特許第6871852号(P6871852)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6871852-有機物の炭化処理装置及び炭化処理方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871852
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】有機物の炭化処理装置及び炭化処理方法
(51)【国際特許分類】
   C10B 53/00 20060101AFI20210510BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C10B53/00 A
   B09B3/00 302Z
   B09B3/00ZAB
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-518721(P2017-518721)
(86)(22)【出願日】2015年11月30日
(86)【国際出願番号】JP2015083575
(87)【国際公開番号】WO2016185631
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2018年11月30日
(31)【優先権主張番号】特願2015-101979(P2015-101979)
(32)【優先日】2015年5月19日
(33)【優先権主張国】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】509172402
【氏名又は名称】株式会社ワンワールド
(73)【特許権者】
【識別番号】512049971
【氏名又は名称】伊藤 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100101708
【弁理士】
【氏名又は名称】中井 信宏
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智章
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−253268(JP,A)
【文献】 特開2005−139303(JP,A)
【文献】 特開2000−044963(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10B 53/00
B09B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を収容し過熱水蒸気により炭化処理する装置において、
内壁の略全面に多孔質吸水基材を配した炭化処理炉と、
過熱水蒸気発生装置と、
前記過熱水蒸気発生装置で発生する過熱水蒸気を前記炭化処理炉へ供給する供給管部を備え、前記多孔質吸水基材は、10〜18nmの球状粒子が80〜120nmの長さに結合したNa安定型のパールネックレス状シリカゾルを中心素材とする合成ゼオライトであって、ph9.5〜11.0、粘度1.0〜100.0mPa・sであることを特徴とする炭化処理装置。
【請求項2】
有機廃棄物を収容し過熱水蒸気により炭化処理する方法において、
内壁の略全面に多孔質吸水基材を配した炭化処理炉と、
過熱水蒸気発生装置と、
前記過熱水蒸気発生装置で発生する過熱水蒸気を前記炭化処理炉へ供給する供給管部を備え、前記多孔質吸水基材は、10〜18nmの球状粒子が80〜120nmの長さに結合したNa安定型のパールネックレス状シリカゾルを中心素材とする合成ゼオライトであって、ph9.5〜11.0、粘度1.0〜100.0mPa・sであることを特徴とする炭化処理装置により、
該処理炉への有機廃棄物の投入後、
前記多孔質吸水基材による吸水工程を経て、
段階的に温度を上げて高温処理する炭化処理工程と、
段階的に温度を下げて冷却処理する冷却工程と
からなる炭化処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ゴミ、食品端材等の食品廃棄物を炭化処理するのに好適に用いられる、有機物の炭化処理装置及び炭化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生ゴミ、食品端材等の食品廃棄物などに代表される有機物系廃棄物の処理方法としては、有機物系廃棄物に無酸素状態で過熱水蒸気を接触せしめて炭化処理する方法が知られている。このための炭化処理装置としては、本願発明者による炭化処理装置であって、有機物を収容するための収容容器と、該収容容器を移送する移送コンベアと、長さ方向の両端に開口部を有する管状体からなる炭化処理炉と、過熱水蒸気発生装置と、該過熱水蒸気発生装置で発生する過熱水蒸気を前記炭化処理炉の内部に供給する供給管部とを備え、炭化処理炉の内部に移送コンベアが設置された技術が公知である(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】再表2013/011555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の炭化処理装置においては、移送コンベヤ及びこれに付随する技術を採用したことにより、従来技術に比して炭化処理効率の向上に成功したものの、産業界からは当該炭化処理に要するエネルギーの消費効率を向上させるよう強く望まれてきた。
【0005】
そこで本発明は、かかる技術的背景に鑑み、従来の炭化処理技術を改良し、食品廃棄物等有機物の炭化処理に要するエネルギーの消費効率を一段と向上させた有機物の炭化処理装置及び有機物の炭化処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0007】
[1] 本発明に係る炭化処理装置は、有機廃棄物を収容し過熱水蒸気により炭化処理する装置において、内壁の略全面に多孔質吸水基材を配した炭化処理炉と、過熱水蒸気発生装置と、前記過熱水蒸気発生装置で発生する過熱水蒸気を前記炭化処理炉へ供給する供給管部を備え、前記多孔質吸水基材は、10〜18nmの球状粒子が80〜120nmの長さに結合したNa安定型のパールネックレス状シリカゾルを中心素材とする合成ゼオライトであって、ph9.5〜11.0、粘度1.0〜100.0mPa・sであることを特徴とする。
【0008】
[2] 本発明に係る炭化処理方法は、有機廃棄物を収容し過熱水蒸気により炭化処理する方法において、内壁の略全面に多孔質吸水基材を配した炭化処理炉と、過熱水蒸気発生装置と、前記過熱水蒸気発生装置で発生する過熱水蒸気を前記炭化処理炉へ供給する供給管部を備え、前記多孔質吸水基材は、10〜18nmの球状粒子が80〜120nmの長さに結合したNa安定型のパールネックレス状シリカゾルを中心素材とする合成ゼオライトであって、ph9.5〜11.0、粘度1.0〜100.0mPa・sであることを特徴とする炭化処理装置により、該処理炉への有機廃棄物の投入後、前記多孔質吸水基材による吸水工程を経て、段階的に温度を上げて高温処理する炭化処理工程と、段階的に温度を下げて冷却処理する冷却工程とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、炭化処理炉の内壁の略全面に多孔質吸水基材を配したことにより、処理工程の当初から有機廃棄物が含有する水分を相当程度なくすことができるため、工程全体を短縮化できる結果、処理エネルギーを大幅に節約することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る有機物の炭化処理装置の構成を示す説明図である。
図2】ボイラーと過熱水蒸気発生装置との構成を示す概略図である。
図3】炭化処理装置へ有機廃棄物を投入する様子を示す説明図である。
図4】処理後の廃棄物を処理炉から排出する様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る有機物の炭化処理装置の構成につき、図面を参照しながら説明する。この炭化処理装置は、食品廃棄物(生ゴミ、食品端材等)を炭化処理するのに好適に用いられる。
【0012】
本実施の形態における炭化処理装置は、炭化処理炉10、過熱水蒸気発生装置20、ボイラー30、供給管部201、連通管301、を備える。
【0013】
前記炭化処理炉10は、処理前有機物の投入口となる開閉自在の上部開口部11(図)と、処理後の炭化物を排出する開閉自在の側壁開口部12(図)とを備え、上面壁に通気口13及び処理炉内から該通気口に通じる通気ダクト131を設け、排気口14及び処理炉内から該排気口に通じる排気ダクト141並びに排気ファン(図示せず)を設けてなる(図1)。
【0014】
該炭化処理炉の内壁、即ち、内壁面、内底面、内天井面の略全面には、多孔質吸水基材Cが敷き詰められている。尚、炭化処理炉自体を該多孔質吸水基材で構成しても良い。
【0015】
本実施の形態における炭化処理炉10は直方体をなすが、本発明の構成を満たし、所望の効果を発揮するものであれば、該形状に限定されない。
【0016】
前記多孔質吸水基材Cは、特殊成分を配合して焼成された合成ゼオライトであって、各孔径が水分子と同径に形成された多孔質吸水基材である。約800℃〜約2000℃の温度範囲で1℃刻みに加温できる特別に構成された焼成炉を使用し、厳密な温度制御下で長時間焼成することにより得られる。水分を含んだ有機物等がこれに触れると、この多孔質構造が水分子を瞬時に吸着するよう機能するものである。
その具体的な製法は、先ず、一般的に入手できるパウダー状の吸着材と、触媒担体となるNa安定型のパールネックレス状シリカゾルとを1対4の割合で調合し(1000gと4000g)、水分を飛ばして多少ドロっとした状態に調合する。調合期間は5日〜7日であるが、調合時の温度や湿度によってこの期間は変動する。この調合が終了すれば、基材のベースとなる、例えば、断面の孔部がハニカム形状の段ボール紙などに、この調合剤を当該孔を塞ぐように塗り込む。一度塗り終われば、乾かしてから何度も塗り込み、乾燥させるという作業を繰り返す(作業期間は2日〜3日)。調合剤を塗り込んで充分に乾燥した当該ベースを約800℃で12時間程焼成して終了する。ベースにした段ボール紙は焼成中に炭化して消失し、多孔質の合成ゼオライトが吸水基材として形成される
上記したNa安定型のパールネックレス状シリカゾルが、当該合成ゼオライト成分の中心素材となるものであり、10〜18nmの球状粒子が80〜120nmの長さに結合しており、二酸化ケイ素の割合は約19%で、ph9.5〜11.0、粘度1.0〜100.0mPa・sという特徴を有し、乾燥ゲルの空隙が大きいという特徴を有するものである。
【0017】
前記ボイラー30は、水から水蒸気を生成する装置である。このボイラー30で生成された水蒸気は、連通管301を介して過熱水蒸気発生装置20へ移送される。即ち、前記ボイラー30と該過熱水蒸気発生装置20とは連通管301で接続されている。ボイラー30としては、特に限定されるものではないが、例えば、貫流蒸気ボイラー等が挙げられる。
【0018】
前記過熱水蒸気発生装置20は、水蒸気から過熱水蒸気を生成する装置である。即ち、過熱水蒸気発生装置20は、前記ボイラー30から移送されてくる水蒸気から過熱水蒸気を発生させる。過熱水蒸気発生装置20としては、特に限定されるものではないが、例えば、誘導過熱式の過熱水蒸気発生装置等が挙げられる。
【0019】
前記過熱水蒸気発生装置20で発生させる過熱水蒸気の温度としては、例えば、60℃前後〜800℃程度を例示できるが、特にこのような条件に限定されない。有機物を十分に炭化させるには前記過熱水蒸気発生装置20で、250℃以上とし、好ましくは400℃〜800℃程度の過熱水蒸気で処理するが、レアメタルを含む場合には、1400℃程度まで上げることも可能である。
【0020】
前記供給管部201は、一端が過熱水蒸気発生装置20に接続され、炭化処理炉10内において先端が開口している。即ち、前記過熱水蒸気発生装置20で発生する過熱水蒸気を、供給管部201を介して先端開口部201aから前記炭化処理炉10内において供給する。本実施の形態においては、側面及び上部からそれぞれ供給する構成とした(図1)。
【0021】
なお、所定の工程において、排気ファン(図示せず)を駆動させて排気ダクト141を介して排気口14から排気することにより、前記炭化処理炉10内が空冷される。即ち、該炭化処理炉10では、前記排気に伴って通気口13から通気ダクト131を介して外部空気が新たに取り込まれることによって、炉内の空冷が行われる。
【0022】
また、前記炭化処理炉10の外部、例えば、該処理炉の下方からバーナー等(図示せず)で、800℃〜1400℃、好ましくは1200℃前後で過熱する構成としてもよい。
【0023】
次に、本発明の炭化処理装置を用いて有機物Wを炭化処理する方法の一例について説明する。
【0024】
炭化処理の対象となる有機物Wとしては、特に限定されるものではないが、例えば、食品廃棄物(生ゴミ、食品端材等)のほか、木材(鉄道の枕木も含む)やプラスチック、タイヤ等が挙げられる。
【0025】
炭化処理炉の上部開口部を空け、炭化処理の対象となる有機物Wを投入し(図2)、排気口14、通気口13は開放しておく。このように開放されていても、有機物を過熱水蒸気で処理する際に外部の空気が入らず(無酸素状態に又は無酸素に近い状態にすることができる)、従って有機物を十分に炭化させることができる。
【0026】
次に、炉内に敷き詰めた多孔質吸水基材Cにより有機物中Wの水分を吸水させるべく、過熱水蒸気を発生させずに所定の吸水時間を確保する。該吸水時間は炭化処理炉10の容量や、投入した有機物の容量に応じて長短を加減すればよい。
【0027】
前記所定の吸水時間経過した後、前記供給管部201の先端開口部201aから炉内へ60℃から700℃程度まで段階的に過熱水蒸気を所定時間供給することにより炉内の有機物Wの炭化処理を進行させる。
【0028】
その後、十分に炭化処理が施されたことを確認し、排気ファン(図示せず)を稼動させることにより、炉内の気体を、排気ダクト141を介して排気口14より外部へ排出すると、通気口13、通気ダクト131を介して炉内へ外部空気が新たに取り込まれ、炉内の雰囲気や炭化物が空冷されることとなる。
【0029】
炉内の雰囲気や炭化物が空冷された後、側壁開口部12を開口し(図4)、炉内の処理済炭化物Wを炉外へ排出し、一連の炭化処理を終了する。
【0030】
なお、前記炭化処理炉10の外部、例えば、該処理炉の下方からバーナー等(図示せず)で、800℃〜1400℃、好ましくは1200℃前後で過熱することで、一層効率的な炭化処理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明に係る有機物の炭化処理装置は、生ゴミ、食品端材等の食品廃棄物を炭化処理するのに好適に用いられるが、特にこのような用途に限定されるものではなく、例えば、木材(鉄道の枕木も含む)、プラスチック、漁網、タイヤ等を炭化処理するのにも使用できる。また、前述の従来技術、即ち、コンベヤで連続して炭化処理を行う技術において用いられる収容容器に、本発明で使用する多孔質吸水基材を用いても良い。
【符号の説明】
【0032】
10…炭化処理炉
11…上部開口部
12…側壁開口部
13…通気口
131…通気ダクト
14…排気口
141…排気ダクト
20…過熱水蒸気発生装置
201…供給管部
201a…先端開口部
30…ボイラー
301…連通管
C…多孔質吸水基材
W…有機廃棄物
図1
図2
図3
図4