特許第6871826号(P6871826)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871826
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月12日
(54)【発明の名称】折畳式ハンドカート
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20210426BHJP
【FI】
   B62B3/02 B
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-162893(P2017-162893)
(22)【出願日】2017年8月25日
(65)【公開番号】特開2019-38433(P2019-38433A)
(43)【公開日】2019年3月14日
【審査請求日】2019年4月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】391009707
【氏名又は名称】株式会社ナンシン
(74)【代理人】
【識別番号】100083183
【弁理士】
【氏名又は名称】西 良久
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 彰則
(72)【発明者】
【氏名】高橋 渉
(72)【発明者】
【氏名】小名木 実
【審査官】 立花 啓
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3187235(JP,U)
【文献】 特開昭57−095255(JP,A)
【文献】 特開昭55−145062(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3141594(JP,U)
【文献】 特開2016−154736(JP,A)
【文献】 実開平04−045174(JP,U)
【文献】 実開平02−025365(JP,U)
【文献】 実開昭58−058972(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
折畳式ハンドカートの前方の第1縦枠と後方の第2縦枠と両者間に一体に掛け渡された上枠とからなるサイドフレームを左右一対に設け、各第1縦枠と第2縦枠の下部にキャスターを設けており、左右の第2縦枠間に取り付けられて左右のサイドフレーム間の横幅を広げる展開位置と狭める折畳位置とに平行移動させる平行リンク部材と、左右のサイドフレーム間で第1縦枠間および第2縦枠間にそれぞれ横架されて折畳可能な左右一対の折畳構成部材を設けた折畳式ハンドカートにおいて、
一対のサイドフレーム間に上下多段に折畳構成部材および棚板を設けており、
該棚板が、前後の第1縦枠と第2縦枠の間に水平に掛け渡された側枠と、
該側枠に折畳構成部材の一方の端部が枢着され、他方の先端側は前記展開位置で相互に重なり合う位置まで延びる重合片部が形成され、一方の折畳構成部材の重合片部には作動軸が突設され、他方の折畳構成部材の重合片部には前記作動軸が前記展開位置から折畳位置まで変位可能に拘束する長孔が穿設されており、
前後に対峙する折畳構成部材が棚板の枠部材となり、該前後の枠部材に底面構成部材が固定されて一方の棚板が形成されていることを特徴とする折畳式ハンドカート。
【請求項2】
長孔を有する折畳構成部材には、展開姿勢で、作動軸を有する折畳構成部材の重合片部の底面を支持する支承片が突設されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳式ハンドカート。
【請求項3】
折畳構成部材の展開位置で枢軸が長孔の先端側に嵌合し、前記長孔は基端側が下降傾斜しており、折畳構成部材の折畳位置で枢軸が長孔の基端側に嵌合し、前記長孔は先端側が上向きに傾斜してなることを特徴とする請求項1に記載の折畳式ハンドカート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡単な構造で折畳が容易な折畳式ハンドカートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の折畳式ハンドカートとして、例えば、特開2016−88193号の運搬車及びフレーム構造では、一対の前部キャスター、一対の後部キャスター、及び、前記前部キャスターと前記後部キャスターとの間で着設された一対の車輪とを備えた、前後方向に折り畳み可能な運搬車であって、前側及び後側で立設され、前記前部キャスター及び前記後部キャスターをそれぞれ支持する縦フレームと、前記縦フレームの間で略垂直方向に延在し、前記車輪を支持する支持フレームと、前記各縦フレームと前記支持フレームとの間に回動可能に架設されたベースフレームと、を備え、前記支持フレームは、前記車輪が着設された内挿部材と、前記ベースフレームが回動可能に連結されるとともに前記内挿部材に対してスライド可能に外挿された外挿部材とを備えた構成からなっている。
そのため、縦フレームを支持フレームに対して近接方向に折り畳むべく、ベースフレームを支持フレームに対して回動させたとき、支持フレームの内挿部材をその場に維持したまま外挿部材のみを上方にスライドさせることができる。そして、車輪を接地させた状態で前部キャスター及び後部キャスターを車輪に隣接配置させて、運搬車を前後方向に折り畳むことができる。
しかし、上記構成は、前後のキャスターの中央に大径の車輪を設け、この車輪が設置させたまま運搬車のフレームを中央の支持フレームに向かって前後方向に折り畳むことができるが、構造が複雑となる。また前後のキャスターだけで運搬車の横幅となる左右方向に折り畳むことはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−88193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする問題点は、前後の四隅にキャスターを有するフレーム構造のハンドカートを簡単な構成で左右側面が接近する方向に折畳むことができる折畳式ハンドカートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するために、請求項1の発明では、
折畳式ハンドカートの前方の第1縦枠と後方の第2縦枠と両者間に一体に掛け渡された上枠とからなるサイドフレームを左右一対に設け、各第1縦枠と第2縦枠の下部にキャスターを設けており、左右の第2縦枠間に取り付けられて左右のサイドフレーム間の横幅を広げる展開位置と狭める折畳位置とに平行移動させる平行リンク部材と、左右のサイドフレーム間で第1縦枠間および第2縦枠間にそれぞれ横架されて折畳可能な左右一対の折畳構成部材を設けた折畳式ハンドカートにおいて、
一対のサイドフレーム間に上下多段に折畳構成部材および棚板を設けており、
該棚板が、前後の第1縦枠と第2縦枠の間に水平に掛け渡された側枠と、
該側枠に折畳構成部材の一方の端部が枢着され、他方の先端側は前記展開位置で相互に重なり合う位置まで延びる重合片部が形成され、一方の折畳構成部材の重合片部には作動軸が突設され、他方の折畳構成部材の重合片部には前記作動軸が前記展開位置から折畳位置まで変位可能に拘束する長孔が穿設されており、
前後に対峙する折畳構成部材が棚板の枠部材となり、該前後の枠部材に底面構成部材が固定されて一方の棚板が形成されていることを特徴とする。
請求項2の発明では、
長孔を有する折畳構成部材には、展開姿勢で、作動軸を有する折畳構成部材の重合片部の底面を支持する支承片が突設されていることを特徴とする。
請求項3の発明では、
折畳構成部材の展開位置で枢軸が長孔の先端側に嵌合し、前記長孔は基端側が下降傾斜しており、折畳構成部材の折畳位置で枢軸が長孔の基端側に嵌合し、前記長孔は先端側が上向きに傾斜してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の折畳式ハンドカートは、折畳ないし展開作動する一対の折畳構成部材の一方の折畳構成部材の重合片部には作動軸が突設され、他方の折畳構成部材の重合片部には前記作動軸が前記展開位置から折畳位置まで変位可能に拘束する長孔が穿設されており、折畳時には作動軸を長孔に沿って上昇させることで一対の折畳構成部材が連動して折畳方向に折り畳まれ、左右のサイドフレームが接近して収納状態の折畳姿勢になり、逆に作動軸を長孔に沿って下降させることで一対の折畳構成部材が展開方向に連動し、左右のサイドフレームが離間して使用状態の展開姿勢となる。
前記長孔を有する折畳構成部材には、展開姿勢で、作動軸を有する折畳構成部材の重合片部の底面を支持する支承片を突設しておけば、簡単な構成で展開時に折畳構成部材のロックを行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】折畳式ハンドカートの展開位置の斜視図である。
図2図1の背面図である。
図3】僅かに折畳方向に変位させた状態の斜視図である。
図4図3の正面図である。
図5】更に折畳方向に変位させた状態の斜視図である。
図6図5の正面図である。
図7】折畳式ハンドカートの折畳位置の斜視図である。
図8図6の正面図である。
図9図6の側面図である。
図10】一対の折畳構成部材の分離した状態の図である。
図11】(a)図1の展開位置での一対の折畳構成部材の拡大図、(b)図3の位置での一対の折畳構成部材の拡大図、(c)図5の位置での一対の折畳構成部材の拡大図、(d)図7の位置での一対の折畳構成部材の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下にこの発明の折畳式ハンドカートをショッピングカートに適用した場合の好適実施例について説明する。
【実施例1】
【0009】
本実施例の折畳式ハンドカート1は、左右一対のサイドフレーム2、2’と、各サイドフレーム2、2’の前後の下部に取り付けられた合計4つのキャスター3と、左右のサイドフレーム2,2’間に取り付けられてサイドフレーム2,2’間の横幅を広げて使用姿勢となる展開位置(図1図2参照)と横幅方向に狭めて収納姿勢となる折畳位置(図7図9)とに平行移動させる平行リンク部材4と、前記左右のサイドフレーム2,2’間に横架されて折畳可能な左右一対の折畳構成部材5、6とからなっている。
【0010】
[サイドフレーム]
本実施例では左右のサイドフレーム2,2’は同一構造からなっており、他方のサイドフレーム2’の同一構造には同一符号に「’」を付して説明を省略する。
即ち、サイドフレーム2は、上部にハンドル杆Hを有し、下部にキャスター3を取り付けた上下に延びる第1縦枠21と、該第1縦枠21と前後に対峙し下部にキャスター3を取り付けた第2縦枠22と、該第2縦枠22と前記第1縦枠21間に前後に掛け渡された上枠23とを有している。
【0011】
左右一対のサイドフレーム2,2’間には、サイドフレーム2、2’を離間させた展開位置と接近させた折畳位置とに変位させる平行リンク部材4と、サイドフレーム2、2’間に掛け渡されて、前記展開位置で水平となり、折畳位置で倒立V字状に折れ曲がる左右一対の折畳構成部材5,6とを介設している。
【0012】
[平行リンク部材]
本実施例で平行リンク部材4は、前記左右一対のサイドフレーム2、2’にX字状に掛け渡されて、両端が前記サイドフレーム2、2’に枢着P1、P2(P1’、P2’)され、中央の交差個所が枢軸P3により枢着されている(図1参照)。
この平行リンク部材4は、左右のサイドプレート2、2’を縦向きで中央に向かって平行移動させるリンク構造からなっていればよく、図示例のリンク構造に限らない。
【0013】
[折畳構成部材]
折畳式ハンドカート1の折畳乃至展開の作動は、左右のサイドフレーム2,2’間に横架された左右一対のプレート状の折畳構成部材5、6によって行われる。
本実施例では、一方(図中左側)の折畳構成部材5の端部が一方(図中左側)のサイドフレーム2の側枠24に枢着P11されており、他方(図中右側)の折畳構成部材6の端部は、他方(図中右側)のサイドフレーム2’の側枠24に枢着P12されている。
【0014】
各折畳構成部材5,6のそれぞれの先端側は、折畳式ハンドカート1の展開姿勢で水平に延びており、相互に前後に重なり合う重合片部5a、6aを有している(図10参照)。
そして、一方の重合片部5aは、先端の下部が縦方向に幅広く形成され、その幅広個所5bに先端(折畳式ハンドカート1の中央)から基端(第1縦枠21)に向かって下降傾斜する長孔7が穿設されている。
【0015】
また、前記幅広個所5bに隣接した重合片部5aの下端には、前記展開位置でストッパ片8が、重合する他方の重合片部6aの下端を支承するように外方へ突出している。
他方の重合片部6aには、前記長孔7に嵌挿され、長孔7に沿って摺動可能な枢軸9が固定されており、先端が長孔7方向に向かって突出しており長孔7に沿って摺動可能に嵌合する。
【0016】
本実施例では、棚板10は、サイドフレーム2(2’)の前後に対峙する第1縦枠21(21’)と第2縦枠22(22’)の間に、杆状の側枠24(24’)が水平に横架して両端は固定されている。
上記一方の側枠24には前記一方の折畳構成部材5の基端が枢着P11されており、他方の側枠24’には前記他方の折畳構成部材6の基端P12が枢着されている。
【0017】
[棚板]
本実施例では、前記折畳構成部材5,6は、棚板10の前後の枠部材を兼用しているが、この発明では棚板10とは別体であってもよい・
この棚板10の前後の枠部材を兼ねる折畳構成部材5,6は、側枠24、24’の前方側と後方側にセットで取り付けられており、対向する折畳構成部材5,5と6、6間に前後方向に延びる底面構成部材の一例としての底枠11が固定されており、前後の折畳構成部材5と5,6と6とを連動可能に連結している。
【0018】
この底枠11は、折畳構成部材5,6の折畳動作の障害とならないように重合片部5a,6aには配置されない。
上記底枠は図示例では杆材からなっているが、板材からなって前後の折畳構成部材5または6の底面を塞ぐものでもよい。
また、本実施例では、上記棚板10は、同一構造で、上下2段に設けられているが、一段でも複数段でもよい。
【0019】
上記構成からなっているので、図1図2の折畳式ハンドカート1の展開位置では、図11(a)に示すように、折畳構成部材5,6は水平姿勢となっており、他方の折畳構成部材6の重合片部6aの先端側が一方の折畳構成部材5のストッパ片8によって下端が支持され、また、他方の折畳構成部材6の枢軸9は一方の折畳構成部材5の長孔7の先端側に嵌挿されてロック状態となり、水平姿勢が維持され、平行リンク部材4も拘束されてサイドプレート2、2’も固定位置に保持されている。
【0020】
折畳に際しては、図3図4図11(b)に示すように、前記ストッパ片8を僅かに上に上げると前記ロック状態が解除され、折畳構成部材5,6が僅かに屈曲する。
これに伴い、平行リンク部材4を介して、左右のサイドプレート2、2’が平行を維持しながら相互に中央に向かって変位する。
【0021】
更に、サイドプレート2、2’を中央寄りに接近させると、図5図6図11(c)に示すように、前記折畳構成部材5,6は更に傾斜角度を大きくして山形に屈曲し、枢軸9は長孔7に沿って下方へ摺動変位する。
【0022】
そして、サイドプレート2、2’は平行リンク部材4を介して更に接近させると、図7図8図11(d)に示すように、前記折畳構成部材5,6は更に傾斜角度を大きくして屈曲し、枢軸9は長孔7に沿って下端側まで摺動変位する。
枢軸9に対して長孔7は枢軸9の真上に延びる位置を超えて反対側に傾斜した状態に変位するので、折畳構成部材5,6は展開方向に変位しにくくなり、折畳式ハンドカート1は折畳位置となる。
【0023】
この発明は、上記実施例に限らず、例えば平行リンク部材は、左右のサイドプレート間にV字状に介設される一対のリンク部材でもよいし、その他公知の平行リンク機構を用いることができる。
また、ハンドルは第1縦枠、第2縦枠に個別に設けたが、両縦枠間に掛け渡されて、使用時には展開し、収納時には折畳まれる構造であってもよい。
また、前記実施例ではストッパ片を一方の折畳構成部材に設けたが、展開姿勢で一対の折畳構成部の基端側の下降を拘束するように少なくとも一方の第1縦枠に設けてもよい。
あるいは、展開姿勢の時、枢軸は傾斜する長孔の上端で衝合し、折畳姿勢の時、枢軸は長孔の下端で衝合するので、ストッパとしても機能しているので、ストッパ片を設けなくてもい。
その他、要するにこの発明の要旨を変更しない範囲で種々設計変更しうること勿論である。
【符号の説明】
【0024】
1 折畳式ハンドカート
2、2’ サイドフレーム
3 キャスター
4 平行リンク部材
5,6 左右一対の折畳構成部材
5a,6a 重合片部
5b 幅広個所
7 長孔
8 ストッパ片
9 枢軸
10 棚板
11 底面構成部材の一例としての底枠
21 第1縦枠
22 第2縦枠
23 上枠
24 側枠
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11