【文献】
Joo Mi Yi et al.,Clin Cancer Res.,2011年,Vol.17, No.6,p.1535-1545
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0007】
メチル化されているDNAは、ほとんどの腫瘍型の組織におけるバイオマーカーの有力な一群として研究されている。多くの例において、DNAメチル転位酵素は、遺伝子発現のエピジェネティックな制御として、シトシン−リン酸−グアニン(CpG)アイランド部位においてDNAにメチル基を付加する。生物学的に興味深い機序において、腫瘍抑制遺伝子のプロモータ領域における後天的なメチル化現象は、発現を止めさせ、したがって、発がんに寄与すると考えられている。DNAメチル化は、RNAまたはタンパク質発現より、化学的および生物学的に安定な診断ツールであり得る(Laird (2010) “Principles and challenges of genome-wide DNAmethylation analysis” Nat Rev Genet 11: 191-203)。さらに、散発性の結腸がんのような他のがんにおいて、メチル化マーカーは、優れた特性をもたらし、個々のDNA変異より、広く有益かつ高感度である(Zou et al (2007) “Highly methylated genes in colorectal neoplasia:implications for screening” Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 16: 2686-96)。
【0008】
CpGアイランドの分析は、動物モデルおよびヒト細胞株に使用されるとき、重要な知見をもたらしている。例えば、Zhangらは、同じCpGアイランドの異なる部分からのアンプリコンが、メチル化の異なるレベルを有していることを発見した(Zhang et al. (2009) “DNA methylation analysis of chromosome 21 genepromoters at single base pair and single allele resolution” PLoS Genet 5:e1000438)。さらに、メチル化レベルは、高メチル化配列および非メチル化配列の間において2つのモードに割り当てられ、さらに、DNAメチル転位酵素活性の二元的な切替え様パターンをさらに支持している(Zhang et al. (2009) “DNA methylation analysis of chromosome 21 genepromoters at single base pair and single allele resolution” PLoS Genet 5:e1000438)。マウス組織のインビボ分析および細胞株のインビトロ分析は、わずか約0.3%の高いCpG密集度のプロモータが(HCP、300塩基対の領域内に>7%のCpG配列を有していると規定されている)メチル化されており、低いCpG密集度の部位(300塩基対の領域内に<5%のCpG配列を有していると規定されている)が、動的な組織特異的な様式において頻繁にメチル化されていることを証明した(Meissner et al. (2008) “Genome-scale DNA methylation maps ofpluripotent and differentiated cells” Nature 454: 766-70)。HCPは、遍在性の構成遺伝子および発生遺伝子のためのプロモータを含んでいる。なかでも、>50%においてメチル化されているHCP部位は、いくつかの確立されたマーカー(例えば、Wnt 2, NDRG2、SFRP2およびBMP3)であった(Meissner et al. (2008)“Genome-scale DNA methylation maps of pluripotent and differentiated cells”Nature 454: 766-70)。
【0009】
総計として、胃腸管系のがんは、任意の他の器官系のがんより高い死亡数を占めている。上部GIがんによる米国における年間死亡数は、結腸直腸がんのおよそ50000に比べて、90000を超えている。胃のアデノカルチノーマは、世界中で第2に多い、がんの死亡原因である(つまり、年に100万人の死者)。それは、太平洋岸のアジア、ロシアおよび一部のラテンアメリカにおいて最も一般的である。ほとんど患者が、進行した疾患を示しているので、予後が不良(5年生存率<5〜15%)である。
【0010】
胃がんの基礎をなすゲノム機序は、複雑であり、完全には理解されていない。Helicobacter pylori感染に基づく慢性的な胃炎は、環境的なばくろとともに、病因に寄与している。染色体上の不安定性およびマイクロサテライトの不安定性が、胃がんおよびエピジェネティックな変化と関連付けられている。CpGメチレータの表現型はまた、症例のうち24〜47%と説明されている。共通して認められる変異としては、いん弟子p53、APC、βカテニン、およびk−rasが挙げられるが、これらは、自然界では、相対的に低頻度かつ異質である。
【0011】
胃がんは、消化の流れのなかに細胞およびDNAを流し、最終的に糞便に分泌される。高感度アッセイは、摘出された腫瘍が同じ配列を含んでいると分かっている胃がん患者の適合する糞便において変異DNAを検出するために、これまで使用されている。しかし、変異マーカーによるいくつかの制限は、それらの検出の根本的な不均一性および扱いにくい処理に関し、典型的に、複数の遺伝子にまたがるそれぞれの変異部位を、高感度を実現するために別々にアッセイされなければならない。
【0012】
シトシン−リン酸−グアニン(CpG)アイランド部位におけるDNAのエピジェネティックなメチル化は、ほとんどの腫瘍型の組織におけるバイオマーカーの有力な一群として研究されている。生物学的に興味深い機序において、腫瘍抑制遺伝子のプロモータ領域における後天的なメチル化現象は、発現を止めさせ、発がんに寄与する。DNAメチル化は、RNAまたはタンパク質発現より、化学的および生物学的に安定な診断ツールであり得る。さらに、散発性の結腸がんのような他のがんにおいて、異常なメチル化マーカーは、個々のDNA変異より、広く有益かつ高感度であり、優れた特性をもたらす。
【0013】
いくつかの方法が、新規なメチル化マーカーの探索に利用可能である。CpGメチル化の照会に基づくマイクロアレイが、適当な、高速大量処理アプローチであるが、この戦略は、主に証明されている所望の腫瘍抑制プロモータの、知られている領域に向いている。DNAメチル化の幅広いゲノム分析のための代替的な方法が、この10年において開発されている。3つの基本的なアプローチがある。第1は、特定のメチル化された部位を認識する制限酵素によるDNAの消化(続く、制限酵素認識部位に限定されたメチル化データをもたらす、または評価ステップ(例えば、メチル化特異的PCR;MSP)においてDNAを増幅するためにプライマーが使用される、いくつかの分析手法)を使用する。第2のアプローチは、メチル化シトシンまたは他のメチル化特異的結合ドメインに対する抗体を用いて、ゲノムDNAのメチル化されている画分を濃縮(続いて、基準ゲノムに対して当該断片を位置づけるためのマイクロアレイ分析または配列決定)する。このアプローチは、上記断片ないのすべてのメチル化された部位の単一ヌクレオチドの解像能を示さない。第3のアプローチは、すべての非メチル化チロシンをウラシルに変換するためのバイスルファイト処理に始まり、アダプターリガンドへの結合後におけるすべての断片の制限酵素処理および完全な配列決定に続く。制限酵素の選択が、CpG密集領域について上記断片を濃縮し、分析中に多数の遺伝子位置を決定し得る重複配列の数を減らし得る。この後者のアプローチ(低発現量バイスルファイトシークエンシング(reduced representation bisulfite sequencing)(RRBS)と呼ばれている)が、知られているが、胃がんを研究するために、いまのところ使用されていない。
【0014】
RRBSは、すべてのCpGアイランドのうち80〜90%および腫瘍抑制プロモータの大部分の、中程度〜高いリードカバレッジにおける、単一ヌクレオチド解像度のCpGメチル化状態データを生じる。がん患者−コントロールの研究において、
これらのリードの分析は、メチル化可変領域(DMR)の同定を結果としてもたらす。すい臓がん試料の、これまでのRRBS分析において、数百のDMRが発見され、その多くが、発がんに決して関連しておらず、アノテーションがなかった。独立した組織試料に対するさらなる検証試験は、その性能の点で100%感度および特異性のマーカーCpGを確認した。
【0015】
高度に識別可能なマーカーの臨床アプローチは、大きな影響を有し得る。例えば、隔たった媒体(糞便または血液のような)におけるそのようなマーカーのアッセイは、胃の新生物の検出用の、スクリーニングを正確にすること、または診断ツールを導き得る。
【0016】
本技術のための実施形態を開発する中で実施された実験は、胃がん試料から同様に生成された123の新規なDNAメチル化マーカーを指摘し、説明している。がんとともに、正常な胃部組織、正常な結腸組織、および正常な白血球DNAが、配列決定された。マーカーを、最も堅牢な候補物を同定し、最適化するために多くの試料集団について確認した。さらなる実験は、胃がんを検出するための10の最適なマーカーを同定した(ARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569およびC13ORF18;実施例2、ならびに表4、5および6を参照)。さらなる実験は、胃がんを検出するための30の最適なマーカーを同定した(ELMO1、ARHGEF4、EMX1、SP9、CLEC11A、ST8SIA1、BMP3、KCNA3、DMRTA2、KCNK12、CD1D、PRKCB、CYP26C1、ZNF568、ABCB1、ELOVL2、PKIA、SFMBT2 (893)、PCBP3、MATK、GRN2D、NDRG4、DLX4、PPP2R5C、FGF14、ZNF132、CHST2 (7890)、FLI1、c13orf18またはZNF569;実施例1、ならびに表1、2および3を参照)。さらなる実験は、胃がんを検出するための12の最適なマーカーを同定した(ELMO1、ZNF569、C13orf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIA1;実施例3、ならびに表7および8を参照)。
【0017】
したがって、本明細書には、対象から取られた試料(例えば、糞便試料;胃部組織試料;血漿試料)から検出されるときに、高いシグナルノイズ比および低いバックグラウンドレベルをもたらす胃がんスクリーニングマーカーのための技術が、示されている。マーカーを、胃がんを有している対象の胃部組織または血漿からのDNAマーカーのメチル化状態を、コントロール対象(例えば、正常な胃部組織、正常な結腸上皮、正常な血漿および正常な白血球由来のDNA;実施例1、2および3、ならびに表1〜8を参照)(例えば、血漿組織;実施例3を参照)からの同じDNAマーカーのメチル化状態と比較することによって、患者−コントロール試験において同定した。
【0018】
本明細書に説明されているように、上記技術は、胃がん全体にとっての高い識別をともなう、多くのメチル化マーカーおよびその部分集合(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12またはそれ以上のマーカーの集合)をもたらす。実験は、胃がんのスクリーニングまたは診断を目的として高い特性を示すための高いシグナルノイズ比および低いバックグラウンドレベルを示すマーカーを同定するために、候補物マーカーに対する選択フィルタを使用した。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記技術は、本明細書において同定されている、生物学的試料(例えば、胃部組織、血漿試料)におけるマーカーのうち1つ以上のの存在およびメチル化状態を評価することに関する。これらのマーカーは、本明細書(例えば、表1、2、4および/または7)に述べられているようなメチル化可変領域(DMR)の1つ以上を含んでいる。メチル化状態は、上記技術の実施形態において評価される。したがって、本明細書に示されている上記技術は、遺伝子のメチル化状態が測定される方法には、限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、メチル化状態は、ゲノムスキャニング法によって測定される。例えば、1つの方法は、制限目標ゲノムスキャニング(Kawai et al. (1994) Mol. Cell. Biol. 14: 7421-7427)をともない、他の例は、メチル化感受性の任意開始PCR(Gonzalgo et al. (1997) Cancer Res. 57: 594-599)をともなう。いくつかの実施形態において、特定のCpGにおけるメチル化パターンの変化は、メチル化感受性制限酵素を用いたゲノムDNAの消化(続く所望の領域のサザン分析)(消化−サザン法)によってモニターされる。いくつかの実施形態において、メチル化パターンの変化を分析することは、メチル化感受性制限酵素を用いたゲノムDNAの消化をPCR増幅前にともなう、PCRに基づくプロセスをともなう(Singer-Sam et al. (1990) Nucl. Acids Res. 18: 687)。さらに、メチル化分析の開始点としてDNAのバイスルファイト処理を利用する他の技術が、報告されている。これらとしては、メチル化特異的PCR(MSP)(Herman et al. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93: 9821-9826)およびバイスルファイト変換されたDNAから増幅されたPCR産物の制限酵素消化(Sadri and Hornsby (1996) Nucl. Acids Res. 24: 5058-5059;およびXiong and Laird (1997) Nucl. Acids Res. 25: 2532-2534)が挙げられる。遺伝子変異の検出用のPCR手法(Kuppuswamy et al. (1991) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 1143-1147)、およびアレル特異的な発現の定量化用のPCR手法(Szabo and Mann (1995) Genes Dev. 9: 3097-3108;およびSinger-Sam et al. (1992) PCR Methods Appl. 1: 160-163)が、開発されている。そのような手法は、内部プライマー(PCR生成されたテンプレートにアニールし、定量される単一ヌクレオチドに接する5’を終端処理する)を使用している。米国特許第7,037,650号に記載の“quantitative Ms-SNuPE assay”を用いる方法が、いくつかの実施形態に使用される。
【0020】
メチル化状態を評価するとき、メチル化状態は、特定の部位を含んでいる試料におけるDNAの総集団に対する、特定の部位において(例えば、単一ヌクレオチド、特定の領域または遺伝子座、より長い所望の配列(例えば、〜100bp、200bp、500bp、1000bp以上のDNAの部分配列))メチル化されているDNAの個々のストランドの部分またはパーセンテージとしてしばしば表される。以前は、非メチル化核酸の量を、標準物質を用いたPCRによって決定している。それから、既知の量のDNAを、バイスルファイト処理し、生じたメチル化特異的な配列を、リアルタイムPCRまたは他の指数関数的な増幅(例えば、QuARTSアッセイ(例えば、参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,361,720号;米国特許出願公開第2012/0122088号;および米国特許出願公開第2012/0122106号によって示されているような))を用いて決定する。
【0021】
例えば、いくつかの実施形態において、方法は、外部標準を用いることによって非メチル化標的のための標準曲線を生成することを含んでいる。標準曲線は、す少なくとも2点から構成されており、既知の定量的標準に対する非メチル化DNAについての実時間のCt値に関する。それから、メチル化標的のための第2標準曲線を、少なくとも2点および外部標準から構成する。この第2の標準曲線は、既知の定量的標準に対するメチル化DNAについてのCtに関する。次に、試験試料Ct値を、メチル化集団および非メチル化集団について決定し、DNAのゲノム当量を、最初の2ステップによって生成された標準曲線から算出する。所望の部位におけるメチル化のパーセンテージを、集団におけるDNAの総量に対する、メチル化DNAの量(例えば、(メチル化DNAの数)/(メチル化DNAの数+非メチル化DNAの数)×100)から算出する。
【0022】
本明細書には、また、上記方法を実施するための組成物およびキットが示されている。例えば、いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカーに特異的な試薬(例えば、プライマー、プローブ)が、単独または集合(例えば、複数のマーカーを増幅するためのプライマー対の集合)として備えられている。また、検出アッセイを実施するためのさらなる試薬(例えば、QuARTS、PCR、配列決定、バイスルファイト、または他のアッセイを実施するための酵素、緩衝液、陽性コントロールおよび陰性コントロール)が、備えられている。また、上記試薬を含んでいる反応混合物が、備えられている。さらに、反応混合物を完成するために、互いおよび/または試験試料に加えられ得る複数の試薬を含んでいる、マスター混合試薬セットが示されている。
【0023】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の技術は、本明細書に記載の方法によってもたらされるような、一連の算術演算または論理演算を実施するために設計されているプログラム可能な機械と関連する。例えば、上記技術のいくつかの実施形態は、コンピュータソフトウェアおよび/またはコンピュータハードウェアと関連づけられている(例えば、において実施される)。一側面において、上記技術は、メモリの形態、算術演算および論理演算を実施するための要素、ならびにデータを読み取り、扱い、補完するための一連の指示(例えば、本明細書に示されているような方法)を実行するための処理要素(例えば、マイクロプロセッサ)を備えているコンピュータに関する。いくつかの実施形態において、マイクロプロセッサは、メチル化状態(例えば、1つ以上のDMR(例えば、表1、2、4および7に示されているようなDMR1〜274)の)を決定し;メチル化状態(例えば、1つ以上のDMR(例えば、表1、2、4および7に示されているようなDMR1〜274)の)を比較し;標準曲線を生成し;Ct値を決定し;メチル化(例えば、1つ以上のDMR(例えば、表1、2、4および7に示されているようなDMR1〜274)の)の部分、頻度またはパーセンテージを算出し;CpGアイランドを同定し;アッセイまたはマーカーの特異性および/または感度を決定し;ROCkyokusenn および関連するAUCを算出し;配列分析(すべて本明細書に説明されている、または当該分野において知られている)のためのシステムの一部である。
【0024】
いくつかの実施形態において、マイクロプロセッサまたはコンピュータは、がんの部位を予測するためのアルゴリズムにおいてメチル化状態データを使用する。
【0025】
いくつかの実施形態において、ソフトウェア要素またはハードウェア要素は、複数のアッセイの結果を受け取り、当該結果に基づいてがんリスクを示すユーザに報告するための単一の数値結果を決定する(例えば、多数のDMRのメチル化状態(例えば、表1、2、4および7に示されているような)を決定する)。関連する実施形態は、多数のアッセイの結果(例えば、多数のマーカー(例えば、多数のDMR(例えば、表1、2、4および7)に示されているような)のメチル化状態を決定すること)の数学的な結合(例えば、加重結合、線形結合)に基づいて、リスク因子を算出する。いくつかの実施形態において、DMRのメチル化状態は、一次元を規定しており、多次元空間における値を有し得、多数のDMRのメチル化状態によって規定される座標が、がんリスクに関する結果(例えば、ユーザに報告するための)である。
【0026】
いくつかの実施形態は、記録媒体およびメモリ要素を含んでいる。メモリ要素(例えば、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリ)は、指示(例えば、本明細書に記載のような処理の一実施形態)および/またはデータ(例えば、加工物(例えば、メチル化測定、配列決定、およびそれらと関連付けられている統計的記述))の保存における用途がある。また、いくつかの実施形態は、CPU、グラフィックカードおよびユーザインターフェイス(例えば、出力装置(例えば、ディスプレイ)および入力装置(例えば、キーボード)を含んでいる)の1つ以上を備えているシステムに関する。
【0027】
上記技術と関連するプログラム可能な機械は、従来の現存する技術および開発中またはこれから開発される技術(例えば、量子コンピュータ、化学コンピュータ、光学コンピュータ、スピントロニクスに基づくコンピュータなど)を備えている。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記技術は、データ送信のために、有線伝送媒体(例えば、金属ケーブル、光学繊維)または無線伝送媒体を備えている。例えば、いくつかの実施形態は、ネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、広域ネットワーク(WAN)、特殊ネットワーク、インターネットなど)の全体へのデータ送信に関する。いくつかの実施形態において、プログラム可能な機械は、クライアント/サーバ関係を有している。
【0029】
いくつかの実施形態において、データは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体(例えば、ハードディスク、フラッシュメモリ、光学媒体、フロッピーディスクなど)に記録される。
【0030】
いくつかの実施形態において、本明細書に示されている技術は、本明細書に記載されているような方法を実施するために協働して動作する複数のプログラム可能な装置と関連付けられているえ。例えば、いくつかの実施形態において、複数のコンピュータ(例えば、ネットワークに接続されている)は、(例えば、従来のネットワークインターフェイス(例えば、イーサネット(登録商標)、光学繊維)または無線通信技術)によって接続されている完全なコンピュータ(オンボードCPU、記憶装置、電源、ネットワークインターフェースなどを有している)に依る、クラスター演算またはグリッド演算またはいくつかの他のコンピュータ構築物の実施において)データを収集し、処理するために同時に動作し得る。
【0031】
例えば、いくつかの実施形態は、コンピュータ読み取り可能な媒体を含んでいるコンピュータを提供する。当該実施形態は、プロセッサに連結されているランダムアクセスメモリ(RAM)を含んでいる。当該プロセッサは、メモリーに保存されているコンピュータ実行可能なプログラム指示を実行する。そのようなプロセッサは、マイクロプロセッサ、ASIC、状態機械または他のプロセッサを包含し得、任意の多くのコンピュータプロセッサ(例えば、Intel Corporation of Santa Clara, California and MotorolaCorporation of Schaumburg, Illinoisが提供しているプロセッサ)であり得る。そのようなプロセッサは、
当該プロセッサによって実行されているときに、当該プロセッサに本明細書に記載のステップを実施させる指示を保存している媒体(例えば、コンピュータ読み取り可能な媒体)を含んでいるか、または当該媒体と接続され得る。
【0032】
コンピュータ読み取り可能な媒体の実施形態としては、コンピュータ読み取り可能な指示をプロセッサに与えることの可能な、電子、光学、磁気または他の、記憶装置または伝送装置が挙げられるが、これらに限定されない。好適な媒体の他の例としては、フロッピーディスク、CD−ROM、磁気ディスク、メモリチップ、ROM、RAM、ASIC、設定済のプロセッサ、すべての光学媒体、すべての磁気テープまたはコンピュータが指示を読み取り可能な任意の他の磁気媒体が挙げられるが、これらに限定されない。また、コンピュータ読み取り可能な種々の他の形態(ルータ、個人ネットワークもしくは公衆通信回線、または無線もしくは有線の他の伝送装置もしくは伝送路が挙げられる)は、コンピュータに指示を送信し得るか、または伝える得る。指示は、任意の好適なコンピュータプログラム言語(例えば、C,C++、C#、Visual Basic、Java(登録商標)、Python、PerlおよびJavaScript(登録商標)が挙げられる)に基づくコードを包含し得る。
【0033】
コンピュータは、いくつかの実施形態において、ネットワークに接続されている。また、コンピュータは、多くの外部装置または内部装置(例えば、マウス、CD−ROM、DVD、キーボード、ディスプレイ、または他の入力装置もしくは出力装置)を備え得る。コンピュータの例は、個人用コンピュータ、デジタルアシスタント、個人用
デジタルアシスタント、形態電話機、移動式電話機、スマートフォン、携帯用小型無線呼出し機、デジタルタブレット、ラップトップコンピュータ、インターネット機器、および他のプロセッサに基づく装置である。一般的に、上記技術の複数の側面に関連するコンピュータは、本明細書に示されている上記技術を含んでいる1つ以上のプログラムをサポート可能な任意のオペレーティングシステム(例えば、Microsoft Windows、Linux(登録商標)、UNIX(登録商標)、Mac OS Xなど)によって動作する、任意の種類のプロセッサに基づくプラットフォームであり得る。いくつかの実施形態は、他のアプリケーションプログラム(例えば、複数のアプリケーション)を実行する個人用コンピュータを包含している。当該複数のアプリケーションは、メモリに格納され得、これらとしては、例えば、ワードプロセシングアプリケーション、表計算アプリケーション、電子メールアプリケーション、簡易メッセージアプリケーション、プレゼンテーションアプリケーション、インターネットブラウザアプリケーション、カレンダ/オーガナイザアプリケーション、およびクライアント装置によって実行可能な任意の他のアプリケーションが挙げられる。
【0034】
上記技術と関連付けられているように本明細書に記載されている、そのようなすべてのコンポーネント、コンピュータ、およびシステムは、論理または仮想であり得る。
【0035】
したがって、本明細書には、対象から得られた試料における新生物についてスクリーニングする方法に関する技術が示されている。当該方法は、対象から得られた試料(例えば、胃部組織)(例えば、血漿試料)におけるマーカーのメチル化状態を評価すること;上記マーカーの上記メチル化状態が新生物を有していない対象において評価されたマーカーのメチル化状態と異なるとき、上記対象が新生物を有していると同定することを含んでいる。ここで、上記マーカーは、表1、2、4および/または7に示されているようなDMR1〜274からなる群から選択されるメチル化可変領域(DMR)における塩基を含んでいる。上記技術は、胃がんを同定すること、および識別することに関する。いくつかの実施形態において、上記新生物は胃の新生物(例えば、胃がん)である。いくつかの実施形態は、複数のマーカーを評価することを含んでいる(例えば、2〜11〜100または200または274のマーカーを評価することを含んでいる)方法を提供する。
【0036】
上記技術は、評価されるメチル化状態には限定されない。いくつかの実施形態において、試料におけるマーカーのメチル化状態を評価することは、1塩基のメチル化状態を定量することを包含している。いくつかの実施形態において、、試料におけるマーカーのメチル化状態を定量することは、複数の塩基におけるメチル化の程度を決定することを包含している。さらに、いくつかの実施形態において、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態に対して増大した、マーカーのメチル化状態を包含している。いくつかの実施形態において、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態に対して低下した、マーカーのメチル化状態を包含している。いくつかの実施形態において、マーカーのメチル化状態は、マーカーの正常なメチル化状態と異なる、マーカーのメチル化のパターンを包含している。
【0037】
さらに、いくつかの実施形態において、マーカーは、100未満の塩基の領域である、500未満の塩基の領域である、1000未満の塩基の領域である、5000未満の塩基の領域である、またはいくつかの実施形態において、マーカーは1塩基である。いくつかの実施形態において、マーカーは高いCpG密集度のプロモータにある。
【0038】
上記技術は、試料の種類には限定されない。例えば、いくつかの実施形態において、資料は、糞便試料、組織試料(例えば、胃部組織試料)、血液試料(例えば、血漿、血清、全血)、排泄物、または尿試料である。
【0039】
さらに、上記技術は、メチル化状態を決定するために使用される方法には限定されない。いくつかの実施形態において、定量することは、メチル化特異的ポリメーラゼ連鎖反応、核酸配列決定、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量に基づく分離、またはターゲットキャプチャーを用いることを包含している。いくつかの実施形態において、定量することは、メチル化特異的なオリゴヌクレオチドの使用を包含している。いくつかの実施形態において、上記技術は、メチル化状態を決定するために、平行した大規模の配列決定(例えば、次世代シークエンシング)(例えば、合成ごとの配列決定、実時間(例えば、単分子)配列決定、ビーズ乳濁配列決定、ナノ細孔配列決定など)を利用する。
【0040】
上記技術は、DMRを検出するための試薬を提供し、例えば、いくつかの実施形態において、配列番号1〜109によって示される配列を含んでいるオリゴヌクレオチドの集合が、提供される。いくつかの実施形態において、DMRにおける塩基を有している染色体領域に対して相補的な配列を含んでいるオリゴヌクレオチドが、提供される。
【0041】
上記技術は、マーカーの種々のパネルを提供し、例えば、いくつかの実施形態において、マーカーは、当該マーカーを含んでいるARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569またはC13ORF18であるアノテーションを有している染色体領域を含んでいる。さらに、実施形態は、DMR番号49、43、196、66、1、237、249、250、251または252である表4に基づくDMRを分析する方法を提供する。いくつかの実施形態は、マーカーのメチル化状態を決定することを提供し、ここで、染色体領域が、マーカー(表2を参照)を含んでいるELMO1、ARHGEF4、EMX1、SP9、CLEC11A、ST8SIA1、BMP3、KCNA3、DMRTA2、KCNK12、CD1D、PRKCB、CYP26C1、ZNF568、ABCB1、ELOVL2、PKIA、SFMBT2 (893)、PCBP3、MATK、GRN2D、NDRG4、DLX4、PPP2R5C、FGF14、ZNF132、CHST2 (7890)、FLI1、c13orf18またはZNF569であるアノテーションを有している。さらに、実施形態は、DMR番号253、251、254、255、256、249、257、258、259、260、261、262、250、263、1、264、265、196、266、118、267、268、269、270、271、272、46、273、252または237である、表2に基づくDMRを分析する方法を提供する。さらに、試料が血漿試料であるそのような実施形態において、DMR番号253、251、254、255、256、249、257、258、259、260、261、262、250、263、1、264、265、196、266、118、267、268、269、270、271、272、46、273、252または237である、表1、2、4および7に基づくDMRを分析する方法。いくつかの実施形態において、上記方法は、2つのマーカー(例えば、表1、2、4または7に示されているマーカーの対)のメチル化状態を決定することを含んでいる。
【0042】
キットの実施形態(例えば、バイスルファイト試薬;およびDMR1〜274(表1、2、4または7に基づく)からなる群から選択されるDMRに基づく配列を含んでおり、かつがんを有していない対象と関連付けられているメチル化状態を有しているコントロール核酸を含んでいるキット)が提供される。いくつかの実施形態において、キットは、バイスルファイト試薬および本明細書に記載されているようなオリゴヌクレオチドを含んでいる。いくつかの実施形態において、キットは、バイスルファイト試薬;およびDMR1〜274(表1、2、4または7に基づく)からなる群から選択されるDMRに基づく配列を含んでおり、かつがんを有していない対象と関連付けられているメチル化状態を有しているコントロール核酸を含んでいる。いくつかのキットの実施形態は、対象から試料(例えば、糞便試料、胃部組織試料、血漿試料)を回収するための試料回収器;試料から核酸を単離するための試薬;および本明細書に記載のようなオリゴヌクレオチドを含んでいる。
【0043】
上記技術は、組成物(例えば、反応混合物)の実施形態に関する。いくつかの実施形態において、DMRを含んでいる核酸、およびバイスルファイト試薬を含んでいる組成物が、提供される。いくつかの実施形態は、DMRを含んでいる核酸、および本明細書に記載のようなオリゴヌクレオチドを含んでいる組成物を提供する。いくつかの実施形態は、DMRを含んでいる核酸、およびメチル化感受性制限酵素を含んでいる組成物を提供する。いくつかの実施形態は、DMRを含んでいる核酸、およびポリメーラゼを含んでいる組成物を提供する。
【0044】
対象から得られた試料(例えば、胃部組織試料、血漿試料、糞便試料)における新生物をスクリーニングするための、関連するさらなる方法の実施形態が、提供される。当該方法は、DMR1〜274(表1、2、4または7)の1つ以上であるDMRにおける塩基を含んでいる試料におけるマーカーのメチル化状態を決定すること;対象試料からのマーカーのメチル化状態を、がんを有していない対象からの正常なコントロール試料からのマーカーのメチル化状態を比較すること;ならびに対象試料および正常なコントロール試料のメチル化状態における差異の信頼区間および/またはp値を決定することを含んでいる。いくつかの実施形態において、信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%または99.99%であり、p値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001または0001である。方法のいくつかの実施形態は、DMRを含んでいる核酸を、バイスルファイト試薬と反応させて、バイスルファイト反応済の核酸を生成するステップ;バイスルファイト反応済の核酸を配列決定して、バイスルファイト反応済の核酸のヌクレオチドを配列を示すステップ;バイスルファイト反応済の核酸のヌクレオチド配列を、がんを有していない対象からのDMRを含んでいる核酸のヌクレオチド配列比較して、2つの配列における差異を同定するステップ;および差異があるとき、対象が新生物を有していると同定するステップを含んでいる。
【0045】
対象から得られた試料における新生物についてスクリーニングするためのシステムが、上記ぎ術によって提供される。システムの例示的な実施形態としては、例えば、対象から得られた試料(例えば、胃部組織試料、血漿試料、糞便試料)における新生物についてスクリーニングするためのシステムが挙げられる。当該システムは、試料のメチル化状態を決定するように構成されている分析コンポーネント、試料のメチル化状態を、データベースに記録されているコントロール試料のメチル化状態または基準試料のメチル化状態と比較するためのソフトウェアコンポーネント、ならびにがんと関連するメチ化状態をユーザに注意喚起するように構成されている注意喚起コンポーネントを含んでいる。注意喚起は、いくつかの実施形態において、多数のアッセイからの結果(例えば、多数のマーカー(例えば、表1、2、または7に示されているような)のメチル化状態を決定すること)を受け取るソフトウェア、および多数の結果に基づいて報告するための値または結果を演算することによって、決定される。いくつかの実施形態は、ユーザ(例えば、内科医、看護師、臨床医など)に報告するための値もしくは結果および/または注意喚起を演算することにおける使用のための、本明細書に示されている各DMRと関連付けられている加重変数のデータベースを提供する。いくつかの実施形態において、多数のアッセイからのすべての結果が記録され、いくつかの実施形態において、1つ以上の結果が、多数のアッセイに基づく1つ以上の結果(対象におけるがんリスクを表わす)の複合に基づくスコア、値または結果を示すために、使用される。
【0046】
システムのいくつかの実施形態において、試料は、DMRを含んでいる核酸を含んでいる。いくつかの実施形態において、システムは、核酸を単離するためのコンポーネント、試料を回収するためのコンポーネント(例えば、糞便試料を回収するためのコンポーネント)をさらに含んでいる。いくつかの実施形態において、システムは、DMRを含んでいる核酸配列を含んでいる。いくつかの実施形態において、データベースは、がんを有していない対象からの核酸配列を含んでいる。また、核酸(例えば、各核酸がDMRを有している複数の核酸の集合)が、提供される。いくつかの実施形態において、眼を有していない対象からの配列を各核酸が有している、複数の核酸の集合。関連するシステムの実施形態は、記載のような複数の核酸の集合および当該複数の核酸の集合と関連付けられている複数の核酸配列のデータベースを含んでいる。いくつかの実施形態は、バイスルファイト試薬をさらに含んでいる。いくつかの実施形態は、核酸シークエンサーをさらに含んでいる。
【0047】
一部の実施形態において、ヒト患者からの試料(例えば、胃部組織試料、血漿試料、糞便試料)を特徴づけるための方法が、提供される。例えば、いくつかの実施形態において、そのような実施形態は、ヒト患者の試料からDNAを得ること;表1、2または7に基づくDMR1〜274からなる群から選択されるメチル化可変領域(DMR)における塩基を含んでいるDNAメチル化マーカーのメチル化状態を評価すること;ならびに1つ以上のDNAメチル化マーカーの、評価されたメチル化状態を、胃の新生物を有していないヒト患者についての1つ以上のDNAメチル化マーカーに対するメチル化レベル基準と比較することを含んでいる。
【0048】
そのような方法は、ヒト患者からの試料の特定の種類には限定されない。いくつかの実施形態において、試料は胃部組織試料である。いくつかの実施形態において、試料は血漿試料である。いくつかの実施形態において、試料は、糞便試料、組織試料、胃部組織試料、血液試料または尿試料である。
【0049】
いくつかの実施形態において、そのような方法は、複数のDNAメチル化マーカーを評価することを含んでいる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、12〜107のDNAメチル化マーカーを評価することを含んでいる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、1塩基のメチル化状態を評価することを含んでいる、試料における1つ以上のDNAメチル化マーカーのメチル化状態を評価することを含んでいる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、複数の塩基におけるメチル化状態の程度を決定することを含んでいる、試料における1つ以上のDNAメチル化マーカーのメチル化状態を評価することを含んでいる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、フォワードストランドのメチル化状態を評価すること、またはリバースストランドのメチル化状態を評価することを含んでいる。
【0050】
いくつかの実施形態において、DNAメチル化マーカーは、100未満の塩基の領域である。いくつかの実施形態において、DNAメチル化マーカーは500未満の塩基の領域である。いくつかの実施形態において、DNAメチル化マーカーは1000未満の塩基の領域である。いくつかの実施形態において、DNAメチル化マーカーは、10000未満の塩基の領域である。いくつかの実施形態において、DNAメチル化マーカーは1塩基である。いくつかの実施形態において、DNAメチル化マーカーは高いCpG密集度のプロモータである。
【0051】
いくつかの実施形態において、評価することは、メチル化特異的なポリメーラゼ連鎖反応、核酸配列決定、質量分析、メチル化特異的ヌクレアーゼ、質量に基づく分離、またはターゲットキャプチャーを用いることを含んでいる。
【0052】
いくつかの実施形態において、評価することは、メチル化特異的オリゴヌクレオチドの使用を含んでいる、いくつかの実施形態において、メチル化特異気的オリゴヌクレオチドは配列番号1〜109からなる群から選択される。
【0053】
いくつかの実施形態において、ARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569およびC13ORF18からなる群から選択されるアノテーションを有している染色体領域は、メチル化マーカーを含んでいる。いくつかの実施形態において、DMRは、表4に基づいており、DMR番号49、43、196、66、1、237、249、250、251および252からなる群から選択される。
【0054】
いくつかの実施形態において、ELMO1、ARHGEF4、EMX1、SP9、CLEC11A、ST8SIA1、BMP3、KCNA3、DMRTA2、KCNK12、CD1D、PRKCB、CYP26C1、ZNF568、ABCB1、ELOVL2、PKIA、SFMBT2 (893)、PCBP3、MATK、GRN2D、NDRG4、DLX4、PPP2R5C、FGF14、ZNF132、CHST2 (7890)、FLI1、c13orf18およびZNF569からなる群から選択されるアノテーションを有している染色体領域は、DNAメチル化マーカーを含んでいる。
【0055】
いくつかの実施形態において、DMRは、表2に基づいており、DMR番号253、251、254、255、256、249、257、258、259、260、261、262、250、263、1、264、265、196、266、118、267、268、269、270、271、272、46、273、252および237からなる群から選択される。
【0056】
得られた試料が血漿試料であるいくつかの実施形態において、マーカーは、マーカーを含んでいるELMO1、ZNF569、C13orf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIA1であるアノテーションを有している染色体領域を含んでいる。
【0057】
いくつかの実施形態において、DMRは、表1、2、4または7に基づいており、253、237、252、261、251、196、250、265、256、249および274からなる群から選択される。
【0058】
いくつかの実施形態において、そのような方法は、2つのDNAメチル化マーカーのメチル化状態を決定することを含んでいる。いくつかの実施形態において、そのような方法は、表1、2、4または7に示されているDNAメチル化マーカーの対のメチル化状態を決定することを含んでいる。
【0059】
一部の実施形態において、上記技術は、ヒト患者から得られた試料を特徴づけるための方法を提供する。いくつかの実施形態において、そのような方法は、表1、2、4および7に基づくDMR1〜274からなる群から選択されるDMRにおける塩基を含んでいる試料におけるDNAメチル化マーカーのメチル化状態を決定すること;患者試料からのDNAメチル化マーカーのメチル化状態を、がんを有していないヒト対象からの正常なコントロール試料からのDNAメチル化マーカーのメチル化状態と比較すること;ならびにヒト患者および正常なコントロール試料のメチル化状態における差異の信頼区域およびp値を決定することを含んでいる。いくつかの実施形態において、信頼区間は、90%、95%、97.5%、98%、99%、99.5%、99.9%または99.99%であり、p値は、0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001または0.0001である。
【0060】
一部の実施形態において、上記技術は、ヒト対象から得られた試料(例えば、胃部組織試料、血漿試料、糞便試料)を特徴づけるための方法を提供する。当該方法は、DMRを含んでいる核酸を、バイスルファイト試薬と反応させて、バイスルファイト反応済の核酸を生成させること;バイスルファイト反応済の核酸を配列決定して、バイスルファイト反応済の核酸のヌクレオチド配列を提示すること;バイスルファイト反応済の核酸のヌクレオチド配列を、胃がんを有していない対象からのDMRを含んでいる核酸のヌクレオチド配列と比較することを含んでいる。
【0061】
一部の実施形態において、上記技術は、ヒト対象から得られた試料(例えば、胃部組織試料、血漿試料、糞便試料)を特徴づけるためのシステムを提供する。当該システムは、試料のメチル化状態を決定するように構成されている分析コンポーネント、試料のメチル化状態を、データベースに記録されているコントロール試料メチル化状態または基準試料メチル化状態と比較するように構成されているソフトウェアコンポーネント、ならびにメチル化状態の組み合わせに基づいて単一の値を決定し、胃がんと関連するメチル化状態をユーザに注意喚起するように構成されている注意喚起コンポーネントを含んでいる。いくつかの実施形態において、試料はDMRを含んでいる核酸を含んでいる。
【0062】
いくつかの実施形態において、そのようなシステムは、核酸を分離するためのコンポーネントをさらに含んでいる。いくつかの実施形態において、そのようなシステムは、試料を回収するためのコンポーネントをさらに含んでいる。
【0063】
いくつかの実施形態において、試料は、糞便試料、組織試料、胃部組織試料、血液試料または尿試料である。
【0064】
いくつかの実施形態において、データベースは、DMRを含んでいる核酸配列を含んでいる。いくつかの実施形態において、データベースは、胃がんを有していない対象からの核酸配列を含んでいる。
【0065】
さらなる実施形態は、本明細書に含まれている教示に基づいて、関連する分野の当業者にとって明らかである。
【0066】
本技術のこれらおよび他の特徴、側面および利点は、以下の図を参照してよりよく理解される。
【0067】
図面は、必ずしも尺度を表していないし、図面における対象物は、互い対する関係において縮尺されていないことが、理解される。図面は、本明細書に開示されている装置、システム、組成物、および方法の種々の実施形態を明確にし、理解させることを目的としている描写である。いかなる場合でも、同じ参照番号が、同じか、または類似の部分を説明する複数の図面の全体を通して使用されている。さらに、図面は、本教示の範囲を限定することをまったく目的としていない。
【発明を実施するための形態】
【0069】
本明細書に示されているのは、腫瘍形成を検出すること、およびより詳細には、前がん状態の腫瘍および悪性腫瘍(例えば胃がん)を検出するための方法、組成物、および関連する使用(これらに限らない)に関する技術である。本技術が本明細書に記載されるように、使用されるセクションの見出しは、系統だてる目的のみのためのものであり、いかなる方法でも主題を限定するものと解釈されるべきではない。
【0070】
種々の実施形態の当該詳細な説明において、説明の目的のために、多数の特定の詳細は、開示された実施形態の完全な理解を提供するために、説明される。これらの種々の実施形態は、これらの特定の詳細があろうがなかろうが実施され得ることを、当業者は正しく理解し得る。他の例において、構造および装置は、ブロック図形式で示される。さらに、当業者は、各種方法が提示されかつ実行される特定の順序は実例であると容易に正しく理解でき、この順序を変更でき、変更後もなお本明細書において開示される種々の実施形態の精神および範囲の内であることが企図される。
【0071】
限定されないが、特許、特許出願、物品、本、論文、およびインターネットウェブページを含む本願に引用される全ての文献および同様の素材は、任意の目的のために本明細書に参照として明確に組入れられる。他の方法で定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本明細書に記載される種々の実施形態が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を持つ。組入れられた参照における用語の定義が本教示において与えられる定義と異なることが明白であるとき、本教示において与えられる定義が支配する。
【0072】
〔定義〕
本発明の理解を促進するために、多数の用語および語句を、以下に定義する。追加の定義は、詳細な説明中に説明する。
【0073】
明細書および特許請求の範囲中、文脈が明確に他の意味を指示しない限り、以下の用語は本明細書に明白に関連した意味を持つ。本明細書において使用されるフレーズ「1つの実施形態において」は、そうであり得るけれども、必ずしも同一の実施形態を指さない。さらに、本明細書において使用されるフレーズ「他の実施形態」は、そうであり得るけれども、必ずしも異なる実施形態を指さない。したがって、以下に記載されるように、本発明の種々の実施形態は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に組み合わせられ得る。
【0074】
さらに、本明細書に使用される際、用語「または」は、文脈が明らかにそうではないと規定しない限り、包括的な「または」の機能語であり、用語「および/または」と同義である。用語「基づく」は、文脈が明らかにそうではないと規定しない限り、排他的ではなく、記載されていない追加の要素に基づいているものを考慮に入れる。さらに、明細書中、「a」、「an」、および「the」の意味は、複数表示も含む。「in」の意味は、「in」および「on」を含む。
【0075】
本明細書に使用される際、「核酸」または「核酸分子」は、一般的にリボ核酸またはデオキシリボ核酸を指し、修飾されていないまたは修飾されたDNAまたはRNAであり得る。「核酸」は、限定されず、一本鎖および二本鎖の核酸を含む。本明細書に使用される際、用語「核酸」も上述のように1つ以上の修飾された塩基を含むDNAを含む。したがって、安定性のためまたは他の理由のために修飾されたバックボーンを有するDNAは「核酸」である。本明細書に使用される際、用語「核酸」は、ウイルスおよび細胞(例えば単一細胞および複雑型細胞を含む)のDNA特質の化学的形態だけでなく、化学的に、酵素的に、または代謝的に修飾された核酸の形態といったものを包含する。
【0076】
用語「オリゴヌクレオチド」または「ポリヌクレオチド」または「ヌクレオチド」または「核酸」は、2つ以上のデオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドを有する分子を指し、好ましくは3つ以上であり、通常は10より多い。正確なサイズは、多数の要因に依存し得り、結果としてオリゴヌクレオチドの最終的な機能または使用に依存する。
【0077】
オリゴヌクレオチドは、化学合成、DNA複製、逆転写、またはそれらの組み合わせを含む任意のものにおいて作製され得る。DNAの典型的なデオキシリボヌクレオチドは、チミン、アデニン、シトシン、およびグアニンである。RNAの典型的なリボヌクレオチドは、ウラシル、アデニン、シトシン、およびグアニンである。
【0078】
本明細書に使用される際、核酸の「遺伝子座」または「領域」は、例えば、染色体上の遺伝子、単一のヌクレオチド、CpGアイランド等、核酸のサブ領域を指す。
【0079】
用語「相補的」および「相補性」は、塩基対形成規則によって関連付けられるヌクレオチド(例えば、1ヌクレオチド)またはポリヌクレオチド(例えば、連続したヌクレオチド)を指す。例えば、配列「5’−A−G−T−3’」は、配列「3’−T−C−A−5’」に対して相補的である。相補性は、一部の核酸塩基のみが塩基対形成規則に従って適合する、「部分的」なものであってもよい。あるいは、核酸間に、「完全」または「全体的」相補性が存在してもよい。核酸鎖間の相補性の程度は、核酸鎖間のハイブリッド形成の効率および強度に影響を与える。これは、増幅反応および核酸間の結合に依存する検出方法において、特に重要である。
【0080】
用語「遺伝子」は、RNA、ポリペプチド、またはその前駆体の生成に必要なコード配列を含む核酸(例えば、DNAまたはRNA)配列を指す。機能的なポリペプチドは、ポリペプチドの所望の活性または機能的特性(例えば、酵素活性、リガンド結合、シグナル変換等)が保持される限り、完全長コード配列またはコード配列の任意の部分によって、コードすることができる。用語「部分」は、遺伝子に関して使用される際、その遺伝子の断片を指す。断片とは、サイズに関して、数個のヌクレオチドから、完全な遺伝子マイナス1ヌクレオチドの範囲までをとりうる。したがって、「遺伝子の少なくとも一つの部分を含むヌクレオチド」は、当該遺伝子の複数の断片を含んでいてもよく、または完全な当該遺伝子を含んでいてもよい。
【0081】
用語「遺伝子」はまた、構造遺伝子のコード領域、ならびに5’および3’の両末端における当該コード領域に隣接する配列、例えば、いずれかの末端で約1kbの距離にわたりコード領域に隣接して位置する配列を包含し、この場合当該遺伝子は完全長mRNAの長さに対応する(例えば、コード配列、調節配列、構造配列および他の配列を含む)。コード領域の5’に位置し、mRNA上に存在する配列は、5’非翻訳(non-translated)配列または5’非翻訳(untranslated)配列と称される。コード領域の3’または下流に位置し、mRNA上に存在する配列は、3’非翻訳(non-translated)配列または3’非翻訳(non-translated)配列と称される。用語「遺伝子」は、cDNAおよび遺伝子のゲノム形態の両方を包含する。いくつかの生物(例えば、真核生物)において、遺伝子のゲノム形態またはクローンは、「イントロン」または「介在領域」または「介在配列」と称される、非コード配列により分断されるコード領域を含む。イントロンは、核RNA(hnRNA)に転写される遺伝子のセグメントであり、イントロンは、エンハンサーのような調節要素を含み得る。イントロンは、核または一次転写物から除去または「スプライシング除去」され、イントロンは、したがって、メッセンジャーRNA(mRNA)転写物には存在しない。mRNAは、翻訳の際に、発生期のポリペプチドにおいてアミノ酸の配列または順序を特定するように機能する。
【0082】
イントロンを含有することに加えて、遺伝子のゲノム形態はまた、RNA転写物上に存在する配列の5’末端および3’末端の両方に位置する配列を含んでもよい。これらの配列は、「フランキング」配列または領域と称される(これらのフランキング配列は、mRNA転写物上に存在する非翻訳配列に対して5’または3’に位置する)。5’フランキング領域は、遺伝子の転写を制御するか、またはそれに影響を及ぼす、プロモーターおよびエンハンサー等の調節配列を含み得る。3’フランキング領域は、転写終結、転写後の切断、およびポリアデニル化を指示する配列を含み得る。
【0083】
用語「野生型」は、遺伝子に関して構成される際、天然に存在する源から単離された遺伝子の特徴を有する、遺伝子を指す。用語「野生型」は、遺伝子産物に関して構成される際、天然に存在する源から単離された遺伝子産物の特徴を有する、遺伝子産物を指す。用語「天然に存在する」は、対象に用いる際、天然に見られることができる対象である事実を指す。例えば、生物(ウイルスを含む)に存在し、天然の源から単離でき、実験室で人の手によって意図的に修飾されていないポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列は、天然に存在している。野生型の遺伝子は、しばしば、集団中に最も高頻度で観察される遺伝子または対立遺伝子であり、したがって、その遺伝子の無作為に設計された「正常」または「野生型」形態である。対照的に、用語「修飾された」または「変異体」は、遺伝子または遺伝子産物に関して構成される際、それぞれ、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した際、配列および/または機能的特性に修飾(例えば、変化した特性)を示す、遺伝子または遺伝子産物を指す。天然に存在する突然変異体は、単離可能であり、これらは、それらが野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に変化した特性を有するという事実によって、識別されるということを留意されたい。
【0084】
用語「対立遺伝子」は、遺伝子の変種を指し、変種は、限定されないが、変異形および変異体、多形遺伝子座、ならびに単一のヌクレオチド多形遺伝子座、フレームシフト、ならびにスプライス変異を含む。対立遺伝子は、集団中に天然に存在し得り、または任意の集団の特定の個体の寿命の間起こり得る。
【0085】
したがって、用語「変異形」および「変異体」は、ヌクレオチド配列に関して使用される際、1つ以上のヌクレオチドで、他の、通常関連する、ヌクレオチド配列とは異なるヌクレオチド配列を指す。「変種」は、2つの異なるヌクレオチド配列間の違いであり、典型的には、配列の一つは参照配列である。
【0086】
「増幅」は、鋳型特異性が関与する特別な核酸複製である。これは、非特異的鋳型複製(例えば、鋳型依存的であるが特異的な鋳型には依存しない複製)と対照的である。鋳型特異性はここでは、複製の忠実性(例えば、適当なヌクレオチド配列の合成)およびヌクレオチド(リボ−またはデオキシリボ−)特異性とは区別される。鋳型特異性は、「標的」特異性に関して頻繁に説明される。標的配列は、他の核酸から選別されることが求められるという意味での「標的」である。増幅技術は、この選別のために主にデザインされる。
【0087】
核酸の増幅は、一般的に、典型的に少量のポリヌクレオチド(例えば、単一のポリヌクレオチド分子、ポリヌクレオチド分子の10〜100コピー、厳密に同一であってもそうでなくてもよい、)から開始する、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの一部分の複数のコピーの生成を指し、増幅産物またはアンプリコンは、一般的に検出可能である。ポリヌクレオチドの増幅は、種々の化学的および酵素的プロセスを包含する。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリガーゼ連鎖反応(LCR、例えば、米国特許第5,494,810号を参照されたく、これは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の際の、標的または鋳型DNA分子の1つまたは少数のコピーからの複数のDNAコピーの生成は、増幅の形態である。さらなる増幅の種類には、限定されないが、対立遺伝子特異的PCR(例えば、米国特許第5,639,611号を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、アセンブリPCR(例えば、米国特許第5,965,408号を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ヘリカーゼ依存性増幅(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第7,662,594号を参照されたい)、ホットスタートPCR(例えば、米国特許第5,773,258号および同第5,338,671号を参照されたく、それぞれ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、配列間特異的PCR、逆PCR(例えば、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるTriglia,et alet al.(1988)Nucleic Acids Res.,16:8186を参照されたい)、ライゲーション媒介性PCR(例えば、Guilfoyle,R.et alet al.,Nucleic Acids Research,25:1854−1858(1997)、米国特許第5,508,169号を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、メチル化特異的PCR(例えば、Herman,et al.,(1996)PNAS 93(13)9821−9826を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ミニプライマーPCR、多重ライゲーション依存性プローブ増幅(例えば、Schouten,et al.,(2002)Nucleic Acids Research 30(12):e57を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、多重PCR(例えば、Chamberlain,et al.,(1988)Nucleic Acids Research 16(23)11141−11156、Ballabio,et al.,(1990)Human Genetics 84(6)571−573、Hayden,et al.,(2008)BMC Genetics 9:80を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ネスト化PCR、重複伸長PCR(例えば、Higuchi,et al.,(1988)Nucleic Acids Research 16(15)7351−7367を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、リアルタイムPCR(例えば、Higuchi,et alet al.,(1992)Biotechnology 10:413−417、Higuchi,et al.,(1993)Biotechnology 11:1026−1030を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、逆転写PCR(例えば、Bustin,S.A.(2000)J.Molecular Endocrinology 25:169−193を参照されたく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、固相PCR、熱非対称インターレースPCR、およびタッチダウンPCR(例えば、Don,et al.,Nucleic Acids Research(1991)19(14)4008、Roux,K.(1994)Biotechniques 16(5)812−814、Hecker,et al.,(1996)Biotechniques 20(3)478−485を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が含まれる。ポリヌクレオチド増幅はまた、デジタルPCRを使用して達成することができる(例えば、Kalinina,et al.,Nucleic Acids Research.25;1999−2004,(1997)、Vogelstein and Kinzler,Proc Natl Acad Sci USA.96;9236−41,(1999)、国際特許出願公開第05023091A2号、米国特許出願公開第20070202525号を参照されたく、これらのそれぞれは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0088】
用語「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)は、クローニングまたは精製なしで、ゲノムDNAの混合物中の標的配列のセグメントの濃度を増加させるための方法を記載する、K.B.Mullisの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,965,188号の方法を指す。標的配列を増幅させるためのこのプロセスは、非常に過剰な2つのオリゴヌクレオチドプライマーを、所望される標的配列を含有するDNA混合物に導入し、続いてDNAポリメラーゼの存在下で正確な順序の熱サイクル処理を行うことから構成される。2つのプライマーは、二本鎖の標的配列のそれぞれの鎖に相補的である。増幅をもたらすために、混合物を変性させ、次いで、プライマーを標的分子内のそれらの相補的配列とアニーリングさせる。アニーリング後、プライマーを、新しい相補鎖の組を形成するように、ポリメラーゼで伸長させる。変性、プライマーのアニーリング、およびポリメラーゼ伸長のステップを、何度も反復して(すなわち、変性、アニーリング、および伸長が、1つの「サイクル」を構成し、多数の「サイクル」が存在し得る)、高濃度の所望の標的配列の増幅セグメントを得ることができる。所望の標的配列の増幅セグメントの長さは、互いに対するプライマーの相対的位置によって決定され、したがって、この長さは、制御可能なパラメータである。プロセスの反復する態様のため、この方法は、「ポリメラーゼ連鎖反応」(「PCR」)と称される。所望される標的配列の増幅セグメントが、混合物における優勢配列(濃度に関して)となるため、それらは、「PCRにより増幅された」と称され、「PCR産物」および「アンプリコン」である。
【0089】
鋳型特異性は、ほとんどの増幅技術において、酵素の選択により実現される。増幅酵素は、それらが使用される条件下で、核酸の異種混合物中の核酸の特異的配列のみをプロセッシングする酵素である。例えば、Q−ベータレプリカーゼの場合、MDV−1 RNAは、このレプリカーゼの特異的鋳型である(Kacian et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69:3038[1972])。他の核酸は、この増幅酵素によっては複製されない。同様にT7 RNAポリメラーゼの場合、この増幅酵素は、それ自身のプロモーターに対しストリンジェントな特異性を有する(Chamberlin et al, Nature, 228:227[1970])。T4 DNAリガーゼの場合、この酵素は、2つのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを連結せず、ここでこのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド基質とこの鋳型との間にライゲーション接合点でミスマッチが存在する(Wu and Wallace(1989)Genomics 4:560)。最後に、熱安定性の鋳型依存的DNAポリメラーゼ(例えば、TaqおよびPfu DNAポリメラーゼ)は、それらの高温で機能する能力に関して、結合した配列に高い特異性を発揮し、その結果プライマーにより定義されることがわかっており、高温によって、標的配列とのプライマーハイブリダイゼーションには好ましいが、非標的配列とはハイブリダイズしない、熱力学的条件が生じる(H. A. Erlich(ed.), PCR Technology, Stockton Press[1989])。
【0090】
本明細書に使用される際、用語「核酸検出アッセイ」は、目的の核酸のヌクレオチド組成を決定する任意の方法を指す。核酸検出アッセイには、限定されないが、DNA配列決定法、プローブハイブリッド形成法、構造特異的切断アッセイ(例えば、INVADERアッセイ(Hologic,Inc.)が含まれ、例えば、米国特許第5,846,717号、同第5,985,557号、同第5,994,069号、同第6,001,567号、同第6,090,543号、および同第6,872,816号、Lyamichev et al.,Nat.Biotech.,17:292(1999)、Hall et al.,PNAS,USA,97:8272(2000)、および米国特許出願公開第2009/0253142号に記載され、これらのそれぞれは、全ての目的に関して参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、酵素不適合切断法(例えば、Variagenics、米国特許第6,110,684号、同第5,958,692号、同第5,851,770号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、ポリメラーゼ連鎖反応、分枝ハイブリッド形成法(例えば、Chiron、米国特許第5,849,481号、同第5,710,264号、同第5,124,246号、および同第5,624,802号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、ローリングサークル複製(例えば、米国特許第6,210,884号、同第6,183,960号、および同第6,235,502号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、NASBA(例えば、米国特許第5,409,818号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、分子指標技術(例えば、米国特許第6,150,097号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、Eセンサー技術(Motorola、米国特許第6,248,229号、同第6,221,583号、同第6,013,170号、および同第6,063,573号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、サイクリングプローブ技術(例えば、米国特許第5,403,711号、同第5,011,769号、および同第5,660,988号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、Dade Behringシグナル増幅法(例えば、米国特許第6,121,001号、同第6,110,677号、同第5,914,230号、同第5,882,867号、および同第5,792,614号、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)、リガーゼ連鎖反応(例えば、Barnay Proc.Natl.Acad.Sci USA 88,189−93(1991))、ならびにサンドイッチハイブリッド形成法(例えば、米国特許第5,288,609号、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)が含まれる。
【0091】
用語「増幅可能な核酸」は、任意の増幅法により増幅することができる核酸に関して使用される。「増幅可能な核酸」は、通常「試料鋳型」を含むことが企図される。
【0092】
用語「試料鋳型」は、「標的」(以下に定義する)の存在について分析される試料を起源とする核酸を指す。対照的に「バックグラウンド鋳型」は、試料中に存在するかまたは存在しない、試料鋳型以外の核酸に関して使用される。バックグラウンド鋳型は最も頻繁には、不注意による。これは、キャリーオーバーの結果であるか、または試料から精製除去されることが求められた核酸夾雑物の存在に起因し得る。例えば検出されるべきもの以外の生物由来の核酸は、被験試料中にバックグラウンドとして存在することがある。
【0093】
用語「プライマー」は、精製された制限分解物にあるように、天然に存在するか、または合成で生成されたかにかかわらず、核酸鎖に相補的なプライマー伸長産物の合成が誘発される条件下に(例えば、ヌクレオチドおよびDNAポリメラーゼ等の誘発剤の存在下、好適な温度およびpHで)置かれる場合、その開始点として機能することが可能な、オリゴヌクレオチドを指す。プライマーは、好ましくは、最大の増幅効率のため一本鎖であるが、代替として、二本鎖であってもよい。二本鎖である場合、プライマーは、伸長産物の調製に使用される前に、最初にその鎖を分離するために処理される。好ましくは、プライマーは、オリゴデオキシリボヌクレオチドである。プライマーは、誘発剤の存在下で、伸長産物の合成を開始するのに十分な長さでなければならない。プライマーの正確な長さは、温度、プライマー源、および使用する方法を含む、多数の因子に依存することになる。
【0094】
用語「プローブ」は、対象となる別のオリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることが可能である、精製された制限消化産物中に天然に、または合成、組換え、もしくはPCR増幅によって作製されたオリゴヌクレオチド(例えば、ヌクレオチド配列)を指す。プローブは、一本鎖または二本鎖であってよい。プローブは、特定の遺伝子配列(例えば、「捕捉配列」)の検出、同定、および単離に有用である。本発明で使用されるプローブは、いくつかの実施形態において、酵素(例えば、ELISAに加え、酵素に基づく組織化学アッセイ)、蛍光、放射性、および発光システムを含むがこれらに限定されない、任意の検出システムで検出可能となるように「レポーター分子」により標識されることが企図される。本発明が特定の検出システムまたは標識物に限定されることは意図されていない。
【0095】
本明細書に使用される際、「メチル化」は、シトシンのC5またはN4位のシトシンのメチル化、アデニン、または他の型の核酸のN6位のメチル化を指す。典型的なインビトロでのDNA増幅方法は、増幅鋳型のメチル化パターンを保たないので、インビトロで増幅されたDNAは、通常メチル化されない。しかしながら、「メチル化されていないDNA」または「メチルされたDNA」はまた、それぞれ、もともとの鋳型がメチル化されていないまたはメチル化された増幅されたDNAを指す。
【0096】
したがって、本明細書に使用される際、「メチル化されたヌクレオチド」または「メチル化されたヌクレオチド塩基」は、ヌクレオチド塩基上のメチル残基の存在を指し、メチル残基は、認識される典型的なヌクレオチド塩基に存在しない。例えば、シトシンは、そのピリミジン環上にメチル残基を含まないが、5−メチルシトシンは、そのピリミジン環の5位にメチル残基を含む。したがって、シトシンは、メチル化されたヌクレオチドではなく、5−メチルシトシンは、メチル化されたヌクレオチドである。他の例において、チミンは、そのピリミジン環の5位にメチル残基を含むが、本明細書における意図では、チミンは典型的なDNAのヌクレオチド塩基であるので、DNAに存在する際、チミンはメチル化されたヌクレオチドを考慮されない。
【0097】
本明細書に使用される際、「メチル化された核酸分子」は、1つ以上のメチル化されたヌクレオチドを含む核酸分子を指す。
【0098】
本明細書に使用される際、核酸分子の「メチル化状態(state)」、「メチル化プロファイル」および「メチル化状態(status)」は、核酸分子中の1つ以上のメチル化されたヌクレオチド塩基の欠如の存在を指す。例えば、メチル化されたシトシンを含む核酸分子は、メチル化されたと考えられる(例えば、核酸分子のメチル化状態(state)はメチル化されている)。任意のメチル化されたヌクレオチドを含まない核酸分子は、メチル化されていないと考えられる。
【0099】
特定の核酸配列のメチル化状態(state)は(例えば、本明細書で記載される際、遺伝子マーカーまたはDNA領域)、配列中の全ての塩基のメチル化状態を示すことができ、または配列内の塩基の(例えば、1つ以上のシトシンの)一部分のメチル化状態を示すことができ、またはメチル化が存在する配列内の位置する正確な情報を与えられていてもいなくても、配列内の局所的なメチル化密度に関する情報を示すことができる。
【0100】
核酸分子中のヌクレオチド遺伝子座のメチル化状態は、核酸分子中の特定の遺伝子座のメチル化されたヌクレオチドの存在または欠如を指す。例えば、核酸分子中の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドが5−メチルシトシンであるとき、核酸分子の7番目のヌクレオチドのシトシンのメチル化状態は、メチル化されている。同様に、核酸分子中の7番目のヌクレオチドに存在するヌクレオチドがシトシンである(5−メチルシトシンではない)とき、核酸分子の7番目のヌクレオチドのシトシンのメチル化状態は、メチル化されていない。
【0101】
メチル化状態(status)は、任意に「メチル化値」によって表されるまたは示すことができる(例えば、メチル化頻度、分率、比、割合等を表す)メチル化値は、例えば、メチル化依存的制限酵素で以下の制限消化を与えたそのままの核酸量を定量することにより、または重亜硫酸塩反応後の増幅プロファイルの比較により、または重亜硫酸塩で処理されたおよび処理されていない核酸の配列の比較により、生み出すことができる。したがって、値、例えばメチル化値は、メチル化状態(status)を表し、それゆえ、遺伝子座の多数のコピーにわたってメチル化状態(status)の量の指標として使用することができる。これは、試料中の配列のメチル化状態(status)を閾値または参照値と比較することが望ましいときに、特に使用される。
【0102】
本明細書に使用される際、「メチル化頻度」または「メチル化割合(%)」は、分子または遺伝子座がメチル化されていない実例の数と比較した分子または遺伝子座がメチル化された実例の数を指す。
【0103】
したがって、メチル化状態(state)は、核酸(例えば、ゲノム配列)のメチル化の状態(state)を表す。さらに、メチル化状態(state)は、メチル化に関連する特定のゲノム遺伝子座の核酸断片の特性を指す。上記特性は、限定されないが、このDNA配列内の任意のシトシン(C)残基がメチル化されているかどうか、メチル化されたC残基の位置、核酸の任意の特定領域中のメチル化されたCの頻度または割合、およびメチル化要因における対立遺伝子の差異、例えば、対立遺伝子の起源の差異を含む。用語「メチル化状態(state)」、「メチル化プロファイル」、および「メチル化状態(status)」はまた、相対濃度、絶対濃度、または生体試料中の核酸の任意の特定領域中のメチル化されたCもしくはメチル化されていないCのパターンを指す。例えば、核酸配列内のシトシン(C)配列がメチル化されている場合、それは「高メチル化された」または「増加したメチル化」を有するとして称され得るが、一方DNA配列内のシトシン(C)残基がメチル化されていない場合、「低メチル化された」または「減少したメチル化」を有するとして称され得る。同様に、他の核酸配列(例えば、異なる領域または異なる個体等)と比較したときに、核酸配列内のシトシン(C)残基がメチル化されている場合、他の核酸配列と比較して、その配列は、高メチル化された、または増加したメチル化を有すると考えられる。また、他の核酸配列(例えば、異なる領域または異なる個体等)と比較したときに、DNA配列内のシトシン(C)残基がメチル化されていない場合、他の核酸配列と比較して、その配列は、低メチル化された、または減少したメチル化を有すると考えられる。さらに、用語「メチル化パターン」は、本明細書に使用される際、核酸の配列に対してメチル化されたおよびメチル化されていないヌクレオチドの集合部位を指す。2つの核酸は、同一のまたは同様のメチル化頻度またはメチル化割合を有していてもよいが、メチル化されたおよびメチル化されていないヌクレオチドの位置が異なるものの、領域中、メチル化されたおよびメチル化されていないヌクレオチドの数が同一または同様であるとき、異なるメチル化パターンを有していてもよい。配列は、メチル化の範囲(他のものと比較して増加したまたは減少したメチル化を有するもの)、頻度、またはパターンが異なるとき、「異なってメチル化された」または「メチル化において差異」を有するまたは「異なるメチル化状態(state)」を有するとして称される。用語「異なるメチル化」は、がん陰性試料中の核酸メチル化のパターンのレベルまたはパターンと比較したときの、がん陽性試料中の核酸メチル化のパターンのレベルまたはパターンの差異を指す。それはまた、手術後にがんが再発した患者と再発していない患者との間のレベルまたはパターンの差異と称され得る。異なるメチル化およびDNAメチル化の特定のレベルまたはパターンは、予知および予測生体マーカーであり、例えば、かつて正確な区分または予測特性が明確にされてきた。
【0104】
メチル化状態(state)頻度は、複数の個体からなる群または単一の個体由来の試料を表すために使用することができる。例えば、50%のメチル化状態(state)頻度を有するヌクレオチド遺伝子座は、実例の50%においてメチル化されており、実例の50%においてメチル化されていない。上記頻度は、例えば、個体の群または核酸の集合においてヌクレオチド遺伝子座または核酸領域がメチル化されている程度を表すために使用することができる。したがって、第1の群または核酸分子のプール中のメチル化が第2の群または核酸分子のプール中のメチル化と異なるとき、第1の群またはプールのメチル化状態(state)頻度は、第2の群またはプールのメチル化状態(state)頻度と異なり得る。上記頻度はまた、例えば、ヌクレオチド遺伝子座または核酸領域が単一の個体においてメチル化されている程度を表すために使用することができる。例えば、上記頻度は、組織試料由来の細胞の集団がヌクレオチド遺伝子座または核酸領域でメチル化されたまたはメチル化されていない程度を表すために使用することができる。
【0105】
本明細書に使用される際、「ヌクレオチド遺伝子座」は、核酸分子中のヌクレオチドの位置を指す。メチル化されたヌクレオチドのヌクレオチド遺伝子座は、核酸分子中のメチル化されたヌクレオチドの位置を指す。
【0106】
典型的に、ヒトDNAのメチル化は、隣接するグアニンおよびシトシンを含んで
ジヌクレオチド配列上で起こり、シトシンは、グアニンの5’に位置する(CpGジヌクレオチド配列とも称する)。CpGジヌクレオチド内のほとんどのシトシンは、ヒトゲノムにおいてメチル化されるが、いくつかは、CpGアイランドとして知られる、特定のCpGジヌクレオチドリッチゲノム領域においてメチル化されないままである(例えば、Antequera et al.(1990)Cell 62:503−514を参照されたい)。
【0107】
本明細書に使用される際、「CpGアイランド」は、全ゲノムDNAと比較してCpGジヌクレオチドの増加した数を包含するゲノムDNAのG:Cリッチ領域を指す。CpGアイランドは、長さが少なくとも100、200、またはそれ以上の塩基対であってもよく、領域のG:C含有量は、少なくとも50%であり、予測頻度に対する観測CpG頻度の比は、0.6であり、いくつかの実例において、CpGアイランドは、長さは少なくとも500塩基対であってもよく、領域のG:C含有量は少なくとも55%であり)、予測頻度に対する観測CpG頻度の比は、0.65である。予測頻度に対する観測CpG頻度の比は、Gardiner−Garden et al(1987)J. Mol. Biol. 196: 261−281に規定される方法により計算することができる。例えば、予測頻度に対する観測CpG頻度は、式R=(A×B)/(C×D)により計算することができ、Rは予測頻度に対する観測CpG頻度の比であり、Aは分析される配列中のCpGジヌクレオチド数であり、分析される配列中の全ヌクレオチド数であり、Cは分析される配列中の全Cヌクレオチド数であり、Dは分析される配列中の全Gヌクレオチド数である。メチル化状態(state)は、典型的には、CpGアイランドにおいて、例えばプロモーター領域で決定される。ヒトゲノム中の他の配列がCpAおよびCpTのようにDNAメチル化されやすいけれども、評価され得る(Ramsahoye(2000)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:5237−5242;Salmon and Kaye(1970)Biochim. Biophys. Acta. 204:340−351;Grafstrom(1985)Nucleic Acids Res. 13:2827−2842;Nyce(1986)Nucleic Acids Res. 14:4353−4367;Woodcock(1987)Biochem. Biophys. Res. Commun. 145:888−894を参照されたい)。
【0108】
本明細書に使用される際、核酸分子のメチル化状態(state)と相関して核酸分子のヌクレオチドを修飾する試薬、またはメチル化特異的試薬は、核酸分子のメチル化状態(state)を反映する方法で核酸分子のヌクレオチド配列を変えることができる化合物または組成物または他の薬剤を指す。上記試薬で核酸分子を処理する方法は、核酸分子を試薬と接触させ、必要な場合はさらなるステップと組み合わせて、所望のヌクレオチド配列の変化を成し遂げることを含む。核酸分子のヌクレオチド配列における上記変化は、それぞれのメチル化されたヌクレオチドが異なるヌクレオチドに修飾されている核酸分子をもたらし得る。核酸ヌクレオチド配列における上記変化は、それぞれのメチル化されていないヌクレオチドが異なるヌクレオチドに修飾されている核酸分子をもたらし得る。核酸ヌクレオチド配列における上記変化は、メチル化されていない選択されたヌクレオチドそれぞれ(例えば、それぞれのメチル化されていないシトシン)が異なるヌクレオチドに修飾されている核酸分子をもたらし得る。核酸ヌクレオチド配列を変えるための上記試薬の使用は、メチル化されたヌクレオチドであるそれぞれのヌクレオチド(例えば、それぞれのメチル化されたシトシン)が異なるヌクレオチドに修飾されている核酸分子をもたらし得る。本明細書に使用される際、選択されたヌクレオチドを修飾する試薬の使用は、他の3つのヌクレオチドを修飾せずに、1つのヌクレオチドを修飾する試薬のような、核酸分子中に典型的に存在する4つのヌクレオチド(DNAの場合C、G、T、およびA、ならびにRNAの場合C、G、U、およびA)の1つのヌクレオチドを修飾する試薬を指す。一つの典型的な実施例において、上記試薬は、メチル化されていない選択されたヌクレオチドを修飾することで、異なるヌクレオチドを生じる。他の典型的な実施例において、上記試薬は、メチル化されていないシトシンヌクレオチドを脱アミノ化し得る。典型的な試薬は重亜硫酸塩である。
【0109】
本明細書に使用される際、用語「重亜硫酸塩試薬」は、いくつかの実施形態において、例えば、CpGジヌクレオチド配列において、メチル化されたシチジンとメチル化されていないシチジンとを区別するための、重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、またはそれらの組み合わせを含む試薬を指す。
【0110】
用語「メチル化アッセイ」は、核酸の配列内の1つ以上のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態(state)を決定するためのアッセイを指す。
【0111】
用語「MS AP−PCR」(Methylation−Sensitive Arbitrarily−Primed Polymerase Chain Reaction)は、最もCpGジヌクレオチドを含みやすい領域を合わせるためのCGリッチプライマーを使用するゲノムの全体的なスキャンを考慮した技術分野で認識されている技術を指し、Gonzalgo et al.(1997)Cancer Research 57:594−599に記述されている。
【0112】
用語「MethyLight(商標)」は、Eads et al.(1999)Cancer Res. 59:2302−2306に記述されている技術分野で認識されている蛍光に基づくリアルタイムPCR技術を指す。
【0113】
用語「HeavyMethyl(商標)」は、アッセイを指す。
核酸試料のメチル化特異的選択的増幅を可能にする増幅プライマー間のCpG位置をカバーする、または当該プライマーによってカバーされるメチル化特異的ブロッキングプローブ(本明細書ではブロッカーとしても称される)のアッセイを指す。
【0114】
用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイは、MethyLight(商標)アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置をカバーするメチル化特異的ブロッキングプローブを組み合わせた、MethyLight(商標)アッセイの変種である、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを指す。
【0115】
用語「Ms−SNuPE」(メチル化感受性1本差ヌクレオチドプライマー伸長)は、Gonzalgo & Jones(1997)Nucleic Acids Res. 25:2529−2531に記述されている技術分野で認識されているアッセイを指す。
【0116】
用語「MSP」(メチル化特異的PCR)は、Herman et al.(1996)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821−9826およびU.S. Pat. No.5,786,146に記述されている技術分野で認識されているメチル化アッセイを指す。
【0117】
用語「COBRA」(組み合わせ重硫酸塩制限分析)は、Xiong & Laird(1997)Nucleic Acids Res. 25:2532−2534に記述されている技術分野で認識されているメチル化アッセイを指す。
【0118】
用語「MCA」(メチル化されたCpGアイランド増幅)は、Toyota et al.(1999)Cancer Res. 59: 2307−12、およびWO 00/26401A1に記述されているメチル化アッセイを指す。
【0119】
本明細書に使用される際、「選択されたヌクレオチド」は、核酸分子中に典型的に存在する4つのヌクレオチド(DNAの場合C、G、T、およびA、ならびにRNAの場合C、G、U、およびA)の1つのヌクレオチドを指し、典型的に存在するヌクレオチドのメチル化された誘導体を含み得り(例えば、Cが選択されたヌクレオチドであるとき、メチル化されたおよびメチル化されていないCの両方は、選択されたヌクレオチドの意味に含まれる)、メチル化された選択されたヌクレオチドは、特に、メチル化された典型的に存在するヌクレオチドを指し、メチル化されていない選択されたヌクレオチドは、特に、メチル化されていない典型的に存在するヌクレオチドを指す。
【0120】
用語「メチル化特異的制限酵素」または「メチル化選択的制限酵素」は、酵素を指す。
その認識部位のメチル化状態(state)に依存的な核酸を選択的に消化する。認識部位がメチル化されていないまたはヘミメチル化されている場合に特異的に切断する制限酵素の場合、認識部位がメチル化された場合に切断は行われないまたは有意に減少された効果で行われ得る。認識部位がメチル化されている場合に特異的に切断する制限酵素の場合、認識部位がメチル化されていない場合に切断は行われないまたは有意に減少された効果で行われ得る。好ましくは、メチル化特異的制限酵素、CGジヌクレオチドを含む認識配列(実例の場合CGCGまたはCCCGGGのような認識配列)である。さらに好ましいいくつかの実施形態は、上記ジヌクレオチド中のシトシンが炭素原子C5でメチル化される場合に切断しない制限酵素である。
【0121】
本明細書に使用される際、「異なるヌクレオチド」は、選択されたヌクレオチドと化学的に異なるヌクレオチドを指し、典型的には異なるヌクレオチドが、選択されたヌクレオチドとは異なるワトソン−クリック塩基対形成特性を有し、選択されたヌクレオチドと相補的である典型的に存在するヌクレオチドは、異なるヌクレオチドと相補的である典型的に存在するヌクレオチドと同一ではない。例えば、Cが選択されたヌクレオチドであるとき、UまたはTは異なるヌクレオチドであってよく、CのGに対する相補性およびUまたはTのAに対する相補性により例示される。本明細書に使用される際、選択されたヌクレオチドに相補的な、または異なるヌクレオチドに相補的なヌクレオチドは、高厳格状態下、4つの典型的に存在するヌクレオチドの3つとの相補的なヌクレオチドの塩基ペアリング(paring)よりも高い親和性を有する選択されたヌクレオチドまたは異なるヌクレオチドとの塩基対を形成するヌクレオチドを指す。相補性の一例は、DNA(例えば、A−TおよびC−G)およびRNA(例えば、A−UおよびC−G)におけるワトソン−クリック塩基対形成である。したがって、例えば、高厳格状態下、Gは、G、A、またはTと塩基対を形成するよりも、Cとより高い親和性で塩基対を形成するため、Cが選択ヌクレオチドであるとき、Gは選択されたヌクレオチドに相補的なヌクレオチドである。
【0122】
本明細書に使用される際、所定のマーカーの「感度」は、新生物の試料および新生物でない試料の区別をする閾値より上のDNAメチル化値を報告する試料の割合を指す。いくつかの実施形態において、陽性は、閾値より上のDNAメチル化値(例えば、疾患に関連する範囲)を報告する組織で確認された新生物として定義され、偽陰性は、閾値より下のDNAメチル化値(例えば、非疾患に関連する範囲)を報告する組織で確認された新生物として定義される。感度の値は、それゆえ、既知の疾患試料から得られた所定のマーカーのDNAメチル化測定値が測定値に関連する疾患の範囲内であり得る確率を反映する。本明細書で定義されるように、算出された感度の値の臨床的な関連性は、症状のある被検体に用いるとき、所定のマーカーが臨床症状の存在を検出し得る確率の推定を表す。
【0123】
本明細書に使用される際、所定のマーカーの「特異性」は、新生物の試料および新生物でない試料の区別をする閾値より下のDNAメチル化値を報告する新生物でない試料の割合を指す。いくつかの実施形態において、陰性は、閾値より下のDNAメチル化値(例えば、非疾患に関連する範囲)を報告する組織で確認された新生物でない試料として定義され、偽陽性は、閾値より上のDNAメチル化値(例えば、疾患に関連する範囲)を報告する組織で確認された新生物でない試料として定義される。特異性の値は、それゆえ、既知の非疾患試料から得られた所定のマーカーのDNAメチル化測定値が測定値に関連する非疾患の範囲内であり得る確率を反映する。本明細書で定義されるように、算出された特異性の値の臨床的な関連性は、症状のない患者に用いるとき、所定のマーカーが臨床症状がないことを検出し得る確率の推定を表す。
【0124】
用語「AUC」は、本明細書に使用される際、「曲線の下の領域(areaunder a curve)」の略語である。特に、AUCは、受信者動作特性(ROC)曲線の下の領域を指す。ROC曲線は、診断テストの異なる可能なカットポイントの偽陽性率に対する真陽性率のプロットである。ROC曲線は、選択されたカットポイントに依存する感度と特異性との間のトレードオフを示す(感度における任意の増加は、特異性における減少により付随され得る)。ROC曲線の下の領域(AUC)は、診断テストの精度の基準である(より大きい領域であるほどよりよい;最高は1;ランダムテストは0.5の領域を有する対角線に横たわるROC曲線を有し得る;参照:J. P. Egan.(1975)Signal Detection Theory and ROC Analysis, Academic Press, New York)。
【0125】
本明細書に使用される際、用語「新生物」は、「組織の異常な塊、度を超えた成長、正常な組織の成長と調和していない」を指す。例えば、「The Spread of Tumors in the Human Body」, London, Butterworth & Co, 1952を参照されたい。
【0126】
本明細書に使用される際、用語「腺腫」は、腺起源の良性腫瘍を指す。これらの成長は良性であるが、時間とともに、悪性に進化する可能性がある。
【0127】
用語「がん発生前の」または「新生物発生前の」およびそれらの同義語は、悪性の形質転換を受けている任意の細胞増殖疾患を指す。
【0128】
新生物、腺腫、がん等の「部位」とは、新生物、腺腫、がん等が位置する被検体の身体における、組織、器官、細胞型、解剖学的構造上の領域、身体の一部等である。
【0129】
本明細書に使用される際、「診断」テスト方法は、被検体が所定の疾患または症状に感染する可能性を決定し、疾患または症状のある被検体が治療に反応する可能性を決定し、疾患または症状のある被検体の予測を決定し(またはおそれがある進行または退行)、疾患または症状のある被検体の治療の効果を決定する、被検体の疾患状態(state)または症状の検出または同定を含む。例えば、診断は、存在または新生物に感染している被検体の可能性またはそのような被検体が化合物(例えば、医薬、例えば薬物)に好適に反応する可能性または他の治療の検出に用いることができる。
【0130】
用語「マーカー」は、本明細書に使用される際、例えば、そのメチル化状態(state)に基づき、がん細胞と正常な細胞とを区別することにより、がんを診断できる基質(例えば、核酸または核酸の領域)を指す。
【0131】
用語「単離された」は、「単離されたオリゴヌクレオチド」のように、核酸に関連して使用される場合、同定され、かつその天然の供給源において通常それと会合している少なくとも1つの夾雑核酸から分離された核酸配列を指す。単離された核酸は、それが天然に認められるものとは異なる形または状況で存在する。対照的に、DNAおよびRNAなどの単離されない核酸は、天然に存在する状態で認められる。単離されない核酸の例は、隣接遺伝子に近接して宿主細胞染色体上に認められ、特定のタンパク質をコードする特定のmRNA配列などのRNA配列は、多数のタンパク質をコードする多くの他のmRNAとの混合物として細胞内に認められる所定のDNA配列(例えば遺伝子)を含む。しかし特定のタンパク質をコードする単離された核酸は、例として、核酸が天然の細胞のそれとは異なる染色体位置にあるか、またはそうでなければ天然に認められるものとは異なる核酸配列が側方に位置しているような、タンパク質を通常発現する細胞内の核酸を含む。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドは、1本鎖または2本鎖の形で存在することができる。単離された核酸またはオリゴヌクレオチドが、タンパク質またはオリゴヌクレオチドを発現させるために利用される場合、オリゴヌクレオチドは最小のセンス鎖またはコード鎖を含む(すなわちオリゴヌクレオチドは1本鎖である)が、センス鎖およびアンチセンス鎖の両方を含んでも良い(すなわちオリゴヌクレオチドは2本鎖であることができる)。単離された核酸は、その天然のまたは典型的な環境から単離された後、他の核酸または分子と組み合わせてもよい。例えば、単離された核酸は、例えば異種間発現に置かれた宿主細胞に存在してもよい。
【0132】
用語「精製された」は、天然の環境から除去された、単離された、または分離された核酸またはアミノ酸配列のどちらかの分子を指す。「単離された核酸配列」は、それゆえ、精製された核酸配列であってよい。「実質的に精製された」分子は、それらが天然に関連する他の成分から少なくとも60%フリーであり、好ましくは少なくとも75%フリーであり、より好ましくは少なくとも90%フリーである。本明細書に使用される際、用語「精製された」または「精製する」はまた、試料から夾雑物を除去することを指す。夾雑タンパク質を除去することにより、試料中の対象のポリペプチドまたは核酸の割合が高くなる。他の例において、組み換えポリペプチドは、植物、バクテリア、酵母、または哺乳類の宿主細胞中で発現され、ポリペプチドは、宿主細胞タンパク質の除去により精製され、試料中、組み換えポリペプチドの割合は、それによって高くなる。
【0133】
用語所定のポリヌクレオチド配列またはポリペプチド「を含む組成物」は、所定のポリヌクレオチド配列またはポリペプチドを含む任意の組成物を広く指す。組成物は、塩(例えばNaCl)、界面活性剤(例えばSDS)、および他の成分(例えばデンハルト液、乾燥ミルク、サケ精子DNA等)を含む水性溶液を含んでいてもよい。
【0134】
用語「試料」は、その最も広い意味で使用される。ある意味において、動物細胞または組織を指してもよい。他の意味において、生物学的および環境的試料だけでなく、任意の源から得られた検体または培養物を含むことを意味する。生物学的試料は、植物または動物(ヒトを含む)から得られ、流体、個体、組織、および気体を包含し得る。いくつかの実施形態において、試料は血漿試料である。いくつかの実施形態において、試料は胃の組織試料である。いくつかの実施形態において、試料は便試料である。環境的試料は、表面物質、土壌、水、および産業試料のような環境的物質を含む。これらの例は、本発明に適用可能な試料タイプを制限するものとして解釈されるべきではない。
【0135】
本明細書に使用される際、「かけ離れた試料」は、いくつかの文脈において使用される際、試料の細胞、組織、または臓器の源でない部位から間接的に回収された試料を指す。例えば、膵臓を起源とする試料物質が便試料中で評価されるとき(例えば、膵臓から直接的に採取された試料由来でない)、当該試料はかけ離れた試料である。
【0136】
本明細書に使用される際、用語「患者」または「被検体」は、技術により与えられた種々のテストを受ける生物を指す。用語「被検体」は、動物を含み、好ましくはヒトを含む哺乳類動物を含む。好ましい実施形態において、被検体は霊長類の動物である。さらにより好ましい実施形態において、被検体はヒトである。
【0137】
本明細書に使用される際、用語「キット」とは、材料を送達するための任意の送達システムを指す。反応アッセイの関連において、このような送達システムには、反応試薬(例えば、適切な容器に入ったオリゴヌクレオチド、酵素等)および/または支持材料(例えば、緩衝液、アッセイを行うための説明書類等)の保管、輸送、もしくは1つの位置からもう1つの位置までの送達を可能にする、システムが含まれる。例えば、キットには、関連する反応試薬および/または支持材料を含有する1つ以上の容器(例えば、箱)が含まれる。本明細書に使用される際、用語「細分化キット」は、2つ以上の別個の容器であって、それぞれが、全キット構成要素の一部を含む、2つ以上の別個の容器を含む送達システムを指す。容器は、一緒または別個に、意図される受容者に送達することができる。例えば、第1の容器は、アッセイで使用するための酵素を含み得り、一方で第2の容器は、オリゴヌクレオチドを含む。用語「細分化キット」は、連邦食品衣料品化粧品法(Federal Food,Drug,and Cosmetic Act)の第520条(e)項により規制される、検体特異的試薬(ASR)を含むキットを包含するように意図するが、それらに限定されない。実際には、2つ以上の別個の容器であって、それぞれが全キット構成要素の一部分を含む、2つ以上の別個の容器を含むいずれの送達システムも、用語「細分化キット」に含まれる。対照的に、「複合キット」は、反応アッセイの全ての構成要素を単一の容器(例えば、所望される構成要素のそれぞれを収容する単一の容器内)に含む、送達システムを指す。用語「キット」は、細分化および複合両方のキットが含まれる。
【0138】
〔本技術の実施形態〕
本明細書に提供されているのは、腫瘍形成の検出に関する技術、ならびに、特に(ただしこれらに限定されない)、前がん状態および胃がんなどの悪性腫瘍を検出するための、方法、組成物、および関連する使用に関する技術である。胃のがん(例えば、胃がん)を有する被験体の腫瘍由来のDNAマーカーのメチル化状態を、コントロールの被験体由来の同一のDNAマーカのメチル化状態と比較することによる症例対照法にてマーカーを同定した(実施例1および2を参照のこと)。
追加実験では、胃がん検出のための10個の最適なマーカー(ARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569、C13ORF18;実施例2および表4を参照のこと)を同定した。さらなる追加実験により、胃がん検出のための30個の任意マーカーを同定した(実施例1および表2を参照のこと)。さらなる追加実験により、血漿試料中の胃のがん(例えば胃がん)検出のための12個の最適なマーカーを同定した(ELMO1、ZNF569、C13またはf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIAI;実施例3、表1、2、4および7を参照のこと)。
【0139】
マーカーおよび/またはマーカのパネル(例えば、ARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIAI、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569または13ORF18から選択されるアノテーションを有し、マーカ(表4を参照)を含む染色体領域、を、胃のがん(例えば胃がん)を有する被験体の胃の組織のメチル化状態をコントロールの被験体由来の同一のDNAマーカーのメチル化状態と比較することによる症例対照法にてマーカーを同定した(実施例2を参照のこと)。
【0140】
マーカーおよび/またはマーカーのパネル(例えば、ELMO1、ARHGEF4、EMX1、SP9、CLEC11A、ST8SIA1、BMP3、KCNA3、DMRTA2、LCNK12、SD1D、PRLCB、CYP26C1、ZNF568、ABCB1、ELOVL2、PKIA、SFMBT2(839)、PCBP3、MATK、GRN2D、NDRG4、DLX4、PPP2R5C、FGF14、ZNF132、CHST2(7890)、FL11、c13もしくはf18またはZNF569から選択されるアノテーションを有し、マーカーを含んでいる染色体領域(表2を参照のこと)を、
を、胃のがん(例えば胃がん)を有する被験体の胃の組織のメチル化状態をコントロールの被験体由来の同一のDNAマーカーのメチル化状態と比較することによる症例対照法にてマーカーを同定した(実施例1を参照のこと)。
【0141】
マーカーおよび/またはマーカーのパネル(例えば、ELMO1、ZNF569、C13もしくはf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4、ST8SIA1から選択されるアノテーションを有し、マーカーを含んでいる染色体領域(表1、2、4および7を参照のこと)を、DNAマーカー(胃のがん(例えば胃がん)を有する被験体の胃の血漿由来)のメチル化状態をコントロールの被験体由来の同一のDNAマーカーのメチル化状態と比較することによる症例対照法にてマーカーを同定した(実施例3を参照のこと)。
【0142】
さらに、本技術は様々なマーカのパネル、例えば、いくつかの実施形態では、マーカーは、ARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569またはC13ORF18であるアノテーションを有し、当該マーカーを含む、染色体領域を含む(表4を参照のこと)。
さらに、実施形態では、DMR番号、No.49、43、196、66、1、237、249、250、251または252である、表4のDMRの解析する方法を示している。いくつかの実施形態では、マーカーのメチル化状態の測定であって、染色体領域がELMO1、ARHGEF4、EMX1、SP9、CLEC11A、ST8SIA1、BMP3、KCNA3、DMRTA2、KCNK12、CD1D、PRKCB、CYP26C1、ZNF568、ABCB1、ELOVL2、PKIA、SFMBT2(893)、PCBP3、MATK、GRN2D、NDRG4、DLX4、PPP2R5C、FGF14、ZNF132、CHST2(7890)、FLI1、c13もしくはf18またはZNF569であるアノテーションを有し、当該マーカーを含む、測定を提供する(表2を参照のこと)。さらなる実施形態では、表2由来のDMR解析の歩具体的な方法は、DMR番号が253、251、254、255、256、249、257、258、259、260、261、262、250、263、1、264、265、196、266、118、267、268、269、270、271、272、46、273、252または237である表2のDMRを解析する方法を提供する。いくつかの実施形態では、得られた試料は血漿血漿試料であり、マーカーは、ELMO1、ZNF569、C13かf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIA1であるアノテーションを有し、当該マーカーを含む染色体領域を含む。さらに、このような実施形態において、試料は血漿血漿試料であり、DMR番号253、251、254、255、256、249、257、258、259、260、261、262、250、263、1、264、265、196、266、118、267、268、269、270、271、272、46、273、252または237である表1、2、4および7のDMRを解析する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、2つのマーカー(例えば表1、2、4または7の列に示されているマーカーの組)のメチル化状態を測定することを包含する。
【0143】
本明細書における開示は、特定の例示された実施形態を言及しているが、これらの実施形態は例示の方法によって示されたものであり限定の方法によって示されたものでないことが理解されるであろう。
【0144】
特定の局面において、本技術は、胃のがん(例えば胃がん)などのがんの同定、検出、および/または分類のための組成物および方法を提供する。当該方法は被験体(例えば、便の試料、胃の組織試料、血漿血漿試料)から分離された生物学的試料における少なくとも1つのメチル化マーカーのメチル化状態を検出することを包含しており、マーカーのメチル化状態における変化が、胃のがん(例えば胃がん)の存在、分類または部位の指標となる。特定の実施形態は、疾病の前がんステージの間の早期発見を含む新生細胞増殖性の疾患(例えばがん)腫瘍性細胞の、診断(例えばスクリーニング)に用いられる、メチル化可変領域(DMR、例えば、DMR1−274、表1、2、4および7)を含んでいるマーカーに関する。
【0145】
少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、または、本明細書に示され、表1、2、4、または7に列挙されたDMR(例えば、DMR、DMR1−274)を含んでいるマーカーの塩基のメチル化が分析される実施形態に加え、本技術はまた、がん(特に胃のがん)の検出の有用性を有するDMRを含む、少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、またはマーカーの塩基を含むマーカーのパネルを提供する。
【0146】
本技術のいくつかの実施形態は、少なくとも1つのマーカー、マーカーの領域、またはマーカの塩基のCpGメチル化状態の分析に基づいている。
【0147】
いくつかの実施形態において、本技術は、DMR(例えば、DMR1−274、表1、2、4および7を参照のこと)を含んでいる少なくとも1つのマーカー中のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態を測定する1つ以上のメチル化アッセイとの組合せにおける、
重亜硫酸塩法の使用のために提供される。ゲノムのCpGジヌクレオチドは、メチル化または脱メチル化され得る(あるいはそれぞれup- およびdown-メチル化として知られている)。しかし、本発明の方法は、離れた試料(例えば血液、組織排出物または便)のバックグラウンド中の異種の性質(例えば低濃度の腫瘍細胞またはそれ由来の生物学的材料)の生物学的資料の分析に好適である。
【0148】
したがって、そのような試料中のCpGの位置のメチル化状態の分析をする場合、特定のCpGの位置におけるメチル化のレベル(例えばパーセント、分画、比率、集団、度合)を検出するための定量的アッセイを使用し得る。
【0149】
本技術によれば、DMRを含んでいるマーカー中のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態の測定は、胃のがんなどのがんの診断および性質の両方に有用性がある。
【0150】
〔マーカーの組み合わせ〕
いくつかの実施形態において、本技術は表1(例えば、DMR番号1−248)、または表4(例えば、DMR番号49、43、196、66、1、237、249、250、251、252)、または表2(例えば、DMR番号253、251、254、255、256、249、257、258、259、260、261、262、250、263、1、264、265、196、266、118、267、268、269、270、271、272、46、273、252、237)、または表7(DMR番号274)またはDMRを含むさらなるマーカーを含むマーカーの組合せのメチル化状態を評価することに関する。いくつかの実施形態において、1つ以上のマーカーのメチル化状態を評価することは、特異性を向上させるおよび/または被験体における腫瘍(例えば胃のがん)の想定のためのスクリーニングまたは診断の感度を向上させる。いくつかの実施形態において、マーカまたはマーカーの組合せは、腫瘍の種類同士および/または局在同士を識別する。
【0151】
種々のがんがマーカーの種々の組合せによって予測される(例えば、予測の特異性および感度に関する統計学的な技術によって同定される)。本技術は、いくつかの癌の予測的な組み合せおよび実証された組合せを決定する方法を提供する。
【0152】
〔メチル化状態(state)の分析方法〕
5−メチルシトシンの存在のために核酸を分析するための最もよく使用される方法は、DNA中の5−メチルシトシンの検出のためのFrommerらによりに記載されている重亜硫酸塩法(Frommer et al.(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1827−31 explicitly incorporated herein by reference in its entirety for all purposes)またはその変種に基づいている。5−メチルシトシンを見つけ出す重亜硫酸塩法は、5−メチルシトシンでないシトシンが亜硫酸水素イオン(重亜硫酸塩としても知られる)と反応する観測に基づく。反応は、通常、以下のステップにより行われる。はじめに、シトシンは、スルホン化シトシンを形成するために亜硫酸水素と反応する。次に、スルホン化反応中間体の自発的な脱アミノ化によりスルホン化ウラシルとなる。最終的に、スルホン化ウラシルは、ウラシルを形成するために、アルカリ条件下で脱スルホン化される。ウラシルはアデニンと塩基対を形成し(チミンのようにふるまう)、一方5−メチルシトシンはグアニンと塩基対を形成する(シトシンのようにふるまう)ため、検出は可能である。これは、例えば、重亜硫酸塩遺伝子配列決定(Grigg G, & Clark S, Bioessays(1994)16: 431−36; Grigg G, DNA Seq. (1996) 6: 189−98)、または例えば米国特許第5,786,146号に開示されているようなメチル化特異的PCR(MSP)により、メチル化されていないシトシンからメチル化されたシトシンを区別することを可能にする。
【0153】
いくつかの従来の技術は、分析するためのDNAをアガロース膜中に囲うことを含む方法に関係し、それにより、DNAの拡散および復元を防ぎ(重亜硫酸塩は1本鎖DNAとのみ反応する)、早い透析で沈降および精製ステップに取って代わる(Olek A, et al.(1996)“A modified and improved method for bisulfite based cytosine methylation analysis” Nucleic Acids Res. 24: 5064−6)。したがって、方法の有用性および感度を示す、メチル化状態(status)の個々の細胞を分析することが可能である。5−メチルシトシンを検出するための従来の方法の概要は、Rein, T., et al.(1998)Nucleic Acids Res. 26: 2255により与えられる。
【0154】
重亜硫酸塩の技術は、典型的に、個々のシトシンの位置を分析するために、重亜硫酸塩処理後の既知の核酸の短い特定のフラグメントを増幅すること、それから配列決定により産物を分析すること(Olek & Walter(1997)Nat. Genet. 17: 275−6)、またはプライマー伸長反応(Gonzalgo & Jones (1997) Nucleic Acids Res. 25: 2529−31;国際公開公報第95/00669号;米国特許第6,251,594号)を含む。いくつかの方法は、酵素消化を用いる(Xiong & Laird(1997)Nucleic Acids Res. 25: 2532−4)。ハイブリッド形成による検出はまた、当技術分野において説明されている(Olek et al.,国際公開公報第99/28498号)。さらに、個々の遺伝子に関するメチル化検出のための重亜硫酸塩の技術の使用が説明されている(Grigg & Clark(1994)Bioessays 16: 431−6,; Zeschnigk et al.(1997)Hum Mol Genet. 6: 387−95; Feil et al.(1994)Nucleic Acids Res. 22: 695; Martin et al. (1995) Gene 157: 261−4;国際公開公報第9746705号;国際公開公報第9515373号)。
【0155】
様々なメチル化分析方法は、当技術分野において知られており、本技術による重亜硫酸塩処理と併用して使用できる。これらの分析により、核酸配列内の1つまたは複数のCpGジヌクレオチド(例えばCpGアイランド)のメチル化状態(state)を決定できる。そのような分析は、他の技術の間に、重亜硫酸塩処理された核酸の配列決定、PCR(配列特定の増幅のため)、サザンブロット分析、およびメチル化感受性制限酵素の使用を含む。
【0156】
例えば、遺伝子配列決定は、メチル化パターンの分析のために簡易化され、5−メチルシトシンは、重亜硫酸塩処理を用いることにより区別する(Frommer et al.(1992)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89: 1827−1831)。さらに、重亜硫酸塩転換されたDNAから増幅されたPCR産物の制限酵素消化は、例えば、Sadri & Hornsby(1997)Nucl. Acids Res. 24: 5058−5059により説明されるように、またはCOBRA(組み合わせ重硫酸塩制限分析)(Xiong & Laird(1997)Nucleic Acids Res. 25: 2532−2534)として知られる方法において実施されるように、メチル化状態(state)を査定することにおける使用を見出す。
【0157】
COBRA(商標)分析は、少量のゲノムDNA中の特定の遺伝子座でのDNAメチル化レベルを決定するのに有用な定量メチル化分析である(Xiong & Laird, Nucleic Acids Res. 25:2532−2534, 1997)。要するに、制限酵素消化は、重亜硫酸ナトリウム処理されたDNAのPCR産物中のメチル化依存的な配列の差異を明らかにするために使用される。メチル化依存的な配列の差異は、Frommerら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1827−1831, 1992)により説明される方法による標準の重亜硫酸塩処理によってゲノムDNAにはじめに導入される。重亜硫酸塩転換されたDNAのPCR増幅は、それから対象のCpGアイランドのための特定のプライマーを使用して行われ、続いて制限エンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動、および特定のラベル化ハイブリッド形成プローブを用いた検出が行われる。もともとのDNA試料におけるメチル化レベルは、DNAメチル化レベルの広範なスペクトルを横切る線形定量法における消化されたおよび消化されていないPCR産物の相対的な量により表される。さらに、この技術は顕微解剖されたパラフィンが組み込まれた組織試料から得られたDNAに確実に適用できる。
【0158】
COBRA(商標)分析のための典型的な試薬(例えば、典型的なCOBRA(商標)に基づくキットに見られ得るような)は、限定されないが、特定の遺伝子座のためのPCRプライマー(例えば、特定の遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理されたDNA配列、CpGアイランド等);制限酵素および適切な緩衝液、遺伝子ハイブリット形成オリゴヌクレオチド;コントロールハイブリット形成オリゴヌクレオチド;オリゴヌクレオチドプローブのためのキナーゼラベリングキット;およびラベル化されたヌクレオチドを含んでもよい。さらに、重亜硫酸塩転換試薬は、DNA変性緩衝液、スルホン化緩衝液、DNA修復試薬、またはキット(例えば、沈降、限外ろ過、アフィニティーカラム);脱スルホン化緩衝液、およびDNA修復組成物を含んでいてもよい。
【0159】
好ましくは、「MethyLight(商標)」(蛍光に基づくリアルタイムPCR技術)(Eads et al., Cancer Res. 59:2302−2306, 1999)、Ms−SNuPE(商標)(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長)反応(Gonzalgo & Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529−2531, 1997)、メチル化特異的PCR(「MSP」; Herman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821−9826, 1996; U.S. Pat. No. 5,786,146)、およびメチル化されたCpGアイランド増幅(「MCA」; Toyota et al., Cancer Res. 59:2307−12, 1999)のような分析は、単独または1つ以上のこれらの方法の組み合わせで使用される。
【0160】
「HeavyMethyl(商標)」分析、技術は、重亜硫酸塩処理されたDNAのメチル化特異的増幅に基づいて、メチル化の差異を査定するための定量方法である。増幅プライマー間のCpG位置をカバーする、または当該プライマーによってカバーされるメチル化特異的ブロッキングプローブ(「ブロッカー」)によって、核酸試料のメチル化特異的選択的増幅が可能となる。
【0161】
用語「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイは、MethyLight(商標)アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置をカバーするメチル化特異的ブロッキングプローブを組み合わせた、MethyLight(商標)アッセイの変種である、HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイを指す。HeavyMethyl(商標)アッセイはまた、メチル化特異的増幅プライマーとの組み合わせにおいて使用されてもよい。
【0162】
HeavyMethyl(商標)分析のための典型的な試薬(例えば、典型的なMethyLight(商標)に基づくキットに見られ得るような)は、限定されないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理されたDNA配列、CpGアイランド、または重亜硫酸塩処理されたDNA配列またはCpGアイランド等)のためのPCRプライマー;オリゴヌクレオチドブロッキング;最適化されたPCR緩衝液およびデオキシンクレオチド;およびTaqポリメラーゼを含んでいてもよい。
【0163】
メチル化感受性制限酵素の使用の影響を受けずに、MSP(メチル化特異的PCR)により、CpGアイランド内のCpG部位の実質的な任意の基のメチル化状態(status)を査定することができる(Herman et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821−9826, 1996; U.S. Pat. No. 5,786,146)。要するに、DNAは、重亜硫酸ナトリウムによって修飾され、メチル化シトシンではなく非メチル化シトシンをウラシルに転換し、産物はメチル化DNA対非メチル化DNAのための特定のプライマーで連続的に増幅される。MSPは少量のDNAのみを必要とし、所定のCpGアイランド遺伝子座のメチル化対立遺伝子の0.1%の感度を有し、パラフィンが組み込まれた試料から抽出されたDNA上で行うことができる。MSP分析のための典型的な試薬(例えば、典型的なMSPに基づくキットに見られ得るような)は、限定されないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理されたDNA配列、CpGアイランド等)のためのメチル化および非メチル化PCRプライマー;最適化されたPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、および特定のプローブを含んでいてもよい。
【0164】
MethyLight(商標)アッセイは、PCRステップ後のさらなる操作が必要ない、蛍光に基づくリアルタイムPCR(例えば、TaqMan(登録商標))を利用する高スループット定量メチル化アッセイである(Eads et al., Cancer Res. 59:2302−2306, 1999)。要するに、MethyLight(商標)工程は、標準的な方法によって、重亜硫酸ナトリウム反応において、メチル化依存的な配列の差異を持つ混合プールに転換される、ゲノムDNAの混合試料から始まる(重亜硫酸塩工程は、非メチル化シトシン残基をウラシルに転換する)。蛍光に基づくPCRは、それから例えば、既知のCpGジヌクレオチドと一部重なり合うPCRプライマーと共に、「偏った」反応において行われる。配列の区別は、増幅工程のレベル及び蛍光検出工程のレベルの両方で生じる。
【0165】
MethyLight(商標)アッセイは、核酸(例えばゲノムDNA試料)中のメチル化パターンの定量テストとして使用され、配列の区別はプローブのハイブリッド形成のレベルで生じる。定量版において、PCR反応は、特定の推定上のメチル化部位と一部重なる蛍光プローブの存在下で、メチル化特異的増幅を与える。DNAの投入量の偏りのないコントロールは、プライマーもプローブも任意のCpGジヌクレオチドに重ならない反応によって与えられる。また、ゲノムメチル化の定量テストは、既知のメチル化部位をカバーしないコントロールヌクレオチド(例えば、HeavyMethyl(商標)およびMSP技術の蛍光に基づく版)または可能性のあるメチル化部位をカバーするオリゴヌクレオチドであるかのどちらかで偏ったPCRプールを探査することにより成し遂げられる。
【0166】
MethyLight(商標)工程は、任意の好ましいプローブと共に使用される(例えば「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycler(登録商標)プローブ等)例えば、いくつかの適用において、例えばMSPプライマーおよび/またはHeavyMethylブロッカーオリゴヌクレオチドおよびTaqMan(登録商標)プローブと共に、2本鎖ゲノムDNAは重亜硫酸ナトリウムで処理され、TaqMan(登録商標)を用いたPCR反応のプローブ2セットのうち1つの対象となる。TaqMan(登録商標)プローブは、蛍光「レポーター」および「クエンチャー」分子で二重にラベル化され、相対的に高いGC成分領域に特異的になるようにデザインされるため、フォアワードまたはリバースプライマーよりもPCRサイクル中、約10℃高い温度で融解する。これにより、TaqMan(登録商標)プローブは、PCRアニーリング/伸長ステップの間、十分にハイブリッド形成されたものを残すことができる。Taqポリメラーゼは、PCRの間、新しい鎖を酵素的に合成し、最終的にアニールされたTaqMan(登録商標)プローブに達し得る。Taqポリメラーゼ5´−3´エンドヌクレアーゼ活性は、それからそれを消化することによってTaqMan(登録商標)プローブに置き換えられてもよく、リアルタイム蛍光検出システムを用いてすぐに消光しないシグナルを定量検出するための蛍光レポーター分子を放出する。
【0167】
MethyLight(商標)分析のための典型的な試薬(例えば、典型的なMethyLight(商標)に基づくキットに見られ得るような)は、限定されないが、特定の遺伝子座のためのPCRプライマー(例えば、特定の遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理されたDNA配列、CpGアイランド等);TaqMan(登録商標)またはLightcycer(登録商標)プローブ;最適化されたPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド;およびTaqポリメラーゼを含んでいてもよい。
【0168】
QM(商標)(定量的メチル化)アッセイは、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンの代替定量テストであり、配列の区別がプローブハイブリッド形成のレベルで生じる。この定量版において、PCR反応は、特定の推定上のメチル化部位と一部重なる蛍光プローブの存在下で、偏りのない増幅を与える。DNA投入量の偏りのないコントロールは、プライマーもプローブも任意のCpGジヌクレオチドに重ならない反応によって与えられる。また、ゲノムメチル化の定量テストは、既知のメチル化部位をカバーしていないコントロールオリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)およびMSP技術の蛍光ベース版)または可能性のあるメチル化部位をカバーするオリゴヌクレオチドのどちらかと共に、偏ったPCRプールを探査することによって成し遂げられる。
【0169】
QM(商標)工程は、増幅工程において、任意の好適なプローブ(例えば、「TaqMan(登録商標)」プローブ、Lightcycer(登録商標)プローブ)を使用できる。例えば、2本鎖ゲノムDNAは、重亜硫酸ナトリウムで処理され、不偏プライマーおよびTaqMan(登録商標)プローブにさらされる。TaqMan(登録商標)プローブがPCRアニーリング/伸長ステップの間、十分にハイブリッド形成したままにすることができる。PCRの間、Taqポリメラーゼは新しい鎖を酵素的に合成する際、最終的にアニールされたTaqMan(登録商標)プローブに近づき得る。Taqポリメラーゼ5´−3´エンドヌクレアーゼ活性は、それからそれを消化することによってTaqMan(登録商標)に置き換えられてもよく、リアルタイム蛍光検出システムを用いてすぐに消光しないシグナルを定量検出するための蛍光レポーター分子を放出する。QM(商標)分析のための典型的な試薬(例えば、典型的なQM(商標)に基づくキットに見られ得るような)は、限定されないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理されたDNA配列、CpGアイランド等)のためのPCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycer(登録商標)プローブ;最適化されたPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド;およびTaqポリメラーゼを含んでいてもよい。
【0170】
Ms−SNuPE(商標)技術は、DNAの重亜硫酸塩処理、続く1本鎖ヌクレオチドプライマー伸長に基づく特定のCpG部位でのメチル化差異を査定するための定量法である(Gonzalgo & Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529−2531, 1997)。要するに、5−メチルシトシンを変化しないまま、ゲノムDNAは、重亜硫酸ナトリウムと反応して非メチル化シトシンをウラシルに転換する。所望の標的配列の増幅は、それから重亜硫酸塩転換されたDNAに特異的なPCRを用いて行われ、結果として生じた産物は単離され、対象のCpG部位でのメチル化分析のための鋳型として使用される。少量のDNAで分析することができ(例えば、顕微解剖された病理部分)、CpG部位でのメチル化状態(status)を決定するための制限酵素の利用を回避する。
【0171】
Ms−SNuPE(商標)分析のための典型的な試薬(例えば、典型的なMs−SNuPE(商標)に基づくキットにみられるような)は、限定されないが、特定の遺伝子座(例えば、特定の遺伝子、マーカー、DMR、遺伝子の領域、マーカーの領域、重亜硫酸塩処理されたDNA配列、CpGアイランド等)のためのPCRプライマー;最適化されたPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;陽性コントロールプライマー;特定の遺伝子座のためのMs−SNuPE(商標)プライマー;反応緩衝液(Ms−SNuPE反応);およびラベル化されたヌクレオチドを含んでいてもよい。さらに、重亜硫酸塩転換試薬は、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA修復試薬またはキット(例えば、沈降、限外ろ過、アフィニティーカラム);脱スルホン化緩衝液、およびDNA修復組成物を含んでいてもよい。
【0172】
還元重亜硫酸塩配列決定(RRBS)は、全ての非メチル化シトシンをウラシルに転換するための核酸の重亜硫酸塩処理を開始し、続いて制限酵素消化を行い(例えば、MspIのようなCG配列を含む部位を認識する酵素によって)、アダプターリガンドに結合した後に断片の配列決定を完了する。制限酵素の選択は、分析の間、複数の遺伝子の位置にマップされ得る重複配列の数を減少し、CpG密集領域の断片を豊富化する。そのように、RRBSは配列決定のための制限断片の部分を選択することによって(例えば、調製ゲル電気泳動を用いた大きさの選択によって)、核酸試料の複雑さを減らす。全ゲノム重亜硫酸塩配列決定とは対照的に、制限酵素消化によって産出される全ての断片は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドのDNAメチル化情報を含む。そのように、RRBSは、これらの領域におけるプロモーター、CpGアイランド、制限酵素切断部位の高い頻度を有する他のゲノムの特徴の試料を豊富化して、1つ以上のゲノム遺伝子座のメチル化状態(state)を査定するためのアッセイを提供する。
【0173】
典型的なRRMSのプロトコルは、MspIのような制限酵素で核酸試料を消化するステップ、突出およびA−テーリングを満たすステップ、アダプターを連結するステップ、重亜硫酸塩転換ステップ、およびPCRステップを含む。例えば、(2005) “Genome−scale DNA methylation mapping of clinical samples at single−nucleotide resolution” Nat Methods 7: 133−6; Meissner et al. (2005) “Reduced representation bisulfite sequencing for comparative high−resolution DNA methylation analysis” Nucleic Acids Res. 33: 5868−77等を参照されたい。
【0174】
いくつかの実施形態において、定量的対立遺伝子特異的リアルタイム標的およびシグナル増幅(QuARTS)アッセイは、メチル化状態(state)を評価するために使用される。それぞれのQuARTSアッセイ中、最初の反応において増幅(反応1)および標的プローブ切断(反応2);第2の反応においてFRET切断および蛍光シグナル発生(反応3)を含む、3つの反応が連続的に起こる。標的の核酸が特定のプライマーで増幅されるとき、フラップ配列を有する特定の検出プローブは、増幅産物にゆるく結合する。標的の結合部位の特定の侵入オリゴヌクレオチドの存在は、検出プローブとフラップ配列との間を切断することによって、フラップ配列を放出するための切断を引き起こす。フラップ配列は、FRETカセットに相当するヘアピンでない部分に相補的である。したがって、フラップ配列はFRETカセット上の侵入オリゴヌクレオチドとして機能し、FRETカセット蛍光色素分子とクエンチャーとの間の切断をもたらし、蛍光シグナルを発生する。切断反応は、標的毎に複数のプローブを切断することができ、したがって、フラップごとに複数の蛍光色素分子を放ち、急激に増加するシグナル増幅を与える。QuARTSは、よく異なる色素を有するFRETカセットを用いることによって、単一反応において複数の標的を検出することができる。例えば、Zou et al. (2010) “Sensitive quantification of methylated markers with a novel methylation specific technology” Clin Chem 56: A199;米国特許出願第12/946,737号、第12/946,745号、第12/946,752号および第61/548,639号を参照されたい。
【0175】
用語「重亜硫酸塩試薬」とは、重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、またはそれらの組み合わせを含む試薬を指し、本明細書に開示されているように、メチル化および非メチル化CpGジヌクレオチド配列の間を区別するために役立つ。上記処理の方法は、当該分野で知られている(例えば、PCT/EP2004/011715、本明細書に参照として組入れられる)。重亜硫酸塩処置は、限定されないが、n−アルキレングリコールもしくはジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)のような変性溶剤の存在で、またはジオキサンもしくはジオキサン誘導体の存在下で行われることが好ましい。いくつかの実施形態において、変性溶剤は、1%〜35%(v/v)の濃度で使用される。いくつかの実施形態において、重亜硫酸塩反応は、限定されないが、クロマン誘導体(例えば、6−ヒドロキシー2,5,7,8,−テトラメチルクロム2−カルボン酸塩またはトリヒドロキシ安息香酸およびそれらの誘導体、例えば、没食子酸)のようなスカベンジャーの存在下で行われる(参照:PCT/EP2004/011715、本明細書に参照として組入れられる)。重亜硫酸塩転換は、好ましくは、30℃〜70℃の温度で行われ、反応の間、温度は短時間80℃より高く上げられる(参照:PCT/EP2004/011715、本明細書に参照として組入れられる)。重亜硫酸塩処理されたDNAは、好ましくは定量化の前に精製される。これは、限定されないが、限外ろ過(例えば、Microcon(商標)カラム(Millipore(商標)により製造された)によって)のような当該技術分野で知られる任意の手段により行われてもよい。精製は、変更された製造プロトコルにより行われた(例えば、PCT/EP2004/011715を参照されたい、本明細書に参照として組入れられる)。
【0176】
いくつかの実施形態において、処理されたDNAの断片は、本発明によるプライマーオリゴヌクレオチド(例えば、表3および/または5を参照されたい)および増幅酵素のセットを用いて増幅される。いくつかのDNAセグメントの増幅は、1つおよび同一の反応容器において連続的に行うことができる。典型的に、増幅は、ポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いて行われる。増幅産物は典型的に長さが100〜2000塩基対である。
【0177】
方法の他の実施形態において、DMR(例えば、表1、2、4および7において与えられるようなDMR1−274)を含むマーカー内または当該マーカーに近いCgG位置のメチル化状態(status)は、メチル化特異的プライマーオリゴヌクレオチドの使用によって検出され得る。この技術(MSP)は、米国特許第6,265,171号Hermanに記載されている。重亜硫酸塩処理されたDNAの増幅のためのメチル化状態(status)特異的プライマーの使用によって、メチル化および非メチル化核酸の間を区別できる。MSPプライマー対は、重亜硫酸塩処理されたCpGジヌクレオチドにハイブリッド形成する少なくとも1つのプライマーを含む。それゆえ、上記プライマーの配列は、少なくとも1つのCpGジヌクレオチドを含む。非メチル化DNAに特異的なMSPプライマーは、CpGにおいてC位の位置に「T」を含む。
【0178】
増幅によって得られた断片は、直接的にまたは間接的に検出可能なラベルに運ぶことができる。いくつかの実施形態において、ラベルは、質量分光計で検出できる典型的な質量を有する蛍光ラベル、放射性核種、または検出可能な分子断片である。上記ラベルは質量ラベルであり、いくつかの実施形態はラベル化された増幅産物が単一の陽性または陰性のネットチャージを有することを与え、質量分光計において検出性をよりよくすることができる。検出は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)またはエレクトロスプレーイオン化(ESI)を使用する手段によって行い、視覚化してもよい。
【0179】
これらのアッセイ技術に好適なDNAを単離するための方法は、当該技術分野において知られている。特に、いくつかの実施形態は、米国特許出願第13/470,251号(「核酸の単離」)(本明細書に参照として組入れられる)に記載されているように核酸の単離を含む。
【0180】
〔方法〕
本技術のいくつかの実施形態において、以下の工程を包含する方法が提供される: 1)被験体から得た核酸(例えば、ゲノムDNA、例えば、便試料、胃の組織、血漿試料などの体液から単離した)をDMR(例えばDMR1−274、例えば表1、2、4および7に示された)を含む少なくとも1つのマーカー中のメチル化と非メチル化とを区別する少なくとも1つの試薬または一連の試薬と接触させること、
2)腫瘍形成または増殖性疾患の検出(例えば、80%より多いか同等の感度および80%より多いもしくは同等の特異性を有する)。
【0181】
本技術のいくつかの実施形態において、以下の工程を包含する方法が提供される:
1)被験体から得た核酸(例えば、ゲノムDNA、例えば、便試料などの体液または胃の組織から単離した)をARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569およびC13ORF18からなる群から選択される少なくとも1つのマーカー中のメチル化したCpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを区別する少なくとも1つの試薬または一連の試薬と接触させること、
2)胃のがんの検出(例えば、80%より多いか同等の感度および80%より多いか同等の特異性を有する)。
【0182】
本技術のいくつかの実施形態において、以下の工程を包含する方法が提供される:
1)被験体から得た核酸(例えば、ゲノムDNA、例えば、血漿試料から単離した)をELMO1、ARHGEF4、EMX1、SP9、CLEC11A、ST8SIA1、BMP3、KCNA3、DMRTA2、KCNK12、CD1D、PRKCB、CYP26C1、ZNF568、ABCB1、ELOVL2、PKIA、SFMBT2(893)、PCBP3、MATK、GRN2D、NDRG4、DLX4、PPP2R5C、FGF14、ZNF132、CHST2(7890)、FLI1、c13かf18またはZNF569からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域から選択された少なくとも1つのマーカー中のメチル化したCpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを区別する少なくとも1つの試薬または一連の試薬と接触させること、
2)胃のがんの検出(例えば、80%より多いか同等の感度および80%より多いもか同等の特異性を有する)。
【0183】
本技術のいくつかの実施形態において、以下の工程を包含する方法が提供される:
1)被験体から得た核酸(例えば、ゲノムDNA、例えば、便試料などの体液または胃の組織から単離した)をELMO1、ZNF569、C13orf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4,および ST8SIA1からなる群から選択されるアノテーションを有する染色体領域から選択された少なくとも1つのマーカー中のメチル化したCpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを区別する少なくとも1つの試薬または一連の試薬と接触させること、
2)胃のがんの検出(例えば、80%より多いか同等の感度および80%より多いもしくは同等の特異性を有する)。
【0184】
好ましくは、上記感度は約70%〜約100%、または約80%〜約90%、または約80%〜約85%である。好ましくは、、特異性は70%〜約100%、または約80%〜約90%、または約80%から約85%である。
【0185】
ゲノムDNAは商業的に利用可能なキットの使用を含むいかなる手法によっても単離され得る。
簡潔には、対象の上記DNAを、細胞膜により被包し、生物学的試料は酵素的、化学的または機械的に破砕し、し、溶解しなければならない。上記DNA溶液は、タンパク質および他の汚染物質を、例えば、プロテアーゼKを用いた消化によって、除去した。続いて上記ゲノムDNAを、上記溶液から溶出した。これは、塩析、有機溶媒抽出、固体相の担体へのDNAの結合を含む様々な手法で行い得る。方法の選択は、時間、費用、DNAの要求される品質を含む複数の因子に影響されるであろう。腫瘍形成事象または前腫瘍形成事象を含む、全ての種類の臨床試料が本方法に好適に用いられる(例えば、細胞株、組織学的スライド、生検、パラフィン包埋める組織、体液、便、胃の組織、結腸の液、尿、血漿、血清、全血、単離された血液細胞、血液から単離された細胞およびそれら組み合わせ)。
【0186】
上記技術は、試料の準備や実験するための核酸の準備に用いる方法に限らない。例えば、いくつか具体的に、直接的遺伝子捕捉、例えば、詳細な米国特許出願61/485386や関連している方法を使用して、DNAは便試料、血液、血漿試料から単離される。
【0187】
ゲノムDNA試料は、DMR(例えば、DMR1−274、例えば、表1、2、4および7に基づく)を含む少なくとも1個のマーカーの中の、メチル化CpGジヌクレオチドと非メチル化CpGジヌクレオチドとを区別する少なくとも1つのの試薬または1連の試薬で処理する。。
【0188】
いくつかの実施形態では、上記試薬は、ハイブリダイゼーション反応により、5’位における脱メチル化しているシトシン塩基をウラシル、チミン、またはシトシンとは類似でない他の塩基に変える。しかし、いくつか実施形態において、上記試薬はメチル化感受性の制限酵素であり得る。
【0189】
いくつかの実施形態において、ゲノムDNA試料は、脱メチル化しているシトシン塩基を反応により、5’位における脱メチル化しているシトシン塩基をウラシル、チミン、もしくはシトシンとは異なる他の塩基に変換する方法で処理される。いくつかの実施形態では、本処理は硫酸水素塩(水素、硫酸、二硫酸塩)でバイトアルカリ加水分解に従い行われる。
【0190】
処理した核酸は、標的遺伝子配列(少なくとも1個の遺伝子、ゲノムシーケンス、またはDMRを比較するマーカー由来のヌクレオチド、例えば、DMR1−274から選択された少なくとも1個のDMR、例えば、表1、2、4、または7に基づく)のメチル化状態を解析する。解析の上記方法は、例えば、本発明の中でQuARTSやMSPのリストに含まれている、これらの技術の中で知られている中から選抜している。
【0191】
異常なメチル化、さらに詳細には、DMRを比較するマーカー(DMR1−274から選択された少なくとも1個のDMR、例えば、表1、2、4、または7に基づく)の過メチル化は、胃のがんおよびより詳細には、予測される腫瘍部位と関連している。
【0192】
本発明は、胃がんに関する試料のいくつかの解析と関連している。例えば、いくつかの実施形態において、上記試料は患者由来の組織もしくは生物学的液体を含んでいる。いくつかの実施形態において、上記試料は分泌物を含む。いくつかの実施形態において、上記試料は、血液、血清、血漿、胃の分泌物、膵液、胃腸管系の生検試料、胃腸管系の生検から顕微解剖された細胞、胃腸管系内腔に捨てられた胃腸管系の細胞または、糞便から回収された胃腸管系の細胞を含んでいる。いくつかの実施形態において、対象はヒトである。これらの試料は、消化管上部、消化管下部に由来し得るか、または消化管上部および消化管下部の両方からの細胞、組織および/または分泌物を含んでいる。上記試料は、肝臓、胆管、膵臓、胃、結腸、直腸。食道、小腸、虫垂、十二指腸、ポリープ、胆嚢、肛門および/または腹膜からの細胞、分泌物または組織を含むいくつかの実施形態において、上記試料は、細胞液、腹水、尿、排泄物、膵液、内視鏡検査法の間に得らえる液体、血液、粘液、または唾液を含む。いくつかの実施形態において、上記試料は便である。
【0193】
そのような試料は、当該分野において知られている(例えば、当業者にとって明らかな)多くの任意の方法によって得られる。例えば、尿試料および糞便試料は容易に入手でき、血液試料、腹水試料、血漿試料または膵液試料は、例えば針およびシリンジを用いることによって、非経口的に入手できる。無細胞または実質的に無細胞の試料は、当該分野において知られている種々の手法(遠心分離およびろ過が挙げられるが、これらに限定されない)に上記試料を供することによって入手できる。非侵襲的な手法が上記試料を入手するために使用されることが、一般的に好ましいが、組織ホモジネート、組織片および生検標本のような試料を入手することも、好ましい。
【0194】
いくつかの実施形態において、上記技術は、患者(例えば、胃のがん(例えば胃がん)の患者、初期段階の胃がんの患者、または胃がんに進み得る患者)を治療するための方法に関し、当該方法は、本明細書に示されているようなDMRのメチル化状態を決定すること、およびメチル化状態を決定した結果に基づいて、患者に処置を施すことを含んでいる。上記処置は、薬学的化合物、ワクチン、外科処置の実施、患者の画像化診断、他の試験の実施の施行であり得る。好ましくは、当該用途は、臨床スクリーニング方法、予後評価の方法、治療の結果を観察する方法、特定の治療処置にほぼ応答する患者を特定するための方法、患者または対象を画像化診断する方法、薬物のスクリーニングまたは開発のための方法にある。
【0195】
本技術のいくつかの実施形態において、胃のがん(例えば胃がん)を診断するための方法が提供される。用語「診断すること」および「診断」は、本明細書に使用されるとき、対象が所定の疾患もしくは状態にあるか否か、または将来的に所定の疾患もしくは状態に進行し得るか否かを、当業者が、推定し、さらに決定し得る方法を指す。当業者は、診断の1つ以上の指標(例えば、バイオマーカー(例えば、本明細書に開示されているようなDMR)、状態の存在、重篤度もしくは非存在を表わすメチル化状態など)に基づいて、診断をしばしば下す。
【0196】
診断とともに、臨床的ながんの予後診断は、診療的ながん予測は、がんの病原性および再発率を決定して、最も有効な治療法を計画することに関する。より正確な診断がなされるか、がんを進行させる見込みのあるリスクが評価され得る場合、適切な治療法、およびいくつかの場合に危険のより少ない治療法が、選択され得る。がんのバイオマーカーの所見(例えば、メチル化状態の測定)は、良好な予後および/またはがん進行の低いリスクがを有している対象(治療を要しないか、わずかな治療を要する)を、がんの進行しやすいか、またはがんの再発しやすい対象(より集中的な処置から利益を得る)と分けるために有益である。
【0197】
そのような“診断をすること”または“診断”は、本発明において、さらにがんの進行のリスクを判断すること、または予後を決定することを含んでいる。それは、本発明で報告したバイオマーカーの診断(例えばDMR)の測定に基づく、適切な治療(もしくは効果的な治療かどうか)を選択すること、または現在の治療の経過観察と、もしかすると治療の変更で、臨床結果(医学的治療をする、またはしない)を予測するためにある。さらに、本開示のいくつかの実施形態において、長期にわたるバイオマーカーの複合的な決定は、診断および/または予後診断を容易にし得る。バイオマーカーの一時的な変化は、臨床結果を予測することができたもので、胃がんの進行を監視し、または直接がんに対して適切な治療の効果を監視することができた。そのようないくつかの実施形態において、例えば、生物学的試料は、長期にわたる効果的な治療の進行の間において、本発明で明らかにした(監視しているもしかすると1つか複数のバイオマーカー)1つか複数のバイオマーカー(例えばDMR)のメチル化状態の変化を観察し予測することである。
【0198】
さらにいくつか具体的に患者の状態をすぐに開示するには、患者においてがんの予防や治療を始めるかもしくは継続するか決定するための方法がある。いくつか具体的に、上記方法は患者からの期間が終わるまでを生物学的試料の系を含む方法で;それぞれ互いの生物学的試料において、本発明で明らかになった少なくとも1つのバイオマーカーはメチル化状態の変化の計測を有している。バイオマーカーのメチル化状態における変化のいくつかは、がんの進行のリスクを予測し、臨床結果を予測し、がんの予防や治療を始めるかもしくは継続するかどうか、また今の治療はがんの効果的な治療であるかどうか、決定することに使用されてきた。例えば、まず初めに治療の開始のために選択され、そして第二に治療の開始後しばらくの間に選択される。メチル化状態は、異なる時に定量し、もしくは定量的に異なる特徴から入手されたそれぞれ互いの試料を計測することができる。異なる試料由来のバイオマーカー水準のメチル化状態の変化は、患者における胃がんのリスク、経過予測、有効的な治療の決定と、もしくは、がんの予測と相互関係を示すことができる。
【0199】
具体的にむしろ好まれるのは、本発明の方法や性質は、早期の段階、例えば、病気が表れる前の兆候における病気の治療や診断のためである。いくつか具体的には、本発明の方法や性質は、臨床段階における治療や病気の診断のためである。
【0200】
さらに具体的に示すと、1つか複数のバイオマーカーの診断や経過予測の多くの決定は、診断や経過予測の決定をするために用いられるマーカーにおける時間の変化を引き起こしてきた。例えば、診断マーカーは初期における、そして再び第二段階における決定をしてきた。いくつか具体的には、初期から第二段階までのマーカーの増加は、特定の型やがんの厳しさ、もしくは経過予測の診断ができる。同様に、初期から第二段階までのマーカーの減少は、特定の型やがんの厳しさ、もしくは経過予測を示すことができる。さらに、1つか複数のマーカーの変化の度合いは、がんの厳しさや将来の不利益な出来事と関連している。熟練した上記の技術を持つ人はこれらを理解するだろうし、確かな具体的な測定の比較は、多数の段階において同様のバイオマーカーの作成ができ、またある段階におけるバイオマーカーや、第二段階における2つ目のバイオマーカーを測定することができ、これらのマーカーの比較は診断に役立つ情報となる。
【0201】
本発明で使用された、本表現“診断の決定”は、熟練した技術を持つ人が患者の状態の経過や結果を予測できる方法と関連している。“経過予測”期間は、100%の正確さを持って状態の経過や結果を予測する能力と関連していない。もしくは、経過や結果はバイオマーカー(例えばDMR)のメチル化状態に基づき多かれ少なかれ引き起こされると予測できる。その代りに、熟練した上記技能を持つ人は、“経過予測”期間は確かな状態の経過や結果起こる確率は増加することと関連していると理解できるだろう;そしてその経過や結果は、状態に示さないこれらの個人と比較すると、状態に示している患者にさらに起こり得る。例えば、状態(例えば、1つか複数のDMRの標準のメチル化状態を有する)に示さない個人において、結果の見込み(例えば、胃がんに苦しむこと)はとても低いかもしれない。
【0202】
具体的には、統計解析は、結果が進行しやすい傾向がある経過予測の指標と関連している。例えば、具体的には、がんではない患者に由来する通常の基準となる試料とは異なるメチル化状態は、がんで苦しむ患者よりも、基準となる試料においてメチル化状態と類似したレベルの患者の方が、統計上優位性のレベルで決定することで示すことができる。付け加えると、基準となるレベル(例えば“通常の”)からメチル化状態の変化は、患者の経過予測に反映することができ、メチル化状態における変化の度合いは反対の結果の重大さに関係している。統計上の優位性は、たいてい、2人か複数人の集団を比較すること、さらに信頼性の差とまたはp値の判定により決定されることが多い。例えば、Dowdy and Wearden、Statistics for Research、 John Wiley & Sons、 New York、 1983は、それ全体の参考により具体化されている。現患者の状態の典型的な信頼性の差は、90%、95%、97.5%。98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%であり、全ての典型的なp値は0.1、0.05、0.025、0.02、0.01、0.005、0.001、0.0001である。
【0203】
その他具体的に、本発明において公開したバイオマーカー(例えば、DMR)の経過予測や診断のメチル化状態における変化の閾値の度合は、確率することができ、生物学的試料におけるバイオマーカーのメチル化の度合いはメチル化状態の閾値の度合いと容易に比較される。本発明において示されたバイオマーカーのためのメチル化状態における好まれる閾値の変化は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約50%、約75%、約100%、約150%である。しかし他の具体化において、“ノモグラム”は、設けることができる。それは、経過観察や診断の指標(バイオマーカーやバイオマーカーの組み合わせ)となるメチル化状態は、一定の結果に向かう性質と直接に関連することによるものである。熟練した本技術を持つ人は、2つの数字の値と関連するそのようなノモグラムの使用について、この測定はマーカー濃度と同様に不確かであることを理解すると共に、精通している。なぜなら、集団の平均ではなく、個々の試料の測定は参照されるからである。
【0204】
いくつか具体的に、基準の試料は生物学的試料と同時に解析される。そして、上記生物学的試料から得られた結果は、基準となる試料から得られた結果と比較される。付け加えると、標準的な分布曲線になると予想され、生物学的試料のための上記アッセイの結果は比較される。そのような標準的な分布曲線は、アッセイユニットの機能としてバイオマーカーのメチル化状態を示している。例えば、蛍光ラベルが使用されているときは蛍光シグナルの強度である。多数のドナーから提供され使用した試料は、標準的な分布曲線は通常の組織における1つか複数のバイオマーカーの標準的なメチル化状態を定めている。それは変質形成のドナーや胃がんのドナーから提供された組織において、1つか複数のバイオマーカーの“危険がある”レベルと同様である。上記方法のある具体化は、患者は、上記患者から採取された生物学的試料において、本発明で示した1つか複数のDMRの異常なメチル化状態を示す変質形成を有しているとして確定される。さらに上記方法の他の具体化は、上記患者由来の生物学的試料において、1つか複数のそのようなバイオマーカーの異常なメチル化状態の検出の結果、上記患者はがんであるとみなされる。
【0205】
マーカーの上記解析は、1つの試験試料の中で追加マーカーと別々にまたは同時に行われる。例えば、それぞれのマーカーは、試料の効率的な作業のために、さらに大診断ともしくは正確な経過予測をするために、1つの試験を同時に行う。さらに付け加えると、本技術におけるある技能は、同じ患者由来の多数の試料(例えば、時間が連続するとき)の試験の有用性を認識されている。一連の試料のそのような試験は、時間を超えたメチル化マーカーにおける変化と同一であると認められている。メチル化状態の変化は、メチル化状態における変化がないことと同様に、それを含む上記病気の状態についての有益な情報であり、しかしこれに限るものではなく、上記状態の始まりからほぼ同じ時間を確認している。それは、その存在や回復した組織の量、薬剤治療の適応性、様々な治療の有効性、そして将来の状態のリスクを含む患者の結果の確認である。
【0206】
バイオマーカーの上記解析は、様々な実際の系において行われる。例えば、マイクロプレートの使用や全自動化は、数多くの試験試料の作業を容易にしてきた。あるいは、1つの試料の型は、素早いやり方で容易に即時の治療と診断のために進化した。例えば、一時的な輸送や緊急処置室の設置である。
【0207】
いくつかの具体化にすると、基準のメチル化状態を比較した際、上記患者はまるで胃のがんを有しているように診断される。それは、上記試料において少なくとも1つのバイオマーカーのメチル化状態において、ある程度の差が生じる。逆に、メチル化状態において変化がないときは、生物学的試料の中で同定される。患者は胃のがんを有していないかどうか、がんのリスクをないか、あるいはがんのリスクが低いか確認される。これに関して、上記がんやそのリスクを持つ患者は、おおむねがんでない、またはそのリスクが低い患者と区別することができる。胃がんが進行するリスクのあるこれらの患者は、内視鏡観察を含むさらに集中的で、もしくは通常のクリーニング計画におかれる。一方で、おおむねリスクがないか低い患者は、将来のスクリーニングの時点まで、例えば、現在の技術と一致するようなスクリーニングで、内視鏡検査を避けることができ、それらの患者において胃がんのリスクが現れることを示している。
【0208】
すでに言及しているが、現技術の方法の具体的な発展は、1つか複数のバイオマーカーのメチル化状態における変化を検出することは、定性的な測定、もしくは定量的な測定が可能である。患者が、持っているとして、進行のリスク、胃のがん(例えば胃がん)の診断の段階だから、確実な閾値の測定はそのように示している。例えば、前もって決められた基準のメチル化状態から、様々な生物学的試料における1つか複数のバイオマーカーのメチル化状態である。本方法のいくつかの具体化において、基準のメチル化状態は、いくつか検知可能なメチル化状態のバイオマーカーである。本方法のほかの具体化は、生物学的試料と同時に実験した基準試料の場合、前もって決まっている基準のメチル化状態は、基準試料におけるメチル化状態である。本方法のほかの具体化は、前もって決まったメチル化状態は後に基づくかもしくは、標準的な分布曲線により確定される。本方法のほかの具体化において、前もって決まるメチル化は、はっきりした状態か状態の範囲である。上記の前もって決まるメチル化は、本分野のそれら技術にとって明白に容認できる制限の中で、熟練してさらに望まれる特異性など、本方法の具体化における一部分に基づき選択される。
【0209】
診断方法と関係する以上に、好まれる患者は脊椎動物の患者である。好まれる脊椎動物は定温であり;好まれる定温の脊椎動物は哺乳類である。好まれる哺乳類は、ほとんどヒトである。本発明で使用している、“患者”はヒトと動物患者両方を含んでいる。したがって、獣医学上の治療法は本発明で示している。そのような現技術は、ヒトのような哺乳類の診断のためだけでなく、絶滅の危機にある貴重な哺乳類、例えばシベリアンタイガーのためにあり;経済的重要性のある、ヒトによる消費のための農場にいるような動物;ともしくは、ペットや動物園で飼育されている動物のように、ヒトにとって社会的な重要性のある動物のためである。そのような動物の例は、これに限るものではないが;ネコやイヌのような肉食性の哺乳類;家畜のブタ、子ブタ、食肉用の雄ブタ、さらに野生の雄ブタを含む;家畜のウシ、雄牛、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、ラクダ、さらにウマのような反芻動物とまたは有蹄動物である。したがって、家畜の上記診断や治療もまた示しており、しかし、これに限るものではなく、家畜化したブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬も含む)、さらにこれに匹敵する動物である。ただちに示された患者の状態は、患者における胃のがん(例えば、胃がん)の診断のためのシステムをさらに含んでいる。上記システムは、例えば、生物学的試料を採集された患者における、胃のがんのリスクや胃のがんの診断を選別するために使用されてきた大量生産のキットとして規定している。実例のシステムは、表1、2、4、または7に基づくメチル化状態のDMRを測定する本技術と一致している。
【実施例】
【0210】
(実施例1−胃がんの検出用マーカーの同定)
本技術のための実施形態を開発する過程において実施された実験は、胃がんのための123のDNAメチル化マーカー(248のDMR(例えば、DMR番号1〜248;表1)に対応する)を同定した。そのようなDNAメチル化マーカを、患者−コントロールの組織試料セットの、平行した大規模の配列決定をともなった、CpGアイランドのエンリッチメントによって生成されたデータから同定した。コントロールは、正常な胃部組織、正常な結腸上皮および正常な白血球から得られたDNAを含んでいた。方法は、低発現量バイスルファイトシークエンシング(reduced representation bisulfite sequencing)(RRBS)を利用した。第3のステップは、カバレッジカットオフについてのデータを解析すること、有益でない部位をすべて排除すること、ロジスティック回帰を用いた診断サブグループ間におけるメチル化%を対比すること、近接するメチル化部位の明確なグループ化に基づいて、CpG「アイランド」をコンピュータによって作り出すこと、および受信者動作特性分析を含んでいた。第4のステップは、メチル化%データ(個々のCpGおよびコンピュータ内のクラスタの両方)をフィルタにかけて、シグナルノイズ比を最大化し、バックグラウンドのメチル化を最小化し、腫瘍の異質性を明らかにし、かつROC性能を重視した。さらに、この分析法は、下流のマーカーアッセイ(メチル化特異的PCR、小断片ディープシークエンシングの容易かつ最適な設計ための、確定したDNA長の全体にわたるCpGホットスポットの同定を確実にした。
【0211】
各試料は、約2〜300万の良質なCpGを生じ、分析およびフィルタリングの後に、高度に識別される1000未満の個々の部位になった。これらは、特異なメチル化の、123の局在領域(一部は30〜40ベース、他の一部はキロベースに広がっていた)に集中していた(表1を参照)。すべてのDMRは、0.8以上のAUCを有していた(一部は、コントロールから、患者の完全な識別(1.0のAUC)を示した)。0.8のAUC閾値に加えて、同定された胃がんマーカーは、正常な胃粘膜または結腸粘膜の20倍を超えるメチル化密集度を、腫瘍において示す必要があり、非新生物の胃粘膜または結腸において<1.0%のメチル化を示す必要があった。
【0212】
【表1】
【0213】
【表2】
【0214】
【表3】
【0215】
【表4】
【0216】
【表5】
【0217】
【表6】
【0218】
開示されている123のマーカーから、22が、AUCおよび倍数変化率(がん 対 正常な胃+正常な結腸)に基づいて選択され、他のGIがん部位(結腸、すい臓、胆管、食道)からの73の探査マーカーとともに、より大きな組織の検証試験に組み入れられた。これらの異なるコホートにおける試料は、がん、正常の両方、および該当する場合にアデノーマにおいて、15〜50サンプルの間であった。検証プラットフォームは、メチル化コントロールの集団によって最適化されているプライマーを用いた、定量的なメチル化特異的PCRであった。すべてのアッセイを、Roche 480 LightCyclersによって実施した。結果を、ROC特性、倍数変化および相補性について分析した。感度によって評価された(がんおよびアデノーマについて)、上位の30を、表2に示した。表3は、表2に示されているマーカーに対するプライマー情報を示している。これらのうち、10が、Mayo Koreanとの共同試験におけるさらなる組織検証(実施例2を参照)のために、選択された。
【0219】
【表7】
【0220】
【表8】
【0221】
【表9】
【0222】
(実施例2−新規なメチル化されるDNAマーカーによる胃がん検出:米国および韓国からの患者コホートにおける組織検証)
本技術のための実施形態を開発する過程において実施された実験は、全体のメチロームシークエンシングによって、新規のメチル化されたDNAを同定し、それから、米国および韓国における患者コホートからの組織において最適な候補物を検証した(表4、5および6を参照)。
【0223】
低発現量バイスルファイトシークエンシング(reduced representation bisulfite sequencing)を用いた全体のメチロームを見出す試みの後に、17のメチル化されるDNAマーカー候補物を、米国および韓国における患者からの胃部組織集合における盲検のために、選択した。顕微解剖された組織からのDNAを、メチル化特異的なポリメラーゼ連鎖反応によって定量し、マーカーレベルを、ベータアクチン(総計のヒトDNA)によって標準化した。GC症例は、未処置のアデノカルチノーマと病理学的に確認された、35人(米国)および50人(韓国)の患者によって構成されていた。コントロールは、症例と人口統計学的に対応した65人(米国)および50人(韓国)の壮健な患者からの、原発性GCから離れた部位において得られた、病理学的に正常な上皮を含んでいた。各マーカーについて、ROC曲線下面積(AUC)を、名義ロジスティック回帰から計算した。
【0224】
全体として、上位10のマーカーは、ARHGEF4、ELMO1、ABCB1、CLEC11A、ST8SIA1、SFMBT2、CD1D、CYP26C1、ZNF569およびC13ORF18を含んでいた(表4を参照)。95%の特異性において、これらのマーカーのパネルは、米国コホートの100%および韓国コホートの94%においてGCを検出した。個々のAUCはそれぞれ、米国コホートにおいて0.92、0.91、0.89、0.88、0.85、0.82、0.82、0.81、0.75および0.66であり、韓国コホートにおいて0.73、0.90、0.78、0.75、0.80、0.94、0.87、0.79、0.75および0.79であった(表6を参照)。ELMO1のような一部のマーカーは、各患者コホートにおいて同様に高い識別能を示し、ARHGEF4のような他のマーカーは、患者コホート全体に通じる、正常コントロール(NL)による高いバクグラウンドのために、より変動の大きい識別能を示した(
図1を参照)。補油5は、補油4に示されている10のマーカーについてのフォワードプライマーおよびリバースプライマーの情報を示している。
【0225】
【表10】
【0226】
【表11】
【0227】
【表12】
【0228】
(実施例3−血漿における新規なメチル化されるDNAマーカーの評価による胃がんの検出)
この実施例は、胃のアデノカルチノーマ(GC)検出に対するアプローチとして血漿に基づいて評価するための、実施例IおよびIIからの選択されたメチル化されるDNAマーカー(MDM)候補物の使用を調査した。実際に、この実施例は、血漿において評価された新規なMDMのパネルが、コントロールからGC症例を正確に識別することを、証明している。マーカーレベルは、コントロールにおいて無視でき、症例において上昇し、かつGCステージにしたがって徐々に増加することが、示された。
【0229】
単一の総合施設から症例組み入れ基準に適合していた、保管所の血漿試料を、試験に含めた。症例は、すべてのステージ、組織学的な型および胃の部位に及ぶ、病理学的に確認されたアデノカルチノーマを有している37人の患者を含んでいた。症例の血漿試料は、切除、化学療法または放射線の前に回収されている。コントロールとして、年齢および性別の一致する健常な38人のボランティアからの、保管所の血漿試料を、選択した。DNAを、2mlの血漿およびバイスルファイト処理から抽出した。それから、選択されたMDM(ELMO1、ZNF569、C13orf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIA1)(表7はLRCC4についてのDMR情報を示している)を、最適化なしの、定量的アレル特異的リアルタイムターゲットシグナル増幅法(quantitative allele-specific real-time target and signalamplification method)を用いて定量した。これらのマーカーは、臨床上の感度および特異性、胃がん 対 正常胃部組織を比較したときのメチル化シグナルの倍数変化、ならびに血球由来のDNAにおける非常に低いバックグラウンドのメチル化によって評価される、組織における高い性能を証明している。
【0230】
血漿における最高の分析能を容易にするために、これらのマーカー(メチル化特異的なPCRアッセイを用いて組織においてあらかじめ調べた)を、QuARTs(quantitative allele-specificreal-time target and signal amplification)アッセイと複合させながら、元のDMR配列を用いて再設計した。QuARTsアッセイは、PCRプライマー(表8を参照)、検出プローブ(表8を参照)、および侵入型のオリゴ(Integrated DNA Technologies)、GoTaq DNA ポリメラーゼ(Promega)、Cleavase II(Hologic)、ならびにFAM、HEXおよびQuasar 670色素を含んでいる蛍光共鳴エネルギー移動レポータカセット(FRET)(Biosearch Technologies)を含んでいる。
【0231】
図2は、QuARTs(quantitative allele-specificreal-time target and signal amplification)アッセイによる、メチル化されているDNAの特徴の検出に使用されるFRETカセットのためのオリゴヌクレオチド配列を示している。各FRET配列は、3つの別のアッセイにおいて、ともに多重化され得るフルオロフォアおよびクエンチャーを含んでいる。
【0232】
基準を、プラスミドコントロールから増やし、切断した配列から導き出した。段階希釈した基準の絶対コピー数を、ポアソンモデリングから得た。
【0233】
DNAを、2mLの保管所の血漿試料から精製し、内部で保有している方法および自動化された計測器を用いてバイスルファイト変換した。処理コントロール遺伝子を、試験期間における標的回収の可変性について補正するために、すべてのサンプルに対して、前もって加えた。
【0234】
試料を、12のプライマーセットを用いて前増幅し、希釈し、QuARTsに供した。後段のためのプラットフォームは、LightCycler 480(Roche)であった。それぞれのマーカーのストランドカウントを、多重反応において含められているβアクチンからのストランドに対して標準化した。
【0235】
結果を、相補性を評価するために、ロジスティックに解析し、マトリクス形式においてプロットした。
【0236】
図3は、個々のマーカー曲線と比較して、3つのマーカーパネル(ELMO1、ZNF569およびc13orf18)の、血漿における性能を強調表示している受信者動作特性曲線を示す。100%特異性において、パネルは、86%の感度において胃がんを検出した。
【0237】
図4Aは、正常な粘膜からステージ4の胃がんまでの進行を説明している、血漿におけるメチル化されているELMO1の、ステージにしたがったログスケールの絶対ストランドカウントを示す。定量的なマーカーレベルは、GCステージとともに増加した。
【0238】
図4Bは、3つのマーカーパネル(ELMO1、ZNF569およびc13orf18)のステージにしたがった、血漿における胃がんの感度を証明している棒グラフ(100%特異性)を示す。
【0239】
実際に、ELMO1は、最も識別するマーカーであり、単独で94%のAUC(95% CI 89〜99%)を有していた。100%特異性において、3つのMDM(ELMO1、ZNF569およびC13orf18)のパネルは、86%(71〜95%)の感度においてGCを検出した。GCステージにしたがって(
図4A)、100%特異性におけるパネルによる感度は、ステージ1(n=8)、2(n=13)、3(n=4)、および4(n=11)についてそれぞれ、50%、92%、100%および100%であった(トレンドについてp=0.01)。定量的なMDMレベルは、GCステージにしたがって直接的に増大した。メチル化されているELOMO1の分布によって示されているように(
図4B)、血漿ストランドの中央値/コントロールにおける血漿のmlは、0.4であり、CG症例のステージ1、2、3および4におけるストランドカウントはそれぞれ、16、111、101および213であった(トレンドについてp=0.01)。年齢も性別もマーカーレベルに影響しなかった。
【0240】
図5A、BおよびCは、12の胃がんマーカー(ELMO1、ZNF569、C13orf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIA1;ELMO1は2回、実施され、2回目はバイプレックス形式(biplex format))の性能を示す。74の血漿試料における、90%特異性(A)、95%特異性(B)および100%特異性(C)、マトリクス形式。マーカーを、縦に並べ、試料を横に並べた。試料を、左側に正常、右側にがんを整列させた。陽性ヒットは、明るい灰色であり、ミスは濃いグレーである。ここで、最上の性能のマーカー(ELMO1)は、90%特異性において最初に記載されており、残りのパネルは100%特異性である。このプロットは、マーカーが組み合わせの様式において評価されることを可能にする。
【0241】
図6は、74の血漿試料における3つの胃がんマーカー(最初のパネル)の、100%特異性の、性能を示している。マーカーを縦に並べ、試料を横に並べている。がんを、ステージにしたがって整列している。陽性ヒットは、明るい灰色であり、ミスは濃いグレーである(ELMO1、ZNF569およびc13orf18)。
【0242】
図7A〜Mは、血漿における12の胃がんマーカー(ELMO1、ZNF569、C13orf18、CD1D、ARHGEF4、SFMBT2、PPP25RC、CYP26C1、PKIA、CLEC11A、LRRC4およびST8SIA1;ELMO1は2回、実施され、2回目はバイプレックス形式)のボックスプロット(線形のスケール)を示す。コントロール試料(N=38)を左に、胃がん症例(N=36)を右に記載している。縦軸は、βアクチンストランドに対して標準化されたメチル化の%である。
【0243】
【表13】
【0244】
【表14】
【0245】
【表15】
【0246】
以上の明細書に述べられている公開物および特許は、すべての目的のために参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。説明されている組成物、方法およびその技術の使用の、種々の変更および変形は、説明されているような技術の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかである。この技術は例示的な特定の実施形態に関連して説明されているが、請求されているような発明が、このような特定の実施形態まで不当に限定されるべきではないことが理解される。実際に、薬理学、生化学、医学または関連する分野の当業者にとって自明な、本発明を実施するための説明されている形態の種々の変更が、以下の特許請求の範囲内にあると意図されている。