(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1対のボディには、これら1対のボディにそれぞれ設けられた前記中央シリンダよりも径方向外側に、軸方向に貫通した貫通孔が設けられている、請求項1に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
前記ロータの中心軸を含む仮想平面のうち前記中央シリンダと交差する仮想平面が、前記貫通孔と交差する、請求項2に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
前記ロータの外周縁よりも径方向外側に、前記1対のボディの周方向中間部同士を互いに連結するセンターブリッジが設けられており、このセンターブリッジには、径方向に貫通したブリッジ孔が設けられており、前記ロータの中心軸を含む仮想平面のうち前記ブリッジ孔と交差する仮想平面が、前記1対のボディにそれぞれ設けられた前記中央シリンダ及び前記貫通孔とそれぞれ交差する、請求項3〜4のうちの何れか1項に記載した対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のような従来構造は、径方向外側に3つのシリンダ4a〜4cを配置しているのに対し、径方向内側には2つのシリンダ4d、4eしか配置していない。このため、5つのシリンダ4a〜4eに嵌装された5つのピストンにより押圧されるパッドには、径方向外側部分に偏摩耗が生じやすくなる。つまり、パッドは、径方向内側よりも径方向外側で摩耗しやすくなる。このため、制動性能や鳴き性能に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0007】
本発明は、上述のような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、1対のボディにそれぞれ5つのシリンダを備えた対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパに関して、パッドの偏摩耗を抑制できる構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパは、車輪とともに回転するロータの両側に配置され、それぞれが5つのシリンダを有する1対のボディを備える。
また、前記1対のボディにそれぞれ設けられた前記5つのシリンダのうち、周囲を4つのシリンダに囲まれた中央シリンダの中心が、前記ロータの中心を中心とし前記4つのシリンダの中で最も径方向外側に配置されたシリンダの中心を通る外側基準円よりも径方向内側で、かつ、前記4つのシリンダの中で径方向内側に配置された2つのシリンダの中心を通過する内側基準直線よりも径方向外側に存在する領域に位置している。
なお、前記4つのシリンダの中で最も径方向外側に配置されたシリンダは、1つのシリンダである場合もあるし、前記ロータの中心を中心とする同一仮想円(外側基準円)上に存在する2つのシリンダである場合もある。このため、中央シリンダよりも径方向外側には、少なくとも1つのシリンダが存在しており、かつ、中央シリンダよりも径方向内側には、少なくとも2つのシリンダが存在している。また、中央シリンダよりも周方向片側及び周方向他側には、それぞれ少なくとも1つのシリンダが存在している。
【0009】
本発明では、前記1対のボディに、これら1対のボディにそれぞれ設けられた前記中央シリンダよりも径方向外側に、軸方向に貫通した貫通孔を設けることができる。
なお、前記貫通孔が前記中央シリンダよりも径方向外側に存在している場合に、前記貫通孔と前記中央シリンダとは必ずしも径方向に重畳している必要はない。
【0010】
本発明では、前記ロータの中心軸を含む仮想平面のうち前記中央シリンダと交差する仮想平面を、前記貫通孔と交差させることができる。
この場合には、前記仮想平面を、前記中央シリンダの中心及び前記貫通孔の中心をそれぞれ通るようにすることができる。
【0011】
本発明では、前記ロータの外周縁よりも径方向外側に、前記1対のボディの周方向中間部同士を互いに連結するセンターブリッジを設け、このセンターブリッジに、径方向に貫通したブリッジ孔を設けることができる。また、前記ロータの中心軸を含む仮想平面のうち前記ブリッジ孔と交差する仮想平面を、前記1対のボディにそれぞれ設けられた前記中央シリンダ及び前記貫通孔とそれぞれ交差させることができる。
【発明の効果】
【0012】
上述のように構成する本発明によれば、1対のボディにそれぞれ5つのシリンダを備えた対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパに関して、パッドの偏摩耗を抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施の形態の第1例]
実施の形態の第1例について、
図1〜
図8を用いて説明する。
本例の対向ピストン型ディスクブレーキは、スポーツカーなどの高性能車に搭載されるもので、大別して、キャリパ1aと、1対のパッド5(インナパッド及びアウタパッド)とを備えている。
【0015】
キャリパ1aは、1対のパッド5を、軸方向(
図1、
図2、
図5及び
図6の表裏方向、
図3及び
図4の上下方向)に移動可能に支持するもので、アルミニウム合金などの軽合金や鉄系合金製の素材に、鋳造加工などを施すことにより一体に成形されている。
【0016】
キャリパ1aは、車輪とともに回転する円板状のロータ2(
図5参照)の軸方向両側に配置された1対のボディであるインナボディ6及びアウタボディ7と、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向両端部を連結する回入側、回出側両連結部8、9と、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中間部同士を連結するセンターブリッジ10とを備えている。キャリパ1aは、軸方向から見た形状が略弓形で、インナボディ6に設けられた1対の取付部11を利用して、車体(懸架装置のナックル)に支持固定される。
なお、「軸方向」、「径方向」及び「周方向」とは、特に断わらない限り、それぞれロータ2に関する「軸方向」、「径方向」及び「周方向」をいう。また、「径方向外側」とは、ロータ2の中心O
rから遠い側をいい、「径方向内側」とは、ロータ2の中心O
rに近い側をいう。
【0017】
パッド5は、ライニング(摩擦材)12と、ライニング12の裏面を支持した金属製のプレッシャプレート(裏板)13とから構成されている。
【0018】
インナ、アウタ両ボディ6、7には、パッド5を軸方向に移動可能に支持するために、それぞれパッドピン14とガイド凹溝15とを設けている。具体的には、インナ、アウタ両ボディ6、7のうち、周方向片側(回入側)部分の径方向内端部に、パッドピン14を互いに同軸に支持(固設)している。そして、それぞれのパッドピン14を、プレッシャプレート13の周方向片端部(回入側端部)の径方向内端部に形成した通孔16に挿通している。これにより、パッド5の周方向片端部を軸方向に移動可能に支持するとともに、前進制動時に、パッド5に作用するブレーキ接線力を、パッドピン14により支承するようにしている。また、インナ、アウタ両ボディ6、7のうち、周方向他側(回出側)部分の互いに対向する軸方向側面に、軸方向に張り出したガイド壁部17を設けている。そして、ガイド壁部17に設けたガイド凹溝15に対し、プレッシャプレート13の周方向他端部(回出側端部)に形成した耳部18を、軸方向に移動可能に係合させている。
【0019】
インナ、アウタ両ボディ6、7には、上述のように支持されたパッド5を、それぞれロータ2の軸方向側面に向けて押圧するために、それぞれシリンダを5つずつ設けている。すなわち、インナ、アウタ両ボディ6、7にはそれぞれ、1つの中央シリンダ19と、2つの外径側シリンダ20a、20bと、2つの内径側シリンダ21a、21bとを設けている。また、インナボディ6に設けられた5つのシリンダ19、20a、20b、21a、21bと、アウタボディ7に設けられた5つのシリンダ19、20a、20b、21a、21bとは、それぞれの開口部が軸方向に対向した対称位置に設けられている。なお、本例では、5つのシリンダ19、20a、20b、21a、21bのそれぞれのシリンダ径を同じとしている。
【0020】
中央シリンダ19は、その周囲を、4つのシリンダ20a、20b、21a、21b(2つの外径側シリンダ20a、20b及び2つの内径側シリンダ21a、21b)に囲まれている。換言すれば、中央シリンダ19は、その周方向両側及び径方向両側に、それぞれシリンダが(図示の例では2つずつ)存在している。また、中央シリンダ19は、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中間部かつ径方向中間部に設けられている。中央シリンダ19の中心O
19は、ロータ2の中心O
rとインナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中央部とを通る仮想線Cよりも、僅かに周方向他側(回出側)にオフセットした位置に設けられている。
【0021】
外径側シリンダ20a、20bは、前記4つのシリンダ20a、20b、21a、21bの中で径方向外側に配置された2つのシリンダであり、インナ、アウタ両ボディ6、7の径方向外寄り部分に設けられている。また、外径側シリンダ20a、20bは、中央シリンダ19よりも径方向外側に配置されており、かつ、周方向に関して中央シリンダ19の両側に配置されている。また、外径側シリンダ20a、20bの中心O
20a、O
20bは、ロータ2の中心O
rを中心とする同一仮想円上にそれぞれ存在している。このため、本例では、前記4つのシリンダ20a、20b、21a、21bの中で最も径方向外側に配置されたシリンダは、2つの外径側シリンダ20a、20bであり、これら2つの外径側シリンダ20a、20bの中心O
20a、O
20bを通る仮想円が外側基準円R
Oとなる。また、外径側シリンダ20a、20bは、前記仮想線Cに関して線対称となる位置に配置されている。
【0022】
内径側シリンダ21a、21bは、前記4つのシリンダ20a、20b、21a、21bの中で径方向内側に配置された2つのシリンダであり、インナ、アウタ両ボディ6、7の径方向内端部に設けられている。また、内径側シリンダ21a、21bは、中央シリンダ19よりも径方向内側に配置されており、かつ、周方向に関して中央シリンダ19の両側に配置されている。内径側シリンダ21a、21bは、前記仮想線Cに関して線対称となる位置には配置されていない。具体的には、周方向片側に配置された内径側シリンダ21aの中心O
21aから前記仮想線Cまでの距離が、周方向他側に配置された内径側シリンダ21bの中心O
21bから前記仮想線Cまでの距離よりも小さくなっている。つまり、2つの内径側シリンダ21a、21bは、前記仮想線Cに対して周方向他側にオフセットした位置に設けられている。また、1対の内径側シリンダ21a、21b同士の周方向距離は、1対の外径側シリンダ20a、20b同士の周方向距離よりも短くなっている。
【0023】
本例では、中央シリンダ19の中心O
19を、前記外側基準円R
Oよりも径方向内側で、かつ、2つの内径側シリンダ21a、21bの中心O
21a、O
21bを通過する(中心同士を結ぶ)内側基準直線R
Iよりも径方向外側に存在する、
図5に斜格子模様を付した領域に位置させている。つまり、中央シリンダ19の中心O
19を、従来構造のように、最も径方向外側に配置されたシリンダ(本例では2つの外径側シリンダ20a、20b)の中心を通る仮想円上には配置せず、この仮想円よりも径方向内側に位置させている。本例では、2つの外径側シリンダ20a、20bと、中央シリンダ19と、2つの内径側シリンダ21a、21bとが、径方向3段に分かれて設けられている。
【0024】
インナ、アウタ両ボディ6、7には、それぞれ5つのシリンダ19、20a、20b、21a、21bの奥部に圧油を給排するために、図示しない通油孔を形成し、該通油孔をシリンダ19、20a、20b、21a、21bの奥部に開口させている。また、インナボディ6及びアウタボディ7にそれぞれ設けられた通油孔の両端部のうち、それぞれの一端部をブリーダスクリュー22により塞ぎ、それぞれの他端部を連通管23により連通させている。また、インナボディ6の軸方向内側面及びアウタボディ7の軸方向外側面には、有底円筒状である各シリンダ19、20a、20b、21a、21bの外郭形状の一部が現れている。
【0025】
5つのシリンダ19、20a、20b、21a、21bのうち、中央シリンダ19には、中央ピストン24を軸方向に関する変位を可能に油密に嵌装している。また、外径側シリンダ20a、20bには、外径側ピストン25a、25bを軸方向に関する変位を可能に油密に嵌装している。また、内径側シリンダ21a、21bには、内径側ピストン26a、26bを軸方向に関する変位を可能に油密に嵌装している。
【0026】
インナ、アウタ両ボディ6、7には、中央シリンダ19よりも径方向外側で、かつ、周方向に関して外径側シリンダ20a、20b同士の間に、軸方向に貫通した貫通孔27が設けられている。貫通孔27は、径方向幅に比べて周方向幅が長くなった長円形状であり、その内径側縁部は中央シリンダ19に沿って湾曲している。本例では、ロータ2の中心軸Lを含む仮想平面のうち中央シリンダ19と交差する(中央シリンダ19の少なくとも一部を通過する)仮想平面Pが、貫通孔27と交差する(貫通孔27の少なくとも一部を通過する)ようにしている。これにより、中央シリンダ19と貫通孔27とが、径方向に重畳して配置されるようにしている。なお、図示の例では、中央シリンダ19の中心O
19を通過する仮想平面は、貫通孔27の中心O
27よりも僅かに回出側を通過し、貫通孔27の中心O
27を通過しないが、貫通孔27の中心O
27を通過させることもできる。
【0027】
回入側、回出側両連結部8、9は、ロータ2の外周縁よりも径方向外側に設けられ、インナボディ6の周方向両端部とアウタボディ7の周方向両端部とを互いに連結している。具体的には、回入側連結部8は、インナボディ6の回入側端部の径方向外端部とアウタボディ7の回入側端部の径方向外端部とを、互いに軸方向に連結している。回出側連結部9は、インナボディ6の回出側端部の径方向外端部とアウタボディ7の回出側端部の径方向外端部とを、互いに軸方向に連結している。回入側、回出側両連結部8、9は、ロータ2の外周縁に沿って、部分円弧状に構成されており、所定の隙間を介して、ロータ2を径方向外方から覆っている。また、インナ、アウタ両ボディ6、7と回入側、回出側両連結部8、9とにより四周を囲まれた部分を、径方向に貫通する、平面視略矩形状の開口部28としている。
【0028】
回入側連結部8のうち、開口部28の回入側端縁を構成する部分を、平坦面状のトルク受面29としている。トルク受面29は、プレッシャプレート13の回入側側縁部の径方向外端部に対向しており、後進制動時に、パッド5に作用するブレーキ接線力を支承する。
【0029】
センターブリッジ10は、棒状に構成されており、周方向に関して回入側、回出側両連結部8、9の間で、かつ、ロータ2の外周縁よりも径方向外側に配置されており、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中間部同士を軸方向に連結している。本例では、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中間部の径方向外端部に貫通孔27が設けられているため、センターブリッジ10の軸方向両端部は、貫通孔27を跨ぐように二股状に構成されており、それぞれの先端部が外径側シリンダ20a、20bに直接連結されている。
【0030】
センターブリッジ10の周方向中央部には、径方向に貫通したブリッジ孔30が設けられている。ブリッジ孔30は、センターブリッジ10の軸方向両端部を除く広い範囲に形成されている。本例では、ロータ2の中心軸Lを含む仮想平面のうち、中央シリンダ19及び貫通孔27と交差する仮想平面Pが、ブリッジ孔30と交差する(ブリッジ孔30の少なくとも一部を通過する)ようにしている。これにより、中央シリンダ19と貫通孔27とブリッジ孔30とを、周方向位置が互いに重なるように配置している。
【0031】
また、キャリパ1aの重量の増大を抑えつつ剛性を向上させるために、キャリパ1aの周囲を取り囲むように、帯状リブ31を設けている。帯状リブ31のうち、インナボディ6の軸方向内側面に形成された部分は、外径側シリンダ20a、20bの底部の内径側部分、中央シリンダ19の底部の大部分、及び、内径側シリンダ21a、21bの底部の外径側部分を、それぞれ周方向に横切るようにして軸方向内側から覆っている。また、帯状リブ31のうち、アウタボディ7の軸方向外側面に形成された部分は、外径側シリンダ20a、20bの底部の内径側部分、中央シリンダ19の底部の径方向内半部、及び、内径側シリンダ21a、21bの底部の外径側部分を、それぞれ周方向に横切るようにして軸方向外側から覆っている。また、帯状リブ31の表面は、滑らかに(角部が存在しないように)連続した平滑面となっている。
【0032】
本例では、非制動時に於けるパッド5の姿勢を安定させるために、キャリパ1aに対して図示しないパッドスプリングを装着し、パッド5を径方向内方に向けて押圧している。また、パッドスプリングにより、1対のパッド5を軸方向に関して互いに互いに離れる方向に押圧して、非制動時にライニング12がロータ2の軸方向側面に摺接することを防止したり、パッドスプリングの一部を、トルク受面29とプレッシャプレート13の回入側側縁部との摺動部に配置して、前記摺動部が錆び付くことを防止することもできる。
【0033】
以上のような構成を有する本例の対向ピストン型ディスクブレーキの場合にも、制動時には、5つのシリンダ19、20a、20b、21a、21bそれぞれに油を供給し、5つのピストン24、25a、25b、26a、26bを押し出すことにより、インナ、アウタ両ボディ6、7にそれぞれ支持されたパッド5のライニング12をロータ2の軸方向側面に押し付ける。これにより、ロータ2が、1対のパッド5により軸方向両側から強く挟持されるため、これら1対のパッド5とロータ2の軸方向両側面との摩擦により制動が行われる。
【0034】
特に本例では、インナ、アウタ両ボディ6、7にそれぞれ5つのシリンダを有するキャリパ1aに関して、パッド5の偏摩耗を抑制できる。
すなわち、本例では、中央シリンダ19の中心O
19を、最も径方向外側に配置された2つの外径側シリンダ20a、20bの中心O
20a、O
20bを通る前記外側基準円R
Oよりも径方向内側に位置させているため、従来構造の場合に比べて、中央シリンダ19の位置が径方向内側になる。これにより、パッド5に対する中央ピストン24の押し付け位置が径方向内側になるため、ライニング12の径方向外側部分での摩耗量を低減することが可能になる。さらに本例では、中央シリンダ19の中心O
19を、2つの内径側シリンダ21a、21bの中心O
21a、O
21bを通過する前記内側基準直線R
Iよりも径方向外側に位置させている。このため、パッド5に対する中央ピストン24の押し付け位置が、過剰に径方向内側になることを防止し、ライニング12の径方向内側部分での摩耗量が過大になることが可能になる。したがって、本例では、ライニング12の偏摩耗を抑制することができる。この結果、ライニング12の偏摩耗に起因したディスクブレーキの温度上昇を抑制できるとともに、制動性能や鳴き性能を良好に確保することができる。
【0035】
しかも本例では、上述のように、中央シリンダ19の中心O
19を、前記外側基準円R
Oよりも径方向内側に位置させているため、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中間部の径方向外端部に、シリンダを設けなくて済む。そこで、本例では、インナ、アウタ両ボディ6、7の周方向中間部の径方向外端部に、軸方向に貫通した貫通孔27を形成している。このため、キャリパ1aの軽量化を図れるとともに、パッド5の冷却性を向上することができる。
【0036】
さらに、センターブリッジ10に、径方向に貫通したブリッジ孔30を設けているため、キャリパ1aの更なる軽量化を図れるとともに、パッド5の冷却性の向上を図れる。さらに、ブリッジ孔30を通じて、パッド5の外周縁部の周方向中央部に設けた取付孔32に対し、ウェアインジケータを径方向外方から組み付けることも可能になる。このため、1対のパッド5の共通化を図ることも可能になる。
【0037】
また、本例では、インナボディ6とアウタボディ7との周方向中間部同士を、センターブリッジ10により連結しているとともに、センターブリッジ10の軸方向端部(二股に分かれた先端部)を、外径側シリンダ20a、20bに直接連結している。このため、インナボディ6とアウタボディ7とが互いに離れる方向に変位する(開く)ことに対する、キャリパ1aの剛性を向上できる。さらに、帯状リブ31を、キャリパ1aの周囲を囲むように設けていることによっても、キャリパ1aの剛性を向上できる。
【0038】
[実施の形態の第2例]
実施の形態の第2例について、
図9〜
図12を用いて説明する。
本例の対向ピストン型ディスクブレーキ用のキャリパ1bは、実施の形態の第1例のキャリパ1aに比べて、剛性確保に比重を置いた構成を有している。すなわち、キャリパ1bを構成するインナ、アウタ両ボディ6、7のうち、中央シリンダ19よりも径方向外側部分に、実施の形態の第1例のような、軸方向に貫通した貫通孔は設けていない。
【0039】
また、インナボディ6の周方向中間部とアウタボディ7の周方向中間部とを連結するセンターブリッジ10aに関しても、実施の形態の第1例の構造に比べて、周方向に関する幅寸法を大きくするととともに、径方向に貫通したブリッジ孔は設けていない。
【0040】
また、本例では、中央シリンダ19よりも径方向外側に配置された2つの外径側シリンダ20c、20dの中心O
20c、O
20dが、ロータ2(
図5参照)の中心O
rを中心とする同一の仮想円上に存在していない。具体的には、周方向他側に存在する外径側シリンダ20dを、周方向片側に存在する外径側シリンダ20cよりも径方向外側に位置させている。このため本例では、中央シリンダ19の中心O
19を、最も径方向外側に存在する外径側シリンダ20dの中心O
20dを通る外側基準円R
Oよりも径方向内側に位置させている。また、中央シリンダ19の中心O
19を、2つの内径側シリンダ21a、21bの中心O
21a、O
21bを通過する内側基準直線R
Iよりも径方向外側に位置させている。このため、本例の場合にも、ライニング12(
図6参照)の偏摩耗を抑制することができる。また、実施の形態の第1例の構造に比べて、インナボディ6とアウタボディ7とが互いに離れる方向に変位することに対する、キャリパ1bの剛性を向上できる。
その他の構成及び作用効果については、実施の形態の第1例と同じである。
【0041】
本発明を実施する場合に、対向ピストン型ディスクブレーキ用キャリパは、例えばアルミニウム合金等の材料により一体的に構成されたモノコック構造(一体構造)としても良いし、インナ側の部材とアウタ側の部材とをボルトにより連結した構造としても良い。
更に、本発明を実施する場合に、インナ、アウタ各パッドの支持構造は、実施の形態の構造に限定されず、従来から知られた構造を採用することができる。