(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
2以上の金属管の各々の軸が一致するように金属製の接続金具を用いて接続してなる連結管を、その軸の方向へ移動させて加熱手段および塗装手段を通過させることで、加熱処理および塗装処理を施して、前記連結管の表面にエポキシプライマー層を形成する操作を含む、防食被覆金属管の製造方法であって、
前記加熱手段は第1加熱手段および第2加熱手段を含み、
前記第1加熱手段によって前記連結管を加熱する前の前記連結管の表面温度(Ti1)を測定する工程と、
前記第1加熱手段によって一定の出力(W1)で前記連結管を加熱した後、加熱後の、1以上の前記金属管の温度(T01)および1以上の前記接続金具の温度(T02)を測定する工程と、
下記式(1)によって金属管における出力係数Kを算出する工程と、
下記式(2)によって接続金具における出力係数K´を算出する工程と、
前記第2加熱手段によって前記連結管を加熱する前の、1以上の前記金属管の表面温度(Ti2)および1以上の前記接続金具の表面温度(Ti3)を測定する工程と、
下記式(3)によって第2加熱手段によって前記金属管を加熱する際の出力W21を算出する工程と、
下記式(4)によって第2加熱手段によって前記接続金具を加熱する際の出力W22を算出する工程と、
前記第2加熱手段によって2以上の前記金属管の表面を出力W21によって加熱し、前記第2加熱手段によって1以上の前記接続金具の表面を出力W22によって加熱することで、加熱前と比べて前記金属管の表面温度と前記接続金具の表面温度との差を小さくする工程と、
を備え、前記連結管を前記第1加熱手段によって加熱した後に前記第2加熱手段によって加熱し、その後に前記塗装処理を施して前記エポキシプライマー層を得る、防食被覆金属管の製造方法。
式(1):K=W1/{(T01−Ti1)×(Dp−Dt)×Dt×v}
式(2):K´=W1/{(T02−Ti1)×(Dp−Dt)×Dt×v}
式(3):W21=(T03−Ti2)×(Dp−Dt)×Dt×v×K
式(4):W22=(T03−Ti3)×(Dp−Dt)×Dt×v×K´
式(1)〜式(4)において、Dpは金属管外径(mm)、Dtは金属管肉厚(mm)、vは金属管速度(m/min)を意味する。
式(3)および式(4)において、T03は第2加熱手段による加熱後の金属管および接続金具の目標温度(℃)を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
粉体エポキシプライマーを金属管に塗装するには、誘導加熱装置等の加熱装置を用いて金属管を事前に加熱するが、金属管を接続金具同士で接続し、連続的に塗装する場合、接続金具を挿入した金属管端部近傍は、接続金具そのものが加熱されて金属管の加熱に必要な熱量の一部が接続金具に消費されるため、金属管の温度が著しく低下する。従って、粉体エポキシプライマーの硬化が不十分となり、防食被覆金属管の耐食性が著しく劣る。以上のことから、金属管の均一加熱が求められる。
【0007】
本発明の目的は、ラインパイプとして用いることができる防食被覆金属管の製造方法であって、金属管を均一加熱することで粉体エポキシプライマーの硬化不良の無い耐食性に優れた防食被覆金属管の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は鋭意検討し、上記課題を解決する方法を見出して本発明を完成させた。
本発明は、2以上の金属管の各々の軸が一致するように金属製の接続金具を用いて接続してなる連結管を、その軸の方向へ移動させて加熱手段および塗装手段を通過させることで、加熱処理および塗装処理を施して、前記連結管の表面
にエポキシプライマー層を形成する操作を含む、防食被覆金属管の製造方法であって、
前記加熱手段は第1加熱手段および第2加熱手段を含み、
前記第1加熱手段によって前記連結管を加熱する前の前記連結管の表面温度(T
i1)を測定する工程と、
前記第1加熱手段によって一定の出力(W
1)で前記連結管を加熱した後、加熱後の
、1以上の前記金属管の温度(T
01)および
1以上の前記接続金具の温度(T
02)を測定する工程と、
下記式(1)によって金属管における出力係数Kを算出する工程と、
下記式(2)によって接続金具における出力係数K´を算出する工程と、
前記第2加熱手段によって前記連結管を加熱する前の
、1以上の前記金属管の表面温度(T
i2)および
1以上の前記接続金具の表面温度(T
i3)を測定する工程と、
下記式(3)によって第2加熱手段によって前記金属管を加熱する際の出力W
21を算出する工程と、
下記式(4)によって第2加熱手段によって前記接続金具を加熱する際の出力W
22を算出する工程と、
前記第2加熱手段によって2以上の前記金属管の表面を出力W21によって加熱し、前記第2加熱手段によって1以上の前記接続金具の表面を出力W22によって加熱することで、加熱前と比べて前記金属管の表面温度と前記接続金具の表面温度との差を小さくする工程と、
を備え、
前記連結管を前記第1加熱手段によって加熱した後に前記第2加熱手段によって加熱し、その後に前記塗装処理を施して前
記エポキシプライマー層を得る、防食被覆金属管の製造方法。
式(1):K=W
1/{(T
01−T
i1)×(D
p−D
t)×D
t×v}
式(2):K´=W
1/{(T
02−T
i1)×(D
p−D
t)×D
t×v}
式(3):W
21=(T
03−T
i2)×(D
p−D
t)×D
t×v×K
式(4):W
22=(T
03−T
i3)×(D
p−D
t)×D
t×v×K´
式(1)〜式(4)において、D
pは金属管外径(mm)、D
tは金属管肉厚(mm)、vは金属管速度(m/min)を意味する。
式(3)および式(4)において、T
03は第2加熱手段による加熱後の金属管および接続金具の目標温度(℃)を意味する。
このような防食被覆金属管の製造方法を、以下では「本発明の製造方法」ともいう。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防食被覆金属管の製造方法であって、金属管を均一加熱することで粉体エポキシプライマーの塗膜品質の低下が抑制された防食被覆金属管の製造方法を提供することができる。
【0010】
ここで本発明の防食被覆金属管の製造方法によって製造することができる防食被覆金属管として、鋼管端部を含む鋼管全体におけ
るエポキシプライマー層の品質が良好である、ラインパイプが挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の製造方法について
図1および
図2を用いて説明する。
図1は連結管の横断面図(概略図)であり、
図2は連結管に処理を施している様子を示す横断面図(概略図)、
図3は第2加熱手段の出力を算出するまでのフロー図である。
【0013】
本発明の製造方法では、
図1に示すような連結管1を用意する。連結管1は、2以上の金属管2、2の各々の軸3が一致するように、金属製の接続金具4を用いて接続してなるものである。
図1では2つの金属管2を1つの接続金具4によって接続している態様が示されているが、さらに複数の金属管2を、接続金具4を用いて接続することができる。
なお、従来公知の接続金具4を用いて金属管を連結すると、通常、金属管の各々の軸は
図1に示すように一致する。
【0014】
ここで金属管2は鋼管であることが好ましい。また、普通鋼、高合金鋼等からなる鋼管、高強度ラインパイプにおいては、API(アメリカ石油協会)のグレードとしてAPI X50以上であることが好ましい。
金属管2の大きさや断面直径は特に限定されない。例えば軸方向の長さは6〜18mであってよい。また、断面直径は例えば50mm〜1600mmであってよい。
【0015】
接続金具4の大きさや形状等も特に限定されない。接続金具の材質としては、普通鋼、アルミニウムなどが挙げられる。
【0016】
本発明の製造方法は、連結管1を、その軸の方向(
図2の矢印の方向)へ移動させて加熱手段および塗装手段を通過させることで、加熱処理および塗装処理を施して、連結管1の表面
にエポキシプライマー層を形成する操作を含む。
【0017】
ここで加熱手段は第1加熱手段5および第2加熱手段6を含む。誘導加熱装置等の第1加熱手段5によって連結管1を加熱する前の連結管1の温度を、放射温度計等の温度計7を用いて測定してT
i1とする。ここで、必ずしも常に連結管1の温度(表面温度)を測定している必要はなく、次に説明するように、連結管1における金属管2の温度と接続金具4の温度とを比較できる程度に測定すればよい。
【0018】
次に、第1加熱手段5における出力W
1を決定する。
後述する実施例1に例示される方法によって、概ねの出力を計算した後、その計算結果を参考にして出力W
1を決定することが好ましい。
【0019】
次に、第1加熱手段5によって一定の出力W
1によって連結管1を加熱する。そして、加熱後の連結管1の表面温度を、放射温度計等を用いて測定する。そうすると、金属管2の表面の温度(T
01)に対して接続金具4の温度(T
02)は、著しく低くなる。
【0020】
次に、次式(1)を用いて、金属管2における出力係数Kを算出する。
K=W
1/{(T
01−T
i1)×(D
p−D
t)×D
t×v} ・・・式(1)
【0021】
また、次式(2)を用いて、接続金具4における出力係数K´を算出する。
K´=W
1/{(T
02−T
i1)×(D
p−D
t)×D
t×v} ・・・式(2)
【0022】
式(1)および式(2)においてT
01およびT
02は第1加熱手段5による加熱後の金属管2および接続金具4の温度(℃)、T
i1は第1加熱手段5による加熱前の金属管温度(℃)、D
pは金属管外径(m)、D
tは金属管肉厚(m)、vは金属管速度(m/min)を示す。
【0023】
次に、次式(3)を用いて、金属管2を加熱する際の第2加熱手段6における出力W
21を算出する。
W
21=(T
03−T
i2)×(D
p−D
t)×D
t×v×K ・・・式(3)
【0024】
また、式(4)を用いて、接続金具4を加熱する際の第2加熱手段6における出力W
22を算出する。
W
22=(T
03−T
i3)×(D
p−D
t)×D
t×v×K´ ・・・式(4)
【0025】
式(3)および式(4)においてT
03は第2加熱手段6による加熱後の金属管2および接続金具4の目標温度(℃)、T
i2およびT
i3は第2加熱手段6による加熱直前に測定した金属管2および接続金具4の温度(℃)、D
pは金属管外径(m)、D
tは金属管肉厚(m)、vは金属管速度(m/min)を示す。
なお、T
03の目標温度(℃)は、次の工程で粉体エポキシプライマーを用いることを考慮して決定する。
【0026】
次に、第2加熱手段6によって、金属管2の表面はW
21の出力によって加熱し、接続金具4の表面はW
22の出力によって加熱する。
【0027】
以上のように第2加熱手段6の温度制御を行うことで、加熱後の前記連結管の全体の温度分布を平坦化することが可能となる。この結果、粉体プライマーの硬化不良を起こさない温度領域で塗装することが可能となる。
その後、塗装手段11によって粉体エポキシプライマーを塗装すると、連結管1の表面の全体において、均一かつ十分に硬化するため、高品質
なエポキシプライマー層12を形成することができる。
塗装手段11によっ
てエポキシプライマー層12を形成した後は、接着層形成手段13によって接着層14を形成し、さらに、有機樹脂層形成手段15によって有機樹脂層16を形成することができる。
【0028】
本発明の製造方法において、接着層形成手段13および有機樹脂層形成手段15は必須構成要件ではないが、本発明の製造方法はこれらを備えることが好ましい。
【0029】
本発明の製造方法では、第1加熱手段5によって加熱する前において、連結管1の表面のスケールや汚染物等を予め除去することが好ましい。除去するための手段として、アルカリ脱脂、酸洗、サンドブラスト処理、グリッドブラスト処理、ショットブラスト処理等の前処理を行なうことができる。
【0030】
第1加熱手段5および第2加熱手段6はガス炉であってもよいが、誘導加熱装置であることが好ましい。
第1加熱手段5によって、連結管1を所望の温度(例えば100〜180℃程度)に加熱し、その後、第2加熱手段6によって、180〜240℃にまで加熱することが好ましい。
【0031】
本発明の製造方法によって高強度ラインパイプを得る場合、歪時効による変形能の低下を抑制するため、250℃以下、望ましくは200℃以下の加熱がよい。一方で、粉体エポキシプライマーの推奨塗装温度は180℃〜240℃が一般的である。従って、高変形能を保ちつつ粉体エポキシプライマーの品質を確保するには180℃から200℃の範囲で加熱、塗装することが望ましい。第1加熱手段5による加熱直後に設置した温度計8を用いて連結管1の外面の温度を連続的に測定すると、通常、接続金具4付近の温度が他の箇所よりも温度が低いことを確認できる。連結管1の温度の不均一化を防ぐために、直後に設置された第2加熱手段6において、前述の式(1)および式(2)から算出された出力係数を用い、式(3)および式(4)から得られた出力で接続金具4を加熱することで、鋼管が180℃〜200℃の範囲での加熱が可能となる。その後
、エポキシプライマー層12を形成し、必要であれば、さらに接着層形成手段13および有機樹脂層形成手段15によって接着層14および有機樹脂層16を形成することができる。
【0032】
エポキシプライマー層12について説明する。一般
にエポキシプライマー層12の主成分であるエポキシ樹脂としてはビスフェノールA型、ビスフェノールF型樹脂を単独、もしくは混合して使用する。さらに高温特性が要求される場合、多官能性のフェノールノボラックやハロゲン化樹脂を上記のビスフェノールA型あるいは、ビスフェノールF型の樹脂と組み合わせて用いる。化成処理被膜層の上
にエポキシプライマー層12を設けることにより、一層防食層の密着性が向上する。
【0033】
また、プライマーに添加する無機顔料は全体積に対して3〜30vol%の範囲で添加することで収縮歪みを低下し、密着特性が大きく改善される。無機顔料には、シリカ、酸化チタン、ウォラストナイト、マイカ、タルク、カオリン、酸化クロム、硼酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、燐酸亜鉛等の顔料、もしくは亜鉛、Al等の金属粉、あるいはセラミック粉等、その他にバナジウムリン系化合物等の防錆顔料を適宜用いる。
【0034】
以上の粉体エポキシプライマーを用いることにより、有機樹脂層16の形成に対し一層防食層の耐食性が向上する。粉体エポキシプライマーは静電粉体塗装等の塗装手段11を用いて形成することができる。膜厚は特に限定されないが、20〜1000μmの範囲で塗布することが好ましい。膜厚が20μmより薄い場合にはピンホールが発生し得る。一方、膜厚の上限は樹脂の種類によって異なるが、1000μmを超える厚膜塗装では低温での耐衝撃性等の特性が低下する傾向がある。
【0035】
有機樹脂層16を形成するために使用する有機樹脂として、ポリオレフィン樹脂を主として用いることができる。ポリオレフィン樹脂としては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレンなどの従来公知のポリオレフィン、及びエチレン−プロピレンブロックまたはランダム共重合体、ポリアミド−プロピレンブロック叉はランダム共重合体等公知のポリオレフィン共重合体を含む樹脂である。
【0036】
ポリオレフィン樹脂以外の成分としては、耐熱性、耐候性対策としてカーボンブラック又はその他の着色顔料、充填強化剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系の耐候剤等を任意の組み合わせで添加することができる。
【0037】
接着層14を形成するために、ポリオレフィンを変性した接着剤を用いることができる。このポリオレフィン接着剤は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンなどの公知のポリオレフィン、及び公知のポリオレフィ共重合体樹脂を、マレイン酸、アクリル酸、メタアクリル酸などの不飽和カルボン酸または、その酸無水物で変性したもの、あるいは、その変性物をポリオレフィン樹脂で適宜希釈したもの等、従来公知の変性ポリオレフィンである。
【0038】
50〜700μmの薄い変性ポリオレフィンの接着層14に0.3〜10mmのポリオレフィンの有機樹脂層16を組み合わせて用いる方法が価格、性能のバランスからは好ましい。
【0039】
ポリオレフィン被覆の方法としては、例えば、押出機のダイスを用いて加熱溶融したポリオレフィン樹脂で直接鋼材を被覆する押出被覆方法を用いることができる。あるいは、加熱した鋼材に予め成形したポリオレフィンシートを貼り付ける方法、粉砕したポリオレフィンを粉体塗装して溶融して被膜を形成する方法等がある。これらの方法により、0.3mm〜10mmの膜厚を有する有機樹脂層16を形成することができる。
【実施例】
【0040】
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
【0041】
<実施例1>
本発明によって均一加熱できることを検証する実験を行った。
初めに、炭素鋼鋼管(外径609.6mm、板厚11.5mm)を用い、事前にグリッドブラスト処理を施した。そして、鉄製の接続金具を鋼管内に設置し、0.9m/minの速度で連結管を搬送し、2つの高周波誘導加熱装置を用いて加熱した。ここで上流側の高周波誘導加熱装置が第1加熱手段に相当し、下流側の高周波誘導加熱装置が第2加熱手段に相当する。以下では、第1加熱手段である高周波誘導加熱装置を第1加熱装置、第2加熱手段である高周波誘導加熱装置を第2加熱装置ともいう。
【0042】
次に、第1加熱装置における出力を、Q(J)=m×c×ΔT(Q:熱量、m:質量、c:比重、ΔT:温度差)の一般式に基づき、下記式(A)から算出した。
【0043】
出力=ΔT×単位重量×搬送速度×比熱×1000/60・・・式(A)
【0044】
ここで、第1加熱装置後の目標鋼管温度を150℃とした。また、第1加熱装置による加熱前の連結管の温度は20℃であった。したがって、式(A)におけるΔTは130℃(=150℃−20℃)となる。
【0045】
式(A)における単位重量(kg/m)は下記式(B)から求められる。
単位重量(kg/m)=(D
p−D
t)×D
t×0.02466・・・式(B)
式(B)中、D
pは金属管外径(mm)(=609.6mm)、D
tは金属管肉厚(mm)(=11.5mm)である。
【0046】
式(A)における搬送速度は上記の通り、0.9m/minである。
【0047】
式(A)における比熱は、炭素鋼鋼管の場合、0.460kJ/(kg・℃)を用いる。
【0048】
これらより、式(A)から、出力は152kWと算出された。そこで、第1加熱装置における出力を160kWに設定することにした。計算上は152kWに設定すれば炭素鋼鋼管の表面温度が150℃になるはずだか、実際の表面温度はそれよりも低くなる可能性があることを考慮して、やや高め出力に設定するという意図である。
【0049】
このようにして第1加熱装置における出力を160kWに設定して第1加熱装置による加熱を行い、直後における鋼管表面の温度を、放射温度計を用いて測定した。その結果を
図4に示す。
図4に示すように、金属管の表面の温度が150℃程度であるのに対して、接続金具の温度は130℃程度と、著しく低くなることが分かった。
【0050】
次に、前述の式(1)および式(2)を用いて、金属管におけるKと、接続金具におけるK´とを算出した。具体的にKは次のように求めた。
K=160×1000/{(150−20)×(609.6−11.5)×11.5×0.9}
これよりK=0.199と算出された。
【0051】
また、具体的にK´は次のように求めた。
K´=160×1000/{(130−20)×(609.6−11.5)×11.5×0.9}
これよりK´=0.235と算出された。
【0052】
次に、前述の式(3)および式(4)を用いて、金属管を加熱する際の第2加熱装置における出力W
21と、接続金具を加熱する際の第2加熱装置における出力W
22とを算出した。ここで、第2加熱装置によって加熱した直後の鋼管表面温度の目標値を190℃とした。次の工程で粉体エポキシプライマーを用いることを考慮した場合の最適な鋼管表面温度が190℃だからである。
また、第2加熱装置によって加熱する直前の金属管の表面温度は150℃から145℃に低下していた。さらに、第2加熱装置によって加熱する直前の接続金具の表面温度は130℃から125℃に低下していた。よって、これら低下後の温度を考慮して出力W
21および出力W
22を求めた。
【0053】
具体的にW
21は次のように求めた。
W
21=(190−145)×(609.6−11.5)×11.5×0.9×0.199
これよりWは55.4kWと算出された。
【0054】
具体的にW
22は次のように求めた。
W
22=(190−125)×(609.6−11.5)×11.5×0.9×0.235
これよりW
22は94.6kWと算出された。
【0055】
第2加熱装置によって、金属管の表面は55.4kWで加熱し、接続金具の表面は94.6kWで加熱した。
その結果、
図5に示すように、金属管および接続金具を含む全体の連結管表面温度を、185から195℃の温度範囲内に調整することができた。
【0056】
連結管は加熱後、粉体エポキシプライマー(BASEPOX PE50−1081、Arsonsisi社製)を、粉体プライマー塗装機11によって膜厚が250μmとなるよう静電粉体塗装を実施した。この後、接着剤としては三井化学社製のNE080を0.2mm被覆し、ポリエチレンとしては日本ポリエチレン社製のNOVATEC ER002Sを用い、被覆の全厚みが3mmとなるように被覆した。
そして、被覆した連結管は100mm×150mmに切断し、鋼面に達する直径6mmの人工疵を設け、これを80℃に保った3%NaCl食塩水に接液させ、飽和カロメル電極に対して1.5Vの電位として30日間保持した。人工疵からの剥離距離を測定し、耐食性を評価した。
その結果を表1に示す。
【0057】
<比較例1>
実施例1では、第2加熱装置によって接続金具の表面を94.6kWで加熱したが、比較例1では、接続金具の表面についても、金属管の表面と同様に55.4kWで加熱した。
そして、それ以外は全て実施例1と同様の操作を行い、同様の評価を行った。
比較例1では
図6に示すように金属金具周辺の連結管の温度は160℃となり、著しく温度が低下した。
実施例1と同様に行った陰極剥離試験の評価の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1に示すように陰極剥離試験では、被覆鋼管に対し、鋼面に達する直径6mmの人工疵を設け、これを80℃に保った3%NaCl食塩水に接液させ、飽和カロメル電極に対して1.5Vの電位として30日間保持した。人工疵からの剥離距離を測定し、耐食性を評価した。実施例1では13mmでありISO21809−1を満たすが、比較例1では剥離距離が27mmと大幅に剥離が生じた。これは、粉体エポキシプライマーが未硬化により、耐食性が著しく劣ったためである。以上のことから、鋼管を均一に加熱することで、耐食性に優れた被覆鋼管を製造することが可能である。