(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871798
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】ゴルフクラブヘッド
(51)【国際特許分類】
A63B 53/04 20150101AFI20210426BHJP
A63B 102/32 20150101ALN20210426BHJP
【FI】
A63B53/04 F
A63B102:32
【請求項の数】7
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-87492(P2017-87492)
(22)【出願日】2017年4月26日
(65)【公開番号】特開2018-183437(P2018-183437A)
(43)【公開日】2018年11月22日
【審査請求日】2020年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】592014104
【氏名又は名称】ブリヂストンスポーツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】特許業務法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】坂 航
【審査官】
田中 洋行
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2015/0024868(US,A1)
【文献】
特開2013−215445(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0113186(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A63B53/00−53/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェース部と、
前記フェース部に形成され、トウ−ヒール方向に延びる複数のスコアラインと、
前記フェース部に形成され、前記複数のスコアラインと平行に延びる複数の凸部と、
前記フェース部に形成され、前記複数のスコアラインと平行に延びる複数の凹部と、を備え、
前記複数の凸部の各凸部と前記複数の凹部の各凹部とは、前記トウ−ヒール方向と直交する方向に交互に形成され、
前記複数の凸部は、複数の第一の凸部と、複数の第二の凸部とを含み、
前記複数の第一の凸部の各頂部は、前記複数のスコアラインの各縁端を含む基準面と平行な第一の仮想面上に位置し、
前記複数の第二の凸部の各頂部は、前記基準面と平行で前記第一の仮想面と異なる第二の仮想面上に位置し、
前記第一の仮想面は、前記基準面と同一面であり、
前記第二の仮想面は、前記基準面から前記複数のスコアラインの底部側に離間した面である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項2】
フェース部と、
前記フェース部に形成され、トウ−ヒール方向に延びる複数のスコアラインと、
前記フェース部に形成され、前記複数のスコアラインと平行に延びる複数の凸部と、
前記フェース部に形成され、前記複数のスコアラインと平行に延びる複数の凹部と、を備え、
前記複数の凸部の各凸部と前記複数の凹部の各凹部とは、前記トウ−ヒール方向と直交する方向に交互に形成され、
前記複数の凸部は、複数の第一の凸部と、複数の第二の凸部とを含み、
前記複数の第一の凸部の各頂部は、前記複数のスコアラインの各縁端を含む基準面と平行な第一の仮想面上に位置し、
前記複数の第二の凸部の各頂部は、前記基準面と平行で前記第一の仮想面と異なる第二の仮想面上に位置し、
前記複数の凹部の前記基準面に対する深さが10μm以上25μm以下である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記複数の凹部の各底部は、前記基準面と平行な第三の仮想面上に位置する平面である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記複数の第一の凸部の各凸部と前記複数の第二の凸部の各凸部とは、前記トウ−ヒール方向と直交する方向に交互に形成されている、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記複数の凸部は、複数の第三の凸部を含み、
前記複数の第三の凸部の各頂部は、前記基準面と平行で前記第一の仮想面および前記第二の仮想面と異なる仮想面上に位置している、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記各凸部の前記トウ−ヒール方向と直交する方向の断面形状が矩形である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【請求項7】
請求項1又は請求項2に記載のゴルフクラブヘッドであって、
前記第一の凸部の、前記トウ−ヒール方向と直交する方向の断面形状は、台形状あるいは山形状であり、
前記第二の凸部の、前記トウ−ヒール方向と直交する方向の断面形状は、半楕円形状である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゴルフクラブヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフクラブヘッドのフェース部に、スコアラインや細かい凹凸を形成することが提案されている(例えば特許文献1〜6)。スコアラインや細かい凹凸は打球のバックスピン量を増大させたり、或いは、雨天時やラフからのショットの場合に、打球のバックスピン量が著しく低減することを抑制する効果がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5237014号公報
【特許文献2】特開2009−153922号公報
【特許文献3】特許第3919867号公報
【特許文献4】米国特許第9539477号明細書
【特許文献5】米国特許第9216328号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2015/0024868号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上級者は打球のスピン量をコントロールし易いゴルフクラブヘッドを好む。従来のゴルフクラブヘッドはスピン量のコントロール性で改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、打球のスピン量をコントロールし易いゴルフクラブヘッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、
フェース部と、
前記フェース部に形成され、トウ−ヒール方向に延びる複数のスコアラインと、
前記フェース部に形成され、前記複数のスコアラインと平行に延びる複数の凸部と、
前記フェース部に形成され、前記複数のスコアラインと平行に延びる複数の凹部と、を備え、
前記複数の凸部の各凸部と前記複数の凹部の各凹部とは、前記トウ−ヒール方向と直交する方向に交互に形成され、
前記複数の凸部は、複数の第一の凸部と、複数の第二の凸部とを含み、
前記複数の第一の凸部の各頂部は、前記複数のスコアラインの各縁端を含む基準面と平行な第一の仮想面上に位置し、
前記複数の第二の凸部の各頂部は、前記基準面と平行で前記第一の仮想面と異なる第二の仮想面上に位置
し、
前記第一の仮想面は、前記基準面と同一面であり、
前記第二の仮想面は、前記基準面から前記複数のスコアラインの底部側に離間した面である、
ことを特徴とするゴルフクラブヘッドが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、打球のスピン量をコントロールし易いゴルフクラブヘッドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドの外観図。
【
図2】スコアライン、凸部および凹部の断面図及び部分拡大図。
【
図3】(A)および(B)は凸部および凹部の形成例の説明図。
【
図4】別例の凸部および凹部の断面図及び部分拡大図。
【
図5】別例の凸部および凹部の断面図及び部分拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第一実施形態>
図1は本発明の一実施形態に係るゴルフクラブヘッドAの外観図である。同図の例はアイアン型のゴルフクラブヘッドに本発明を適用した例を示す。本発明は、アイアン型のゴルフクラブヘッド、特に、ミドルアイアン、ショートアイアン、ウェッジ型のゴルフクラブヘッドの製造に好適である。具体的には、ロフト角が30度以上70度以下、ヘッド重量が240g以上320g以下のゴルフクラブヘッドの製造に好適である。しかし、本発明はウッド型やユーティリティー型(ハイブリッド型)のゴルフクラブヘッドの製造にも適用可能である。
【0010】
ゴルフクラブヘッドAは、フェース部1及びホゼル部5を備える。フェース部1はゴルフボールを打撃する打撃面を形成する。ホゼル部5には不図示のシャフトが装着される。
図1において、矢印d2はトウ−ヒール方向を示し、Tはトウ側、Hはヒール側を示している。矢印d1はトウ−ヒール方向と直交する方向であって、打撃面に沿う方向を示している。UはヘッドAのソール部を接地した時の上側、LはヘッドAのソール部を接地した時の下側を示している。
【0011】
フェース部1には複数のスコアライン2と、複数の凸部3Aおよび3B(総称するときは凸部3と呼ぶ)と、複数の凹部4とが形成されている。
図2を参照してスコアライン2、凸部3および凹部4について説明する。
図2はフェース部1のd1方向の部分断面図および拡大図であり、d1方向に隣接するスコアライン2間の断面図を示している。
【0012】
複数のスコアライン2は、互いに平行にd1方向に配列されている。各々のスコアライン2はd2方向に延設された直線状の溝である。本実施形態の場合、各々のスコアライン2の配設間隔(ピッチ)は等間隔(等ピッチ)であるが、配設間隔が異なっていてもよい。本実施形態において、スコアライン2の断面形状は、その長手方向の両端部(トウ側端部、ヒール側端部)を除き、同じである。また、各々のスコアライン2の断面形状は同じである。
【0013】
スコアライン2は、一対の側壁(側部)21と、底壁(底部)22とを有し、その断面形状はd1方向の中心線に対して対称な台形状に形成されている。なお、スコアライン2の断面形状は台形状に限られず、V字状等、他の形状でもよい。スコアライン2の縁部23には丸みが形成されている。丸みの半径は例えば、0.05mm以上0.3mm以下である。スコアライン2の各縁部23の縁端24は基準面S0に含まれている。基準面S0は仮想の平坦面である。縁端24は縁部23の丸みのd1方向の端である。本実施形態における基準面S0を打撃面またはフェース面と呼ぶ場合がある。
図2の矢印d3はフェース部3の厚み方向を示し、基準面S0と直交する方向である。Fは基準面S0の外側、Bは基準面S0の内側(ヘッドのバック側。スコアライン2の底壁22側。)を示している。
【0014】
スコアライン2の深さ(底壁22と基準面S0との距離)Dsは0.3mm以上が好ましい。ゴルフクラブヘッドAを競技用とする場合、ルールを充足する点で、深さDsは0.5mm以下とする。スコアライン2の幅(30度測定法による幅)Wsは0.6mm以上が好ましい。ゴルフクラブヘッドAを競技用とする場合、ルールを充足する点で、幅Wsは0.9mm以下とする。
【0015】
凸部3および凹部4はスコアライン2と平行に延びている。隣接するスコアライン2間において凸部3と凹部4とはd1方向に交互に形成されている。換言すると、凹部4を形成した結果、隣接する凹部4間に凸部3が形成されている。凸部3として、本実施形態では二種類の凸部3Aおよび凸部3Bが形成されている。凸部3のd1方向の配列に着目すると、隣接するスコアライン2間において凸部3Aと凸部3Bとは交互に形成されている。したがって、凸部3と凸部4とはd1方向でみると、凸部3A→凹部4→凸部3B→凹部4→凸部3A→凹部4→凸部3B...と形成されている。
【0016】
凸部3Aと凸部3Bとは凹部4の底壁(底部)41からの高さ(d3方向の長さ)が異なっている。凹部4の底壁41は仮想面S2上に位置している。仮想面S2は基準面S0と平行な平坦面であり、底壁41は本実施形態の場合、平面である。仮想面S2は基準面S0に対してd3方向でバック側に位置している。
【0017】
凸部3Aの頂部31Aは基準面S0上に位置しており、凸部3Bの頂部31Bは仮想面S1上に位置している。仮想面S1は基準面S0と平行な平坦面であり、d3方向でみると仮想面S2と基準面S0との間に位置している。底壁41に対する頂部31Aの高さ(基準面S0と仮想面S2との間隔)はH1であり、凸部3Aはそれぞれ均一の高さを持っている。同様に、底壁41に対する頂部31Bの高さ(仮想面S1と仮想面S2との間隔)はH2(<H1)であり、凸部3Bもそれぞれ均一の高さを持っている。高さH1は換言すると基準面S0に対する凹部4の深さである。ゴルフクラブヘッドAを競技用とする場合、ルールを充足する点で、H1は25μm以下とする。H1は10μm以上が好ましく、H2は5μm以上15μm以下が好ましい。なお、頂部31Aは基準面S0と平行な別の仮想面に位置していてもよく、この仮想面は基準面S0と仮想面S1との間に位置する仮想面であってもよい。
【0018】
本実施形態の場合、凸部3Aおよび凸部3Bならびに凹部4はd1方向の切断面の断面形状が矩形であり、その断面形状を換言すると隣接する凸部3A間の矩形溝の底壁から凸部3Bが突出した形態を有している。凸部3A、凹部4、凸部3Bの各幅WA、WB、WCは、例えば、50μm≦WA≦200μm、50μm≦WB≦200μm、50μm≦WC≦200μmである。
【0019】
次に凸部3によるゴルフボールのスピン量のコントロール性について説明する。打撃時にゴルフボールはフェース部1の表面に押し潰されるように変形するが、打撃力が小さい場合(ヘッドスピードが遅い場合)の変形量は小さく、打撃力が大きい場合(ヘッドスピードが速い場合)の変形量は大きくなる。凸部3Aと凸部3Bとは互いに凹部4の底壁(底部)41との高低差が異なり、凸部3Aはゴルフボールの変形量によってゴルフボールとの接触点が左程変化せず、ゴルフボールのスピン量増大に寄与する。一方、ゴルフボールの変形量が小さい場合は凸部3Bとゴルフボールとの接触点は少なくなり、逆にゴルフボールの変形量が大きい場合は凸部3Bとゴルフボールとの接触点は増加する。したがって、ヘッドスピードが遅い場合はスピン量が少なくなりヘッドスピードが速い場合はスピン量が多くなる。ゴルファーはヘッドスピードの調節で打球のスピン量を調節できる。したがって、本実施形態によれば、打球のスピン量をコントロールし易いゴルフクラブを提供することができる。
【0020】
本実施形態の場合、凸部3Aと凸部3Bとがd1方向での配置パターンはどのようなものであってもよいが、本実施形態では交互に配置されているので、フェース部1上のゴルフボールの打撃点にスピン量が左右され難く、スピン量のコントロール性を更に高めることができる。また、凸部3Aおよび3Bの断面が矩形状であるので、その角部がゴルフボールにひっかかりやすく、より多くのスピン量を得られやすい。また、凹部の断面形状も矩形状であり、底壁41が平坦面であるので、底壁41での光の反射具合から芝などのごみが詰まっているか否かを判断し易く、そのメンテナンスのタイミングを視覚的に把握し易い。
【0021】
凸部3および凹部4はレーザ加工や切削加工により形成することができる。
図3(A)はレーザ加工により凸部3および凹部4を形成する装置を例示している。
図3(A)に示すように、凸部3および凹部4を未形成の一次成形品A'は、治具100を介して不図示の加工装置に固定される。加工装置はレーザ光の照射部101を有する。そして、フェース部1に照射部101によりレーザ光を照射しながら、フェース部1(一次成形品A')又は照射部101をd2方向に相対的に移動しながら、凸部3および凹部4を形成する。一次成形品A’はスコアライン2が形成されたものであってもよいし、スコアライン2を凸部3および凹部4と共にレーザ加工により形成してもよい。
【0022】
図3(B)はNCフライス盤により切削加工を行う場合の説明図である。凸部3および凹部4を未形成の一次成形品A'は、治具100を介してNCフライス盤に固定される。NCフライス盤は、Z軸回りに回転駆動されるスピンドル102を有し、スピンドル102の下端には切削ツール(エンドミル)103が取り付けられている。フェース部1(一次成形品A’)又は切削ツール103を、d2方向に相対的に移動しながら、凸部3および凹部4を形成する。一次成形品A’はスコアライン2が形成されたものであってもよいし、スコアライン2を凸部3および凹部4と共に切削加工により形成してもよい。
【0023】
なお、凸部3および凹部4の形成後、フェース部1の硬度を硬くする表面処理を行うことが好ましい。このような表面処理としては、浸炭処理、窒化処理、軟窒化処理、PVD(Physical Vapor Deposition)処理、イオンプレーティング、DLC(ダイヤモンド ライク カーボン)処理、めっき処理等が挙げられる。特に、浸炭処理や窒化処理といった、表面に別の金属層を形成せず、表面を改質する表面処理が好ましい。
【0024】
<第二実施形態>
第一実施形態では凸部3を二種類としたが三種類以上としてもよい。
図4は仮想面S2からの高さが異なる三種類の凸部3A〜凸部3Cを形成した例を図示している。凸部3のd1方向の配列に着目すると、隣接するスコアライン2間において凸部3A〜3Cは一定の順序で配列されている。本実施形態の場合、凸部3Aと凸部3Bおよび凸部3Cとが交互に形成されており、凸部3Bと凸部3Cとは互いに交互に配列されている。したがって、凸部3と凹部4とはd1方向でみると、凸部3A→凹部4→凸部3B→凹部4→凸部3A→凹部4→凸部3C...と形成されている。
【0025】
凸部3A〜凸部3Cは凹部4の底壁(底部)41からの高さ(d3方向の長さ)が異なっている。凸部3Aの頂部31Aは基準面S0上に位置しており、凸部3Bの頂部31Bは仮想面S1上に位置しており、凸部3Cの頂部31Cは仮想面S3上に位置している。仮想面S3は基準面S0と平行な平坦面であり、d3方向でみると仮想面S1と基準面S0との間に位置している。底壁41に対する頂部31Aの高さ(基準面S0と仮想面S2との間隔)はH1であり、底壁41に対する頂部31Bの高さ(仮想面S1と仮想面S2との間隔)はH2(<H1)であり、底壁41に対する頂部31Cの高さ(仮想面S3と仮想面S2との間隔)はH3(<H1、かつ、>H2)であり、凸部3Cはそれぞれ均一の高さを持っている。H1は10μm以上25μm以下が好ましく、H2は5μm以上15μm以下が好ましく、H3は10μm以上20μm以下が好ましい。なお、頂部31Aは基準面S0と平行な別の仮想面に位置していてもよく、この仮想面は基準面S0と仮想面S3との間に位置する仮想面であってもよい。
【0026】
本実施形態では、第一実施形態よりもスピン量のコントロールを多段階で調整可能である。ゴルフボールの変形量が小さい場合は凸部3Bおよび凸部3Cとゴルフボールとの接触点は少なくなり、ゴルフボールの変形量が中程度の場合は凸部3Cとゴルフボールとの接点は増加し、凸部3Bとゴルフボールとの接点は余り変わらない。ゴルフボールの変形量が大きい場合は凸部3Bおよび凸部3Cとゴルフボールとの接触点は増加する。
【0027】
したがって、ヘッドスピードが遅い場合はスピン量が少なくなり、ヘッドスピードが中程度の場合はスピン量がやや多くなり、ヘッドスピードが速い場合はスピン量が多くなる。ゴルファーはヘッドスピードの調節で打球のスピン量を調節できる。
【0028】
<第三実施形態>
第一実施形態では凸部3および凹部4の断面形状を矩形状としたが、他の形状であってもよい。
図5はその一例を示す。同図の例では凸部3が凸部3Aと凸部3Bの二種類あり、互いに高さおよび断面形状が異なっている。凸部3Aの断面形状は台形状あるいは山形状であり、凸部3Bの断面形状は半楕円形状である。凹部4の断面形状は交互に左右が反転したくちばし形状をなしている。
【0029】
<第四実施形態>
第一実施形態では、基準面S0からd3方向でバック側に凸部3および凹部4を形成したが、基準面S0からd3方向で基準面S0の外側に形成されてもよい。
図6はその一例を示す。同図の例では凸部3が凸部3Aと凸部3Bの二種類あり、互いに高さが異なっている。断面形状は矩形状である。凸部3Aおよび凸部3Bは、基準面S0からd3方向で外側に突出している。凹部4の断面形状は矩形状である。
【0030】
凸部3Aの頂部は仮想面S11上に位置し、凸部3Bの頂部は仮想面S12上に位置している。凹部4の底部は基準面S0上に位置している。仮想面S11および仮想面S12は基準面S0と平行であり、基準面S0からd3方向で外側に位置している。仮想面S12は、仮想面S11と基準面S0との間に位置している。凸部3Aおよび凸部3Bの高さ等については第一実施形態と同様にすることができる。
【0031】
<他の実施形態>
複数の上記実施形態を組み合わせることも可能である。
【符号の説明】
【0032】
A ゴルフクラブヘッド、1 フェース部、2 スコアライン、3 凸部、4 凹部