【実施例1】
【0012】
<構成>以下、この実施例の構成について説明する。
【0013】
自動車などの車両に対して、車室内の温度調節を行うための車両用空調装置を設ける。この車両用空調装置は、車室の前部に設けられたインストルメントパネルの内部に設置される空調ユニットとなっている。
【0014】
図1(〜
図4)は、車両用空調装置1の外観を示す図である。以下、車両に搭載した状態を基準(前後方向x(または車両前後方向)、幅方向y(または車幅方向)、上下方向z)として、車両用空調装置1を説明する。
【0015】
車両用空調装置1は、中空の空調ケース2の前面に、冷媒3a(冷却媒体)の給排部3と、熱媒4a(加熱用媒体)の給排部4とを備えている。熱媒4aには、エンジン冷却液などが用いられる。また、車両用空調装置1は、空調ケース2の前部側面(
図3、
図4参照)に、送風機を備えたブロワユニットからの空調用エア5を空調ケース2の内部へ取り込むための、空調用エア5の入口部6を備えている。
【0016】
そして、空調ケース2は、その上面や後部側面などに、前席用のエア出口部7を各種備えている。空調ケース2の上面の前席用のエア出口部7は、前側から順に、フロントウィンドウガラスへ向けて窓曇り防止用の空調用エア5を吹き出すためのフロントデフロスター口7aや、前席乗員の上体へ向けて空調用エア5を吹き出すためのサイドのベント口7bや、センターのベント口7cとなっている。
【0017】
サイドのベント口7bとセンターのベント口7cとの間には、強度部材配設部8が設けられている。この強度部材配設部8は、幅方向y(車幅方向)へ延びて車体の左右のサイドパネル間を連結するパイプ状の車体強度部材(ステアリングサポートメンバ)を配設するためのスペースである。そして、サイドのベント口7bとセンターのベント口7cとを強度部材配設部8の前後に分けて配置することにより、サイドのベント口7bから延びるサイドベントダクトと、センターのベント口7cから延びるセンターベントダクトとのインストルメントパネル内での取り回しをスペース効率良く行う(または、車体強度部材との交差を少なくする)ことが可能になる。
【0018】
また、空調ケース2の後部側面には、前席用のエア出口部7として、前席乗員の足元へ向けて空調用エア5を吹き出すための前席用のフット口7dが設けられている。
【0019】
更に、空調ケース2は、
図5に示すように、後面下部に、後席用のエア出口部11を備えている。後席用のエア出口部11は、後席乗員の上体へ向けて空調用エア5を吹き出すための後席用のベント口11aと、後席乗員の足元へ向けて空調用エア5を吹き出すための後席用のフット口11bとなっている。この実施例では、後席用のフット口11bは、前席用のエア出口部7と連通されることによって前後席で共通化されているので、前席用のエア出口部7の一部として取り扱うようにしている。後席用のエア出口部11には、空調ケース2とは別体の出口部材12(
図1)が取付けられる。出口部材12は、その内部が、ベント口11aに接続されるベント口部12aと、フット口11bに接続されるフット口部12bとに仕切られている。
【0020】
そして、前席用のエア出口部7は、運転席用および助手席用として、左右に分けて別々に設けられている。また、後席用のエア出口部11は、空調ケース2の幅方向yの中央部にまとめて配置される。そのうち、後席用のフット口11bが左右に分けて設けられると共に、後席用のベント口11aは左右共通のものとされて、左右のフット口11bの間に位置している。前席用のエア出口部7および後席用のエア出口部11は、それぞれダクト部材を介して車室内に設けられた各吹出口へと導かれる。
【0021】
なお、空調ケース2は、前部ケース13と後部ケース14とに分かれている。このように、空調ケース2を、前部ケース13と後部ケース14とに分けることにより、空調用エア5の入口部6の位置が左右反対になった2種類の前部ケース13を用意しておくだけで、後部ケース14を右ハンドル車用の車両用空調装置1と左ハンドル車用の車両用空調装置1との両方に使えるようにすることができる。
【0022】
更に、後部ケース14は、
図6に示すように、右側ケース14aと左側ケース14bとに分かれている。右側ケース14aと左側ケース14bとの間には、空調ケース2の内部空間を左右に仕切るための隔壁15(センタープレート)が設けられる。隔壁15は、空調ケース2の側面形状とほぼ同じ側面形状を有するものとされている。このように後部ケース14の内部を左右に仕切ることで、前席を左右独立して温度調節することができるようになる。
【0023】
図7は、車両用空調装置1における、空調ケース2の内部構造を示すものである。空調ケース2の内部には、空調用エア5の入口部6から前席用のエア出口部7へ向けて、冷却用熱交換器16と、加熱用熱交換器17とが順に配置されている。冷却用熱交換器16と加熱用熱交換器17との間には、ミックスドア18が設置されている。ミックスドア18は、冷却用熱交換器16で冷却された空調用エア5を、加熱用熱交換器17と、加熱用熱交換器17をバイパスするバイパス部19とに分配(および分配量調整)するものである。
【0024】
ここで、冷却用熱交換器16は、給排部3からの冷媒3a(冷却媒体)と空調用エア5との間で熱交換を行い、空調用エア5を冷却および除湿して冷風5Cにするためのもの(エバポレータ)である。冷却用熱交換器16は、前部ケース13の内部に、側方から見て僅かに前傾した状態で設けられている。
【0025】
また、加熱用熱交換器17は、給排部4からの熱媒4a(加熱用媒体)と空調用エア5との間で熱交換を行い、空調用エア5を加熱して温風5Hにするためのもの(ヒータコア)である。加熱用熱交換器17は、後部ケース14の内部に、側方から見て僅かに後傾した状態で設けられている。
【0026】
なお、加熱用熱交換器17の下流側(後方)には、補助的に電気ヒータなどの補助加熱器21を設けるようにしても良い。このように、補助加熱器21を設けることによって、加熱用熱交換器17を小型化することができる。また、冬場の暖気運転時などに補助加熱器21を用いることで、エンジン(エンジン冷却液)が暖まる前であっても、素早く前席の暖房を行うことができるようになる。
【0027】
冷却用熱交換器16と加熱用熱交換器17は、下端部どうしをほぼ同じ高さに揃えて設置されている(加熱用熱交換器17の下端部の方が若干低くなっている)。冷却用熱交換器16は、その上端部が、ほぼ空調ケース2の上部の位置まで延びている。加熱用熱交換器17は、その上端部が、冷却用熱交換器16のほぼ半分程度の高さに設置されている。
【0028】
そして、ミックスドア18は、上下方向zのほぼ中央部が、加熱用熱交換器17の上端部に位置するように設置されている。ミックスドア18は、その上部が、冷却用熱交換器16の上部よりも低くなっている。ミックスドア18は、例えば、水平な回転軸18aを中心として上下に回動するフラップ18bを有するフラップ式の弁などとすることができる。回転軸18aは、加熱用熱交換器17のほぼ上端部の位置に設置され、フラップ18bは、回転軸18aからほぼ前方へ延ばされており、フラップ18bの先端部(前端部)が通る側面視ほぼ円弧状の部分が、ミックスドア18の入側開口部18cとなっている。
【0029】
冷却用熱交換器16とミックスドア18との間には、空調用エア5をミックスドア18へ案内するためのガイド部22が設けられている。ガイド部22は、側方から見て、冷却用熱交換器16のほぼ上下端部の位置から、ミックスドア18の入側開口部18cのほぼ上下端部の位置へ向けて、徐々に高さ方向の寸法が狭くなって行くように延びる先細り状のものとされる。即ち、ガイド部22は、車両後方へ向けて下り勾配に傾斜する上側ガイド壁22aと、車両後方へ向けて上り勾配に傾斜する下側ガイド壁22bとを有している。ガイド部22は、前部ケース13の後壁や後部ケース14の前壁などによって形成することができる。
【0030】
そして、ミックスドア18は、下流側(後側)に、上下の出側開口部18d,18eを有している。上方の出側開口部18dが、バイパス部19となっており、下方の出側開口部18eが、加熱用熱交換器17に臨んでいる。
【0031】
ミックスドア18の下方の出側開口部18eと加熱用熱交換器17の入側との間には、入側の温風流路23aが設けられている。入側の温風流路23aは、上記した下側ガイド壁22bの後側の部分に形成される。そして、加熱用熱交換器17の出側には、下から上へ向かって延びる出側の温風流路23bが設けられている。入側の温風流路23aと出側の温風流路23bとは、加熱用熱交換器17の同じ位置に開口されている。そして、入側の温風流路23aと出側の温風流路23bとによって、温風流路が構成される。出側の温風流路23bの上端部は、ミックスドア18の上方の出側開口部18d(のバイパス部19)と合流している。
【0032】
そして、ミックスドア18の上方の出側開口部18dと、出側の温風流路23bの上端部とが合流するバイパス部19の周辺が、冷風5Cと温風5Hとを混合して空調用エア5の温度を設定温度にて均等化するための混合領域24(または混合室)となっている。混合領域24には、例えば、冷風5Cと温風5Hとの混合を促進するためにベーンなどのような混合促進部材24a(
図6)を設けることができる。また、例えば、フロントデフロスター口7aやサイドのベント口7bやセンターのベント口7cなどに、より多くの温風5Hなどを供給したい場合などに、一部の冷風5Cあるいは温風5Hを、あえて混合させないようにするためのガイド部材を設けることができる。混合領域24の上側などには上記した前席用のエア出口部7が設けられており、混合領域24は、前席用のエア出口部7とそれぞれ直接的に連通されている。
【0033】
前席用のエア出口部7には、風量を調整可能な出口ドア25がそれぞれ設けられている。各出口ドア25は、例えば、水平な回転軸25aを中心として上下に回動するフラップ25bを有するフラップ式の弁などとすることができる。前席用のエア出口部7と混合領域24との間には、各出口ドア25のフラップ25bが回動する領域(回動領域)を有している。
【0034】
なお、出側の温風流路23bは、空調ケース2の内部で通路仕切壁26によって、フット通路27と前後に仕切られており、フット通路27は、フラップ25bの回動領域を介して混合領域24に連通すると共に、その中間部に、空調ケース2の後部側面に開口する前席用のフット口7dを有し、その下端部に、空調ケース2の後面下部に開口する後席用のフット口11bを有している(
図8参照)。
【0035】
このような車両用空調装置1を、後席に対して空調用エア5を送ると共に、前席と後席とで、独立して空調用エア5の温度調節ができるようにする。そのために、この実施例では、以下のような構成を備えるようにしている。
【0036】
(1)
図9に示すように、ミックスドア18の入側開口部18cを、前席用のエア出口部7へ空調用エア5を送る第一空間部31(
図7)のための第一エア取込部32とする。
そして、冷却用熱交換器16からミックスドア18へ空調用エア5を案内するガイド部22の途中で、且つ、第一エア取込部32の外側となる位置に、空調ケース2に設けた後席用のエア出口部11へ空調用エア5を送る第二空間部33のための第二エア取込部34を設ける。
【0037】
ここで、前席用の第一空間部31は、空調ケース2の内部における、上記したような、ミックスドア18から前席用のエア出口部7に至るまでの風路のほぼ全体、即ち、空調ケース2の内部空間のほぼ全体とされる。具体的に言うと、第一空間部31には、ミックスドア18の内部空間や、温風流路(入側の温風流路23aおよび出側の温風流路23b)や、混合領域24や、出口ドア25の回動領域や、前席用のエア出口部7や、フット通路27などが広く含まれる。
【0038】
後席用の第二空間部33は、ミックスドア18よりも手前側の位置、または、ガイド部22の位置から後席用のエア出口部11に達するように空調ケース2の内部に局所的に通されるダクト状のものなどとされる(
図10の横に切断した斜視図、
図11の縦に切断した斜視図を参照)。
【0039】
この実施例では、上記したように、後席用のフット口11bを前席用のエア出口部7と共通化して同じに取り扱うようにしているため、後席用のエア出口部11は、実質的に後席用のベント口11aのみとなっていることから、後席用のベント口11aのみに対してダクト状の第二空間部33を設けるようにしている。但し、後席用のフット口11bと前席用のフット口7dとを分けてそれぞれ独立化した場合には、後席用のベント口11aとフット口11bとの両方が後席用のエア出口部11の扱いになるため、後席用のベント口11aとフット口11bとの両方に対してそれぞれダクト状の第二空間部33を設けることが必要になる。
【0040】
ダクト状には、単体で管状となっているものや、
図12に示すように、複数の部材35a,35b(例えば、半割片など)を組み合わせて管路を構成するようにしたものや、
図5(
図8)などに示すように、空調ケース2の内部に部分的な壁部36を設けて管路やその一部を構成するようにしたものなどが含まれる。このようなダクトには、空調ケース2の内部を全域に亘って幅方向yに領域分割するような大掛りなものは含まれないものとする。この実施例では、後席用の第二空間部33は、ほぼ矩形断面を有する小型のダクトなどとしている。
【0041】
(2)
図9に示すように、第二空間部33は、第一空間部31の内部に、後席用のエア出口部11へ冷風5Cを送る冷風通路41と、後席用のエア出口部11へ温風5Hを送る温風通路42と、を有するようにしても良い。
そして、第二エア取込部34は、ミックスドア18の入側開口部18cよりも上側の位置から冷風通路41への空調用エア5を取込む冷風取込部43と、ミックスドア18の入側開口部18cよりも下側の位置から温風通路42への空調用エア5を取込む温風取込部44とを有している。
【0042】
ここで、第二空間部33となる冷風通路41および温風通路42は、
図13、
図14に示すように、少なくともその一部が空調ケース2の内部を左右の空間に仕切る隔壁15に対して付設することができる。これにより、上記したような冷風通路41および温風通路42が付設されている隔壁15と、冷風通路41および温風通路42が付設されていない隔壁15との二種類の隔壁15を予め用意しておき、これらのいずれかを使用することで、後席の温度調節ができる仕様の車両用空調装置1と、後席の温度調節ができない仕様の車両用空調装置1とに、簡単に作り分けることが可能になる。
【0043】
冷風通路41は、混合領域24またはその上側を通るようにほぼ前後方向xに配設される入側の冷風ダクト部41aと、フット通路27の内部(幅方向yの中央部)を部分的に一対の壁部36で仕切ることによって形成された、出側の冷風ダクト部41b(
図9)と、を有するようにしても良い。この場合、隔壁15の上部には、入側の冷風ダクト部41aのみが一体的に付設される。出側の冷風ダクト部41bを構成する左右一対の壁部36は、入側の冷風ダクト部41aとほぼ等しい間隔を有して空調ケース2の後壁と通路仕切壁26との間に設けられた縦壁となっている。
【0044】
温風通路42は、入側の温風流路23aの内部に配設される入側の温風ダクト部42aと、出側の温風流路23bの内部に配設される出側の温風ダクト部42bと、を有している。この際、温風通路42は、
図9に示すように、加熱用熱交換器17のミックスドア18から最も遠くなっている部分(例えば、下側の部分)を通るようにすることで、第一空間部31のためにこれまで十分に使われていなかった領域を有効活用することができる。これにより、第一空間部31への影響も少なくすることができる。この場合、隔壁15の下部に、入側の温風ダクト部42aと出側の温風ダクト部42bとが加熱用熱交換器17の厚み分の間隔を有して対向するように一体的に付設される。温風通路42は、補助加熱器21を通らないように、補助加熱器21の下側を通るようにしても良い。
【0045】
なお、冷風通路41は、温風通路42よりも流路断面が大きくなるようにしても良い。例えば、冷風通路41は、温風通路42のほぼ2倍程度の流路断面などとすることができる。これにより、夏場などに、後席用のベント口11aから後席の乗員の上体へ向けて十分な量の冷風5Cを送ることができるようになる。また、冬場における後席の乗員の足元への温風5Hについては、後席用のフット口11bを用いるので、温風通路42の流路断面が冷風通路41より小さくても特に支障はない。
【0046】
冷風取込部43は、冷風通路41への冷風5Cの取込口となるものである。また、温風取込部44は、温風通路42への温風5Hの取込口となるものである。
【0047】
(3)
図1(
図3、
図4)に示すように、空調ケース2には、前席用のエア出口部7として、左右のベント口7b,7cが幅方向yに間隔51(
図1参照)を有して離間配置されても良い。
そして、
図10(
図11)に示すように、冷風通路41は、左右のベント口7b,7cの間を通して配置されても良い。更に、冷風取込部43は、冷風通路41の入側で幅方向yに拡がる拡幅部52としても良い。
【0048】
ここで、左右のベント口7b,7cが離間する幅方向yの間隔51は、冷風通路41の幅寸法とほぼ同じかそれよりも大きくすることができる。
【0049】
なお、左右のフロントデフロスター口7aについては、フロントウィンドウガラスの幅中央部の窓晴れ性を確保するために、上記のような幅方向yの間隔51は設けないようにして、互いにできるだけ近接配置させるようにするのが好ましい。
【0050】
そして、冷風通路41の前側の冷風取込部43は、フロントデフロスター口7aから吹き出す空調用エア5の妨げ(抵抗)や、フロントデフロスター口7aに設けられる出口ドア25の動きの邪魔にならないように、フロントデフロスター口7aおよびその出口ドア25よりも下側に設置する(
図9)。そのために、冷風取込部43は、上下方向zの寸法を小さくして高さを抑えると共に、その分、冷風取込部43の幅方向yの寸法を広げて(拡幅部52として)、冷風通路41の下流側の部分とほぼ同じ流路断面を確保できるようにする。
【0051】
(4)
図9に示すように、冷風取込部43および温風取込部44は、冷却用熱交換器16と対向する位置に設置するようにしても良い。
【0052】
ここで、対向とは、直接的に向かい合うことであり、若干のズレについては許容できるが、完全にズレているものについては除外される。そして、冷風取込部43は、ガイド部22の上側ガイド壁22aの下側の位置にて開口されている。よって、冷風取込部43は、冷却用熱交換器16の上部と対向されている。また、温風取込部44は、下側ガイド壁22bの下側の位置にて開口されている。よって、温風取込部44は、冷却用熱交換器16の下部と対向されている。
【0053】
(5)冷風取込部43および温風取込部44は、少なくとも一部が冷却用熱交換器16の高さ範囲内に位置するようにしても良い。
【0054】
ここで、冷却用熱交換器16の高さ範囲は、冷却用熱交換器16の上端部から下端部までの間の範囲のことである。冷風取込部43および温風取込部44は、ほぼ全部を冷却用熱交換器16の高さ範囲内に位置させるのが好ましい。冷風取込部43および温風取込部44の少なくとも一部(または、ほぼ全部)を冷却用熱交換器16の高さ範囲内に位置させることに加えて、冷風通路41および温風通路42も、その少なくとも一部、好ましくは、ほぼ全部を冷却用熱交換器16の高さ範囲内に位置させるようにすると、車両用空調装置1を上下方向に小型化する上で好ましい。
【0055】
(6)冷風通路41と温風通路42とは、後席用のエア出口部11の手前で合流すると共に、冷風通路41と温風通路42との合流部71に第二ミックスドア72を配置するようにしても良い。
【0056】
ここで、合流部71は、出口部材12の内部に設けられる。第二ミックスドア72は、どのようなものとしても良い。例えば、第一のミックスドア18と同様に、フラップ式の弁などとすることができる。また、例えば、水平な回転軸72aを中心として上下に回動する円筒面状の弁体72bを有する回転弁などとしても良い。
【0057】
<作用>以下、この実施例の作用について説明する。
【0058】
車両用空調装置1の基本的な作動は以下の通りである。
【0059】
ブロワユニットの送風機によって入口部6から空調ケース2内に取り込まれた空調用エア5は、先ず、冷却用熱交換器16で除湿・冷却されて冷風5Cとなる。
【0060】
次に、空調用エア5は、ガイド部22によってミックスドア18の入側開口部18cへと案内され、ミックスドア18を通る。ミックスドア18では、空調用エア5の分配および分配量の調整が行われ、空調用エア5は、加熱用熱交換器17やバイパス部19へと適宜送られる。
【0061】
このうち、ミックスドア18によって入側の温風流路23aから加熱用熱交換器17へ送られた空調用エア5は、加熱用熱交換器17で加熱されて温風5Hとなり、出側の温風流路23bを介して混合領域24へと送られる。
【0062】
一方、ミックスドア18によってバイパス部19からバイパスされた空調用エア5(冷風5C)は、混合領域24へ直接送られて、加熱用熱交換器17からの温風5Hと合流される。
【0063】
混合領域24では、加熱用熱交換器17からの温風5Hと、バイパス部19をバイパスした冷風5Cとが混合促進部材24aなどによって混合され、温度が均等化されて設定温度となる。
【0064】
その後、設定温度となった空調用エア5は、前席用のエア出口部7を通って車室内の前席部分へ吹き出される。これにより、前席の温度調節が行われる。
【0065】
この実施例では、更に、ミックスドア18の入側開口部18c(第一エア取込部32)よりも上流側(前側)に後席用の第二空間部33への入口(第二エア取込部34)を設けて、冷却用熱交換器16で除湿・冷却された冷風5Cのうちの一部を、ミックスドア18へ入る前に後席用の第二空間部33へ取り込むようにしている。これにより、後席用のエア出口部11から車室内の後席部分へ空調用エア5を吹き出させて、後席の温度調節を独立して行うことが可能になる。
【0066】
<効果>この実施例によれば、以下のような効果を得ることができる。
【0067】
(効果1)ミックスドア18の入側開口部18cの全域を前席用のエア出口部7へ空調用エア5を送る第一空間部31のための第一エア取込部32とした。また、冷却用熱交換器16からミックスドア18へ空調用エア5を案内するガイド部22の途中における、第一エア取込部32の外側となる位置に、後席用のエア出口部11へ空調用エア5を送る第二空間部33のための第二エア取込部34を設けた。
【0068】
これにより、ミックスドア18の入側開口部18cの全域を第一エア取込部32にして、第一空間部31のために制限なく使うことが可能になる。また、ミックスドア18の入側開口部18cよりも外側の部分を使って、第二空間部33のための第二エア取込部34をスペース効率良く設けることが可能になる。
【0069】
そして、このような構成とすることにより、第二エア取込部34は、ミックスドア18の入側開口部18cを占有する領域を持たないものとなり、しかも、ミックスドア18で加熱用熱交換器17とバイパス部19とに分配される前に必要な量の空調用エア5を第二空間部33に取込めるものとなる。
【0070】
そのため、第一空間部31は第一エア取込部32から十分な風量を取り込むことができると共に、第二空間部33は第二エア取込部34から必要な風量を確保することができるようになり、第一空間部31や第二空間部33の風量確保のために、例えば、空調ケース2や冷却用熱交換器16や加熱用熱交換器17を幅方向yや上下方向zに大きくしたり、または、ブロワユニットにおける送風機の風量を増大させたりする必要をなくすことができる。
【0071】
その結果、車両用空調装置1の幅寸法や高さ寸法を比較的小さく抑えても後席に対する十分な温度調節機能を持てるようになり、車両用空調装置1の大型化を抑制したり(小型化)、騒音を低減したり(低騒音化)しつつ、前席と後席とを独立して温度調節することが可能になる。
【0072】
(効果2)第二空間部33を冷風通路41と温風通路42とに分けて、冷風通路41と温風通路42をそれぞれ(例えば、ダクト状などにして)第一空間部31の内部に配置しても良い。また、第二エア取込部34を、ミックスドア18の入側開口部18cよりも上側に位置する(冷風通路41の)冷風取込部43と、ミックスドア18の入側開口部18cよりも下側に位置する(温風通路42の)温風取込部44とに分けて設けても良い。
【0073】
これにより、第二空間部33を冷風通路41と温風通路42とに上下に分けて、第一空間部31の内部に無理なく設置することができると共に、上下の冷風取込部43および温風取込部44からそれぞれ冷風通路41および温風通路42へと空調用エア5を有効に取込むことができるようになり、(ダクト状などの)第二空間部33を成立させるための具体的な構造を得ることができる。
【0074】
(効果3)第二空間部33の冷風通路41を、左右のベント口7b,7cの間に設けた幅方向yの隙間(間隔51)に通すように設置しても良い。左右のベント口7b,7cは、運転席と助手席とに対して別々に空調用エア5を吹き出すことができるように分けて設けられるため、幅方向yに離間配置するのに適しているので、支障なく冷風通路41を左右のベント口7b,7cの間に通すことができる。これにより、第一空間部31の内部に邪魔にならないように、また、第一空間部31の内部における空調用エア5の流れの妨げ(抵抗)になったりしないように、(第二空間部33の)冷風通路41を設置することができる。よって、例えば、空調ケース2の内部に第二空間部33のための独立した領域を確保するために、空調ケース2を幅方向yに拡げたりする必要などをなくすことができる。
【0075】
また、冷風取込部43を拡幅部52としても良い。これにより、冷却用熱交換器16で冷却された空調用エア5を幅方向yの広い範囲から冷風通路41へ効率的に取り込むことができる。
【0076】
そして、冷風取込部43の上側には、フロントウィンドウガラスへ向けて窓曇り防止用の空調用エア5を吹き出すフロントデフロスター口7aが設けられることになるが、冷風取込部43を拡幅部52にすることにより、冷風取込部43の高さを抑えてフロントデフロスター口7aから離して設けることができるので、フロントデフロスター口7aからの空調用エア5の吹き出し、特に、フロントウィンドウガラスの幅中央部への空調用エア5の吹き出しを妨げないようにすることができる。これにより、フロントデフロスター口7aは、フロントウィンドウガラスの全域に亘って良好な窓晴れ性を確保することができる。
【0077】
(効果4)冷風取込部43および温風取込部44を、冷却用熱交換器16と対向する位置に設置しても良い。これにより、冷却用熱交換器16で冷却された空調用エア5を、冷却用熱交換器16と対向する冷風取込部43および温風取込部44から効率的に取り込むことができる。
【0078】
(効果5)冷風取込部43および温風取込部44の少なくとも一部を冷却用熱交換器16の高さ範囲内に配置しても良い。これにより、冷却用熱交換器16で冷却された空調用エア5を、高さを抑えて配置した冷風取込部43および温風取込部44から効率的に取り込むことができる。
【0079】
また、上記により、冷風通路41および温風通路42を冷却用熱交換器16の高さ範囲内で配設することも容易になるため、車両用空調装置1全体の高さを抑えることが可能になる。
【0080】
(効果6)冷風通路41と温風通路42との合流部71に第二ミックスドア72を設けても良い。これにより、冷風通路41からの冷風5Cと温風通路42からの温風5Hとを第二ミックスドア72で混合して温度調節することができ、温度調節した空調用エア5を後席用のエア出口部11から吹き出すことが可能になる。