(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871763
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】中空糸膜装置の清浄度の評価方法、洗浄方法及び中空糸膜装置の洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B01D 65/10 20060101AFI20210426BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20210426BHJP
B01D 61/20 20060101ALI20210426BHJP
B01D 65/06 20060101ALI20210426BHJP
G01N 15/08 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
B01D65/10
B01D63/02
B01D61/20
B01D65/06
G01N15/08 A
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-44836(P2017-44836)
(22)【出願日】2017年3月9日
(65)【公開番号】特開2018-144013(P2018-144013A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】市原 史貴
(72)【発明者】
【氏名】菅原 広
【審査官】
松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−083646(JP,A)
【文献】
特開2003−315245(JP,A)
【文献】
特開2006−297180(JP,A)
【文献】
特開2000−288362(JP,A)
【文献】
特開平09−276672(JP,A)
【文献】
特開2016−055240(JP,A)
【文献】
特開2012−115810(JP,A)
【文献】
実開平04−136550(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
B01D 61/00− 71/82
C02F 1/44
G01N 23/00− 23/2276
G01N 15/00− 15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超純水製造装置に設置される前の中空糸膜装置を透過した超純水の透過水中の微粒子を第1のろ過膜で捕捉することと、
前記第1のろ過膜に捕捉された微粒子を分析することと、を有し、
前記第1のろ過膜の孔径は、前記第1のろ過膜より孔径の小さい第2のろ過膜に捕捉された微粒子の粒径の最頻値と同程度であり、前記第2のろ過膜に捕捉された微粒子は、前記中空糸膜装置と同型式の評価用中空糸膜装置に通水した超純水の、前記評価用中空糸膜装置を透過した透過水に含まれる微粒子である、中空糸膜装置の清浄度の評価方法。
【請求項2】
前記第1のろ過膜の孔径は30nm以上である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記評価用中空糸膜装置に超純水を通水し、前記透過水中の微粒子を前記第2のろ過膜で捕捉することと、
前記第2のろ過膜に捕捉された微粒子の粒径分布を求めることと、
前記粒径分布から粒径の最頻値を求めることと、を有する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1のろ過膜に捕捉された微粒子を分析することは、前記微粒子を走査型電子顕微鏡で観察するとともに、前記透過水の単位容積あたりの前記微粒子の数を前記走査型電子顕微鏡によって計測することを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のろ過膜に捕捉された微粒子を分析することは、前記微粒子の成分をエネルギー分散型X線分析法または電子エネルギー損失分光法によって解析することを含む、請求項1から4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記中空糸膜装置は超純水製造装置の最後段に設置される限外ろ過膜装置である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記超純水製造装置に設置される前の前記中空糸膜装置に超純水を通水して、前記中空糸膜装置を洗浄することと、
請求項1から6のいずれか1項に記載の方法に従って前記中空糸膜装置を評価することと、を有する中空糸膜装置の洗浄方法。
【請求項8】
超純水製造装置に設置される前の中空糸膜装置に通水し、前記中空糸膜装置を洗浄する洗浄機構と、
前記中空糸膜装置の透過水を収集し、前記透過水に含まれる微粒子を捕捉する第1のろ過膜が装着可能な微粒子捕捉機構と、を有し、
前記第1のろ過膜の孔径は、前記第1のろ過膜より孔径の小さい第2のろ過膜に捕捉された微粒子の粒径の最頻値と同程度であり、前記第2のろ過膜に捕捉された微粒子は、前記中空糸膜装置と同型式の評価用中空糸膜装置に通水した超純水の、前記評価用中空糸膜装置を透過した透過水に含まれる微粒子である、中空糸膜装置の洗浄装置。
【請求項9】
前記微粒子捕捉機構は遠心ろ過器を含む、請求項8に記載の中空糸膜装置の洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜装置の清浄度の評価方法、洗浄方法及び中空糸膜装置の洗浄装置に関し、特に超純水製造装置に設置される前に洗浄された限外ろ過膜装置の清浄度を評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超純水製造装置の末端には、微粒子除去を目的として限外ろ過膜装置などの中空糸膜装置が設置されている。中空糸膜は、平膜やプリーツ膜に比べて高密度で充填できるため、モジュールあたりの透過水量を多くすることができる。また、中空糸膜装置は、高清浄度での製造が容易であり、出荷、超純水製造装置への設置、現場での交換も、高清浄度を維持した状態で行うことができる。すなわち、中空糸膜装置は清浄度の管理が容易である。
【0003】
超純水の水質への要求が厳しくなるにつれ、中空糸膜装置に対する要求も厳しくなっている。また、超純水製造装置の短期立ち上げに対する要求もあり、中空糸膜装置を事前に洗浄する方法が提案されている。この場合、洗浄された中空糸膜装置が所定の清浄度を有しているかを確認することが望ましい。特許文献1には試料水に含まれる微粒子をろ過膜装置で捕捉し、走査電子顕微鏡(SEM)で観察する方法が開示されている。特許文献2には精密ろ過膜装置、限外ろ過膜装置などの除粒子性能を評価するため、あらかじめ金属粒子を添加した試料液をこれらのろ過膜装置に通水し、透過液に含まれる金属粒子を検出する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−194359号公報
【特許文献2】特開2013−31835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された方法は試料水に含まれる微粒子を捕捉して分析するためのものであり、中空糸膜装置自体の清浄度を評価することはできない。特許文献2に記載された方法は、金属粒子を意図的にろ過膜装置に捕捉させるものであり、ろ過膜装置自体が金属粒子で汚染されてしまう。このため、超純水製造装置に取り付ける前のろ過膜装置の清浄度の評価方法としては適用できない。
【0006】
本発明は超純水製造装置に取り付ける前の中空糸膜装置の清浄度を評価できる中空糸膜装置の清浄度の評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の中空糸膜装置の清浄度の評価方法は、超純水製造装置に設置される前の中空糸膜装置を透過した超純水の透過水中の微粒子を第1のろ過膜で捕捉することと、第1のろ過膜に捕捉された微粒子を分析することと、を有している。
第1のろ過膜の孔径は、第1のろ過膜より孔径の小さい第2のろ過膜に捕捉された微粒子の粒径の最頻値と同程度であり、第2のろ過膜に捕捉された微粒子は、中空糸膜装置と同型式の評価用中空糸膜装置に通水した超純水の、評価用中空糸膜装置を透過した透過水に含まれる微粒子である。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、中空糸膜装置に超純水を透過させ、その透過水に含まれる微粒子を第1のろ過膜で捕捉する。透過水に含まれる微粒子の数や性状を分析することで中空糸膜装置が所定の清浄度を有しているかどうか判定することができる。従って、本発明によれば、超純水製造装置に取り付ける前の中空糸膜装置の清浄度を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】限外ろ過膜装置の洗浄装置の概略構成図である。
【
図4】限外ろ過膜装置の透過水に含まれる微粒子の粒度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は本発明が適用される超純水製造装置1の構成の一例を示している。超純水製造装置1は、1次純水タンク2と、ポンプ3と、熱交換器4と、紫外線酸化装置5と、水素添加装置6と、触媒反応装置7と、非再生型混床式イオン交換装置(カートリッジポリッシャー)8と、膜脱気装置9と、限外ろ過膜装置10と、を有している。これらは、2次純水システム(サブシステム)を構成し、1次純水システム(図示せず)で製造された1次純水を順次処理して超純水を製造し、その超純水をユースポイント11に供給する。
【0011】
1次純水タンク2に貯留された被処理水(1次純水)は、ポンプ3により送出され、熱交換器4に供給される。熱交換器4を通過して温度調節された被処理水は、紫外線酸化装置5に供給される。紫外線酸化装置5では、被処理水に紫外線が照射され、被処理水中の全有機炭素(TOC)が分解される。水素添加装置6で被処理水に水素が添加され、酸化性物質除去装置7で被処理水中の酸化性物質が除去される。さらにカートリッジポリッシャー8において、被処理水中の金属イオンなどがイオン交換処理により除去され、膜脱気装置9において、残りの酸化性物質(酸素)が除去される。そして、被処理水の微粒子が、限外ろ過膜装置10で除去される。こうして得られた超純水は、一部がユースポイント11に供給され、残りが1次純水タンク2に還流する。1次純水タンク2には、必要に応じて、1次純水システム(図示せず)から1次純水が供給される。
【0012】
図2には限外ろ過膜装置10の概念図の一例を示す。限外ろ過膜装置10はハウジング12と、ハウジング12の内部に収容された複数の中空糸膜13と、を有している。図では1つの中空糸膜13だけを示している。ハウジング12と複数の中空糸膜13はモジュール化されており、限外ろ過膜装置10は限外ろ過膜モジュールとも呼ばれる。ハウジング12には、ハウジング12の内部空間(中空糸膜13の内部空間を除く)と連通する被処理水入口14及び濃縮水出口15と、中空糸膜13の内部空間と連通する処理水出口16とが設けられている。濃縮水は、微粒子が中空糸膜13を透過しないことによって微粒子の密度(個/mL)が高められた超純水である。被処理水入口14からハウジング12に流入した被処理水(超純水)は、中空糸膜13をその外側から内側に透過する。被処理水に含まれる微粒子は中空糸膜13を透過できないため中空糸膜13の外側に残存し、ハウジング12の濃縮水出口15から排出される。微粒子が除去された処理水は処理水出口16から排出される。被処理水が中空糸膜13の外部から内部に透過する方式は外圧式といわれる。被処理水が中空糸膜13の内部から外部に透過する内圧式も利用されるが、中空糸膜13の内部空間は製造工程で清浄に維持されやすいため、超純水製造装置1の末端に設置される限外ろ過膜装置10としては、外圧方式のほうが良好な処理水を得るうえで好ましい。なお、
図2で示された限外ろ過膜装置10の構造は一例であって、
図2で示されたもの以外の構成であってもよい。限外ろ過膜装置10の例としては、ポリスルフォン製、分画分子量6000の中空糸膜を用いた限外ろ過膜モジュール(例えば、日東電工製:NTU−3306−K6R、旭化成製:OLT−6036H)が挙げられる。
【0013】
図3は限外ろ過膜装置10の洗浄装置21の概略構成を示している。洗浄装置21は、限外ろ過膜装置10の被処理水入口14に接続される洗浄水の供給ライン22と、限外ろ過膜装置10の処理水出口16に接続される洗浄水の第1の出口ライン23と、限外ろ過膜装置10の濃縮水出口15に接続される洗浄水の第2の出口ライン24と、を有している。第1の出口ライン23と第2の出口ライン24から排出される排水は再利用されることなく処理される。
【0014】
洗浄装置21は第1の出口ライン23から分岐する液体供給配管25に接続された遠心ろ過器31を備えている。遠心ろ過器31はろ過器本体32と、ろ過器本体32を収容するチャンバ33と、を有している。ろ過器本体32は回転中心軸Cの周りをモータ(図示せず)によって回転可能である。ろ過器本体32の内部空間34には第1のろ過膜35が取り外し可能に保持されている。ろ過器本体32が回転することで、内部空間34の液体は径方向外側、すなわち第1のろ過膜35に向かって押し付けられる。第1のろ過膜35は、ブランク状態(サンプリング前の状態)で、膜上に存在する(ブランク)微粒子が評価、分析結果に影響が及ぼさないことを予め確認して使用することが望ましい。
【0015】
第1のろ過膜35の孔径は捕捉する微粒子の粒径によって決定されるが、超純水に含まれる微粒子を捕捉する場合、後述の理由によって30nm程度の孔径を選択することが望ましい。第1のろ過膜35としては、陽極酸化膜、限外ろ過膜、トラックエッチ膜などを用いることができ、特に陽極酸化膜を用いることが好ましい。陽極酸化膜は金属を陽極として電解質溶液中で通電した時に金属表面に生じる酸化膜であり、アルミニウムの表面に形成された酸化アルミニウム被膜が例として挙げられる。孔径が30nmレベルの第1のろ過膜35を用いる場合、透過性がよいこと、膜表面が平滑であること(SEM観察がしやすい)などの点から、陽極酸化膜を用いることが好ましい。陽極酸化膜を用いた場合、第1のろ過膜35自体から発生する微粒子(ブランク粒子)は無機物の酸化アルミニウムである。一方、超純水製造装置では、液体との接液部材(継手、配管、イオン交換樹脂、限外ろ過膜装置10等)は、有機材料で形成されることがほとんどであり、洗浄装置21においても、PFAなどのテフロン(登録商標)部材(有機材料)が多く使用されている。従って、第1のろ過膜35に無機膜である陽極酸化膜を用いることで、組成分析において微粒子の成分が有機物であるかどうかの判断が容易となる。これによって、電子部品の製造工程で使用される、高清浄度の超純水中の不純物、特に有機物の微粒子を正確に計測、分析することができる。
【0016】
ろ過器本体32の中央部には開口が形成されており、余剰水排水管36が開口を貫通して延びている。余剰水排水管36は回転中心軸Cと同軸に鉛直方向に延びている。余剰水排水管36の内部を液体供給配管25に接続された液体供給管37が鉛直方向に延びている。ろ過器本体32の外部でかつ余剰水排水管36の外側には液溜め38が設けられている。
【0017】
次に、洗浄装置21を用いた限外ろ過膜装置10の洗浄方法と、洗浄結果(清浄度)の評価方法を述べる。まず、限外ろ過膜装置10を洗浄装置21に装着する。すなわち、限外ろ過膜装置10の被処理水入口14を洗浄水の供給ライン22に接続し、限外ろ過膜装置10の処理水出口16を第1の出口ライン23に接続し、限外ろ過膜装置10の濃縮水出口15を第2の出口ライン24に接続する。次に、供給ライン22から洗浄水を限外ろ過膜装置10に供給し、限外ろ過膜装置10を洗浄する。洗浄水としては超純水を用いる。一定時間超純水を通水した後、さらに通水を続け、液体供給配管25の弁26を開き、限外ろ過膜装置10の透過水をサンプリングして遠心ろ過器31に送出する。遠心ろ過器31のモータを予め起動し、ろ過器本体32を回転させておく。このように洗浄工程(リンス工程)とサンプリング工程が同じタイミングで行われるため、サンプリングのために超純水の通水工程を別途実施する必要がない。洗浄水は機能水や酸、アルカリの薬液を超純水で希釈したものでもよい。薬液等を用いる場合は、洗浄後に限外ろ過膜装置10を超純水でリンスすることが望ましい。液体供給配管25の弁26はリンスを行っている
限外ろ過膜装置10の透過水は液体供給配管25及び液体供給管37を通ってろ過器本体32の内部空間34に流入する。透過水は遠心力によって両側の第1のろ過膜35に押し付けられ、第1のろ過膜35でろ過される。透過水はろ過され、第1のろ過膜35の半径方向外側の空間に達し、ろ過水としてチャンバ33の外部に排出される。ろ過水の排水配管(図示せず)には積算流量計(図示せず)が設けられており、排水されたろ過水の積算量が測定される。第1のろ過膜35には微粒子が捕捉される。
【0018】
第1のろ過膜35の孔径が30nm程度の場合、ろ過膜自身の圧力損失が大きくなるため、透過水の多くは余剰水となる。余剰水は回転する余剰水排水管36の内壁面に沿って上昇し、液溜め38に回収され、排水路(図示せず)を通ってチャンバ33の外部に排出される。
【0019】
所定の時間遠心ろ過器31を作動させた後、遠心ろ過器31の運転を停止し、第1のろ過膜35を取出す。取り出した第1のろ過膜35を光学顕微鏡、走査電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、原子間力顕微鏡(AFM)などの微粒子検出装置で、あるいはエネルギー分散型X線分析法(EDX)、電子エネルギー損失分光法(EELS)、X線光電子分光法(XPS)などの方法で、第1のろ過膜35の膜面に捕捉された微粒子の数、粒径、成分等を観察する。積算流量計によって測定されたろ過水の量に基づき、単位容積当りの透過水に含まれる微粒子の数、微粒子の粒径分布、成分などを求めることができる。これらが予め定めた基準値に適合していれば、限外ろ過膜装置10は十分に洗浄され、規定の清浄度を有していると評価され、超純水製造装置1に取り付けることが可能であると判断される。
【0020】
本願発明者らは、SEMを用いて限外ろ過膜装置10の透過水に含まれる微粒子を調査した。具体的には、新品の限外ろ過膜装置(以下、評価用限外ろ過膜装置)を
図3の洗浄装置に取り付け、超純水を通水し、評価用限外ろ過膜装置の透過水を遠心ろ過器31に供給し、粒径10nmの第2のろ過膜35’を用いて微粒子を捕捉し、SEM観察によって得られた画像から微粒子の粒径分布を求めた。第2のろ過膜35’の粒径は10nmであるため、粒径10nm以上の微粒子が検出されている。この結果、透過水に、本来評価用限外ろ過膜装置で捕捉できるはずの(すなわち、透過水に含まれていないはずの)粒径の微粒子が含まれていることが確認された。
【0021】
図4に、このようにして求めた微粒子の粒径分布を示す。粒径が大きくなるに従い個数が単調減少する粒径分布ではなく、粒径30〜50nmに最頻値(ピーク)をもった粒径分布が得られた。また、粒径100nm以上の微粒子もかなりの割合で含まれていた。さらにEDXによる分析の結果、粒径30nm以上の微粒子の多くはC,S及びSiを含有する有機物であることも見出された。以上より、これらの微粒子は評価用限外ろ過膜装置の材料であるPS(ポリスルフォン)に由来し、評価用限外ろ過膜装置の2次側(透過水側)で評価用限外ろ過膜装置に付着していたものであると推定された。このようにして、新品の評価用限外ろ過膜装置は、透過水である超純水の水質(微粒子)に影響を及ぼすことが確認された。
【0022】
新品の限外ろ過膜装置10に含まれる微粒子は上述した洗浄によって相当程度除去することができる。しかしながら、洗浄後には、洗浄された限外ろ過膜装置10が所定の清浄度を有していることを確認することが望ましい。そのためには、洗浄後の限外ろ過膜装置10に超純水を通水し、透過水に含まれる微粒子を液中パーティクルカウンタ(LPC)で測定するか、遠心ろ過器で捕捉して直接観察する方法(直接検鏡法)をとる必要がある。LPCで確認できる粒径は最小で20nm程度であるため、これを下回る粒径(例えば粒径10nm)の微粒子を検出する場合、直接検鏡法を用いることが望ましい。しかし、小さな粒径の微粒子を捕捉するためには小さな孔径のろ過膜を用いる必要があり、微粒子の収集に長い時間を要する。これは小さな粒径のろ過膜の圧力損失が非常に大きく、十分な流量を流すことができないためである。遠心ろ過器を用いた場合であっても、粒径10nmの微粒子を直接検鏡法が実施できる程度まで収集するには数週間〜1ヶ月程度を要する。
【0023】
しかし、
図4に示されるように、粒径10〜20nmの微粒子の割合は非常に低く、また、複数の製造元の限外ろ過膜装置に対して同様の試験をしたところ、
図4と同等の結果が得られた。これより、洗浄時において粒径10nm以上の微粒子を低減するためには、実質的には粒径30nm以上の微粒子を除去することが重要であることが分かる。すなわち、限外ろ過膜装置が10nmレベルの微粒子を管理した超純水を製造するための超純水製造装置に設置するためのものであったとしても、当該限外ろ過膜装置の出荷前洗浄においては10nmレベルの微粒子を測定評価する必要はなく、30nm以上の微粒子を測定評価して洗浄の良否を判定することができる。以上より、本実施形態においては孔径30nm程度のろ過膜を用いて微粒子を捕捉すれば十分であり、微粒子を捕捉するのに要する時間は数日〜1週間程度となり、大幅な時間短縮が可能となる。
【0024】
図4では粒径の最頻値は30〜50nmであるが、一般的には上記の方法で限外ろ過膜装置(限外ろ過膜モジュール製品)毎に粒径の最頻値を求め、最頻値の粒径と同程度の孔径の第1のろ過膜35で微粒子を捕捉すればよい。従って、予め孔径10nm程度の第2のろ過膜35’を用いて
図4に示すデータを取得し、最頻値を求めておけば、その後は、第2のろ過膜35’と同型式の第1のろ過膜35と、SEMによる直接検鏡法とを組み合わせた品質検査を行うことで、清浄度が確認された限外ろ過膜装置を超純水製造装置に取り付けることができる。ここで、同型式の第1のろ過膜35とは、評価用の第2のろ過膜35’と型番が同じろ過膜を意味する。しかし、第2のろ過膜35’と型番が異なっていても、第2のろ過膜35’と同程度の孔径を持ち、同一の材料及び製造方法で製造されたろ過膜は同型式のろ過膜とみなすことができる。
図4に示すデータは第三者が取得したものであってもよい。捕捉する微粒子の粒径は要求される超純水の水質によって変わるが、通常は孔径30〜50nm程度の第1のろ過膜35を用いれば十分であり、水質要求によっては孔径50〜100nm程度、あるいは100nm超の第1のろ過膜35を使うこともできる。
【0025】
また、本実施形態は超純水製造装置の最後段に設置される限外ろ過膜装置を対象としているが、本発明はこれ以外の限外ろ過膜装置や精密ろ過膜装置などあらゆる中空糸膜装置の洗浄及び清浄度の評価に用いることができる。また、本実施形態は新品の限外ろ過膜装置を対象としているが、本発明は使用済みの中空糸膜装置の洗浄や再生に用いることもできる。
【符号の説明】
【0026】
1 超純水製造装置
10 限外ろ過膜装置
12 ハウジング
13 中空糸膜
21 洗浄装置
22 洗浄水の供給ライン
23 第1の出口ライン
24 第2の出口ライン
25 液体供給配管
31 遠心ろ過器
32 ろ過器本体
35 第1のろ過膜
35’ 第2のろ過膜