置に固定されているので、弾性変形に伴うシートの動作範囲を規制することができる。
【0022】
前記支持機構は、一方の端に前記ロボットアームの先端が連結され、且つ、他方の端に前記乗客用シートが連結されたシーソー部材と、前記シーソー部材の可動領域内に上下方向および左右方向の限界値を規定し、当該限界値を超える前記ロボットアームの動作を規制するように構成された動作規制部材と、前記動作規制部材に設けられ、当該動作規制部材に対して前記シーソー部材の支点を弾性支持する弾性部材と、を備えてもよい。
【0023】
上記構成によれば、動作規制部材にシーソー部材の支点を弾性支持する弾性部材が設けられているので、シーソー部材が支点を中心に回動しながら揺動するとともに、ロボットアームの上下左右の動作を規制することができる。また、シーソー部材は弾性部材により弾性支持されているので、ロボットアームの前後の動作に対してシートの前後方向の動作範囲を規制することができる。
【0024】
上記シート駆動装置は、乗客に映像を表示するための映像表示装置を更に備えてもよい。
【0025】
上記構成によれば、乗客に映像を表示しつつ、映像に合わせてロボットアームを動かすことができる。視覚的な効果によって臨場感が高まる。例えばHMDに映像を表示してもよいし、大画面に表示してもよい。また、シミュレータとして利用することができる。
【0026】
前記ロボットアームは、6軸多関節型のロボットアームであってもよい。
【0027】
上記構成によれば、汎用の産業用ロボットを使用して上記シート駆動装置を実現することができる。
【0028】
また、前記シートは、乗り物の運転席を模した形状を有してもよい。
【0029】
前記シート駆動装置は娯楽用乗り物に使用されてもよい。
【発明の効果】
【0030】
本発明の娯楽用乗り物は、以上に説明した構成を有し、小規模且つ簡単な構成で娯楽用乗り物を実現することができる。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、以下では全ての図面を通じて同一または相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。また、図面は理解しやすくするために、それぞれの構成要素を模式的に示したものである。
【0033】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るシート駆動装置の全体の構成を示す図である。
図1に示すように、シート駆動装置100は、ロボットアーム1と、シート2と、支持機構3と、制御装置4を備える。本実施形態のシート駆動装置100は、テーマパークまたはアミューズメントパークに設置される娯楽用乗り物に使用される。
【0034】
ロボットアーム1は、複数の関節JT1〜JT6を有する多関節ロボットアームであって、複数のリンク111〜116が順次連結されて構成されている。ロボットアーム1は本実施形態では6軸多関節型のロボットアームである。より詳しくは、第1関節JT1では、床10に設置された基台110と、第1リンク111の基端部とが、鉛直方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第2関節JT2では、第1リンク111の先端部と、第2リンク112の基端部とが、水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第3関節JT3では、第2リンク112の先端部と、第3リンク113の基端部とが、水平方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第4関節JT4では、第3リンク113の先端部と、第4リンク114の基端部とが、第4リンク114の長手方向に延びる軸回りに回転可能に連結されている。第5関節JT5では、第4リンク114の先端部と、第5リンク115の基端部とが、第4リンク114の長手方向と直交する軸回りに回転可能に連結されている。第6関節JT6では、第5リンク115の先端部と第6リンク116の基端部とが、捻れ回転可能に連結されている。そして、第6リンク116の先端部にはメカニカルインターフェース(図示せず)が設けられている。
【0035】
シート2は、ロボットアーム1の先端に連結される。本実施形態では、シート2は、シート2の荷重を支える支持機構3を介してロボットアーム1の先端(第6リンク116)に連結される。シート2には、1又は2以上の乗客が着座するためのイスが設けられる。また、シート2には、ロボットアーム1の動作時に着座した乗客を保持するためのシートベルト等の保持具(図示せず)が設けられている。
【0036】
支持機構3は、シート2の荷重を支える。
図2は、支持機構3の構成を示す模式図である。
図2(a)は支持機構3の側面図である。
図2(b)は支持機構3を上から見た平面図である。
図2(c)は、ロボットアーム1の先端から見たシート2の背面図である。以下では、方向の概念はシート2のイスに着座した乗客Pから見る方向を基準とする。同図のシート2には、一人の乗客Pが乗っている。
図2に示すように、支持機構3は、シーソー部材30と、支持部材31と、スライド機構32と、動作規制部材35とを備える。
【0037】
シーソー部材30は、一方の端にロボットアーム1の先端が連結され、且つ、他方の端にシート2が連結される。シーソー部材30は、前後方向に延在された平板形状を有し、水平な状態で揺動可能に支持される。
【0038】
支持部材31は、シーソー部材30を支持する。本実施形態では、支持部材31は、ボールジョイント31aおよび補強部材としてのバネ部材31bを有して構成される。支持部材31は、シーソー部材30の支点を中心に当該シーソー部材30を回動可能に支持する。尚、ボールジョイント31aに代わりに、二軸の回転ジョイントを用いてもよい。
【0039】
スライド機構32は、床10に設けられ、支持部材31を床10に対して前後方向および左右方向にスライド可能に構成される。具体的には、スライド機構32は、支持部材31が上面に連結された第1プレート部材32aと、第1プレート部材32aの下側に配置された第2プレート部材32bと、第2プレート部材32bの下側に配置され、床10の上の所定の位置に固定して配置された第3プレート部材32cと、第1プレート部材32aおよび第2プレート部材32bの間に設けられた第1スライド部材32dと、第2プレート部材32bおよび第3プレート部材32cの間に設けられた第2スライド部材32eと、を備える。第1スライド部材32dは、第1プレート部材32aを第2プレート部材32bに対して左右方向(第1方向)にスライド可能に構成される。第1スライド部材32dは、第2プレート部材32bの上面に左右方向に設けられた直線状のレールと、第1プレート部材32aの下面に設けられたブロックとで構成される。レール上をブロックがスライドすることで第1プレート部材32aの左右方向の直線運動がガイドされる。第2スライド部材32eは、第2プレート部材32bを第3プレート部材32cに対して前後方向(第2方向)にスライド可能に構成される。第2スライド部材32eは、第3プレート部材32cの上面に前後方向に設けられた直線状のレールと、第2プレート部材32bの下面に設けられたブロックとで構成される。レール上をブロックがスライドすることで第2プレート部材32bの前後方向の直線運動がガイドされる。
【0040】
動作規制部材35は、シーソー部材30の可動領域内に上下方向および左右方向の限界値を規定し、当該限界値を超えるロボットアーム1の動作を規制するように構成される。動作規制部材35は、門型のフレームで構成されている(
図2(c)参照)。本実施形態では限界値は上下方向および左右方向に長方形状に設定される。尚、ロボット制御によってもシーソー部材30の可動領域に制限を設けることが可能であるが、動作規制部材35によってもこの制限が担保される(第1の動作規制部材)。
【0041】
第3プレート部材32cの上面に前後方向に設けられた直線状のレール(第2スライド部材32e)の両端にはブロックの動きを規制するストッパー33が設けられる(第2の動作規制部材)。これにより、シーソー部材30の可動領域内に前後方向の限界値が規定され、当該限界値を超えるロボットアーム1の動作を規制している。
【0042】
図3は、
図2のシート2の取付部21を示す模式図である。
図3(a)に示すように、シート2の下側に位置する取付部21はフランジ状に形成されている。締結部材36により、シート2の取付部21がシーソー部材30に取付けられる。本実施形態では、ボルト(締結部材36)が、シート2の取付部21のフランジ部分に設けられた貫通孔22と、シーソー部材30に設けられた取付孔37とに挿入される。
【0043】
シーソー部材30に取付孔37は、
図3(b)に示すように、前後に複数設けられている。シート2の取り付け位置を前後に調整することができる。シーソー部材30の支点とシート2の位置との間の距離Sを変更することができる。ロボットアーム1の先端に加わる荷重を調整することができる。
図3(b)に示すように、シーソー部材30の支点から近いところに作用点(シートの先端の位置)を配置することにより、小さなロボットアーム1を使用することができる。
【0044】
次に、シート駆動装置100の制御系の構成について説明する。
図4は、制御装置4(
図1参照)の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
図4に示すように、制御装置4は、CPU等の演算部4aと、ROM、RAM等の記憶部4bと、サーボ制御部4cと、操作部(図示せず)と、を備える。制御装置4は、例えばマイクロコントローラ等のコンピュータを備えたロボットコントローラである。なお、制御装置4は、集中制御する単独の制御装置4によって構成されていてもよいし、互いに協働して分散制御する複数の制御装置4によって構成されていてもよい。
【0045】
記憶部4bには、ロボットコントローラとしての基本プログラム、各種固定データ等の情報が記憶されている。演算部4aは、記憶部4bに記憶された基本プログラム等のソフトウェアを読み出して実行することにより、ロボットアーム1の各種動作を制御する。すなわち、演算部4aは、ロボットアーム1の制御指令を生成し、これをサーボ制御部4cに出力する。サーボ制御部4cは、演算部4aにより生成された制御指令に基づいて、ロボットアーム1の各関節J1〜J6に対応するサーボモータの駆動を制御するように構成されている。また、本実施形態では、シート駆動装置100は、乗客に映像を表示するための映像表示装置5を更に備えている。映像表示装置5は例えばヘッドマウントディスプレイ(以下、HMDともいう)でもよいし、大きな画面の表示装置でもよい。演算部4aは、プログラムに従って、映像表示装置5に映像信号を出力するとともに、サーボ制御部4cにモータの制御指令を出力する。また、後述するように、シート2が乗り物の運転席を模した形状を有し、シート駆動装置100が乗り物のシミュレータ機能を有してもよい(
図11参照)。
【0046】
次に、シート駆動装置100の運転について
図5を用いて説明する。運転に先立って、シート駆動装置100のシート2に乗客が乗り込む。例えば運転員は乗客が安全に乗り込んだことを確認して、シート駆動装置100の運転を開始する。制御装置4は、プログラムに従って、ロボットアーム1を動作させることにより、様々な方向の動きをシート2に加える。また、制御装置4は、ロボットアーム1の動きに連動して、映像表示装置5(例えばHMD)に映像を表示する。
【0047】
図5(a)は、ロボットアーム1の先端を前後方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図5(a)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30の後端が後方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、スライド機構32(
図2の第2スライド部材32e)によって、シーソー部材30を支える支持部材31が後方向にスライドする。これに連動して、シーソー部材30の前端のシート2も後方向(同図の矢印方向)に移動する。このように、ロボットアーム1の先端の前後の動作に連動して、シーソー部材30の支点を支える支持部材31が前後に移動するので、シーソー部材30の前端に位置するシート2は前後方向に移動する。
【0048】
図5(b)は、ロボットアーム1の先端を上下方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図5(b)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30の後端が下方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、シーソー部材30の支点を支える支持部材31が回動する(同図の矢印方向)。これに連動して、シーソー部材30が揺動する。その結果、シーソー部材30の前端のシート2が上方向に移動する。このように、ロボットアーム1の先端の上下の動作に連動して、シーソー部材30は、支点を中心に回動しながら揺動するので、シーソー部材30の前端のシート2は上下方向に移動する。
【0049】
図5(c)は、ロボットアーム1の先端を左右方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図5(c)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30が左方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、シーソー部材30の支点を支える支持部材31が回動する(同図の矢印方向)。これに連動して、シーソー部材30の前端のシート2が左に傾斜する。このとき、スライド機構32(
図2の第1スライド部材32d)によって、シーソー部材30を支える支持部材31は左方向にスライドする。このように、ロボットアーム1の先端の左右の動作に連動して、シーソー部材30の支点を支える支持部材31が左右に移動するので、シーソー部材30の前端のシート2は左右方向に移動する。
【0050】
従って、本実施形態によれば、ロボットアーム1の先端のシート2に乗客Pを乗せ、ロボットアーム1を動作させることにより、様々な方向の動きをシート2に加えることができる。乗客Pを楽しませることができる。また、支持機構3により、シート2の荷重を支えることにより、例えばロボットアーム1によってのみシート2を保持する構成と比べて、動作時にロボットアーム1の先端に加わる荷重を小さくすることができる。比較的小さなロボットアームを使用することができる。
【0051】
また、シーソー部材30の一端にロボットアーム1の先端が連結され、他端にシート2が連結されているので、ロボットアーム1の先端の上下の動作に連動して、シーソー部材30は支点を中心に回動しながら揺動するので、乗客をより楽しませることができる。
【0052】
更に、スライド機構32により、ロボットアーム1の先端の前後左右の動作に連動して、乗客用シートが連結されたシーソー部材の支点を支える支持部材が前後左右に移動するので、シートの動作範囲が拡大し、乗客をより楽しませることができる。
【0053】
また、シーソー部材30の支点とロボットアーム1の先端の位置との間の距離を変更することにより、ロボットアーム1の先端に加わる荷重を調整することができる。シーソー部材30の支点から離れたところに力点(ロボットアームの先端の位置)を配置することにより、小さなロボットアームを使用することができる。
【0054】
また、シート駆動装置100は、映像表示装置5を備えているので、乗客Pに映像を表示しつつ、映像に合わせてロボットアーム1を動かすことができる。視覚的な効果によって臨場感が高まる。
【0055】
また、ロボットアーム1には、6軸多関節型のロボットアームを用いることができるので、汎用の産業用ロボットを使用してシート駆動装置100を実現することができる。
【0056】
尚、本実施形態では、スライド機構32を備える構成としたが、スライド機構32を備えず、支持部材31を所定の位置(例えば床)に固定する構成でもよい。
【0057】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態のシート駆動装置の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と共通する構成の説明は省略し、相違する構成についてのみ説明する。
【0058】
図6は、第2実施形態に係る娯楽用乗り物の支持機構3Aの構成を示す模式図である。
図6に示すように、本実施形態では、支持機構3Aが、第1実施形態(
図2)と比べて、シーソー部材30とシート2との間に連結された平行リンク機構40を更に備える点が異なる。
【0059】
平行リンク機構40は、二本の平行な第1リンク40a及び第2リンク40b、これらのリンクの各々を回動可能に取り付けるための二本の平行な第3リンク40c及び第4リンク40dで構成される。第1リンク40aは、シーソー部材30の先端に連結され、第2リンク40bは、前記乗客用シートに連結される。第3リンク40cは、支持部材31に連結される。支持部材31(ボールジョイント)は、平行リンク機構40の支点を中心に当該シーソー部材30を回動可能に支持する。
【0060】
図7は、
図6のシート駆動装置の動作の一例を示す模式図である。
図7(a)は、ロボットアーム1の先端を前後方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図7(a)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30および平行リンク機構40が前方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、スライド機構32(
図2の第2スライド部材32e)によって、平行リンク機構40を支える支持部材31が前方向にスライドする。これに連動して、平行リンク機構40の前端のシート2も前方向に移動する。このように、ロボットアーム1の先端の前後の動作に連動して、シート2が連結されたシーソー部材30および平行リンク機構40の支点を支える支持部材31が前後に移動する。シート2は前後方向に移動する。
【0061】
図7(b)は、ロボットアーム1の先端を上方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図7(b)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30の後端が上方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、平行リンク機構40の各々が回動するとともに、平行リンク機構40の支点を支える支持部材31が回動する(同図の矢印方向)。その結果、平行リンク機構40の前端のシート2は下方向に移動する。
【0062】
図7(c)は、ロボットアーム1の先端を下方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図7(c)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30の後端が下方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、平行リンク機構40の各々が回動するとともに、平行リンク機構40の支点を支える支持部材31が回動する(同図の矢印方向)。その結果、平行リンク機構40の前端のシート2は上方向に移動する。
【0063】
図7(d)は、ロボットアーム1の先端を左方向に動作させたときの動作の一例を示す模式図である。
図7(d)に示すように、ロボットアーム1により、シーソー部材30に連結された平行リンク機構40が左方向(同図の矢印方向)に移動する。これに連動して、平行リンク機構40の支点を支える支持部材31が回動する(同図の矢印方向)。これに連動して、シーソー部材30の前端のシート2が左に傾斜する。このとき、スライド機構32(
図6の第1スライド部材32d)によって、シーソー部材30を支える支持部材31は左方向にスライドする。このように、ロボットアーム1の先端の左右の動作に連動して、シーソー部材30の支点を支える支持部材31が左右に移動するので、シーソー部材30の前端のシート2は左右方向に移動する。
【0064】
本実施形態によれば、平行リンク機構40を備えているので、シート2が第1実施形態による動作に加え、上下動作が可能になるので、乗客をより楽しませることができる。
【0065】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について説明する。本実施形態の娯楽用乗り物の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と共通する構成の説明は省略し、相違する構成についてのみ説明する。
【0066】
図8は、第3実施形態に係るシート駆動装置の支持機構3Bの構成を示す模式図である。
図8に示すように、本実施形態では、支持機構3Bが、第1実施形態(
図2)と比べて、所定の位置に固定して配置されたプレート部材50と、プレート部材50に対してシート2を弾性支持するように構成された弾性部材51と、を備える点が異なる。
【0067】
尚、本実施形態では弾性部材51はバネ部材であるが(
図8(a)参照)、ガススプリングでもよい(
図8(b)参照)。
【0068】
図9は、
図8のシート駆動装置の動作の一例を示す模式図である。
図9に示すように、弾性部材51により、シート2が弾性支持されているので、ロボットアーム1の動作に連動して、シート2はプレート部材50に対して前後左右および上下に移動する。ロボットアーム1の動作に必要な力は、弾性部材51を変形させる僅かな力でよい。また、プレート部材50は所定の位置(例えば床)に固定されているので、弾性変形に伴うシート2の動作範囲を規制することができる。
【0069】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態について説明する。本実施形態の娯楽用乗り物の基本的な構成は、第1実施形態と同様である。以下では、第1実施形態と共通する構成の説明は省略し、相違する構成についてのみ説明する。
【0070】
図10は、第4実施形態に係るシート駆動装置の構成を示す模式図である。
図10(a)は、娯楽用乗り物の構成を示す斜視図である。
図10(a)は、シート駆動装置の構成を示す斜視図である。
図10(b)は、ロボットアーム1の先端から見たシート2の背面図である。
図10に示すように、本実施形態では、支持機構3Cは、第1実施形態(
図2)と比べて、支持部材31とスライド機構32を備えておらず、その代りに、動作規制部材35に対してシーソー部材30の支点を弾性支持する弾性部材60を備える点が異なる。
【0071】
本実施形態によれば、動作規制部材35にシーソー部材30の支点を弾性支持する弾性部材60が設けられているので、シーソー部材30が支点を中心に回動しながら揺動するとともに、ロボットアーム1の上下左右の動作を規制することができる。また、シーソー部材30は弾性部材60により弾性支持されているので、ロボットアーム1の前後方向の動作を規制することができる。
【0072】
尚、上記実施形態では、シート2には、単に、乗客が着座するためのイスが設けられていたが、シート2が乗り物の運転席を模した形状を有してもよい。
図11は、シート2の第1の変形例を示している。
図11に示すように、本変形例では、シート2Aは、単車の運転席を模した形状を有する鞍乗り型のシートである。運転席には操作ハンドル20が設けられている。操作ハンドル20は、単車のハンドルを模した形状を有している。これにより、シート駆動装置は、映像表示装置5(
図4)と連動することにより、走行感覚が再現され、シミュレータ機能を実現することができる。同図では、走行感覚をより再現するための送風機80を備えている。ハンドル操作によってシート駆動装置の動作(例えばロボットアーム1の一部又は全ての関節)を制御可能に構成されていてもよい。
【0073】
尚、シート2Aの形状は単車の運転席を模した鞍乗り型に限らず、電車、自動車、船、飛行機、搭乗型ロボット等のその他の乗り物の運転席を模した形状でもよい。これにより、様々な乗り物のシミュレータ機能を実現することができる。
【0074】
尚、上記実施形態のシート2,2Aは、乗客Pが一人乗りであったが、これに限られない。
図12はシートの第2の変形例を示す平面図である。
図12に示すように、本変形例のシート2Bは、左右方向に幅が広くなっているので、二人の乗客Pが乗り込むことができる。本変形例では、第3プレート部材32cの上面に前後方向に設けられた直線状のレール(第2スライド部材32e)の両端にはブロックの動きを規制するストッパー33は設けられていない。その代り、シート2Bを支えるシーソー部材30の端部30aの左右方向の幅は、動作規制部材35の門型のフレームの左右方向の幅よりも大きい。これにより、シーソー部材30の可動領域内に後ろ方向の限界値が規定され、当該限界値を超えるロボットアーム1の後ろ方向の動作が規制される。また、ロボットアーム1の先端は動作規制部材35により、それ以上前方向に進むことができないようになっている。これにより、シーソー部材30の可動領域内に前方向の限界値が規定され、当該限界値を超えるロボットアーム1の前方向の動作が規制される。
【0075】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造および/または機能の詳細を実質的に変更できる。