(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
成分(B)が、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体及び4級化ポリビニルイミダゾリウム誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の染毛剤組成物。
ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体が、ジアリル4級アンモニウム塩のホモポリマー又はジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸とのコポリマーである、請求項3に記載の染毛剤組成物。
全組成中における成分(A)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(A)+(C)]が、1以上5以下である、請求項1〜9のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、次の成分(A)〜(C)を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量比(B)/(C)が0.1以上30以下であり、pH(25℃)が8.5〜12である染毛剤組成物を提供するものである。
(A) 下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される1種又は2種以上の染料
【0008】
(B) 電荷密度3.0meq/g以上のカチオン性ポリマー
(C) 一般式(1)で表される構成単位を有する多糖化合物の水酸基の水素原子の一部が、基−(CH
2)
mCOO
-(mは1〜5の整数)で置換されており、該基による構成単位当たりの平均置換度が0.5以上2.0以下であり、残りの水酸基の水素原子の一部が炭素数1〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及び/又はアルキレン基で置換されていてもよいアニオン性多糖誘導体
【0010】
〔式中、Rは、同じであっても異なっていてもよく、水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nは構成単位当たりのROの平均付加モル数が0〜10となる数を示す。〕
【0011】
更に本発明は、上記の染毛剤組成物を毛髪に適用する工程、1〜60分間放置する工程、水を用いて洗い流す工程を有する脱色又は染毛方法を提供するものである。
【0012】
染毛剤組成物を毛髪へ均一に塗り広げることができない場合には、染めムラを生ずることとなるため、染毛剤組成物が毛髪に塗り広げ易いものであることが望まれる。そのための解決手段の一つとして、毛髪を予め水で濡らしておくことが考えられる。しかしながら、濡れた毛髪は、毛髪の化学処理履歴や根元からの距離によって膨潤性が異なるため、上記とは別の原因で染めムラの問題が生じてしまう。
【0013】
本発明は、塗布する毛髪が濡れていても乾いていても塗り広げやすく、直接染料が毛髪に十分に浸透するため染めムラがなく、同時にしっかり染まる染毛剤組成物に関する。
【0014】
本発明者らは、特定の染料、及び特定のカチオン性ポリマーと特定のアニオン性多糖誘導体を特定範囲のpHを有する染毛剤組成物中に含有させることにより、上記課題を一度に解決することができることを見出した。
【0015】
本明細書において、第1剤とはアルカリ剤を含有する組成物を指し、第2剤とは過酸化水素を含有する組成物を指し、第3剤とはアルカリ剤及び過酸化水素を除く他の有効成分を含有する組成物を指すものとする。また、染毛剤組成物とは、二剤式又は三剤式の場合は各剤の混合物を指すものとする。更に、各成分に関し「染毛剤組成物中」の含有量とは、一剤式の場合は「染毛剤組成物中」の含有量を指し、二剤式の場合は「第1剤と第2剤との混合物中」の含有量を指し、三剤式の場合は「第1剤〜第3剤からなる混合物中」の含有量を指すものとする。
【0016】
<成分(A):染料>
本発明の染毛剤組成物は、下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される1種又は2種以上の染料を含有する。
【0018】
なお、染料(A-1)、(A-2)及び(A-3)のpKaは、それぞれ6.0、6.0及び7.5である。よって、pH(25℃)が8.5〜12である本発明の染毛剤組成物中では、これら染料のほぼ8割以上が、プロトンを解離したアニオン性の状態で存在する。プロトンが解離したとき、(A-1)は赤色、(A-2)は青色、(A-3)は黄色を呈する。
【0019】
染毛剤組成物中における成分(A)の含有量は、良好な染毛性の観点から、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、また、処方配合の安定性の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。また、本発明の染毛剤組成物は、成分(A)以外の染料を併用しなくても優れた染毛性を有するが、成分(A)により得られる染毛色調の補正のため、更に成分(A)以外の染料を併用することもできる。その場合、成分(A)以外の染料は上記のとおり色調補正用であるとの観点から、全染料中における成分(A)の割合は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である。
【0020】
〔酸化染料〕
本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式である場合、第1剤中には成分(A)の染料に加え、酸化染料を含有させることもできる。本発明の染毛剤組成物に好適な酸化染料としては、通常染毛剤に使用されている公知のプレカーサー及びカップラーを用いることができる。
【0021】
プレカーサーとしては、例えばパラフェニレンジアミン、トルエン-2,5-ジアミン、2-クロロパラフェニレンジアミン、パラアミノフェノール、パラメチルアミノフェノール、オルトアミノフェノール、2,4-ジアミノフェノール、N-フェニルパラフェニレンジアミンとこれらの塩等が挙げられる。
【0022】
また、カップラーとしては、例えばメタフェニレンジアミン、2,4-ジアミノフェノキシエタノール、メタアミノフェノール、2-メチル-5-アミノフェノール、2-メチル-5-(2-ヒドロキシエチルアミノ)フェノール、レゾルシン、1-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、ヒロドキノンとこれらの塩等が挙げられる。
【0023】
プレカーサーとカップラーは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。その染毛剤組成物中の総含有量は、上記染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)の色調を補正する観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また、上記染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)の染色性に影響を与えない観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0024】
〔成分(A)以外の直接染料〕
本発明の染毛剤組成物には、上記染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)以外の直接染料を更に含有させることができる。この直接染料としては、染毛剤に利用可能である公知の酸性染料、塩基性染料、ニトロ染料、分散染料等を用いることができる。
【0025】
酸性染料としては、例えば青色1号、紫色401号、黒色401号、だいだい色205号、赤色227号、赤色106号、黄色203号、酸性橙3等が挙げられる。塩基性染料としては、例えば塩基性青99、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性赤76、塩基性黄57等が挙げられる。
【0026】
酸性染料及び塩基性染料以外の直接染料としては、例えば2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、2-アミノ-6-クロロ-4-ニトロフェノール、3-ニトロ-p-ヒドロキシエチルアミノフェノール、4-ニトロ-o-フェニレンジアミン、4-アミノ-3-ニトロフェノール、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-p-フェニレンジアミン、分散紫1、分散青1、分散黒9、HC青2、HC橙1、HC赤1、HC赤3、HC黄2、HC黄4、HC黄5等が挙げられる。
【0027】
これら染料(A-1)、(A-2)、及び(A-3)以外の直接染料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その染毛剤組成物中の含有量は、良好な染色性の観点から、好ましくは0.001質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上であり、また、良好な処方安定性の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2質量%以下、更に好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0028】
<成分(B):電荷密度3.0meq/g以上のカチオン性ポリマー>
本発明の染毛剤組成物は、電荷密度3.0meq/g以上のカチオン性ポリマーを含有する。ここで、カチオン性ポリマーにおける電荷密度とは、ポリマー1g当たりのカチオン性基モル数×1000(meq/g)をいう。
【0029】
成分(B)の電荷密度は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは3.5meq/g以上、より好ましくは4.0meq/g以上、更に好ましくは4.5meq/g以上であり、良好な感触を得る観点から、好ましくは7.0meq/g以下、より好ましくは6.5meq/g以下である。
【0030】
成分(B)としては、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体、4級化ポリビニルイミダゾリウム誘導体等が挙げられる。
【0031】
ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体としては、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点、良好な感触を得る観点から、次の一般式(2)又は(3)で表される骨格を有するものが好ましい。
【0033】
〔式中、R
1及びR
2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R
3及びR
4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を示し、X
-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
【0034】
ジアリル4級アンモニウム塩の重合体は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、式(2)又は(3)で表される構成単位を、一分子中に好ましくは30〜100モル%、より好ましくは45〜100モル%、更に好ましくは50〜100モル%、更に好ましくは50〜80モル%、更に好ましくは55〜75モル%含有する。
【0035】
ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体の具体例としては、次の一般式(4)又は(5)で表されるものが挙げられる。
【0037】
〔式中、R
1、R
2及びX
-は、前記と同じ意味を示す。p、q及びrはモル比を示し、p+q+r=100である。〕
【0038】
pは、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させつつ良好な髪の感触を提供する観点から、好ましくは0〜50、より好ましくは10〜45、更に好ましくは20〜40であり、qは、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させつつ良好な髪の感触を提供する観点から好ましくは30〜100、より好ましくは45〜100、更に好ましくは50〜100、更に好ましくは50〜80、更に好ましくは55〜75であり、rは、良好な染毛性の観点から好ましくは0〜50、より好ましくは0〜25、更に好ましくは0〜10、更に好ましくは0〜5である。
【0039】
これらの中でも、ジアリル4級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸とのコポリマーが好ましい。ジアリル4級アンモニウム塩のホモポリマーの具体例としては、マーコート100(Lubrizol Advanced Materials, Inc.製、電荷密度6.2meq/g、重量平均分子量150,000)等が挙げられ、ジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸とのコポリマーの具体例としては、マーコート295(Lubrizol Advanced Materials, Inc.製、電荷密度6.0meq/g、重量平均分子量190,000)、マーコート280(Lubrizol Advanced Materials, Inc.製、電荷密度5.0meq/g、重量平均分子量450,000)等が挙げられる。
【0040】
4級化ポリビニルイミダゾリウム誘導体としては、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点、良好な感触を得る観点から、例えば次の一般式(6)で表されるものが好ましい。
【0042】
〔式中、R
5は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Y
-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、炭素数1〜4のアルキル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等の陰イオンを示し、s及びtはモル比を示し、s+t=100である。〕
【0043】
カチオン性を示すモノマーのモル比であるtは、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは73〜99であり、より好ましくは90以上、更に好ましくは93以上である。
【0044】
このような4級化ポリビニルイミダゾリウム誘導体の具体例としては、ビニルピロリドンと塩化メチルビニルイミダゾリウムとのコポリマー(ルビカットエクセレンス(BASF社製、電荷密度6.1meq/g、重量平均分子量40,000))等が挙げられる。
【0045】
成分(B)の重量平均分子量は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくは100,000以上であり、良好な感触を得る観点から、好ましくは3,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、更に好ましくは800,000以下である。
ここで、重量平均分子量は、例えばゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)により、以下の条件にて測定することができる。
移動層:50mM LiBr, 1%CH3COOH/エタノール:水=3:7
カラム:TSK gel α-M(2本直列)
標準物質:ポリエチレングリコール
【0046】
これらの成分(B)の中でも、ジアリル4級アンモニウム塩のホモポリマー又はジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸とのコポリマーが好ましい。
【0047】
成分(B)は、染毛剤組成物が二剤式又は三剤式の場合、第1剤、第2剤、第3剤のいずれに含有してもよい。
【0048】
成分(B)の染毛剤組成物中の含有量は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.75質量%以上であり、また、良好な感触を得る観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0049】
<成分(C):アニオン性多糖誘導体>
本発明の染毛剤組成物は、一般式(1)で表される構成単位を有する多糖化合物の水酸基の水素原子の一部が、基−(CH
2)
mCOO
-(mは1〜5の整数)で置換されており、該基による構成単位当たりの平均置換度が0.5以上2.0以下(0.5〜2.0)であり、残りの水酸基の水素原子の一部が炭素数1〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及び/又はアルキレン基で置換されていてもよいアニオン性多糖誘導体を含有する。
【0051】
〔式中、Rは、同じであっても異なっていてもよく、水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nは構成単位当たりのROの平均付加モル数が0〜10となる数を示す。〕
【0052】
成分(C)において、基−(CH
2)
mCOO
-におけるmは、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、1〜3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、一般式(1)におけるnは、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、0〜5であることが好ましく、0〜3であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましく、0であることが更に好ましい。また、Rの炭素数は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、2又は3が好ましく、2がより好ましい。
【0053】
前記一般式(1)で表される構成単位を有する多糖化合物としては、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチからなる群より選択される少なくとも1種を好適に用いることができる。これらの中でも、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点、良好な感触を得る観点から、セルロース及びヒドロキシエチルセルロースをより好適に用いることができる。
【0054】
成分(C)のアニオン性多糖誘導体の中でも、カルボキシメチルセルロースが健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から好ましい。
【0055】
〔平均置換度〕
成分(C)において、基−(CH
2)
mCOO
-の構成単位当たりの平均置換度は、0.5以上2.0以下(0.5〜2.0)であり、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.65以上であり、また、良好な感触の観点から、好ましくは1.5以下である。
【0056】
・平均置換度の測定方法
導入された置換基が−(CH
2)
mCOONaである場合を例として説明する。
絶乾したアニオン性多糖誘導体を、マイクロウェーブ湿式灰化装置(PROLABO社製、商品名:「A-300」)を用いて硫酸−過酸化水素で湿式分解した後、原子吸光装置(株式会社日立製作所製、商品名:「Z-6100型」)を用いて原子吸光法によりNa含量(%)を測定し、下記計算式により置換度を算出する。
平均置換度(DS)=(x×Na含量(%))/(2300−y×Na含量(%))
x:アニオン性置換基導入前の多糖誘導体を構成する糖モノマー1unit当たりの平均分子量
y:置換基1個の導入による分子量の増分
【0057】
〔成分(C)の粘度〕
成分(C)は、1質量%水溶液の25℃における粘度が、毛髪への塗布性の観点から、好ましくは120mPa・s以上、より好ましくは150mPa・s以上、更に好ましくは200mPa・s以上、更に好ましくは800mPa・s以上、更に好ましくは1,000mPa・s以上、更に好ましくは1,500mPa・s以上であり、また、配合のしやすさの観点から、好ましくは300,000mPa・s以下であり、より好ましくは200,000mPa・s以下、更に好ましくは150,000mPa・s以下、更に好ましくは100,000mPa・s以下、更に好ましくは80,000mPa・s以下、更に好ましくは50,000mPa・s以下、更に好ましくは20,000mPa・s以下、更に好ましくは10,000mPa・s以下である。なお、本発明において、成分(C)の上記粘度は、以下に示す方法に従って測定する。
【0058】
・1質量%水溶液の粘度(mPa・s)の測定方法
300mL共栓三角フラスコ中に水分値既知のアニオン性多糖誘導体約2.2gを精秤し、蒸留水200gを加え、直ちに栓をして激しく振とうし、アニオン性多糖誘導体を小さい固まりに分散させて放置する。一夜(約18〜20時間)放置したのち、既知の水分値より補正水にて1質量%水溶液濃度に合わせる。補正水量は、別途求めた水分より、以下の計算式に基づいて算出する。
補正水量(g)=アニオン性多糖誘導体試料(g)×(99−試料の水分含量(%))−200
【0059】
補正終了後、三角フラスコ中に小回転子を入れ、マグネチックスターラーで25分間撹拌し、膨潤状態の内容物を完全に分散溶解させる。粘度が高く分散溶解できない場合、300mLのビーカーに移し、パラフィルム(Bemis Flexible Packaging社)で密閉した後、撹拌羽を用いて25分間撹拌し、内容物を完全分散溶解させる。ついで、この溶液を250mL容栓付容器(口径50mm×高さ140mm)に移し、栓をして25℃の恒温槽中に30分間放置する。温度25℃を確認したのち、この栓付容器に下記の通り、粘度計、ローター、ガードを選択して取り付け、粘度を測定する。低粘度から高粘度の測定条件の順番で測定を行い、粘度計の表示が振り切れることなく測定できた時点で測定を完了する。
【0060】
(25℃における粘度が2,000mPa・s以下の場合)
25℃における粘度が2000mPa・s以下の場合は、BROOKFIELD VISCOMETER(Model:LV DV-I Prime、BROOKFIELD製)を用い、LV SPINDLE(63)、回転数60rpmの条件下で25℃で3分間回転させた後の値とする。
【0061】
(25℃における粘度が2,000mPa・sを超え、10,000mPa・s以下の場合)
25℃における粘度が2,000mPa・sを超え、10,000mPa・s以下の場合は、BROOKFIELD VISCOMETER(Model:LV DV-I Prime、BROOKFIELD製)を用い、LV SPINDLE(64)、回転数60rpmの条件下で25℃で3分間回転させた後の値とする。
【0062】
(25℃における粘度が10,000mPa・sを超え、80,000mPa・s以下の場合)
25℃における粘度が10,000mPa・sを超え、80,000mPa・s以下の場合は、ヘリカルスタンド付きBROOKFIELD VISCOMETER(Model:RV DV-I Prime、BROOKFIELD製)を用い、HELIPATH SPINDLE(T-bar spindle E(95))、回転数60rpmの条件下で25℃で3分間回転させた後の値とする。
【0063】
(25℃における粘度が80,000mPa・sを超える場合)
25℃における粘度が80,000mPa・sを超える場合は、ヘリカルスタンド付きBROOKFIELD VISCOMETER(Model:RV DV-I Prime、BROOKFIELD製)を用い、HELIPATH SPINDLE(T-bar spindle F(96))、回転数60rpmの条件下で25℃で3分間回転させた後の値とする。
【0064】
成分(C)の具体例としては、セロゲンF-5A、F-7A、F-907A、F-815A、F-SB、F-930A、F-3H、F-BSH-5、F-BSH-6、F-BSH-12、F-6HS9、HE-1500F(第一工業製薬社製、カルボキシメチルセルロース)、サンローズF-01MC、FT-1、F04HC、APP-84、F150LC、F120MC、F600MC、F350HC、F800HC、F1400MC(日本製紙社製、カルボキシメチルセルロース)、CMCダイセル1105、1110、1130、1150、1205、1210、1220、1230、1240、1250、1330、1180、1190、1380、1390、2200、2260、2280(ダイセル社製、カルボキシメチルセルロース)、Blanose 7LF、7M1F、7MF、7M8SF、12M8P、12M31XP(アシュランド社製、カルボキシメチルセルロース)が挙げられる。
【0065】
成分(C)は、安定性の観点から、染毛剤組成物が二剤式の場合には第1剤中に含有させることが好ましく、三剤式の場合には第1剤又は第3剤に含有させることが好ましく、第3剤中に含有させることがより好ましい。
【0066】
成分(C)の染毛剤組成物中の含有量は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、配合のしやすさの観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0067】
本発明の染毛剤組成物中における成分(C)に対する成分(B)の質量比(B)/(C)は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上であり、また、同様の観点から、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
【0068】
本発明の染毛剤組成物中における成分(A)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(A)+(C)]は、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上であり、また、同様の観点から、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である。
【0069】
<pH>
本発明の染毛剤組成物のpH(25℃)は、良好な染毛効果と皮膚刺激抑制の観点から8.5〜12であり、良好な染毛効果の観点から、好ましくは9以上であり、また、皮膚刺激抑制の観点から、好ましくは11.5以下、より好ましくは11以下である。また、本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式染毛剤である場合は、第1剤及び第2剤、又は第1剤、第2剤及び第3剤の混合時におけるpH(25℃)が前記範囲となり、第1剤のpH(25℃)は8〜12、第2剤のpH(25℃)は2〜5が好ましい。pH調整剤としては、アルカリ剤のほか、塩酸、リン酸等の無機酸、クエン酸、グリコール酸、乳酸等の有機酸、塩酸モノエタノールアミン等の塩酸塩、リン酸二水素一カリウム、リン酸一水素二ナトリウム等のリン酸塩等が挙げられる。なお、本明細書において、染毛剤組成物のpHは、株式会社堀場製作所社製のpHメーターF-22とpH電極6367-10Dを用いて室温(25℃)で測定した値である。
【0070】
〔成分(D):アニオン界面活性剤〕
本発明の染毛剤組成物には、アニオン界面活性剤を含有させることができる。
成分(D)としては、スルホン基、硫酸基、カルボキシ基又はリン酸基を有するアニオン界面活性剤が挙げられる。具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル又はアルケニルエーテル硫酸塩、アルキル又はアルケニル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、飽和又は不飽和脂肪酸塩、アルキル又はアルケニルエーテルカルボン酸塩、α-スルホ脂肪酸塩、N-アシルアミノ酸、リン酸モノ又はジエステル、スルホコハク酸エステル等が挙げられる。これらアニオン界面活性剤のアニオン性基の対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン;アンモニウムイオン;炭素数2又は3のアルカノール基を1〜3個有するアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン等)が挙げられる。
【0071】
これらの成分(D)の中でも、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、下記一般式(7)で表されるアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
R
6-O-(CH
2CH
2O)
u-[CH
2CH(CH
3)O]
v-SO
3M (7)
〔式中、R
6は炭素数8〜25の炭化水素基を示し、uは平均付加モル数0〜50を示し、vは平均付加モル数0〜50を示し、Mはアルカリ金属又はNH
4を示す。〕
【0072】
成分(D)の染毛剤組成物中の含有量は、染料を溶解させる観点から、好ましくは0.01質量%以上であり、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0073】
〔成分(E):非イオン界面活性剤〕
本発明の染毛剤組成物には、非イオン界面活性剤を含有させることができる。
成分(E)としては、エーテル基、エステル基、アミンオキサイド基又はアミド基を有する非イオン界面活性剤が挙げられる、具体的には、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、高級脂肪酸ショ糖エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸モノ又はジエタノールアミド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、アルキルサッカライド、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド等が挙げられる。これらのうち、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルサッカライドが好ましく、ポリオキシエチレンアルキル(12〜14)エーテル、アルキルポリグルコシドがより好ましい。
【0074】
これらの成分(E)の中でも、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、下記一般式(8)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましい。
R
7-O-(AO)
w-H (8)
〔式中、R
7は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、wは平均値で1〜100の数を示す。〕
【0075】
成分(E)の染毛剤組成物中の含有量は、染料を溶解させる観点から、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である。
【0076】
本発明の染毛剤組成物中における成分(E)に対する成分(D)の質量比(D)/(E)は、配合安定性の観点から、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.8以上であり、また、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である。
【0077】
〔その他の界面活性剤〕
本発明の染毛剤組成物には、成分(D)アニオン界面活性剤及び成分(E)非イオン界面活性剤以外の界面活性剤を含有させることができる。二剤式又は三剤式である場合には、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれの剤に含有させてもよい。その他の界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれをも使用することができる。
【0078】
カチオン界面活性剤としては、モノ長鎖アルキル4級アンモニウム塩、ジ長鎖アルキル4級アンモニウム塩が好ましく、具体的には、セトリモニウムクロリド、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアラルコニウムクロリド、ベンザルコニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリド等が挙げられ、ステアルトリモニウムクロリド、ベヘントリモニウムクロリド、ステアロキシプロピルトリモニウムクロリド、ジアルキル(C12-18)ジモニウムクロリドがより好ましい。カチオン界面活性剤の市販品としては、コータミン86W、同86P コンク、同60W、同E-80K、同D2345P(以上、花王社製)、ニッコール CA-2580(日本サーファクタント工業社製)が挙げられる。
【0079】
両性界面活性剤としては、炭素数8〜24のアルキル基、アルケニル基又はアシル基を有するカルボベタイン系、アミドベタイン系、スルホベタイン系、ヒドロキシスルホベタイン系、アミドスルホベタイン系、ホスホベタイン系、イミダゾリニウム系の界面活性剤が挙げられ、なかでもカルボベタイン系界面活性剤、スルホベタイン系界面活性剤が好ましい。好ましい両性界面活性剤としては、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0080】
成分(D)及び成分(E)以外の界面活性剤は2種以上を併用することもでき、染毛剤組成物中の含有量は、好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、染毛剤組成物の安定性の観点より、更には0.5質量%以上が好ましく、また、更には5質量%以下、更には3質量%以下、更には2質量%以下が好ましい。
【0081】
〔アルカリ剤〕
本発明の染毛剤組成物には、アルカリ剤を含有させることができる。本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式である場合は、第1剤にアルカリ剤を含有する。アルカリ剤としては、アンモニア及びその塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチルプロパノール、2-アミノブタノール等のアルカノールアミン及びその塩、1,3-プロパンジアミン等のアルカンジアミン及びその塩、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸グアニジン等の炭酸塩等が挙げられる。
【0082】
アルカリ剤は、2種以上を併用してもよく、染毛剤組成物中の含有量は、十分な染毛効果の観点から、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上、更に好ましくは0.2質量%以上であり、また、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の観点から、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下である。
【0083】
〔過酸化水素〕
本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式である場合、第2剤に過酸化水素を含有させることができる。染毛剤組成物中の過酸化水素の含有量は、十分な染毛効果の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、毛髪損傷や頭皮刺激の低減の観点から、好ましくは12質量%以下、より好ましくは9質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
【0084】
〔高級アルコール〕
本発明の染毛剤組成物には、感触の改善、良好な安定性の観点から、炭素数12以上の高級アルコールを含有させることが好ましい。二剤式又は三剤式である場合には、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれの剤に含有させてもよい。これらは、界面活性剤と構造体を形成して分離を防ぐと共に、すすぎ時の感触を改善する効果がある。
【0085】
高級アルコールとしては、界面活性剤と構造体を形成して分離を防ぐと共に、すすぎ時の感触を改善する観点から、炭素数12以上、更には16以上、また、炭素数30以下、更には22以下のものが好ましく、具体的には、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0086】
高級アルコールは2種以上を併用してもよく、またその染毛剤組成物中の含有量は、染毛剤組成物の粘度及び安定性の観点より、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上であり、また、好ましくは11質量%以下、より好ましくは9質量%以下である。
【0087】
〔多価アルコール〕
本発明の染毛剤組成物は、毛髪にうるおいを与え、毛髪のぱさつきを抑止する観点から、更に多価アルコールを含有することが好ましい。二剤式又は三剤式である場合には、第1剤、第2剤及び第3剤のいずれの剤に含有させてもよい。多価アルコールとしては、炭素数2〜20のもの、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール等のアルキレングリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;キシリット、マンニット、ガラクチット、ソルビット等の糖アルコール類;その他トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0088】
多価アルコールは2種以上を併用してもよい。また、染毛剤組成物中の含有量は、毛髪にうるおいを与え、毛髪のぱさつきを抑止する効果に優れる観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、また、健常毛にも損傷毛にも、また乾燥毛にも湿潤毛にも高い染毛性を発揮させる観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0089】
〔媒体〕
本発明の染毛剤組成物には、媒体として水が使用される。染毛剤組成物中の水の含有量は、濡れた毛髪上で良好な塗り広げやすさを維持する観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上であり、また、良好な染毛性の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0090】
本発明の染毛剤組成物には、更に水以外の媒体として、必要により有機溶剤が使用される。有機溶剤としては、ベンジルアルコール、ベンジルオキシエタノール等の芳香族アルコール類;エタノール、2-プロパノール等の低級アルカノール類;エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ベンジルセロソルブ等のセロソルブ類;エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のカルビトール類が挙げられる。
【0091】
〔剤型〕
本発明の染毛剤組成物は、一剤式、二剤式、又は三剤式の各種染毛剤として使用できる。一剤式染毛剤組成物は、成分(A)〜(C)を含有する単一の剤からなる。二剤式染毛剤組成物は、成分(A)及びアルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤からなることが好ましい。三剤式染毛剤組成物は、アルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤と、成分(A)を含有する第3剤からなるか、又は成分(A)及びアルカリ剤を含有する第1剤と、過酸化水素を含有する第2剤と、その他の成分を含有する第3剤からなることが好ましい。上記のその他の成分を含有する第3剤としては脱色力向上のために過硫酸塩(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)等の造粒物からなる粉末状酸化剤を用いることが好ましい。
【0092】
本発明の染毛剤組成物は、例えば、液状、乳液状、クリーム状、ゲル状、ペースト状、ムース状などの形態で用いられるものとすることができ、エアゾール形態とすることもできる。これらの場合における染毛剤組成物の粘度は、毛髪に塗布したときに液だれしにくいように調整することが望ましい。この染毛剤組成物の粘度(25℃)は、ヘリカルスタンド付きB型回転粘度計(モデル;デジタル粘度計TVB-10、東機産業株式会社)により、ローターT-Cを用いて10rpmで1分間回転させた後の測定値として、好ましくは2,000〜200,000mPa・s、より好ましくは4,000〜150,000mPa・s、更に好ましくは6,000〜100,000mPa・s、更に好ましくは8,000〜80,000mPa・sである。なお、二剤式又は三剤式の場合には、各剤の混合後3分経過後に測定するものとする。
【0093】
また、本発明の染毛剤組成物は、毛髪に塗布するときにノンエアゾール型のフォーマー容器から吐出させたり、カップ内でシェークして発泡させたりすることで泡状として使用することもできる。この場合における発泡前の染毛剤組成物の粘度も、泡状として毛髪に塗布したときに液だれしにくいように調整することが望ましい。この染毛剤組成物の粘度(25℃)は、B型回転粘度計(モデル;デジタル粘度計TV-10、東機産業株式会社)により、ローターNo.1を用いて30rpmで1分間回転させた後の測定値(但し、粘度が160mPa・sを超える場合は、12rpmで1分間回転させた後の測定値)として、好ましくは1〜800mPa・s、より好ましくは1〜600mPa・s、更に好ましくは1〜500mPa・s、更に好ましくは1〜300mPa・sである。なお、回転数の大きい測定から順番に行い、粘度計の表示が振り切れることなく測定できた時点で測定を完了し、それ以降の回転数の小さい測定は行わない。二剤式又は三剤式の場合には、各剤の混合後3分経過後に測定するものとする。
【0094】
〔染毛剤組成物の製造方法〕
本発明の染毛剤組成物が一剤式の場合、染毛剤組成物の安定性の観点から、成分(A)と成分(C)を混合した後、得られた混合物と成分(B)を混合して調製することが好ましい。また、本発明の染毛剤組成物が二剤式又は三剤式であって第1剤中に成分(A)〜(C)の全てを含有する場合も、当該第1剤は、染毛剤組成物の安定性の観点から、成分(A)と成分(C)を混合した後、得られた混合物と成分(B)を混合して調製することが好ましい。
【0095】
〔染毛方法〕
本発明の染毛剤組成物を用いて毛髪を脱色又は染色処理するには、例えば本発明の染毛剤組成物(二剤式の場合は第1剤と第2剤、三剤式の場合は更に第3剤を使用直前に混合した後)を毛髪に適用し、所定時間放置後、水を用いて洗い流し、乾燥すればよい。毛髪への適用温度は15〜45℃、適用時間は1〜60分間、更には2〜45分間、更には3〜30分間が好ましい。
【0096】
以上述べた実施形態に関し、以下に本発明の好ましい態様を更に開示する。
【0097】
<1> 次の成分(A)〜(C)を含有し、pH(25℃)が8.5〜12である染毛剤組成物。
(A) 下記(A-1)、(A-2)及び(A-3)からなる群より選択される1種又は2種以上の染料
【0099】
(B) 電荷密度3.0meq/g以上のカチオン性ポリマー
(C) 一般式(1)で表される構成単位を有する多糖化合物の水酸基の水素原子の一部が、基−(CH
2)
mCOO
-(mは1〜5の整数)で置換されており、該基による構成単位当たりの平均置換度が0.5以上2.0以下であり、残りの水酸基の水素原子の一部が炭素数1〜40の直鎖又は分岐鎖のアルキル基及び/又はアルキレン基で置換されていてもよいアニオン性多糖誘導体
【0101】
〔式中、Rは、同じであっても異なっていてもよく、水酸基で置換されていてもよい炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、nは構成単位当たりのROの平均付加モル数が0〜10となる数を示す。〕
【0102】
<2> 成分(A)の含有量が、好ましくは0.0005質量%以上、より好ましくは0.001質量%以上、更に好ましくは0.01質量%以上であり、また、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.5質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である、<1>に記載の染毛剤組成物。
【0103】
<3> 全染料中における成分(A)の割合が、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上、更に好ましくは40質量%以上である、<1>又は<2>に記載の染毛剤組成物。
【0104】
<4> 成分(B)の電荷密度が、好ましくは3.5meq/g以上、より好ましくは4.0meq/g以上、更に好ましくは4.5meq/g以上であり、また、好ましくは7.0meq/g以下、より好ましくは6.5meq/g以下である、<1>〜<3>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0105】
<5> 好ましくは、成分(B)が、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体及び4級化ポリビニルイミダゾリウム誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、<1>〜<4>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0106】
<6> 好ましくは、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体が、次の一般式(2)又は(3)で表される骨格を有するものである、<5>に記載の染毛剤組成物。
【0108】
〔式中、R
1及びR
2は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、アリール基(フェニル基等)、ヒドロキシアルキル基、アミドアルキル基、シアノアルキル基、アルコキシアルキル基又はカルボアルコキシアルキル基を示し、R
3及びR
4は同一でも異なってもよく、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基又はフェニル基を示し、X
-は陰イオン(塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、メチル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等)を示す。〕
【0109】
<7> 好ましくは、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体が、次の一般式(4)又は(5)で表されるものである、<6>に記載の染毛剤組成物。
【0111】
〔式中、R
1、R
2及びX
-は、前記と同じ意味を示す。p、q及びrはモル比を示し、p+q+r=100である。〕
【0112】
<8> 好ましくは、ジアリル4級アンモニウム塩を構成単位として含む重合体が、ジアリル4級アンモニウム塩のホモポリマー又はジアリル4級アンモニウム塩とアクリル酸とのコポリマーである、<7>に記載の染毛剤組成物。
【0113】
<9> 好ましくは、4級化ポリビニルイミダゾリウム誘導体が、次の一般式(6)で表されるものである、<5>に記載の染毛剤組成物。
【0115】
〔式中、R
5は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、Y
-は塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸アニオン、スルホン酸アニオン、炭素数1〜4のアルキル硫酸アニオン、リン酸アニオン、硝酸アニオン等の陰イオンを示し、s及びtはモル比を示し、s+t=100である。〕
【0116】
<10> 成分(B)の重量平均分子量が、好ましくは10,000以上、より好ましくは50,000以上、更に好ましくは100,000以上であり、また、好ましくは3,000,000以下、より好ましくは1,000,000以下、更に好ましくは800,000以下である、<1>〜<9>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0117】
<11> 成分(B)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.75質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である、<1>〜<10>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0118】
<12> 成分(C)における一般式(1)で表される構成単位を有する多糖化合物が、好ましくは、セルロース、グアーガム、スターチ、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルグアーガム、ヒドロキシエチルスターチ、メチルセルロース、メチルグアーガム、メチルスターチ、エチルセルロース、エチルグアーガム、エチルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルグアーガム、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルグアーガム、ヒドロキシエチルメチルスターチ、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルグアーガム及びヒドロキシプロピルメチルスターチからなる群より選択される少なくとも1種である、<1>〜<11>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0119】
<13> 成分(C)が、好ましくはカルボキシメチルセルロースである、<1>〜<12>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0120】
<14> 成分(C)における基−(CH
2)
mCOO
-の構成単位当たりの平均置換度が、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.65以上であり、また、好ましくは1.5以下である、<1>〜<13>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0121】
<15> 成分(C)の1質量%水溶液の25℃における粘度が、好ましくは120mPa・s以上、より好ましくは150mPa・s以上、更に好ましくは200mPa・s以上、更に好ましくは800mPa・s以上、更に好ましくは1,000mPa・s以上、更に好ましくは1,500mPa・s以上であり、また、好ましくは300,000mPa・s以下、より好ましくは200,000mPa・s以下、更に好ましくは150,000mPa・s以下、更に好ましくは100,000 mPa・s以下、更に好ましくは80,000mPa・s以下、更に好ましくは50.000mPa・s以下、更に好ましくは、更に好ましくは20,000mPa・s以下、更に好ましくは10,000mPa・s以下である、<1>〜<14>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0122】
<16> 成分(C)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である、<1>〜<15>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0123】
<17> 成分(C)に対する成分(B)の質量比(B)/(C)が、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、更に好ましくは0.3以上、更に好ましくは0.5以上、更に好ましくは1.0以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは15以下、更に好ましくは10以下、更に好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である、<1>〜<16>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0124】
<18> 全組成中における成分(A)と成分(C)との合計に対する成分(B)の質量比(B)/[(A)+(C)]が、好ましくは1以上、より好ましくは1.5以上、更に好ましくは2.0以上であり、また、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下である、<1>〜<17>のいずれか一項に記載の染毛剤組成物。
【0125】
<19> 好ましくは、更に、(D)アニオン界面活性剤を含有する、<1>〜<18>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0126】
<20> 好ましくは、成分(D)が下記一般式(7)で表されるアルキルエーテル硫酸塩である、<19>に記載の染毛剤組成物。
R
6-O-(CH
2CH
2O)
u-[CH
2CH(CH
3)O]
v-SO
3M (7)
〔式中、R
6は炭素数8〜25の炭化水素基を示し、uは平均付加モル数0〜50を示し、vは平均付加モル数0〜50を示し、Mはアルカリ金属又はNH
4を示す。〕
【0127】
<21> 成分(D)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、20質量%以下であり、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である、<19>又は<20>に記載の染毛剤組成物。
【0128】
<22> 好ましくは、更に、(E)非イオン界面活性剤を含有する、<1>〜<21>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0129】
<23> 好ましくは、成分(E)が下記一般式(8)で表されるポリオキシアルキレンアルキルエーテルである、<22>に記載の染毛剤組成物。
R
7-O-(AO)
w-H (8)
〔式中、R
7は炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し、Aは炭素数2〜4のアルキレン基を示し、wは平均値で1〜100の数を示す。〕
【0130】
<24> 成分(E)の含有量が、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上であり、また、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下、更に好ましくは2.0質量%以下、更に好ましくは1.5質量%以下である、<22>又は<23>に記載の染毛剤組成物。
【0131】
<25> 成分(E)に対する成分(D)の質量比(D)/(E)が、好ましくは0.5以上3.5以下、より好ましくは0.8以上であり、また、より好ましくは3以下、更に好ましくは2以下である、<22>〜<24>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0132】
<26> pH(25℃)が、好ましくは9以上であり、また、好ましくは11.5以下、より好ましくは11以下である、<1>〜<25>のいずれかに記載の染毛剤組成物。
【0133】
<27> <1>〜<26>のいずれかに記載の染毛剤組成物を毛髪に適用する工程、好ましくは1〜60分間、より好ましくは2〜45分間、更に好ましくは3〜30分間放置する工程、水を用いて洗い流す工程を有する脱色又は染毛方法。