特許第6871896号(P6871896)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6871896WIMセンサ、及びWIMセンサを生産する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871896
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】WIMセンサ、及びWIMセンサを生産する方法
(51)【国際特許分類】
   G01G 19/03 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   G01G19/03
【請求項の数】16
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2018-234263(P2018-234263)
(22)【出願日】2018年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-109239(P2019-109239A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2019年3月8日
(31)【優先権主張番号】17207636.6
(32)【優先日】2017年12月15日
(33)【優先権主張国】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】502281471
【氏名又は名称】キストラー ホールディング アクチエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エイドリアン リビ
【審査官】 大森 努
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−315015(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0345955(US,A1)
【文献】 特表2001−525539(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/017768(WO,A1)
【文献】 特開2008−293541(JP,A)
【文献】 特開昭61−050013(JP,A)
【文献】 特開平06−347316(JP,A)
【文献】 特表2013−545973(JP,A)
【文献】 特開2014−021129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/02−19/06,
G08G 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(2a、2b、2c、2d)の車輪の通過中に、道路セグメント(1)上で前記車両(2a、2b、2c、2d)の車輪荷重を決定するためのWIMセンサ(10)であって、前記WIMセンサ(10)が、前記道路セグメント(1)の道路表面と同一平面である道路表面において前記道路セグメント(1)に配置され、前記WIMセンサ(10)が、その長手方向軸(X−X’)に沿って延在する細長い中空プロファイル(11)として設計され、前記中空プロファイル(11)は、少なくとも第1の空間(12)を囲み、前記第1の空間(12)には、複数の圧電測定素子(36、36a、36b)が前記長手方向軸(X−X’)に沿って配置され、前記圧電測定素子(36、36a、36b)が、それぞれ第1の力を受ける表面(15、15a、15b)と第2の力を受ける表面(16、16a、16b)とを備え、前記車両(2a、2b、2c、2d)の前記車輪の横断中、車輪荷重が、前記圧電測定素子(36、36a、36b)に作用し、各圧電測定素子(36、36a、36b)が、その前記第1の力を受ける表面(15、15a、15b)及び前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)において、及ぼされた前記車輪荷重に比例した電荷を生成する、WIMセンサ(10)において、前記第1の空間(12)の中に、少なくとも1つの支持要素(30、30a、30b、30c)が配置され、前記支持要素(30、30a、30b、30c)が、少なくとも1つの圧電測定素子(36、36a、36b)を固定し、前記第1の空間(12)の中に、少なくとも1つの電子素子(45)が配置され、前記支持要素(30、30a、30b、30c)が、少なくとも1つの電子素子(45)を固定し、前記第1の空間(12)の中に、少なくとも1つの電荷導体(61a、61b)が配置され、前記電荷導体(61a、61b)が、少なくとも1つの力を受ける表面(15、15a、15b)と前記電子素子(45)とを電気的に接続し、前記電荷導体(61a、61b)が、少なくとも1つの力を受ける表面(15、15a、15b、16、16a、16b)から前記電子素子(45)へと電荷信号(201a、201b)を伝え、前記第1の空間(12)の中に、第1の押圧表面(13)と第2の押圧表面(14)とが配置され、前記押圧表面(13、14)は、互いに対向して配置され、電極膜(39)が、絶縁膜(37)を備え、前記絶縁膜(37)が、電気的絶縁材料から構成され、前記絶縁膜(37)が、前記第2の押圧表面(14)から前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)を電気的に絶縁し、前記電極膜(39)が、少なくとも、前記絶縁膜(37)の、前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)のほうに向く面に、導電性層(38)を備え、前記絶縁膜(37)の、前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)のほうに向く前記面の前記導電性層(38)が、少なくとも2つの導電性領域(38a、38b)へとさらに分割され、前記電極膜(39)が、前記導電性層(38)の前記導電性領域(38a、38b)の間に電気絶縁部を備えることを特徴とする、WIMセンサ(10)。
【請求項2】
前記第1の力を受ける表面(15、15a、15b)及び前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)が、それぞれ、前記押圧表面(13、14)のうち一方および他方のほうに向き、前記押圧表面(13、14)は、前記力を受ける表面(15、15a、15b、16、16a、16b)に間接的に作用し、前記力を受ける表面(15、15a、15b、16、16a、16b)に対する前記押圧表面(13、14)の前記間接的作用が、少なくとも1つの第1の力導入素子(34、34a、34b)及び第2の力導入素子(35、35a、35b)によって生じ、前記力導入素子(34、34a、34b、35、35a、35b)は、押圧表面(13、14)と力を受ける表面(15、15a、15b、16、16a、16b)との間に配置され、電極膜(39)が、前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)と前記第2の押圧表面(14)との間に配置されることを特徴とする、請求項1に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項3】
前記第1の力を受ける表面(15、15a、15b)及び前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)が、それぞれ、前記押圧表面(13、14)のうち一方および他方のほうに向き、前記押圧表面(13、14)は、前記力を受ける表面(15、15a、15b、16、16a、16b)に直接的に作用することを特徴とする、請求項1に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項4】
前記電極膜(39)の少なくとも1つの導電性領域(38a、38b)が、フォース・クロージャによって前記第2の力導入素子(35、35a、35b)に連結され、前記第2の力導入素子(35、35a、35b)と前記電極膜(39)の前記導電性領域(38a、38b)との前記フォース・クロージャが、前記第2の力導入素子(35、35a、35b)と前記電極膜(39)の前記導電性領域(38a、38b)との間に電気接点を生じさせ、前記第2の力導入素子(35、35a、35b)により、前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)と前記導電性領域(38a、38b)との間に電気接点が形成され、導電性領域(38a、38b)同士の間の前記電気絶縁部により、異なる圧電測定素子(36、36a、36b)の第2の力を受ける表面(16、16a、16b)が、互いから電気的に絶縁されることを特徴とする、請求項2記載のWIMセンサ(10)。
【請求項5】
電子素子(45)が、少なくとも1つのばね接点(48a、48b、50a、50b)を備え、前記ばね接点(48a、48b、50a、50b)が、弾性に作られ、前記ばね接点(48a、48b、50a、50b)が、導電性に作られ、前記ばね接点(48a、48b、50a、50b)が、前記電子素子に導電的に連結され、前記ばね接点(48a、48b、50a、50b)が、ばね接点表面(49a、49b、51a、51b)を備え、取付け状態では、前記ばね接点(48a、48b、50a、50b)が、前記中空プロファイル(11)の中で、前記電子素子(45)と接触表面との間でプレストレスを与えられ、前記プレストレスを与えられたばね接点(48a、48b、50a、50b)が、ばね接点表面(49a、49b、51a、51b)を用いて、前記接触表面へと定められた機械的ばね力を及ぼし、前記ばね接点表面(49a、49b、51a、51b)が、フォース・クロージャによって前記接触表面に連結され、前記電子素子(45)が、前記ばね接点(48a、48b、50a、50b)、及び前記接触表面と前記ばね接点表面(49a、49b、51a、51b)との間のフォース・クロージャによる前記連結により、前記接触表面に導電的に連結され、前記接触表面が、電極膜(39)、又は前記中空プロファイル(11)の押圧表面(13、14)であることを特徴とする、請求項4に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項6】
前記第1の力を受ける表面(15、15a、15b)と前記電子素子(45)とを電気的に接続する第1の電荷導体(61a、61b)が、前記ばね接点(50a、50b)、前記ばね接点(50a、50b)と前記中空プロファイル(11)の前記第1の押圧表面(13)との間の電気接点、前記中空プロファイル(11)、及び前記中空プロファイル(11)と前記第1の力を受ける表面(15、15a、15b)との間の電気接点を備え、前記第1の電荷導体(61a、61b)が、第1の電荷信号(201a)を伝え、前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)に電気的に接続する第2の電荷導体(61a、61b)と、前記電子素子(45)が、前記ばね接点(48a、48b)、前記ばね接点(48a、48b)と前記電極膜(39)との間の電気接点、前記電極膜(39)、及び前記電極膜(39)と前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)との間の電気接点を備え、前記第2の電荷導体(61a、61b)が、第2の電荷信号(201b)を伝えることを特徴とする、請求項5に記載のWIMセンサ10。
【請求項7】
前記電子素子(45)に、少なくとも1つの電荷増幅器(21)及び少なくとも1つのA/D変換器(22)が配置され、前記電荷増幅器(21)が、圧電測定素子(36、36a、36b)の前記電荷信号(201a、201b)を電荷増幅器信号(202a、202b)へと変換し、前記A/D変換器(22)が、前記電荷増幅器信号(202a、202b)をデジタル電荷信号(203)へと変換し、前記A/D変換器(22)が、出力信号として前記デジタル電荷信号(203)を提供することを特徴とする、請求項6に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項8】
前記第1の力を受ける表面(15、15a、15b)又は前記第2の力を受ける表面(16、16a、16b)と前記電子素子(45)の前記電荷増幅器(21)との間で電荷が進む距離が、20mmを超えず、20mmを超えない前記距離により、前記電荷信号(201)における干渉信号及びノイズの発生が最小限になることを特徴とする、請求項7に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項9】
支持要素(30c)が、複数の支持要素パーツ(91)を備え、前記支持要素パーツ(91)が、フォース・クロージャ又は材料結合によって支持要素(30c)に連結されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれかに記載のWIMセンサ(10)。
【請求項10】
少なくとも1つの評価素子(80)が、前記WIMセンサ(10)の空間(12)に配置され、電気信号導体(60)のための接続素子(52)が、前記評価素子(80)に配置され、前記電気信号導体(60)のための接続素子(52)が、前記電子素子(45)に配置され、前記電気信号導体(60)が、前記評価素子(80)の前記接続素子(52)と少なくとも2つの電子素子(45)の前記接続素子(52)とを直列に電気的に接続し、前記電子素子(45)が、提供される前記デジタル電荷信号(203)を、前記電気信号導体(60)を介して前記評価素子(80)へと伝達することを特徴とする、請求項7に従属する請求項8又は9に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項11】
少なくとも1つのセンサ(70)が、前記WIMセンサ(10)の空間(12)に配置され、前記センサ(70)が、センサ信号(207)として物理的パラメータを測定し、前記A/D変換器(22)が、前記センサ信号(207)をデジタル・センサ信号(204)へと変換し、前記接続素子(52)において前記デジタル・センサ信号(204)を提供し、提供される前記デジタル・センサ信号(204)が、前記電気信号導体(60)を介して、前記評価素子(80)において利用可能であることを特徴とする、請求項7に従属する請求項10に記載のWIMセンサ(10)。
【請求項12】
有限次数の多項式である数学的関数である較正関数(301)が使用され、前記多項式が、係数を含み、前記係数が、パラメータ(302)を表現し、前記パラメータ(302)は、圧電測定素子(36、36a、36b)に明確に割り当てられ得、1つ又は複数の数値が、パラメータ(302)として使用され、前記パラメータ(302)は、前記関連付けられた圧電測定素子(36、36a、36b)の、少なくとも1つの予め決定された感度、及び少なくとも1つの予め決定された直線性であり、前記較正関数(301)が、圧電測定素子(36、36a、36b)の前記デジタル電荷信号(203)を変数として使用して較正デジタル電荷信号(205)を生成し、前記較正関数(301)が、前記圧電測定素子(36、36a、36b)に作用する前記車輪荷重と前記較正デジタル電荷信号(205)の量との間に直線関係を生み出し、それによって前記車輪荷重を決定する際の測定精度が向上することを特徴とする、請求項7から10までのいずれかに記載のWIMセンサ(10)を較正する方法。
【請求項13】
多項式係数を含む有限次数の多項式である数学的関数である較正関数(301)が使用され、前記係数が、パラメータ(302)を表現し、前記パラメータ(302)は、圧電測定素子(36、36a、36b)に明確に割り当てられ得、1つ又は複数の数値が、パラメータ(302)として使用され、前記パラメータ(302)は、前記関連付けられた圧電測定素子(36、36a、36b)の、少なくとも1つの予め決定された感度、及び少なくとも1つの予め決定された直線性、及び少なくとも1つの予め決定された温度依存性であり、前記較正関数(301)が、圧電測定素子(36、36a、36b)の前記デジタル電荷信号(203)を変数として使用し、前記デジタル・センサ信号(204)を変数として使用して、較正デジタル電荷信号(205)を生成し、前記デジタル・センサ信号(204)の前記センサ(70)が、前記圧電測定素子(36、36a、36b)の温度を検出する温度センサであり、前記較正関数(301)が、前記圧電測定素子(36、36a、36b)に作用する力と前記較正デジタル電荷信号(205)の量との間に直線関係を生み出し、それにより、前記較正デジタル電荷信号(205)の、前記圧電測定素子(36、36a、36b)の前記温度に対する前記依存性を最小限にし、前記車輪荷重の前記決定において測定精度を高めることを特徴とする、請求項11に記載のWIMセンサ(10)を較正する方法。
【請求項14】
前記較正関数がアリゴリズムにより決定され、様々な量の定められた力が、前記圧電測定素子(36、36a、36b)に順次加えられ、前記定められた力に対応する前記デジタル電荷信号(203)が前記アルゴリズムにより記録され、前記デジタル電荷信号(203)を変数として使用して前記力が求まる補間多項式前記が、前記アルゴリズムにより、数値解析から知られている多項式補間を用いて決定され、前記補間多項式が、前記デジタル電荷信号(203)を変数として使用して前記較正デジタル電荷信号(205)を生成する前記較正関数(301)であり、前記決定した較正関数(301)をタイム・スタンプ(208)と共に、前記アルゴリズムにより、不揮発性メモリ素子(81)に保存されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の方法。
【請求項15】
2つの支持要素(30、30a、30b、30c)が、少なくとも2つの連結要素(46、47)を用いてフォーム・クロージャ又はフォース・クロージャによって連結されて、支持体(90)を形成し、前記連結要素(46、47)が、前記支持要素(30、30a、30b、30c)の少なくとも1つの端部において前記支持要素(30、30a、30b、30c)を構成し、前記支持体(90)が、互いに連結される少なくとも2つの支持要素(30、30a、30b、30c)から構成され、前記支持体(90)が、WIMセンサ(10)のクランプされた中空プロファイル(11)に容易に挿入されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれかに記載のWIMセンサ(10)を生産する方法。
【請求項16】
少なくとも1つの電極膜(39)が、前記支持体(90)と共に前記クランプされた中空プロファイル(11)の中に挿入されることを特徴とする、請求項15に記載のWIMセンサ(10)を生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、WIMセンサ、及びWIMセンサを生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
走行車両重量測定(WIM:Weigh−in−Motion)センサは、たとえば、簡潔に荷重と称される、車両の車輪荷重を決定するために、又はある道路セグメントを通過する車輪の数を決定するために、輸送分野において使用される。荷重とは、車両の質量に起因し、車輪を介して道路のセグメントに作用する、簡潔に力と称される重量の力を意味する。車両とは、1台の車両、又はトラクタと1台若しくは複数台のトレーラとから構成される車両の組合せを指す。
【0003】
このように決定されたデータは、たとえば、その道路セグメントにおいて認められているのよりも重い荷重によって道路セグメントが損傷するのを防止し、使用量に依存した道路のメンテナンス間隔を決定し、荷重又は車両の車輪の数に応じた支払い額を決定し、また道路の安全性を高めるのに適当な対策を講じるために機能する。
【0004】
WIMセンサは、道路セグメントの道路表面に、進行方向に対して縦方向に埋め込まれ、車両の走路は、いくつかのWIMセンサに交差し、これらのいくつかのWIMセンサは、1つのWIMセンサが車両の車輪の走路にそれぞれ交差するように、進行方向に沿って互いに隣り合って道路表面に挿入され、WIMセンサは、その道路セグメントの道路表面と同一平面である道路セグメントの表面に配置される。一般に、WIMセンサは細長い形で形成される。
【0005】
車輪の走路とは、車両が横切っていくときの、道路表面での車両のある車輪の軌道を意味する。走路とは、車両のすべての車輪の走路全体を意味する。
【0006】
また、車両の走路全体が単一の細長いWIMセンサと交差する一実施例が知られている。
【0007】
様々な車両に使用される様々なタイプの車輪が存在する。したがって、車輪のタイプには、シングル・ホイール、デュアル・ホイール、又はスーパー・シングル・ホイールが含まれる。車両の横断中にシングル・ホイール、デュアル・ホイール、又はスーパー・シングル・ホイールを区別するために、個々の圧電測定素子が、互いから適当に短い距離で、WIMセンサの長手方向軸に沿ってWIMセンサに割り当てられなければならず、圧電測定素子は、それらに作用する力に比例した信号を生じさせる。この圧電測定素子の信号は、個々に検出されなければならず、車輪タイプを決定するために、個々に評価に含められなければならない。
【0008】
通常、WIMセンサの圧電測定素子は圧電材料であり、その外表面において、圧電材料に作用する荷重に比例した電荷が生成される。電荷信号とは、適当な導電体によって圧電材料の表面から伝導される電荷を指す。この電荷信号は、電荷増幅器によって増幅され、電荷増幅器信号へと変換される。
【0009】
したがって、個々の圧電測定素子、又は圧電測定素子群の電荷信号を検出することには、かなりの労力が必要とされる。このように、電荷増幅器は、各圧電測定素子、又は圧電測定素子群ごとに提供されなければならない。加えて、各電荷増幅器信号は、別々に電子評価ユニットへと伝えられなければならない。
【0010】
たとえば、WIMセンサの将来的な応用のため、またその車輪に帰属する車両のタイプを決定するために、横断車輪の車輪タイプを明確に性質決定することは必要不可欠である。これらの応用例には以下のものが含まれるが、これらに限定はされない。
・車両タイプの検出
・フル進行スピードでのWIM測定に基づき、その車両タイプに関する許容総重量を基準とする、荷重超過車両の直接的な処罰。
・フル進行スピードでのWIM測定に基づき、その車両タイプに関する許容最大速度を基準とする、速度制限を超えている車両の直接的な処罰。
・通行料金システムに格納された、その車両の車両タイプに関するデータの整合性のチェック。
・フル進行スピードでのWIM測定に基づく車両タイプによる、荷重に依存した通行料金の支払い。
・産業用途(港、鉱山、砂利採石場など)での、WIM測定に基づく車両タイプによる、荷重に依存した支払い。
【0011】
上記の点に関して、WIMシステムの測定精度に関する要求は非常に高い。したがって、国際法定計量機関(OIML:International Organization of Legal Metrology)の勧告は、その規格OIML R−134aにおいて、WIMシステムの精度に関するWIMシステムの分類を含んでいる。前述の応用例では、測定精度の仕様、並びに高精度クラスへの分類は、WIMセンサの使用において非常に重要である。
【0012】
長手方向に中空プロファイルに配置される、簡潔に圧電素子と称される複数の圧電測定素子を備え、圧電素子が、信号処理ユニットに接続され、その結果、個々の圧電素子又は並列の圧電素子群に接触することが可能であり、圧電素子が、力導入セグメント同士の間に挿入される圧電ディスクから構成される、WIMセンサが、米国特許第5265481(A)号から知られている。さらに、取付けプロセスが米国特許第5265481(A)号から知られており、そこでは、圧電素子が取り付けられた状態の膜と、クランプされた中空プロファイルに挿入される信号導体とから構成される弾性チェーンが形成される。前置増幅器などの電子的構成要素は、圧電素子の横に隣り合って、中空プロファイルの中に配置され得る。
【0013】
上記の装置には、圧電素子が、力導入セグメントと、圧電ディスクと、導電性膜と、別の圧電ディスクと、別の力導入セグメントとがすべて接着剤によって互いに結合される複数部品の構造体であるという欠点がある。導電性膜に配置されるいくつかの圧電素子を含むスタックが、弾性チェーンと呼ばれる。弾性チェーンは、中空プロファイルの中へと弾性チェーンを引き込むことによって取り付けられ得る。接着剤の弾性特性は、測定精度、及び圧電素子の信号の直線性を損なう。さらに、圧電素子に加えてさらなる電子的構成要素を挿入するのは、圧電素子と電子的構成要素との間の信号ケーブルが切れるのを防止するためにこれらが同時に挿入されなければならないので、困難である。加えて、個々の圧電素子の信号を評価できるように、別々のケーブルが各圧電素子から中空プロファイルへと通じていなければならない。これらのケーブルのため、圧電素子から構成される弾性チェーンを中空プロファイルへと通すことが複雑な作業になっている。複雑な据付けは、労力の増加及び高コストを伴う。
【0014】
以下では、測定精度とは、WIMセンサの圧電測定素子の上を横断する車両の車輪によって及ぼされる車輪荷重の決定における測定精度を指す。測定精度の向上は、車輪荷重を決定する際の系統誤差を減らすことによって、且つ/又は繰り返し同じ車輪から決定されている車輪荷重値のばらつきを減らすことによって実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第5265481(A)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の第1の目的は、WIMセンサの中空プロファイルの中の空間を効率的に使用することである。別の目的は、WIMセンサの測定精度を向上させることである。さらなる目的は、WIMセンサの単純で機能的な構造に加え、低コストの製造プロセスを提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
これらの目的のうちの少なくとも1つは、独立請求項に記載の特徴によって達成される。
【0018】
本発明は、車両の車輪の通過中に、道路セグメント上で車両の車輪荷重を決定するためのWIMセンサであって、WIMセンサが、道路セグメントの道路表面と同一平面である道路表面において道路セグメントに配置され、WIMセンサが、長手方向軸に沿って延在する細長い形状をもつ中空プロファイルとして形成され、中空プロファイルは、少なくとも第1の空間を囲み、複数の圧電測定素子が、前記長手方向軸に沿って前記第1の空間に配置され、前記圧電測定素子のそれぞれが、第1の力を受ける表面と第2の力を受ける表面とを有し、車両の車輪の通過中、車輪荷重が、前記圧電測定素子に作用し、各圧電測定素子が、第1の力を受ける表面及び第2の力を受ける表面において、有効車輪荷重に比例した電荷を生成し、少なくとも1つの支持要素が、前記第1の空間に配置され、支持要素が、少なくとも1つの圧電測定素子を固定し、少なくとも1つの電子素子が、第1の空間に配置され、支持要素が、少なくとも1つの電子素子を固定し、少なくとも1つの電荷導体が、第1の空間に配置され、電荷導体が、少なくとも1つの力を受ける表面と電子素子とを電気的に接続し、電荷導体が、少なくとも1つの力を受ける表面から電子素子へと電荷信号を伝える、WIMセンサに関する。
【0019】
電荷信号とは、電荷導体において伝導される電荷を指す。
【0020】
シングル・ホイール、デュアル・ホイール、又はスーパー・シングル・ホイールなどの車輪タイプの検出における必要条件は、WIMセンサの長手方向における個々の圧電測定素子間又は圧電測定素子群間の距離が適当に短く、70mm未満、有利には50mmであること、並びに個々の圧電測定素子又は圧電測定素子群の信号の評価である。長手方向とは、WIMセンサの最大寸法の方向を指し、通常、WIMセンサは、その長手方向が車輪の走路に垂直な方向に対応した状態で道路に配置される。各圧電測定素子につき1つの、必要とされる多数の電荷増幅器は、可能な限り空間を節約して収容されなければならない。この目的のために、有利な一実施例では、個々の圧電測定素子間の自由空間が使用され、そこに電子素子が配置される。有利な一実施例では、中空プロファイルの空間に、空間を節約して圧電測定素子と共に電子素子を配置することは、支持要素を用いて個々の圧電測定素子間に電子素子を固定することによって実現される。さらに、圧電測定素子も、支持要素によって固定される。
【0021】
少なくとも1つの電荷増幅器及び少なくとも1つのアナログ・デジタル変換器、簡潔にA/D変換器は、電子素子に配置される。好ましい一実施例では、電子素子に配置される電荷増幅器及びA/D変換器の数は、互いに隣り合う圧電測定素子の数に対応する。
【0022】
加えて、最適な空間利用は、各圧電測定素子又は圧電測定素子の各群の電荷信号が電荷増幅器によって比例した電圧信号へと変換され、A/D変換器によってデジタル電荷信号へと変換されることによって実現される。ここで、圧電測定素子の群とは、並列に電気的に接続され、ある荷重の下で単一の共通した信号を生成する、1つ又は複数の圧電測定素子から構成される群を指す。
【0023】
WIMセンサに配置される評価素子では、各圧電測定素子につき1つ、又は圧電測定素子の各群につき1つの、種々の電荷信号が利用可能でなければならない。デジタル・データ伝送の特性により、伝送に使用される電気信号導体の数は、米国特許第5265481(A)号に述べられる個々の圧電測定素子の電荷信号のアナログ伝送と比較して少なくなる。米国特許第5265481(A)号において使用されるようなアナログ信号に勝るデジタル信号の特定の利点の1つは、様々な信号が、同じ電気信号導体を介して伝達され得ることである。有利には、異なる圧電測定素子又は圧電測定素子群から生じる複数のデジタル電荷信号は、WIMセンサにより、同じ電気信号導体を介して評価素子へと伝達される。この方式において実現される圧電測定素子の直列接続により、米国特許第5265481(A)号において圧電測定素子が配置される箇所の付近で起きるような、プロファイルの狭窄が防止される。このように、WIMセンサの中空プロファイルの中の空間をより適切に利用することが可能になる。
【0024】
米国特許第5265481(A)号と比較したWIMセンサの測定精度向上は、WIMセンサの個々の圧電測定素子を較正することによって実現される。WIMセンサ全体についてたった1つの較正関数を用いてWIMセンサが較正される場合、車輪はWIMセンサの長手方向に対して必ずしも同じ地点でWIMセンサを横断せず、それにより、WIMセンサの長手方向軸に沿って配置される個々の圧電測定素子の固有の感度、直線性、及びヒステリシスが測定結果に影響を与える場合があることにより、測定エラーが生じることになるので、このことは、利点の1つである。
【0025】
それぞれの個々の圧電測定素子、又は圧電測定素子群のデジタル電荷信号は、較正関数を用いて、評価素子において較正される。
【0026】
さらなる一実施例では、WIMセンサに設けられる少なくとも1つのセンサの少なくとも1つのデジタル・センサ信号が、較正のために使用される。
【0027】
WIMセンサの測定精度の向上は、電荷増幅器を備える電子素子と圧電測定素子の空間的な近さによっても実現される。長い導体は、干渉信号及びノイズの発生を増加させる。したがって、圧電測定素子の表面から電荷増幅器へと至る電荷導体の長さは、可能な限り短くなるように、有利には20mmより短くなるように選択されなければならない。このことにより、干渉信号の発生が減少し、このことは、各圧電測定素子間で、各圧電測定素子に近接して、支持要素に電子素子を固定することによって実現される。
【0028】
有利には、A/D変換器も電荷増幅器の出力部に直接位置付けられ、A/D変換器は、電荷増幅器の電圧信号を、外部ノイズの影響をより受けにくいデジタル電荷信号へと変換する。
【0029】
簡単な取付けは、支持要素によって実現され、前記支持要素は、少なくとも1つの圧電測定素子を固定し、前記支持要素は、少なくとも1つの電子素子を固定する。少なくとも2つの支持要素が互いに連結されて、支持体を形成してもよい。支持体を用いて、WIMセンサの圧電測定素子及び電子素子は、1つの部品として中空プロファイルに容易に挿入され得る。
【0030】
以下では、各図を参照して、本発明が一例としてより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】WIMセンサが配置された道路セグメントの概略部分図である。
図2】有利な一実施例におけるWIMセンサの概略断面図である。
図3】第1の実施例における支持要素の概略部分図である。
図4】第2の実施例における支持要素の概略部分図である。
図5】第3の実施例における支持要素の概略部分図である。
図6】図を見やすくするために個々の要素同士の間に軸Y−Y’についてある距離が挿入されている、一実施例における支持要素の一部の概略断面図である。
図7】図を見やすくするために支持要素が図示されていない、有利な一実施例におけるWIMセンサの一部の概略断面図である。
図8】評価素子、少なくとも1つの電子素子、及び少なくとも1つのセンサを電気的に接続する、好ましい一実施例におけるWIMセンサの電気信号導体、並びに電子素子に圧電測定素子を電気的に接続する、好ましい一実施例におけるWIMセンサの電荷導体の概略図である。
図9】評価素子において実施されるプロセスの概略図である。
図10】支持体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1は、WIMセンサ10を備えた道路セグメント1を示し、WIMセンサ10は、道路セグメント1に配置されて、WIMセンサの上を進行している車両2a、2b、2c、2dの車輪荷重を決定する。
【0033】
図2は、有利な一実施例におけるWIMセンサ10の概略断面図を示す。軸Y−Y’は、中空プロファイル11の高さに平行であり、道路表面に垂直である。軸Z−Z’は、中空プロファイル11の幅に平行であり、またプロファイルを横断している車両2a、2b、2c、2dの名目上の進行方向に平行である。図2には図示されていない軸X−X’は、Y−Y’及びZ−Z’に対して垂直に延び、また軸X−X’は中空セグメント11の長さに平行である。軸X−X’、Y−Y’、及びZ−Z’は、直交する座標系を形成する。図2に示される部分平面は、軸Y−Y’及びZ−Z’によって画定されている。有利な一実施例では、中空プロファイル11は、空間12と、第1の押圧表面13と、第2の押圧表面14とを備え、前記押圧表面13、14は、対向し、互いに間隔を空けて、Y−Y’に対して垂直に配置される。
【0034】
好ましい一実施例では、中空プロファイル11は、金属又は金属合金から作られる。さらなる一実施例では、中空プロファイル11は、プラスチック又は複合材料で作られる。
【0035】
中空プロファイル11の空間12は、圧電測定素子装置20をさらに備え、圧電測定素子装置20は、圧電測定素子36と、第1の力導入素子34と、第2の力導入素子35とを備える。
【0036】
圧電測定素子36は、第1の力を受ける表面15と、第2の力を受ける表面16とを備え、前記第1の力を受ける表面15は第1の押圧表面13のほうに向き、前記第2の力を受ける表面16は、第2の押圧表面14のほうにそれぞれ向く。有利な一実施例では、圧電測定素子36は単結晶であり、好ましい一実施例では水晶である。
【0037】
第1の力導入素子34は、第1の押圧表面13と第1の力を受ける表面15との間に配置される。第2の力導入素子35は、第2の押圧表面14と第2の力を受ける表面16との間に配置される。力導入素子34、35は、全体的に又は部分的に、金属、金属合金、材料結合によって水晶又はセラミックに貼り付けられた導電性層を有する水晶又はセラミックなどの導電性材料で作られる。
【0038】
押圧表面13、14からの力は、前記力導入素子34、35により、力を受ける表面15、16に間接的に作用する。
【0039】
さらなる一実施例では、圧電測定素子装置20は、圧電測定素子36のみを備える。この実施例に関してこれ以降なされる説明は、力導入素子34、35をなくすことにより、各量、要素、又は特性が、圧電測定素子36の力を受ける表面15、16に直接作用するという意味で理解されたい。
【0040】
押圧表面13、14と力を受ける表面15、16との間の少なくとも一方には電極膜39が配置され、電極膜39は、導電性層38がその2つの表面のうち少なくとも一方に設けられる、非導電性材料で作られたストリップの形をとる細長い絶縁膜37である。有利には、以下の物質、すなわちクロム、銅、ジルコニウム、金、銀、プラチナ、鋼のうちの1つの物質、又はその組合せが、導電性層38として使用される。ポリイミド膜が絶縁膜37として使用されることが有利である。
【0041】
導電性層38は、絶縁膜37に恒久的、機械的に連結される。機械的連結は、種々の方法によってなされ得る。したがって、導電性層38は、絶縁膜37に積層されてもよく、積層は、熱的な材料接合プロセスを意味すると理解される。さらに、導電性層38は、導電性層と絶縁膜37との間の接着剤によって絶縁膜37に接着結合されてもよい。さらに、導電性層38は、圧力又は熱を加えることにより、絶縁膜37を、導電性層38が絶縁膜37に接着結合される粘性状態にすることによって、絶縁膜37に接着結合されてもよい。好ましい一実施例では、導電性層38は、熱蒸着、陰極スパッタ、又は電気めっきによって絶縁膜37に付けられる。
【0042】
導電性層38は、絶縁膜37の少なくとも一方の面において構造を有し、この構造は、互いから電気的に絶縁された、導電性層38の種々の導電性領域38a、38bが存在する形で形成される。導電性層の構造は、絶縁膜37の定められた区域に導電性層を選択的に貼り付けることによって、又は連続的な導電性層38がまず絶縁膜37に貼り付けられ、さらなるステップでそこに前記構造が導入されることによって実現される。このように、導電性層38の導電性領域38a、38bは、機械的方法によって、又は導電性層38の選択的エッチングによって取り除かれ得る。
【0043】
また、当業者は前記方法の組合せを使用して、絶縁膜37と導電性層38との間のポジティブ連結を実現できるということが理解される。
【0044】
また、当業者は前記方法の組合せを使用して、電極膜39の導電性層38に構造を形成できるということが理解される。
【0045】
有利な一実施例では、中空プロファイルの空間12は、支持要素30を備える。支持要素30の第1の実施例が、図3において概略的に示されている。
【0046】
支持要素30は、軸X−X’に沿った細長い形で形成され、有利には、軸Z−Z’に沿っては圧電測定素子装置20よりも幅広であり、また中空プロファイル11の第1の空間12に配置される。
【0047】
有利な一実施例では、支持要素30は、軸Y−Y’に沿って支持要素30を通る少なくとも1つの凹部41を備え、前記凹部41は、保持クランプ42、43を備え、前記保持クランプ42、43は、支持部材30に対して圧電測定素子装置20を固定する。
【0048】
有利な一実施例では、支持要素30は少なくとも1つの保持要素44を備え、保持要素44は、支持要素30に電子素子45を機械的に連結し、連結は、フォーム・クロージャ又はフォース・クロージャによって実現される。このように、一実施例では、電子素子45は、フレキシブル・フックの形をとる保持要素44により、支持要素30に機械的にしっかりと固定される。さらなる一実施例では、電子素子45は、ねじ、支持要素30のねじ穴、及びナットの形をとる保持要素44を用いて、又はねじ、及び支持要素30のねじが切られた穴の形をとる保持要素44を用いて、支持要素30に機械的にしっかりと固定される。
【0049】
さらなる一実施例では、電子素子45は、たとえば適した接着剤を用いた材料結合によって支持要素30に連結され、この場合、保持要素44は必要でない。
【0050】
図4に概略的に示されている第2の実施例では、支持要素30aは少なくとも2つの部分として形成され、支持要素30aの個々の部分は、保持要素44によって電子素子45に機械的に連結される。有利な一実施例では、電子素子45は、機械的に剛性の構造体、たとえば回路板を有する。支持要素30aのこの実施例では、電子素子45は、支持要素30aの構造的構成要素である。
【0051】
図5に示されるように、第3の実施例では、支持要素30bの大部分は、少なくとも1つの凹部41を有する電子素子45、たとえば回路板によって形成される。電子素子45の凹部41は、材料結合、フォーム・クロージャ、又はフォース・クロージャによって電子素子45に連結される保持クランプ42、43を備える。保持クランプ42、43は、支持要素30bに対して圧電測定素子装置20を固定する。
【0052】
図3図4、及び図5に示されるような有利な一実施例では、支持要素30、30a、30bは、軸X−X’に関する支持要素30、30a、30bの各端部に連結要素46、47を備え、示されている実施例では、連結要素46、47は、ピン形状の連結要素47及びスロット形状の連結要素46の形をとり、連結要素46、47は、フォーム・クロージャによって支持要素30、30a、30bを連結する。
【0053】
さらなる一実施例では、支持要素30、30a、30bは、フォース・クロージャによって支持要素30、30a30bを連結する連結要素を備える。フォース・クロージャによる支持要素の連結は、たとえばねじ連結部を用いて実現される。
【0054】
さらなる一実施例では、支持要素30cが複数の支持要素パーツ91から組み立てられ、複数の支持要素パーツ91の連結は、フォーム・クロージャ、フォース・クロージャ、又は材料結合によって実現される。図6は、このように、たとえば2つの支持要素パーツ91から構成される支持要素30cを概略的に示し、支持要素パーツ91は、パーツ連結要素32、33を用いて、フォース・クロージャ又はフォーム・クロージャによって連結される。示されている実施例では、パーツ連結要素32、33は、フォーム・クロージャによって互いに連結され得るピン32及びスロット33の形をとる。
【0055】
さらなる一実施例では、パーツ連結要素32、33は、ねじ連結部としても形成され得る。
【0056】
支持要素パーツ91が材料結合によって連結される一実施例が考えられ得る。この場合、各パーツ連結要素32、33はなくされる。
【0057】
下記では、中空プロファイル内でフォース・クロージャ、フォーム・クロージャ、又は材料結合によって連結される支持要素30の全体は支持体90と称され、これは図10に図示されている。
【0058】
支持要素30の他の実施例も考えられるということを理解されたい。当業者は、たとえば図3図5に示された実施例の組合せを使用してもよく、支持要素30の安定性を高めるためにさらなる要素を導入してもよく、異なる位置に要素を配置してもよい。したがって、電子素子45は、説明されたようにX−X’、Z−Z’によって画定される平面に配置されず、X−X’、Y−Y’によって画定される平面において横方向に支持要素30に配置されてもよい。
【0059】
有利な一実施例では、図2に示されるように、支持要素30、30a、30b、30cは、支持体の取付けを容易にする案内要素31を備える。
【0060】
支持体90により、WIMセンサ10を取り付けるプロセスが著しく容易になる。WIMセンサ10は、以下に説明する方法に従って取り付けられることが有利である。連結可能な支持要素30、30a、30b、30cから構成される各支持体90は、少なくとも1つの圧電測定素子装置20、20a、20b及び少なくとも1つの電子素子45と共に、中空プロファイル11の外で事前に組み立てられる。加えて、事前組立体は、接続素子52及び電気信号導体60を用いた、WIMセンサ11のすべての電子素子45の電気的接続部を有する。
【0061】
さらに、電極膜39は、支持体の適した要素に挿入され、その結果、電極膜39は、軸Z−Z’に対して横向きにすべることがない。たとえば、案内要素31がこの機能を果たす。
【0062】
事前に組み立てられた支持体90は、少なくとも1つの電極膜39と共に、クランプされた中空プロファイル11に挿入され、中空プロファイル11の押圧表面13、14の距離は、中空プロファイル11に対して軸Z−Z’に沿って横方向に作用する力によって長くなる。案内要素31により、中空プロファイルに支持体を容易に挿入することが可能になり、中空プロファイルの中での、支持体及び電極膜39の精密な位置決めが確実となる。
【0063】
有利には、支持要素30、30a、30b、30cは、100mmから1000mmの間、特に有利な一実施例では100mmから300mmの間である、軸X−X’に沿った長さを有する。したがって、特に有利な一実施例では、支持要素30、30a、30b、30cは、種々の長さの支持体90を取り付けるために用いることができ、したがってWIMセンサ10の長さに関する種々の設計に用いることができる。これにより、WIMセンサ10の製造コストが低減される。
【0064】
図7は、完全に組み立てられたWIMセンサ10の一部を概略断面図に示し、ここでは、図を見やすくするために、支持要素30、30a、30b、30cは図示されていない。有利な一実施例では、電子素子45は、軸Y−Y’に関するその底面に少なくとも1つのばね接点48a、48bを備え、ばね接点48a、48bは、電子素子45にしっかりと固定され、WIMセンサ10の取付け状態では、定められたばね力で、表面、たとえば構造化された電極膜39の導電性領域38a、38bに対してばね接点表面49a、49bを押圧する。
【0065】
有利な一実施例では、電子素子45は、軸Y−Y’に関するその上面に少なくとも1つのばね接点50a、50bをさらに備え、ばね接点50a、50bは、電子素子45にしっかりと固定され、WIMセンサ10の取付け状態では、定められたばね力で、表面、たとえば中空プロファイル11の押圧表面13に対してばね接点表面51a、51bを押圧する。
【0066】
ばね接点表面49a、51aを押圧することにより、ばね接点48a、50aは、電子素子45と圧電測定素子20aとの間に電気的接続を確立する。有利な一実施例では、力が圧電測定素子36aに作用するとき、第2の力を受ける表面16aにおいて生成される電荷は、力導入素子35a、電極膜の導電性領域38a、及びばね要素48aを介して電子素子45へと伝達される。このように、力導入素子35a、電極膜の導電性領域38a、及びばね要素48aは、電荷導体61aを形成する。力が圧電測定素子36aに作用するとき、第1の力を受ける表面15aにおいて生成される電荷は、力導入素子34a、押圧表面13、及びばね要素50aを介して電子素子45へと伝達される。このように、力導入素子34a、押圧表面13、及びばね要素50aは、電荷導体61aを形成する。
【0067】
同様に、ばね接点表面49b、51bを押圧することにより、ばね接点48b、50bは、電子素子45と圧電測定素子装置20bとの間に電気的接続を確立する。有利な一実施例では、力が圧電測定素子36bに作用するとき、第2の力を受ける表面16bにおいて生成される電荷は、力導入素子35b、電極膜の導電性領域38b、及びばね要素48bを介して電子素子45へと伝達される。このように、力導入素子35b、電極膜の導電性領域38b、及びばね要素48bは、電荷導体61bを形成する。力が圧電測定素子36bに加えられるとき、第1の力を受ける表面15bにおいて生成される電荷は、力導入素子34b、押圧表面13、及びばね要素50bを介して電子素子45へと伝達される。このように、力導入素子34b、押圧表面13、及びばね要素50bは、電荷導体61bを形成する。
【0068】
図7に示される有利な一実施例では、電極膜39の導電性領域38aと導電性領域38bとは、絶縁膜37の、非導電性コーティングによって被覆される領域により、互いから電気的に絶縁される。これにより、圧電測定素子36a、36bの選択的接触が可能になり、したがって、力が各圧電測定素子36a、36bに作用したとき、圧電測定素子36a、36bの個々の電荷信号を別々に評価することが可能になる。
【0069】
さらなる一実施例では、少なくとも2つの圧電測定素子36が、電極膜の導電性層の領域を用いて並列に接触する。下記では、圧電測定素子の群とは、並列に接触する少なくとも2つの圧電測定素子装置20を指す。
【0070】
別の実施例(図示せず)では、追加的な電極膜が力導入素子34a、34bと押圧表面13との間に配置され、電極膜は、力導入素子34に対して押圧表面13を電気的に絶縁し、導電性層が、それ自体知られている方式で、絶縁膜の、力導入素子34a、34bのほうに向く面に貼り付けられ、力が圧電測定素子36a、36bに加えられたとき、第1の力を受ける表面15a、15bにおいて生成される電荷は、力導入素子34a、34b、追加的な電極膜の導電性層、及びばね要素50a、50bを介して電子素子45へと伝達される。
【0071】
追加的な電極膜は、その少なくとも一方の面に、連続的な導電性層、又は電極膜39と同様の構造化された導電性層を備える。
【0072】
好ましい一実施例では、図3図4及び、図5に示されるように、支持要素30、30a、30c、30cは、2つの圧電測定素子組立体20a、20bの間にそれぞれ挿置される電子素子45を備える。図8に示されるように、有利な一実施例では、少なくとも1つの電荷増幅器21が電子素子45に配置され、電荷増幅器21は、圧電測定素子装置20a、20b、又は圧電測定素子群の電荷信号201a、201bを、電荷信号201a、201bに比例した電圧、又は電荷信号201a、201bに比例した電流へと変換する。これ以降、電荷信号201a、201bに比例した電圧、又は電荷信号201a、201bに比例した電流は、電荷増幅器信号202a、202bと称されることになる。さらに、有利な一実施例では、少なくとも1つのA/D変換器22が電子素子45に配置され、A/D変換器22は、電荷増幅器信号202a、202bをデジタル電荷信号203へと変換し、前記信号を提供する。
【0073】
下記では、信号の提供とは、提供される信号が、さらなる使用のために利用可能であることを意味すると理解されたい。したがって、提供することは、電子メモリに信号を格納し、そのメモリから信号を取り出すことも含む。提供することは、表示装置に信号を表示することも含む。
【0074】
A/D変換器22は、きっかり1つの信号入力部ときっかり1つの信号出力部とを有する電子的構成要素に限定されないことを理解されたい。当業者は、複数の入力信号を複数のデジタル出力信号に変換する、複数の信号入力部及び複数の信号出力部を備える電子的構成要素に通じている。したがって、A/D変換器22とは、いくつかの信号入力部及びいくつかの信号出力部が設けられる電子的構成要素の、1つの信号入力部及び1つの信号出力部から構成される対のことも指す。
【0075】
A/D変換器22や電荷増幅器21などの機能の異なる電子的構成要素が、たとえば特定用途向け集積回路、簡潔にはASICの形をとる1つの電子的構成要素に一緒に含まれてもよいことを理解されたい。話を簡単にするために、下記の説明では、それらがASICの形をとって存在するべき場合でも、やはりA/D変換器及び電荷変換器と呼ぶ。
【0076】
図3図5に示されるように、電子素子45は、電気信号導体60のための少なくとも1つの接続素子52を備える。図8は、電気信号導体60を概略的に示す。接続素子52を用いて、電気信号導体60を介して少なくとも2つの電子素子45の間で電気的接続を確立することが可能である。電気信号導体60は、接続素子52を用いて、支持要素30、30a、30b、30cの、又は異なる支持要素30、30a、30、30cの電子素子45を接続する。
【0077】
有利な一実施例では、WIMセンサ10は評価素子80を備える。評価素子80は、中空プロファイル11の空間12に配置される。圧電測定素子装置20、20a、20b、又は圧電測定素子群のデジタル電荷信号203は、評価素子80での評価のためにアクセス可能である。
【0078】
有利には、少なくとも1つのマイクロプロセッサ82、並びに少なくとも1つの不揮発性メモリ素子81及び電気信号導体60のための少なくとも1つの接続素子52が、評価素子80に配置される。さらに、電気信号導体60が、評価素子80に電子素子45の少なくとも1つの接続素子52を接続する。
【0079】
有利には、デジタル信号を使用することにより、電気信号導体60において必要とされる導電体は、利用可能な信号よりも少なくなる。
【0080】
WIMセンサ10の電子素子45のデジタル電荷信号203は、評価素子80での評価のために、接続素子52及び電気信号導体60を用いてアクセス可能である。
【0081】
さらなる一実施例では、接続素子52は、電子素子45の電源として機能する。
【0082】
別の実施例では、少なくとも1つのセンサ70が、中空プロファイル11の空間12に配置され、センサ70は、センサ70がセンサ信号207として出力する物理的パラメータを測定する。A/D変換器22は、センサ信号207をデジタル・センサ信号204へと変換し、接続ユニット52にデジタル・センサ信号204を提供する。センサ70は、以下の物理的パラメータ、すなわち温度、音波、加速度のうちの1つを測定する。
【0083】
さらなる一実施例では、少なくとも1つのデジタル・センサ信号204は、接続ユニット52及び電気信号導体60を用いて、評価素子80での評価のために追加的に利用可能になっている。
【0084】
有利な一実施例では、評価素子80での少なくとも1つのデジタル電荷信号203は、較正関数301によって較正される。較正関数301は、少なくとも1つの変数を有する数学的関数である。
【0085】
好ましい一実施例では、較正関数301は、不揮発性メモリ素子81に格納され、マイクロプロセッサ82へとロードされる。
【0086】
較正関数301は、複数のパラメータ302を利用し、これらのパラメータ302は、圧電測定素子36、36a、36bの固有の特性に対応する。これらの固有の特性は、少なくとも以下のもの、すなわち圧電測定素子36、36a、36bの感度及び直線性を含む。この点に関して、パラメータ302は、1つ又は複数の数値を有し、特定の圧電測定素子36、36a、36bに明確に割り当てられ得る。直線性及び感度は、その圧電測定素子36、36a、36bに関して予め決定されている。
【0087】
較正関数は、有限次数の多項式であることが好ましい。多項式では、ある変数のべき乗の倍数が足し合わされる。倍数は、変数のべき乗ごとに係数によって与えられ、係数は、変数のべき乗によって乗算される。係数は、パラメータ302を表現する。
【0088】
図9に概略的に示されるように、較正関数301は、圧電測定素子36、36a、36bのデジタル電荷信号203を変数として使用して、較正デジタル電荷信号205を生成する。較正関数301は、較正デジタル電荷信号205と圧電測定素子36、36a、36bに作用する車輪荷重との間に直線関係が存在するように選択される。このことは、WIMセンサ10の圧電測定素子36、36a、36bに作用する横断車両の車輪から車輪荷重を決定するとき、測定精度を向上させるように機能する。
【0089】
好ましくは、較正関数301及びパラメータ302は、圧電測定素子36、36a、36bに対して様々な量の定められた力が順次及ぼされ、そのデジタル電荷信号203が記録されるという方法によって決定される。この方法では、アルゴリズムにより、デジタル電荷信号203を変数として使用するこの方法において加えられた力が求まる補間多項式が最初に決定され、これは、数値解析から知られている多項式補間によってなされる。この補間多項式が、デジタル電荷信号203を変数として用いて較正デジタル電荷信号205を生成する較正関数301である。感度は、多項式の線形項の係数によって直接的に与えられる。直線性は、多項式のさらなる係数によって与えられる。
【0090】
しかし、当業者は、較正関数301の別の数学的形式を選択し、異なる方法を選択して較正関数を決定することができる。
【0091】
好ましい一実施例では、較正関数301は、タイム・スタンプ208に関連付けられて不揮発性メモリ素子81に格納され、タイム・スタンプ208は、日付及び時間から構成され、マイクロプロセッサ82のアルゴリズムによって提供される。
【0092】
格納された較正関数301は、較正関数301が新しく決定される過程で、上に述べた方法によって適用され、それにより、不揮発性メモリ素子81に予め格納された較正関数301に取って代わる。しかし、前の較正関数301は、不揮発性メモリ素子81において引き続きアーカイブされる。
【0093】
圧電測定素子36、36a、36bのそれぞれに関する較正関数301が、不揮発性メモリ素子81に格納される。
【0094】
有利には、タイム・スタンプ208と共にアーカイブされる較正関数301の時間的経過から、WIMセンサ10の性能、圧電測定素子36、36a、36bに対する経時変化効果、又は道路セグメント1の道路表面2の経時変化効果及び状態が決定される。
【0095】
WIMセンサ10の圧電測定素子36、36a、36bを横断する車両2、2’、2”、2’’’の車輪によって及ぼされる車輪荷重を決定するときの測定精度の向上は、較正関数301の別の実施例を使用して、異なるやり方でも実現され得る。上に述べた較正関数301の実施例とは対照的に、以下に述べる実施例の較正関数301は、圧電測定素子36、36a、36bの温度を検出するセンサ70の、変数としてのデジタル・センサ信号204から、また圧電測定素子36、36a、36bのデジタル電荷信号203から、較正デジタル電荷信号205を生成する。したがって、較正関数301のこの実施例では、センサ70が必要とされる。較正関数301のパラメータ302は、少なくとも、圧電測定素子36、36a、36bの感度及び直線性並びに温度関係であり、これらは、圧電測定素子36、36a、36bに関して予め決定されている。較正関数301は、デジタル・センサ信号204及びデジタル電荷信号203から較正デジタル電荷信号205を生成し、理想的には、較正デジタル電荷信号205と圧電測定素子36、36a、36bに作用する車輪荷重との間に直線関係が存在し、較正デジタル電荷信号205は、圧電測定素子36、36a、36bの温度に依存しない。
【0096】
好ましい一実施例では、較正関数301が、WIMセンサ10の評価素子のマイクロプロセッサ82において、各圧電測定素子36、36a、36bに割り当てられる。圧電測定素子36、36a、36bの較正デジタル電荷信号205は、較正関数301を使用して、圧電測定素子36、36a、36bのデジタル電荷信号203から生成される。
【0097】
有利な一実施例では、合計力関数303が不揮発性メモリ素子81に格納される。合計力関数303は数学的アルゴリズムであり、マイクロプロセッサ82へとロードされ、すべての較正デジタル電荷信号205に適用される。マイクロプロセッサ82は、合計力関数303に基づいて、WIMセンサ10を横断している車両2a、2b、2c、2dの車輪によって道路セグメント1に及ぼされる合計の力206を計算する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10