【実施例】
【0025】
図1には、本発明に係る管路接続構造の一実施例およびその管路接続構造を形成するための管路接続方法が模式的な断面図により示されている。この管路接続構造は、
図1(a)に示されるように、直径が互いに等しい又は略等しい第1と第2の管路1,2の接続端同士を対向させ(クリアランス等はJIS(例えばJIS B2406 表1 付表1等)に規定)、
図1(b)に示されるように第1と第2の管路1,2を接続する管路接続構造であるが、以下のような特有の構成を有している。
【0026】
つまり、本実施例においては、
図1(a)、(b)に示されるように、まず、銅製の第1の管路1の接続先端側には、互いに管路1の長手方向に間隔を介し、該管路1の外周側にリング状に張り出した第1と第2の張り出し部3,4が形成されており、第1の張り出し部3が第2の張り出し部4よりも接続先端寄りに形成されている。この第2の張り出し部4の外周側には、真鍮製のリング部材5(バックアップリング)が、第2の張り出し部4を覆う態様で第2の張り出し部4にかしめ(拡管)により配設固定されており、該リング部材5と第1の張り出し部3との間の第1の管路1の外周側に例えばEPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)等のゴム製のOリング6が設けられている。リング部材5は、第1の管路1の接続先端側(
図1の右側)の角部が切り欠かれた態様で断面が略五角形状を呈している(
図4(a)も参照)。
【0027】
一方、第2の管路2の接続端側には、管路が拡径された拡径部7が形成されている。この拡径部7は、第2の管路2の接続端側が徐々に拡径された傾斜状の管路領域9の先端側に形成されており、拡径部7は径が均一に形成されている。また、拡径部7の先端
には
鍔部8が形成されており、該鍔部8は第2の管路2の接続端側の管路の管壁が拡径方向に張り出す張り出し側の壁部と、該張り出し側の壁部が鍔部8の外端となる張り出し位置から後ろ側(
図1の右側)に
2つ折り状態に折り返され
前記張り出し側の壁部に沿って該張り出し側の壁部の張り出しの基端側部位まで伸長した折り返し側の壁部との、二重の壁部によって形成されている。鍔部8の張り出し基端部には丸みが形成されている。
【0028】
第2の管路2の接続端側をこのように形成するためには、第2の管路2を形成する銅を金型で成形する際に、
図5に示されるように、図の矢印方向に圧力をかけながら行うことで第2の管路2の接続端側を徐々に拡径させ、その先端側を外側にカーリングさせた後、カーリングした部分を折り曲げて(1度拡径した端部を縮径し、押しつぶして)鍔部8とする。
【0029】
そうすると、管路の厚みを均一としながら、管路領域9と拡径部7と鍔部8を
図1に示したような形状に形成した、特徴的な構成の第2の管路2が形成される。鍔部8の厚みは管の肉厚の約2倍
(2倍未満は含まず)となり、接続にあたって真鍮でしか使用できなかったクリップ13による固定を行うことが可能となる。なお
、第2の管路2の端部を拡径するのではなく、第2の管路2部分を拡管し、拡管部を潰して鍔部8とし、先端を切り離すという方法もある(例えば第1の管路1の先端で行っている方法。管径等により先端が
図1の場合と
図4の場合の2通りがある)。だが、この方法だと、第2の管路2の接続端側の入り口で、第1の管路の外周側に設けられたOリングが、第2の管路2の先端を切り離す際にできた鋭利なエッジで傷ついてしまう可能性がある。
【0030】
これに対して、本実施例では、
前記のように
して拡径部7の先端
に鍔部8が形成されている
(前記の如く、第2の管路2の接続端側の管路の管壁が拡径方向に張り出す張り出す張り出し側の壁部と、該張り出し側の壁部の後ろ側に折り返された前記折り返し側の壁部との、二重の壁部によって鍔部8が形成されている)ことから、第2の管路2の接続先端側に管路2の端面(切断面等のエッジが形成されている面)が剥きだしにならずに、第2の管路2の接続端側において拡径部7のなめらかな曲面が第1の管路1の接続端側に対向する態様と成しており、第1の管路1の接続端側に設けたOリング6を傷つけることなく、スムーズ、かつ、良好に第1の管路1を第2の管路2の拡径部7に挿入することができるようにしている。なお、
図3に、
図1(b)の破線枠C内に示されている鍔部8の拡大図が示されている。
【0031】
また、第2の管路2の拡径部7の管路長さ(傾斜状の管路領域9端部から鍔部8のR端部31までの距離)は第1の管路1の接続先端からリング部材5の終端よりも短く、第1の管路1を第2の管路2の奥まで挿入しても、R端部31がリング部材5のストレート部分上に来る長さとし、かつ、拡径部7の内径はリング部材5の外径と略同じ大きさに形成されている。そして、
図1(b)に示されるように、第1の管路1の接続端側が第2の管路2の接続端側の拡径部7に嵌合されて、第1の管路1と第2の管路2とが接続されている。
【0032】
なお、リング部材5は、真鍮管(引き抜き管)を切断して形成されるので、以下の4つの面を有する。つまり、拡管による第1の管路1との圧接固定面、Oリング6のバックアップリングとしての役割を果たすバックアップ面、クリップ13のスリット39との接触面であり、第1の管路1を第2の管路2から抜けないようにする抜け止め状態保持の役割を果たす面49、第2の管路2に形成されている拡径部7の内壁面との接触による第2の管路に対する接続ぶれ防止の役割を果たす面42(第2の管路2のR端部31とリング部材5の角部36との間の面)を有する。
【0033】
そして、面42における第2の管路2のR端部31とリング部材5の角部36との間の距離が長いほど前記接続ぶれ防止に有効であり、Oリング6の配設領域(の距離)よりも長くなるほど(
図12のようにB>Aとし、Bを長くするほど)前記接続ぶれ防止効果が高くなる。なお、第1の管路1の第1と第2の張り出し部3,4間の距離はOリング6のサイズにより決まるものであり、また、Oリング6のサイズは、Oリング6が設けられる領域における第1の管路1の外径または第2の管路2の拡径部7の内径により決定される。
【0034】
ところで、本実施例では、第1の管路1を第2の管路2の拡径部7に真っ直ぐに適切に挿入嵌合できるための以下のような構成も有している。つまり、例えば
図7(a)には、本実施例の比較例として、第2の管路2の接続端側に段部19を介して拡径する拡径部17を有する構成とし、拡径部17の先端側の鍔部18を拡径部17から垂直に外側に張り出し形成された、例えば第2の管路2を、真鍮を切削加工した態様とする例が示されており、この比較例の場合には、同図に示されるように、第1の管路1の第1張り出し部3(点32)と、点32より先端にある第1の管路1の先端(点33)により位置規制(先端ガイドで前規制)されて第1の管路1が第2の管路2の拡径部17に真っ直ぐに挿入嵌合されるため、第1の張り出し部3と,第2の張り出し部4で位置規制されたバックアップリング(以降バックアップリングを含めて張り出し部4)との間に設けたOリング6の全周が略同時に挿入されるが故に、Oリング6のゴムが部分的に伸びることが無いので、損傷したりすることなく第1の管路1の接続端側を第2の管路2の拡径部17に挿入嵌合することができる。
【0035】
例えば、点32と点33において第1の管路1と第2の管路2は所定のクリアランスがあるためにどちらか一方しか無い場合には、クリアランスに対応するぶん傾き、第1の管路1が第2の管路2の拡径部17に真っ直ぐに挿入嵌合されないが、所定の距離C離れた場所に点32と点33を設けると、(Cが長ければ長いほど)真っ直ぐに挿入嵌合可能となる。略真っ直ぐに挿入嵌合可能となった後に、第1と第2の張り出し部3,4間に設けたOリング6が鍔部18の例えばCカット部分を通過させれば、Cカット部分をOリング6の全周が略同時に通過、挿入されるので、Oリング6のゴムが部分的に伸びることが無く、損傷せずに第1の管路1の接続端側を第2の管路2の拡径部17に挿入嵌合することができる。
【0036】
しかしながら、本実施例では、
図7(b)に示されるように第1の管路に点33を形成する先端ガイドが無く(前規制せず)、かつ、第2の管路2の接続端側が徐々に拡径された傾斜状の管路領域9の先端側に拡径部7を形成し、拡径部7の先端側の鍔部8は、なめらかな曲面状に第2の管路2の接続端側において外側に張り出している(第2の管路2の接続端側に丸みを帯びて斜めに張り出す態様と成している)ために、点32のみしか設けることができない。
【0037】
換言すれば、意図的に第1の管路1の中心軸と第2の管路2の中心軸とを合わせて真っ直ぐに挿入嵌合することも出来るし、
図7(b)に示されるように斜めに挿入嵌合することも出来る。つまり、第1の管路1を第2の管路2の拡径部7に挿入する場合に、第1の張り出し部3のみでは(点32のみでは)適切に位置規制されずに第1の管路1が第2の管路2の拡径部17に斜めに挿入されてしまい、第1の管路1を真っ直ぐに挿入嵌合することができない場合がある。
【0038】
そして、このように、第1の管路1が斜めに傾いた状態で第2の管路2の拡径部7に挿入されると、第1と第2の張り出し部3,4間に設けられるOリング6が、管路1の張り出し部4の頂部と変局点であるR端部31とに挟まれ、つぶされてちぎれてしまうおそれがある。このちぎれの発生は、斜めに傾いた状態で挿入されるが故に、Oリング6が略同時に拡径部7に挿入されるのではなく、先に入ったOリング6(
図7(b)では上側に断面が記載されているOリング6)と、後から入ろうとするOリング6(
図7(b)では下側に断面が記載されているOリング6)が、時差を生じて挿入されることで発生するはみ出しに起因する(上側は拡径部7に先に挿入され、下側は今だに拡径部7に挿入さておらず、中間位置ではOリング6がスライスするように斜めに半分入った状態となるが故に、スライス部分(E部分)でOリング6のゴムが伸び(E部分で引っ張られる結果、すでに内部に入っている部分のゴムも伸び)、下側(これから入ろうとする部分)ではゴムが余ることで、張り出し部3,4間に設けられていたOリング6が外にでてしまう現象、すなわち、はみ出しに起因する)。
【0039】
詳述すると、
図3に示されるRが大きい場合(拡径部7の直径の15%より大きいRを用いる場合)Oリング6は第1と第2の張り出し部3,4の間に入っているが、斜めに挿入するとOリング6の第2の管路2に面する側(点35が有る面)はR端部31を超えて圧縮して中に入る部分と、圧縮されつつR端部31を超えていない部分(E部分)と、はみ出しが生じた部分とに分かれ、他方、Oリング6の第2の管路2に面する側と反対側の面(点34が有る面)では、第1と第2の張り出し部3,4の間にある部分(点34よりD側)と、張り出し部3,4からはみ出た部分ができる。はみ出させる為には力が必要であるが、
図10に示されるように、第1の管路1の中心軸と第2の管路2の中心軸とが一致しないが為に、はみ出し力が発生しているものと思われ、後述の中心軸とが略一致する方向となった時にはみ出し力が小さくなる。
【0040】
そして、伸びていたゴムが戻ろうとする力の方が、はみ出し力よりも強くなった時点で、先に入ったOリング6が、後から入ろうとするOリング6を引っ張るものと推定される。)。張り出し部4の角部である点36がR端部31に近づくにつれて(挿入が進むにつれて)、第1の管路1の中心軸と第2の管路2の中心軸とが略一致する方向に挿入角度がしだいに浅い角度に変化する(挿入時に細かく揺すって入れる=角度を変化させて入れても同じような変化が生じる)。この時、先に入ったOリング6が(細く伸ばされたOリング6が)、後から入ろうとする(例えば
図7のFに位置にまではみ出ている)Oリング6を引っ張る。ところが挿入時に細かく揺すって入れることをせずに、最後まで
図3に示されるRに張り出し部4の角部を添わせるような最悪の挿入方法を行うと、後から入ろうとするOリング6を引っ張ろうとしても、Rと角部との距離が近接しすぎて(第1の張り出し部3と第2の張り出し部4との間にOリング6が)戻ることが出来ず、Oリング6の一部が外に出たままとなり、Oリング6のちぎれが生じる。
【0041】
ところが、
図3に示されるRが小さい場合(拡径部7の直径の12%以下のRを用いる場合)には、はみ出し力の発生量自体が小さく(例えば
図7のGの位置までしか、はみ出ないし)、早期に第1の管路1の中心軸と第2の管路2の中心軸とが略一致する方向(浅い角度)に変化し始め、Rと角部との距離が近接しすぎない状態からOリング6の引っ張りが始まる。よって、Oリング6のちぎれは生じない。
図3に示されるRが中くらい(拡径部7の直径の12%より大きく、拡径部7の直径の15%以下のRを用いる場合)では、後述の界面活性剤、油類、低摩擦表面を形成させる潤滑材等を用いないとOリング6の一部が外に出たままとなる。換言すれば、
OリングのP規格がP16未満の場合では前記潤滑材を用いることなく、水で濡らして挿入するだけでOリング6のちぎれは生じない。
【0042】
そうなると、第1と第2の管路1,2の接続部において水漏れ等の液漏れが生じるといった問題が発生することになる。さらに、鍔部8は先端を拡径させながら外側にカーリングさせた後、縮径して鍔部8とするが故に、先端がRの内側に乗りあげる場合がある(
図11の点37)。そうすると、クリップ13による固定を行う場合のクリップ13のスリット距離(
図2の38と39との間隔)を大きく取る必要がある。
【0043】
詳述すると、
図3に示されるRが小さい場合(拡径部7の直径の12%以下のRを用いる場合)には、
図11(a)に示されるように、先端がRの内側に乗りあげない場合が多く、鍔部8の厚みを略一定とする押しつぶし段階の力加減しだいで容易に厚みを略一定(例えば目標とする管材の厚みの250%以下)のばらつきで押さえることが出来る。
図3に示されるRが中くらい(拡径部7の直径の12%より大きく、拡径部7の直径の15%以下のRを用いる場合)では、
図11(b)に示されるように、先端がRの内側に乗りあげる場合が出てくる。ただし、乗り上げ量が小さいので、鍔部8の厚みを略一定とする押しつぶし段階で乗りあげたものをすこし強めに圧縮することで厚みを略一定(例えば目標とする管材の厚みの250%以下)のばらつきで押さえることが出来る。
【0044】
ところが
図3に示されるRが大きい場合(拡径部7の直径の15%より大きいRを用いる場合)では、乗り上げ量が小さいものもあれば、多きく乗り上げたものもできる。多きく乗り上げたものほど強く圧縮すれば厚みを略一定(例えば目標とする管材の厚みの250%以下)のばらつきで押さえることが出来る。しかし、先端角部をRの内側から強く押しつけるとその影響がRの外側にまで達し(
図11(c)の点40)、Rが滑らかなで無くなる場合がある。R部分は、Oリング6が圧縮されて滑り込んでいく場所であるので、滑らかでないとOリング6が傷ついてしまう。
【0045】
また、第1の管路1が第2の管路2にぶれずに挿入嵌合された状態となるようにするためには、
図8に示されるように、第1の管路1の先端側にも徐々に拡径する管路領域20と拡径部21とを形成して拡径部21を第1の管路1のぶれ止めとして機能させること(前規制)も考えられるが、
図8に示されるような第1の管路1の形成は製造が容易ではない。
【0046】
そこで、本実施例では、例えば
図7(b)に示したように第1の管路1が第2の管路2の拡径部7に斜めに挿入されてしまっても、
1−1.Oリング6にかかる、はみ出し力の発生量自体を小さくし(例えばGの位置までしか、はみ出ないようにし)、早期に第1の管路1の中心軸と第2の管路2の中心軸とが略一致する方向(浅い角度)に変化し始め、Rと角部との距離が近接しすぎない状態からOリング6の引っ張りが始まるようにすることによって、Oリング6のちぎれが生じないようにする「Rとする」と共に、
1−2.先端を拡径させながら外側にカーリングさせた後、縮径して鍔部8とするものにおいて、先端がRの内側に乗りあげる場所を極力Rエン
ド付近までとし、Oリング6が強く当たるR部分(
図4 点41より内側)に傷等が生じないようにする「Rとする」と共に、
2−1.接続にあたって第2の管路2に複雑な加工を行わないようにする為に、クリップ13による固定を行なえるようにする為に、リング部材5を伸延して、クリップ13の面39が当接するようにし、
2−2.伸延し、R端部31から離れた拡径部7の奥の方にOリング6を押しこむことで(R端部31とOリング6
が潰れて水封している面との距離を一定以上保つことで)、水漏れを防止している。特に、例えば
図3に示されるRが大きい場合(拡径部7の直径の15%より大きいRを用いる場合)では、乗り上げ量にバラツキが生じ、厚みを略一定に保つことが難しいので、クリップ13の面38と面39間の距離をさらに大きめとしなければならない。この結果、クリップ13の面38と面39間の距離を大きくしたクリップ13を用いると共に、バラツキ
に応じて拡径部7の長さを長くし、管1の先端からリング部材5の終端までの長さを長くしなければならなくなる。
【0047】
これに対し、
図11の(b)に示されるように、先端がRの内側に乗りあげる量が小さいので、鍔部8の厚み(折り返しているので最小で管材の厚みの200%)に対し、鍔部8の厚みを略一定とする押しつぶし余裕をわずか50%以下と小さくできるので、クリップ13の面38と面39間の距離が、差し込み時の余裕をαとした場合に管材の厚みの250%+αとすることが出来る。なお、前記50%を折り返しの真ん中にもってくるように、かつ、先端を少し内側に曲げて先端の角(点37)のみがぶつかるようにカーリングさせると、バネのような作用が加わると共に、鍔部8の強度が、完全に押しつぶして管材の厚みの200%(
図4(c)参照)とするよりも強度が上がる。
【0048】
ところでOリングにはP規格、G規格、V規格、S規格等があり、材質としてはNBR(ニトリルゴム)、EPDM、FKM(フッ素ゴム)、シリコン等がある。本願発明者が確認したところ、拡径部7の直径の12%以下のRを用いる対策で、P規格、G規格、V規格のNBR、EPDM、FKMでは良好な結果が得られた。但し、口径の大きい例えばP16以上の場合には挿入に力が必要なので、挿入に際し潤滑材として水等を用いることが好ましい。但し、P規格、G規格、V規格でシリコンを用いる場合、又は、S規格では、後から入ろうとする、はみ出たOリング6を引っ張る力そのものが小さい為に第1と第2の張り出し部3,4間の位置に戻りにくい。そこで、水等の潤滑材に換えて、界面活性剤、油類等、低摩擦表面を形成させる潤滑材を用いるようにして確実にGの位置に戻るようにしても良いし、Oリング6に対し表面処理を行い、極薄膜の非粘着層、及び低摩擦表面を形成させるようにして確実にGの位置に戻るようにしてもよい。
【0049】
なお、例えば
図4(c)に示されるように、張り出し部4の角部である点36がR端部31に対してラップしていれば良く、水圧等で第1の管路1が抜けそうになっても、ラップ代があれば水漏れしない。なお、第1の管路1と第2の管路2の中心線が一致して、ブレがない状態でOリング6が挿入されているように、点32と点42(点36とR端部31間の距離)で後規制がされている。すなわち、前規制や内径規制等で略中心線を一致させて挿入するのではなく、斜めに挿入することを許し、その斜め挿入による不具合発生を回避しつつ、略挿入完了と共に後規制により、ブレがない状態でOリング6挿入が完了されているようにするものである。
【0050】
本実施例では、以上のように形成することにより、本実施例では、第1の管路1が、リング部材5と第1の張り出し部3とにより第2の管路2の拡径部7の管路内側に位置決めされた状態で、たとえ初期に斜めで挿入され、これにより、Oリング6が部分的に伸びて、一部が第1の管路1の第1と第2の張り出し部3,4による位置規制を逸脱してはみ出ても、強い引っ張り力が働くR(
図3に示されるR)とすることで、逸脱したOリング6が第1と第2の張り出し部3,4に戻ることが出来る。
【0051】
なお、
図2には、本実施例の管路接続構造を適用する第1と第2の管路1,2の接続端部構成が模式的な斜視図により示されており、このように第1と第2の管路1,2を対向配置し、
図1(b)に示したように第1と第2の管路1,2同士を接続した後、
図2に示されるように、クリップ13により第1と第2の管路1,2の接続端同士を挟んで固定するとよい。また、
図6には、一方側の端面が第1の管路1の接続端側の構成を有して他方側の端部が第2の管路2の接続端側の構成を有するS字管路16の側面図が示されており、本実施例のような管路接続構造は、例えば
図6に示されるような管路16同士を接続する接続構造として適用される。
【0052】
本実施例によれば、第2の管路2の接続端側に拡径部7を形成し、その先端
に鍔部8
を形成し、この鍔部8は、第2の管路2の接続端側の管路の管壁が拡径方向に張り出す張り出し側の壁部と、該張り出し側の壁部が鍔部8の外端となる張り出し位置から後ろ側に2つ折り状態に折り返され前記張り出し側の壁部に沿って該張り出し側の壁部の張り出しの基端側部位まで伸長した折り返し側の壁部との二重の壁部によって形成し、鍔部8の張り出し基端部に丸みを形成していることにより、第2の管路2の先端部に、管路2の切断面等の接続相手側を傷つけるような端面が剥きだしになることがなく、また、
図4に示したようなリング部材5の長さ構成(後規制)によって第1の管路1を第2の管路2の拡径部7に真っ直ぐに挿入嵌合できるので、第1の管路1の接続端側に設けたOリング8を傷つけることなく、スムーズ、かつ、良好に、第1の管路1を第2の管路2の拡径部7に挿入し、容易に、かつ、ぶれもなく、良好な状態で第1と第2の管路1,2を接続することができる。また、従来例のように真鍮製の接続端部材12を設ける必要がないため、真鍮製の接続端部材12を設けることによる前記の様々な問題を解決することができる。
【0053】
なお、本発明は、前記実施例に限定されるものでなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において様々な態様を採り得る。例えば、前記実施例では、リング部材5の形状を、第1の管路1の接続先端側角部が切り欠かれた形状としたが(
図1、
図4(a)、参照)、
図4(b)に示されるように、第1の管路1の接続先端側に丸みを持たせた形状としてもよい。このようにする場合には、丸みが形成された端部と第1の張り出し部3との長さをAとして、前記実施例と同様に、長さAよりも、リング部材5が第2の管路2の拡径部7の内側に接触する長さBの方が大きくなるようにするとよい。
【0054】
また、本発明の管路接続構造は給湯器以外の熱源装置に適用してもよいし、熱源装置以外に適用してもよく、また、水管等の液体を通す管路同士の接続方法に限らず、ガス管等の気体を通す管路同士の接続方法に適用してもよい。
【0055】
さらに、管路1、2の部材は、銅管以外にも、アルミやステンレス等であってもかまわない。リング部材5は、真鍮以外にも、樹脂やセラミック等であってもかまわない。リング部材5の内径は第1の管路1の外径と略同じであり、外径は拡径部7の内径と略同じなので、この内外径を持つ真鍮管(引き抜き管)をカットして使用できるので、外径に段差があることで真鍮棒を切削加工して作る物と比較して極めれば低価格とすることができる。