特許第6871915号(P6871915)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6871915
(24)【登録日】2021年4月20日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】改良された応答性を持つ熱的負荷
(51)【国際特許分類】
   F25B 49/02 20060101AFI20210510BHJP
   F25D 23/00 20060101ALI20210510BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20210510BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20210510BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20210510BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   F25B49/02 A
   F25D23/00 301G
   F24F11/46
   H02J3/32
   H02J13/00 301C
   F25D11/00 101U
【請求項の数】24
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-512555(P2018-512555)
(86)(22)【出願日】2016年9月2日
(65)【公表番号】特表2018-533711(P2018-533711A)
(43)【公表日】2018年11月15日
(86)【国際出願番号】GB2016052714
(87)【国際公開番号】WO2017042542
(87)【国際公開日】20170316
【審査請求日】2019年8月5日
(31)【優先権主張番号】1515911.4
(32)【優先日】2015年9月8日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517049389
【氏名又は名称】オリガミ エナジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルルーシュ ジェルズィ
【審査官】 久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04614089(US,A)
【文献】 特開2014−126274(JP,A)
【文献】 特開平04−093558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 49/02
F24F 11/46
F25D 11/00
F25D 23/00
H02J 3/32
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力供給のピーク又は谷に応答するために必要になり得る応答性負荷(100)を提供する方法であって、
第1及び第2熱的負荷(105,106,107,110,112,114)を提供することであって、前記第1及び第2熱的負荷のそれぞれは、オン/オフサイクル及び前記オン/オフサイクル中のデッドタイムを有し、前記第1及び第2熱的負荷のそれぞれはその対応するデッドタイム中には応答性を有しない、第1及び第2熱的負荷を提供すること、
前記熱的負荷を少なくとも1つのローカルサーモスタットに応答してローカル制御ループ(102,104)で制御すること、及び
前記熱的負荷を制御して、前記電力供給のイベントに応答することによって、需要のピーク及び谷を平滑化すること
を含み、
前記熱的負荷についての前記デッドタイムに関する情報をサーバ(30)において記憶すること、及び
前記サーバが、前記応答性負荷の運転に介入すること、及び前記第1熱的負荷の前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にして、前記第1及び第2熱的負荷の前記オン/オフサイクルをデッドタイムについて調整し又は千鳥状にすることによって、重なり合うデッドタイムを回避、低減又は緩和すること
を特徴とする方法。
【請求項2】
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、第1冷蔵負荷に、前記第1熱的負荷のデッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、前記第1熱的負荷のデッドタイムが第2熱的負荷のデッドタイムと完全には一致しないようにさせる
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、前記複数の熱的負荷の前記デッドタイムを分散することによって、前記デッドタイムの重なりを低減又は最小化することをさらに含む
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、前記複数の熱的負荷の前記デッドタイムを分散することによって、前記第1及び第2熱的負荷及びさらなる熱的負荷の運転サイクルを千鳥状にすることをさらに含む
請求項2及び3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、前記複数の熱的負荷の前記デッドタイムを分散することによって、与えられた時刻においてオンデッドタイム中で運転されていない少なくとも1つのコンプレッサが存在するようにすることをさらに含む
請求項2〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、前記複数の熱的負荷の前記デッドタイムを分散することによって、与えられた時刻においてオフデッドタイム中で運転されていない少なくとも1つのコンプレッサが存在するようにすることをさらに含む
請求項2〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、前記第1熱的負荷及び前記第2熱的負荷が重なり合うデッドタイムを有することを予期すること、及び前記第1熱的負荷を選択してそのデッドタイムを早めるか又は遅らせることを含む
請求項2〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1熱的負荷を選択してそのデッドタイムを早めるか又は遅らせることは、前記第1及び/又は前記第2熱的負荷の温度及び/又は温度制限、及び/又は前記第1及び/又は前記第2熱的負荷に関連する冷蔵庫の温度及び/又は温度制限に基づく
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1熱的負荷を選択してそのデッドタイムを早めるか又は遅らせることは、定常状態の条件に温度を再調整するための、より大きいマージンを持つ熱的負荷を選択することを含む
請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記介入するステップは、重なり合うデッドタイムの間に選択的に、蓄電池(50)に、前記負荷へ電力を提供させるか、又は蓄電池に、前記負荷へ供給する電源から電力を引き出させることを含む
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の熱的負荷のうちの少なくとも1つは、周期を有するサイクルで運転し、前記サーバは、前記オン/オフサイクルの周期の情報を記憶するか、又は前記オン/オフサイクルの周期の情報にアクセスできる
請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の熱的負荷のうちの少なくとも1つは、デューティサイクルで運転し、前記サーバは、前記デューティサイクルの情報を記憶するか、又は前記デューティサイクルの情報にアクセスできる
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記サーバは、前記複数の熱的負荷の1つ以上の振る舞いを、オン、オフ、又はデッドタイム内であるそれらの状態をモニタリングすることによって制御するようさらに動作可能である
請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記サーバは、前記少なくとも1つのローカルサーモスタットからの1つ以上の測定値をモニタリングすることによって前記複数の熱的負荷の1つ以上の振る舞いを制御するようさらに動作可能である
請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記サーバは、前記複数の熱的負荷のうちの1つ以上の振る舞いを予め計画又は変更するようさらに動作可能である
請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記サーバは、前記複数の熱的負荷のうちの1つ以上の熱的負荷の1つ以上の予期された又は以前に決定されたオンにする時刻又はオフにする時刻の情報を記憶し、又はその情報にアクセスできる
請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記サーバは、前記複数の熱的負荷のうちの1つ以上の熱的負荷の1つ以上のオンにする時刻又はオフにする時刻を予期又は予測するようにさらに動作可能である
請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記サーバが、応答性負荷の運転に介入すること、及び第3熱的負荷の前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にして、前記第3熱的負荷の前記デッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、複数の重なり合うデッドタイムの開始を引き起こすことをさらに含む
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
電力供給のピーク又は谷に応答するために必要になり得る応答性負荷システムであって、
複数の熱的負荷(105,106,107,110,112,114)であって、前記複数の熱的負荷のそれぞれは、オン/オフサイクル及び前記オン/オフサイクル中にデッドタイムを有し、前記複数の熱的負荷のそれぞれはその対応するデッドタイム中には応答性を有しない、複数の熱的負荷、
前記複数の熱的負荷を少なくとも1つのローカルサーモスタットに応答してローカル制御ループ(102,104)で制御する手段、
前記複数の熱的負荷を制御して、前記電力供給のイベントに応答することによって、需要のピーク及び谷を平滑化する手段、
前記複数の熱的負荷についての前記デッドタイムに関する情報を記憶するサーバ(30)、及び
前記サーバが、前記熱的負荷の運転に介入すること、及び前記複数の熱的負荷のうちの第1熱的負荷の前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にして、前記熱的負荷の前記オン/オフサイクルをデッドタイムについて調整し又は千鳥状にすることによって、重なり合うデッドタイムを回避、低減又は緩和する手段
を備える応答性負荷システム。
【請求項20】
前記サーバが、前記熱的負荷の運転に介入すること、及び前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にする手段は、前記第1熱的負荷に、前記第1熱的負荷のデッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、前記第1熱的負荷のデッドタイムが前記複数の熱的負荷のうちの第2熱的負荷のデッドタイムと完全には一致しないようにさせる
請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記重なり合うデッドタイムを回避、低減又は緩和する手段は、前記サーバの制御下にある蓄電池を備える
請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
応答性負荷を提供する方法であって、
将来の時刻t1及びt2であってそれらの間において応答性負荷が必要となる将来の時刻t1及びt2、をサーバにおいてモニタリングすること、
コンプレッサであって前記コンプレッサが応答性を有しないデッドタイムを有するオン/オフサイクルを持つコンプレッサ、を有する熱的負荷を提供すること、
ローカルサーモスタットに応答して前記コンプレッサをローカル制御ループで制御すること、
前記コンプレッサの前記デッドタイムに関する情報をサーバにおいて記憶すること、及び
前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドして前記オン/オフサイクルを早めるか又は遅らせることを可能にすることによって、前記デッドタイムが時刻t1からt2の外になるようにし、時刻t1及びt2の間の前記応答性負荷の応答性の予期された低下を回避、低減又は緩和すること
を含む方法。
【請求項23】
第2コンプレッサであってそれが応答性を有しない第2デッドタイムを有する第2コンプレッサ、を有する第2熱的負荷を提供することをさらに含み、
前記オン/オフサイクルを早めるか又は遅らせることは、
前記デッドタイムと前記第2デッドタイムとの重なりを回避又は低減すること、又は
前記デッドタイムと前記第2デッドタイムとの重なりを時刻t1からt2の外で発生させること
を含む
請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記回避、低減又は緩和するステップは、時刻t1からt2の間で、前記負荷に電力を供給するか、又は前記負荷に供給する電源から電力を引き出すように、蓄電池をスイッチングすることを含む
請求項22に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
応答性負荷が記載され、特に冷蔵(エアコンを含む)負荷、及びエネルギー利用可能性における変動を利用するために、及び/又は電気的グリッド又はネットワークの運用を促進するために応答性負荷が制御され得る方法が記載される。
【背景技術】
【0002】
典型的には、冷蔵負荷、例えば冷蔵庫又はエアコンユニット内のコンプレッサは、オン/オフサイクルにおいて運転することで、最大温度と最小温度との間の許容可能な範囲内に温度を維持する。冷蔵庫又は冷蔵プラント又はエアコンユニット又は建築物又は建築物複合体は多くのそのようなコンプレッサを有し得る。コンプレッサがオフ状態にあり、冷蔵庫温度(温度計によってモニタされる)が上昇し、最大運転温度に近づくとき、コンプレッサはオンにされ、温度を下げる。コンプレッサがオン状態にあり、温度が下がり、最小運転温度に近づくとき、コンプレッサはオフにされ、温度が上がることを許す。
【0003】
コンプレッサは電力を消費する。電力のコストは、時間と共に、例えば一日のうちの異なる時間帯の間で、変化し得る電力の需要及び供給に依存し得ることが知られている。ピーク需要に見合う電力容量を発電機が供給しなければならず、容量の提供が高価であるのもまた問題である。そのような電力価格スキーム又はピークに利用可能な電力の制約の下では、コンプレッサのオン/オフサイクルを操作することによって、それらのオン/オフの振る舞いと、エネルギーの利用可能性の時間的変動との間の同期を改善することが可能な、冷蔵庫のような応答性負荷を提供することが優位性をもつかもしれない。例えば、エネルギー供給がピークであり、よってエネルギーがより安価に利用可能である場合には、冷蔵庫がその最低運転温度より下になるまで冷却はされない限り、冷蔵庫の温度は、コンプレッサをオンにすることによって下げられ得る。同様に、エネルギーの需要がピークの場合には、冷蔵庫の温度は、冷蔵庫がその最大運転温度より上になるまで暖かくならない限り、コンプレッサがオフにされることによって上昇することが許容され得る。
【0004】
したがって応答の能力を持つ冷蔵負荷が好まれる。電力供給又は電力需要におけるピーク及び谷は、予測され又は予めよく知られることが可能かもしれず、可能ではないかもしれない。事前の知識が利用可能である場合には、例えば、電力コストがより高くなり得る、電力供給の予測される谷、又はエネルギー需要の予測されるピークの前に、温度を下げるよう駆動することが優位性を有し得る。同様に、エネルギー価格がより低くなり得る、エネルギーの供給の予測されるピーク、又はエネルギー需要の予測される谷の前に、温度が上がるにまかせておくことが優位性を有し得る。
【0005】
コンプレッサのような1つ以上の冷蔵負荷を含む冷蔵庫のような応答性負荷は、中央サーバによって制御され得る。それぞれの個別のコンプレッサは、ローカル制御ループ又はローカルコントローラによって制御され得て、ローカル温度センサ(例えば温度計又はサーモスタット)によってモニタされ得る。加えて、1つ以上のルータは、システム中に存在することによって冷蔵負荷及びサーバと通信し得る。サーバは、高レベルの目標に基づいて命令を発行し、ローカル制御ループ(群)をオーバーライドし得る。例えばルータ(群)は、ルータ(群)は、サーバから命令を受信して、ローカル制御ループ(群)に応答させ得る。ある実施形態では、ローカルコントローラ群は、ルータ(群)を介して通信することによって、それらの振る舞いをピアツーピアベースで協調し得る。
【0006】
応答性負荷を含む電力分配制御システムの局面は、先の特許出願GB 1414724.3及びPCT/GB2014/052542において議論されている。
【0007】
運転の過程で、冷蔵庫の典型的なコンプレッサは、非応答性であり、オンにもオフにもできない「デッドタイム」を有する。例えば、いったんコンプレッサの電源がオフにされると、その直後の一定の期間はオンにすることができないことがあり得る。これは例えば、システム中の圧力が落ち着くことによって、コンプレッサ又はシステム又はその他に対する損傷を防ぐ必要があることによる。同様に、いったんコンプレッサがオンにされると、その直後の一定の期間はオフにすることができないことがあり得る。熱電併給(combined heat and power, CHP)のプラント又はヒートポンプのような他の熱的負荷も、非応答性のデッドタイム(典型的にはオンにされ、又はオフにされた直後)を同様に経験し得る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、応答性負荷を提供する方法であって、それぞれが、応答性を有しないデッドタイムを有する、第1及び第2熱的負荷を提供すること、前記熱的負荷を少なくとも1つのローカルサーモスタットに応答してローカル制御ループで制御すること、前記熱的負荷についての前記デッドタイムに関する情報をサーバにおいて記憶すること、及び前記サーバが、応答性負荷の運転に介入すること、及び前記第1熱的負荷の前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にして、前記第1熱的負荷の前記デッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、重なり合うデッドタイムを回避、低減又は緩和することを含む方法が提供される。ある局面において、前記サーバが前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることは、第1熱的負荷に、第1熱的負荷のデッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、前記第1熱的負荷のデッドタイムが第2熱的負荷のデッドタイムと完全には一致しないようにさせる。他の局面において、前記介入するステップは、重なり合うデッドタイムの間に選択的に、蓄電池に、前記負荷へ電力を提供させるか、又は蓄電池に、前記負荷へ供給する電源から電力を引き出させることを含み得る。
【0009】
本発明の第2局面によれば、それぞれが、応答性を有しないデッドタイムを有する、複数の熱的負荷、前記複数の熱的負荷を少なくとも1つのローカルサーモスタットに応答してローカル制御ループで制御する手段、前記複数の熱的負荷についての前記デッドタイムに関する情報を記憶するサーバ、及び前記サーバが、応答性負荷の運転に介入すること、及び前記複数の熱的負荷のうちの第1熱的負荷の前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にして、前記第1熱的負荷の前記デッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、重なり合うデッドタイムを回避、低減又は緩和する手段を備える応答性負荷システムが提供される。ある局面において、前記サーバが、応答性負荷の運転に介入すること、及び前記第1熱的負荷の前記ローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にする手段は、第1冷蔵負荷に、第1熱的負荷のデッドタイムを早めるか又は遅らせることによって、前記第1熱的負荷のデッドタイムが第2熱的負荷のデッドタイムと完全には一致しないようにさせる。他の局面において、前記重なり合うデッドタイムを回避、低減又は緩和する手段は、前記サーバの制御下にある蓄電池を備え得る。
【0010】
本発明の第3局面によれば、応答性負荷を提供する方法であって、将来の時刻t1及びt2であってそれらの間において応答性負荷が必要となる将来の時刻t1及びt2、をサーバにおいてモニタリングすること、コンプレッサであってそれが応答性を有しないデッドタイムを有するコンプレッサ、を有する熱的負荷(例えば冷蔵負荷又はヒートポンプ)を提供すること、ローカルサーモスタットに応答して前記コンプレッサをローカル制御ループで制御すること、前記コンプレッサの前記デッドタイムに関する情報をサーバにおいて記憶すること、及び時刻t1及びt2の間の前記負荷の応答性の予期された低下を回避、低減又は緩和することを含む方法が提供される。ある局面においては、前記回避、低減又は緩和するステップは、前記サーバがローカル制御ループをオーバーライドすることを可能にすることによってデッドタイムが時刻t1からt2の外になるまでデッドタイムを早めるか又は遅らせることを含み得る。他の局面においては、前記回避、低減又は緩和するステップは、時刻t1からt2の間で、前記負荷に電力を供給するか、又は前記負荷に供給する電源から電力を引き出すように、蓄電池をスイッチングすることを含み得る。
【0011】
熱的負荷がオン又はオフにされた直後に起こる、このいわゆるデッドタイムに関するパラメータ(例えばその持続期間)は、応答性負荷及び熱的負荷を制御しているサーバに知られている。これらは、サーバにプログラミングされていてもよく、又はサーバにそれらを見つける手段が設けられていてもよい。例えば、もしコンプレッサについてのデッドタイムが既に知られている状態ではないなら、それは、検出又は測定され得て、その後、サーバにおいて記憶され得る。たいていの場合、デッドタイムは、それぞれの対応するコンプレッサについて持続期間が一定であるが、デッドタイムは、時々、検出し、測定し、アップデートすることが必要であり得る。
【0012】
通常運転中の典型的な熱的負荷のオン/オフサイクルにおけるデッドタイムの存在を考えれば、及び時間に従ったエネルギーコストの変化を考えれば、冷蔵庫のような応答性負荷は、予測されたエネルギー供給のピーク又は谷を前に応答性を維持するのが有利である。換言すれば、冷蔵庫が電力供給におけるピーク又は谷に応答することが必要であるときには、そのコンプレッサのうちのいくつか又は全てがそれらのそれぞれのデッドタイム内に存在しないことを確保することが有利である。したがって、熱的負荷の周期的なオン/オフ振る舞いを操作する能力は、システムの全体的な柔軟性を改善する。ある局面において、この操作は、1つ以上のコンプレッサをオンにしたり又はオフにしたりすることを、遅らせたり又は早めたりすることによって達成され得て、その結果、1つ以上のデッドタイムは、応答性負荷が必要とされるかもしれない期間と一致しない。ある局面において、これは、サーバがローカル制御ループをオーバーライドすることによってデッドタイムを早めるか又は遅らせることを可能にすることを伴う。
【0013】
代替の実施形態において、もしシステム中で蓄電池資産が利用可能であれば、コンプレッサデッドタイムを、蓄電池運転の短い期間で埋めることも可能である。
【0014】
オプションとして、電力供給のピーク又は谷の正確な時刻が予めよく知られていない場合、及び応答性負荷中に複数のコンプレッサ(熱的負荷)が存在する場合には特に、複数の熱的負荷のオン/オフ時刻を制御及び調整することによって、それらのデッドタイムが一致しないようにし、熱的負荷のいくつか又は全てが、いかなる時も又は特定の時に、応答性を維持するようにすることが有利である。ある実施形態においては、これは熱的負荷のオン/オフサイクルを千鳥状にすることによって達成され得る。
【0015】
冷蔵庫(又はCHPプラント又はエアコン又はヒートポンプ又は他の熱的負荷)の運転スレッショルドを越えることがない、つまり運転スレッショルドに背かない限り、すなわち温度が、所定の最大及び最小値の間の範囲内に収まっている限り、ここで開示されている、熱的負荷を持つ応答性負荷のシステム、及びそのようなシステムを提供する方法は、熱的負荷のデッドタイムの影響を低減又は除去することを通じて、改良された応答性を可能にすることによって、電力供給又は需要及び電力コストにおける変化を利用することができる。
【0016】
本システムは、冷蔵庫及びCHPプラントのような熱的負荷だけでなく、ビルの熱的容量、エアコンの現場での冷媒配管中に蓄えられた冷却材、又はCHP又は他のヒーティングプラントサイト中の温水のような、組み込まれたエネルギー貯蔵を有する任意のプロセス又はプラントのためにも動作することに注意されたい。実効的には、内在的なエネルギー貯蔵の存在は、主要なプロセスの結果に影響を与えることなく、システムが資産のオン/オフ時刻を間接的に操作することができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、応答性負荷100を備えるシステムの例を図示する。
図2a図2aは、運転中の冷蔵負荷のオン/オフサイクルの例示的表現である。
図2b図2bは、運転中の冷蔵負荷のオン/オフサイクルの例示的表現である。
図2c図2cは、電力供給及び温度の変化に応じた冷蔵負荷のオン/オフの振る舞いの例示的表現である。
図3a図3aは、応答性負荷100中の3つの冷凍負荷110−114のオン/オフサイクル310−314を図示する。
図3b図3bは、応答性負荷100中の3つの冷凍負荷110−114のオン/オフサイクル310−314を図示する。
図4図4は、応答性負荷100を備えるシステムにおいて蓄電池資源が利用可能な実施形態を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、応答性負荷100の例を図示する。応答性負荷、例えば冷蔵庫バンク(又はエアコン又はヒートポンプ)は、複数の冷蔵庫105〜107(又はエアコンユニット又はヒートポンプ)を備え、それらのそれぞれは、コンプレッサ110〜114、温度センサ又は温度計120〜124、及びローカル制御入力130〜134を有する。それぞれのコンプレッサは、ローカルコントローラ102及びローカルエリアネットワーク104を備えるローカル制御ループによる制御下にある。温度センサ群は、それらの測定値をローカルコントローラ102にネットワーク104を介して供給する。ローカルコントローラ102は、コンプレッサ110〜114の入力をネットワーク104を通して制御する。単一の制御ループにおいて、与えられた1つの温度センサについて複数のコンプレッサが存在してもよく、又は与えられた1つのコンプレッサについて複数の温度センサが存在してもよいことに注意されたい。冷蔵庫105〜107は、ローカルコントローラの共通した制御下にあるとして図示されるが、それらは、スタンドアローンで、それぞれがそれ自身のローカルコントローラの制御下にあって、それぞれのローカルコントローラがサーバ30とそれぞれのルータを通して別個に通信してもよい。ルータ11及び12を介してサーバ30に割り当てられる、さらなる冷蔵庫群、又は冷蔵庫バンク群が存在してもよい。
【0019】
CHPプラント又は他の熱的負荷の場合、コンプレッサ110〜114の代わりに他のアクティブな(駆動される)要素が存在してもよい。
【0020】
ローカルエリアネットワーク104に結合されるのは、公衆IPネットワーク20を通してサーバ30に結合されるルータ10である。サーバは、パワーグリッド40に接続される。コンプレッサ110〜114も、パワーグリッド40に接続される。図1に図示される実施形態では、サーバ及びルータ(群)は、冷蔵庫又は応答性負荷そのものの一部ではないが、より大きな制御システムの一部ではある。
【0021】
冷蔵庫100の通常運転においては、ローカルコントローラ102は、コマンドを入力130〜134に提供することによって、センサ120〜124によって提供される温度読み取り値に基づいてコンプレッサ110〜114を駆動し、冷蔵庫の温度を許容可能な運転範囲内に維持する。例えば、もし温度が低いところから最大温度に近づいているなら、温度が上方設定点を超える時(又は温度上昇のその速度が閾値を超えるか、両方の組み合わせの時)、ローカルコントローラ102は、1つ以上のコンプレッサをオンにし、温度を下げる。同様に、もし温度が高いところから最低温度に近づいているなら(例えば、温度が下方設定点より下に下がるか、又はその低下速度が閾値を超えるとき)、ローカルコントローラ102は、1つ以上のコンプレッサをオフにして、温度が上がることを許す。もし許容可能な温度範囲を越えるなら、冷蔵庫100の内容物が傷み、廃棄されなければならなくなるかもしれない。上方及び下方設定点及び最高及び最低温度は、ローカル制約パラメータである。コンプレッサ110〜114の運転におけるこのオン/オフサイクルのパターンは、応答性負荷100の基本かつ典型的なローカル運転であり、これに対してのさまざまな変形例が可能である。
【0022】
オン/オフの振る舞いは、電力の供給及び需要とそのコストのパターンに応答し得る。例えば、ローカルコントローラ320は、オフピーク(低コスト)電力の期間の間に冷蔵庫を優先的に駆動するためのタイミング命令を有し得る。ローカルコントローラは、予めプログラミングされることによって、規則的に、例えば繰り返される電力コスト変動パターンに基づいて、ある種の所定のやり方でオン/オフ挙動を制御し得る。
【0023】
ルータ10は、パラメータ及び/又は命令をサーバ30から受け取ることによって、応答性負荷100の運転に影響を与える。これらパラメータ又は命令と、ローカルコントローラ102中に予めプログラミングされたパラメータとの間で食い違いがある場合は、前者が後者をオーバーライドする。これは、システムの全体的な運転に重要な、なんらかのより高い優先順位の存在、又は高レベルの目標のためであり得る。ある実施形態では、これは、エネルギー供給又は需要における予測しないピーク又は谷の到着を伴い得るが、これは予期しない価格上昇又は下降につながり、有利に利用又は回避され得る。
【0024】
上記において、サーバ30は、パラメータ及び/又は命令をルータ10に直接に、又はルーティングサーバのようなそれ自身のために働くローカルの中継又はプロキシを経由して送り得る。後者の可能性は、中央サーバと、個々の資源のルータとの間の通信の途絶を緩和するのを有利に助け得る。
【0025】
図2aは、典型的な運転の間のコンプレッサ(冷蔵負荷)のオン/オフサイクルの例示的表現200を示す。コンプレッサは、オフ状態にあるか、又はオン状態にあるかのいずれかであり得る。負荷のデューティサイクルは、ある1つの期間のうちのコンプレッサがオンであるパーセンテージである。その期間は、オン及びオフのサイクルを完了するのにかかる時間である。
【0026】
時間軸でのある点において、コンプレッサは、202でオンにされ、再びオフにできないデッドタイムの期間(period)(「オンデッドタイム」)204がその後すぐに続き得る。時間軸での他の点において、コンプレッサは、206でオフにされ、再びオンにできないデッドタイムの期間(「オフデッドタイム」)208がその後すぐに続き得る。コンプレッサは、デッドタイム208が終了した後でないと再び210でオンにされ得ない。
【0027】
サイクル中でコンプレッサをオンにする時刻を早めるのがなぜ望ましいかの理由が存在し得る。これは図2bに図示される。オンにする時刻は、予期された、又は以前に決定されたオン時刻210から新しいオン時刻212へと220のように早められる。オン時刻は、コンプレッサの前のオフから生じるデッドタイム208が完了するよりも時間軸で前である点へと、222のようには早めることはできない。
【0028】
定常状態運転においては、デューティサイクル及びコンプレッサの制御ループの周期(period)は、一定であり得る。この周期は、長期的な温度制御に影響を与えることなく、短縮されてもよく、又はフェーズ(phase)が調整されてもよい。周期は、延長されてもよいが、これはより大きな温度変動を発生し得る。フェーズを調整することは、温度の短期的な変化を発生し得るが、これは、もしその変化が許容可能な制限内に収まるなら許容可能である。
【0029】
図2cは、オンする時刻及びその効果を早める例を図示する。オンする時刻を早める理由の例は、より安い電力が結果として得られるかもしれない電力供給のピーク240の存在である。コンプレッサがその予期された又は以前に決定されたオン時刻よりも前にオンにされると、このより安い電力を使用して、冷蔵庫の温度は、その通常範囲よりも下に動かされ、これは、コンプレッサが好ましくはオフ状態にある時に、より高いコストの電力の将来の期間において、温度が自然に上昇するより多い余裕を与える。全体として、この主の制御スキームは、冷蔵庫の運転コストを大幅に低減し得る。
【0030】
図示されるようにコンプレッサをオンにする時刻を220のように早める結果、時間的な温度変動は、例示的カーブ230からカーブ232に変化する。この改変の直接又は間接の結果として、サーバは、このコンプレッサ又は他のコンプレッサの将来のオン/オフする時刻を調整する必要があるかもしれないし、ないかもしれない。冷蔵庫は、例えば、サーバからの介入なしでその通常のローカルな閉ループ制御の下で定常状態に戻ることが許されるかもしれない。システムは、温度が予め決められた最小許容温度234より下に、又は最大許容温度236より上に行かないことを確実にする。コンプレッサをオン(又はオフ)にする時刻を移動させることの他の結果は、そのデッドタイムも移動することである。これは、この又は他のコンプレッサの将来のオン/オフする時刻が調整されることも要求するかもしれない。例えば、オン・オフフェーズ調整は、単にオン時刻及びオフ時刻を同じ量だけ早めるに過ぎないかもしれない。
【0031】
図2cは、コンプレッサのオン時刻が改変されたことに応答する唯一の可能な「イベント」(電力供給のピーク)を図示する役割をする。より複雑な状況も可能である。
【0032】
別の例においては、コンプレッサをオンにする時刻は、第1イベント、例えば電力の需要におけるピークの検出に応答して、サーバ及びコントローラによって遅延される。
【0033】
フェーズ遅延に従って、オンデッドタイムも遅延され、この間は、コンプレッサがオフされることは不可能である。これは、他のコンプレッサのオンデッドタイムと重なる。これは、1つ以上のコンプレッサを速やかにオフすることを要求する、第2イベント、例えばパワーグリッドにおける技術的故障に起因する、例えば電力需要の急な増加、又は電力供給の急な減少に応答する冷蔵庫負荷の応答性に影響を与え得る。これは、複数の冷蔵負荷を連携させることによって、それらのサイクルがデッドタイムの点で同期しないようにし、応答性及び柔軟性が改善され、特に応答性負荷の展開によって、需要のピーク及び谷を平坦にすることを求めているパワーグリッド運転者の利益に資する方法の優位性を実証する。
【0034】
実際は、複数のコンプレッサ又は負荷が、それらのオン/オフサイクルが時間軸上でより均一に分散するように運転されると、それらは外部からは、需要に応じてオン及びオフされている一連のコンプレッサ群としてではなく、一定の電力負荷を持つ1つの大きなコンプレッサとして見えることがある。一方で、コンプレッサは、コンプレッサに対する電力供給が単一の負荷として統合され得る限りにおいて、完全に独立であり得る(例えば独立したシステム群、位置群又はクライント群に属する)。これは、例えば、電源を単一の供給点に物理的に接続することによって、又はサーバを用いてコンプレッサ群を仮想化及び統合することによってなされ得る。
【0035】
図3aは、図1の冷蔵庫100中の3つの冷蔵負荷、つまりコンプレッサ110〜114のオン/オフサイクル310〜314を、デッドタイムの影響を低減、最小化、又は除去するためにそれらがどのようにして管理され得るかの例として図示する。3つより多い複数のそのような冷蔵負荷を持つ状況、例えば10〜20のそのような負荷が共通のサーバの制御下で連結されている状況も可能である。図示の簡明さのために、それぞれのコンプレッサをオフにすることから生じるデッドタイム(「オフデッドタイム」、シェーディングが付されている)だけが図示され、それぞれのコンプレッサをオンにすることから生じるデッドタイムは省略される。また、変更されていないオン/オフ状態の持続期間及びオフデッドタイムの持続期間は、3つのコンプレッサの間で同一であるように示されているが、これは必ずしもそうでなくてもよい。
【0036】
図3aにおいて3つのコンプレッサ110〜114の運転オン/オフサイクル310〜314は、それらのオン/オフ時刻及びオフデッドタイムの点で千鳥状にされていることに注意されたい。換言すれば、どのコンプレッサのオフデッドタイムも、図示された与えられたセットにおける他の全てのコンプレッサのオフデッドタイムと重なったり、一致したりはしない。(これらのコンプレッサは、共通サーバの制御下のより大きなひと繋がりのコンプレッサ群の一部であり得て、ここで重なるデッドタイムを有するコンプレッサが存在し得るが、サーバは重なりを低減又は最小化するようデッドタイムを分散させるよう動作することに注意されたい。)したがって、例えば予期しない電力供給のピーク及びより低い電力コストのせいで、冷蔵庫100の温度を下げるよう駆動することが望ましい場合には、冷蔵負荷は、全体として応答性を有する状態を維持するが、これは、少なくとも1つのコンプレッサは、オフデッドタイム内になく、よってオンすることが可能だからである。図3aに図示された例で時刻T1においては、コンプレッサ110がオフデッドタイムの状態であり、よってオンにされ得ず、コンプレッサ112は既にオン状態であるが、コンプレッサ114は、オフ状態であり、デッドタイムの状態ではないので、もし必要ならそれはオンにされることによって冷蔵庫100の温度を低く駆動し得る。
【0037】
1つ以上のコンプレッサをオフする時刻群のうちの1つ以上を変化させることは、いくつのコンプレッサがオン状態及びオフ状態にあり、又は非応答性のデッドタイム状態にあるかに影響を与える。デッドタイムは重なり合ってもよい。サーバは、コンプレッサのオン/オフの振る舞いをさらに調整することによって、それらが将来において全体としては応答性を維持するようにし得る。
【0038】
図3bは、コンプレッサ110〜114のオン/オフサイクル310〜314の異なるセットを、それらのオンデッドタイムと関連付けて図示する。再び図示の簡明さのために、オフデッドタイムは省略され、変化されていないオン/オフ状態及びオフデッドタイムの持続期間は、3つのコンプレッサの間で同一である。
【0039】
オフデッドタイムに関する図3aに対して、図3bに図示される運転サイクルは千鳥状にされることによって、それぞれのコンプレッサのオンデッドタイムが与えられたセットの任意の他のコンプレッサのオンデッドタイムと重なったり、一致したりしない。換言すれば、冷蔵庫バンク100内の個々の冷蔵庫が暖かくなるのが許容可能である(ローカル制御ループの制約内で許容可能である)場合には、冷蔵負荷は全体として応答性を維持するが、これは少なくとも1つのコンプレッサは、オンデッドタイム内になく、よってオフにされることが可能だからである。図3bに図示される例では、T2において、コンプレッサ110及び112は、オン状態にあり、オンデッドタイムの外にあるので、応答性を持ってオフにされ得る。
【0040】
上で言及したように、冷蔵バンクのような応答性負荷内の複数の冷凍負荷の柔軟性及び応答性を向上させるこの方法は、パワーグリッド内の電力の変動に対して非常に応答性がよいという点でコスト節約につながり得る。コンプレッサのための協調されたオン/オフサイクルを採用することの大きな優位性は、高いレベルの柔軟性及び応答性を得るためにかかる構造的なコストに関連する。そのような協調(例えばサーバ30による)がなければ、電力需要及び供給の変動に対して、冷蔵負荷が全体として応答性を有する(与えられたレベルまで)ことができるようにするためには、より多くの数のリソースが要求され得る。例えば20個のコンプレッサが一連ものものとして集められることによって、応答性負荷を生成し得るが、与えられたレベルの応答性を獲得するために現在開示されている方法を用いて、コンプレッサ群の必要となる個数は低減され得るが、これは、予期しないイベントに応答する必要ができたときにも、コンプレッサ群のうちの一部はデッドタイムに拘束されないことが今や確信され得るからである。
【0041】
中央サーバ30は、命令又はパラメータをルータ及びローカルコントローラ(群)に発行することによって、それが記憶する情報に基づいてコンプレッサのオン/オフサイクルを制御する。これは、個々のコンプレッサのオン/オフ状態及びデッドタイム(例えばそれらの持続期間)を含む。それは、センサ120〜124からの測定値、及び最大及び最小許容運転温度及び上方及び下方設定点のような他の温度パラメータを含み得る。
【0042】
サーバは、コンプレッサの現在の期間及びデューティサイクルの知識を有し得て、及び/又はそれは、コンプレッサの振る舞いをそれらの状態(オン、オフ又はデッドタイム内)、温度測定値(変化の割合のような)及び他のパラメータをモニタリングすることによって制御し得る。
【0043】
例えばサーバ30は、コンプレッサに対して、その現在のオン又はオフ状態を「継続し」、それぞれオフ又はオンにすることを遅延させることで、ローカルコントローラの命令をオーバーライドするよう指示し得る。これは、例えば、ドアが一時的に開放されているために冷蔵庫がその定常状態から移行したために、サーバによって制御及びモニタリングされている1つ以上のコンプレッサがその状態又は振る舞いを変えた最近のイベントに応答するためであり得る。もしコンプレッサが低い周波数(より長いサイクル)で、オン又はオフ状態の間で切り替えされるなら、デッドタイムの、システム全体としての応答性及び柔軟性に及ぼす影響は低減されるが、これはデッドタイムは典型的には持続期間が一定であるからであることに注意されたい。
【0044】
サーバが、コンプレッサのオン/オフサイクルの長さのような、コンプレッサのパラメータに関するより高いレベルの情報を記憶する又はより高いレベルの情報にアクセスできる場合には、サーバは、サイクル毎に制御判断を行うのではなく、コンプレッサの振る舞いを予め計画及び変更できる。
【0045】
サーバは、コンプレッサについての予期された又は以前に決定されたオン時刻又はオフ時刻について知っていてもよく、そのような時刻を予測してもよく、又はサーバは、コンプレッサの現在のサイクルを千鳥状にするよう単に運転してもよい。例えばもし(図3a及び3bに図示されるように)コンプレッサが同様の周期を有するなら、サーバは、それらの周期が単に千鳥状になるようにすればよい。すなわちあるコンプレッサが他のコンプレッサと同時にオン又はオフされるようになされる場合(又は他のコンプレッサがその対応するデッドタイム内にあるとき)、サーバは、ローカル制御ループをオーバーライドし、2つ目のコンプレッサのスイッチングを遅延させればよい。代替として、サーバは、コンプレッサの次の遷移を予測し(それらの周期及びデューティサイクルを知った上で)、第1コンプレッサ及び第2コンプレッサが一致したデッドタイムを有することを予期して、サーバは、それらのうちから1つを選んでそのスイッチングを遅延又は前倒しさせればよい。もしサーバが第1及び第2冷蔵庫(又はエアコンユニット等)の温度及び温度制限を知っているなら、サーバは、どれがオーバーライドすべきかを選択できる。例えばサーバは、温度をその定常状態条件へと再調整するためのより大きなマージンを有するものを選択する。
【0046】
コンプレッサデッドタイムの影響を低減、最小化又は除去することが有利であることが既に説明されている。サーバは、コンプレッサのオン/オフの振る舞いをさらに調整することによって、例えば、需要又は供給の予期されないピーク又は谷が存在するときに、それらが全体として応答性を維持できるようにしてもよい。これを実現する一つの方法は、異なるコンプレッサのオン/オフサイクルを単に千鳥状にすることで個々のデッドタイムの重なりを回避又は低減することである。
【0047】
これを実現する他の方法は(これは文面では矛盾するように見えるかもしれないが)、2つ以上のコンプレッサのデッドタイムをある時間期間内に一緒に「まとめる」ことであることに注意されたい。これは、複数の重なり合うコンプレッサデッドタイムの(瞬時の)開始を生じ得て、システムが応答性を持たないように、すなわち非応答性であるようにするが、この結果、この重なり合うデッドタイムが終了した後には、これらコンプレッサは、ある後続の時間期間の間にはさらなるデッドタイムには遭遇しなくてもよい。例えば、応答性が不要に絶対になる30分の長さが存在することがもし既に知られているなら、コンプレッサのオン/オフサイクルは、本発明を利用して操作することによって、瞬時又は短期においてはコンプレッサの応答性がより少なくなり、その後、応答性がより多くなるようにできる。このことは、具体的な応答が必要であるか又は望ましい特定の時刻/期間がわかっているときには有利であり得る。この代替の構成は、瞬時ではなく後で効果が出るが、コンプレッサデッドタイムの影響を低減、最小化又は緩和する技術的な効果も達成する。
【0048】
図4は、応答性負荷システムの代替の実施形態を図示する。この実施形態において、1つ以上の蓄電池資産50がシステム中で利用可能である。1つ以上の蓄電池資産50は、サーバ30の制御の下でパワーグリッド40にスイッチ51を介して接続される。この構成は、1つ以上のコンプレッサ110〜114のデッドタイムの間に、蓄電池資産50が、オフデッドタイムの間に、又は複数の重なるオフデッドタイムの間に電力を負荷に選択的に提供するか、又は、オンデッドタイムの間に、又は複数の重なるオンデッドタイムの間に、負荷に供給する電力をエネルギーグリッドから引き出して蓄電池を充電するか、を行うように運転され得るという可能性を許す。これは、コンプレッサデッドタイムを短時間の蓄電池運転で埋める形であり得て、これは、コンプレッサの中断の見通しが存在するときに適用され得る。
【0049】
実施形態及び例の上記説明は、例示としてだけ提示されている。本発明のさまざまな局面及び実施形態は、組み合わせがなされ得る。さまざまな局面及び実施形態は、他の局面及び実施形態に従って改変され得る。本発明の範囲は、実施形態の詳細によって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によって定義される。
図1
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図4