【実施例1】
【0019】
図1はこの発明によるドーム型スイッチの実施例1の外観を示したものであり、
図1ではドーム型スイッチが2つ併設された状態となっている。ドーム型スイッチ100はこの例ではプリント基板20とドーム接点30(
図1では隠れて見えない)と粘着シート40とによって構成されている。
【0020】
図2は
図1に示した状態から粘着シート40を除去した状態を示したものであり、
図3は
図1に示した2つのドーム型スイッチ100の断面構造を示したものである。また、
図4はプリント基板20の構成を示したものである。まず、
図4を参照してプリント基板20の構成を説明する。
【0021】
プリント基板20はこの例では基材21の表面21a側に導体層22、絶縁層23及びシルク印刷層24を有し、基材21の裏面21b側に導体層25を有する層構成となっている。
【0022】
基材21の表面21a上に位置する導体層22は銅箔よりなり、表面21a上に全面形成された銅箔よりなる導体層22がエッチングによりパターニングされて所定のパターンが形成されている。この例では2つのドーム型スイッチ100用に円形をなす第1電極22aが2つ、溝26によってそれぞれ周囲の導体層22と分離されて形成されており、さらにこれら2つの第1電極22aを囲む導体層22には各第1電極22aの回りの環状の溝26を互いに連通するように銅箔がエッチング除去されて溝27が形成されている。
【0023】
絶縁層23は導体層22上に例えばレジストがパターニングされて形成されている。絶縁層23は各第1電極22aを囲む導体層22の環状の領域及びその内側に位置する第1電極22aを除いて導体層22上に形成されており、第1電極22aを囲んで露出された導体層22の環状の領域はドーム型スイッチ100の第2電極22bをなす。
【0024】
シルク印刷層24は絶縁層23上に形成されている。シルク印刷はプリント基板においては例えば文字や記号等を表記するために用いられるものであるが、この例ではこのシルク印刷によって
図4に示したようなシルク印刷層24のパターンが形成されている。シルク印刷層24のパターンは各第2電極22bを囲む環状部24aと、導体層22の溝27を挟む両側に溝27と平行に延伸されて2つの環状部24aをつなぐ一対の直線部24bとよりなる。
【0025】
基材21の表面21a上には上述したように導体層22、絶縁層23及びシルク印刷層24が順次、パターニングされて積層形成され、これにより導体層22に形成されている溝27の部分の断面は
図4Bに示したような構成となり、即ち第2電極22bを横切る部分を除いて導体層22、絶縁層23及びシルク印刷層24の合計の厚さ分の深さ(0.1mm程度)を有する溝27’が形成される。
【0026】
なお、
図4Bでは溝27’の内壁面を構成する導体層22の端面に対し、絶縁層23及びシルク印刷層24の各端面は順次、溝27’の幅が広がる方向に若干、後退されており、このような構成とすれば、例えば印刷ずれによって絶縁層23やシルク印刷層24が基材21の表面21a上に落ち込むといったことを防止することができる。
【0027】
上述した構成において、円形の第1電極22aはドーム型スイッチ100の信号電極をなし、第1電極22aを囲む環状の第2電極22bはグランド(GND)電極をなす。第1電極22aは
図4Cに示したように一対の充填ビアホール28を介して基材21の裏面21b側の導体層25によって形成されている裏側電極25aと接続されている。
【0028】
上記のような構成とされたプリント基板20上には弾性及び導電性を有し、金属薄板よりなるドーム形状のドーム接点30が2つ、
図2に示したように実装され、さらにドーム接点30及びプリント基板20を覆うように粘着シート40が貼り付けられて
図1及び
図3に示したドーム型スイッチ100が完成する。ドーム接点30はその周縁部が
図3に示したように第2電極22b上に載置されており、粘着シート40によりプリント基板20上に位置決め固定されている。粘着シート40は例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)シートにのり印刷したものとされる。
【0029】
プリント基板20に形成されている溝27’は粘着シート40によって蓋されており、これによりこの例では
図3に示したように2つのドーム接点30の内部空間51を連通する通気路52が構成されている。
【0030】
上記のような構成を有するドーム型スイッチ100では粘着シート40を介してドーム接点30を押下操作すれば、ドーム接点30が反転して頂部が第1電極22aと接触し、これにより第1電極22aと第2電極22bがドーム接点30を介して導通してスイッチがONとなる。一方、ドーム接点30への押圧(押下)を解除すれば、ドーム接点30は元の状態に弾性復帰し、スイッチはOFFとなる。
【0031】
良好な操作感触を得るためにはドーム接点30が反転する際、ドーム接点30の内部空間51の空気を外部へ逃がす必要があるが、この例では2つのドーム接点30の内部空間51を連通する通気路52が形成されているため、この通気路52を通ってドーム接点30の内部空間51の空気はもう1つのドーム接点30の内部空間51へ逃げるため(流れ込むため)、押下操作されたドーム接点30の内部空間51の気圧の上昇を十分に低く抑えることができ、よって良好な操作感触を得ることができる。
【0032】
以上説明したように、この例では導体層22、絶縁層23及びシルク印刷層24のパターニングされた欠除部でなる溝27’をプリント基板20に形成し、その溝27’を粘着シート40によって蓋してドーム接点30の内部の空気を外部へ逃がすための通気路52を形成している。通気路52を構成する溝27’はプリント基板20の構成層を使用し、プリント基板20の通常の製作工程で同時に形成されるものであり、また粘着シート40はドーム接点30をプリント基板20に固定するものであるため、追加の部材や追加の工数を必要とせず、よってこの例によれば、良好な操作感触を有するドーム型スイッチを安価に構成することができる。
【0033】
なお、上述した例ではドーム型スイッチ100が2つ併設された構成となっているが、ドーム型スイッチ100が例えば3つ以上併設されている場合には各ドーム型スイッチ100間に通気路52が形成される。また、1つのドーム型スイッチ100に設ける通気路52の数は1つに限定されるものではなく、隣接する複数のドーム型スイッチ100に向けて複数の通気路52を設けるようにしてもよい。
【実施例2】
【0034】
実施例1ではドーム型スイッチ100が複数設けられている場合に、隣接するドーム接点30の内部空間51を通気路52によって連通して空気を逃がす構成について説明したが、ドーム型スイッチが単独で設けられる場合にはこのような構成を採用することはできない。実施例2ではドーム型スイッチが単独で存在する場合の構成について説明する。
【0035】
図5は実施例2のドーム型スイッチの構成を粘着シートの図示を省略して示したものであり、
図6は
図5に示したドーム型スイッチの断面構造を粘着シート40を書き加えて示したものである。また、
図7は
図5におけるプリント基板20’の構成を示したものである。まず、
図7を参照して実施例2におけるプリント基板20’の構成について説明する。なお、
図4に示したプリント基板20と対応する部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0036】
この例ではプリント基板20’にはプリント基板20と同様に溝27’が形成されているが、溝27’の先端(第1電極22a側と反対側の先端)はプリント基板20’に形成された凹部29に連通された構成となっている。凹部29は溝27’と同様、導体層22、絶縁層23及びシルク印刷層24のパターニングされた欠除部でなり、溝27’と同様、導体層22、絶縁層23及びシルク印刷層24の合計の厚さ分の深さを有する。凹部29はこの例では環状をなす第2電極22bと同心の円周上に延伸されて半円弧形状をなすものとされており、凹部29の幅は溝27’の幅より大とされている。なお、この例ではシルク印刷層24は絶縁層23の全面に設けられている。
【0037】
プリント基板20’上には
図5に示したようにドーム接点30が実装され、さらにドーム接点30及びプリント基板20’を覆うように粘着シート40が貼り付けられて
図6に示した構造を有するドーム型スイッチ200が完成する。
【0038】
プリント基板20’に形成されている溝27’は粘着シート40によって蓋されて実施例1と同様、通気路52が構成され、またプリント基板20’に形成されている凹部29は粘着シート40によって蓋されて空気溜り53が構成される。
【0039】
この例ではこのようにドーム接点30の内部空間51と連通する通気路52は、通気路52の延長をなしてプリント基板20’に形成された空気溜り53に連通された構成となっており、ドーム型スイッチ200が押下操作されてドーム接点30が反転する際、ドーム接点30の内部空間51の空気は通気路52を通って空気溜り53へ逃げる構成となっている。
【0040】
空気溜り53はドーム接点30反転時の内部空間51の気圧の上昇を抑えられるように、内部空間51の空気を受容できる容積を有するものとされる。
【0041】
空気溜り53の形成は通気路52と同様、追加の部材や追加の工数を必要とせず、よってこの実施例2の構成によれば、ドーム型スイッチが単独で存在する場合であっても良好な操作感触を有するドーム型スイッチを安価に構成することができる。
【0042】
以上、この発明の実施例について説明したが、通気路52は実施例1では閉空間であるドーム接点30の内部空間51同士を連通するものとなっており、実施例2では閉空間である空気溜り53とドーム接点30の内部空間51を連通するものとなっている。つまり、実施例1,2では通気路52は外気に連通していない構成となっている。よって、このような構成を採用すれば、使用環境に由来する例えばオイルミストや硫化水素等を含んだ外気が通気路52を通ってドーム接点30の、第1及び第2電極22a,22bが露出している内部空間51に入り込み、接点障害が生じるといった不具合の発生を回避することができる。
【0043】
なお、この発明はドーム接点30の内部の空気を外部へ逃がすための通気路を、追加の部材や追加の工数を要することなく構成することを特徴とするものであって、通気路は必ずしも外気と連通しないものとしなくてもよい。
【0044】
また、実施例1,2ではプリント基板20,20’はいずれもシルク印刷されるものとして、シルク印刷層24の厚さ分、実施例1においては溝27’、実施例2においては溝27’及び凹部29の深さをかせぐ構成としているが、プリント基板がシルク印刷されない場合はあえてこのような溝27’及び凹部29の深さをかせぐためのシルク印刷層24を設けなくてもよい。
【0045】
なお、シルク印刷層24を溝27’や凹部29の側縁(周縁)だけでなく、実施例1や実施例2に示したように第2電極22bの回りにも形成すれば、ドーム接点30を位置決め固定する粘着シート40の、ドーム接点30回りにおけるプリント基板との粘着性をより高めることができる。