(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記記憶部は、記憶する前記線路の位置情報について、前記線路が直線方向に延びる部分の方が湾曲方向に延びる部分に比べ、前記線路の施設方向で隣り合う地点間の距離が長く設定されることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の無人飛行体の飛行システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0012】
図1は、実施の形態に係る無人飛行体の飛行状態を示す概略図である。
図1に示すように、本実施の形態における無人飛行体の飛行システムは、鉄道の線路R上に無人飛行体10を自律飛行させ、線路Rの保線、検査、安全点検等のために不図示の撮像装置を無人飛行体10に搭載して線路Rを撮像するために利用される。本実施の形態の飛行システムにおいては、無人飛行体10で線路Rを撮像する場合、線路Rの施設方向に沿った飛行ルートでの飛行を制御し、主として、線路Rと、線路R上に位置する架線Lとの間の筒状空間となる通常飛行範囲F1にて無人飛行体10が飛行するよう制御する。
【0013】
図2は、実施の形態に係る無人飛行体の飛行システムの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、無人飛行体10は、制御部11、記憶部12、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球測位システム)信号受信部13、幅方向検出部14、高さ方向検出部15及び障害物検出部16を備えている。
【0014】
制御部11は、中央処理装置(CPU)等からなり、記憶部12などに記憶されたプログラムや各部からの入力信号に基づき、無人飛行体10の各部を制御する。制御部11は、無人飛行体10の後述する速度調整等の飛行制御に加え、記憶制御、通信制御、撮像制御、その他入出力制御などを行う手段として機能するが、必ずしも1つのハードウェアで構成される必要はない。例えば、複数のハードウェアが処理を分担してもよいし、複数のハードウェアが協業して1つの手段として機能してもよい。
【0015】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリ等を備えている。ROMでは、制御部11が各種の演算、制御を行うためのプログラムや、アプリケーションとして機能するためのプログラム、データ等が記憶される。RAMは、制御部11の作業領域として用いられたり、各検出部14〜16の検出結果情報が制御部11を介して記憶されたりする。RAMでは、ROMから読み出されたプログラムやデータ、通信部18から入力されたデータ、制御部11が各種プログラムに従って実行した演算結果等が一時的に記憶され、例えば、後述する
図3に示した線路Rに関する情報が記憶される。不揮発性メモリでは、制御部11の演算によって生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータが記憶される。
【0016】
通信部18は、通信インターフェースとしてセンタ等の外部装置から有線又は無線通信によってデータを取得するようにしたり、データを内蔵するメモリーカード等の記憶媒体を接続可能なスロット等のインターフェースとしたりてもよい。
【0017】
GNSS信号受信部13は、GNSS衛星19から発せられるGNSS電波を受信するとともに、受信した信号を処理し、リアルタイムでの無人飛行体10の位置情報(経緯度座標)を測位する。
【0018】
幅方向検出部14は、線路Rの画像を撮影可能であれば方式は限定されないが、光学レンズ、CMOSセンサ、デジタル画像処理部等を備えて画像データを取得する撮像装置を例示することができる。幅方向検出部14は、取得した画像データを所定処理し、飛行する無人飛行体10における線路Rの幅方向の位置を検出するために用いられる。なお、幅方向検出部14で用いる撮像装置は、線路Rの巡視のために用いる撮像装置と兼用してもよいし、それぞれ別の撮像装置を用いてもよい。
【0019】
高さ方向検出部15は、例えば、所定角度毎に回転するレーザ送受信センサを内蔵したレーザ計測装置により構成される。高さ方向検出部15は、垂直方向にて360°全方位にパルス状に発光するレーザを照射して散乱光を検出し、その反射時間から飛行する無人飛行体10と線路R及び線路R上に位置する架線L(
図1参照)との離隔距離を検出することができる。また、高さ方向検出部15は、所定角度毎の角度分解能を備えており、線路R及び架線Lからの角度を検出することができる。
【0020】
高さ方向検出部15は、線路離隔距離検出部15A及び架線離隔距離検出部15Bを備えている。線路離隔距離検出部15Aは、高さ方向検出部15からレーザを照射して得られるデータを抽出し、線路Rと無人飛行体10との距離及び角度を検出するための機能を発揮するものである。架線離隔距離検出部15Bは、高さ方向検出部15からレーザを照射して得られるデータを抽出し、架線Lと無人飛行体10との距離及び角度を検出するための機能を発揮するものである。
【0021】
障害物検出部16は、複数のレーザ送受信センサを内蔵したレーザ計測装置やミリ波センサ等により構成される。障害物検出部16は、線路Rの施設方向となる前後方向にて360°全方位にパルス状に発光するレーザを照射して散乱光を検出し、その反射時間から飛行する無人飛行体10と線路R上の障害物との離隔距離を検出することができる。障害物がない場合には、反射する散乱光を非検出となり、障害物検出部16にて障害物の有無を検出することができる。
【0022】
図3は、実施の形態における記憶部のデータ構成図である。記憶部においては、
図3に示すように、線路Rの複数地点での位置情報と、当該位置情報に関連付けて設定される設定情報及び次動作情報とが記憶され、位置情報が設定された地点を設定点として管理する。位置情報は、経緯度座標とされ、線路R上にて無人飛行体10が飛行して経由すべき位置に設定される。従って、複数の設定点の位置情報は、線路Rの敷設方向の順番に記憶、管理され、複数地点の位置情報を順に結ぶことによって線路Rの敷設方向に沿った飛行ルートとなる。
【0023】
ここで、隣り合う設定点の間隔は、同一としてもよいが、異なるように設定することが好ましい。具体的には、線路Rが直線方向に延びる部分での隣り合う設定点の間隔は、相対的に長く設定しても、それらを結ぶ飛行ルートが線路Rに重なるようになる。一方、線路Rが湾曲方向に延びる場合には、隣り合う設定点の間隔を同様に長くすると飛行ルートが線路上から離れてしまうので、設定点を結ぶ飛行ルートが線路R上の所定範囲内に収まるように間隔を相対的に短く設定する。なお、
図3では位置情報等をマトリクスで表したが、図面データや地図データからプログラムの実行等によって位置情報となる経緯度座標を求めるようにしてもよい。
【0024】
図4は、実施の形態における無人飛行体が飛行する路線の一例を示す説明用平面図である。設定点の設定情報としては、
図4にも示すように、始点P1、終点P7、離陸点Ps、着陸点Pe、入出点P2、減速点P3、増速点P4、分岐点P5、経由点P6がある。
【0025】
始点P1は、線路R上での無人飛行体10の飛行開始地点であり、終点P7は、線路R上での無人飛行体10の飛行終了地点である。離陸点Psは、始点P1の近傍であって無人飛行体10が離陸する線路R外の地点であり、着陸点Peは、終点P7まで達した後の無人飛行体10が着陸する線路R外の地点である。
【0026】
入出点P2は、線路Rと架線Lとの間の通常飛行空間F1(
図7参照)で飛行する無人飛行体10が架線Lの上方の退避移動空間F2(
図7参照)に移動する地点であり、また、退避移動空間F2を飛行する無人飛行体10が通常飛行空間F1に移動する地点である。具体例としては、踏切Cの手前に所定距離離れた位置と、踏切Cを通過して所定距離通り過ぎた位置となる。なお、入出点P2は、通常飛行空間F1と退避飛行空間F2との間で無人飛行体10が飛行する際、障害物となる建物や架線柱、盛土等で飛行不能にならない場所が選択される。
【0027】
減速点P3は、線路Rの施設方向に沿って飛行する無人飛行体10の飛行速度を低下させる地点であり、具体例としては、踏切Cに達する直前位置となる。増速点P4は、無人飛行体10の飛行速度を上昇させる地点であり、具体例としては、踏切Cを通過した直後位置となる。
【0028】
分岐点P5は、線路Rが二方向に分岐する地点である。分岐点P5には、次動作情報(
図3参照)として、二方向に分岐した線路Rのうち無人飛行体10を飛行させるべく選択された何れか一方の線路Rの選択情報(例えば、「左」「右」)が関連付けられる。
【0029】
経由点P6は、線路R上の位置情報が記憶されて無人飛行体10が経由する地点であって、上述した始点P1、入出点P2、減速点P3、増速点P4、分岐点P5、終点P7を除く地点となる。
図4では、経由点P6を一箇所だけを図示して他の箇所の図示を省略したが、飛行ルートに応じ、始点P1から終点P7の間の複数地点に設定される。
【0030】
図5は、制御部の機能ブロック図である。
図5に示すように、本実施の形態に係る制御部11は、方向制御部11a、方向補正部11b、高さ制御部11c、方向補正補助部11d、判定部11e、退避部11f、復帰部11g及び退行部11hとして機能する。これらの機能ブロックは、記憶部12に記憶された飛行制御のためのプログラムが制御部11によって実行されることによって実現される。なお、
図5に示す制御部11の機能ブロックは、本発明に関連する構成のみを示しており、無人飛行体10の姿勢制御等、それ以外の構成については省略している。
【0031】
方向制御部11aは、無人飛行体10の飛行中、リアルタイムでの機体位置(経緯度座標)としてGNSS信号受信部13が受信したGNSS信号を取得する。そして、取得したGNSS信号の位置情報から、飛行方向にて直近に通過した設定点の次の設定点の経緯度座標を記憶部12から取得し、飛行の目標点として設定する。かかる処理を飛行中に少なくとも設定点を通過する毎に実施することで、線路Rの敷設方向に沿った飛行ルートを設定する。設定した飛行ルートに従い、無人飛行体10の駆動系統を制御して無人飛行体10を飛行させる。
【0032】
方向補正部11bは、方向制御部11aで設定した飛行ルートで無人飛行体10が飛行している間において、幅方向検出部14の検出結果となる線路Rの画像データを取得する。そして、取得した画像データから輝度分布等によって線路Rの幅方向中心を求め、当該中心と無人飛行体10の機体位置との幅方向の離隔距離を演算する。
【0033】
方向補正部11bでの演算の具体例について、
図6を参照して説明する。
図6は、方向補正部での処理の一例を説明するための概念図である。方向補正部11bでは、例えば、幅方向検出部14における
図6Aに示す画像範囲14bにて線路Rの画像を幅方向検出部14から取得した場合、画像内にて、飛行方向と概略平行となる縦方向に延びる線状構造物R1を抽出する。抽出方法としては、
図6Aの点線で示すように、線状構造物R1の施設方向に所定間隔毎に設定した横方向のラインLNで輝度を抽出する。
【0034】
また、方向補正部11bにて取得する画像の横方向の中心位置と、無人飛行体10の機体の横方向中心位置(機体中心位置)とを予め位置合わせしておき、
図6Aの一点鎖線14cで示すように画像に表れるようにしておく。
【0035】
各ラインLNで輝度を抽出すると、
図6Bに示すように、線状構造物R1上では、他の地面R2や枕木R3との対比で輝度の変化が大きくなり、かかる輝度変化が大きな箇所(
図6Bの円で囲まれた箇所)の横方向の位置を抽出する。かかる抽出した位置を縦方向に並べる。次いで、
図6Cに示すように、各ラインLNにて輝度変化が大きくなる2箇所位置であって、その間隔が一定となる直線部分R1aを線状構造物として抽出する。2本の直線部分R1aの横方向中心位置が線路Rの中心位置Rcとなり、当該中心位置Rcと機体中心位置14cとの横方向の距離を算出する。
【0036】
また、方向補正部11bでは、線路Rの上方の飛行範囲として、通常飛行範囲F1(
図7参照)における線路Rの幅方向(横方向)の限界位置を設定する。かかる設定では、幅方向検出部14の画像範囲内に常に線路Rが入り、且つ、線路R周りの架線柱等の障害物に飛行する無人飛行体10が接触しないように通常飛行範囲F1の幅方向の限界位置が決定される。方向補正部11bは、線路Rの中心位置と機体の中心位置との距離から通常飛行範囲F1の内外いずれを飛行しているかを判定する。そして、通常飛行範囲F1外であれば、機体の中心位置と線路Rの中心位置とが一致するよう無人飛行体10の駆動系統を制御し、通常飛行範囲F1に収まって飛行するように飛行ルートを補正する制御が行われる。
【0037】
高さ制御部11cは、高さ方向検出部15の線路離隔距離検出部15Aが検出した線路Rと無人飛行体10との距離及び角度を取得する。一例を挙げると、高さ制御部11cでは、
図8に示すように、高さ方向検出部15で検出した360°方向の距離データのうち、機体より下部分(例えば90°範囲)を測定した図中円マークで示す計測点での測距データを抽出する。次いで、これら測距データのうち、
図8の二点鎖線で示すように、接続して直線に近似する近似直線R4(直線近似をして相関の高い部分)を抽出する。そして、抽出した近似直線R4から高さ方向検出部15までの最短距離D1を算出し、線路Rと無人飛行体10との距離として取得する。
【0038】
また、高さ制御部11cは、高さ方向検出部15の架線離隔距離検出部15Bが検出した架線Lと無人飛行体10との距離及び角度を取得する。一例を挙げると、高さ制御部11cでは、
図9に示すように、高さ方向検出部15で検出した360°方向の距離データのうち、機体より上部分(例えば45°範囲)を測定した測距データを抽出する。次いで、これら測距データのうち、高さ方向検出部15から最も近い測距データD2を抽出し、架線Lと無人飛行体10との距離として取得する。なお、測距データは、データ抜けも考え、過去数回分のデータから外挿して使用する。
【0039】
更に、高さ制御部11cにおいては、安全性等を考慮し、線路Rからの離隔距離として許容できる上限値及び下限値が設定された飛行範囲と、架線Lからの離隔距離として許容できる上限値及び下限値が設定された飛行範囲とが重なる通常飛行範囲F1(
図7参照)を求める。求めた通常飛行範囲F1と取得した線路R及び架線Lとの距離とを比較し、通常飛行範囲F1外であれば、飛行高度を補正するよう無人飛行体10の駆動系統を制御して無人飛行体10を線路R上で飛行させる。
【0040】
なお、高さ制御部11cは、架線離隔距離検出部15Bから取得した距離及び角度に応じ、架線Lより所定距離上方に離れた退避飛行範囲F2(
図7参照)を求め、求めた退避飛行範囲F2の飛行高度に応じて無人飛行体10の飛行高度を制御する機能も備える。
【0041】
ここで、通常飛行範囲での方向補正部11b及び高さ制御部11cの制御フローについて、
図10のフロー図を参照して説明する。
図10は、通常飛行範囲での飛行制御の流れを示すフロー図である。無人飛行体10の飛行中、次の目標点に飛行するにあたり、方向補正部11b及び高さ制御部11cにて通常飛行範囲F1を設定する(ステップ(以下、「S」という)101)。また、飛行中においては、幅方向検出部14で線路Rを撮像し(S102)、撮像した画像データから、線路Rの幅方向における線路Rの中心位置を求め、線路Rの中心位置から無人飛行体10の機体中心位置との距離を取得する(S103)。
【0042】
続いて、高さ方向検出部15が線路Rを検出し(S104)、検出した距離データから高さ制御部11cにて線路Rと無人飛行体10との距離を取得する(S105)。更に、高さ方向検出部15が架線Lを検出し(S106)、検出した距離データから高さ制御部11cにて架線Lと無人飛行体10との距離を取得する(S107)。
【0043】
ステップS103、S105、S107で取得した距離と通常飛行範囲F1とを比較し(S108)、通常飛行範囲F1内であれば(S108:YES)、飛行位置及び高度の補正を行わずに飛行を継続する。通常飛行範囲F1外であれば(S108:NO)、幅方向における飛行位置や飛行高度を補正する(S109)。
【0044】
方向補正補助部11dは、無人飛行体10が線路Rの分岐点P5(
図4参照)を通過した後、方向補正部11bでの飛行ルートの補正を補助する。具体的には、方向補正部11bにて取得した幅方向検出部14からの画像データにて、分岐点P5の通過後は二方向の線路Rが検出されるが、方向補正補助部11dでは、分岐点P5に関連付けられた線路Rの選択情報(次動作情報)を記憶部12から取得し、一方の線路Rだけについて方向補正部11bでの処理を行うようにする。つまり、選択情報にて、分岐した線路Rのうち無人飛行体10を飛行させるべく選択された線路R以外の線路を方向補正部11bで認識しないように処理する。これにより、線路Rの分岐点を通過した後、選択情報で選択された線路R上に無人飛行体10が飛行するよう制御される。
【0045】
このように方向補正補助部11dにて、選択情報の線路Rだけを方向補正部11bで処理するよう制御するので、分岐によって2本の線路Rが幅方向検出部14で撮像された場合でも、所望の飛行ルートに従った自律飛行を実現することができる。
【0046】
判定部11eは、無人飛行体10が線路Rの入出点P2に到達したときに、高さ方向検出部15の線路離隔距離検出部15Aが検出した線路Rと無人飛行体10との距離と、架線離隔距離検出部15Bが検出した架線Lと無人飛行体10との距離とを取得する。そして、判定部11eでは、取得した線路Rや架線Lとの距離に基づき、無人飛行体10の飛行している高度が上述の通常飛行範囲F1か、架線Lの上方となる退避飛行範囲F2かを判定する。
【0047】
退避部11fは、無人飛行体10の飛行高度が通常飛行範囲F1と判定したときに、無人飛行体10の駆動系統を制御し、通常飛行範囲F1から架線Lの上方となる退避飛行範囲F2に退避するよう無人飛行体10を飛行させる。復帰部11gは、無人飛行体10の飛行高度が退避飛行範囲F2と判定したときに、無人飛行体10の駆動系統を制御し、退避飛行範囲F2から線路Rと架線との間となる通常飛行範囲F1に復帰するよう無人飛行体10を飛行させる。
【0048】
続いて、通常飛行範囲F1から退避飛行範囲F2に退避飛行する制御フローについて、
図11〜
図13を参照して説明する。
図11は、退避飛行の制御の流れを示すフロー図である。
図12及び
図13は、退避部での処理の一例を説明するための概念図である。退避飛行の前は、
図12Aに示すように、通常飛行範囲F1内を無人飛行体10が飛行しているものとする。また、
図12及び
図13の無人飛行体10と線路R及び架線Lとの位置関係を示す各図において、点線が幅方向検出部14の撮像範囲14aを示し、二点鎖線が高さ方向検出部15の検出範囲15aを示す。なお、撮像範囲14a及び検出範囲15aの図示については、後述する
図15及び
図16も同様である。
【0049】
先ず、退避部11fでは、方向補正部11b及び高さ制御部11cにて設定した通常飛行範囲F1を取得する(S201)。また、飛行中、
図12Aに示すように、幅方向検出部14で線路Rを撮像し(S202)、撮像した画像データから、線路Rの幅方向における線路Rの中心位置Rcを求め、線路Rの中心位置から無人飛行体10の機体中心位置14cとの距離を取得する(S203)。
【0050】
続いて、
図12Bに示すように、無人飛行体10を線路Rの幅方向に移動するよう飛行制御(S204)しつつ、高さ方向検出部15が線路R及び架線Lを検出し(S205)、線路R及び架線Lと無人飛行体10の機体との距離及び角度を取得する(S206)。線路Rの幅方向への移動を続けると、幅方向検出部14の検出範囲14aから線路Rがはみ出て画像範囲14bに線路Rが収まらなくなる。ステップS206で取得した距離及び角度が予め設定した閾値を超えたら、幅方向への移動を停止し、
図13Aに示すように、上昇する方向に移動するよう飛行制御する(S207)。
【0051】
上昇移動を続けると、幅方向検出部14の検出範囲14a、画像範囲14bに線路Rが入るようになる。上昇移動においても、線路R及び架線Lと無人飛行体10の機体との距離及び角度を取得し(S208)、それらが予め設定した閾値を超えたら、上昇移動を停止し、線路Rの幅方向に移動して架線Lに接近するよう飛行制御する(S209)。そして、ステップS208で取得した距離及び角度が予め設定した閾値を超えたら、幅方向への移動を停止し、
図13Bに示すように、無人飛行体10が架線Lの上方位置となる退避飛行空間F2に到達する(S210)。このとき、幅方向検出部14の画像範囲14bに線路Rが収まり、線路Rに架線Lが重なって撮像される。なお、
図13Bでは、架線Lと、線路Rの中心位置Rcと、機体中心位置14cとが重なるため、各中心位置Rc、14cの図示を省略する。後述する15Aも同様である。
【0052】
続いて、退避飛行範囲F2から通常飛行範囲F1に復帰飛行する制御フローについて、
図14〜
図16を参照して説明する。
図14は、復帰飛行の制御の流れを示すフロー図である。
図15及び
図16は、復帰部での処理の一例を説明するための概念図である。復帰飛行の前は、
図15Aに示すように、退避飛行範囲F2を無人飛行体10が飛行しているものとする。
【0053】
先ず、復帰部11gでは、方向補正部11b及び高さ制御部11cにて設定した通常飛行範囲F1を取得する(S301)。また、飛行中、
図15Aに示すように、幅方向検出部14で線路R及び架線Lを撮像し(S302)、撮像した画像データから、線路Rの幅方向における線路Rの中心位置(図示省略)を求め、線路Rの中心位置から無人飛行体10の機体中心位置(図示省略)との距離を取得する(S303)。また、高さ方向検出部15が線路R及び架線Lを検出し(S304)、線路R及び架線Lと無人飛行体10の機体との距離及び角度を取得する(S305)。
【0054】
ステップS304の検出及びステップS305の距離及び角度の取得を継続しつつ、
図15Bに示すように、無人飛行体10を線路Rの幅方向に移動するよう飛行制御する(S306)。ステップS305で取得した距離及び角度が予め設定した閾値を超えたら、幅方向への移動を停止し、
図16Aに示すように、下降する方向に移動するよう飛行制御する(S307)。
【0055】
下降移動においても、線路R及び架線Lと無人飛行体10の機体との距離及び角度を取得し(S308)、それらが予め設定した閾値を超えたら、下降移動を停止し、線路Rの幅方向に移動して線路Rに接近するよう飛行制御する(S309)。そして、ステップS308で取得した距離及び角度が予め設定した閾値を超えたら、幅方向への移動を停止し、
図16Bに示すように、無人飛行体10が通常飛行空間F1に到達する(S310)。
【0056】
退行部11hは、無人飛行体10の飛行中、線路R上に障害物があるか否かの検出結果を障害物検出部16より取得する。そして、障害物検出部16で障害物を検出したときに、無人飛行体10の駆動系統を制御し、飛行高度を通常飛行範囲に維持したまま直近で通過した入出点まで退行するよう無人飛行体10を飛行させる。その後、退行部11hでは、退避部11fと同様にして、通常飛行範囲F1から退避飛行範囲F2に無人飛行体10を飛行させる。
【0057】
次に、無人飛行体10を自律飛行させるための制御方法について、
図17及び
図18のフロー図を参照して説明する。
図17及び
図18は、無人飛行体を自律飛行するための制御部での制御の流れを示すフロー図である。
【0058】
線路R上で無人飛行体10を飛行させる事前準備として、作業者によって線路Rの電子平面図やデータベース、線路Rにおける建築限界等の情報を用意する。そして、それら情報に基づき、無人飛行体10の飛行計画を作成し、安全性を考慮した通常飛行範囲F1及び退避飛行範囲F2の線路R及び架線Lからの距離、作業範囲となる
図3に示した各情報を含む作業用地図をデータとして作成する。
【0059】
上記事前準備の後、作成した作業用地図のデータを通信部19で受信し、記憶部12に記憶する(S01)。また、飛行計画にて設定した離陸点Ps(
図4参照)に無人飛行体10を運搬し、GNSS信号受信部13でGNSS信号を受信して機体位置情報(経緯度座標)を取得する(S02)。そして、最初の目標点を始点P1とし、記憶部12に記憶された始点P1の位置情報とGNSS信号による機体位置情報とにより無人飛行体10の飛行を始点P1に向かって開始する(S03)。
【0060】
次に、高さ方向検出部15の検出結果に基づき、飛行高度が線路Rと架線Lとの間の通常飛行範囲F1であるか否かを判定する(S04)。機体位置が通常飛行範囲F1である場合(S04:YES)、
図10に示した通常飛行範囲F1での飛行制御を実施し(S05)、通常飛行範囲F1に収まった位置での飛行を維持する。ステップS04にて機体位置が通常飛行範囲F1でない場合(S04:NO)、飛行高度が架線L上の退避飛行範囲F2となる。この場合、高さ方向検出部15が検出する架線Lと機体との距離及び角度に基づき、退避飛行範囲F2に収まる位置での飛行を維持するよう飛行制御する(S06)。
【0061】
ステップS05又はステップS06の実施後、線路R上での無人飛行体10の飛行中、線路R上に障害物があるか否かの検出結果を障害物検出部16より取得する(S07)。障害物がある場合(S08:YES)、飛行方向の後方にて現時点から一番近い入出点P2まで無人飛行体10が退行するよう飛行させる(S09)。なお、障害物が始点P1の直ぐ前にある場合、始点P1を入出点P2とみなして退行させる。かかる入出点P2まで退行後、通常飛行範囲F1から退避飛行範囲F2に無人飛行体10を退避するよう飛行させる(S10)。そして、退避飛行範囲F2にて無人飛行体10が次の目標点に飛行するよう制御し、ステップS04に戻る。このように線路R上の障害物を検出した場合、入出点P2まで退行した後、退避飛行範囲F2に退避飛行するので、無人飛行体10と障害物との接触防止を図った自律飛行を実現することができる。
【0062】
ステップS08にて障害物がない場合(S08:NO)、
図17及び
図18の「A1」を経て、GNSS信号による現在の機体位置情報が入出点P2の位置情報と同位置若しくは該位置から所定範囲内(以下、「略同位置」とする)にあるか否かを判定する(S11)。
【0063】
機体位置が入出点P2と略同位置である場合(S11:YES)、高さ方向検出部15の検出結果に基づき、飛行高度が線路Rと架線Lとの間の通常飛行範囲F1であるか否かを判定する(S12)。機体位置が通常飛行範囲F1である場合(S12:YES)、通常飛行範囲F1から退避飛行範囲F2に無人飛行体10を退避するよう飛行させた後、無人飛行体10の目標点を入出点P2の次の設定点に更新し、該設定点に向かって無人飛行体10を飛行させる(S13)。
【0064】
ステップS12にて機体位置が通常飛行範囲F1でない場合(S12:NO)、飛行高度が架線L上の退避飛行範囲F2となる。この場合、退避飛行範囲F2から通常飛行範囲F1に無人飛行体10を復帰飛行するよう飛行制御した後、無人飛行体10の目標点を入出点P2の次の設定点に更新し、該設定点に向かって無人飛行体10を飛行させる(S14)。ステップS10、S11の実施後、後述するステップS23に進む。
【0065】
入出点P2は、上述したように踏切Cの前後にそれぞれ配置される(
図4参照)。踏切Cの手前の入出点P2で無人飛行体10が退避飛行範囲F2に移動するので、踏切Cにおいては、退避飛行範囲F2つまり架線Lの上方を通過するようになる。従って、踏切Cの遮断機を作動させてなくても、踏切C内を通行する車両等への衝突が回避される。また、踏切Cを通過後は、入出点P2で無人飛行体10が通常飛行範囲F1に復帰移動するので、線路Rに近付いた位置で線路R上を飛行することができる。
【0066】
ステップS11にて機体位置が入出点P2と略同位置でない場合(S11:NO)、現在の機体位置情報が減速点P3の位置情報と略同位置にあるか否かを判定する(S15)。機体位置が減速点P3と略同位置である場合(S15:YES)、制御部11にて無人飛行体10の駆動系統を制御し、無人飛行体10の飛行速度を減速させる(S16)。また、無人飛行体10の目標点を減速点P3の次の設定点に更新し、該設定点に向かって無人飛行体10を飛行させる(S16)。ステップS16の実施後、後述するステップS23に進む。
【0067】
ステップS15にて機体位置が減速点P3と略同位置でない場合(S15:NO)、現在の機体位置情報が増速点P4の位置情報と略同位置にあるか否かを判定する(S17)。機体位置が増速点P4と略同位置である場合(S17:YES)、制御部11にて無人飛行体10の駆動系統を制御し、無人飛行体10の飛行速度を増速させる(S18)。また、無人飛行体10の目標点を増速点P4の次の設定点に更新し、該設定点に向かって無人飛行体10を飛行させる(S18)。ステップS18の実施後、後述するステップS23に進む。
【0068】
ステップS17にて機体位置が増速点P4と略同位置でない場合(S17:NO)、現在の機体位置情報が分岐点P5の位置情報と略同位置にあるか否かを判定する(S19)。機体位置が分岐点P5と略同位置である場合(S19:YES)、無人飛行体10の目標点を分岐点P5の次の設定点に更新し、該設定点に向かって無人飛行体10を飛行させる(S20)。このとき、上述のように方向補正補助部11dでの処理を行い、線路Rの選択情報に応じ、分岐した線路Rから一方の線路Rだけに基づいて、方向補正部11bにおける飛行方向の補正を補助するようにする(S20)。ステップS20の実施後、後述するステップS23に進む。
【0069】
ステップS19にて機体位置が分岐点P5と略同位置でない場合(S19:NO)、現在の機体位置情報が終点P7の位置情報と略同位置にあるか否かを判定する(S21)。機体位置が終点P7と略同位置である場合(S21:YES)、無人飛行体10の目標点を着陸点Peに更新し、該着陸点Peに向かって無人飛行体10を飛行させる(S22)。ステップS22の実施後、後述するステップS23に進む。
【0070】
ステップS21にて機体位置が終点P7と略同位置でない場合(S21:NO)、及び、ステップS13、S14、S16、S18、S20、S22の実施後、現在の機体位置情報が着陸点Peの位置情報と略同位置にあるか否かを判定する(S23)。機体位置が着陸点Peと略同位置である場合(S23:YES)、飛行高度を徐々に下げる飛行制御を実施して着陸点Peに無人飛行体10を着陸させ(S24)、飛行を終了する。
【0071】
ステップS23にて機体位置が着陸点Peと略同位置でない場合(S23:NO)、現在の機体位置情報が経由点P6の位置情報と略同位置にあるか否かを判定する(S25)。機体位置が経由点P6と略同位置である場合(S25:YES)、無人飛行体10の目標点を経由点P6の次の設定点に更新し、該設定点に向かって無人飛行体10を飛行させる(S26)。ステップS25又はステップS26の実施後、
図18及び
図17の「A2」を経て、ステップS04に戻り、ステップS04からの制御が繰り返される。
【0072】
以上のように、本実施の形態に係る無人飛行体10の飛行システムによれば、幅方向検出部14による線路Rの撮像画像に基づいて、線路Rの幅方向における中心位置と、飛行する無人飛行体10の機体中心位置との距離を飛行中に求めることができる。これにより、GNSS信号による機体位置と実際の機体位置との間で誤差が生じても、線路R上となる通常飛行範囲F1及び退避飛行範囲F2から幅方向にはみ出さないように自律飛行することが可能となる。この結果、無人飛行体10に線路Rを検査するカメラを搭載して巡視する場合、線路Rの施設方向で途切れることなく確実に巡視することができる。
【0073】
しかも、高さ方向検出部15によって線路R及び架線Lと無人飛行体10との距離を検出できるので、簡単な制御によって線路R及び架線Lから所定距離離れた飛行空間F1、F2を安定した高度で飛行することができる。従って、カメラを搭載した巡視を行う場合には、カメラと線路Rとの距離を安定して保った撮像結果を得ることができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。上記実施の形態において、添付図面に図示されている大きさや形状、方向などについては、これに限定されず、本発明の効果を発揮する範囲内で適宜変更することが可能である。その他、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
【0075】
例えば、上記実施の形態では、制御部11及び記憶部12を無人飛行体10に搭載した場合を説明したが、これらを無人飛行体10に搭載せずに地上の外部装置に搭載或いは外部装置で処理するようにしてもよい。この場合、地上の通信手段と通信部18とで無線通信して無人飛行体10の各部を制御する構成が例示できる。
【0076】
また、
図4にて入出点P2を踏切Cの前後に設けた場合を説明したが、入出点P2の位置は、通常飛行空間F1と退避飛行空間F2との間で移動飛行できる限りにおいて、線路R上の他の位置に設定してもよい。