特許第6871773号(P6871773)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871773硬組織に対して縫合糸を固定するための縫合糸アンカーおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871773
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】硬組織に対して縫合糸を固定するための縫合糸アンカーおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/56 20060101AFI20210426BHJP
   A61B 17/04 20060101ALI20210426BHJP
【FI】
   A61B17/56
   A61B17/04
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-56043(P2017-56043)
(22)【出願日】2017年3月22日
(62)【分割の表示】特願2013-529521(P2013-529521)の分割
【原出願日】2011年9月21日
(65)【公開番号】特開2017-148518(P2017-148518A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2017年4月19日
【審判番号】不服2020-2906(P2020-2906/J1)
【審判請求日】2020年3月3日
(31)【優先権主張番号】61/437,227
(32)【優先日】2011年1月28日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/386,160
(32)【優先日】2010年9月24日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512193366
【氏名又は名称】スポートウェルディング・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SPORTWELDING GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,イェルク
(72)【発明者】
【氏名】ミューラー,アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】ゲーベル−メール,シュテファニー
(72)【発明者】
【氏名】ベンガー,アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ベラ,ミリカ
【合議体】
【審判長】 千壽 哲郎
【審判官】 莊司 英史
【審判官】 倉橋 紀夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0016869(US,A1)
【文献】 米国特許第5993458(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品のキットであって、
縫合糸アンカーおよび工具を備え、
前記工具は、近位アンカー面に対して遠位工具面を固定し、前記工具の近位端を圧電振動発生器に結合するように前記工具が装備されることにより、硬組織開口の中に前記縫合糸アンカーを固定するのに好適であり、
前記近位アンカー面は前記縫合糸アンカーの周方向表面に沿って軸方向に延在する縫合糸溝の少なくとも1つの口を備え、
前記工具は、押圧力および機械振動を前記工具から前記縫合糸アンカーに送出することにより硬組織開口の中に前記縫合糸アンカーを固定するのに好適であり、
前記遠位工具面は、前記遠位工具面の断面に対して中央に位置する整列手段を備え、前記近位アンカー面は、前記近位アンカー面の断面に対して中央に位置する整列手段を備え、前記整列手段は、前記遠位工具面が、前記近位アンカー面が備える前記縫合糸溝の前記少なくとも1つの口を覆わないように、前記近位アンカー面に対して前記遠位工具面を位置決めするように装備され、前記整列手段は、突出部または対応する窪みとして設計される、部品のキット。
【請求項2】
前記遠位工具面および前記近位アンカー面の一方は前記突出部を備え、前記遠位工具面および前記近位アンカー面の他方は前記窪みを備える、請求項に記載のキット。
【請求項3】
前記突出部および前記窪みは、前記近位アンカー面中の前記少なくとも1つの口が前記遠位工具面によって覆われないように、前記近位アンカー面に対して位置決めされた前記遠位工具面と協働して遠位工具面に前記縫合糸アンカーを配置するように設計される、請求項1または請求項2に記載のキット。
【請求項4】
前記突出部は、矩形または楕円形の細長い断面を有するように設計される、請求項から請求項3のいずれか1項に記載のキット。
【請求項5】
前記縫合糸アンカーは熱可塑性を有する材料を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のキット。
【請求項6】
熱可塑性を有する前記材料の少なくとも一部は、前記硬組織開口の内部の前記硬組織と接する場合は、前記工具から前記縫合糸アンカーに送出されるエネルギによって液化可能である、請求項に記載のキット。
【請求項7】
前記工具は、前記遠位工具面の中に口を備える少なくとも1つの横方向溝を備え、前記口は前記近位アンカー面の中の前記縫合糸溝の前記口に適合される、およびこれと整列されるかまたは整列可能である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキット。
【請求項8】
前記横方向溝は、縫合糸が前記工具の前記遠位面の端縁と接しないようにするように備えられる、請求項に記載のキット。
【請求項9】
前記整列手段は、前記縫合糸溝と前記横方向溝とを整列させるように設計される、請求項7または請求項8に記載のキット。
【請求項10】
前記工具は少なくとも2つの横方向溝を備え、前記縫合糸アンカーは少なくとも2つの縫合糸溝を備え、各々の縫合糸溝は前記近位アンカー面中に口を備え、
前記遠位工具面および前記近位アンカー面は、
前記遠位工具面が、前記遠位工具面が固定プロセスのために前記近位アンカー面に対して位置決めされる際に前記近位アンカー面が備える第1の縫合糸溝の第1の口を覆わず、かつ、
前記遠位工具面が、前記遠位工具面が固定プロセスのために前記近位アンカー面に対して位置決めされる際に前記近位アンカー面が備える第2の縫合糸溝の第2の口を覆わない
ように互いに対して結合される、請求項から請求項9のいずれか1項に記載のキット。
【請求項11】
前記遠位工具面および前記近位アンカー面は、前記少なくとも1つの口が位置する前記近位アンカー面の部分が、前記遠位工具面が固定プロセスのために前記近位アンカー面に対して位置決めされる際に前記遠位工具面から突出するように異なる形状を有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のキット。
【請求項12】
前記遠位工具面は円形であり、前記近位アンカー面は長円形、特に楕円形である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
発明は医療技術の分野に存在し、特に縫合糸の助けにより軟組織を硬組織に装着する目的で硬組織に対して縫合糸を固定するための縫合糸アンカーおよび方法に関し、硬組織は特にヒトまたは動物の患者の骨組織である。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
(すべてWoodweldingに対する)刊行物US7008226、WO2009/1090
57、およびWO2009/055952は、縫合糸アンカーの助けにより縫合糸を硬組織に装着するための装置および方法を開示し、縫合糸アンカーは熱可塑性を有する材料を備え、熱可塑性を有する材料のインサイチュー液化のために用いられる好ましくは振動エネルギの助けにより、硬組織開口の中にアンカー固定される。液化された材料は細孔または硬組織開口の壁の硬組織の他の好適な構造の中に浸透し、そこで再固化すると、これは硬組織と縫合糸アンカーとの間で確実な嵌合接続(positive fit connection)を構成す
る。アンカーは、円周面上にまたは熱可塑性スリーブの形態で熱可塑性を有する材料を備え、これは、アンカーが硬組織開口の中に押込まれて同時に振動されたときに、またはアンカーもしくはその一部が硬組織開口の中に位置決めされかつ熱可塑性スリーブが振動工具と対抗要素との間に保持されたときに液化される。縫合糸は縫合糸アンカーの近端または遠端を通される。
【0003】
縫合糸を硬組織に固定するためのさらなる縫合糸アンカーおよび方法が刊行物US−7678134、US−7695495、US−2006/161159、US−2009/192546、US−2009/187216(すべてArthrexに対するもの)、US
−5733307(Dinsdale)、またはUS−6508830(Steiner)に開示され、
開示されるアンカーは、その目的のために設けられる骨開口の中に螺合される干渉ねじ(interference screw)またはその目的のために設けられる骨開口の中に圧入される好ましくは骨材料からなるプラグを備え、縫合糸は、ねじもしくはプラグによって、またはねじもしくはプラグの助けにより開口の中に保持されている付加的な要素によって保持される。
【0004】
熱可塑性を有しかつインサイチューで液化されて開口の壁の硬組織に浸透される材料の助けにより、たとえばヒトまたは動物の患者の骨組織の中などの硬組織に設けられる開口の中にある物品をアンカー固定する方法が、刊行物US−7335205、US−2006/0105295、US−2008/109080、US−2009/131947、WO−2009/109057、およびWO−2009/132472にさらに開示されている。その中で、液化のために用いられる好ましいエネルギは機械的振動エネルギである。すべての掲記された刊行物および出願の開示はここに引用により包含される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
発明の目的は、硬組織に対して縫合糸を固定するためのさらなる縫合糸アンカーおよびさらなる方法を作り出すことであり、縫合糸アンカーは、熱可塑性を有しかつインサイチューで液化されて硬組織開口の壁の硬組織に浸透する材料の助けにより、硬組織開口の中に固定される。その中で、縫合糸アンカーおよび方法は、縫合糸の助けにより軟組織を硬組織に装着するのに好適なものであり、硬組織は特にヒトまたは動物の患者の骨組織であ
る。縫合糸は好ましくは、摺動不可能な態様で(縫合糸固着)縫合糸アンカーまたは硬組織に対してそれぞれ固定され、縫合糸の引張りは少なくとも固定プロセスの初期セクションの間は調節可能であってもよい。しかしながら、発明に従う縫合糸アンカーは、摺動可能な縫合糸固定を確立するように働いてもよい。縫合糸固着を含む方法は、軟組織を硬組織に縫合するためのそれ自体公知のノットレス(knotless)手順に特に好適である。さらに、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法は、インサイチュー液化によって生じる所望されない影響から(すなわち、機械的振動による液化の場合は所望されない摩擦および熱の影響から)縫合糸を保護することができ、したがって摩擦および/または熱に敏感な縫合糸と関連の使用を可能にする。さらに、アンカーの遠端は、硬組織開口の中での、特に機械的安定性がほとんどない硬組織の中での縫合糸アンカーの保持を改良するように装備されてもよい。
【0006】
掲記された目的は、独立請求項に規定するような縫合糸アンカーおよび方法によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明に従う縫合糸アンカーは、硬組織開口の中の硬組織と接する少なくとも表面部分上に熱可塑性を有する材料を備えるか、または好ましくはこれはすべてそのような材料からなり、熱可塑性を有する材料の少なくとも一部はインサイチューで液化され、開口の壁の硬組織に浸透する。縫合糸の遠端は、たとえば遠位縫合糸溝、縫合糸チャネル、またはハトメなどの縫合糸を保持するための縫合糸導管(conduit)、1つよりも多くのそのよう
な導管、またはそのような導管の異なるものの組合せを備える。縫合糸アンカーは、特に、硬組織の中にアンカーを固定するプロセスの最後の段階でアンカーに対して縫合糸を固着するように設計され、縫合糸の固着は、硬組織開口の中でアンカーと硬組織との間で縫合糸をクランプすることによって、または縫合糸導管もしくは複数の縫合糸導管の潰れによってこれを制動するもしくはクランプすることによって、達成される。このことは、縫合糸の固着により、硬組織開口の中に縫合糸アンカーが固定されるもしくはアンカー固定されて液化プロセス(熱、振動)のおそらくは有害な影響から縫合糸を保護することが可能になる、および/またはアンカー固定プロセスの間もしくはおそらくはその後ですら縫合糸の引張りの調節が可能になる固定プロセスに主に依存しないことを意味する。
【0008】
さらに、縫合糸アンカーは、好ましくは遠端部分に構造を備えてもよく、この構造は縫合糸の引張りおよび/または止まり開口の底部に対するアンカー遠端の当接によって広がるまたは径方向に拡張することができ、広がりまたは拡張は硬組織開口の中でのまたはそれを越えての保持を改良する。掲記された広がりは、たとえば、液化プロセスの際にこのアンカー材料が熱の吸収によって機械的に弱まる結果、遠位のアンカーセクションが強制的に離間されてそのためにアンカー遠位部分が広がってしまい得ると、張力を加えられた縫合糸が縫合糸導管に近位のアンカー材料に対してまたはその中に押込まれることによって起こる。さらなる実施形態では、アンカーの部分は圧縮荷重下で潰れることができるように設計され、これによりたとえば縫合糸の引張りの影響下で径方向に拡張することができる。
【0009】
機械的振動エネルギ(特に超音波振動エネルギ)が好ましくはそのために用いられる固定プロセスについては、発明に従う縫合糸アンカーが硬組織開口の中に押込まれ、同時に液化されるべき材料の中に液化エネルギが送られる。この目的のため、押圧力および振動エネルギをアンカーに送出するのに好適な工具が用いられ、工具の遠端は好ましくは縫合糸アンカーの近位面に装着され、工具の近端は振動源に結合される。この固定プロセスは縫合糸アンカーの回転をまったく必要とせず、すなわち、縫合糸アンカーは硬組織開口の中に螺合されず、したがって好ましくはねじのねじ山を備えない。
【0010】
振動源は、特に超音波振動源(たとえば、工具が結合される、おそらくはブースタを備える圧電振動発生器)であり、工具はその近端からその遠位面への振動の送出に好適であり、好ましくはこれにより遠位面が最大の長手方向振幅で振動する。インサイチュー液化のため、工具の遠位面が縫合糸アンカーの近位面に適用される。工具を活性化させて径方向または回転方向に振動させることも可能である。
【0011】
これに代えて、エネルギ源は、好ましくは可視または赤外線周波数範囲のレーザ光を発するレーザであってもよく、工具は、好ましくはガラスファイバを介してこの光をその遠端に送出するように具備される。インサイチュー液化のため、レーザ光は、遠位工具面の近くでまたは縫合糸アンカーの中で吸収される。後者の場合、縫合糸アンカーが備える熱可塑性を有する材料は、そのような吸収を行なう粒子または物質を含有してもよい。さらに、エネルギ源は、遠位工具面の近くまたは縫合糸アンカーの中で、たとえば遠位工具部分で電気抵抗器を加熱するかまたは渦電流を生じさせる電気エネルギ源、およびこれによる熱エネルギ源であってもよい。
【0012】
組織の許容可能な熱負荷と組合せた振動エネルギの助けにより、熱可塑性を有し、かつなすべき確実な嵌合接続の好適な機械的性質を有する材料の好適なインサイチュー液化は、熱可塑性を有し、かつ少なくとも0.5GPaの初期弾性率と、好ましくは2から200kHzの範囲(好ましくは15から40kHz、またはさらに好ましくは20から30kHzの間)の振動周波数と組合せた約350℃までの溶融温度とを有する材料を用いることによって達成可能である。熱可塑性を有する材料が機械的剛性を失わずに振動を伝達する場合は、少なくとも0.5GPaの弾性率が特に必要である。
【0013】
発明に従う縫合糸アンカーに好適な熱可塑性を有する材料は熱可塑性ポリマーであり、それらはたとえば、乳酸および/もしくはグリコール酸系ポリマー(PLA、PLLA、PGA、PLGAなど)、もしくはポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリカプロラクトン(PCL)、多糖類、ポリジオキサン(PD)、ポリ無水物、ポリペプチド、もしくは対応の共重合体もしくは掲記されたポリマーを成分として含有する複合材料などの再吸収可能もしくは分解可能ポリマー、またはポリオレフィン(たとえばポリエチレン)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリアリールケトン、ポリイミド、ポリフェニルスルフィド、もしくは液晶ポリマーLCP、ポリアセタール、ハロゲン化ポリマー、特にハロゲン化ポリオレフィン、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン、ポリエーテル、もしくは同等の共重合体もしくは掲記されたポリマーを成分として含有する複合材料などの再吸収不可能もしくは分解不可能ポリマーである。
【0014】
分解可能な材料の具体的な実施形態は、すべてBoehringerの、(たとえば30%までの二相リン酸カルシウムで充填された)LR706 PLDLLA 70/30、R208
PLDLA 50/50、L210S、およびPLLA100%Lのようなポリ乳酸である。好適な分解可能ポリマー材料の一覧は、Erich Wintermantel und Suk-Woo Haa, "Medizinaltechnik mit biokompatiblen Materialien und Verfahren", 3. Auflage, Springer, Berlin 2002(以下、「Wintermantel」と称する)、200ページに見出すこともできる。PGAおよびPLAの情報については202ページ以降を参照。PCLについては207ページを参照。PHB/PHV共重合体については206ページを参照。ポリジオキサノンPDSについては209ページを参照。さらなる生体再吸収可能材料の考察は、たとえば、CA Bailey et al., J Hand Surg [Br] 2006 Apr;31(2):208-12に見出すことができる。
【0015】
分解不可能な材料の具体的な実施形態は、ポリエーテルケトン(PEEK Optima、グレー
ド450および150、Invibio Ltd)、ポリエーテルイミド、ポリアミド12、ポリア
ミド11、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリオキシメチレン、またはポリカーボネート−ウレタン(たとえば、DSMによるBionate、特にタイプ65Dおよび75D)である。ポリマーおよび用途の概略の表がWintermantelの150ページに列挙されている。具体例は、Wintermantelの161ページ以
降(PE、Hostalen Gur 812, Hoechst AG)、164ページ以降(PET)、169以降(PA、すなわちPA6およびPA66)、171以降(PTFE)、173以降(PMMA)、180(PUR、表を参照)、186以降(PEEK)、189以降(PSU)、191以降(POM−ポリアセタール、商品名Delrin、TenacもProtecによる内蔵式プ
ロテーゼ(endoprostheses)で用いられている)に見出すことができる。
【0016】
熱可塑性を有する材料は、さらなる機能を果たす異相(foreign phases)または化合物をさらに含有してもよい。特に、熱可塑性材料は、(たとえばリン酸カルシウムセラミックまたはガラスからなる)添加されるファイバまたはウィスカによって強化されてもよく、そのようなものは複合材料の代表である。熱可塑性を有する材料は、インサイチューで拡張するまたは溶解する(細孔を作製する)成分(たとえばポリエステル、多糖類、ヒドロゲル、リン酸ナトリウム)、インプラントを不透明にし、これによりX線で見えるようにする化合物、またはインサイチューで放出されて、たとえば治癒および再生の促進などの治療効果を有する化合物(たとえば、成長因子、抗生物質、炎症抑制剤、または酸分解という悪影響に対するリン酸ナトリウムまたは炭酸カルシウムなどのバッファ)をさらに含有してもよい。熱可塑性材料が再吸収可能である場合、そのような化合物の放出は遅延される。装置が振動エネルギの助けによってではなく電磁放射の助けによってアンカー固定される場合は、熱可塑性を有する液化可能材料は、特定的な周波数範囲(特に可視または赤外線周波数範囲の)そのような放射を吸収することができる(粒子状または分子状の)化合物を局所的に含有してもよい。それらはたとえば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸ナトリウム、酸化チタン、マイカ、飽和脂肪酸、多糖類、グルコース、またはその混合物である。
【0017】
用いられる充填剤は、分解可能ポリマーで用いるべき分解可能骨刺激充填剤を含んでもよく、これらは、β−リン酸三カルシウム(TCP)、ヒドロキシアパタイト(HA、<90%の結晶性);またはTCP、HA、DHCP、バイオグラスの混合物を含む(Wintermantelを参照)。分解不可能なポリマーのための、部分的にしか分解可能でないまたはほとんど分解可能でないオッセオインテグレーション刺激充填剤は、バイオグラス、ヒドロキシアパタイト(>90%の結晶性)、HAPEX(登録商標)である。SM Rea et al., J Mater Sci Mater Med. 2004 Sept; 15(9):997-1005を参照。ヒドロキシアパタイト
については、L. Fang et al., Biomaterials 2006 Jul; 27(20):3701-7、M. Huang et al., J Mater Sci Mater Med 2003 Jul;14(7):655-60、およびW. Bonfield and E. Tanner,
Materials World 1997 Jan; 5 no. 1 :18-20も参照。生物に作用する充填剤の実施形態
およびそれらの考察は、たとえば、X. Huang and X. Miao, J Biomater App. 2007 Apr; 21(4):351-74), JA Juhasz et al. Biomaterials, 2004 Mar; 25(6):949-55に見出すことができる。粒子状の充填剤の種類は、粗い種類:5−20μm(含有量、優先的には10−25体積%)、サブミクロン(優先的には板状のアスペクト比>10、10−50nm、含有量0.5から5体積%の沈殿物からのようなナノ充填剤)を含む。実験は、超音波振動エネルギの助けによる液化により液化された材料がたとえば有望な海綿骨の小柱構造としての構造に浸透することができる能力を損なわずに比較的高度に熱可塑性ポリマーが充填可能になることを示す。
【0018】
発明に従う縫合糸アンカーは、熱可塑性を有する材料に加えて、熱可塑性を有しないまたは固定プロセス条件下でのインサイチュー液化に好適でない熱可塑性を有する材料(液化不可能材料)からなる部分(たとえばコア)も備えてもよい。そのような部分は、生体再吸収可能または生体再吸収不可能であり得る任意の好適な材料(たとえば、ポリマー、
金属、セラミック、ガラス)からなってもよい。生体再吸収不可能または生体分解不可能なそのような部分は、オッセオインテグレーションを進めるように装備される表面(たとえばそれ自体公知の表面構造または被覆)を備えてもよく、その場合、骨組織と接すると、特に熱可塑性を有する材料が生体再吸収可能または生体分解可能であるならば、オッセオインテグレーションによってアンカー固定機能が徐々に引継がれる必要がある。生体再吸収可能な好適な液化不可能材料は、たとえば、ヒドロキシアパタイトまたはリン酸カルシウムで充填されたポリ乳酸(PLA)、特に60%のリン酸三カルシウムで充填されたPLLAである。
【0019】
振動工具は、長さ約200mm以上すらに非常に細く設計することができる。したがって、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法は、特に侵襲が最小限の外科手術に好適であるが、観血手術にも適用可能である。振動工具は好ましくは、工具材料の振動波長の半分に対応する長さ、または整数の因数で乗算されたこの半分の波長の長さを有する。たとえば、グレード5のチタンから作られる工具および20kHzの振動周波数についての理論的半波長は126.5mmであり、25kHzの振動周波数については101.2mmである。
【0020】
上述のような発明に従う装置および方法は、ヒトまたは動物の患者における実質的にすべての外科手順に特に適用可能であり、その外科手順において、縫合糸は硬組織に装着され、これに対して固着される必要がある。実施形態のうちいくつかは、機械的強度がほとんどない硬組織において特に有利である。同様に、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法は、縫合糸を、硬組織の特徴に匹敵する特徴を有する置換材料にまたは一部が硬組織で一部が置換用の材料にもしくはさらなるインプラント(たとえば内蔵式プロテーゼ)に装着するのに適用可能であり、インプラントはたとえばアンダーカット開口(undercut opening)を好適に具備する必要がある。
【0021】
そのような適用例の例は、いわゆるノットレス単列手順(knot-less single row procedure)での骨組織への軟組織(特に靭帯、腱、軟骨組織)の固定、たとえば下にある骨組織(または対応の内蔵式プロテーゼ)への回旋腱板の固定、アキレス腱修復、寛骨臼もしくは肩関節臼への寛骨臼唇の再装着、またはいわゆる二列手順(double row procedure)(図1を参照)における横方向アンカーとしてである。後者の場合、内側列の(縫合糸固着なしの)アンカーの固定のためにも同じ固定プロセスを用いることが有利である。そのような内側アンカーを固定するための好ましい装置および方法は、たとえば、同じ優先権を主張する同時係属中の出願に開示されている。しかしながら、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法は、(たとえば二列手順における内側アンカーのための)硬組織への縫合糸の摺動可能な装着のためにも用いられてもよい。
【0022】
発明に従うアンカーおよび方法のさらなる例示的な適用例は、たとえばヒトの肩関節に関するもの:バンカート修復術もしくはSLAP損傷(上方関節唇)の修復、ヒトの手に関するもの:「スキーヤー母指」(急性症状)もしくは「ゲームキーパー母指」(慢性症状)の治療としてのUCL修復(肘関節の内側側副靭帯)、SL再建(舟状月状靭帯)、TFCC修復(三角線維軟骨複合体)、または中手指節関節のカプセル式再装着、ヒトの肘に関するもの:肘関節の内側側副靭帯再建(トミージョン手術)、ヒトの足に関するもの:ブロムストローム修復、腓骨支帯修復もしくは外反母趾再建、ならびにヒトの膝に関するもの:腸脛靭帯腱固定である。一般的に述べると、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法は、ヒトの手および手首(指節間、中指節(metaphalangeal)、および中手指節関節の靭帯と手根靭帯)ならびにヒトの足および足首の関節の靭帯に関する修復外科手術において特に有利に適用可能である。
【0023】
発明に従う縫合糸アンカーおよび方法を添付の図と関連してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】回旋腱板修復の例を用いる、それ自体公知の二列手順の4つの連続段階を図示し、この手順では、発明に従うアンカーは好ましくは横列アンカー、しかしおそらくは内側列アンカーも構成する、図である。
図2】硬組織と縫合糸アンカーとの間の縫合糸を固着するのに好適である、発明に従う縫合糸アンカーの例示的な実施形態を示す図である。
図3】縫合糸アンカーは縫合糸導管を潰すことによって縫合糸を固着するのに好適である、発明に従う縫合糸アンカーのさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図4図2および図3に示される縫合糸アンカーに適用可能なさらなるおよび代替的な特徴を示す図である。
図5図2および図3に示される縫合糸アンカーに適用可能なさらなるおよび代替的な特徴を示す図である。
図6図2および図3に示される縫合糸アンカーに適用可能なさらなるおよび代替的な特徴を示す図である。
図7図6に従う縫合糸アンカーの固定に好適な例示的な振動工具の遠端を詳細に示す図である。
図8】たとえば機械的安定性がほとんどない硬組織における固定に好適な、発明に従う縫合糸アンカーのための遠端のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図9】たとえば機械的安定性がほとんどない硬組織における固定に好適な、発明に従う縫合糸アンカーのための遠端のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図10】たとえば機械的安定性がほとんどない硬組織における固定に好適な、発明に従う縫合糸アンカーのための遠端のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図11】たとえば機械的安定性がほとんどない硬組織における固定に好適な、発明に従う縫合糸アンカーのための遠端のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
図12】たとえば機械的安定性がほとんどない硬組織における固定に好適な、発明に従う縫合糸アンカーのための遠端のさらなる例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
好ましい実施形態の説明
図1は、4つの連続段階(a)、(b)、(c)、および(d)で、上腕骨組織11(または対応の内蔵式プロテーゼ)に断裂した回旋腱板の腱10を再装着する例を用いて、硬組織に軟組織を縫合するためのそれ自体公知の二列手順を図示する。段階(a)は、修復手術の前であり、再装着が必要な場所12を示す。段階(b)では、腱10の下に最終的に位置する場所の骨組織の中に2つの内側アンカー13がアンカー固定され、内側アンカー13の各々1つは摺動可能な態様で少なくとも1つの縫合糸4を骨組織に装着している。段階(c)では、内側アンカーのうち1つに装着された各々の縫合糸の端セクションを断裂した腱10に通し、腱の端(図示せず)から離間するように縫合糸に張力を加えることによって縫合糸は内側アンカー13の上を引張られる。段階(d)では、2つの横方向アンカー14が断裂の端縁をちょうど越えたところの骨組織中にアンカー固定される。横方向アンカー14の列は内側アンカー13の列にほぼ平行に走り、縫合糸4の端セクションは交差する態様で横方向アンカー14の助けにより張力を加えられかつ固着され、これにより1つの内側アンカー13によって保持される2つの縫合糸端セクションが2つの異なる横方向アンカー14によって固着され、このように内側アンカー13の列と横方向アンカー14の列との間に交差した縫合糸のブリッジ15を形成する。この中で、アンカーの各々の列は2つまたは2つよりも多くのアンカーを備えてもよく、各々の内側アンカー13は少なくとも1つの縫合糸4(2つの縫合糸端部分)を装着するように用いられ、各々の横方向アンカー14は、2つの異なる内側アンカー13から発する少なくとも2つの縫合糸端部分での固着のために用いられる。
【0026】
以上で既にさらに言及したように、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法は、横方向列において特に有利に適用可能であるが、対応して適合されると内側列においても適用可能である。
【0027】
図2および図3は、発明に従う縫合糸アンカーの例示的な実施形態を図示する。これらの縫合糸アンカー2は熱可塑性を有する材料(液化可能材料)を備えるか、またはそれらは好ましくはそのような材料から作られ、それらは、熱可塑性を有する材料の少なくとも一部のインサイチュー液化によりかつ液化された材料が硬組織の中に流れるようにして、再固化した際にアンカーと硬組織との間で確実な嵌合接続を構成することによって硬組織開口の中にアンカー固定される。発明に従うアンカーの基礎となっているアンカー固定方法は、たとえば刊行物US−7335205号に開示されており、その開示はその全体がここに包含される。この方法に従うと、アンカーの近位面は、アンカーの中にエネルギを送出する工具、特に振動エネルギを送出する振動工具と接する。同時に、アンカーは、開口の中に固定されるべきアンカー部分の断面よりもわずかに断面が小さな硬組織開口の中に押込まれ、これにより熱可塑性を有する材料を備えるアンカー部分は硬組織と密接し、振動エネルギを用いる場合は、振動エネルギをインサイチュー液化のための摩擦熱に変換するのに必要な対抗要素としても働く。
【0028】
さらに、図2および図3に従う縫合糸アンカーは、縫合糸アンカーが硬組織開口に対して位置決めされてその中に固定された際に縫合糸が保持される少なくとも1つの遠位縫合糸導管(たとえば遠位溝、チャネル、またはハトメ)と、縫合糸アンカーと硬組織開口の壁との間で縫合糸をクランプすることにより(図2)、または縫合糸導管を潰し、そうして導管を通された縫合糸を制動もしくはクランプすることにより(図3)、固定されたアンカーまたは硬組織に対してそれぞれ縫合糸を固着するための構造とを備える。
【0029】
図2に示されるような縫合糸アンカー2は、ピン部分20と、有利にはヘッド部分21とを備え、これは、ヘッド部分21の中の凹部(図示せず)に達する工具突出部の間のたとえば圧入接続により工具1に装着されて示される。少なくともピン部分20は、少なくとも、その横方向表面の部分に、熱可塑性を有する材料と、有利には図示されるように、たとえばピン長さの一部にわたって延在しかつそのような部分の長さに隣接する際に互いに対してオフセットされる軸方向端縁の形態のエネルギ導波器(director)とを備える(ピン部分は、たとえば、図示されるように、ずれた多角形状のディスクの積層体の形態を有する)。ヘッド部分21は熱可塑性を有する材料も備えてもよく、硬組織の中にアンカー固定されてもよく、この場合、アンカー2のために設けられた硬組織開口は、ピン部分20の収容のためのより狭い内側部分とヘッド部分21の収容のためのより大きな外側部分とを含む段差のある形態を有する必要があろう。これに代えて、ヘッド部分の遠位面は、ピン部分のために設けられた開口の口の付近で硬組織の表面の中にアンカー固定されてもよい。
【0030】
ピン部分20は、ピン遠位面を横切ってかつ対向するピンの2つの側に沿って軸方向に走る縫合糸溝22を備え、縫合糸溝22は、下が切取られた少なくとも1つの部分を備え、当該アンダーカット溝部分23は、たとえば図示されるようにピン遠位面上に位置する(縫合糸導管)。好ましくは、縫合糸溝22の全体的な断面はアンカーの助けによって固着される縫合糸または複数の縫合糸に適合されるため、溝に沿って走る縫合糸は溝から突出しない。すなわち、ピン部分20が振動している間、そのために設けられた硬組織開口の中に押込まれる際に硬組織と接触しない。この手段は、そのような固定のために振動エネルギを用いる場合は特に、アンカーの固定の際の摩擦および/または熱に敏感な縫合糸が損傷しないように働く。そのような敏感さがない縫合糸を用いる場合は、縫合糸も縫合糸溝から突出してもよく、これにより硬組織開口の壁と擦れ合い、そのような摩擦は縫合糸アンカーに対する縫合糸の少なくとも一次的な安定を助け得る。
【0031】
縫合糸溝22のアンダーカット部分23は、アンカーの助けによって固着すべき縫合糸を、溝の入口を弾性変形させることによってアンダーカット溝の中に入れられるように、かつ溝の長さに対して垂直方向に作用する力がアンダーカット溝部23から縫合糸を引張らない場合に縫合糸がアンダーカット溝部分23の中に安全に保持されるように寸法決めされる。
【0032】
縫合糸溝22はヘッド部分21の両側で連続するが、ピンとヘッド部分との間の遷移部で中断部24を備える。すなわち、これは、ヘッド部分21からの距離が小さくなるにつれて減少するピン部分20の近端の深さと、ピンとヘッド部分との間の遷移部のゼロ深さ部分(または関連して深さを減少させた部分)と、ピン部分20からの距離が増すにつれて大きくなるヘッド部分21の遠位側の深さとを有する。この手段は、硬組織とこれを固着するための植込みアンカーとの間で縫合糸をクランプするように働く。
【0033】
ヘッド部分21は工具1の遠端よりも断面が大きいため、アンカー2がこの工具の遠端に装着されると、ヘッドの近位面は、縫合糸溝がこの近位ヘッド面に達する少なくともそれらの2つの側で工具の遠位面を越えて突出する。図示されるように、工具の遠端の断面は丸くてもよく、ヘッド部分の断面は、工具の直径と同じ小さい方の直径と縫合糸溝の口同士の間にわたる大きい方の直径とを有する楕円形である。この手段は、摩擦および/または熱に敏感な縫合糸が工具1、特に工具遠位面の端縁と接触しないようにするように働く。これは、工具が振動工具であり、縫合糸が摩擦および/または熱に敏感な種類のものである場合に特に有利である。
【0034】
図2に図示されるようなアンカー2を用いて硬組織に対して縫合糸を固定するために硬組織開口が設けられ、硬組織開口の少なくとも内側部分の断面はアンカー2のピン部分20に適合され、これにより断面が最も小さいピン部分20の遠端は開口の中に容易に嵌合するが、ピン部分20の残余は押込み力を用いてしか開口の中に導入することができない。(好ましくは振動源である)エネルギ源に結合される工具に装着されるアンカーのピン部分20は、開口の口の中に位置決めされ、アンカーによって固定すべき縫合糸は縫合糸溝22に沿って走り、アンカーの両側の硬組織開口から延在する。次に押込み力が工具を介して縫合糸アンカーに加えられ、所望の縫合糸引張りが確立され、エネルギ源が活性化される(工具およびアンカーが振動される)。開口の硬組織の壁と密接している場合、熱可塑性を有する材料は液化されて硬組織の中に浸透する。同時に、アンカーは開口の中にさらに押込まれ、ヘッド部分21が硬組織の表面にまたは硬組織開口中の段差に当接すると、最終的にアンカー固定される。記載のアンカー固定プロセスの正に終わりにのみ、縫合糸は硬組織開口の口の領域の中の硬組織または開口の中の段差とピン部分20からヘッド部分21への遷移部の縫合糸アンカーとの間にクランプされる。この遷移場所はそのときにのみ硬組織に到達する。このことは、縫合糸が縫合糸溝に対応して適合されていれば、固定工程の初期部分の間はアンカーに対して(おそらくは縫合糸と硬組織開口の内側の組織との間の何らかの摩擦に対して)摺動可能なままであり、したがって縫合糸の引張りは、アンカーがその最終的な固定位置に非常に近づくときまで依然として適合可能であるかまたは維持可能であることを意味する。
【0035】
図2に図示されるような縫合糸アンカーのさらなる実施形態は、たとえばヘッド部分を備えなくてもよく、異なる種類のエネルギ導波器を備えてもよく、もしくはエネルギ導波器を全く備えなくてもよく、および/または熱可塑性を有する材料から作られていないが、縫合糸溝22およびピンの遠端をおそらくは除いてピン部分の少なくとも上に当該材料のスリーブまたは当該材料で被覆されるスリーブを備えるコアを備えてもよい。
【0036】
摩擦にも熱にも敏感でなく、後の引張り調節の可能性がない縫合糸を固着するために用
いられる場合、縫合糸溝はピンセクション20の遠位面にのみ存在してもよく(アンカー長さ全体に沿って延在するゼロ深さ縫合糸溝部分)、この場合これは下が切取られてもよく、または摩擦によって縫合糸を保持するために寸法決めされた断面を有してもよい。同じ効果は、図2に示すような縫合糸アンカーと、(おそらくはゼロ深さ部分を全く有しない)縫合糸溝22の断面よりも断面が大きく、溝から突出する縫合糸とによって達成可能である。図2に従う縫合糸アンカーまたは同様の縫合糸アンカーを用いて硬組織への縫合糸の摺動可能な装着を達成するためには、ゼロ深さ溝部分の小さくされた深さよりも小さな直径の縫合糸を用いるか、またはゼロ深さ溝部分が開口から突出するかもしくは縫合糸をクランプせずにゼロ深さ溝部分を収容するように開口により断面が大きい口を設けるようにだけして、アンカーを硬組織開口の中に導入する。
【0037】
さらに、ヘッド部分21は、その遠位面の中に対応する凹部を有する工具1へのアンカー2の装着に好適な突出部を備えてもよい。さらに、図2に従う縫合糸アンカー、特にたとえば金属のコアを備える実施形態は、予めその中に開口を設けることまたは皮質骨を通してのみそのような開口を設けることの必要性なく、少なくとも海綿骨の中に押込まれ得るための先細のまたは尖らせた遠端を備えてもよい。骨組織の中への縫合糸アンカー2の押込みは好ましくは、アンカー固定工程のために用いるのと同じ工具を用いて、しかし液化のためのエネルギを縫合糸アンカーに送出せずに行なわれる。
【0038】
図3に図示されるようなアンカーは、縫合糸固着のために設けられる、この場合は縫合糸を保持するために装備されるアンカー遠端に位置する手段に主に関して、図2に図示されるようなアンカーとは異なっている。この遠端はアンカーの残余よりも断面が小さく、2つのハトメ25(縫合糸導管)を備え、これは弾性変形可能であるか、または硬組織の中へのその固定のためのアンカーの中に送出されるエネルギの影響下で弾性変形可能となり、これにより縫合糸の引張りによって生じるおよび/または硬組織の止まり開口の底部壁に対する当接による圧縮荷重がこれを潰すことができる材料からなる(潰れることができる縫合糸導管)。アンカー2の助けにより固定されかつ固着される縫合糸4は2つのハトメ75を通され、図2と関連して以上でさらに説明したが図3には示さないようなたとえば縫合糸溝の中でアンカーの長さに沿って走る。
【0039】
図3に図示するようなアンカー2は、図2と関連して以上で論じたような硬組織開口5の中に固定され、2つのハトメ25を備えるピンの遠端は、アンカーに対して張力を加えられる縫合糸によっておよび/またはアンカー2のために設けられた開口5の底部上の硬組織に対してこれを押すことによって潰れ、そのような潰れにより、縫合糸4は、2つのハトメ25の間のその曲げ半径が小さくされ、これにより縫合糸がそれ以上それを通って摺動できないようにする縫合糸の制動の増大により、および/または縫合糸4がクランプされるようにするハトメ25の断面の縮小により、固着される。そのような場合、上述のような縫合糸溝のゼロ深さ部分は縫合糸をしっかりと固着するためには不要であり、このことは、この後者の場合に、縫合糸4と開口5内の硬組織との間に接触が全くなくてもよいことを意味する。
【0040】
図3は、非常に概略的な態様で、固定および固着プロセスの間の3つの連続段階(a)、(b)、および(c)でのアンカー2を示す。段階(a)では、工具1の遠端に装着されているアンカー2は硬組織開口5の口の中に位置決めされ、縫合糸4は2つのハトメ25を通り、アンカー2の一方側の開口5から出て任意の好適な手段で保持されるように走る。段階(b)では、工具1は図示しないエネルギ源によって活性化され、アンカー2は開口5の中にさらに押込まれる一方で、縫合糸4は張力を加えられたままであるかまたは縫合糸の引張りがおそらくは縫合糸と硬組織開口の中の組織との間の摩擦に対して増大される。段階(c)では、アンカー2の固定および縫合糸4の固着が完成し、硬組織開口5の底部に当接し、かつ2つのハトメ25を備えるアンカー2の遠端は潰れて縫合糸を制動
するおよび/またはクランプする。アンカー固定プロセスの間の縫合糸導管が潰れる瞬間は、この目的のために十分に高い必要がある縫合糸引張りによっておよび/または硬組織開口5の深さによって決まる。ハトメ25の潰れの瞬間まで、縫合糸4は図2に関連して以上で論じたのと同じようにアンカーに対して摺動可能なままであってもよい。
【0041】
図3に従う縫合糸アンカーを用いて摺動可能な縫合糸装着を与えるためには、縫合糸引張りは十分に低く保たれるべきである、および/または硬組織開口は十分に深い必要がある。
【0042】
図2に従う縫合糸アンカーのさらなる実施形態について以上列挙した特徴は、対応して適合されると、図3に従う縫合糸アンカーにも適用可能である。さらに、図2および図3に従う縫合糸アンカーの特徴を組合せることもでき、その結果、たとえば縫合糸を保持するための遠位チャネルもしくはハトメを備える、もしくは潰れることができる任意の遠位縫合糸導管を備える図2の縫合糸アンカー、または下が切取られてもよい潰れることができる遠位溝を備える、もしくは近位ゼロ深さ部分を有するもしくは有しない軸方向縫合糸溝を備える図3の縫合糸アンカーなどのさらなる実施形態が生じる。
【0043】
図4から図6は、発明に従う縫合糸アンカーおよび方法のさらなる例示的な実施形態を図示し、これらの実施形態のうちいくつかは図2および図3に従う縫合糸アンカーの可能な変形として既に以上でさらに言及されている。
【0044】
図4図2に示すようなアンカーとかなり同様の縫合糸アンカー2を示すが、これ以外に、ピン部分20のみを備え(ヘッド部分なし)、1つの縫合糸の収容のための1つの縫合糸溝の代わりに、2つの(またはおそらくは2つよりも多くの)縫合糸の収容のための2つの(またはおそらくは2つよりも多くの)縫合糸溝22および22′を備え、2つの縫合糸溝は遠位アンカー面を横切って交差するように延在し(縫合糸導管)、その場合それらはおそらくは下が切取られ、好ましくは図示されるように互いから等間隔を空けられ、近位アンカー面から離れたところで終端する周方向ピン部分表面に沿って軸方向に連続する(ゼロ深さ溝部分24)。
【0045】
図4に図示するのと同じ態様で、図3に従う縫合糸アンカーも、互いに対して角度を付けて配置される2つまたは2つよりも多くの遠位縫合糸導管(ハトメ)および導管の口から近位方向に延在するおそらくは軸方向の縫合糸溝を備えることにより、1つよりも多くの縫合糸をアンカー固定するように装備されてもよい。
【0046】
図5は、図2および図4に従う縫合糸アンカーと同様であるが、2つの溝レベルを構成するアンダーカット遠位溝部分23(縫合糸導管)を有する縫合糸溝22を備え、内側レベルの溝23.1は外側レベルの溝23.2よりも小さな断面および特により狭い口を備え、これによりより細い縫合糸が内側溝23.1の中に入り、かつその中に安全に保持され、おそらくは内側溝23.1に入ることができないより太い縫合糸は外側溝23.2の中に安全に保持される縫合糸アンカー2を示す。図5に従う縫合糸アンカーは、たとえば、0から3−0の番手の縫合糸を弾性的に保持することができ、より太い縫合糸(たとえばサイズ0)を外側溝23.2の中に保持し、より細い縫合糸(たとえば3−0)を内側溝23.1の中に保持する。このことは、図5に従うアンカーがかなり異なる番手について同じように適用可能であることを意味する。
【0047】
図6は、発明に従う縫合糸アンカーの助けにより、アンカー固定プロセスにおいて発生する振動または熱によって生じるおそらくは有害な影響から硬組織の中に固定されかつおそらくは固着されるべき縫合糸を保護するためのさらなる手段を図示する。これらのさらなる手段は、図2に示すようにアンカーを植込むために用いられる工具よりも断面が大き
いヘッド部分との均等物である。図2に従うもの以外に、本場合には、保護手段は、硬組織開口の中に縫合糸アンカーを固定するために用いられ、縫合糸アンカー2の縫合糸溝22の近端と整列するように配置される横方向溝26を少なくとも遠端部分上に備える工具1上に配置される。図2に図示する突出するアンカーヘッド部分と同じく、工具1のこれらの横方向溝26は、縫合糸が工具の遠位面の端縁と接しないようにし、これは摩擦および/または熱に敏感な縫合糸および振動工具については特に重要である。図4および図5に図示するようにゼロ深さ溝部分が近位アンカー面に隣接し、かつ工具が近位アンカー面に適合されるかまたはわずかにより小さい遠位面を備える場合は、そのような手段には何ら利点がない。
【0048】
図7は、以上で論じたような横方向溝26を備え、かつたとえば矩形または楕円形の細長い断面を有する突出部27をさらに備える工具1の遠位面を示す。近位アンカー面中の対応して形作られた窪みと協働して、工具の遠端への縫合糸アンカーの装着は自動的に、縫合糸溝22と横方向溝26との適切な整列という結果をもたらす。遠位工具面上の断面が細長い突出部および近位アンカー面中の対応する窪みの代わりに、たとえば断面が円形の2つの突出部と近位アンカー面中の2つの対応するボアを設けることができる。これは、近位アンカー面上に設けられている突出部および遠位工具面の窪みによって達成されることが明らかである。
【0049】
図8から図11は、発明に従う縫合糸アンカーの例示的な実施形態の遠端を図示し、これらの実施形態は、図2から図6に示されるようなアンカー遠端の代替物を構成する。図8から図11に従う縫合糸アンカーの実施形態は、図2から図6に従う縫合糸アンカー実施形態と同じ態様で、遠位アンカー面を横切るアンカー軸に対して角度付けられてまたはアンカー遠端部分を通って延在する遠位縫合糸導管(溝、チャネル、またはハトメ)を備える。少なくともその周方向表面の領域に熱可塑性を有する材料を備えるアンカーは、硬組織開口の断面よりもわずかに断面が大きいことにより、かつ硬組織開口の中に押込まれ、好ましくはたとえば超音波振動発生器に結合されている振動工具を近位アンカー面に適用することによって同時に振動されることにより、硬組織開口の中に固定される。熱可塑性を有する材料は、振動する縫合糸アンカーと縫合糸アンカーのために設けられる開口の壁の硬組織との間の界面で液化してこの硬組織に浸透し、再固化する際に縫合糸アンカーと硬組織との間で確実な嵌合接続を形成する。
【0050】
図8から図11に従う縫合糸アンカーを用いて、熱可塑性を有する材料および(以前の図と関連して論じたような固定またはアンカー固定と同様の)振動エネルギの助けによって確立される固定またはアンカー固定は、固定プロセスの際に振動工具の押圧力に対抗して張力を加えられ、かつこれにより縫合糸導管に近位のアンカー部分の中にもしくはそれに対して押込まれる縫合糸によって生じる遠位アンカーセクションの離間もしくはアンカー部分の拡張により、および/またはアンカーが押込まれる硬組織の止まり開口の底部に対する縫合糸遠端の押圧により、改良される。好ましくは、この効果は、このアンカー部分のために、液化エネルギの印加の際に軟化し、これにより弱まる材料を設けること、および/またはこのアンカー部分を他のアンカー部分よりも機械的に弱く設計することによってさらに改良される。そのような広げまたは拡張は、熱可塑性を有し、かつ開口の壁の硬組織の中に浸透する材料によって構成される縫合糸アンカーの保持を改良し、これは、この硬組織がたとえば、皮質骨層の下に位置決めされる機械的強さがほとんどない海綿骨である場合に特に有利である。広げられたアンカーセクションまたは拡張されたアンカー部分は、(骨板または皮質骨層のアクセス不可能な側の)硬組織開口を越えて位置することも可能であり、開口よりも断面が大きいことにより、開口の中にアンカーを保持するのを助ける。後者の場合は、広げおよび拡張は縫合糸の引張りによってのみ達成可能であることが明らかである。
【0051】
図8から図10は、(下が切取られたまたは切取られていない)縫合糸溝22の遠位部分のいずれかの側の遠位アンカーセクション2.1および2.2を備える縫合糸アンカー2の遠端の例示的な実施形態を示し、遠位アンカーセクションは押し広げられ、これにより硬組織開口の壁に対して押圧され、こうしてアンカー固定プロセスの間またはおそらくはその前にこれらの壁の組織を圧縮することによって付加的な圧入または確実な嵌合を発生する。遠位アンカーセクション2.1および2.2は、(外部縫合糸引張りによりまたは硬組織開口の中へのアンカーの前進の間の縫合糸と開口の壁との間の摩擦により)近位方向に引張られ、かつ対応するアンカー設計および/または液化プロセスのためにアンカーの中に送出されるエネルギの軟化効果によっておそらくは補助されて溝底部の中に押込まれる遠位溝22を通って走る縫合糸によって押し広げらる。
【0052】
図8から図10は、アンカー軸に対してある角度で(好ましくは直角に)延在し、かつ遠位アンカー部分を2つの遠位セクション2.1および2.2に分離する縫合糸溝22を備える縫合糸アンカー2の遠端部分を通る非常に概略的な軸方向断面図である。図の左側では、張力が掛かって(近位方向に引張られて)いないまたは遠位アンカー部分を変形できる程には張力を加えられていない縫合糸4が縫合糸溝22の中に保持され、図の右側では、縫合糸4に張力が加えられ、縫合糸4が近位方向に動かされて、これにより遠位アンカーセクション2.1および2.2を押し広げるまたは広げる。
【0053】
図8は1対の横断方向ボア36をさらに示し、これは、遠位縫合糸溝22と平行な向きにされ、対応のアンカー部分を弱めるために溝の底部の下に位置し、これにより引張り下にある、かつ液化プロセスのためにその中に転送されるエネルギによってさらに弱められたアンカー材料をおそらくは有する縫合糸が溝の底部の縫合糸材料の中に引張られ、これにより図8の右側に示されるように横方向の縫合糸セクションを離間するように広げることができる。
【0054】
図9は、アンダーカット遠位縫合糸溝22と、縫合糸の下の縫合糸溝の中に位置し、たとえば楔形状を有する付加的なスプレッダ要素37とを示す。好ましくはより固い材料からまたは縫合糸アンカー2よりも溶融もしくは軟化温度が高い材料からなるスプレッダ要素37は、張力を加えられた縫合糸によって縫合糸溝22の底部に対して押圧されると、アンカー材料の中に切込むことができる。
【0055】
図10は、遠位縫合糸溝22と、溝を通って走る縫合糸4とを示す。縫合糸溝22および縫合糸4はスプレッダ要素37に向けてある角度で(好ましくは直角に)延在し、スプレッダ要素37のためにさらなる溝37.1が設けられる。2つの溝22および37.1は遠位アンカー部分を4つのセクションに分離し、スプレッダ溝37.1の一方側の2つのセクションは、張力が掛かった縫合糸によりスプレッダ溝37.1の底部の中に押込まれるスプレッダ要素37によってスプレッダ溝の他方側の2つのセクションから強制的に離間され、さらに、張力が掛かった縫合糸が縫合糸溝22の底部の中に押込まれた場合も、縫合糸溝22の一方側の2つのセクションが縫合糸溝の他方側の2つのセクションから強制的に離間されてもよい。
【0056】
図11は、縫合糸引張りによりおよび/または硬組織開口の底部に対して押圧されるアンカー遠端により生じるアンカー部分の潰れによるさらなる拡張を図示する。アンカー2は、ここでも遠位縫合糸溝22と、縫合糸溝22に対して角度付けられた方向にアンカー2を通って延在する少なくとも1つ(たとえば2つ)の横断方向ボア36とを備える。図18および図19と関連して論じるような遠位アンカー部分の一種の穴開けとして働くことができない横断方向ボア36は、振動の吸収を局所的に開始する薄い材料部分を形成し、こうして対応するアンカー部分を弱め、横断方向ボアの潰れを可能にし、これにより図11の右側に示すようにアンカーが局所的に拡張する。
【0057】
図12は、図8から図11と同じ態様で、特に骨組織の止まり開口で限られた機械的強度しか有しないそのような骨組織における縫合糸アンカー保持を改良するためのさらなる手段を図示する。開口の底部壁による反作用がほとんどなくても遠位アンカー面での軟化および液化を改良するため、アンカー遠端部分は、熱可塑性を有する材料の薄くこれにより機械的に弱い部分を備え、当該弱い部分は本場合では骨組織である対抗要素に対してほとんど摩擦を有しない固定プロセスに用いられる振動の影響下で軟化するまたは液化する傾向がある。この手段の結果、潰れが起こり、これによりアンカー遠端部分がわずかに径方向に拡張し、および/またはアンカー遠端部分の付近に位置する骨組織の良好な浸透が生じ、これはアンカー固定機能の主要部分を引継ぎ得、そのため、横方向のアンカー固定のため、硬組織開口の横方向壁に対する必要な摩擦が最小限に低減され得る。
【0058】
対応する実験での良好な結果は、凹形状(たとえば図12に示すような中空の錐または錐台)の遠位アンカー面38で達成されたが、おそらくは付加的にスロットを付けられた他の中空形状を有する遠位アンカー面によって、またはいくつかの以前の図に示すような溝(たとえば縫合糸溝)により分離される遠位アンカーセクションによって達成することもできる。図12に従う縫合糸アンカーの遠端はさらに、図8図9、および図11と関連して論じたような弱め構造としてならびに/またはおそらくは潰れることができる縫合糸導管として働く2つの(または2つよりも多くの)横断方向ボア36を備える。
【0059】
図8から図12に図示するすべての手段は、たとえば前述のようなアンカーにおいて適用可能である。しかしながら、それらは、他の特性を有するアンカーにおいても適用可能である。この理由のため、発明は、図8から図12に開示するような特徴のみを備え、硬組織開口の中でのアンカー保持を向上させるために働く、アンカー(好ましくは縫合糸アンカー)と、硬組織開口の中にアンカーを固定するための方法とにも関する。対応するアンカーは、溝によって分離される端セクションを備える遠端部分、凹状の遠位面、または遠位縫合糸導管に近位に隣接する弱められたアンカー部分を特徴とする。対応する方法は、端セクションを広げること、または縫合糸に対する張力付与もしくは硬組織の止まり開口の底部に対するアンカーの当接によって弱められたアンカー部分、凹状の遠位面、もしくは端セクションを潰し、こうしてそれを拡張させることを特徴とする。
【0060】
図8から図11に従う上述の実施形態では、硬組織に対して固定されている縫合糸は、それに従って縫合糸アンカーが硬組織中に固定される方法において(遠位アンカー部分を広げるまたは拡張する)特定的な機能を有してもよい。縫合糸アンカーとして以外の適用例で、または掲記された機能には機械的に弱過ぎる縫合糸と組合せてアンカーのこれらの実施形態を用いる場合は、縫合糸の置換物を利用して記載のような縫合糸の代わりにまたはこれに加えてこの縫合糸置換物を位置決めしかつ用いて、最終的にこれを除去し、またはその端部分をクリップすることが可能である。そのような縫合糸置換物は、たとえば、好適な特性のワイヤ、リボン、または縫合糸などの任意の可撓性のかつ細長い物品であってもよい。以上の説明で用いるような「縫合糸」という用語はそのような縫合糸置換物を内包する。
【0061】
上述の発明は、特に、硬組織への軟組織の装着に好適な縫合糸アンカーに関する。硬組織においてそのような縫合糸アンカーを固定するための方法のすべての記載された実施形態において、縫合糸は、好ましくは遠位縫合糸導管を通される前に、または硬組織開口の中に位置決めされる前に、および熱可塑性を有する材料の液化の必ず前に液体(水または塩水)に浸されることにより、液化された際に熱可塑性を有する材料から放出される熱による損傷からさらに保護され得る。
【0062】
縫合糸アンカーおよび縫合糸の助けにより軟組織を硬組織に装着するためのすべての上
述の方法において、熱可塑性を有する材料は液化されて、硬組織または硬組織の中に設けられた空洞に好ましくは浸透して、再固化した際にアンカーまたはその一部と開口の壁の硬組織との間の確実な嵌合接続を構成する。そのような確実な嵌合接続は、すべての記載された場合で二段階手順でも達成可能であり、硬組織開口の壁は、刊行物WO−2010/045751またはWO−2009/141252(Nexilis)に記載のような方法に
従って前処理され、熱可塑性を有する材料は液化された状態で開口の壁の硬組織の中に押込まれて、熱可塑性を有する材料でこの壁を実質的に被覆することなくこの組織とともに一種の複合体を形成する。次に第2の工程では、本明細書および引用された刊行物に記載のようにアンカー固定プロセスを行ない、液化された材料は、前処理工程で確立された開口の壁の複合材料に浸透することができないが、代わりにこの壁の複合材料に溶接される。そのような溶接のためには、第2のまたは固定の工程で用いられる熱可塑性を有する材料が、第1のまたは前処理工程で用いられる熱可塑性を有する材料に溶接可能であることが条件である。好ましくは、熱可塑性を有する2つの材料は同じ熱可塑性ポリマーを備える。
【0063】
硬組織を備える複合材料および熱可塑性材料を有する材料を硬組織開口のちょうど口に形成するように掲記された前処理工程を行なう場合、この口が補強され、これによりこの縫合糸に張力が加えられたときに、硬組織開口の中に固定されるアンカーで硬組織開口の中に固定される縫合糸によって切込まれることに対抗する向上した能力を有するようになる。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12