【実施例1】
【0009】
本実施例の折畳式ハンドカート1は、左右一対のサイドフレーム2、2’と、各サイドフレーム2、2’の前後の下部に取り付けられた合計4つのキャスター3と、左右のサイドフレーム2,2’間に取り付けられてサイドフレーム2,2’間の横幅を広げて使用姿勢となる展開位置(
図1、
図2参照)と横幅方向に狭めて収納姿勢となる折畳位置(
図7〜
図9)とに平行移動させる平行リンク部材4と、前記左右のサイドフレーム2,2’間に横架されて折畳可能な左右一対の折畳構成部材5、6とからなっている。
【0010】
[サイドフレーム]
本実施例では左右のサイドフレーム2,2’は同一構造からなっており、他方のサイドフレーム2’の同一構造には同一符号に「’」を付して説明を省略する。
即ち、サイドフレーム2は、上部にハンドル杆Hを有し、下部にキャスター3を取り付けた上下に延びる第1縦枠21と、該第1縦枠21と前後に対峙し下部にキャスター3を取り付けた第2縦枠22と、該第2縦枠22と前記第1縦枠21間に前後に掛け渡された上枠23とを有している。
【0011】
左右一対のサイドフレーム2,2’間には、サイドフレーム2、2’を離間させた展開位置と接近させた折畳位置とに変位させる平行リンク部材4と、サイドフレーム2、2’間に掛け渡されて、前記展開位置で水平となり、折畳位置で倒立V字状に折れ曲がる左右一対の折畳構成部材5,6とを介設している。
【0012】
[平行リンク部材]
本実施例で平行リンク部材4は、前記左右一対のサイドフレーム2、2’にX字状に掛け渡されて、両端が前記サイドフレーム2、2’に枢着P1、P2(P1’、P2’)され、中央の交差個所が枢軸P3により枢着されている(
図1参照)。
この平行リンク部材4は、左右のサイドプレート2、2’を縦向きで中央に向かって平行移動させるリンク構造からなっていればよく、図示例のリンク構造に限らない。
【0013】
[折畳構成部材]
折畳式ハンドカート1の折畳乃至展開の作動は、左右のサイドフレーム2,2’間に横架された左右一対のプレート状の折畳構成部材5、6によって行われる。
本実施例では、一方(図中左側)の折畳構成部材5の端部が一方(図中左側)のサイドフレーム2
の側枠24に枢着P11されており、他方(図中右側)の折畳構成部材6の端部は、他方(図中右側)のサイドフレーム2’
の側枠24に枢着P12されている。
【0014】
各折畳構成部材5,6のそれぞれの先端側は、折畳式ハンドカート1の展開姿勢で水平に延びており、相互に前後に重なり合う重合片部5a、6aを有している(
図10参照)。
そして、一方の重合片部5aは、先端の下部が縦方向に幅広く形成され、その幅広個所5bに先端(折畳式ハンドカート1の中央)から基端(第1縦枠21)に向かって下降傾斜する長孔7が穿設されている。
【0015】
また、前記幅広個所5bに隣接した重合片部5aの下端には、前記展開位置でストッパ片8が、重合する他方の重合片部6aの下端を支承するように外方へ突出している。
他方の重合片部6aには、前記長孔7に嵌挿され、長孔7に沿って摺動可能な枢軸9が固定されており、先端が長孔7方向に向かって突出しており長孔7に沿って摺動可能に嵌合する。
【0016】
本実施例では、棚板10は、サイドフレーム2(2’)の前後に対峙する第1縦枠21(21’)と第2縦枠22(22’)の間に、杆状の側枠24(24’)が水平に横架して両端は固定されている。
上記一方の側枠24には前記一方の折畳構成部材5の基端が枢着P11されており、他方の側枠24’には前記他方の折畳構成部材6の基端P12が枢着されている。
【0017】
[棚板]
本実施例では、前記折畳構成部材5,6は、棚板10の前後の枠部材を兼用しているが、この発明では棚板10とは別体であってもよい・
この棚板10の前後の枠部材を兼ねる折畳構成部材5,6は、側枠24、24’の前方側と後方側にセットで取り付けられており、対向する折畳構成部材5,5と6、6間に前後方向に延びる底面構成部材の一例としての底枠11が固定されており、前後の折畳構成部材5と5,6と6とを連動可能に連結している。
【0018】
この底枠11は、折畳構成部材5,6の折畳動作の障害とならないように重合片部5a,6aには配置されない。
上記底枠は図示例では杆材からなっているが、板材からなって前後の折畳構成部材5または6の底面を塞ぐものでもよい。
また、本実施例では、上記棚板10は、同一構造で、上下2段に設けられているが、一段でも複数段でもよい。
【0019】
上記構成からなっているので、
図1、
図2の折畳式ハンドカート1の展開位置では、
図11(a)に示すように、折畳構成部材5,6は水平姿勢となっており、他方の折畳構成部材6の重合片部6aの先端側が一方の折畳構成部材5のストッパ片8によって下端が支持され、また、他方の折畳構成部材6の枢軸9は一方の折畳構成部材5の長孔7の先端側に嵌挿されてロック状態となり、水平姿勢が維持され、平行リンク部材4も拘束されてサイドプレート2、2’も固定位置に保持されている。
【0020】
折畳に際しては、
図3、
図4、
図11(b)に示すように、前記ストッパ片8を僅かに上に上げると前記ロック状態が解除され、折畳構成部材5,6が僅かに屈曲する。
これに伴い、平行リンク部材4を介して、左右のサイドプレート2、2’が平行を維持しながら相互に中央に向かって変位する。
【0021】
更に、サイドプレート2、2’を中央寄りに接近させると、
図5、
図6、
図11(c)に示すように、前記折畳構成部材5,6は更に傾斜角度を大きくして山形に屈曲し、枢軸9は長孔7に沿って下方へ摺動変位する。
【0022】
そして、サイドプレート2、2’は平行リンク部材4を介して更に接近させると、
図7、
図8、
図11(d)に示すように、前記折畳構成部材5,6は更に傾斜角度を大きくして屈曲し、枢軸9は長孔7に沿って下端側まで摺動変位する。
枢軸9に対して長孔7は枢軸9の真上に延びる位置を超えて反対側に傾斜した状態に変位するので、折畳構成部材5,6は展開方向に変位しにくくなり、折畳式ハンドカート1は折畳位置となる。
【0023】
この発明は、上記実施例に限らず、例えば平行リンク部材は、左右のサイドプレート間にV字状に介設される一対のリンク部材でもよいし、その他公知の平行リンク機構を用いることができる。
また、ハンドルは第1縦枠、第2縦枠に個別に設けたが、両縦枠間に掛け渡されて、使用時には展開し、収納時には折畳まれる構造であってもよい。
また、前記実施例ではストッパ片を一方の折畳構成部材に設けたが、展開姿勢で一対の折畳構成部の基端側の下降を拘束するように少なくとも一方の第1縦枠に設けてもよい。
あるいは、展開姿勢の時、枢軸は傾斜する長孔の上端で衝合し、折畳姿勢の時、枢軸は長孔の下端で衝合するので、ストッパとしても機能しているので、ストッパ片を設けなくてもい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。