特許第6871844号(P6871844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社石垣の特許一覧

<>
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000002
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000003
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000004
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000005
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000006
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000007
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000008
  • 特許6871844-スクリューポンプ 図000009
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871844
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】スクリューポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 19/12 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   F04B19/12
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-240169(P2017-240169)
(22)【出願日】2017年12月15日
(65)【公開番号】特開2019-108800(P2019-108800A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000197746
【氏名又は名称】株式会社石垣
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋総
【審査官】 田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−013005(JP,U)
【文献】 実開平05−006191(JP,U)
【文献】 実開昭57−134367(JP,U)
【文献】 特開平07−269489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリュー羽根(3)を巻き掛けたスクリュー軸(2)を円筒ケーシング(4)に内設し、円筒ケーシング(4)から延設したスクリュー軸(2)を上下で軸支し、スクリュー軸(2)を回転して液体を内水側(A)から外水側(B)へ移送するスクリューポンプ(1)において、
スクリュー軸(2)を軸支する軸受枠(5)と、
軸受枠(5)に載置する電動機(6)と、
スクリューポンプ(1)の中央部近傍に位置し、円筒ケーシング(4)を揺動自在に支持する支持部材(7)と、
円筒ケーシング(4)を任意の傾斜角度で係止する係止部材(8)と、
軸受枠(5)に連結して任意の角度で内水側(A)の底部に着座可能な着座部材(9)と、を備え、
スクリュー軸(2)と円筒ケーシング(4)と軸受枠(5)を一体的に揺動可能に構成するとともに、
支持部材(7)を、
地上部に固定する底部(11)を有する支持板(12)と、
支持板(12)に枢着し円筒ケーシング(4)を支持する支持軸(13)とで構成した
ことを特徴とするスクリューポンプ
【請求項2】
前記軸受枠(5)は、
円筒ケーシング(4)の吸込口(4a)および吐出口(4b)に接続し、
支持部材(7)を円筒ケーシング(4)に取り付けた
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリューポンプ
【請求項3】
前記軸受枠(5)は、
円筒ケーシング(4)と所定の間隔を維持した状態で軸芯方向に沿って周設し、
円筒ケーシング(4)から突出したスクリュー軸(2)を軸支し、
支持部材(7)を軸受枠(5)に取り付け
ことを特徴とする請求項1に記載のスクリューポンプ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、雨水排水、灌漑用水、下水処理施設、工場等で使用されるスクリューポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内水側(低地)から外水側(高地)に揚水するために、所定の傾斜角度で下半部が半円形の断面を有するトラフに、スクリュー軸に巻き掛けたスクリュー羽根を回転可能に内挿したスクリューポンプが知られている。
【0003】
また、トラフを筒状の円筒ケーシングで形成し、円筒ケーシング内部に挿入したスクリュー羽根を円筒ケーシングに固定するとともに、スクリュー羽根と円筒ケーシングを同期で回転させるスクリューポンプは特許文献1で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭54−120403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の半円形のトラフを有するスクリューポンプは、コンクリート等により現地にてトラフを形成しており、形状をスクリュー羽根の外縁に合わせる必要があるため、トラフの加工形成に時間が掛かる。スクリュー羽根を設置する際は、スクリュー羽根の外縁とトラフとの隙間調整を行うため、上下軸受の位置調整等に手間が掛かる。
【0006】
また、吸込部が常時没水しているため、腐食や水中生物の付着等により定期的な補修が必要となる。スクリューポンプの補修時は、吸込部が没水部であるとともにスクリュー軸が傾斜しているため補修や点検作業が困難であり、取り外して工場へ持ちかえる必要があった。
【0007】
先行文献1のスクリューポンプにおいては、スクリュー羽根が円筒ケーシングと一体化して回転するため、トラフが不要でスクリュー羽根と円筒ケーシングとの隙間調整に手間はかからない。
【0008】
しかし、スクリューポンプは支持器により常時所定の傾斜角度で据え付けられている。スクリューポンプが停止した際も運転時と同様の傾斜角度で据え付けられた状態であり、補修や点検時には傾斜状態で作業を行わなければならない。
【0009】
本発明は、加工や調整、点検に時間と手間を掛けずに、安全且つ容易に据付あるいは内部点検を行うことができるスクリューポンプを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、スクリュー羽根を巻き掛けたスクリュー軸を円筒ケーシングに内設し、円筒ケーシングから延設したスクリュー軸を上下で軸支し、スクリュー軸を回転して液体を内水側から外水側へ移送するスクリューポンプにおいて、スクリュー軸を軸支する軸受枠と、軸受枠に載置する電動機と、スクリューポンプの中央部近傍に位置し、円筒ケーシングを揺動自在に支持する支持部材と、円筒ケーシングを任意の傾斜角度で係止する係止部材と、軸受枠に連結して任意の角度で内水側の底部に着座可能な着座部材と、を備え、スクリュー軸と円筒ケーシングと軸受枠を一体的に揺動可能に構成するとともに、支持部材を、地上部に固定する底部を有する支持板と、支持板に枢着し円筒ケーシングを支持する支持軸とで構成するので、スクリューポンプ全体を一体的に現地に据付・搬出可能で、停止時はスクリューポンプの端部を没水部から引き揚げて内部を確認することができる。また、スクリューポンプの1か所のみを支持部材で支持することになり、支持部材を支点としてスクリューポンプの吸込口、吐出口を上下に揺動させることが可能となる。
【0012】
軸受枠を円筒ケーシングの吸込口および吐出口に接続し、支持部材を円筒ケーシングに取り付けると、シンプルな構成で、スクリューポンプ全体を一体的に現地に据付・搬出可能である。
【0013】
軸受枠を円筒ケーシングと所定の間隔を維持した状態で軸芯方向に沿って周設し、円筒ケーシングから突出したスクリュー軸を軸支し、支持部材を軸受枠に取り付けると、スクリュー羽根と円筒ケーシングを固着して同時に回転させることが可能となり、隙間調整の手間が省けるとともに、スクリューポンプの荷重等で応力が集中する箇所、特に支持部材との連結部に補強がし易く、破損や故障リスクを低減できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、スクリューポンプのトラフを流路と一体化したコンクリート製ではなく、円筒に形成したケーシングを用いるため時間や手間がかからない。高精度のケーシングが製作可能で、スクリュー羽根との隙間調整が容易となりポンプ効率が高い。
軸受部がケーシングと一体的に構成されているため、支持部材のみを固定するだけで容易に据付可能である。
ケーシングを揺動自在に構成しているため、スクリューポンプの端部を没水部から引き揚げて内部を確認することができる。また、運転時以外は跳ね上げて水と接触させないことで、羽根の腐食を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るスクリューポンプの縦断面図である。
図2】同じく、スクリューポンプの平面図である。
図3】同じく、スクリューポンプの要部詳細図である。
図4】同じく、スクリューポンプの要部斜視図である。
図5】同じく、スクリューポンプの要部詳細図である。
図6】同じく、スクリューポンプの正面図である。
図7】本発明に係る他の実施例のスクリューポンプの縦断面図である。
図8】同じく、他の実施例のスクリューポンプの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図2はそれぞれスクリューポンプの縦断面図、平面図である。スクリューポンプ1は内水側Aの液体を揚水して外水側Bに移送するもので、スクリュー軸2に巻き掛けたスクリュー羽根3を円筒ケーシング4に内挿している。円筒ケーシング4の吸込口4aおよび吐出口4bにコの字状の軸受枠5を連結してスクリュー軸2を挿通する。軸受枠5には軸受(図示しない)が取り付けられており、スクリュー軸2を回転自在に軸支している。円筒ケーシング4の吐出口4bに設けた軸受枠5に電動機6(減速機含む)を載置してスクリュー軸2に連結する。
【0017】
なお、本実施例では円筒ケーシング4の吸込口4aおよび吐出口4bから突出した位置にてスクリュー軸2を軸支しているが、図3のように円筒ケーシング4内に軸受枠5(リブ)を内設してもよい。
【0018】
円筒ケーシング4の中央部には円筒ケーシング4を揺動自在に係止する支持部材7を有しており、地上部とはアンカー等で固定している。支持部材7には円筒ケーシング4を所定の傾斜角度で固定する係止部材8を配設している。吸込口4aに設けた軸受枠5には回動可能な着座部材9を設けており、任意の傾斜角度で内水側Aの底部に着座できる。
【0019】
なお、ケーシングがスクリュー軸2とともに回転しないスクリューポンプ1では、例えば、上方が解放されている半円筒状のケーシングを用いてもよい。
【0020】
<支持部材>
図4は支持部材の要部斜視図であって、支持部材7は、内水側Aと外水側Bとを区画している堰部10に固定する底部11を有する支持板12と、支持板12に枢着し円筒ケーシング4の両側方で揺動自在に円筒ケーシング4を支持する支持軸13とで構成される。支持板12は支持軸13を支えることができ、地上部と固定することができるものであれば、一体的に形成する等、形状は限定しない。なお、堰部10に支持部材7を据え付けるだけの幅がない場合は、堰部10の前後面あるいは水路の両側壁に支持部材7の底部11を接触させて据え付けてもよい。
【0021】
スクリューポンプ1の1か所のみを支持部材7で支持しているため、支持部材7を支点としてスクリューポンプ1の吸込口4a、吐出口4bを上下に揺動させることが可能となる。
【0022】
<係止部材>
係止部材8は円筒ケーシング4を回動自在に固定解除するもので、支持部材7の支持軸13あるいは円筒ケーシング4等で作用させる。なお、係止部材8は、支持部材7を所定の角度で係止できるものであれば電動式、手動式等の公知の技術を適用できる。
【0023】
<着座部材>
図5は着座部材の要部斜視図であって、着座部材9は、スクリューポンプ1に連結して内水側Aの底部に着座する着座板14と、着座板14を回動可能に軸受枠5に連結する着座軸15とで構成される。着座板14は着座軸15と連結して垂設する部材と、内水側Aの底部に着座する部材から構成しており、一体的に形成しても別部材を組み合わせてもよい。
【0024】
本実施例では、着座部材9を軸受枠5から延設された軸受座16の両側面に連結しているが、図6(a)のように軸受枠5から下方に突出した部材に着座部材9を連結、あるいは図6(b)のように円筒ケーシング4の吸込口4a近傍に連結等、任意の角度でスクリューポンプ1の一端を底部に着座可能なものであれば限定しない。
【0025】
円筒ケーシング4の吸込口4aには必要に応じて、スクリーン17を着脱自在に設けてもよい。
【0026】
支持部材7を支点として、円筒ケーシング4、スクリュー軸2、スクリュー軸2を軸支する軸受枠5、軸受枠5に連結する電動機6および着座部材9を一体的に揺動可能に構成しているので、搬入・据付・搬出等を容易に行うことができる。
【0027】
図7図8は他の実施例のスクリューポンプの側面図、平面図である。スクリュー羽根3と円筒ケーシング4を固着しており、一体的に回転するよう構成している。具体的には、軸受枠5を円筒ケーシング4と所定の間隔を維持した状態で軸芯方向に沿って周設し、円筒ケーシング4の吸込口4a、吐出口4bから突出したスクリュー軸2をそれぞれ軸受枠5に挿通するとともに軸受にて軸支する。吐出口4bの軸受枠5には電動機6を載置してスクリュー軸2に連結する。
【0028】
軸受枠5の中央部には軸受枠5を揺動自在に係止する支持部材7を有しており、地上部とはアンカー等で固定している。支持部材7には軸受枠5を所定の傾斜角度で固定する係止部材8を配設している。吸込口4a近傍の軸受枠5には回動可能な着座部材9を設けており、任意の傾斜角度で内水側Bの底部に着座できる。
【0029】
円筒ケーシング4から離間した状態で軸受枠5を周設させているため、軸受枠5内にて円筒ケーシング4及びスクリュー軸2が回転可能に構成される。軸受枠5を支持部材7で支持することで、スクリュー羽根3と円筒ケーシング4を固着して同時に回転させるが可能となり、隙間調整の手間が省けるとともに、スクリューポンプ1の荷重等で応力が集中する箇所、特に支持部材7との連結部に補強がし易く、破損や故障リスクを低減できる。
【実施例】
【0030】
<据付・搬出>
流路の内水側Aと外水側Bは仕切壁、堰、ゲートのような堰部10で仕切られており、そこに支持部材7を固定してスクリューポンプ1を両側に渡って据え付ける。鋼板あるいは樹脂等で円筒状に形成されたケーシングを据え付けるので、コンクリート等でトラフを形成する必要がない。また、円筒ケーシング4にスクリュー軸2を内挿した状態で、一体的にスクリューポンプ1を据え付けることが可能であるため、据付時に円筒ケーシング4とスクリュー羽根3の隙間調整をする必要がない。なお、既設の水路等に据え付けることができるので、水路内の工事が不要である。
【0031】
スクリューポンプ1は中央部近傍に位置する支持部材7を中心として、円筒ケーシング4およびスクリュー軸2が、内水側Aと外水側Bで上下に揺動可能に構成されている。支持部材7の取り付け位置がスクリューポンプ1の重心位置に近いほど、少ない動力でスクリューポンプ1を揺動させることが可能となる。
【0032】
搬出する際には、堰部10に固定している支持部材7を取り外すことで容易にスクリューポンプ1を取り外すことが可能となる。この時、円筒ケーシング4を略水平状にした状態で係止部材8を固定し、スクリューポンプ1の両端あるいは重心位置にクレーンを巻き掛けておくことで、重心の偏りもなく安全に搬出することができる。
【0033】
<揚水運転>
揚水時には、着座部材9が内水側Aの底部に着座できる状態まで円筒ケーシング4を傾斜させる。この時、円筒ケーシング4を揺動自在に揺動できるように係止部材8を弛緩する。円筒ケーシング4の傾斜角度が定まった後に係止部材8にて円筒ケーシング4の傾斜角度を固定する。一般的には20°〜45°の傾斜角で円筒ケーシング4を固定して揚水することが望ましい。
【0034】
着座部材9は回動可能に構成しているので、着座部材9の底板を内水側Aの底部に向けて着座できる。内水側Aの底部に砂利や汚泥が堆積していても上方から着座部材9を降ろし、任意の角度で据え付けることが可能となる。
【0035】
<停止時>
スクリューポンプ1の運転を行わない時は、係止部材8を弛緩してスクリューポンプ1を揺動させ、円筒ケーシング4を略水平状にした状態で係止部材8を固定しておく。スクリューポンプ1の吸込口4aを水上に引き上げることで、腐食や水中生物の付着等を防止する。
【0036】
<点検時>
点検時には、略水平状のスクリューポンプ1の吸込口4aおよび吐出口4bから円筒ケーシング4内を点検し、ゴミの噛み込みやスクリュー羽根3の欠損等を点検する。円筒ケーシング4が水平状態であるため点検のための足場等の作業も容易で安全である。
【0037】
<搬入・搬出時>
スクリューポンプ1と支持部材とを一体化した状態で搬送トラックに揚げ降ろしできるため、スクリュー羽根3や円筒ケーシング4が直接的に荷台に接触することがなく、自重による応力集中で変形や破損することがない。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、据付・搬出が容易にできるため、特に常時設置して運転する必要のない灌漑用や雨水用排水として使用する際に効果を奏する。また、大掛かりな水路内の工事も不要であるため、必要に応じて期間限定の仮設としても使用できる。
【符号の説明】
【0039】
1 スクリューポンプ
2 スクリュー軸
3 スクリュー羽根
4 円筒ケーシング
4a 吸込口
4b 吐出口
5 軸受枠
6 電動機
7 支持部材
8 係止部材
9 着座部材
11 底部
12 支持板
13 支持軸
A 内水側
B 外水側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8