特許第6871870号(P6871870)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871870コリスミ酸誘導産物生成のための遺伝子組換え微生物(関連出願の相互参照)
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871870
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】コリスミ酸誘導産物生成のための遺伝子組換え微生物(関連出願の相互参照)
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/74 20060101AFI20210510BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20210510BHJP
   C12P 7/42 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   C12N15/74 Z
   C12N1/21ZNA
   C12P7/42
【請求項の数】24
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2017-561386(P2017-561386)
(86)(22)【出願日】2016年5月26日
(65)【公表番号】特表2018-522536(P2018-522536A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】US2016034495
(87)【国際公開番号】WO2016191625
(87)【国際公開日】20161201
【審査請求日】2019年3月18日
(31)【優先権主張番号】62/167,101
(32)【優先日】2015年5月27日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510119555
【氏名又は名称】ランザテク・ニュージーランド・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ベーレンドルフ,ジェームズ ブルース ヤーントン
(72)【発明者】
【氏名】ケプケ,ミハエル
(72)【発明者】
【氏名】トラン,ローン フオン
(72)【発明者】
【氏名】アレン,ワイアット エリック
【審査官】 玉井 真人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2014/076113(WO,A1)
【文献】 特開昭57−170184(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/191567(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/012055(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0298599(US,A1)
【文献】 国際公開第2014/120852(WO,A1)
【文献】 Mol Gen Genet, 1995, Vol.249, pp.217-228
【文献】 THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, 2002, Vol.277, pp.21768-21775
【文献】 THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY, 2003, Vol.278, pp.16893-16898
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00− 1/38
C12P 7/00− 7/66
C12N 15/00−15/90
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できる遺伝子組換えカルボキシ栄養細菌であって、前記細菌が、
a.外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)、
b.外在性イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)、
c.外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)、および
d.破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼ(EC5.4.99.5)
のうちの少なくとも1つを含む、細菌。
【請求項2】
前記細菌が、ガス状基質の発酵によって少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できるクロストリジウム(Clostridium)細菌である、請求項1に記載の細菌。
【請求項3】
前記コリスミ酸ピルビン酸リアーゼがubiCである、請求項1に記載の細菌。
【請求項4】
前記イソコリスミ酸シンターゼがpchAである、請求項1に記載の細菌。
【請求項5】
前記イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼがpchBである、請求項1に記載の細菌。
【請求項6】
前記プレフェン酸シンターゼがpheAである、請求項1に記載の細菌。
【請求項7】
前記破壊的変異によって前記プレフェン酸シンターゼの発現もしくは活性が低減するかまたは皆無化される、請求項1に記載の細菌。
【請求項8】
前記細菌によって生成されるプレフェン酸塩またはプレフェン酸誘導産物の量が、親細菌に比べて少量である、請求項7に記載の細菌。
【請求項9】
前記細菌が、チロシンまたはフェニルアラニンを実質的にまったく生成しない、請求項7に記載の細菌。
【請求項10】
前記細菌が、
a.前記外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ、
b.前記外在性イソコリスミ酸シンターゼ、
c.前記外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ、および
d.破壊的変異を含む前記プレフェン酸シンターゼ
のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸を含む、請求項1に記載の細菌。
【請求項11】
前記核酸が、クロストリジウム(Clostridium)において発現するようにコドン最適化される、請求項10に記載の細菌。
【請求項12】
前記コリスミ酸誘導産物が、カルボキシル基またはカルボン酸アニオンで置換されかつ1つ以上のOH基および/もしくは1つ以上のNH基で更に置換された六員炭素環を含む、請求項1に記載の細菌。
【請求項13】
前記コリスミ酸誘導産物が、パラヒドロキシ安息香酸、サリチル酸塩、2−アミノ安息香酸塩、ジヒドロキシ安息香酸塩、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、ならびにこれらの塩およびイオンからなる群から選択される、請求項1に記載の細菌。
【請求項14】
前記細菌が、ubiCのコリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現し、コリスミ酸誘導産物であるパラヒドロキシ安息香酸を産生する、請求項1に記載の細菌。
【請求項15】
前記細菌が、pchAのイソコリスミ酸シンターゼおよびpchBのイソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現し、コリスミ酸誘導産物であるサリチル酸塩を産生する、請求項1に記載の細菌。
【請求項16】
前記細菌が、フィードバック非感受性DAHPシンターゼを更に発現する、請求項14および15のいずれか一項に記載の細菌。
【請求項17】
前記細菌が、破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼを含み、かつコリスミ酸誘導産物である2−アミノ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩または4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸を産生する、請求項1に記載の細菌。
【請求項18】
前記細菌が、親細菌によって生成されない少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生する、請求項1に記載の細菌。
【請求項19】
前記細菌が、親細菌よりも多量に、少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を生成する、請求項1に記載の細菌。
【請求項20】
前記細菌が、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、およびクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)からなる群から選択される親細菌から誘導される、請求項1に記載の細菌。
【請求項21】
前記クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)がクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)DSM23693である、請求項20に記載の細菌。
【請求項22】
前記ガス状基質が、CO、CO、およびHのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の細菌。
【請求項23】
請求項1に記載の細菌をガス状基質の存在下で発酵させて発酵産物を産生することを含む、発酵産物の生成方法。
【請求項24】
前記ガス状基質が、CO、CO、およびHのうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年5月27日に出願された米国仮特許出願第62/167,101号の利益を主張するものであり、該出願は、その全体が本明細書において参照により援用されている。
【0002】
本発明は、微生物の発酵(特に、ガス状基質微生物の発酵)によって、遺伝子組換え微生物およびコリスミ酸誘導産物を産生する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
生物的に生成された汎用化学製品は、食品または非食用作物のいずれかを用いて糖系またはセルロース系の供給材料を生成するものである。最近では、汎用化学製品の生産が進展したことにより、土地利用、食品安全対策、補給品の揮発性、および環境問題に関する不利益が浮上している。
【0004】
触媒プロセスを使用して一酸化炭素(CO)および/または二酸化炭素(CO)ならびに水素(H)を含有するガスを種々の燃料および化学物質に変換することが可能であることが認識されるようになってから久しい。しかしながら、微生物を使用して、そのようなガスを生物学的に燃料および化学物質に変換することも可能である。生物学的プロセスは、特異性が高いこと、収率が高いこと、光熱費が低いこと、および毒作用に対する触媒抵抗性に優れること等、触媒プロセスに比べて有利ないくつかのメリットを有する。
【0005】
COは、有機材料(例えば、石炭または油、および油誘導産物)の不完全燃焼によって得られる遊離の高エネルギー副産物として主要なものである。例えば、オーストラリアにおける製鋼業によって年間500,000トンを超えるCOが生成されて大気中に放出されていることが、報告されている。
【0006】
唯一の炭素供給源としてのCOで微生物が生育できることは、最初に1903年に発見された。これは、後になってから、自家栄養増殖のアセチル補酵素A(アセチルCoA)生化学的経路(別称:Wood−Ljungdahl経路)を用いる微生物の特性であることが確認された。カルボキシ栄養細菌、光合成細菌、メタノール産生細菌、および酢酸産生細菌をはじめとする多数の嫌気性微生物は、COの代謝によって、CO、H、メタン、n−ブタノール、酢酸塩、およびエタノールなどの様々な最終産物を生ずることが明らかにされてきた。
【0007】
芳香族化合物であるパラヒドロキシ安息香酸(pHBA)は、液晶ポリマー中に使用される主要なモノマーであり、また、パラヒドロキシ安息香酸塩、またはパラヒドロキシ安息香酸エステル(通称:パラベン)生成のための前駆物質としても使用されている。
液晶ポリマーとしては、多数の用途を有するKevlarおよびVectranが挙げられる。パラベン類およびそれらの塩は、化粧品業界、製薬業界および食品業界を含む広範な業界で利用されている。これらは、効果的な防腐剤であり、殺菌性および殺カビ性を備えることから、化粧品および食品調合物中に使用できる。
【0008】
したがって、追加的な微生物、ならびにpHBAおよび他の高価値コリスミ酸誘導産物の生成方法に対するニーズが絶えない。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、コリスミ酸誘導産物を産生できる遺伝子組換え微生物を提供する。本発明は特に、少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できる遺伝子組換え微生物を提供するものである。特定の実施形態において、遺伝子組換え微生物は、Cl含有ガス状基質の発酵によって少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できるクロストリジウム(Clostridium)細菌のようなCl固定細菌を含む。本発明における細菌は(a)外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)、(b)外在性イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)、(c)外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)、および(d)破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼ(EC5.4.99.5)のうちの少なくとも1つである。
【0010】
例えば、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼをubiCとし、イソコリスミ酸シンターゼをpchAとし、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼをpchBとし、かつプレフェン酸シンターゼをpheAとしても差し支えない。プレフェン酸シンターゼにおける破壊的変異によって、プレフェン酸シンターゼの発現もしくは活性が低減するかまたは皆無化される可能性がある。そのような破壊的変異によって生成された細菌は、プレフェン酸塩もしくはプレフェン酸誘導産物を、チロシンもしくはフェニルアラニンを実質的にまったく生成しない親細菌および/または細菌と比べて少量産生しうる。
【0011】
本発明に係る微生物は、(a)外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ、(b)外在性イソコリスミ酸シンターゼ、(c)外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ、および(d)破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼのうちの、少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸を含みうる。或る実施形態において、核酸は、クロストリジウム(Clostridium)において発現するようにコドン最適化される。
【0012】
コリスミ酸誘導産物は、コリスミ酸から直接的にまたは間接的に生成される任意の産物でありうる。特に、コリスミ酸誘導産物は、六員炭素環(例えば、カルボキシル基またはカルボン酸アニオンで置換され、かつ1つ以上のOH基および/または1つ以上のNHS基で更に置換された、ベンゼン環またはシクロヘキサン環)を含みうる。コリスミ酸誘導産物としては、限定されないが、パラヒドロキシ安息香酸、サリチル酸塩、2−アミノ安息香酸塩、ジヒドロキシ安息香酸塩、および4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
【0013】
一実施形態において、本発明に係る微生物は、ubiCのコリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現し、コリスミ酸誘導産物であるパラヒドロキシ安息香酸を産生する。或る実施形態において、本発明に係る微生物は、フィードバック非感受性DAHPシンターゼを更に発現する。
【0014】
一実施形態において、本発明に係る微生物は、pchAのイソコリスミ酸シンターゼおよびpchBのイソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現し、コリスミ酸誘導産物であるサリチル酸塩を産生する。或る実施形態において、本発明に係る微生物は、フィードバック非感受性DAHPシンターゼを更に発現する。
【0015】
一実施形態において、本発明に係る微生物は、破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼを含み、かつコリスミ酸誘導産物(2−アミノ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩、3,4−ジヒドロキシ安息香酸塩および4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸のうちの1つ以上を生成する。
【0016】
一実施形態において、本発明に係る微生物は、親細菌によって生成されない少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生するか、または少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を親細菌よりも多量に生成する。
【0017】
一実施形態において、本発明に係る細菌は、Cl固定親細菌から誘導される。好ましい実施形態において、本発明の細菌は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、およびクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)からなる群から選択される親細菌から誘導される。特に好ましい実施形態において、本発明に係る細菌は、DSMZ寄託番号DSM23693の下に寄託されているクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)の親細菌から誘導される。
【0018】
本発明は更に、本発明に係る微生物をCl含有ガス状基質の存在下で発酵させることを含む、発酵産物の生成方法を提供するものである。
発酵産物は、一般的には、コリスミ酸誘導産物である。好ましい実施形態において、ガス状基質は、少なくとも1つのCl炭素供給源を含む。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、クロストリジウム類(Clostridia)における、生来的なシキミ酸経路を介したコリスミ酸の生成を示す線図である。
【0020】
図2図2は、遺伝子組換えクロストリジウム(Clostridium)細菌におけるpHBAの生成経路を示した線図である。
【0021】
図3図3は、遺伝子組換えクロストリジウム(Clostridium)細菌におけるサリチル酸塩の生成経路を示した線図である。
【0022】
図4図4は、pheAをコードする核酸中に破壊的変異を含む遺伝子組換えクロストリジウム(Clostridium)細菌における、芳香族産物の生成経路を示した線図である。
【0023】
図5図5は、真正pHBA標準の定量化を示す標準曲線のグラフである。
【0024】
図6a図6aは、真正標準の合計イオンカウントを示したグラフである。(i)はC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561培養培地から採取した上澄液中で調製された(トリメチルシリル化)pHBAの真正標準の、(ii)は水中で調製された(トリメチルシリル化)pHBAの真正標準の、および(iii)はトリメチルシリル化pHBAの、質量スペクトルである。
【0025】
図6b-1】図6bは、発酵試料および標準(すなわち、(i)はpARO 01プラスミド不含のC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561、(ii)および(iii)はpARO 01プラスミド含有のC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561から採取された試料、(iv)はpHBAの真正標準)について選択されたイオンのモニタ値を示したグラフ、ならびに(v)LZ1561/pARO 01から採取されたpHBAおよびpHBAの各ピークにおける合計イオンカウント(NISTデータベース登録値)を比較して示したグラフである。
図6b-2】図6bは、発酵試料および標準(すなわち、(i)はpARO 01プラスミド不含のC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561、(ii)および(iii)はpARO 01プラスミド含有のC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561から採取された試料、(iv)はpHBAの真正標準)について選択されたイオンのモニタ値を示したグラフ、ならびに(v)LZ1561/pARO 01から採取されたpHBAおよびpHBAの各ピークにおける合計イオンカウント(NISTデータベース登録値)を比較して示したグラフである。
【0026】
図7図7は、pARO 01プラスミドの線図である。コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(ubiC)およびフィードバック非感受性DAHPシンターゼ(aroG*)は、Wood−Ljungdahlプロモーター(Pwl)の制御下にある。他のシャトルベクターの特徴もまた図示されている。
【0027】
図8図8は、試験株におけるバイオマス蓄積量を示したグラフである。いくつかの異なる時点における600nmでの培養試料の吸光度を測定することによって、バイオマスが概算された。データ点は、技術的レプリケート培養(n=3)の平均値±1標準偏差を表す。LZ1561は、非形質転換C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561を指す。pARO 01(1)およびpARO 01(2)は、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561をpARO 01プラスミドで形質転換した結果として得られた生物学的レプリケートである。
【0028】
図9a図9aは、試験株におけるρ−ヒドロキシ安息香酸塩蓄積を示したグラフである。24時間、96時間、144時間、および192時間の時点で各試料中に検出されたpHBAの定量化を示す。陰性対照株用に、レプリケート培養×3(C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561、およびpARO 01を有するC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)の生物学的レプリケート×2)を試料採取した。
図9b図9bは、試験株におけるρ−ヒドロキシ安息香酸塩蓄積を示したグラフである。技術的レプリケート(n=3)の平均値±1SDを示す。
【0029】
図10図10は、pheAをコードする核酸中に破壊的変異を含む遺伝子組換えクロストリジウム(Clostridium)細菌において、新規に生成された芳香族化合物を示したグラフである。pheA株は4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ安息香酸および3,4−ジヒドロキシ安息香酸を生成するのに対して、対照株(LZ1561)はこれらを生成しない。
【0030】
図11a図11aは、サリチル酸塩生合成経路を誘導した場合と誘導しない場合の、サリチル酸塩生成株のバイオマス増殖を示したグラフである。
【0031】
図11b図11bは、サリチル酸生合成経路を誘導した場合と誘導しない場合とで、試験株の液体培養物中のサリチル酸塩の蓄積量が異なること示したグラフである。
【0032】
図12図12は、pheAをコードする核酸中に破壊的変異を含む工学的に作製されたクロストリジウム(Clostridium)細菌の発酵によって生成された、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ安息香酸、および3,4−ジヒドロキシ安息香酸の濃度を示したグラフである。
【0033】
図13-1】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-2】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-3】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-4】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-5】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-6】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-7】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-8】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
図13-9】図13は、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)の例示的な供給源を同定した表である。
【0034】
図14-1】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-2】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-3】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-4】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-5】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-6】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-7】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-8】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
図14-9】図14は、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)の例示的な供給源を同定した表である。
【0035】
図15-1】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-2】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-3】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-4】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-5】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-6】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-7】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
図15-8】図15は、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)の例示的な供給源を同定した表である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
クロストリジウム類(Clostridia)は生来的に、ホスホエノールピルビン酸塩およびエリスロース−4−リン酸塩を基に、芳香族アミノ酸トリプトファン、チロシンおよびフェニルアラニンに対する前駆物質として有用なコリスミ酸を生成する(図1)。この生成は、シキミ酸経路(Bentley,Crit Rev Biochem Mol Biol,25.5:307−384,1990に詳述)を介して行われる。本発明は、ガス状基質の発酵によって少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できる遺伝子組換え細菌を提供するものである。
【0037】
発明者らによって実証されてきたように、コリスミ酸誘導産物は、持続可能に生成してCl炭素供給源から回収できる。本発明は、Cl含有のガス状基質を主要な炭素およびエネルギーの供給源として使用して少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生する方法を提供しているため、糖系またはセルロース系基質に依存するプロセス(例えば、サトウキビのような糖系またはセルロース系基質は一般的に食用としても有益である反面、その集約的土地利用は環境に対してマイナスに影響するプロセス)に比べて有益ないくつかのメリットを有する。本発明では、任意選択的に廃ガス(例えば、工業プロセスで排出されたCO)を用いてコリスミ酸誘導産物を産生する代替方法が更に提供されており、この方法で廃ガスを収益源(source of revenue)に換え、更には、その廃ガス中の炭素を捕捉することによって、ガスが大気中に広がった際に発生する炭素放出物を低減している。
【0038】
従属栄養菌の微生物、例えば、大腸菌(E. coli)およびS.セレビシエ(S.cerevisiae)は、解糖によって比較的高いレベルのATPを生成する。対照的に、Cl炭素供給源(例えば、COまたはCO)を使用する微生物は、ATP利用率が低い。例えば、典型的なカルボキシ栄養微生物C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)における反応動力学の分析では、コリスミ酸誘導産物であるpHBAの生成時に、予測ATP収率として、固定COのモル当たり−0.4ATPが得られる。このように、エネルギー制約のせいで、pHBAがまったく生成されないことが予期される。他のコリスミ酸誘導産物も同様に、そのような化合物を独立栄養条件下で生成する際の代謝的な負担のせいで、カルボキシ栄養微生物によって生成されないことが予期される。しかしながら、驚くべきことに、いくつかのコリスミ酸誘導産物はガス状基質から生成できることが、発明者らによって明らかにされてきた。更に、前記産物は、産業廃ガスから生成することが可能であり、そうすることにより、実用的、経済的および環境的に他の基質に比べて有益なメリットが得られる。
【0039】
本発明はとりわけ、(a)外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼをコードする核酸、(b)外在性イソコリスミ酸シンターゼ(すなわち、イソコリスミ酸ムターゼ)をコードする核酸、(c)外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼをコードする核酸、および(d)破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼをコードする核酸のうちの少なくとも1つを導入することによって、少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できる遺伝子組換え微生物を提供するものである。
好ましい実施形態において、遺伝子組換え微生物は、ガス状基質の発酵によって少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できるCl固定細菌である。好ましい実施形態において、Cl固定細菌は、クロストリジウム(Clostridium)細菌である。
【0040】
「コリスミ酸誘導産物」すなわち「コリスミ酸から誘導された産物」、または類似の用語には、コリスミ酸塩(またはコリスミ酸)から直接的にまたは間接的に生成される産物が包含される。コリスミ酸導産物は、典型的には、カルボキシル基またはカルボン酸アニオンで置換され、更には、1つ以上のOH基および/または1つ以上のNH基で置換された、六員炭素環(例えば、ベンゼン環またはシクロヘキサン環)を含む。具体的には、コリスミ酸誘導産物としては、限定されないが、パラヒドロキシ安息香酸、サリチル酸塩、2−アミノ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩、3,4−ジヒドロキシ安息香酸塩、および4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸が挙げられる。
【0041】
本発明に係る微生物は、外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ酵素(EC4.1.3.40)を含みうる。この酵素は、ユビキノン生合成における第1の関与工程において、コリスミ酸からパラヒドロキシ安息香酸およびピルビン酸塩への変換を触媒するものである。
この酵素は、そのような酵素を有する任意の微生物から誘導することが可能である。この酵素は、PchC酵素でありうる。UbiC酵素は、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシェラオキシトーカ(Klebsiella oxytoca)、シトロバクターフロインディ(Citrobacter freundii)、またはUbiC酵素を有する他の任意の微生物から誘導することができる。一実施形態において、UbiC酵素は、大腸菌(Escherichia coli)から誘導され、配列番号:1、またはその機能的に同等な異型を含む。
【0042】
同様に、本発明に係る微生物は、外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼをコードする核酸を含みうる。この核酸は、そのような遺伝子を有する任意の微生物から誘導された、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ遺伝子でありうる。コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ遺伝子は、ubiC遺伝子でありうる。ubiC遺伝子は、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシェラオキシトーカ(Klebsiella oxytoca)シトロバクターフロインディ(Citrobacter freundii)、またはubiC遺伝子を有する他の任意の微生物から誘導することができる。一実施形態において、ubiC遺伝子は、大腸菌(Escherichia coli)から誘導され、配列番号:2、コドン最適化された異型、またはその機能的に同等な異型を含む。
【0043】
UbiC酵素、またはubiC遺伝子はまた、修飾して(例えば、変異させ)、溶解性、安定性、または他の遺伝子/酵素特性を拡張することも可能である。そのような修飾を行った場合、結果として、産物力価が増大する可能性がある。実施例4では、UbiC酵素を工学操作し、パラヒドロキシ安息香酸を保持することによって産物阻害を低減するための、実験的プロトコルに関して記述する。1つの特定の修飾には、ubiC遺伝子を工学操作して、システインの代わりに2つの表面活性なセリンでUbiC酵素を発現させることが含まれる。
セリン残基によって、タンパク質凝固が低減する一方、溶解度が高まる。したがって、特定の実施形態において、UbiC酵素は、少なくとも1つの表面活性なシステインをセリンで置換するための変異を含む。
【0044】
代替実施形態において、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)は、例えば、図13に同定されている供給源のいずれかである場合もあれば、あるいはその供給源のいずれかから誘導することも可能である。
【0045】
外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(例えば、ubiC)または外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(例えば、ubiC)をコードする核酸を導入すると、本発明に係る微生物によって、パラヒドロキシ安息香酸、コリスミ酸誘導産物が産生される。パラヒドロキシ安息香酸の生成については、図2に例証されている。Cl固定細菌、例えば、種アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchii)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・フォルミコアセチカム(Clostridium formicoaceticum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ムーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、オキソバクター・フェニギイ(Oxobacter pfennigii)、スポロミューサー・オヴァタ(Sporomusa ovata)、スポロミューサー・シルバセティカ(Sporomusa silvacetica)、スポロミューサー・スファエロイデス(Sporomusa sphaeroides)、およびサーモアネロバクター・キブイ(Thermoanaerobacter kivui)は生来的にパラヒドロキシ安息香酸を生成しない。ユビキノンは事実上、好気的呼吸微生物においてのみ生成されるのが一般的であるため、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼは、典型的には、カルボキシ栄養微生物においては見出されない。コリスミ酸の転換によってアミノ酸の代わりにpHBAが生成された場合には、微生物の増殖または生存に対して有害な影響が及ぶおそれのあることが予期される。ただし、発明者らによって明らかにされてきたように、標準的な条件下では、生存および増殖にかなりの支障を来たす程度までに微生物に影響が及ぶことはない。
【0046】
パラヒドロキシ安息香酸はまた、例えば、pHBA、4−ヒドロキシ安息香酸、ρ−ヒドロキシ安息香酸、またはパラヒドロキシ安息香酸塩と呼ばれる場合もある。本明細書において、これらの用語のいずれかを指した場合、分子の酸形態およびアニオン形態の両方が包含される。
【0047】
【化1】
【0048】
本発明に係る微生物は、コリスミ酸からイソコリスミ酸への変換を触媒する、外在性イソコリスミ酸シンターゼ酵素(別称:イソコリスミ酸ムターゼ(EC5.4.4.2))を含みうる。この酵素は、そのような酵素を有する任意の微生物から誘導することが可能である。この酵素は、PchA酵素でありうる。PchA酵素は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から、またはPchA酵素を有する他の任意の微生物から誘導することが可能である。一実施形態において、PchA酵素は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から誘導され、配列番号:3またはその機能的に同等な異型を含む。
【0049】
同様に、本発明に係る微生物、外在性イソコリスミ酸シンターゼをコードする核酸を含みうる。この核酸は、そのような遺伝子を有する任意の微生物から誘導された、イソコリスミ酸シンターゼ遺伝子でありうる。イソコリスミ酸シンターゼ遺伝子はpchA遺伝子であってもよい。pchA遺伝子は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から誘導することも可能であるし、あるいはpchA遺伝子を有する他の任意の微生物でありうる。
一実施形態において、pchA遺伝子は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から誘導され、かつ配列番号:4と、コドン最適化された異型またはこれらの機能的に等価な異型とを含む。
【0050】
代替実施形態において、イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)は、例えば、図14に同定されている供給源のいずれかである場合もあれば、あるいはその供給源のいずれから誘導することも可能である。
【0051】
本発明に係る微生物は、イソコリスミ酸からサリチル酸塩およびピルビン酸塩への変換を触媒する外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ酵素(EC4.2.99.21)を含みうる。この酵素は、そのような酵素を有する任意の微生物から誘導することが可能である。この酵素は、PchB酵素でありうる。PchB酵素は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から、またはPchB酵素を有する他の任意の微生物から誘導することが可能である。一実施形態において、PchB酵素は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から誘導され、配列番号:5またはその機能的に同等な異型を含む。
【0052】
同様に、本発明に係る微生物は、外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼをコードする核酸を含みうる。この核酸は、そのような遺伝子を有する任意の微生物から誘導された、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ遺伝子でありうる。イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ遺伝子は、pchB遺伝子でありうる。pchB遺伝子は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から誘導することも可能であるし、あるいはpchB遺伝子を有する他の任意の微生物である場合もある。一実施形態において、pchB遺伝子は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)から誘導され、かつ配列番号:6と、コドン最適化された異型またはこれらの機能的に等価な異型とを含む。
【0053】
代替実施形態において、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)は、例えば、図15に同定されている供給源のいずれかである場合もあれば、あるいはその供給源のいずれかから誘導することも可能である。
【0054】
(1)外在性イソコリスミ酸シンターゼ(例えば、PchA)および(2)外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(例えば、pchB)を導入すると、本発明に係る微生物によって、パラヒドロキシ安息香酸、コリスミ酸誘導産物が産生される。図3に、サリチル酸塩の生成が例証されている。この生成工程では、まずコリスミ酸がイソコリスミ酸シンターゼによってイソコリスミ酸に変換され、次いで、イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼによってサリチル酸塩およびピルビン酸塩に更に変換される。Cl固定細菌、例えば、種アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodii)、アルカリバクルム・バッキ(Alkalibaculum bacchii)、ブラウティア・プロダクタ(Blautia producta)、ブチリバクテリウム・メチロトロフィカム(Butyribacterium methylotrophicum)、クロストリジウム・アセチカム(Clostridium aceticum)、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・カルボキシディボランス(Clostridium carboxidivorans)、クロストリジウム・コスカチイ(Clostridium coskatii)、クロストリジウム・ドラケイ(Clostridium drakei)、クロストリジウム・フォルミコアセチカム(Clostridium formicoaceticum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)、クロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)、クロストリジウム・スカトロゲネス(Clostridium scatologenes)、ユウバクテリウム・リモサム(Eubacterium limosum)、ムーレラ・サーモオートトロフィカ(Moorella thermoautotrophica)、ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)、オキソバクター・フェニギイ(Oxobacter pfennigii)、スポロミューサー・オヴァタ(Sporomusa ovata)、スポロミューサー・シルバセティカ(Sporomusa silvacetica)、スポロミューサー・スファエロイデス(Sporomusa sphaeroides)、およびサーモアネロバクター・キブイ(Thermoanaerobacter kivui)は生来的にサリチル酸塩を生成しない。
【0055】
サリチル酸塩はまた、例えば、2−ヒドロキシ安息香酸塩、サリチル酸、または2−ヒドロキシ安息香酸と呼ばれることもある。本明細書において、これらの用語のいずれかを指した場合、分子の酸形態およびアニオン形態の両方が包含される。
【0056】
【化2】

(d)破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼ
【0057】
本発明に係る微生物は、破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼ酵素(EC5.4.99.5)を含みうる。プレフェン酸シンターゼは、典型的には、コリスミ酸塩からプレフェン酸塩への変換(すなわち、コリスミ酸プレフェンムターゼ反応)を触媒する。
したがって、プレフェン酸シンターゼ酵素で、破壊的変異を含んだものは、コリスミ酸塩からプレフェン酸塩への変換を触媒する能力を有さないか、またはその触媒能力が低い。破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼは、破壊的変異を含むpheAでありうる。プレフェン酸シンターゼは、コリスミ酸ムターゼと呼ばれることもある。
【0058】
いくつかの実施形態において、pheAは、プレフェン酸シンターゼ(すなわち、コリスミ酸ムターゼ)(EC5.4.99.5)反応およびプレフェン酸デヒドラターゼ(EC4.2.1.51)反応の両方を遂行する、二官能性酵素でありうる。これら2つの反応が別個の酵素によって遂行される微生物において、EC5.4.99.5の活性をノックアウトした場合は、プレフェン酸塩、またはプレフェン酸塩の下流にある化合物の生成が有意に低減するかまたは皆無化される結果になる。対照的に、EC4.2.1.51の活性のみをノックアウトした場合には、依然としてプレフェン酸塩の生成が可能なため、同じ表現型は得られない。一実施形態において、pheAは、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)から誘導され、かつ配列番号:11、またはその機能的に同等な異型を含む。
【0059】
同様に、本発明に係る微生物は、破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼをコードする核酸を含みうる。この核酸は、破壊的変異を含むpheA遺伝子でありうる。一実施形態において、破壊的変異は、pheA遺伝子のノックアウト変異である。一実施形態において、pheA遺伝子は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)から誘導され、かつ配列番号:10と、コドン最適化された異型またはこれらの機能的に等価な異型とを含む。
【0060】
プレフェン酸シンターゼを途絶(disrupt)させると、フェニルアラニンおよびチロシンの生成が低減するかまたは皆無化される。驚くべきことに、プレフェン酸シンターゼを途絶させることによって、典型的には生成されないかまたは極めて低いレベルでのみ生成される追加的な産物が産生されるという結果も更に招く。
【0061】
特に、プレフェン酸シンターゼ(例えば、pheA)またはプレフェン酸シンターゼ(例えば、pheA)をコードする核酸に、破壊的変異を導入することにより、結果として、2−アミノ安息香酸塩、ジヒドロキシ安息香酸塩、および4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸(いずれも、本発明に係る微生物によるコリスミ酸誘導産物である)のうちの1つ以上が、生成される。これらの産物の生成経路については、図4に例証されている。クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、およびクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)のようなクロストリジウム類(Clostridia)の種をはじめとする多くの微生物は、これらの産物を生来的に生成しないか、またはこれらの産物を極めて低いレベルでしか生成しない。
【0062】
pheAに関して例示的な供給源が例証されている。しかしながら、pheA用の他の好適な供給源を利用できる場合のあることを認識する必要がある。プレフェン酸デヒドラターゼは、例えば、下記供給源のいずれかから誘導されるかまたは誘導可能であり、それらの配列は一般公開されている。
【0063】
【表A】
【0064】
2−アミノ安息香酸塩はまた、例えば、2−アミノ安息香酸、オルト(o−)アミノ安息香酸、アントラニル酸、アントラニル酸塩、またはビタミンLIと呼ばれることもある。本明細書において、これらの用語のいずれかを指した場合、分子の酸形態およびアニオン形態の両方が包含される。
【0065】
【化3】
【0066】
ジヒドロキシ安息香酸塩は、例えば、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸塩、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、またはプロトカテク酸と呼ばれることもある。本明細書において、これらの用語のいずれかを指した場合、分子の酸形態およびアニオン形態の両方が包含される。
【0067】
【化4】
【0068】
4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸はまた、例えば、cis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、または4−ヒドロキシシクロヘキサン−1−カルボキシレートと呼ばれることもある。本明細書において、これらの用語のいずれかを指した場合、分子の酸形態およびアニオン形態の両方が包含される。
【0069】
【化5】
【0070】
別の実施形態において、本発明に係る微生物は更に、フィードバック非感受性DAHPシンターゼをコードする核酸を含み、DAHPシンターゼは、シキミ酸経路(図1)における第1の関与工程を触媒する。このシキミ酸経路では、エリスロース−4−リン酸塩およびホスホエノールピルビン酸塩が、3−デオキシ−D−アラビノヘプトソネート−7−リン酸塩に変換される。発明者らの考えによれば、大腸菌に関する記述(Hu et al. J. Basic Microbiol. 2003,43:399−406)にあるように、この工程は経路内で、芳香族アミノ酸(トリプトファン、フェニルアラニン、チロシン)によるフィードバック阻害を受ける。したがって、発明者らは、この先行技術に基づいてフィードバック非感受性DAHPシンターゼを開発した。このDAHPシンターゼは、このフィードバック阻害によって低減されるコリスミ酸誘導産物への流動(flux)のリスクを減ずると考えられている。
適切なDAHPシンターゼをコードする核酸は、当業者に公知されている。しかしながら、一例として、DAHPシンターゼをコードする核酸は、大腸菌(Escherichia coli)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、またはサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)から誘導することが可能である。一実施形態において、DAHPシンターゼは、配列番号:7の核酸配列と配列番号:8のアミノ酸配列とを有する大腸菌(Escherichia coli)に由来するフィードバック非感受性DAHPシンターゼでありうる。フィードバック非感受性DAHPシンターゼは、前述の酵素のうちの1つをコードする遺伝子と同じベクター上に、または別のベクター上に導入することが可能である。フィードバック非感受性DAHPシンターゼは、その独自プロモーターを有する場合もあれば、または双シストロン配列(bicistronic arrangement)中の前述の酵素のうちの1つに対応したプロモーターに準ずる場合もあり、後者の場合は、酵素およびフィードバック非感受性DAHPシンターゼの両方をコードする単一mRNAの転写が、単一プロモーターによって駆動される。
【0071】
一実施形態において、本発明に係る微生物は、外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ酵素(EC4.1.3.40)と、外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼとを含む。特定の実施形態において、微生物は、外在性UbiC酵素と、外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼとを含む。特定の実施形態において、本発明は、配列番号:1の核酸配列を有する外在性ubiC遺伝子と、配列番号:7の核酸配列を有する外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼとを含む。一実施形態において、外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ酵素および外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼの両方を含む微生物は、フィードバック非感受性DAHPシンターゼ不含の微生物と比較して、パラヒドロキシ安息香酸の生成量が多いことが実証されている。
【0072】
同様に、本発明に係る微生物は、外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼおよびフィードバック非感受性DAHPシンターゼの両方をコードする核酸を含みうる。
【0073】
一実施形態において、本発明に係る微生物は、(i)外在性イソコリスミ酸ムターゼ(EC5.4.4.2)と、(ii)イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ酵素(EC4.2.99.21)と、(iii)外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼとを含む。特定の実施形態において、微生物は、外在性PchA酵素と、外在性PchB酵素と、外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼとを含む。一実施形態において、外在性フィードバック非感受性DAHPシンターゼ含有の微生物は、フィードバック非感受性DAHPシンターゼ不含の微生物と比較して、サリチル酸の生成量が多いことが実証されている。
【0074】
同様に、本発明に係る微生物は、外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼおよびフィードバック非感受性DAHPシンターゼの両方をコードする核酸を含みうる。
【0075】
別の実施形態において、本発明に係る微生物は、フィードバック非感受性DAHPシンターゼを含まず、代わりに、内在性DAHPシンターゼだけを含む。芳香族アミノ酸の生成または自然濃度が十分に低いためにフィードバック阻害が誘導されないことが予期される場合には、フィードバック非感受性DAHPシンターゼを誘導する必要はない。
【0076】
本発明に係る微生物は、コリスミ酸誘導産物を、任意の濃度または任意の量で生成できる。一実施形態において、本発明に係る微生物は、コリスミ酸誘導産物を少なくとも約5mg/L、少なくとも10mg/L、少なくとも15mg/L、少なくとも20mg/L、少なくとも30mg/L、少なくとも50mg/L、少なくとも75mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも200mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも750mg/L、少なくとも1g/L、少なくとも1.5g/L、または少なくとも2g/Lの濃度で生成する。一実施形態において、本発明に係る微生物は、少なくとも1種のコリスミ酸誘導産物を、少なくとも10mg/L、少なくとも50mg/L、少なくとも100mg/L、少なくとも500mg/L、少なくとも800mg/L、または少なくとも1g/Lの濃度で生成する。
【0077】
更に、本発明に係る微生物は、或る選択性でまたは最小限の選択性で産物を産生できるように、工学操作を施すことが可能である。一実施形態において、標的コリスミ酸誘導産物は、本発明に係る微生物によって生成された全ての発酵産物の少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、または少なくとも75%を占める。一実施形態において、標的コリスミ酸誘導産物は、本発明に係る微生物によって生成された全ての発酵産物の少なくとも10%を占め、結果として、本発明に係る微生物は、少なくとも10%の標的コリスミ酸誘導産物に対する選択性を有する。別の実施形態において、標的コリスミ酸誘導産物は、本発明に係る微生物によって生成された全ての発酵産物の少なくとも30%を占め、結果として、本発明に係る微生物は、少なくとも30%の標的コリスミ酸誘導産物に対する選択性を有する。
【0078】
本発明は更に、発酵産物(具体的には、コリスミ酸誘導産物)の生成方法を提供するものであり、この生成方法は、本発明に係る微生物をガス状基質の存在下で発酵することを含む。
【0079】
本発明はまた、本発明に係る微生物をガス状基質の存在下で発酵させて生成されたコリスミ酸誘導産物を提供するものである。
定義および背景
【0080】
用語「遺伝的修飾」または「遺伝子工学」広義では、微生物のゲノムまたは核酸を操作することを指す。遺伝的修飾の方法としては、例えば、非相同性遺伝子発現、遺伝子もしくはプロモーターの挿入、または欠失、核酸変異、改変された遺伝子の発現もしくは不活性化、酵素の工学操作、誘導進化論、知識ベースの設計、無作為突然変異誘発法、遺伝子シャッフリング、およびコドン最適化が挙げられる。
【0081】
「組換え型(Recombinant)」とは、核酸、タンパク質、または微生物が、遺伝的修飾、工学操作もしくは組換えの産物であることを差し示す。一般的に、用語「組換え型」とは、複数の供給源(例えば、2種以上の異種株、もしくは微生物種)から誘導された遺伝物質が含有されているか、あるいはその遺伝物質でコードされている核酸、タンパク質、または微生物を指す。本明細書において、用語「組換え型」は、変異型核酸、またはタンパク質(変異型の内在性核酸もしくは内在性タンパク質を含む)を含有する微生物について述べるために使用されている場合もある。
【0082】
「内在性」とは、本発明に係る微生物の誘導元となった野生型微生物または親微生物中に存在するかあるいはその微生物において発現した、核酸またはタンパク質を指す。例えば、内在性遺伝子とは、本発明に係る微生物の誘導元となった野生型微生物または親微生物中に生来的に存在している遺伝子である。一実施形態において、内在性遺伝子の発現は、外在性調節要素(例えば、外在性プロモーター)で制御することが可能である。
【0083】
「外在性」とは、本発明に係る微生物の誘導元となった野生型微生物または親微生物中には存在していない、核酸またはタンパク質を指す。一実施形態において、外在性遺伝子または酵素は、非相同性(すなわち、異種性)株または種から誘導させてから、本発明に係る微生物中に導入するかあるいはその微生物において発現させることが可能である。別の実施形態において、外在性遺伝子または酵素は、人工的にもしくは組換えによって作製して、本発明に係る微生物中に導入するかまたは発現させることが可能である。外在性核酸は、本発明に係る微生物のゲノム中に組み込まれるように、あるいは本発明に係る微生物において(例えば、プラスミドにおいて)染色体外の状態の状態のまま維持されるように、適応させることが可能である。
【0084】
「酵素活性」とは、広義では酵素活性を指し、酵素の活性、酵素の量、または反応を触媒するための酵素の利用率を含むがこれらに限定されない。したがって、酵素活性の「増強」には、酵素の活性の増強、酵素量の増強、または反応を触媒するための酵素の利用率の増強が包含される。
【0085】
「変異型」とは、本発明に係る微生物の誘導元となる野生型微生物または親微生物とは対照的に、本発明に係る微生物において修飾された、核酸またはタンパク質を指す。一実施形態において、変異は、酵素をコードする遺伝子における欠失、挿入、または置換である可能性がある。別の実施形態において、変異は、酵素中の1つ以上のアミノ酸の欠失、挿入、または置換である可能性がある。
【0086】
「破壊的変異」はとりわけ、遺伝子もしくは酵素の発現または活性を低減させるかまたは皆無化する(すなわち、「途絶させる」)変異である。破壊的変異によって、遺伝子または酵素が部分的に不活性化されるか、完全に不活性されるか、または欠失する可能性がある。破壊的変異は、ノックアウト(KO)変異でありうる。破壊的変異は、酵素によって生成される産物の生合成を低減するか、防止するか、または阻止する任意の変異でありうる。破壊的変異としては、例えば、酵素をコードする遺伝子における変異、酵素をコードする遺伝子の発現に関与する遺伝的調節要素における変異、酵素の活性を減弱もしくは阻害するタンパク質を生成する核酸の導入、あるいは酵素の発現を阻害する核酸(例えば、アンチセンスRNA、siRNA、CRISPR)またはタンパク質の導入が挙げられる。破壊的変異は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して導入することが可能である。
【0087】
「コドン最適化」とは、核酸の変異、例えば、特定の株または種において核酸の翻訳を最適化または改善する目的で遺伝子が変異することを指す。コドン最適化によって、翻訳速度が高速化するまたは翻訳精度が向上する可能性がある。好ましい実施形態において、本発明に係る遺伝子は、クロストリジウム(Clostridium)、特にクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、またはクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)において発現するようにコドン最適化される。更に好ましい実施形態において、本発明に係る遺伝子は、DSMZ寄託番号DSM23693の下に寄託されているクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)LZ1561において発現するようにコドン最適化される。
【0088】
「過剰発現」とは、本発明に係る微生物における核酸またはタンパク質の発現が、本発明に係る微生物の誘導元となった野生型微生物または親微生物と比較して、増大したことを指す。過剰発現は、遺伝子のコピー数、遺伝子転写速度、遺伝子翻訳速度、または酵素劣化速度を修飾することを含む、当該技術分野において公知の任意の手段を使用して、達成することが可能である。
【0089】
用語「異型」には、基準核酸およびタンパク質の配列(例えば、先行技術において開示されたまたは本明細書中に例示されている基準核酸およびタンパク質の配列)とは異なった配列を有する、核酸およびタンパク質が包含される。本発明は、基準核酸または基準タンパク質と実質的に同じ機能を実行する異型核酸または異型タンパク質を使用して、実用化できる。例えば、異型タンパク質は、基準タンパク質と実質的に同じ機能を実行することもできるし、あるいはその基準タンパク質と同じ反応を触媒することもできる。異型遺伝子は、基準遺伝子と同じであるかまたは実質的に同じタンパク質をコードできる。異型プロモーターは、1つ以上の遺伝子の発現を促す基準プロモーターと実質的に同じ機能を有しうる。
【0090】
そのような核酸またはタンパク質を、本明細書中では「機能的に同等な異型」と呼ぶ場合がある。例えば、核酸の機能的に同等な異型としては、対立遺伝子異型のほか、遺伝子の断片、変異型遺伝子、多型およびそれらに類するものが挙げることができる。
他の微生物に由来する相同遺伝子もまた、機能的に同等な異型の例である。これらには、クロストリジウム・アセトブチリカム(Clostridium acetobutylicum)、クロストリジウム・ベイジェリンキ(Clostridium beijerinckii)、またはクロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)などの種における相同遺伝子が包含され、これらの詳細は、GenbankまたはNCBIなどのウェブサイト上に一般公開されている。機能的に同等な異型には、それ以外に、特定の微生物に対してコドン最適化された結果として多様化された配列を有する核酸も包含される。核酸の機能的に同等な異型は、好ましくは、基準とされた核酸に対して少なくともおよそ70%超、少なくともおよそ80%超、少なくともおよそ85%超、少なくともおよそ90%超、少なくともおよそ95%超、少なくともおよそ98%超の核酸配列相同性(相同性割合)を有する。タンパク質の機能的に同等な異型は、好ましくは、基準とされたタンパク質に対して少なくともおよそ70%超、少なくともおよそ80%超、少なくともおよそ85%超、少なくともおよそ90%超、少なくともおよそ95%超、少なくともおよそ98%超のアミノ酸相同性(相同性割合)を有する。異型核酸またはタンパク質の機能的な同等性は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して、評価することが可能である。
【0091】
核酸は、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して、本発明に係る微生物に送達することが可能である。例えば、核酸は、裸核酸として送達することも可能であるし、あるいはリポソームなどの1つ以上の薬剤を用いて調合しても差し支えない。この核酸は、適宜に、DNA、RNA、cDNA、またはこれらの組み合わせとすることができる。或る実施形態では、制限阻害剤が使用される場合もある。
追加的なベクターとしては、プラスミド、ウイルス、バクテリオファージ、コスミド、および人工染色体を挙げることができる。好ましい実施形態において、プラスミドを使用して、本発明に係る微生物に核酸が送達される。一例として、形質転換(形質導入または形質移入を含む)は、電気穿孔法、超音波処理、ポリエチレングリコール媒介による形質転換、化学的コンピテンス、天然コンピテンス、プロトプラスト形質転換、プロファージ誘発、または接合によって遂行できる。或る実施形態では、活性な制限酵素系を有するため、核酸をメチル化してから、微生物に導入する必要がある。
【0092】
しかも、核酸は、特定の核酸の発現が増強されるようにまたはさもなければその発現が制御されるように、プロモーターなどの調節要素を含めて設計することが可能である。プロモーターは、構成型プロモーターまたは誘導性プロモーターでありうる。プロモーターは、Wood−Ljungdahl経路プロモーター、フェレドキシンプロモーター、ピルビン酸:フェレドキシンオキシドレダクターゼプロモーター、Rnf複合体オペロンプロモーター、ATPシンターゼオペロンプロモーター、またはリン酸トランスアセチラーゼ/酢酸キナーゼオペロンプロモーターであるのが理想的である。
【0093】
「微生物」とは、微視的な生物、特に、細菌、古細菌、ウイルスまたは真菌をいう。本発明に係る微生物は、典型的には、細菌である。本明細書において、「微生物」という記述は、「細菌」を包含するものと解釈すべきである。
【0094】
「親微生物」とは、本発明に係る微生物の生成を目的に用いられる微生物である。親微生物は、天然に存在する微生物(すなわち、野生型微生物)、または以前に修飾された微生物(すなわち、変異体、または組換え型微生物)でありうる。本発明に係る微生物は、親微生物において発現しなかったかまたは過剰発現した1種以上の酵素を、発現させるかまたは過剰発現させるように、修飾することが可能である。同様に、本発明に係る微生物は、親微生物が含有していなかった1つ以上の遺伝子を含有するように、修飾することが可能である。一実施形態において、その親微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、またはクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)である。好ましい実施形態において、その親微生物は、DSMZ寄託番号(accession)DSM23693の下に寄託されたクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)LZ1561である。
【0095】
用語「から誘導される」とは、核酸、タンパク質もしくは微生物が、異種(例えば、親もしくは野生型)核酸、タンパク質もしくは微生物を基にして新規の核酸、タンパク質もしくは微生物を産生するように、修飾されているかまたは適応されていることを指し示す。そのような修飾または適応としては、典型的に、核酸または遺伝子の挿入、欠失、変異もしくは置換が挙げられる。一般的に、本発明に係る微生物は、親微生物から誘導される。一実施形態において、本発明に係る微生物は、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、またはクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)から誘導される。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、DSMZ寄託番号(accession)DSM23693の下に寄託されたクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)LZ1561から誘導される。
【0096】
本発明に係る微生物は、機能的特徴に基づいて更に分類することが可能である。例えば、本発明に係る微生物は、Cl固定微生物、嫌気性菌、酢酸産生菌、エタノール産生菌、カルボキシ栄養菌、および/またはメタノール産生菌である場合もあれば、あるいはこれらから誘導することも可能である。表1は、代表的な微生物を列挙し、それらの機能的特徴を同定したものである。
【0097】
【表1】
【0098】
アセトバクテリウム・ウッディイ(Acetobacterium woodii)は、フルクトースからエタノールを生成できるが、ガスからはエタノールを生成できない。
クロストリジウム・マグナム(Clostridium magnum)がCOで生育できるかどうかの調査は、これまで実施されていない。
ムーレラ・サーモアセチカ(Moorella thermoacetica)およびムーレラ種HUC22−1に属する或る株がガスからエタノールを産生することが、報告されている。
スポロミューサー・オヴァタ(Sporomusa ovata)がCOで生育できるかどうかの調査は、これまで実施されていない。
スポロミューサー・シルバセティカ(Sporomusa silvacetica)がCOで生育できるかどうかの調査は、これまで実施されていない。
スポロミューサー・スフェロイデス(Sporomusa sphaeroides)がCOで生育できるかどうかの調査は、これまで実施されていない。
【0099】
「Cl」は、一炭素分子、例えば、CO、CO、CH、またはCHOHを指す。「Cl酸素化物」とは、少なくとも1つの酸素原子も含む一炭素分子、例えば、CO、CO、またはCHOHを指す。「Cl炭素供給源」とは、本発明に係る微生物用の部分的な炭素供給源または唯一の炭素供給源として有用な一炭素分子を指す。例えば、Cl炭素供給源は、CO、CO、CH、CHOH、またはCHの1つ以上を含みうる。Cl炭素供給源は、COおよびCOの一方または両方を含むことが好ましい。「Cl固定微生物」とは、Cl炭素供給源から1つ以上の産物を産生できる微生物である。本発明に係る微生物は、典型的には、Cl固定細菌である。好ましい実施形態では、本発明に係る微生物は、表1に同定されているCl固定微生物から誘導される。
【0100】
「嫌気性菌」とは、生育に酸素を必要としない微生物である。嫌気性菌は、酸素の存在下ではマイナスに反応するおそれがあり、あるいは死に至る可能性さえある。本発明に係る微生物は、典型的には、嫌気性菌である。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、表1に同定されている嫌気性菌から誘導される。
【0101】
「酢酸産生菌」とは、嫌気性呼吸の産物としての酢酸塩(または酢酸)を生成するか、またはその生成を行う能力を有する微生物である。酢酸産生菌は、典型的に、酢酸塩などのアセチルCoAおよびアセチルCoA誘導産物のエネルギーを保存し合成するための主要な機序としてWood−Ljungdahl経路を用いる、偏性嫌気性細菌である(Ragsdale,Biochim Biophys Acta,1784:1873−1898,2008)。アセチルCoA経路は、(1)COからアセチルCoAを還元合成するための機序として、(2)末端電子受容(terminal electron accepting)、エネルギー保存プロセスとして、(3)菌体炭素合成の際にCOを固定(同化)するための機序として、酢酸産生菌によって使用されている(Drake,Acetogenic Prokaryotes,In: The Prokaryotes,第3版,p.354,ニューヨーク,NY,2006)。天然に存在する酢酸産生菌はいずれも、Cl固定菌、嫌気性菌、独立栄養菌、および非メタン資化性菌である。本発明に係る微生物は、典型的には、酢酸産生菌である。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、表1に同定されている酢酸産生菌から誘導される。
【0102】
「エタノール産生菌」とは、エタノールを生成する微生物、またはエタノールを生成する能力を有する微生物をいう。本発明に係る微生物は、典型的には、エタノール産生菌である。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、表1に同定されているエタノール産生菌から誘導される。
【0103】
「独立栄養菌」とは、有機炭素の非存在下で増殖する能力を有する微生物をいう。独立栄養菌は、COおよび/またはCOのような無機炭素供給源を、代わりに使用する。典型的には、本発明に係る微生物は、独立栄養菌である。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、表1に同定されている独立栄養菌から誘導される。
【0104】
「カルボキシ栄養菌」とは、COを唯一の炭素供給源として利用できる微生物をいう。本発明に係る微生物は、典型的には、カルボキシ栄養菌である。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、表1に同定されているカルボキシ栄養菌から誘導される。
【0105】
「メタン資化性菌」とは、メタンを炭素およびエネルギーの唯一の供給源として利用できる微生物である。或る実施形態において、本発明に係る微生物は、メタン資化性菌から誘導される。
【0106】
より広義には、本発明に係る微生物は、表1に同定されている任意の属または種から誘導することが可能である。好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、クロストリジウム(Clostridium)細菌である。
【0107】
好ましい実施形態において、本発明に係る微生物は、クロストリジウム類(Clostridia)、例えば、種クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、およびクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)のクラスターから誘導される。これらの種は、Abrini,Arch Microbiol,161:345−351,1994(Clostridium autoethanogenum)、Tanner,Int J System Bacteriol,43:232−236,1993(Clostridium ljungdahlii)、およびHuhnke,国際公開第2008/028055号(Clostridium ragsdalei)によって最初に報告され、その特徴を記述された。
【0108】
これら3つの種には、多くの類似点がある。特に、これらの種はいずれも、クロストリジウム(Clostridium)属に属するCl固定菌、嫌気性、酢酸産生菌、エタノール産生菌、およびカルボキシ栄養菌である。これらの種は、遺伝子型および表現型、ならびにエネルギー保存および発酵代謝の様式が、類似している。そのうえ、これらの種は、クロストリジウム類(Clostridia)のrRNA相同群I(16S rRNA DNAを含む)にクラスター化する。このrRNA相同群Iは、99%超の相同性を有し、DNA G+C含有率が約22〜30mol%、グラム陽性であり、モルフォロジーおよびサイズ(対数増殖期の菌体0.5〜0.7×3〜5μm)が類似し、中温性であり(30〜37°Cで最適に増殖し)、pH範囲約4〜7.5(至適pH約5.5〜6)が類似し、シトクロムに欠けるため、Rnf複合体を介してエネルギーを保存する。また、これらの種においては、カルボン酸がその対応するアルコールに還元されることが、明らかにされてきた(Perez,Biotechnol Bioeng,110:1066−1077,2012)。また、これらの種がいずれも、CO含有ガスによる強力な独立栄養性増殖を呈するものであり、エタノールおよび酢酸塩(または酢酸)を主要な発酵産物として生成し、或る条件下では少量の2,3−ブタンジオールおよび乳酸を生成することも、重要な点である。
【0109】
しかしながら、これらの3つの種にはいくつかの差異も存在する。クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)はウサギのはらわたから、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)は養鶏場の廃棄物から、そしてクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)は淡水土砂からといったように、これらの種は、それぞれ異なる供給源から単離されたものである。これらの種は、様々な糖類(例えば、ラムノース、アラビノース)、酸類(例えば、グルコン酸塩、クエン酸塩)、アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン)、および他の基質(例えば、ベタイン、ブタノール)の利用法が異なる。そのうえ、これらの種は、特定のビタミンに対する栄養要求性(例えば、チアミン、ビオチン)も異なる。これらの種には、Wood−Ljungdahl経路遺伝子およびタンパク質の核酸およびアミノ酸配列に相違点があるが、これらの遺伝子およびタンパク質の一般的な編制および数は、全ての種において共通していることが見出されてきた(Kopke,Curr Opin Biotechnol,22:320−325,2011)。
【0110】
ゆえに、要約すると、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、またはクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)の特性の多くは、その種に固有なものではく、寧ろ、クロストリジウム(Clostridium)属に属するCl固定菌、嫌気性菌、酢酸生産菌、エタノール生産菌およびカルボキシ栄養菌からなるこのクラスターの一般的な特徴である。しかしながら、これらの種は事実上、異なるため、これらの種のうちの1つを遺伝的修飾または遺伝子操作しても、これらの種のうちの別の種において同一の効果が得られない場合がある。例えば、生育、性能、または産物の産生において差異が観察される場合がある。
【0111】
本発明に係る微生物はまた、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、またはクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)の単離体または変異体から誘導することも可能である。クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)の単離体および変異体としては、JA1−1(DSM10061)(Abrini,Arch Microbiol,161:345−351,1994)、LBS1560(DSM19630)(国際公開第2009/064200号)、およびLZ1561(DSM23693)が挙げられる。クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)の単離体および変異体としては、ATCC 49587(Tanner,Int J Syst Bacteriol,43:232−236,1993)、PETCT(DSM13528,ATCC 55383)、ERI−2(ATCC55380)(米国特許第5,593,886号)、C−01(ATCC 55988)(米国特許第6,368,819号)、O−52(ATCC 55989)
(米国特許第6,368,819号)、およびOTA−1(Tirado-Acevedo,Production of bioethanol from synthesis gas using Clostridium ljungdahlii,博士論文,ノースカロライナ州立大学,2010)が挙げられる。クロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)の単離体および変異体としては、PI 1(ATCC BAA−622,ATCC PTA−7826)(国際公開第2008/028055号)が挙げられる。
【0112】
「基質(substrate)」とは、本発明に係る微生物用の炭素供給源および/またはエネルギー供給源を指す。基質は、典型的には、ガス状であり、Cl炭素供給源(例えば、CO、CO、および/またはCH)を含む。基質は、CO、またはCO+COのCl炭素供給源を含むことが好ましい。基質は更に、他の非炭素成分、例えば、H、N、または電子を含む可能性もある。
【0113】
基質は、一般的には、少なくともいくらかの量のCO、例えば、約1モル%、約2モル%、約5モル%、約10モル%、約20モル%、約30モル%、約40モル%、約50モル%、約60モル%、約70モル%、約80モル%、約90モル%、または約100モル%のCOを含む。基質は、或る範囲のCO、例えば、約20〜80モル%、約30〜70モル%、または約40〜60モル%のCOを含みうる。基質は、約40〜70モル%のCO(例えば、製鉄所または溶鉱炉のガス)、約20〜30モル%のCO(例えば、塩基性酸素転炉のガス)、または約15〜45モル%のCO(例えば、合成ガス)を含むことが好ましい。いくつかの実施形態において、基質は、比較的少量のCO、例えば、約1〜10モル%、または約1〜20モル%のCOを含みうる。本発明に係る微生物は、典型的には、基質中のCOの少なくとも一部を産物に変換する。
【0114】
基質は、いくらかの量のHを含みうる。例えば、基質は、約1モル%、約2モル%、約5モル%、約10モル%、約15モル%、約20モル%、または約30モル%のHを含みうる。いくつかの実施形態において、基質は、比較的多量のH、例えば、約60モル%、約70モル%、約80モル%、または約90モル%のHを含みうる。更なる実施形態において、基質は、実質的にまったくHを含まない。
【0115】
基質は、いくらかの量のCOを含みうる。例えば、基質は、約1〜80モル%、または約1〜30モル%のCOを含みうる。いくつかの実施形態において、基質は、約20モル%未満、約15モル%未満、約10モル%未満、または約5モル%未満のCOを含みうる。別の実施形態において、基質は、実質的にまったくCOを含まない。
【0116】
基質は典型的には、ガス状であるが、基質を代替の形態で提供することもできる。例えば、微小泡分散生成器を使用して、CO含有ガスと飽和させた液体中に基質を溶解させることもできるし、更なる例としては、基質を固体支持体上に吸着させることもできる。
【0117】
基質および/またはCl炭素供給源は、工業プロセスの副産物として得られる廃ガス、または自動車排気ガスもしくはバイオマスガス化などの他の何らかの供給源からの廃ガスでありうる。或る実施形態において、工業プロセスは、鉄合金産物の製造(例えば、製鉄所での製造)、非鉄産物の製造、石油精製プロセス、石炭ガス化、電力生成、灰墨生産、アンモニア生産、メタノール生産、および骸炭製造からなる群から選択される。
これらの実施形態において、基質および/またはCl炭素供給源は、大気中に放出される前に、任意の便宜的な方法を使用して当該の工業プロセスから捕捉することが可能である。
【0118】
基質および/またはCl炭素供給源は、合成ガス(例えば、石炭のガス化、精錬装置残留物、バイオマスのガス化、または天然ガスの改質によって得られる合成ガス)でありうる。基質の組成は、効率および/または反応のコストに顕著な影響を与える可能性がある。例えば、酸素(O)の存在下では、嫌気性発酵プロセスの効率低下を招きかねない。基質の組成に応じて、基質の処理、スクラブ(scrub)、または濾過によって、望ましくない不純物(例えば、毒素、不所望成分、または塵埃粒)があれば除去し、かつ/あるいは所望成分の濃度を増加させることが望ましいと考えられる。
【0119】
本発明に係る微生物を培養することによって、1つ以上の産物を産生することが可能である。例えば、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)によって生成される産物、あるいはその工学操作によって生成できる産物は、以下に示すとおりである。エタノール(国際公開第2007/117157号)、酢酸塩(国際公開第2007/117157号)、ブタノール(国際公開第2008/115080号および国際公開第2012/053905号)、酪酸塩(国際公開第2008/115080号)、2,3−ブタンジオール(国際公開第2009/151342号)、乳酸塩(国際公開第2011/112103号)、ブテン(国際公開第2012/024522号)、ブタジエン(国際公開第2012/024522号)、メチルエチルケトン(2−ブタノン)(国際公開第2012/024522号および国際公開第2013/185123号)、エチレン
(国際公開第2012/026833号)、アセトン(国際公開第2012/115527号)、イソプロパノール(国際公開第2012/115527号)、脂質(国際公開第2013/036147号)、3−ヒドロキシプロピオン酸塩(3−HP)(国際公開第2013/180581号)、イソプレン(国際公開第2013/180584号)、脂肪酸(国際公開第2013/191567号)、2−ブタノール(国際公開第2013/185123号)、1,2−プロパンジオール
(国際公開第2014/0369152号)、および1−プロパノール(国際公開第2014/0369152号)。また、本発明に係る微生物によって、1種以上の標的産物に加えて、エタノール、酢酸塩、および/または2,3−ブタンジオールを生成することも可能である。
【0120】
「選択性」とは、微生物によって生成された全ての発酵産物の生成に対する、標的産物の生成の比率を指す。本発明に係る微生物は、工学操作によって、或る選択性でまたは最小限の選択性で、産物を産生することが可能である。一実施形態において、標的産物は、本発明に係る微生物によって生成された全ての発酵産物の少なくとも約5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、または少なくとも75%を占める。一実施形態において、標的産物は、本発明に係る微生物によって生成された全ての発酵産物のうちの少なくとも10%を占め、結果として、本発明に係る微生物は、少なくとも10%の標的産物に対する選択性を有する。
別の実施形態において、標的産物は、本発明に係る微生物によって生成された全ての発酵産物のうち少なくとも30%を占める。結果として、本発明に係る微生物は、少なくとも30%の標的産物に対する選択性を有する。
【0121】
培養は、典型的には、バイオリアクター内で行われる。用語「バイオリアクター」には、1つ以上のベッセル、タワー、または配管、例えば、連続撹拌槽リアクター(CSTR)、固定化菌体リアクター(ICR)、トリクルベッドリアクター(TBR)、気泡塔、ガスリフト発酵槽、スタティックミキサー、または気液接触に適した他のベッセルもしくは他のデバイスからなる、培養/発酵デバイスが包含される。いくつかの実施形態において、バイオリアクターには、第1の増殖リアクターと、第2の培養/発酵リアクターとを具備させることができる。これらのリアクターの一方または両方に、基質を供給できる。本明細書において、用語「培養」および「発酵」は、同じ意味で使用されている。これらの用語には、培養/発酵プロセスの増殖フェーズおよび産物生合成フェーズの両方が包含される。
【0122】
培養物は、一般的には、微生物を増殖させるのに十分な栄養、ビタミン類、および/またはミネラル類が含有されている水性培養培地中に維持される。水性培養培地は、嫌気性微生物増殖培地、例えば、最小(minimal)嫌気性微生物増殖培地であることが好ましい。好適な培地は、当該技術分野において周知されている。
【0123】
培養/発酵は、適切な標的産物生成条件下で遂行すべきことが所望される。考慮すべき反応条件としては、圧力(または分圧)、気温、ガス流速、液体流速、培地のpH、培地の酸化還元電位、撹拌速度(連続撹拌槽リアクターを使用した場合)、接種レベル、液体フェーズ中のガスが制限的になるのを確実に防ぐためのガス基質最大濃度、および産物阻害を回避するための産物最大濃度が挙げられる。特に、ガス制限的条件下では、培養物によって産物が消費される可能性があることから、基質の導入速度を制御すれば、液体フェーズにおけるガス濃度が制限的になるのを確実に防ぐことができる。
【0124】
バイオリアクターを高圧力で動作させると、ガスフェーズから液体フェーズへのガス物質移動の速度が上昇させることが可能になる。したがって、一般的には、気圧よりも高い圧力で培養/発酵を行うことが好ましい。また、所与のガス転換速度は、幾分、基質保持時間と相関するため、保持時間を基にバイオリアクターの必要量が導き出され、加圧系の使用によってバイオリアクターの必要量、ひいては、培養/発酵機器の資本費を大幅に削減できる。
つまり、バイオリアクターを気圧でなく寧ろ高圧力で維持している場合には、バイオリアクター中の液体体積を入力ガス流速で除算して求められる値として定義された保持時間を、短縮することができる。至適な反応条件は、使用されている特定の微生物に幾分依存する。
しかしながら、発酵操作は、一般的には、気圧よりも高い圧力で行うことが好ましい。また、所与のガス転換速度は、ある程度、基質保持時間と相関するため、所望される保持時間を達成することで、バイオリアクターの必要量が導き出され、加圧系の使用によってバイオリアクターの必要量、ひいては、発酵機器の資本費を大幅に低減できる。
【0125】
標的産物は、当該技術分野において公知の任意の方法、または方法の組み合わせ、例えば、分別蒸留、蒸着、浸透気化法、ガス除去、相分離および抽出発酵(例えば、液液摘出)を用いて、発酵ブロスから分離するかまたは精製することが可能である。或る実施形態では、バイオリアクターからブロスの一部分を連続的に除去し、微生物の菌体をブロス(濾過によって好都合に)分離して、ブロスから1種以上の標的産物を回収することにより、発酵ブロスから標的産物が回収される。アルコールおよび/またはアセトンは、例えば、蒸留によって回収できる。酸類は、例えば、活性炭上に吸着させることによって回収できる。分離された微生物の菌体は、バイオリアクターに返されることが好ましい。また、標的産物の除去後に残留した無菌体透過物も、バイオリアクターに返されることが好ましい。バイオリアクターに返される前の無菌体透過物に、追加的な栄養(例えば、ビタミンB)を添加して培地に補給することもできる。
【0126】
実施例
下記実施例に、本発明について更に例証されているが、それによって、その範囲が何らかの様式で制限されるものと解釈すべきではないのは勿論である。
【実施例1】
【0127】
本実施例では、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)およびC.リュングダリイ(C. ljungdahlii)を培養するための一般的な方法について説明する。
【0128】
C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)DSM10061およびDSM23693(DSM10061の誘導体)、ならびにC.リュングダリイ(C. ljungdahlii)DSM13528は、DSMZ(The German Collection of Microorganisms and Cell Cultures,Inhoffenstrase 7B,ドイツ国ブラウンシュヴァイク38124)から供給されたものである。
【0129】
標準の嫌気的手法を使用し、37°CにてpH5.6のPETC培地中で株を増殖させた(Hungate,Methods Microbiol,3B:117−132,1969;Wolfe,Adv Microbiol Physiol,6:107−146,1971)。フルクトース(従属栄養菌増殖用)または30psiのCO含有スチールミルガス(ニュージーランド(NZ)New Zealand Steel現地のGlenbrook製鉄所から収集されたもの;CO:44%、N:32%、CO:22%、H:2%の組成率)でヘッドスペースを(独立栄養菌増殖用に)充填し、基質として使用した。固体培地用に、1.2%のBACT Agar(ベクトン・ディッキンソンアンドカンパニー(BD),米国ニュージャージー州フランクリンレイク,NJ07417)を添加した。
【0130】
【表2】
【0131】
【表3】
【0132】
【表4】
【0133】
【表5】
【0134】
【表6】
【実施例2】
【0135】
本実施例では、ρ−ヒドロキシ安息香酸発現プラスミドを含む株の作製について実証する。
【0136】
GeneArtによるC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)のコドン使用頻度表に従って、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(ubiC)(配列番号:1)用のヌクレオチド配列を最適化し(配列番号:2)、Wood−Ljungdahl経路プロモーター(米国特許第20110256600号)の制御下で、pMTL8315発現ベクター(図7)にクローンした。双シストロン(bicistronic)フォーマットでは、ubiCの後に続いて、フィードバック非感受性変異体3−デオキシ−D−アラビノ−ヘプツロソネート−7−リン酸塩(DAHP)シンターゼ(aroG*)(配列番号:8)のコーディング配列もまた、収録されている(図7)。ドナーとしての大腸菌(E. coli)株CA434との接合によって、プラスミドpARO 01(配列番号:9)をC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561(DSM23693)に形質転換した。25μg/mLのクロラムフェニコールおよび100pg/mLのスペクチノマイシンを補給したLB培地中で、ドナー株を一晩増殖させた。1.5mLの培養物から得られた菌体を遠心分離によって集菌し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄した。嫌気ワークステーションの内部で、200μlの対数増殖期レシピエントLZ1561中に、ドナー菌体ペレットを再懸濁させた。接合混合物をPETC−MES寒天培地上にばら蒔き、37°Cでインキュベートした。24時間後に、菌体を接合プレートから掻き取り、チアンフェニコール7.5μg/mL(シグマ製)およびトリメトプリム10μg/mL(シグマ製)を補給したPETC−MES寒天培地上に散布した。3つのプラスミド含有コロニー(すなわち、生物学的トリプリケート)の単離株を、チアンフェニコール7.5μg/mLおよびガスブレンド含有のPETC−MES液体培地中で増殖させた。このガスブレンドは、炭素供給源(CO:50%、H2:10%、CO2:30%、N2:10%。以後、本出願中では「ミルガス」と呼ぶ)としての製鉄所オフガスに模したものである。
【0137】
チアンフェニコールおよびミルガス(22psi)を含有する血清瓶中に入れた10mLのPETC−MES培地中で、液体培養物を増殖させた。試料を毎日採取して、バイオマス(図8)およびpHBA(図9aおよび図9b)を測定した。
【0138】
pHBAを測定するため、試料(100μl)を10μlの0.1規定NaOHでスパイクし、凍結させてから、凍結乾燥させた。次いで、試料を100μlのBSTFA+TCMS(99:1)およびピリジン100μlで誘導体化した。その後、試料を60°Cで30分間インキュベートして、カルボン酸官能基のトリメチルシリル誘導体を形成した。GC−MS法の詳細:注入量1μL;注入温度250°C;分割比10:1;初期温度50°C(5分間保持);最終温度220°C(20°C/分);一定流量1 mL/分(He搬送ガス);Zebron ZB−SMSカラム30m×0.25mm×0.25μm;40〜400m/zのフルスキャンモードで動作するVarian Ion Trap 4000;Tune PFTBA。
【0139】
図9aにおいて、LZ1561(対照株)は、技術的レプリケート×3(すなわち、増殖および試料採取×3回)を有している。pARO 01含有LZ1561の生物学的レプリケート2(各々について技術的レプリケート×3)もまた調製された。「技術的レプリケート」とは、別個の実験における各株の増殖および試料採取を指すのに対して、「生物学的レプリケート」とは、株を一から再生することを指す。このように、生物学的レプリケートは、微生物における背景的な生物学的変形態様を説明するものであるのに対し、技術的レプリケートは、培養、試料採取および分析の方法を包含する技術的態様に起因する変形態様を説明するものである。図9aは、別個の事例においてpHBAが繰り返し生成されたことを示し、図8および図9bは、増殖およびpHBAを産生する能力を総合的に示したものである。
【実施例3】
【0140】
本実施例では、ガス発酵によるρ−ヒドロキシ安息香酸塩の生成について実証する。
【0141】
プラスミドpARO 01(配列番号:9)を有するC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)を、実施例1に記載のミルガスで増殖させた。培養の実施例1と同様に実施されたGC−MS分析では、コリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現する細菌によってpHBAが生成されたことが、突き止められた。この方法を使用したpHBAの分析の線形範囲は、0〜12.5mg/mLの範囲にわたっていた(図5)。
【0142】
真正pHBAの保持時間および特徴的フラグメントイオン、ならびに予測された特徴的イオン(NISTマススペクトル分析データベース値)を比較することによってpHBAが検証された(図6)。
【0143】
pMTL8315発現ベクター上でコードされたコリスミ酸−ピルビン酸リアーゼを発現した全ての培養物において、pHBAの生成が観察され、8日後には、それら各々の培養物においてpHBAのピーク力価(titre)17mg pHBA/Lが観察された(図9b)。発現ベクター不含の対照試料ではpHBAがまったく観察されなかった。
【0144】
検出可能なレベルのpHBAが、遺伝子組換え細菌によって生成され、培養物中に存在している。
【実施例4】
【0145】
本実施例では、酵素に工学操作を施すことによってpHBA産生量の増加を図る実験的プロトコルについて実証する。
【0146】
pHBAの保持によって、ubiCに対して産物阻害を施す。酵素を介した産物保持に関与するアミノ酸を変異させ、かつ産物の放出が増強されるように、ubiCをコードする核酸配列を修飾することもできる。この修飾を行う際には、結合産物を含む既存の構造を分析することによって、pHBAの結合に関与するアミノ酸を同定する。その後、産物阻害が、pHBAの結合および保持に関与するアミノ酸の変異によって最小限に抑えられる。pHBA収率に対して最大の触媒効率をもつ酵素を同定するにあたって、ubiC変異体の標的化ライブラリを生成し、そのライブラリでpHBA結合アミノ酸の異なる組み合わせが改変されるようにし、それらの変異体酵素を酵素アッセイで分析することもできる。
続いて、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561において改良型変異体が発現し、pHBAを産生する能力が最も改善された株に対する検証が行われた。
【実施例5】
【0147】
本実施例では、サリチル酸発現プラスミドを含む株の作製について実証する。
【0148】
pchA(配列番号:4)およびpchB(配列番号:6)のヌクレオチド配列は、テトラサイクリン誘導性プロモーターの制御下でコドン最適化され、発現ベクターにクローンされたものである。このプラスミドは、ドナーとしての大腸菌株CA434との接合によってC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561(DSM23693)に形質転換される。25μg/mLのクロラムフェニコールおよび100μg/mLのスペクチノマイシンを補給したLB培地中で、ドナー株を一晩増殖させた。1.5mLの培養物から得られた菌体を遠心分離によって集菌し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄した。嫌気ワークステーションの内部で、200μlの対数増殖期レシピエントC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)中で、ドナー菌体ペレットを再懸濁させた。接合混合物をPETC−MES寒天培地上にばら蒔き、37°Cでインキュベートした。24時間後に、菌体を接合プレートから掻き取り、チアンフェニコール7.5μg/mL(シグマ製)およびトリメトプリム/mL(シグマ製)を補給したPETC−MES寒天培地上に散布した。7.5μgのチアンフェニコール10μg/mLを含有し、かつ炭素供給源としてのミルガスを含んだPETC−MES液体培地中で、3つのプラスミド含有のコロニー(すなわち、生物学的トリプリケート)の単離株を増殖させた。
【0149】
チアンフェニコールおよびミルガス(22psi)を含有する血清瓶中に入れた10mLのPETC−MES培地中で、液体培養物を増殖させた。
【0150】
バイオマスは、分光測光法でモニターされた。サリチル酸生合成経路におけるOD600nm=0.3発現数は、アンヒドロテトラサイクリン40ng/mLを添加することによって誘導された。無水テトラサイクリンを添加せずに、レプリケート培養物の増殖(生物学的トリプリケート×3に対する技術的レプリケート)によって、結果として、サリチル酸生合成経路が、非誘導状態に維持された。試料は毎日採取された。
【0151】
Agilent CP−SIL 5CB−MS(50m×0.25μl×0.25μl)カラムおよびオートサンプラー装備のThermo Scientific ISQ LT GCMSを用い、ガスクロマトグラフィマススペクトロメトリ分析(GCMS)を使用して、サリチル酸塩濃度を測定した。300μlの試料を600μlのアセトニトリルおよび50μlの0.1規定NaOHで希釈して、試料を調製した。試料をボルテックスした後、14,000rpmで3分間遠心分離にかけて、800μlの上澄液をガラス製バイアルに移してから、この試料をThermo SpeedVac(登録商標)に入れて乾燥させた。次いで、いったん乾燥させた試料を、22mg/mlのメトキシルアミン塩酸塩を含有する100μlのピリジン溶液中に懸濁させ、密封されたガラス製バイアル中で60°Cにて60分間加熱した。続いて、300μlのΝ,Ο−ビストリフルオロアセトアミド(BSTFA)を添加し、更に、密封されたガラス製バイアル中で60°Cにて60分間加熱した。1.5μlの注射液を使用し、分割比20:1、および入口気温250°Cで、分析対象の試料をオートサンプラーに移した。クロマトグラフィは、オーブンプログラム(80°Cで保持なし、勾配:3°C/分〜140°C、勾配:20°C/分〜230°C、最後に4分間保持)で行った。
カラム流速は38cm/分で、搬送ガスとしてヘリウムが使用された。MSイオン供給源は280°Cに維持された。クオリファイアイオンとして135m/zおよび45m/zを使用し、定量イオンに対して267m/zを使用して、定量化が行われた。
【0152】
図11aに、誘導試料中および非誘導試料中でのバイオマス増殖の比較を示す。図11bに、サリチル酸塩が繰り返し生成されたことを示す。
【実施例6】
【0153】
本実施例では、コリスミ酸誘導産物の生成強化を目的としたpheAのノックアウトについて実証する。
【0154】
pheA(例えば、C.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)由来のCAETHG 0905(CP006763.1:973789.974925))とは、コリスミ酸塩からプレフェン酸塩への変換を触媒する酵素であって芳香族アミノ酸フェニルアラニンおよびチロシンに対する前駆物質でもあるプレフェン酸シンターゼをコードする遺伝子をいう。このpheAの機能を、ClosTron法(Heap et al.,J Microbiol Methods. 2010,80(1):49−55)で遺伝子を途絶させることによってノックアウトした。ClosTronプラスミドpMTL007C−E2が、DNA2.0によって生成され、ドナーとしての大腸菌(E. coli)株CA434との接合によってC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561(DSM23693)に形質転換された。25μg/mLのクロラムフェニコールを補給したLB培地中で、ドナー株を一晩増殖させた。1.5mLの培養物から得られた菌体を遠心分離によって集菌し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で洗浄した。嫌気ワークステーションの内部で、200μlの対数増殖期レシピエントC.オートエタノゲナム(C. autoethanogenum)LZ1561中に、ドナー菌体ペレットを再懸濁させた。接合混合物をPETC寒天培地上にばら蒔き、37°Cでインキュベートした。24時間後に、菌体を掻き取り、500μlのPBS中に再懸濁させて、7.5μg/mLのチアンフェニコール(シグマ製)および10μg/mLのトリメトプリム(シグマ製)を補給したPETC寒天培地上に散布した。チアンフェニコール7.5μg/mLを含有し、かつ炭素供給源としてのミルガスを含んだPETC−MES液体培地中で、プラスミド含有の単離株を増殖させた。
【0155】
抗生物質クラリスロマイシン(5μg/mL)を含有するコロニーPETC固体培地上に、コロニーを画線した。この工程は、イントロン再標的化配列をゲノム中に組み込むために選択された。イントロン配列を標的部位中に組み込むことによって、1800塩基対がゲノム中に挿入された。これをPCRコロニーでスクリーニングした。陽性ClosTron変異体のPCR産物を精製し、配列決定によって挿入部位を確認した。
【0156】
クラリスロマイシンおよびミルガス(22psi)を含有する血清瓶中に入れた10mLのPETC−MES培地中で、液体培養物を増殖させた。グルセロールストックはこの血清瓶で調製された。
【0157】
1.5Lの作動容積を備える2LのBioFlo 115ウオータージャケットシステム(ニューブランズウィックサイエンティフィック社(New Brunswick Scientific Corp.),ニュージャージー州エディソン)で、バイオリアクター実験を行った。CSTRシステムには、ラッシュトン6枚刃撹拌翼2つが装備されていて、バッフルを介して、発酵ブロスの混合および気液間物質移動が増強されている。pH電位および酸化還元電位(ORP)電極(Broadley-James Corporation製)をヘッドプレートから挿入し、それらの示度を5分間隔で記録した。5M水酸化アンモニウム溶液の自動添加によって、pHを5.0に維持した。
【0158】
接種物は、グルセロールストックで調製された。1mLのグルセロールストックを、22psiのミルガスを炭素供給源として用いた50mLのPETC培地に移した。培養物を37°Cにて振盪機で2〜3日間、目に見える成長が観察されるまでインキュベートした。その後、培養物を使用して、IL−スコット瓶入りの新鮮な培地200mLを接種し、ミルガスを圧力が22psiになるまで添加した。スコット瓶を更に24〜36時間インキュベートしてから、発酵槽に移した。
【0159】
撹拌を200rpmに、ガス流を35mL/分/Lに設定した。1日経ってから、撹拌速度は、25rpm単位、4時間間隔で、最大値900rpmまで上昇した。ガス流は、25mL/分/L単位、4時間間隔で、標的CO取り込みの達成が可能な最大流速まで上昇した。発酵過程を通じて、初期ポンプ速度0.3mL/hにてNaSを添加し、その後、ヘッドスペース内のHS濃度が約200ppm未満に低下した際、増加量0.2mL/hで増分した。ガスクロマトグラフィ(GC)を使用して、1時間ごとに、COおよびHの消費量、ならびにCOの生成量のほか、HS濃度を測定した。発酵過程を通じて、一定の時間間隔で発酵槽から試料を得て、HPLCを使用して菌体量(cell mass)および代謝物質濃度を測定した。
【0160】
バッチモードでの始動後にODの値が2に達した際、発酵槽を連続モードに切り替えた。レベルプローブを使用してポンプを起動させてCSTRから発酵ブロスを除去することによって発酵槽体積を一定に保持しながら、培地および栄養の流入速度を、1つ以上の精密ペリスタル型ポンプ(Masterflex L/Sデジタル駆動ポンプ)で制御した。希釈速度は、一工程において、24時間間隔で、0.5日、更には1日、続いて1.7日に増分するように設定された。
【0161】
発酵槽(fermentation)に追加された付加的な機器は、中空糸メンブレン(GEヘルスケア製;細孔径0.2μm;表面積1,200cm)であった。このメンブレンを使用して、発酵物中の菌体濃度を上昇させた。発酵ブロスをメンブレン経由で高速にポンプ圧送し、発酵槽に戻す一方、無菌体濾過液の流れを、培地ポンプ速度よりも低い速度で、濾過水タンクにポンプ圧送した。これにより、発酵槽中の細菌菌体の保持時間を延ばすことができた。
【0162】
図10に示す3つの新規な化合物は、GC−MSを使用して同定されたものである。これらの化合物は、cis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、および2−アミノ安息香酸であった。これらの化合物は、このpheA::CT培養物中にのみ検出され、親株(LZ1561)培養物中には検出されなかった。
【0163】
3,4ジヒドロキシ安息香酸、2−アミノ安息香酸およびcis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸の濃度は、Agilent CP−SIL SCB−MS(50m×0.25μl×0.25μl)カラム、オートサンプラーおよび炎光イオン化検出器(FID)を装備したAgilent 6890N GCを使用して、ガスクロマトグラフィ(GC)分析で測定された。
【0164】
400μlの試料を400μlのアセトニトリルで希釈し、次いで、14,000rpmで3分間遠心分離にかけて、上澄液をガラス製バイアルに移してから、試料をThermo SpeedVac(登録商標)に入れて乾燥させて、試料を調製した。いったん乾燥させた試料を、400μlのΝ,Ο−ビストリフルオロアセトアミド(BSTFA)およびピリジン(3:1の比率)の溶液中に懸濁させ、密封されたガラス製バイアル中で60°Cにて60分間加熱した。1μlの注射液を使用し、30:1の分割比、および入口気温250°Cで、分析対象の試料をオートサンプラーに移した。クロマトグラフィは、オーブンプログラム(70°Cで保持時間なし、勾配:3°C/分〜110°C、勾配:15°C/分〜230°C、その後、最終勾配:40°C/分〜310°C、3分間保持)で行った。カラム流速は1.8ml/分で、搬送ガスとしてヘリウムが使用された。FIDを320°Cに維持し、水素(40ml/分)、空気(400ml/分)、およびヘリウム(20ml/分)をメイクアップガスとして用いた。
【0165】
図12に、発酵実験(run)の過程全体にわたるcis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、および2−アミノ安息香酸の濃度を示す。図12に示すように、発酵6日目に、化合物cis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸の濃度は約0.9g/Lに上昇した。発酵8〜9日目に2−アミノ安息香酸は約0.45g/Lの濃度に累積された。3,4−ジヒドロキシ安息香酸は少なめの量で生成され、6日目〜8日目の間に約0.3g/Lの濃度でピークに達した。6日目には、cis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、2−アミノ安息香酸および3,4−ジヒドロキシ安息香酸の合計累積量l.3g超/Lが観察された。
【0166】
cis−4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸の生成に関しては、文献ではほとんどわからない。GC−MSを使用することによりcis−4ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸が小児の尿試料中に検出されたことに関する報告が1件存在するだけである。その化合物は腸内細菌代謝の副産物であるという仮説が立てられた(Kronick,Clinica Chimica Acta,132:205−208,1983)。この化合物は、コリスミ酸またはプレフェン酸の直接的な産物であると思われる。なぜなら、その反応機序は、ピルビン酸塩分子の開裂と、それに続く、NAD(P)Hを通して供給可能な更に2.5H分子を要する還元とによるものであると説明しうるからである。
【0167】
2−アミノ安息香酸は、コリスミ酸からトリプトファンへの経路内の公知の中間体である。アントラニル酸シンターゼによってアニメーション(animation)が触媒された後、コリスミ酸が芳香族化され、トリプトファン分子の芳香族主鎖が得られる。アントラニル酸シンターゼの遺伝子発現は、最終産物トリプトファンによるフィードバック阻害を受け、高度に調節されることが公知である(Dosselaere,Crit Rev Microbiol,27:75−131,2001)。増殖が止んだときに、2−アミノ安息香酸は発酵ブロス内にしか分泌されていなかった。このことは、増殖の中断時に、オーバフロー産物が反応を停止したことを示唆するものである。
【0168】
本明細書中に引用されている公報、特許出願および特許を含めた全ての参照物は、各々の参照物が参照により援用されていてその全体が本明細書中に規定されていることを、あたかも個別にかつ具体的に示してあるかのように、同じ程度に、本明細書中で参照することによって援用されている。本明細書における如何なる先行技術に対する参照も、その先行技術が任意の国における試みの範囲(field of endeavour)内の共通の一般知識の一部分をなすものであることの承認ではないし、またそう解釈すべきでもない。
【0169】
本明細書中で特に明記されていないか、または文脈によって明確に否定されていない限り本発明に関する説明の文脈において(特に、下記の特許請求の範囲の文脈において)用語「a」、「an」、「the」および類似の被指示語が使用されている場合、単数形および複数形の両方を包含するものと解釈すべきである。「含む(including)」および「包含する(comprising)」および「含有する(containing)」という用語は、非限定的(open-ended)な用語(すなわち、「含むが〜に限定されない」ことを意味するもの)であると解釈すべきである。本明細書中で特に明記しない限り、本明細書における値の範囲の記述は、範囲内に収まる別個の各値を個別に指すための簡単な方法として供することを意図したものであるにすぎず、別個の各値は、あたかも本明細書中に個別に列挙されているかのように、本明細書中に援用されている。本明細書中に記載されている全ての方法は、本明細書中で特に明記されていないか、またはさもなければ文脈によって明確に否定されていない限り好適な如何なる順序でも行うことができる。本明細書中に使用されている一部もしくは全ての例証的または例示的な語句(例えば、「のような(such as)」)は、単に本発明を更に解明することを意図したものではなく、特許請求されない限り、本発明の範囲を制限するものではない。本明細書中の如何なる語句も、本発明の実施に不可欠な任意の非請求要素を指示するものと解釈すべきではない。
【0170】
本発明の好ましい実施形態は、本明細書中に記載されている。それらの好ましい実施形態の変形態様は、上記の説明を読むことで、当業者にとって明らかになるであろう。発明者らは、そのような変形態様が適宜に当業者によって使用されることを予期すると共に、本明細書中に具体的に記載されたものとは異なる様態で本発明を実用化することを意図している。したがって、本発明は、滴用法によって許諾されているように、本明細書に添付の特許請求の範囲に記載された主題の全ての変形実施例および等価物を含む。そのうえ、これら考えうる全ての変形態様における上記要素の任意の組み合わせは、本明細書中で特に明記されていないか、またはさもなければ文脈によって明確に否定されていない限り、本発明によって包含される。

本発明の様々な実施形態を以下に示す。
1.少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できる遺伝子組換えCl固定細菌であって、前記細菌が、
a.外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.1.3.40)、
b.外在性イソコリスミ酸シンターゼ(EC5.4.4.2)、
c.外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ(EC4.2.99.21)、および
d.破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼ(EC5.4.99.5)
のうちの少なくとも1つを含む、細菌。
2.前記細菌が、ガス状基質の発酵によって少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生できるクロストリジウム(Clostridium)細菌である、上記1に記載の細菌。
3.前記コリスミ酸ピルビン酸リアーゼがubiCである、上記1に記載の細菌。
4.前記イソコリスミ酸シンターゼがpchAである、上記1に記載の細菌。
5.前記イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼがpchBである、上記1に記載の細菌。
6.前記プレフェン酸シンターゼがpheAである、上記1に記載の細菌。
7.前記破壊的変異によって前記プレフェン酸シンターゼの発現もしくは活性が低減するかまたは皆無化される、上記1に記載の細菌。
8.前記細菌によって生成されるプレフェン酸塩またはプレフェン酸誘導産物の量が、親細菌に比べて少量である、上記7に記載の細菌。
9.前記細菌が、チロシンまたはフェニルアラニンを実質的にまったく生成しない、上記7に記載の細菌。
10.前記細菌が、
a.前記外在性コリスミ酸ピルビン酸リアーゼ、
b.前記外在性イソコリスミ酸シンターゼ、
c.前記外在性イソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼ、および
d.破壊的変異を含む前記プレフェン酸シンターゼ
のうちの少なくとも1つをコードする少なくとも1つの核酸を含む、上記1に記載の細菌。
11.前記核酸が、クロストリジウム(Clostridium)において発現するようにコドン最適化される、上記10に記載の細菌。
12.前記コリスミ酸誘導産物が、カルボキシル基またはカルボン酸アニオンで置換されかつ1つ以上のOH基および/もしくは1つ以上のNH2基で更に置換された六員炭素環を含む、上記1に記載の細菌。
13.前記コリスミ酸誘導産物が、パラヒドロキシ安息香酸、サリチル酸塩、2−アミノ安息香酸塩、ジヒドロキシ安息香酸塩、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、ならびにこれらの塩およびイオンからなる群から選択される、上記1に記載の細菌。
14.前記細菌が、ubiCのコリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現し、コリスミ酸誘導産物であるパラヒドロキシ安息香酸を産生する、上記1に記載の細菌。
15.前記細菌が、pchAのイソコリスミ酸シンターゼおよびpchBのイソコリスミ酸ピルビン酸リアーゼを発現し、コリスミ酸誘導産物であるサリチル酸塩を産生する、上記1に記載の細菌。
16.前記細菌が、フィードバック非感受性DAHPシンターゼを更に発現する、上記14および15のいずれかに記載の細菌。
17.前記細菌が、破壊的変異を含むプレフェン酸シンターゼを含み、かつコリスミ酸誘導産物である2−アミノ安息香酸塩、2,3−ジヒドロキシ安息香酸塩または4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸を産生する、上記1に記載の細菌。
18.前記細菌が、親細菌によって生成されない少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を産生する、上記1に記載の細菌。
19.前記細菌が、親細菌よりも多量に、少なくとも1つのコリスミ酸誘導産物を生成する、上記1に記載の細菌。
20.前記細菌が、クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridiumautoethanogenum)、クロストリジウム・リュングダリイ(Clostridium ljungdahlii)、およびクロストリジウム・ラグスデール(Clostridium ragsdalei)からなる群から選択される親細菌から誘導される、上記1に記載の細菌。
21.前記クロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)がクロストリジウム・オートエタノゲナム(Clostridium autoethanogenum)DSM23693である、上記20に記載の細菌。
22.前記ガス状基質が、CO、CO2、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、上記1に記載の細菌。
23.上記1に記載の細菌をガス状基質の存在下で発酵させて発酵産物を産生することを含む、発酵産物の生成方法。
24.前記ガス状基質が、CO、CO2、およびH2のうちの少なくとも1つを含む、上記23に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b-1】
図6b-2】
図7
図8
図9a
図9b
図10
図11a
図11b
図12
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図13-4】
図13-5】
図13-6】
図13-7】
図13-8】
図13-9】
図14-1】
図14-2】
図14-3】
図14-4】
図14-5】
図14-6】
図14-7】
図14-8】
図14-9】
図15-1】
図15-2】
図15-3】
図15-4】
図15-5】
図15-6】
図15-7】
図15-8】
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]