(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ヘキサフルオロプロピレンに由来する少なくとも10重量%の繰り返し単位を含む少なくとも1つのフッ化ビニリデンコポリマー(コポリマー(A))を含む複数の一次粒子と、
ヘキサフルオロプロピレンに由来する1重量%未満の繰り返し単位を含む少なくとも1つのフッ化ビニリデンポリマー(ポリマー(B))を含む複数の一次粒子と、
を含む組成物(組成物(C))で少なくとも部分的にコーティングされた基材層(P)を含む電気化学電池用セパレーターであって、
コポリマー(A)及びポリマー(B)の一次粒子は、ISO 13321に従って測定して、1マイクロメーター未満の平均一次粒径を有する電気化学電池用セパレーター。
【背景技術】
【0003】
フッ化ビニリデンポリマーは、電池、好ましくは二次電池、及び電気二重層キャパシターなどの非水性型電気化学デバイスでの使用のための複合セパレーターの製造用のバインダーとして適切であることが当技術分野において知られている。
【0004】
無機充填材料は、複合構造物を有する電池セパレーターを作製するために長い間使用されており、前述の複合セパレーターは、ポリマーバインダーマトリックスに分散された充填材料を含む。これらの充填材料は、典型的には、微細に分割された固体微粒子として生成され、セパレーターを作製するために使用されるポリマーバインダー材料を補強するために使用される。
【0005】
セパレーター前駆体溶液は、典型的には、適切な溶媒におけるポリマーバインダー溶液に分散した固体粒子材料を含むインク又はペーストとして配合される。通常、このように得られたインク溶液を、コーティングされていない不活性な支持体の又は電極層の表面に対して配置し、次いで、溶媒を溶液層から除去して、電極に接着するセパレーター層を蒸着させる。
【0006】
典型的には、溶媒系を使用してポリマーバインダーを分散させ、溶媒系は、
一般的には、N−メチルピロリドン、又はN−メチルピロリドンと、アセトン、プロピルアセテート、メチルエチルケトン、及び酢酸エチルなどの希釈溶媒との混合物を含む。
【0007】
例えば、2002年11月14日に出願の米国特許出願公開第2002/0168569号明細書(ATOFINA)には、リチウム−イオン電池用のセパレーターを製造するプロセスが開示されており、前述のプロセスは、20重量%〜80重量%のフルオロポリマーと80重量%〜20重量%の充填剤とを含む微細複合粉末を加工する工程を含む。リチウム−イオン電池に使用するのに適したセパレーターを得るために、特に、水における、或いは、アセトン又はN−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤における分散によってこの微細複合粉末を加工してペーストを得ることができ、次いで、これをドクターブレーディングによって支持体に塗布して乾燥させる。
【0008】
また、2013年8月22日に出願の国際公開第2013/120858号パンフレット(SOLVAY SPECIALTY POLYMERS ITALY S.P.A.)では、ビニリデンフルオライドポリマーと非電気活性無機充填材料とを含む水性ラテックスを含むコーティング組成物を基材層に対して塗布することを含む、電池用複合セパレーターの製造プロセスを開示している。
【0009】
しかしながら、フッ化ビニリデンポリマーに基づくセパレーターが液体有機電解質における極性溶媒と親和性を有することから、ポリマー相は膨潤する場合があり、これによりその機械的特性は弱まる。例えば、SAUNIER,J.,et al.Plasticized microporous poly(vinylidene fluoride)separators for Lithium−ion batteries.Journal of Polymer Science−Part B−Polymer physics.2004,vol.42,p.532−543を参照されたい。
【0010】
従って、電気化学デバイスに使用するのに適した電池セパレーターを簡易に製造することができる費用効果があり環境にやさしいプロセスが本技術分野において依然として必要とされている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の文脈においては、「重量%」(wt%)という用語は、成分の重量と混合物の総重量との間の比として計算される、混合物における特定成分の含有量を示す。ポリマー/コポリマーにおける特定のモノマーに由来する繰り返し単位を意味する場合、重量%(wt%)は、ポリマー/コポリマーの総重量に対するこのようなモノマーの繰り返し単位の重量の間の比を示す。
【0018】
「セパレーター」という用語は、本明細書においては、電気化学電池における反対の極性の電極を物理的に分離し、それらの間を流れるイオンに対して透過性である、多孔質の単層又は多層ポリマー材料を意味することを意図する。
【0019】
「電気化学電池」という用語は、本明細書においては、単層又は多層セパレーターが前述の電極の1つの少なくとも1つの表面に接着されている、正極、負極、及び液体電解質を含む電気化学電池を意味することを意図する。
【0020】
電気化学電池の非限定的な例としては、特に、電池、好ましくは二次電池、及び電気二重層キャパシターが挙げられる。
【0021】
本発明の目的においては、「二次電池」とは、再充電可能な電池を意味することを意図する。二次電池の非限定的な例としては、特に、アルカリ又はアルカリ土類二次電池が挙げられる。
【0022】
「複合セパレーター」という用語は、本明細書においては、非電気活性無機充填材料がポリマーバインダー材料に組み込まれている、前述で定義されたセパレーターを意味することを意図する。本発明の方法により得られる複合セパレーターは、有利には、電気化学電池に使用するのに適した電気絶縁複合セパレーターである。
【0023】
本発明の電気化学電池用セパレーターは、有利には、電気化学電池に使用するのに適した電気絶縁複合セパレーターであり得る。電気化学電池において使用される場合、一般的には、複合セパレーターは、有利には、電気化学電池内のイオン伝導を可能にする電解質で充填される。好ましくは、前述の電解質は、液体又は半液体である。
【0024】
本発明の電気化学電池用セパレーターは、好ましくは、組成物(C)のポリマーマトリックス内に均一に分布した非電気活性無機充填材料を含む。「非電気活性無機充填材料」という用語は、本明細書においては、電気化学電池用電気絶縁セパレーターの製造に適する電気非伝導性の無機充填材料を意味することを意図する。
【0025】
本発明によるセパレーターにおける非電気活性無機充填材料は、典型的には、ASTM D257に従って20℃で測定して、少なくとも0.1×10
10Ωcm、好ましくは少なくとも0.1×10
12Ωcmの電気抵抗率(p)を有する。適切な非電気活性無機充填材料の非限定的な例としては、特に、天然及び合成シリカ、ゼオライト、アルミナ、チタニア、金属炭酸塩、ジルコニア、シリコンリン酸塩、及びケイ酸塩等が挙げられる。典型的には、非電気活性無機充填材料は、ISO 13321に従って測定して、0.01μm〜50μmの平均サイズを有する粒子の形態である。典型的には、非電気活性無機充填材料は、組成物(C)の10重量%〜90重量%、好ましくは50重量%〜88重量%、又は70重量%〜85重量%の量で存在する。
【0026】
非電気活性無機充填材料は、組成物(C)のポリマーマトリックスに均一に分散され、0.1μm〜5μmの平均直径を有する孔を形成することができる。本発明のプロセスから得られる複合セパレーターの孔体積分率は、少なくとも25%、好ましくは少なくとも40%である。本発明のプロセスから得られる複合セパレーターは、典型的には、2μm〜100μm、好ましくは2μm〜40μmに含まれる総厚さを有する。
【0027】
本発明の目的においては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)に由来する少なくとも10重量%の繰り返し単位を含むフッ化ビニリデンコポリマー(コポリマー(A))とは、コポリマーの総重量(本明細書において重量%)に対して、少なくとも50重量%の量で最終コポリマーに存在するフッ化ビニリデン(VDF)に由来する繰り返し単位とヘキサフルオロプロピレンに由来する繰り返し単位の重合に由来するポリマーを意味することを意図する。好ましくは、本発明によるセパレーターにおけるコーティングとして用いられる一次粒子におけるHFPに由来する繰り返し単位の含有量は、20〜45重量%、より好ましくは25〜43重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。
【0028】
好ましい形態においては、本発明によるセパレーターのコーティングは、前述で定義されたコポリマー(A)の一次粒子に加えて、コポリマー(A)と異なり、ヘキサフルオロプロピレンに由来する1重量%未満の繰り返し単位を含む、1つのフッ化ビニリデンポリマー(以下、ポリマー(B))の複数の一次粒子を更に含み、この場合に、ポリマー(B)の一次粒子は、ISO 13321に従って測定して、1マイクロメーター未満の平均一次粒径を有する。換言すれば、本発明によるセパレーターは、好ましくは、前述で定義された粒径を有する粒子の混合物でコーティングされ、この場合に、粒子の一部は、コポリマー(A)を含み、又はこれからなり、且つ、粒子の一部は、ポリマー(B)を含み、又はこれからなる。
【0029】
好ましい実施形態においては、本発明による電気化学電池用セパレーターは、ポリマー(B)の粒子に対するコポリマー(A)の粒子の重量比が、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、より好ましくは30:70〜70:30、又は40:60〜60:40である、前述で定義された一次粒子の混合物で少なくとも部分的にコーティングされる。好ましい実施形態においては、本発明による電気化学電池用セパレーターは、ポリマー(B)の粒子に対するコポリマー(A)の粒子の重量比が50:50である、前述で定義された一次粒子の混合物で少なくとも部分的にコーティングされる。
【0030】
本発明の目的においては、「平均一次粒径」とは、水性乳化重合に由来するコポリマー(A)及び/又はポリマー(B)の一次粒子を意味することを意図する。従って、コポリマー(A)及び/又はポリマー(B)の一次粒子は、ポリマー(B)又はコポリマー(A)の水性ラテックスの濃度及び/又は凝固、並びにその後の乾燥及び均質化しそれぞれの粉末を生成するなどのこうしたポリマー/コポリマー製造の回収及び調整工程によって得られることができる凝集物(即ち、一次粒子の収集物)と区別されることができるように意図される。
【0031】
従って、本発明のセパレーターをコーティングするために使用される組成物(C)の水性ラテックスは、水性媒体においてポリマー又はコポリマーの粉末を分散させることによって調製された水性スラリーと区別されることができる。水性スラリーに分散されたポリマー又はコポリマーの粉末の平均粒径は、典型的には、ISO 13321に従って測定して1μmより高い。
【0032】
好ましくは、前述で定義されたコポリマー(A)及び(又はポリマー(B)の一次粒子の平均粒径は、ISO 13321に従って測定して、20nm超、より好ましくは30nm超、更により好ましくは50nm超、及び/又は600nm以下、より好ましくは400nm未満、又は300nm未満である。
【0033】
本発明によるセパレーターにおけるコーティングとしての一次粒子の形態で使用されるコポリマー(A)及びポリマー(B)は、その他のコモノマー、即ち、HFP及びVDF以外のモノマーに由来する単位を、ポリマー(B)又はコポリマー(A)の総重量に対して、好ましくは5重量%未満、典型的には2重量%未満又は1重量%未満の量で含むことができる。
【0034】
このようなコモノマーは、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、及びフルオロアルキルビニルエーテル、並びにこれらの混合物などのフッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーとして従来使用されているものから選択することができる。
【0035】
コポリマー(A)及び/又はポリマー(B)は、典型的には、式(I):
(式中、
− R
1、R
2及びR
3は、互いに等しく又は異なり、独立して、水素原子及びC
1〜C
3炭化水素基から選択され、且つ、
− R
OHは、水素原子、又は少なくとも1つの水酸基を含むC
1〜C
5炭化水素部位である)の少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)(即ち、アクリル酸又はメタクリル酸に構造的に由来するモノマー)に由来する繰り返し単位を含むことができる。
【0036】
コポリマー(A)及び/又はポリマー(B)が、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む場合、ポリマー(B)は、典型的には、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.02重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%の、前述の式(I)を有する少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0037】
コポリマー(A)及び/又はポリマー(B)が、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む場合、これらは、典型的には、少なくとも0.01重量%、好ましくは少なくとも0.02重量%、より好ましくは少なくとも0.03重量%の、前述の式(I)を有する少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0038】
コポリマー(A)及び/又はポリマー(B)が、少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む場合、これらは、典型的には、最大で10重量%、好ましくは最大で5重量%、より好ましくは最大で2重量%の、前述の式(I)の少なくとも1つの(メタ)アクリルモノマー(MA)に由来する繰り返し単位を含む。
【0039】
(メタ)アクリルモノマー(MA)は、好ましくは、式(II):
(式中、
− R’
1、R’
2及びR’
3は、水素原子であり、且つ、
− R’
OHは、水素原子、又は少なくとも1つの水酸基を含むC
1〜C
5炭化水素部位である)からなる。
【0040】
(メタ)アクリルモノマー(MA)の非限定的な例としては、特に、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルヘキシルメタクリレート、及びヒドロキシエチルヘキシルアクリレートが挙げられる。
【0041】
(メタ)アクリルモノマー(MA)は、より好ましくは、以下:
− 式:
のヒドロキシエチルアクリレート(HEA)、
− 式:
のいずれかの2−ヒドロキシプロピルアクリレー(HPA)、
− 式:
のアクリル酸(AA)、
− 及びこれらの混合物から選択される。
【0042】
(メタ)アクリルモノマー(MA)は、更により好ましくはアクリル酸(AA)又はヒドロキシエチルアクリレート(HEA)である。
【0043】
場合により、組成物(C)は、コポリマー(A)の、場合によりポリマー(B)の一次粒子に加えて、少なくとも1つのその他の成分を含むことができる。好ましくは、前述の少なくとも1つの任意の成分は、消泡剤、界面活性剤、抗菌剤、充填剤、及びこれらの混合物から選択される。典型的には、このような任意の成分は、存在する場合、ラテックスの固形分の重量に対して、15重量%未満、好ましくは10重量%未満、又は7重量%未満の量である。
【0044】
典型的には、ラテックスの総固形分は、ラテックスの総重量に対して、20重量%〜60重量%、例えば55重量%、50重量%、又は45重量%である。
【0045】
本明細書の文脈において、「基材層」という用語は、本明細書においては、単一層からなる単層基材、又は互いに隣接した少なくとも2つの層を含む多層基材を意味することを意図する。
【0046】
基材層(P)は、非多孔質の基材層又は多孔質の基材層であることができる。基材層が多層基材である場合、前述の基材の外層は、非多孔質の基材層又は多孔質の基材層であることができる。「多孔質の基材」という用語は、本明細書においては、有限寸法の孔を含む基材層を意味することを意味することを意図する。
【0047】
基材(P)は、典型的には、有利には少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、又は少なくとも40%、及び有利には最大で90%、好ましくは最大で80%の気孔率を有する。
【0048】
基材(P)の厚さは、特に限定されないが、典型的には3〜100マイクロメートル、好ましくは5〜50マイクロメートルである。
【0049】
基材(P)は、有利には1組以上のポリマー繊維から作製される布地である。本発明の目的においては、「布地」という用語は、1組以上のポリマー繊維を織り合わせ、多数の孔をもたらすことによって得られることができる平面織物構造を意味すると理解される。
【0050】
布地は、1組以上のポリマー繊維から作製される織布、又は1組以上のポリマー繊維から作製される不織布であることができる。
【0051】
「織布」とは、2組以上のポリマー繊維を互いに直交して織り合わせ、これにより、布地の縦方向に伸びる経糸及び布地の横方向に伸びる緯糸を与えることによって得られることができる平面織物構造を意味することを意図する。「不織布」とは、1組以上のポリマー繊維を、機械的、熱的、又は化学的に不規則に連結又は結合し、多数の孔をもたらすことによって得られることができる平面織物構造を意味することを意図する。
【0052】
布地は、ポリマー繊維の大部分が一方向に延びる一方向性布地、又は2組以上の連続繊維が異なる方向に延びる多方向性布地であることができる。
【0053】
基材(P)は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリアセタール、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリエチレンナフタレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキシド、ポリアクリロニトリル、ポリエチレン、及びポリプロピレン、又はこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの材料を含む、電気化学デバイスのセパレーターに一般的に使用される任意の多孔質の基材又は布地によって作製されることができる。好ましくは、基材(P)は、ポリエチレン又はポリプロピレンである。
【0054】
本発明による少なくとも部分的にコーティングされたセパレーターにおけるコーティングの重量と支持層の重量との比は、典型的には、3:1〜0.5:1、例えば2:1、1.5:1、1:1、又は0.75:1である。
【0055】
本発明者らは、本発明によるセパレーターにおいて、本発明によるセパレーターにおける基材層(P)に対する前述で定義された組成物(C)の接着性は、ヘキサフルオロプロピレンに由来する10重量%未満の繰り返し単位を含むフッ化ビニリデンポリマーを含む一次粒子のみを含むコーティング組成物を用いて得られることができるものよりも著しく高いことを見出した。
【0056】
本発明によるセパレーターにおいては、バインダーとしてのカルボキシメチルセルロース(CMC)の非存在下でも適切な接着性が得られる。CMCの低い熱的、化学的、及び電気化学的安定性に関連する課題のために、セパレーターコーティングにおいてその存在を回避する可能性が、顕著な利点である。
【0057】
一態様においては、本発明は、前述の電池セパレーターの調製のためのプロセスを提供し、このプロセスは、
i)コーティングされていない基材層(P)を提供する工程と、
ii)ヘキサフルオロプロピレンに由来する少なくとも10重量%の繰り返し単位を含む少なくとも1つのフッ化ビニリデンコポリマー(コポリマー(A))を含む一次粒子を含む水性分散物を含むコーティング組成物(C)を提供する工程であって、コポリマー(A)の一次粒子は、ISO 13321に従って測定して、1マイクロメーター未満の平均一次粒径を有する工程と、
iii)基材層(P)の少なくとも一部分に少なくとも部分的に工程iiのコーティング組成物(C)を塗布する工程と、
iv)工程iiiの少なくとも部分的にコーティングされた基材層(P)を乾燥する工程と、
を含む。
【0058】
好ましくは、本発明によるプロセスにおいて、少なくとも部分的にコーティングされた基材層(P)は、55℃未満、好ましくは40℃未満、より好ましくは30℃未満の温度で行われる温度で乾燥される。
【0059】
コーティング組成物(C)は、典型的には、流延、吹付コーティング、ロールコーティング、ドクターブレーディング、スロットダイコーティング、グラビアコーティング、インクジェット印刷、スピンコーティング及びスクリーン印刷、ブラシ、スキージー、泡付与装置、カーテンコーティング、真空コーティングから選択される技術によって基材層の少なくとも1つの表面に対して塗布される。
【0060】
本発明者は、コーティングされた電池セパレーターは、前述で定義された特定の組成物(C)を用いることにより、最終乾燥工程が50℃より低い温度で、有利には25〜30℃と低い温度で行われるプロセスを介して得られることができることを見出した。この特徴のため、本発明によるプロセスは、最終乾燥温度が180℃と高いプロセス(例えば、2013年8月22日に出願の国際公開第2013/120858A号パンフレット(SOLVAY SPECIALITY POLYMERS ITALY S.P.A.)、ここに引用される文献は、参照により本明細書に組み込まれる)に対してより低い加熱力を必要とし、最終的にはより費用効果が高く、環境に優しいプロセスをもたらす。
【0061】
別の態様においては、本発明は、
a)ヘキサフルオロプロピレンに由来する少なくとも10重量%の繰り返し単位を含む少なくとも1つのフッ化ビニリデンコポリマー(コポリマー(A))を含む一次粒子と、
b)ヘキサフルオロプロピレンに由来する1重量%未満の繰り返し単位を含む少なくとも1つのフッ化ビニリデンポリマー(ポリマー(B))を含む一次粒子の混合物の水における乳化物を含む水性組成物(即ち、ラテックス)に関し、
この場合に、コポリマー(A)及びポリマー(B)の一次粒子は、ISO 13321に従って測定して、1マイクロメーター未満の平均一次粒径を有する。
【0062】
好ましくは、前述の水性組成物において、コポリマー(A)とポリマー(B)の1次粒子の混合物は、10:90〜90:10、好ましくは20:80〜80:20、30:70〜70:30、又は40:60〜60:40の重量比にあり、或いは、ポリマー(B)の粒子に対するコポリマー(A)の粒子の重量比は、50:50である。
【0063】
前述の組成物は、表面の、特に電気化学電池用セパレーターのものなどの多孔質の表面のコーティングに特に適している。本発明による水性組成物は、リチウムイオン二次電池及びリチウム金属二次電池などのリチウム系二次電池に使用するのに適したコーティングされた又は半コーティングされたセパレーターの調製に特に有利である。
【0064】
有利には、前述の水性組成物は、コポリマー(A)の一次粒子を含む水性ラテックスと、ポリマー(B)の一次粒子を含む水性ラテックスを混合する工程を含むプロセスによって本発明に従って調製される。
【0065】
参照により本明細書に組み込まれる特許、特許出願、及び刊行物のいずれかの開示が用語を不明瞭にさせ得る程度まで本出願の記載と矛盾する場合は、本記載が優先するものとする。
【0066】
本発明は、本明細書において、本発明を単に例示する目的で提供される以下の実施例を参照してより詳細に説明されるが、本発明の範囲を限定する意図はない。
【0067】
実験の部 アルミナ(BaikowskiによるCR6(登録商標))、SDS(Ametech(登録商標)によるドデシル硫酸ナトリウム28%、ポリオレフィン基材濡れ性を改善する界面活性剤)、及びBYK(登録商標)023(BYK−Chemieによる消泡剤)と混合されたVDF系ラテックス溶液を用いて、ポリオレフィン基材(Tonen(登録商標)FMBMU、PE材料、20μm、40%気孔率、0.09μmの孔径)をコーティングした。
【0068】
以下のラテックスを使用した:
− ラテックスA:VDFと39重量%のHFPのコポリマー(コポリマー(A))、比較例、
− ラテックスB:VDFのポリマー、0重量%のHFP(ポリマー(B))、比較例、
− ラテックスA1:ラテックスAとラテックスBの90/10の体積比の混合物、
− ラテックスA2:ラテックスAとラテックスBの80/20の体積比の混合物。
【0069】
全ての成分を以下のパーセントで添加した:アルミナ87重量%、VDF系ラテックス10重量%、界面活性剤2重量%、消泡剤1重量%、全てのパーセントは、総固形分に対する成分の重量で計算した。次いで、使用したラテックスのタイプに応じて48重量%〜53重量%の範囲の理想的な固形分を得るために水を加えた。2種類のVDF系ラテックスを使用して、HFP含有量を区別し、また、これらの混合物を試験して、コーティング接着性におけるHFPパーセントの影響を評価した(全てのデータを表に報告する)。HFPが乏しい乳化物(ラテックスB)については2000rpmで、HFPに富む乳化物(ラテックスA、A1、及びA2)については1000rpmで高速混合機を使用することにより、全ての成分を少なくとも20分間ともに混合した。
【0070】
次いでこの溶液を、流延ナイフを用いて基材に流延し、10マイクロメートルの平均厚さを有するコーティングを作製した。最後に、コーティングを25〜27℃で乾燥させた。
【0071】
剥離試験を、規格ASTM D903に従って実施して、ポリオレフィン基材におけるコーティングの接着性を確認した。結果を表1に示し、
図1に図示する。
【0073】
ラテックスA(本発明によるコポリマー(A)を含む)を含むコーティング組成物において、単独、又は10:90と低い体積比でのラテックスBとの混合物において、比較のラテックスBと比較して、基材層へのコーティングの接着性の実質的な増加が観察された。
【0074】
膨潤試験を、ラテックスA及びラテックスBと比較してラテックスA2の1.5mmの厚さ及び25mmの直径を有する円形に成形されたポリマー試料において実施した。試料を真空下55℃で一晩乾燥させた。乾燥させた試料の重量を測定した。次いで、それぞれの試料をエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)に浸漬した(EC:DMC1:1)。それぞれの試料の表面の過剰の溶媒を、吸収性組織を用いて除去した後、試料を秤量し、3時間、6時間、及び24時間後に湿潤した試料の重量を測定した。結果を表2に示す。
【0076】
比較のラテックスA及びラテックスBと比較して、ラテックスBとの混合物におけるラテックスA(例えば、ラテックスA2)を含むコーティング組成物の膨潤の実質的な低下が観察された。