特許第6871906号(P6871906)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871906
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ドライスーツ
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/012 20060101AFI20210510BHJP
   A41D 31/102 20190101ALI20210510BHJP
   A41D 31/04 20190101ALI20210510BHJP
   A41D 31/02 20190101ALI20210510BHJP
   A44B 19/00 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 5/26 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 27/34 20060101ALI20210510BHJP
   B32B 27/30 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   A41D13/012
   A41D31/102
   A41D31/04 C
   A41D31/02 C
   A44B19/00
   B32B5/26
   B32B27/34
   B32B27/30 D
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-503501(P2018-503501)
(86)(22)【出願日】2016年7月12日
(65)【公表番号】特表2018-523023(P2018-523023A)
(43)【公表日】2018年8月16日
(86)【国際出願番号】EP2016066491
(87)【国際公開番号】WO2017012910
(87)【国際公開日】20170126
【審査請求日】2019年7月8日
(31)【優先権主張番号】01072/15
(32)【優先日】2015年7月23日
(33)【優先権主張国】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】519115934
【氏名又は名称】バイエラー, パトリック ジー.
【氏名又は名称原語表記】Patrick G. Beyeler
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】バイエラー, パトリック ジー.
【審査官】 塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−173103(JP,A)
【文献】 特開2007−314927(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2001/0008027(US,A1)
【文献】 米国特許第06237152(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0261161(US,A1)
【文献】 西独国実用新案公開第01822905(DE,U)
【文献】 特開2000−071371(JP,A)
【文献】 実開昭60−086516(JP,U)
【文献】 米国特許第04738119(US,A)
【文献】 実開昭47−036716(JP,U)
【文献】 米国特許第04242769(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 13/00−13/12
A41D 20/00
A41D 27/28
A41D 31/02
A41D 31/04
A41D 31/102
A44B 19/00
B32B 5/26
B32B 27/30
B32B 27/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中に落下した人々を濡れない状態に保つことによって彼らの生命を脅かす低体温症を遅延させる、織物積層体から形成されるドライスーツであって、前記織物積層体は、外側から内側に向かって、耐破断及び難燃性織物、ポリテトラフルオロエチレン系の微孔質構造を有する防水性膜、及び内側織物から構成され、脱ぎ着するための防水性ジップファスナ(4、16)と、それぞれの袖(8)に防水性ジップファスナ(7)が下腕に沿って延在し、
着用者の首と手首の防水性シーリングは、それぞれが防水性のジップファスナ(4、7)によって分割可能なラバーリップ(11、12)によって実現され、前記ラバーリップ(11、12)は、難燃性織物上に積層され、ジップファスナ(4、7)を閉めると、着用者の首又は手首においては嵌合した防水性を発揮するようにされているので、スーツ全体は、危機的段階でない任務では、カラーとカフスを開けた状態で着用でき、よって、着用者の体表面との空気交換が可能であり、この状態から防水性ジップファスナをすべて閉めることで迅速に防水状態に移行でき、外側から内側に向けて、前記織物積層体は、外側に40g/m±10%の耐破断及び難燃性織物、次に接着層、そして、防水性だが蒸気透過性の1mmに10,000,000個超の穴を有するポリテトラフルオロエチレン系微孔質構造膜、さらに接着剤層、内側膜の保護層としてのアラミド繊維を有する織物を含み、3層の防水難燃性及び通気性の3層織物積層体は、220g/mの面積に対して最大質量を有し、前記ドライスーツの重量は1.5kg未満であり、
股領域からカラー(5)の上縁まで延在してこれを分割する防水性ジップファスナ(4)を有するワンピースコンビネーションスーツ(1)として設計され、或いは、ズボンとジャケットの間の繊維材料ブリッジ(17)を除きツーピーススーツのズボンとジャケットとして設計され、
ズボンとジャケットは、ヒップ周りに延びる防水性ジップファスナ(16)でヒップ領域において接続可能であり、前記ジップファスナ(16)の一側が前記ジャケットの底縁部に沿って延び、前記ジップファスナ(16)の一側がウェストバンドに沿っており、前記ジップファスナ(16)の端部領域は、前記ジャケットとズボンの間の前記繊維材料ブリッジ(17)を含んで横方向にオフセットして重なっている
ことを特徴とするドライスーツ。
【請求項2】
前記3層織物積層体は、最大10メートルの水柱の圧力で水が押し付けられた場合にも耐えられるような耐水性および防水性を示すことを特徴とする請求項に記載のドライスーツ。
【請求項3】
内側に凹み、防水性ジップファスナ(14)で閉めることができる少なくとも1つの胸ポケット(15)を着用者の胸部を覆う領域に有するとともに、別のスーツ又はG−スーツ或いは加速保護スーツの上に着用したとき、着用した前記ドライスーツの中に到達するための防水性ジップファスナ(18)を着用者の胸部の領域に有することを特徴とする請求項1または2に記載のドライスーツ。
【請求項4】
防水性ジップファスナ(9)で閉めることができる少なくとも1つのズボンポケット(10)を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のドライスーツ。
【請求項5】
前記3層織物が耐流入性を有するように、すなわち、約1150km/時までの空気の流れに損傷なく耐えられるように耐破断合成及びアラミドファイバから織った外側織物を有し、前記防水性ジップファスナの分離に対する保護を備えるように設計されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のドライスーツ。
【請求項6】
その内側は、さらに、外方に対して水密性のホーススリーブ開口部からポータブル加圧ガスシリンダからのホースを介して膨張し、よって冷却されたガスを供給できる平坦なガスダクトを備えており、前記ドライスーツの内側の前記ガスダクトは、汗をかきやすい身体の部分に導かれ、そこから熱を運び出すための出口開口部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のドライスーツ。
【請求項7】
前記ガスダクトの前記出口開口部は、特に、着用者の腰領域、ヒップ、膝の裏、首、及び胸、腋の下、腕関節、並びに前記着用者の前腕の内側に面する前袖に位置しているので、冷却ガスによって吸収された熱は、前記ドライスーツがあまり危機的段階でない任務で使用されるかぎり、開放カフス(13)及びカラー(5)を介して外側に運び出すことができることを特徴とする請求項に記載のドライスーツ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中に落下した者がその低体温症による生命の脅威を遅らせるために濡れないように保つための、快適で、軽く、通気性のあるドライスーツに関する。専門家の間では、浸漬保護スーツ(IPS)についての議論がなされている。
【背景技術】
【0002】
浸漬スーツ又はサバイバルスーツは、特殊な防水性ドライスーツの一種である。事故の結果として、通常は、沈没船や転覆船が放棄された後、又は軍用部門では、水中に墜落した後、又は航空機の水上への緊急着陸後などに冷水に落下した人を保護するためのものである。このようなドライスーツは、スーツ内で身体の熱を維持し、冷水から救助されるまでユーザを濡れないように保つ必要がある。これらのドライスーツは、着用者の身体に合わせて作られており、任務中に水中に落ちる危険がある場合には、予防措置として乗組員が着用しなければならない。したがって、これらのスーツは、できるだけ軽く、かつ素早く簡単に着用することができ、着心地が良いことが重要である。水中に落下したときに身体を濡れないように保ち、体温を維持すれば、低体温を遅延させることができるため、生存できるチャンスを本質的に大幅に増加させることができることが知られている。
【0003】
従来のドライスーツは、通常、強化ネオプレン製であり、フェイスシールとフラップ、指手袋、防水性ジップファスナ、足首カフス、ネオプレンポケット、及び反射ストライプを有し、着用者の動きの自由度をできる限り制限しないように構成されている。これらは、低体温に関する国際海洋安全保障条約(SOLAS)の条項に従わなければならず、その使用は、主に軍用機、軍用船舶又は軍用ボート、フェリー、オフショア掘削リグ、救命艇、高速救助ボート、及び一般商業用などの乗員を対象としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライスーツの構築における課題は、様々な目的の矛盾があることである。スーツは、熱損失と濡れに対する保護を最適な状態にする必要がある。しかし、実際の機能が緊急でない限り、これらの特性を達成すればするほど、着用するのがより不快になる。防水性のため、例えばネオプレンを使用する場合、身体の皮膚の発汗又は呼吸は不可能である。よって、熱が体内に蓄積し、これは非常に不快である。遮熱性が高ければ高いほど、スーツの着用の快適性が低下する。厚い断熱材の層を備えた多くのドライスーツは、非常に頑丈で扱いにくいため、ユーザが自分で着用することが難しい。彼らはスーツを着るための補助者が必要である。例えば、航空機乗組員の場合、準備段階やフライトのブリーフィングやデブリーフィング中にもドライスーツを着用しなければならない場合、影響を受ける人にとって、これは通常、非常に不快である。通常のスーツでは、人は発汗するが、原則的には熱を発散するために効果的に発汗することができない。従来のドライスーツを着用すると、直後に、このスーツによって首と手首が防水密閉され、内側と外側との間、したがって体表面との間の空気交換が阻止される。これにより、まもなく、体表面が湿り、又は濡れ、熱蓄積に苦しむことになる。したがって、そのようなドライスーツを着用することは、長期的には非常に不快であり、満足感と能力を大きく損なうことになる。この事実は海軍のパイロットはすぐに確認できるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、本発明の目的は、着用者を水中で濡れない状態に保ち、既存の規制に従って遮熱する機能に加えて、はるかに軽くてはるかに着用しやすい、はるかに着用が快適なドライスーツを作成することにある。さらに、ドライスーツは、国際公開第WO2012/066114号に示されているように、加速保護スーツと組み合わせて着用可能であるべきであり、いずれの場合もユーザが介助なしに着脱可能であるべきであり、非機能状態で使用する際の受動的又は任意的に能動的な冷却機能を有する。
【0006】
この目的は、水中に落下した人々を濡れない状態に保つことによって、命を脅かす低体温を遅らせるためのドライスーツであって、前記ドライスーツを脱ぎ着するための少なくとも1本の防水性ジップファスナを有することを特徴とし、防水性ジップファスナは、開放するためにカラーを分割し、それぞれの袖において防水性ジップファスナは前腕に沿って延在して防水性カフスを開放し、危機的段階でない任務では、スーツ全体を、カラーとカフスを開放して着用できるようにしてあるので、体表面との空気交換を確保でき、防水性ジップファスナを全て閉めることによってこの状態から防水状態に迅速に移行できるドライスーツによって解決できる。
【0007】
図では、このスーツは2つのバージョンで描写され、以下に記載し、その機能を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ワンピースのコンビネーションスーツとして設計されているドライスーツの着用状態を正面から見た図である。
図2】繊維材料ブリッジを除いてジャケット及びズボンを有するツーピーススーツのようなドライスーツの着用状態を正面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に見られるように、この例のスーツはコンビネーションスーツ1として設計されており、すなわち、ワンピーススーツを形成している。特別な特徴として、このスーツは、単位面積あたりの重量が220g/mに過ぎない3層の難燃性、防水性、通気性、及び耐流入性の織物積層体からなる。この難燃性織物積層体は、外側に裂けにくく難燃性の繊維と、それに続く接着剤層と、例えばポリテトラフルオロエチレンを基材とする微孔質構造を有する膜とからなり、1mm当たり10,000,000個超の孔を有するため、この膜は防水性であるが蒸気透過性である。次に、別の接着剤層が続き、特に約40g/m±10%の軽量であり、内膜の保護層として働くアラミド繊維(Kevlar(登録商標))の織物が続く。したがって、織物積層体は、最大10メートルのカラム圧力に耐えることができ、従って、耐水性、又は防水性、並びに耐流入性が高い。この織物積層体を使用することにより、これまで可能であると考えられていなかった、1.5kg未満という、軽い全重量のドライスーツが実現した。これにより、このドライスーツの着用の快適性が大幅に向上することになる。実験では身体にほとんど嵩ばりがないことがわかり、観察者に気付かれずに普段通りのスーツの下で着用することさえできる。ドライスーツの織物は、ドライスーツが射出座席の射出の際にパイロットに作用する最大600ノット(kn)又は1111km/時の非常に高い入射流速に耐えることができるように耐流入性を備えていなければならない。この耐流入性は、難燃性の薄い外側の織物が提供する上記の高い引裂抵抗によって達成される。
【0010】
ドライスーツを着用するには、脚と足をズボン結合部2に差し込み、この部分は、その後は着用者の脚と足を今度は包み込むようにすることによって、防水性の3層織物で作られたズボン接合部2が、フットビンディング3にシームレスに合流するので、着用者は、ひざの深さまで、又はヒップの深さまで水の中で立つことができる。防水性ジップファスナ4が股の領域からカラー5の上部まで延びているので、このスーツは容易に着用できる。上半身衣服6を着用するために、前側メインジップファスナ4と共に、カフス13と前袖8上の2つのジップファスナ7も開く。以後、上半身衣服6上を滑り、その過程で腕を袖8に滑り入れることができる。このスーツは、防水性ジップファスナ14で閉めることができる少なくとも1つの防水性ジップファスナ胸ポケット15、並びに胸部のスーツの内部へのアクセスを可能にする別の防水性ジップファスナ18を提供する。これは特に、ドライスーツが別のスーツ、特に加速スーツの上に着用される場合に必要である。この場合、このドライスーツを上に重ね着しても、加速保護スーツの機能が損なわれないことが示されている。さらに、ドライスーツは、任意で防水性のズボンポケット10を有していてもよく、これは同様に防水性のジップファスナ9で閉じることができる。
【0011】
準備中及び中間時点で、スーツが待機モードにある必要がないときには、すなわち危機的段階でない任務では、このドライスーツは、ジップファスナ7を完全に閉めずにいくらか自由に開いたままにすることによって、またカラー5のメインジップファスナ4を任意にいくらか開いておくことによって、カラー5の上部及び前袖8を開いたままにすることができる。したがって、現在までの他のドライスーツでは不可能であった有効な受動冷却機能が達成され、これは、おそらくこのドライスーツの最も重要な利点である。従来のドライスーツは、一度着用すると、首と手首を防水状態で囲むので、身体との空気交換がもはや不可能となり、これは、緊急事態が発生していない限りは非常に不快であることの証明であり、ドライスーツが着用されているほとんどの時間はそれが真実である。しかしながら、ここではカラー5及びカフス13及び前袖8を開放することによって提示されるドライスーツの冷却機能は、ユーザに実用上非常に歓迎されている。冷却機能とその特別な軽量のために、このドライスーツを着用することは、従来の設計のクローズドドライスーツよりもはるかに快適であることが判明している。
【0012】
メインジップファスナ4は、スタンバイ段階の直前にのみ上部カラー端まで閉める。カラー5は、その上縁部に弾性ラバーリップ11を備えており、メインジップファスナ4が完全に閉じられたときに着用者の首が全面的に防水性とされる。袖の前端にあるカフス13も同様に実行される。それらは、ジップファスナの周りに延びるラバーリップ12で終端となる。前袖8のジップファスナ7が完全に前方に向かって閉じられると、これらのラバーリップ12は前腕の周りの手首の後ろで防水的に閉じられる。
【0013】
図2に示すように、ドライスーツは、繊維材料ブリッジによってジャケットとズボン17が取り付けられたツーピーススーツの変形品として効果的に製造することができる。ズボンとジャケットは、いくらか重なり合うヒップの周りを延びる防水性ジップファスナ16によって防水性を有して接続可能である。この設計はヒップ領域において、さらなる冷却機能を提供する。なぜなら、このジップファスナ16が多少開かれると、待ち望んだ冷却機能が腹部、ヒップ及び腰部の領域で達成されるからである。特に腰部の領域では、特に激しく汗をかく傾向がある。これとは別に、このスーツは、図1に対応するものと同一に構成されている。すなわち、防水性ジップファスナ14及び胸部領域の防水性ジップファスナ18で閉じることができ、外側からドライスーツ内部に届くためのものである少なくとも1つの防水胸ポケット15を有する。さらに、示されているように、このスーツは、防水性のジップファスナで閉じることができる防水性のズボンポケット10を有する。
【0014】
したがって、このドライスーツは、図示されているように、航空機乗務員のための寒冷及び水に対する唯一の既知の保護服であり、飛行準備及び飛行後処理及びデブリーフィングで、カラーを下腹部まで開いて、又、カフス13と前袖を開放して着用したとしても、防水性ジップファスナを迅速に閉じることによって、着用者は、緊急事態では、必要な冷水保護に供される。
【0015】
さらに、このドライスーツは、初めて比較的薄い3層構造の織物積層体で構成されているため、1.5kg未満の重さであり、軽くて嵩ばることがなく、加速保護スーツの上に重ね着することができ、国際公開第2012/066114号に開示されているような設計に従って構築されている場合、このG−スーツの機能は損なわれない。さらに、クーリングスーツの特徴が組み合わされている場合、すなわち、その内側において平坦な冷却チャネルを設けてあれば、例えば、ヒップ領域において、外側に対して防水性を有するホーススリーブ開口からポータブル加圧ガスシリンダからのホースを介して、膨張され、よって冷たいガス、好ましくは冷たい空気を供給することができれば、寒さと湿気からの保護に加え、防護服として単に予防措置として着用している間にも、能動的で非常に効果の高い冷却システムを提供する。ガスダクト及びエアダクトは汗をかきやすい身体の部分すべてに導かれ、そこから熱を運び出すための出口開口部を有する。これらのポイントは、特に、腰、ヒップ、膝の裏領域、首及び胸部、腋の下、腕関節、並びに着用者の前腕の内側に面する前袖に位置している。この冷却ガス又は冷却空気によって吸収された熱は、次に、ドライスーツがそのまま使用されている限り、開いたままのカフス13及び開いたカラー5を通って外側に運び出される。よって、これにより、大陸間飛行や熱帯地域や極地での運行において、より快適で、熱が集中しづらいシステムが提供できる。
【0016】
パイロットや他の乗組員は何も助けを必要とせず、自分でスーツを脱ぎ着することができる。非常に軽く、同時に、非常に重厚な3層構造の織物積層体がこのドライスーツのために開発された。この画期的な織物積層体は、軽量化と同時に高強度と耐久性につながる。防水性と、ある程度の通気性に加えて、得られたスーツ全体の重量は1.5kg未満である。
【0017】
このドライスーツには耐火性織物で覆われた合成防水性ジップファスナが含まれており、フライト前からフライト後の間中スーツを首と腕を開放した状態で着用することができ、最大限の快適性が実現される。首及び前腕の開放可能な袖13は、快適性を大幅に高め、歪みが少なく、その分、着用者の疲労が少ないため、着用者は、その能力を維持しながら長期間の着用に耐えられる。難燃性織物に積層されたネオプレン、シリコーン又は同等の性質を有する弾性ラバーリップ11からなるカラー5の防水仕上げは、メインジップファスナ4によって分割されているが、メインジップファスナ4が閉じられると首領域を密閉する。カラー5のように、袖の端部のカフス13は、そのような構造体、すなわちジップファスナ7によって分割可能であり、カフス13の難燃性織物上に積層されたラバーリップ12で形成されており、ラバーリップ12はネオプレン、シリコーン、又は同等の性質を有する材料で形成されている。
【0018】
スーツ1内にガス又は空気ダクトを有する前述の冷却システムと組み合わせれば、ユーザが激しく疲労することなく、高い周囲温度及び高い相対湿度を有する極端な環境条件下でさえ、長期作業が可能である。それにもかかわらず、ユーザは常に数秒で防水及び断熱的に包まれる、つまり、彼、又は彼女は、防水性ジップファスナ4,7,9及び16を完全に閉じるだけでよい。
【0019】
このようなドライスーツを使用するためのターゲットグループは、主に次の職種である。
■ジェット推進機のパイロット/乗組員。
■ヘリコプター、輸送航空機、及び特殊航空機のパイロット、乗組員、乗客。
■海上船の乗組員と乗客。
■あらゆる種類のウォータースポーツマン(ヨット、カヌー、カヤーカー、サーファー、スタンドアップパドラーなど)。
【符号の説明】
【0020】
1 コンビネーションスーツ
2 ズボン接合部
3 フットビンディング
4 メインジップファスナ
5 カラー
6 上半身衣服
7 前袖上のジップファスナ7
8 袖
9 開閉可能なズボンポケット用のジップファスナ
10 開閉可能なズボンのポケット
11 カラー5上の弾性ラバーリップ
12 カフス上の弾性ラバーリップ
13 カフス
14 胸ポケット用防水性ジップファスナ
15 胸ポケット
16 ジャケットとズボンの間のジップファスナ
17 ジャケットとズボンの間の織物材料ブリッジ
18 スーツの内部に到達するための胸部内の防水性ジップファスナ
図1
図2