【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで本発明者は、DNA機能障害剤であるFTDを含有する薬剤、又はdUTPase阻害薬及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤と、免疫調節剤である抗PD−1抗体又は抗PD−L1抗体とを併用して抗腫瘍効果を検討したところ、単独で薬剤を使用するよりも、重篤な副作用を発症させることなく、さらに抗腫瘍効果が顕著に増強することを見出した。
【0010】
すなわち、本発明は、以下の発明〔1〕〜〔81〕を提供するものである。
〔1〕DNA機能障害剤と免疫調節剤を併用投与することを特徴とする抗腫瘍剤。
〔2〕DNA機能障害剤が、トリフルリジンを含有する薬剤、又はデオキシウリジントリホスファターゼ阻害薬及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔1〕記載の抗腫瘍剤。
〔3〕DNA機能障害剤が、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤である〔1〕又は〔2〕記載の抗腫瘍剤。
〔4〕DNA機能障害剤が、(R)−N−(1−(3−(シクロペンチルオキシ)フェニル)エチル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩、及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔1〕又は〔2〕記載の抗腫瘍剤。
〔5〕フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬が、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムをモル比1:0.4:1で含有する配合剤、又はカペシタビンである〔4〕記載の抗腫瘍剤。
〔6〕免疫調節剤が、PD−1経路アンタゴニスト、ICOS経路アゴニスト、CTLA−4経路アンタゴニスト、CD28経路アゴニスト又はこれらの組み合わせである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔7〕PD−1経路アンタゴニストが、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体又はこれらの組み合わせである〔6〕記載の抗腫瘍剤。
〔8〕抗PD−1抗体がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、抗PD−L1抗体がアテゾリズマブ、デュルバルマブ又はアベルマブである〔7〕記載の抗腫瘍剤。
〔9〕CTLA−4経路アンタゴニストが、抗CTLA−4抗体である〔6〕記載の抗腫瘍剤。
〔10〕抗CTLA−4抗体がイピリムマブ又はトレメリムマブである〔9〕記載の抗腫瘍剤。
〔11〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜115%である〔1〕〜〔3〕及び〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔12〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜80mg/m
2/dayである〔1〕〜〔3〕及び〔6〕〜〔10〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔13〕対象となる癌が、消化器癌、肺癌又は乳癌である〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の抗腫瘍剤。
〔14〕対象となる癌が、大腸癌である〔1〕〜〔13〕のいずれか記載の抗腫瘍剤。
〔15〕免疫調節剤の抗腫瘍効果を増強するための、DNA機能障害剤からなる抗腫瘍効果増強剤。
〔16〕DNA機能障害剤の抗腫瘍効果を増強するための、免疫調節剤からなる抗腫瘍効果増強剤。
〔17〕免疫調節剤を投与された癌患者を治療するための、DNA機能障害剤からなる抗腫瘍剤。
〔18〕DNA機能障害剤を投与された癌患者を治療するための、免疫調節剤からなる抗腫瘍剤。
〔19〕免疫調節剤と併用することを特徴とする、DNA機能障害剤からなる抗腫瘍剤。
〔20〕DNA機能障害剤と併用することを特徴とする、免疫調節剤からなる抗腫瘍剤。
〔21〕DNA機能障害剤を含む抗腫瘍剤と使用説明書を含むキット製剤であって、当該使用説明書には、癌患者に対して、DNA機能障害剤と免疫調節剤が併用投与されることが記載されていることを特徴とするキット製剤。
〔22〕抗腫瘍剤を製造するための、DNA機能障害剤と免疫調節剤の使用。
〔23〕DNA機能障害剤が、トリフルリジンを含有する薬剤、又はデオキシウリジントリホスファターゼ阻害薬及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔22〕記載の使用。
〔24〕DNA機能障害剤が、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤である〔22〕又は〔23〕記載の使用。
〔25〕DNA機能障害剤が、(R)−N−(1−(3−(シクロペンチルオキシ)フェニル)エチル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩、及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔22〕又は〔23〕記載の使用。
〔26〕フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬が、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムをモル比1:0.4:1で含有する配合剤、又はカペシタビンである〔25〕記載の使用。
〔27〕免疫調節剤が、PD−1経路アンタゴニスト、ICOS経路アゴニスト、CTLA−4経路アンタゴニスト、CD28経路アゴニスト又はこれらの組み合わせである〔22〕〜〔26〕のいずれかに記載の使用。
〔28〕PD−1経路アンタゴニストが、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体又はこれらの組み合わせである〔27〕記載の使用。
〔29〕抗PD−1抗体がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、抗PD−L1抗体がアテゾリズマブ、デュルバルマブ又はアベルマブである〔28〕記載の使用。
〔30〕CTLA−4経路アンタゴニストが、抗CTLA−4抗体である〔27〕記載の使用。
〔31〕抗CTLA−4抗体がイピリムマブ又はトレメリムマブである〔30〕記載の使用。
〔32〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜115%である〔22〕〜〔24〕及び〔27〕〜〔31〕のいずれかに記載の使用。
〔33〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜80mg/m
2/dayである〔22〕〜〔24〕及び〔27〕〜〔31〕のいずれかに記載の使用。
〔34〕対象となる癌が、消化器癌、肺癌又は乳癌である〔22〕〜〔33〕のいずれかに記載の使用。
〔35〕対象となる癌が、大腸癌である請求項〔22〕〜〔34〕のいずれかに記載の使用。
〔36〕免疫調節剤の抗腫瘍効果を増強する抗腫瘍効果増強剤を製造するための、DNA機能障害剤の使用。
〔37〕DNA機能障害剤の抗腫瘍効果を増強する抗腫瘍効果増強剤を製造するための、免疫調節剤の使用。
〔38〕免疫調節剤を投与された癌患者を治療する抗腫瘍剤を製造するための、DNA機能障害剤の使用。
〔39〕DNA機能障害剤を投与された癌患者を治療する抗腫瘍剤を製造するための、免疫調節剤の使用。
〔40〕免疫調節剤と併用する抗腫瘍剤を製造するための、DNA機能障害剤の使用。
〔41〕DNA機能障害剤と併用する抗腫瘍剤を製造するための、免疫調節剤の使用。
〔42〕腫瘍の治療に使用するための、DNA機能障害剤と免疫調節剤の組み合わせ。
〔43〕DNA機能障害剤が、トリフルリジンを含有する薬剤、又はデオキシウリジントリホスファターゼ阻害薬及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔42〕記載の組み合わせ。
〔44〕DNA機能障害剤が、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤である〔42〕又は〔43〕記載の組み合わせ。
〔45〕DNA機能障害剤が、(R)−N−(1−(3−(シクロペンチルオキシ)フェニル)エチル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩、及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔42〕又は〔43〕記載の組み合わせ。
〔46〕フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬が、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムをモル比1:0.4:1で含有する配合剤、又はカペシタビンである〔45〕記載の組み合わせ。
〔47〕免疫調節剤が、PD−1経路アンタゴニスト、ICOS経路アゴニスト、CTLA−4経路アンタゴニスト、CD28経路アゴニスト又はこれらの組み合わせである〔42〕〜〔46〕のいずれかに記載の組み合わせ。
〔48〕PD−1経路アンタゴニストが、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体又はこれらの組み合わせである〔47〕記載の組み合わせ。
〔49〕抗PD−1抗体がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、抗PD−L1抗体がアテゾリズマブ、デュルバルマブ又はアベルマブである〔48〕記載の組み合わせ。
〔50〕CTLA−4経路アンタゴニストが、抗CTLA−4抗体である〔47〕記載の組み合わせ。
〔51〕抗CTLA−4抗体がイピリムマブ又はトレメリムマブである〔50〕記載の組み合わせ。
〔52〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜115%である〔42〕〜〔44〕及び〔47〕〜〔51〕のいずれかに記載の組み合わせ。
〔53〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜80mg/m
2/dayである〔42〕〜〔44〕及び〔47〕〜〔51〕のいずれかに記載の組み合わせ。
〔54〕対象となる癌が、消化器癌、肺癌又は乳癌である〔42〕〜〔53〕のいずれかに記載の組み合わせ。
〔55〕対象となる癌が、大腸癌である〔42〕〜〔54〕のいずれかに記載の組み合わせ。
〔56〕免疫調節剤の抗腫瘍効果の増強に使用するための、DNA機能障害剤。
〔57〕DNA機能障害剤の抗腫瘍効果の増強に使用するための、免疫調節剤。
〔58〕免疫調節剤を投与された癌患者の治療に使用するための、DNA機能障害剤。
〔59〕DNA機能障害剤を投与された癌患者の治療に使用するための、免疫調節剤。
〔60〕免疫調節剤と併用して腫瘍の治療に使用するための、DNA機能障害剤。
〔61〕DNA機能障害剤と併用して腫瘍の治療に使用するための、免疫調節剤。
〔62〕腫瘍の治療方法であって、それを必要とする対象に、DNA機能障害剤と免疫調節剤の有効量を投与することを含む、方法。
〔63〕DNA機能障害剤が、トリフルリジンを含有する薬剤、又はデオキシウリジントリホスファターゼ阻害薬及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤である〔62〕記載の方法。
〔64〕DNA機能障害剤が、トリフルリジン及びチピラシル塩酸塩をモル比1:0.5で含有する配合剤である〔62〕又は〔63〕記載の方法。
〔65〕DNA機能障害剤が、(R)−N−(1−(3−(シクロペンチルオキシ)フェニル)エチル)−3−((2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロピリミジン−1(2H)−イル)メトキシ)プロパン−1−スルホンアミド又はその薬学的に許容される塩、及びフッ化ピリミジン系代謝拮抗薬を含有する薬剤であ〔62〕又は〔63〕記載の方法。
〔66〕フッ化ピリミジン系代謝拮抗薬が、テガフール、ギメラシル及びオテラシルカリウムをモル比1:0.4:1で含有する配合剤、又はカペシタビンである〔65〕記載の方法。
〔67〕免疫調節剤が、PD−1経路アンタゴニスト、ICOS経路アゴニスト、CTLA−4経路アンタゴニスト、CD28経路アゴニスト又はこれらの組み合わせである〔62〕〜〔66〕のいずれかに記載の方法。
〔68〕PD−1経路アンタゴニストが、抗PD−1抗体、抗PD−L1抗体、抗PD−L2抗体又はこれらの組み合わせである〔67〕記載の方法。
〔69〕抗PD−1抗体がニボルマブ又はペムブロリズマブであり、抗PD−L1抗体がアテゾリズマブ、デュルバルマブ又はアベルマブである〔68〕記載の方法。
〔70〕CTLA−4経路アンタゴニストが、抗CTLA−4抗体である〔67〕記載の方法。
〔71〕抗CTLA−4抗体がイピリムマブ又はトレメリムマブである〔70〕記載の方法。
〔72〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が、単独で投与する場合における推奨用量の50〜115%である〔62〕〜〔64〕及び〔67〕〜〔71〕のいずれかに記載の方法。
〔73〕トリフルリジンの投与日における1日投与量が35〜80mg/m
2/dayである〔62〕〜〔64〕及び〔67〕〜〔71〕のいずれかに記載の方法。
〔74〕対象となる癌が、消化器癌、肺癌又は乳癌である〔62〕〜〔73〕のいずれかに記載の方法。
〔75〕対象となる癌が、大腸癌である〔62〕〜〔74〕のいずれかに記載の方法。
〔76〕免疫調節剤の抗腫瘍効果の増強方法であって、それを必要とする対象に、DNA機能障害剤の有効量を投与することを含む、方法。
〔77〕DNA機能障害剤の抗腫瘍効果の増強方法であって、それを必要とする対象に、免疫調節剤の有効量を投与することを含む、方法。
〔78〕免疫調節剤を投与された癌患者の治療方法であって、それを必要とする対象に、DNA機能障害剤の有効量を投与することを含む、方法。
〔79〕DNA機能障害剤を投与された癌患者の治療方法であって、それを必要とする対象に、免疫調節剤の有効量を投与することを含む、方法。
〔80〕免疫調節剤と併用して腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、DNA機能障害剤の有効量を投与することを含む、方法。
〔81〕DNA機能障害剤と併用して腫瘍を治療する方法であって、それを必要とする対象に、免疫調節剤の有効量を投与することを含む、方法。